JP2008257970A - 電子機器及び電子機器配線用ハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】スライド式のモバイル端末機器に極細同軸ケーブルを導入することができ、スライド屈曲に対して優れた耐性を有する電子機器とその電子機器配線用ハーネスの提供。
【解決手段】回路を有する複数の筐体がスライド可能に接合され、これらの筐体内の回路同士を電子機器配線用ハーネスによって電気的に接続してなる電子機器であって、前記電子機器配線用ハーネスは、多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有し、該ケーブル積層部が筐体のスライド面上にU字形に配線されたことを特徴とする電子機器。
【選択図】図1
【解決手段】回路を有する複数の筐体がスライド可能に接合され、これらの筐体内の回路同士を電子機器配線用ハーネスによって電気的に接続してなる電子機器であって、前記電子機器配線用ハーネスは、多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有し、該ケーブル積層部が筐体のスライド面上にU字形に配線されたことを特徴とする電子機器。
【選択図】図1
Description
本発明は、回路を有する複数の筐体がスライド可能に接合され、これらの筐体内の回路同士を極細同軸ケーブル等の電線によって電気的に接続してなる電子機器、特に、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)などのモバイル端末機器、および該電子機器の筐体間配線に用いるハーネスに関する。
近年、携帯電話に代表される電子機器の小型・軽量化・多機能化は急速に進展している。そのため、数多くのICチップが搭載され、伝送容量が大きくなり、伝送スピードが高速化してきており、特に伝送周波数が高周波帯域になってきている。それに伴って機器内の電気信号ノイズも増大するため、電気信号の伝送媒体には電磁波のシールド(遮蔽)特性に優れたものが要求されている。このため、機器内の内部配線材にFPC(Flexible Printed Circuit)に代わって、電磁波のシールド(遮蔽)特性に優れた極細同軸ケーブルをアッセンブリしたものが導入されている。小型の電子機器、特に携帯電話等のモバイル端末機器において、図5(a)に示すクラムシェルタイプ、図5(b)に示すジャックナイフタイプ、図5(c)に示す2軸タイプでは、既に極細同軸ケーブルをアッセンブリしたものが導入されている。
しかしながら、図5(d)に示すスライドタイプのモバイル端末機器に関しては、いまだにFPCが使用されており、極細同軸ケーブルをアッセンブリしたものは導入されていない。これは、スライドタイプの機械的構造に起因しているためであり、従来は極細同軸ケーブルの使用が難しいとされてきた。図6は、スライドタイプの電子機器1の筐体間配線材としてFPC4を適用した場合を例示する図である。この電子機器1は、第1の筐体2と、この第1の筐体2にスライド可能に接合された第2の筐体3とのそれぞれの回路を、FPC4により電気的に接続した構造になっている。
従って、スライドタイプのモバイル端末機器について、高機能化・多機能化を進めていく上では、他の構造のものと同様に極細同軸ケーブルをアッセンブリしたものを導入することが必須である。要するに、スライドタイプのモバイル端末機器について、極細同軸ケーブルをアッセンブリしたものを導入することが望まれていたわけである。例えば、極細同軸ケーブルをモバイル端末機器に導入した事例として、特許文献1,2に開示された技術が提案されている。
すなわち、極細同軸ケーブルをモバイル端末機器に用いることは公知であり、既にそのような機器が上市されていることも公知である。しかしながら、特許文献1,2にも記載されているが、極細同軸ケーブルが用いられているのは、折り畳み式(クラムシェルタイプ)、開閉+捻回(2軸タイプ)などであり、スライドタイプに適用した事例は見られない。一方、スライドタイプのモバイル端末機器の筐体間接続手段としては、FPCが用いられていることが公知である。例えば、特許文献3〜5に開示された技術が提案されている。
モバイル端末機器、特に携帯電話について、代表的な形状・構造・機械的な動作について、図5に例示する。開閉構造を有するクラムシェルタイプ(図5(a)参照)、回転構造を有するジャックナイフタイプ(図5(b)参照)、ツイストタイプといわれる開閉と回転が行える2軸構造(図5(c)参照)、及び水平移動構造を有するスライドタイプ(図5(d)参照)などである。
スライドタイプの構造に求められている特性として、高さ制限のある空間内での水平屈曲がある。代表的には3mmのスペースにて繰り返しスライドに対応できる必要がある。従来は、この構造に対して、図6に示すように、薄くてフレキシブル特性を有するプリント配線板であるFPCしか対応できなかった。これは特許文献3〜5にも同様に記載されている。
また従来、極細同軸ケーブルは、スライドタイプの構造に向かないとされてきた。それは数十本の極細同軸ケーブルを束ねてしまった場合、スライドタイプの構造に求められる特性として、高さ制限(例えば3mm)の中では、屈曲スペースとして不十分であり、繰り返し屈曲特性を満足することができないためである。
逆に、ケーブルを束にまとめる方式でも屈曲スペースが確保されている構造(クラムシェルタイプやジャックナイフタイプ)の場合は、充分な特性が確保されているので、実用化されているわけである。これは、特許文献1,2に示されている。
特開2006−286299号公報
特開2006−202641号公報
特開2006−128808号公報
特開2006−216908号公報
特許第3723539号公報
スライドタイプの構造に求められている特性として、高さ制限のある空間内での水平屈曲がある。代表的には3mmのスペースにて繰り返しスライドに対応できる必要がある。従来は、この構造に対して、図6に示すように、薄くてフレキシブル特性を有するプリント配線板であるFPCしか対応できなかった。これは特許文献3〜5にも同様に記載されている。
また従来、極細同軸ケーブルは、スライドタイプの構造に向かないとされてきた。それは数十本の極細同軸ケーブルを束ねてしまった場合、スライドタイプの構造に求められる特性として、高さ制限(例えば3mm)の中では、屈曲スペースとして不十分であり、繰り返し屈曲特性を満足することができないためである。
逆に、ケーブルを束にまとめる方式でも屈曲スペースが確保されている構造(クラムシェルタイプやジャックナイフタイプ)の場合は、充分な特性が確保されているので、実用化されているわけである。これは、特許文献1,2に示されている。
一般に、携帯電話に代表されるモバイル用電子機器にて使用される極細同軸ケーブルは、型番では、AWG46からAWG42といわれるタイプであり、そのケーブル外径は、0.2mm〜0.3mm程度である。さらに、一般的なスライドタイプ構造に使用される屈曲スペースとしては3mm程度の高さであり、10万回以上のスライド回数(耐屈曲回数)が求められている。
しかし、特に何の工夫もせずに、前述の極細同軸ケーブルを用いて高さ3mmのスペースに折り曲げた場合には、ケーブルの曲がり癖がついてしまうという問題が発生し、繰り返しのスライド回数が前記目標値に達しないものとなってしまう。
また、本発明者らが検討した結果、前記極細ケーブルを束ねた場合、多くの(例えば10万回以上)スライド回数(耐屈曲回数)を満足するための屈曲半径は、R=5mm以上必要であり、要求されるスペース(高さ3mm)では、屈曲特性を満足させることは困難である。
しかし、特に何の工夫もせずに、前述の極細同軸ケーブルを用いて高さ3mmのスペースに折り曲げた場合には、ケーブルの曲がり癖がついてしまうという問題が発生し、繰り返しのスライド回数が前記目標値に達しないものとなってしまう。
また、本発明者らが検討した結果、前記極細ケーブルを束ねた場合、多くの(例えば10万回以上)スライド回数(耐屈曲回数)を満足するための屈曲半径は、R=5mm以上必要であり、要求されるスペース(高さ3mm)では、屈曲特性を満足させることは困難である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、スライドタイプのモバイル端末機器に極細同軸ケーブルを導入することができ、スライド屈曲に対して優れた耐性を有する電子機器とその電子機器配線用ハーネスの提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、回路を有する複数の筐体がスライド可能に接合され、これらの筐体内の回路同士を電子機器配線用ハーネスによって電気的に接続してなる電子機器であって、
前記電子機器配線用ハーネスは、多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有し、該ケーブル積層部が筐体のスライド面上にU字形に配線されたことを特徴とする電子機器を提供する。
前記電子機器配線用ハーネスは、多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有し、該ケーブル積層部が筐体のスライド面上にU字形に配線されたことを特徴とする電子機器を提供する。
本発明の電子機器において、前記電線は、少なくとも1本が極細同軸ケーブルであることが好ましい。
また本発明は、多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有し、本発明の電子機器に配線材として用いられることを特徴とする電子機器配線用ハーネスを提供する。
本発明の電子機器配線用ハーネスにおいて、前記電線は、少なくとも1本が極細同軸ケーブルであることが好ましい。
本発明の電子機器は、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって多数本の電線を一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有する電子機器配線用ハーネスを配線材として用い、そのケーブル積層部を筐体のスライド面上にU字形に配線してなるものなので、スライドタイプの電子機器において、高さ3mm以下のスペースで極細同軸ケーブルアセンブリを可能とした電子機器を提供することができる。
本発明の手法を用いることにより、スライドタイプの電子機器において、極細同軸ケーブルアセンブリが可能となるので、従来のFPCを筐体間配線材として用いたものと比べ、伝送特性や耐ノイズ特性を向上させることができる。
本発明の電子機器配線用ハーネスは、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって多数本の電線を一括テープ化してなるテープ型ケーブルを複数枚積層したケーブル積層部を有する構成としたことで、フラットケーブルの耐屈曲性が良好となり、スライドタイプの電子機器において求められている10万回以上の耐屈曲回数を満たすことができる。
本発明の手法を用いることにより、スライドタイプの電子機器において、極細同軸ケーブルアセンブリが可能となるので、従来のFPCを筐体間配線材として用いたものと比べ、伝送特性や耐ノイズ特性を向上させることができる。
本発明の電子機器配線用ハーネスは、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって多数本の電線を一括テープ化してなるテープ型ケーブルを複数枚積層したケーブル積層部を有する構成としたことで、フラットケーブルの耐屈曲性が良好となり、スライドタイプの電子機器において求められている10万回以上の耐屈曲回数を満たすことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の電子機器の一実施形態を示す図であり、本実施形態では、電子機器として、携帯電話などのモバイル端末機器に本発明を適用した場合を例示している。図1(a)は収納時、(b)は引き出し時の状態をそれぞれ示している。
図1は、本発明の電子機器の一実施形態を示す図であり、本実施形態では、電子機器として、携帯電話などのモバイル端末機器に本発明を適用した場合を例示している。図1(a)は収納時、(b)は引き出し時の状態をそれぞれ示している。
本実施形態の電子機器11は、回路を有する第1の筐体12及び第2の筐体13がスライド可能に接合され、これらの筐体12,13内の回路同士を電子機器配線用ハーネス14(以下、ハーネスと記す。)によって電気的に接続してなり、このハーネス14は、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部15を有し、該ケーブル積層部15が筐体のスライド面上にU字形に配線されたことを特徴としている。
ここで、U字形の配線とは、図6に示すFPC4のように所定高さ(例えば高さ3mm)の空間内で屈曲するのではなく、図1に示すハーネス14のように、横方向にRを取るようにした配線構造である。このような配線構造を採用したことによって、本実施形態の電子機器11は、各筐体12,13のスライド動作によって生じる屈曲が、所定高さの空間内での屈曲(図6参照)の場合と比べ、より大きな曲率半径で屈曲動作させることができる。
本実施形態の電子機器11は、ケーブル積層部15を筐体のスライド面上にU字形に配線してなるものなので、スライドタイプの電子機器11において、高さ3mm以下のスペースで極細同軸ケーブルアセンブリが可能である。
また本実施形態の電子機器11は、極細同軸ケーブルアセンブリが可能であることから、従来のFPCを筐体間配線材として用いた電子機器と比べ、伝送特性や耐ノイズ特性を向上させることができる。
また本実施形態の電子機器11は、極細同軸ケーブルアセンブリが可能であることから、従来のFPCを筐体間配線材として用いた電子機器と比べ、伝送特性や耐ノイズ特性を向上させることができる。
本発明で用いるハーネス14は、多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部15を有していればよく、その他の構成要素については特に制限されないが、通常は、各フラットケーブルの両端にそれぞれ接続用のコネクタが設けられた構造になっている。また、各筐体12,13には、ハーネス14のコネクタと接続可能な接続部を適所に有している構成とすることが好ましい。
図2は、前記ハーネス14を構成するテープ型ケーブルの構造の一例を示す断面図である。本例のテープ型ケーブル16は、4本の極細同軸ケーブル17を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化した構成になっている。ここで、テープ型とは、複数本の極細同軸ケーブル17を平行に並べ、ジャケット材18にてオーバーコートしたものである。従って、テープ型ケーブルでは、図2に示すように、極細同軸ケーブル17同士の隙間全てにジャケット材18が充填されており、極細同軸ケーブル17とジャケット材18との間に空間が存在する「フラット型」とは異なる。
本例で用いた極細同軸ケーブル17は、中心導体と、該中心導体を被覆する内側絶縁層と、該内側絶縁層に巻き付けられた外部導体と、該外部導体を覆う外皮とからなっている。なお、テープ型ケーブル16の構造は、本例に限定されず、2本以上の極細同軸ケーブル17又は極細同軸ケーブル以外の電線をジャケット材18で一括被覆したものであればよく、さらにケーブルや電線の組み合わせの異なる多種類のテープ型ケーブルを積層して用いることもできる。
このテープ型ケーブル16は、4本の極細同軸ケーブル17を平行に並べ、押し出し方式による一括ジャケットを施すことによって作製される。
図3及び図4は、テープ型ケーブル16を複数枚積み重ねてなるケーブル積層部15を所定の曲率半径で曲げた状態を示している。このケーブル積層部15の厚みa、幅b及び曲率半径Rは、使用する電子機器における収容スペースの寸法等に応じて適宜設定することができる。
本発明のハーネス14に用いるテープ型ケーブル16は、ジャケット材18として、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂を用いている。このジャケット材18のゲル分率が88%未満であると、テープ型ケーブル16の剛性が低くなり、屈曲による応力が極細同軸ケーブルの中心導体に加わり、数万回程度又はそれ以下の屈曲回数で破断してしまい、目標の10万回の耐屈曲回数を達成することができない。
本発明のハーネスは、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部15を有する構成としたことで、フラットケーブルの耐屈曲性が良好となり、スライドタイプの電子機器において求められている10万回以上の耐屈曲回数を満たすことができる。
以下、実施例により本発明の効果を実証する。
以下、実施例により本発明の効果を実証する。
<実施例1>
・極細同軸ケーブル;型番:AWG46、外径:0.24mm。
AWGとは、米国ワイヤーゲージ(American Wire Gauge)の略称であり、同軸ケーブルの業界にて広く用いられている規格である。以下に示す要領で作製した。
極細同軸ケーブルは、直径25μmの銅合金線を3本撚って中心導体とし、その外面をフッ素樹脂で被覆して絶縁層とし、その外周に25μmの銅合金線を横巻きで巻き付けて外部導体とし、その外側にフッ素樹脂を外皮とし、外径が約240μmとなるように作製した。
・極細同軸ケーブル;型番:AWG46、外径:0.24mm。
AWGとは、米国ワイヤーゲージ(American Wire Gauge)の略称であり、同軸ケーブルの業界にて広く用いられている規格である。以下に示す要領で作製した。
極細同軸ケーブルは、直径25μmの銅合金線を3本撚って中心導体とし、その外面をフッ素樹脂で被覆して絶縁層とし、その外周に25μmの銅合金線を横巻きで巻き付けて外部導体とし、その外側にフッ素樹脂を外皮とし、外径が約240μmとなるように作製した。
・ジャケット材;ウレタン・アクリレート系紫外線硬化型樹脂(以下、UV樹脂と記す)、JSR社製、商品名:デソライト、型番R3059。硬化後のゲル分率95%のものを使用した。
前述の極細同軸ケーブルを4心とジャケット材を用いてテープ化を行い、図2に示すテープ型ケーブル(テープ型4心極細同軸ケーブル)を作製した。作製後の寸法は、幅:1.2mm、厚さ:0.3mmである。
ここでいうテープ化とは、断面円形の極細同軸ケーブル数本を平行に並べて、ジャケット材にてオーバーコートしたものである。従って、全ての箇所にジャケット材が充填されており、筒状のジャケット材で極細同軸ケーブルを包み、ジャケット材と極細同軸ケーブルとの間に空間が存在する、いわゆる「フラット化」とは異なる。
前述の極細同軸ケーブルを4心とジャケット材を用いてテープ化を行い、図2に示すテープ型ケーブル(テープ型4心極細同軸ケーブル)を作製した。作製後の寸法は、幅:1.2mm、厚さ:0.3mmである。
ここでいうテープ化とは、断面円形の極細同軸ケーブル数本を平行に並べて、ジャケット材にてオーバーコートしたものである。従って、全ての箇所にジャケット材が充填されており、筒状のジャケット材で極細同軸ケーブルを包み、ジャケット材と極細同軸ケーブルとの間に空間が存在する、いわゆる「フラット化」とは異なる。
・ケーブルの曲がり部に前記フラット型ケーブルを縦に配置し、また10本のフラット型ケーブルを積層した40芯のハーネスにおいて、ケーブル積層部は3mm幅に束ねることができた。そして、一般的なスライドタイプ構造に使用される屈曲スペースとしては、高さ3mmであるところ、本実施例のハーネスでは、フラット化したときのケーブル幅(図3中のb)に相当するので、これが1.2mmになるため、十分なクリアランスがあり、屈曲特性を発揮できる。
・前述した通り、極細同軸ケーブルでは、屈曲半径がR=5mm程度が必要である。これはフラット化した場合でもほぼ同様である。そのため、本実施例のハーネスは、ケーブル積層部を図3及び図4に示すように筐体のスライド面上にU字形に配線した。
これにより、高さ3mm、屈折半径R=5mmでの配線を可能とした。
これにより、高さ3mm、屈折半径R=5mmでの配線を可能とした。
<屈曲試験>
図7は、作製したハーネスの耐屈曲回数を測定するための屈曲試験方法の一例を説明する図であり、図7(a)は屈曲試験装置の平面図、(b)は同じ装置の側面図である。図7中、符号20は第1の試験台、21は第2の試験台、22は試験ハーネス、23はケーブル積層部、24及び25はコネクタである。
図7は、作製したハーネスの耐屈曲回数を測定するための屈曲試験方法の一例を説明する図であり、図7(a)は屈曲試験装置の平面図、(b)は同じ装置の側面図である。図7中、符号20は第1の試験台、21は第2の試験台、22は試験ハーネス、23はケーブル積層部、24及び25はコネクタである。
この屈曲試験においては、まず端末を加工して、中心導体とシールドを全心シリーズに接続する。次に、図7に示すように、屈曲試験装置の決められた箇所に試験ハーネスを、ケーブル積層部の一部がU字形になるように配置する。次に、屈曲動作を行うために、スライドする試料台に試験ハーネスを固定する。シリーズに繋がっている導体の両端(図示せず)を、導通を見るための測定用端子(図示せず)に接続し、導通があることを確認する。試験条件は、ストローク量が40mm、1分間に30回の往復とした。
実施例1のハーネスについて、4心タイプを10ヶ積層し、40心として試験に使用した。
導通状態のまま、前記の試験条件を実施し、導通が取れなくなるまでの回数を測定し、耐屈曲回数を調べた。試料数はN=50個であり、平均値、最大値、最小値を求めた。但し、スライド回数が10万回以上でも破断せず導通が取れていた場合は、耐屈曲回数10万回以上、もしくは、>10万回、で示すものとする。
導通状態のまま、前記の試験条件を実施し、導通が取れなくなるまでの回数を測定し、耐屈曲回数を調べた。試料数はN=50個であり、平均値、最大値、最小値を求めた。但し、スライド回数が10万回以上でも破断せず導通が取れていた場合は、耐屈曲回数10万回以上、もしくは、>10万回、で示すものとする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ジャケット材のゲル分率が、ハーネスの繰り返し屈曲特性に関係していることを見出した。具体的には、ジャケット材のゲル分率を88〜98%の範囲とすることによって、目標の耐屈曲回数10万回以上が達成される。この点について以下の実施例2,3,4の結果に基づいて詳細に説明する。
<実施例2>
実施例1のジャケット材であるUV樹脂に対して、UV照射率を変化させて、異なるゲル化率にしたこと以外は、実施例1と同じとした。
実施例1のジャケット材であるUV樹脂に対して、UV照射率を変化させて、異なるゲル化率にしたこと以外は、実施例1と同じとした。
<実施例3>
ジャケット材として、ウレタン・アクリレート系UV樹脂、JSR社製、商品名:デソライト、型番R3061を用い、UV照射率を変化させて、異なるゲル化率にした。それ以外は実施例1と同じとした。
ジャケット材として、ウレタン・アクリレート系UV樹脂、JSR社製、商品名:デソライト、型番R3061を用い、UV照射率を変化させて、異なるゲル化率にした。それ以外は実施例1と同じとした。
<実施例4>
ジャケット材として、ウレタン・アクリレート系UV樹脂、JSR社製、商品名:デソライト、型番R3041を用い、UV照射率を変化させて、異なるゲル化率にした。それ以外は、実施例1と同じとした。
ジャケット材として、ウレタン・アクリレート系UV樹脂、JSR社製、商品名:デソライト、型番R3041を用い、UV照射率を変化させて、異なるゲル化率にした。それ以外は、実施例1と同じとした。
実施例2〜4で作製した各試験ハーネスについて、前記<屈曲試験>と同じ条件、試料数で屈曲試験を行い、破断回数を調べた。実施例1及び2において、ジャケット材のゲル分率と破断回数との関係を図8に示す。実施例3において、ジャケット材のゲル分率と破断回数との関係を図9に示す。実施例4において、ジャケット材のゲル分率と破断回数との関係を図10に示す。但し、屈曲回数が10万回以上のものは、全て10万回の箇所に表示した。
一般に、UV樹脂は照射される紫外線(UV光)の量によって、架橋密度や硬化度が異なることが知られている。その指標としてゲル分率がある。これは、未硬化成分を有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン(MEK、IUPAC名では2−ブタノン))で抽出し、残った重量と初期重量の比をパーセント表示したものであり、簡便で容易な手法として広く用いられている。例えば、ゲル分率が95%の場合は、硬化成分が95%で未硬化成分が5%であることを意味する。すなわち、95%は架橋反応によってポリマー化され、5%は架橋反応が不十分もしくは未反応でポリマー化されておらず、低分子量物質であることを意味する。
従って、UV樹脂がジャケット材として効果的に作用するには、一定以上の架橋密度やポリマーネットワーク形成が必要であることは自明であり、その結果、一定以上のゲル分率を有することが必要である。
従って、UV樹脂がジャケット材として効果的に作用するには、一定以上の架橋密度やポリマーネットワーク形成が必要であることは自明であり、その結果、一定以上のゲル分率を有することが必要である。
一般に、ジャケット材として用いられるUV樹脂のゲル分率の上限は、その材料種によって異なるものの98%程度であることが知られている。硬化反応の大部分は、材料設計の通りの主反応によるものであるが、実際に硬化反応には副反応が発生したり、ポリマー化されない中間主成分も発生する。さらに、硬化反応の終了時期には、硬化反応する相手がいなくなってしまった中間成分もある。従って、ある程度の未硬化成分、低分子量成分が残存することが知られており、ゲル分率が100%のものを作製することは困難である。
必要以上にUV光を照射した場合、「オーバーキュア」と言われる現象が発生することが知られている。これは通常の範囲では、UV光の照射によってUV樹脂に硬化が進むものの、必要以上に照射した場合は分子が切断され、形成されていたポリマーネットワークが崩れてしまう現象である。最終的には、UV樹脂は炭化してしまうことになる。要するに、オーバーキュアの状態となったUV樹脂は、材料特性としての品質を維持できないのは自明である。よって、こういったものが工業製品として商用提供されることもない。
以上より、ジャケット材として用いられるUV樹脂のゲル分率の上限を規定しても、あまり意味がないことになる。
以上より、ジャケット材として用いられるUV樹脂のゲル分率の上限を規定しても、あまり意味がないことになる。
図8〜図10の結果より、スライドタイプの屈曲試験では、破断回数(=耐屈曲回数)がジャケット材のゲル分率に依存していることがわかる。ゲル分率の小さいものをジャケット材として用いた場合は、テープ型ケーブルの剛性が低いため、屈曲試験での応力が中心導体に加わり、数万回程度で破断した。
すなわち、スライドタイプの屈曲試験における繰り返し屈曲の耐性には、少なくとも88%以上のゲル分率の材料をジャケット材として使用する必要がある。
すなわち、スライドタイプの屈曲試験における繰り返し屈曲の耐性には、少なくとも88%以上のゲル分率の材料をジャケット材として使用する必要がある。
実施例1,2で用いた樹脂(R3059)、実施例3で用いた樹脂(R3061)、実施例4で用いた樹脂(R3041)は、すべてウレタン・アクリレート系のUV樹脂であるが、オリゴマー種、モノマー種、光開始材種、及びその配合率が異なるものである。その結果、硬化速度や架橋密度の違いによって、硬化後の弾性・剛性といった力学特性が異なる。一般に、UV樹脂の硬化後の力学特性を表す指標として、ヤング率が用いられている。UV光を十分照射して硬化させた場合のヤング率は、R3059で860MPa、R3061で700MPa、R3041で450MPaである。これだけヤング率が異なる材料であっても、ゲル分率が88%以上でないと、スライドタイプの屈曲試験の屈曲回数を満足しないことが判明した。特に、88%を境にして、屈曲回数が10万回以上とそれ以下に明確に分けられることが判明した。
なお、本実施例では4心のフラット型ケーブルを用いているが、2心以上あればフラット化することは可能であるので、特に極細同軸ケーブルの心数を制限するものではない。
11…電子機器、12…第1の筐体、13…第2の筐体、14…ハーネス(電子機器配線用ハーネス)、15…ケーブル積層部、16…フラットケーブル、17…極細同軸ケーブル、18…ジャケット材。
Claims (4)
- 回路を有する複数の筐体がスライド可能に接合され、これらの筐体内の回路同士を電子機器配線用ハーネスによって電気的に接続してなる電子機器であって、
前記電子機器配線用ハーネスは、多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有し、該ケーブル積層部が筐体のスライド面上にU字形に配線されたことを特徴とする電子機器。 - 前記電線は、少なくとも1本が極細同軸ケーブルであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 多数本の電線を平行に並べ、88%以上のゲル分率を有する紫外線硬化型樹脂からなるジャケット材によって一括テープ化してなるテープ型ケーブルが複数枚積層されたケーブル積層部を有し、請求項1に記載の電子機器に配線材として用いられることを特徴とする電子機器配線用ハーネス。
- 前記電線は、少なくとも1本が極細同軸ケーブルであることを特徴とする請求項3に記載の電子機器配線用ハーネス。
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JP2007098139A JP2008257970A (ja) | 2007-04-04 | 2007-04-04 | 電子機器及び電子機器配線用ハーネス |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010154291A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Nec Corp | スライド型電子機器 |
WO2010092803A1 (ja) * | 2009-02-12 | 2010-08-19 | 株式会社フジクラ | 電子機器配線用ハーネスおよび電子機器 |
JP2011014510A (ja) * | 2009-07-06 | 2011-01-20 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | 絶縁電線およびその端末処理方法 |
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2007
- 2007-04-04 JP JP2007098139A patent/JP2008257970A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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