JP2008248817A - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スラスト受部とスラストプレートとの間の隙間によるスラストプレートのがたつきを防止する。
【解決手段】 スラストプレート17に円形孔18と長孔19とを設け、スラスト受部5の環状溝6に、円形孔18が嵌合する一の突起20と長孔19が長手方向に移動可能に嵌合する他の突起21とを設ける。これにより、円形孔18と長孔19の内周面に突起20,21を常に当接させることができ、スラストプレート17を、環状溝6の外周面6A,内周面6Bとの間に径方向の隙間S1,S2を保持した状態で、径方向および回転方向に位置決めすることができる。この結果、スラストプレート17のがたつきを広い温度範囲にわたって防止し、スラストプレート17が環状溝6の外周面6A,内周面6Bに衝突して騒音を発生するのを確実に抑えることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、例えば空気、冷媒等の圧縮機や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、旋回スクロールを固定スクロールに対して旋回運動させることにより、空気、冷媒等の圧縮やポンプ動作を行うものであり、例えば空気圧縮機として用いられている。
この種の従来技術によるスクロール式空気圧縮機は、例えば筒状に形成されたケーシングを有し、このケーシングの内周側にはスラスト受部が設けられている。また、ケーシングには、スラスト受部と対向する位置に固定スクロールが設けられ、この固定スクロールは、鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設されている。
そして、ケーシング内には、モータ等の駆動源によって回転駆動される駆動軸が設けられ、該駆動軸の先端側には、ケーシングのスラスト受部と固定スクロールとの間に位置して旋回スクロールが設けられている。この場合、旋回スクロールは、鏡板の表面側に渦巻状のラップ部が立設され、このラップ部は、固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成している。
また、旋回スクロールの鏡板とケーシングのスラスト受部との間には、環状のスラストプレートが設けられている。この場合、ケーシングのスラスト受部は、例えば熱膨張率が比較的大きなアルミニウム等の金属材料によって形成されている。一方、スラストプレートは、例えば鉄等の金属板をプレス加工することによって形成され、スラスト受部よりも小さな熱膨張率を有している。
そして、圧縮機の運転時に、モータ等によって駆動軸が回転駆動されると、旋回スクロールが固定スクロールに対して旋回運動し、これによって圧縮室で空気が圧縮される。このとき、圧縮室側から旋回スクロールにスラスト方向の荷重が加わると、この荷重は、スラストプレートを介してケーシングのスラスト受部に受承される。
ところで、スラストプレートはプレス加工等によって形成されているため、その外径や内径には加工誤差等による寸法のばらつきが生じ易い。また、圧縮機の運転時には、圧縮室で発生する熱がスラストプレートに伝わることにより、スラストプレートが熱膨張し易い。このため、スラスト受部の凹溝は、スラストプレートの外形状よりも大きめに形成され、凹溝の周面とスラストプレートとの間には、例えばスラストプレートの加工誤差や熱膨張等による寸法のばらつきを許す径方向の隙間が設けられている。
従って、例えば圧縮機を始動してから暖気状態となるまでの間に、スラストプレートが熱膨張していないときには、プレートと凹溝との間に径方向の大きな隙間が形成されることになる。この結果、熱膨張していないスラストプレートが旋回スクロールに引摺られて凹溝内で旋回するように変位し、このスラストプレートが凹溝の周面と衝突を繰返して騒音が発生することにより、圧縮機の周囲の作業環境を悪化させてしまうという問題がある。
このような問題に対し、スラスト受部の凹溝とスラストプレートとの間に弾性体を設け、スラスト受部の凹溝とスラストプレートとの間に形成された隙間によってスラストプレートが径方向に位置ずれ(がたつき)を生じるのを、弾性体によって規制するようにしたスクロール式の圧縮機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−329174号公報
この従来技術による圧縮機によれば、スラスト受部の凹溝に対してスラストプレートが径方向にがたつくのを、両者間に設けられた弾性体の弾性力によって抑えることができる。また、スラストプレートの熱膨張、熱収縮、加工誤差等を、弾性体の弾性変形によって吸収することができる。
しかし、上述した従来技術では、スラスト受部の凹溝とスラストプレートとの間に、ゴム等の樹脂材料、フェルト等を用いて形成された弾性体を設け、この弾性体が潰れたり、復元することによってスラストプレートの径方向のがたつきを抑えている。
このため、弾性体は、スラストプレートの変位に応じて変形を繰返すことにより早期に破損してしまい、長期に亘ってスラストプレートのがたつきを規制するためには弾性体の耐久性が低く、十分な信頼性を得ることができないという問題がある。
また、スラスト受部の凹溝とスラストプレートとの間に、これらとは別部材からなる複数の弾性体を取付ける必要があるため、部品点数の増加、組立工数の増加によって圧縮機全体の製造コストが嵩んでしまうという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、スラスト受部とスラストプレートとの間の隙間によるスラストプレートのがたつきを防止し、騒音を抑えて良好な作業環境を実現できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明は、渦巻状のラップ部を有する固定スクロール部とスラスト方向の荷重を受承するスラスト受部とが設けられた固定部材と、該固定部材に設けられた前記固定スクロール部のラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部を有する旋回スクロールと、該旋回スクロールと前記固定部材のスラスト受部との間に設けられた環状のスラストプレートとを備えてなるスクロール式流体機械に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記スラストプレートには、少なくとも1個の孔と径方向に延びる少なくとも1個の長孔とを設け、前記固定部材のスラスト受部には、前記スラストプレートに向けて突出し前記孔が嵌合する一の突起と、前記長孔がその長手方向に移動可能に嵌合する他の突起とを設けたことにある。
請求項2の発明は、渦巻状のラップ部を有する固定スクロール部とスラスト方向の荷重を受承するスラスト受部とが設けられた固定部材と、該固定部材に設けられた前記固定スクロール部のラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部を有する旋回スクロールと、該旋回スクロールと前記固定部材のスラスト受部との間に設けられた環状のスラストプレートとを備えてなるスクロール式流体機械において、前記固定部材のスラスト受部には、少なくとも1個の凹窪部と径方向に延びる少なくとも1個の長溝状凹窪部とを設け、前記スラストプレートには、前記スラスト受部に向けて突出し前記凹窪部に嵌合する一の突起と、前記長溝状凹窪部にその長手方向に移動可能に嵌合する他の突起とを設ける構成としたことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、スラストプレートには、少なくとも1個の孔と少なくとも1個の長孔とを設け、固定部材のスラスト受部には、孔が嵌合する一の突起と、長孔がその長手方向に移動可能に嵌合する他の突起とを設けたので、スラストプレートの孔と長孔の内周面に、スラスト受部の各突起を常に当接させることができる。これにより、スラスト受部とスラストプレートとの間に隙間を形成した状態で、スラストプレートを径方向および回転方向に位置決めすることができる。この結果、スラストプレートのがたつきを広い温度範囲にわたって防止し、スラストプレートがスラスト受部と衝突して騒音を発生するのを抑えることができ、低騒音で良好な運転環境を実現することができる。
また、スラストプレートに孔と長孔とを設ける構成としたので、スラストプレートは、孔と一の突起との間に形成された隙間の範囲で、長孔の内周面を他の突起に摺接させつつ該長孔の長手方向に沿って円滑に往復運動することができる。この結果、各突起に対するスラストプレートのがたつきを最小限に抑えることができるので、各突起とスラストプレートとの衝突音を防止することができる。また、孔や長孔の内周面が各突起と衝突して早期に破損するのを抑えることができるので、スラストプレートの寿命を延ばすことができる。
さらに、スクロール式流体機械の運転に伴う温度上昇によってスラストプレートとスラスト受部との間に熱膨張差が生じたとしても、孔と一の突起との間の隙間、長孔と他の突起との間の隙間により、この熱膨張差を吸収することができる。この結果、スラストプレートが、スラスト受部との熱膨張差によって湾曲するのを抑えることができ、旋回スクロールの旋回動作を安定させることができる。
請求項2の発明によれば、スラスト受部の凹窪部と長溝状凹窪部の内周面に、スラストプレートの各突起を常に当接させることにより、スラスト受部とスラストプレートとの間に隙間を形成した状態で、スラストプレートを径方向および回転方向に位置決めすることができる。この結果、スラストプレートのがたつきを広い温度範囲にわたって防止し、スラストプレートがスラスト受部と衝突して騒音を発生するのを抑えることができ、低騒音で良好な運転環境を実現することができる。
また、スラストプレートは、凹窪部と一の突起との間に形成された隙間の範囲で、長溝状凹窪部の内周面に他の突起を摺接させつつ該長溝状凹窪部の長手方向に沿って円滑に往復運動することができる。この結果、凹窪部、長溝状凹窪部に対する各突起のがたつきを最小限に抑えることができ、これらの衝突音を防止することができる。
さらに、スラストプレートとスラスト受部との間に熱膨張差が生じたとしても、凹窪部と一の突起との間の隙間、長溝状凹窪部と他の突起との間の隙間により、この熱膨張差を吸収することができるので、スラストプレートが、スラスト受部との熱膨張差によって湾曲するのを抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械について、添付図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1ないし図5は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、軸受部分に給油を行う半給油式のスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明する。
1はスクロール式空気圧縮機の外殻をなすケーシングで、該ケーシング1は、後述の固定スクロール7と共に固定部材を構成するものである。ここで、ケーシング1は、例えばアルミニウム、またはその合金等の金属材料からなり、段付きの略筒状に形成されている。
そして、ケーシング1は、小径筒状に形成された軸受部2と、該軸受部2の軸方向一側に拡径して設けられた大径筒部3と、該大径筒部3の一端側から径方向外向きに突出したフランジ部4と、大径筒部3の内周側に一体形成された後述のスラスト受部5とによって大略構成されている。
5はケーシング1の大径筒部3に径方向内向きに突出して設けられた円環状のスラスト受部で、該スラスト受部5は、図2ないし図5に示すように、後述の旋回スクロール10と対向する部位に形成された環状溝6を有し、該環状溝6内には後述のスラストプレート17が遊嵌されている。
ここで、環状溝6は、軸方向に窪んだ円環状の溝として形成され、外周面6A、内周面6Bおよび底面6Cを有している。そして、環状溝6の底面6Cには、後述する一の突起20と他の突起21とが、スラストプレート17に向けて突出して設けられている。
この場合、環状溝6の外周面6Aは、スラストプレート17やスラスト受部5の加工誤差、熱膨張等を考慮して、スラストプレート17の外径よりも大径に形成され、この外周面6Aとスラストプレート17の外周面17Cとの間には、径方向の外側隙間S1が形成されている。
また、環状溝6の内周面6Bは、同じく加工誤差、熱膨張等を考慮することにより、スラストプレート17の内径よりも小径に形成され、この内周面6Bとスラストプレート17の内周面17Dとの間には、径方向の内側隙間S2が形成されている。
そして、これらの径方向の隙間S1,S2は、スラストプレート17やケーシング1の寸法ばらつき、熱変形等を許容するものである。この場合、熱膨張を考慮した径方向の隙間S1,S2の寸法値とは、例えば圧縮機の始動時や暖機運転後において、スラスト受部5やスラストプレート17が実用上の最大寸法まで熱膨張した場合でも、スラストプレート17と環状溝6の外周面6A,内周面6Bとの間に最低限の隙間を確保できるような大きさである。
7はケーシング1に取付けられた固定スクロールで、該固定スクロール7は、図1に示すように、略円板状に形成された鏡板7Aと、該鏡板7Aの表面に軸方向に立設された渦巻状のラップ部7Bと、該ラップ部7Bを取囲む位置で鏡板7Aの外周側からケーシング1に向けて軸方向に延びた筒部7Cと、該筒部7Cの外周側から径方向外向きに突出したフランジ部7Dとによって構成されている。
そして、固定スクロール7のフランジ部7Dを、ケーシング1のフランジ部4にボルト締めすることにより、固定スクロール7がケーシング1に一体に固定され、固定スクロール7の鏡板7Aとケーシング1のスラスト受部5との間には、後述の旋回スクロール10、スラストプレート17が設けられる構成となっている。
8は例えば2個の主軸受9を介してケーシング1の軸受部2に回転可能に支持された駆動軸で、該駆動軸8は、基端側がケーシング1の外部でモ−タ(図示せず)等の駆動源に連結されている。また、駆動軸8の先端側は、固定スクロール7に向けて延びたクランク軸8Aとなり、該クランク軸8Aの軸線は、駆動軸8の軸線に対して所定の寸法δだけ径方向に偏心している。
10は駆動軸8のクランク軸8Aに旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール10は、ケーシング1内に配置され、固定スクロール7と軸方向で対向している。そして、旋回スクロール10は、円板状に形成された鏡板10Aと、該鏡板10Aの表面から軸方向に立設された渦巻状のラップ部10Bと、鏡板10Aの裏面中央に突設され、旋回軸受11を介してクランク軸8Aに回転可能に連結されたボス部10Cとによって構成されている。
ここで、鏡板10Aの径方向外側部位は、ケーシング1のスラスト受部5と固定スクロール7のフランジ部7Dとの間に配設され、スラストプレート17に摺接している。また、鏡板10Aの裏面のうち後述する一の突起20、他の突起21に対応する2箇所には、固定スクロール7側に窪む凹窪部10D,10Dが設けられている。そして、これらの凹窪部10Dは、旋回スクロール10が旋回運動するときに、鏡板10Aの裏面が各突起20,21と干渉するのを防止するものである。
また、ラップ部10Bは、固定スクロール7のラップ部7Bに対して、例えば180°だけずらして重なり合うように配設され、固定スクロール7のラップ部7Bと旋回スクロール10のラップ部10Bとの間には、複数の圧縮室12が画成されている。
そして、旋回スクロール10は、モータ等によって駆動軸8が回転駆動されることにより、クランク軸8Aの偏心量δに応じた一定の旋回半径をもって固定スクロール7に対し旋回運動する。これにより、スクロール式空気圧縮機は、固定スクロール7の外周側に設けられた吸込口13から最外周側の圧縮室12に空気を吸込み、中央側の圧縮室12から吐出口14を介して外部に圧縮空気を吐出する構成となっている。
15はケーシング1のスラスト受部5と旋回スクロール10の鏡板10Aとの間に設けられたオルダムリングで、該オルダムリング15は、旋回スクロール10が旋回運動するときに、その自転を防止するものである。
16は駆動軸8に設けられたバランスウェイトで、該バランスウェイト16は、駆動軸8と一緒に回転することにより、旋回スクロール10との間で回転バランスをとるものである。この場合、バランスウェイト16の先端側には油掻き16Aが設けられ、この油掻き16Aは、ケーシング1内に貯溜された潤滑油を掻き上げることにより、スラスト受部5、主軸受9、旋回軸受11、スラストプレート17の両面側等に潤滑油を供給するものである。
17はケーシング1のスラスト受部5と旋回スクロール10の鏡板10Aとの間に設けられたスラストプレートで、該スラストプレート17は、図4、図5等に示すように、例えば鉄等の金属板をプレス加工することにより、円環状の平板として形成され、表面17A、裏面17B、外周面17Cおよび内周面17Dを有している。
そして、スラストプレート17は、スラスト受部5の環状溝6内に遊嵌され、スラストプレート17の裏面17Bは、環状溝6の底面6Cに当接している。この状態で、スラストプレート17の外周面17Cは、径方向の外側隙間S1をもって環状溝6の外周面6Aと対向し、スラストプレート17の内周面17Dは、径方向の内側隙間S2をもって環状溝6の内周面6Bと対向している(図4参照)。
また、スラストプレート17の表面17Aは、スラスト受部5の環状溝6から旋回スクロール10側に突出し、旋回スクロール10の鏡板10Aの裏面に摺接している。これにより、スラストプレート17は、旋回スクロール10が旋回運動するときに、鏡板10Aに加わるスラスト方向の荷重をスラスト受部5と協働して受承する。そして、スラストプレート17には、後述の円形孔18と長孔19とが設けられている。
18はスラストプレート17に設けられた1個の孔としての円形孔で、該円形孔18は、後述する一の突起20が嵌合するものである。ここで、円形孔18は、スラストプレート17を軸方向に貫通する円形の貫通孔からなり、プレス加工によってスラストプレート17に一体形成されている。
19は円形孔18とは異なる位置でスラストプレート17に設けられ、該スラストプレート17の径方向に延びた1個の長孔で、該長孔19は、後述する他の突起21が嵌合するものである。ここで、長孔19は、スラストプレート17を軸方向に貫通する長溝状の貫通孔からなり、プレス加工によってスラストプレート17に一体形成されている。この場合、円形孔18と長孔19とは、例えば180°の間隔をもって周方向に離間した状態でスラストプレート17に形成され、長孔19の長手方向は、スラストプレート17の中心と円形孔18の中心とを通る直線に沿って延びている。
20はスラストプレート17の円形孔18に対応してケーシング1のスラスト受部5に設けられた一の突起で、該突起20は、円形孔18が嵌合するものである。ここで、突起20は、図2、図5等に示すように、円柱状をなしてスラスト受部5に一体形成されている。
そして、突起20は、環状溝6の底面6Cからスラストプレート17に向けて突出し、スラストプレート17の円形孔18に隙間をもって嵌合している。この場合、環状溝6の底面6Cからの突起20の突出長さは、スラストプレート17の板厚よりも大きく設定され、突起20の先端部は、旋回スクロール10(鏡板10A)の裏面側に設けられた凹窪部10D内に突出している。
ここで、図2に示すように、スラストプレート17に設けた円形孔18の直径(孔径)をφDとし、突起20の直径をφdとすると、円形孔18と突起20との間に形成される環状の隙間S3は、下記数1のように表される。
Figure 2008248817
そして、円形孔18と突起20との間の環状隙間S3は、環状溝6の外周面6Aとスラストプレート17の外周面17Cとの間の外側隙間S1よりも小さく(S1>S3)、かつ、環状溝6の内周面6Bとスラストプレート17の内周面17Dとの間の内側隙間S2よりも小さく(S2>S3)設定されている。
21はスラストプレート17の長孔19に対応してケーシング1のスラスト受部5に設けられた他の突起で、該突起21は、長孔19がその長手方向に移動可能に嵌合するものである。ここで、突起21は、図3ないし図5に示すように、例えば突起20と等しい直径φdを有する円柱状をなし、突起20と略180°の角度間隔をもってスラスト受部5に一体形成されている。
そして、突起21は、環状溝6の底面6Cからスラストプレート17に向けて突出し、スラストプレート17の長孔19に嵌合している。この場合、環状溝6の底面6Cからの突起21の突出長さは、スラストプレート17の板厚よりも大きく設定され、突起21の先端部は、旋回スクロール10(鏡板10A)の裏面側に設けられた凹窪部10D内に突出している。
ここで、図3及び図4に示すように、スラストプレート17に設けた長孔19の長手方向の寸法(長さ寸法)をAとし、幅寸法をBとし、突起21の直径をφdとすると、長孔19の長手方向と突起21との間に形成される長さ方向の隙間S4は、下記数2のように表される。
Figure 2008248817
そして、長孔19の長手方向と突起21との間に形成される長さ方向隙間S4は、例えば上述した円形孔18と突起20との間の環状隙間S3よりも大きく(S4>S3)設定されている。一方、長孔19の幅寸法Bは、突起21の直径φdよりも僅かに大きく設定されている。従って、突起21は、長孔19にその長手方向に沿って相対移動可能に嵌合している。
これにより、スラストプレート17は、円形孔18と突起20との間に形成された環状隙間S3の範囲で、突起21に嵌合した長孔19の長手方向に沿って往復運動を行うことができる。この場合、長孔19の幅寸法Bは、突起21の直径φdよりも僅かに大きく設定されているので、スラストプレート17は、長孔19の内周面を突起21の外周面に摺接させつつ、該長孔19の長手方向に沿って往復運動することができ、突起20,21に対するスラストプレート17のがたつきを最小限に抑えることができる構成となっている。
このように、各突起20,21は、スラストプレート17の円形孔18,長孔19にそれぞれ嵌合することにより、スラストプレート17を径方向および周方向(回転方向)に対して位置決めしている。これにより、例えば空気圧縮機の始動時等において、スラストプレート17と環状溝6の外周面6A,内周面6Bとの間に大きな径方向の隙間S1,S2が形成されている場合でも、環状溝6内におけるスラストプレート17の径方向の動きを規制し、そのがたつきを抑えることにより、スラストプレート17が環状溝6の外周面6A,内周面6Bに接触して騒音が生じるのを防止できる構成となっている。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、空気圧縮機の運転時には、モータ等によって駆動軸8を回転駆動することにより、旋回スクロール10が偏心量δの旋回半径をもって旋回運動し、外部の空気が吸込口13から最外周側の圧縮室12に吸込まれる。そして、この空気は、中央側の圧縮室12に向けて順次圧縮され、圧縮空気となって吐出口14から外部の空気タンク(図示せず)等に吐出される。
また、空気圧縮機の運転時には、圧縮室12内の圧力が、旋回スクロール10を固定スクロール7から離間させる方向(スラスト方向)の荷重となって鏡板10Aに作用する。このスラスト方向の荷重は、スラストプレート17とケーシング1のスラスト受部5とによって受承されるため、旋回スクロール10は、固定スクロール7と摺接した状態で圧縮動作を安定的に行うことができる。
このとき、スラストプレート17には、旋回スクロール10との間の摩擦抵抗によって径方向および回転方向の外力が付加される。しかし、スラストプレート17には円形孔18と長孔19とが設けられ、円形孔18にはスラスト受部5に設けられた一の突起20が嵌合し、長孔19にはスラスト受部5に設けられた他の突起21が嵌合している。
このため、スラストプレート17に設けた円形孔18と長孔19の内周面に、スラスト受部5に設けた突起20,21の外周面が常に当接するので、スラストプレート17を、環状溝6の外周面6A,内周面6Bとの間に径方向の隙間S1,S2を保持した状態で、径方向および回転方向に位置決めすることができる。この結果、スラストプレート17が、環状溝6内でがたつきを生じて外周面6A,内周面6Bに衝突するのを抑えることができ、空気圧縮機の作動時における衝撃音を低減することができる。
この場合、円形孔18と突起20との間の環状隙間S3は、環状溝6の外周面6Aとスラストプレート17との間の外側隙間S1よりも小さく設定され、かつ、環状溝6の内周面6Bとスラストプレート17との間の内側隙間S2よりも小さく設定されている。一方、長孔19の長手方向と突起21との間に形成される長さ方向隙間S4は、円形孔18と突起20との間の環状隙間S3よりも大きく設定され、長孔19の幅寸法Bは、突起21の直径φdよりも僅かに大きく設定されている。
これにより、スラストプレート17は、円形孔18と突起20との間の環状隙間S3の範囲で、長孔19の内周面を突起21の外周面に摺接させつつ、該長孔19の長手方向に沿って円滑に往復運動することができる。この結果、突起20,21に対するスラストプレート17のがたつきを最小限に抑えることができ、各突起20,21とスラストプレート17との衝突音を防止することができる。さらに、円形孔18、長孔19の内周面が各突起20,21と衝突して早期に破損するのを抑えることができ、スラストプレート17の寿命を延ばすことができる。
また、空気圧縮機の運転に伴う温度上昇によってスラストプレート17とスラスト受部5とが熱膨張し、熱膨張率が大きなアルミニウム等によって形成されたスラスト受部5と、熱膨張率が小さな鉄等によって形成されたスラストプレート17との間に熱膨張差が生じたとしても、円形孔18と突起20との間の環状隙間S3、長孔19の長手方向と突起21との間に形成される長さ方向隙間S4により、この熱膨張差を吸収することができる。この結果、スラストプレート17が、スラスト受部5との熱膨張差によって湾曲(そり)するのを抑えることができ、旋回スクロール10の旋回動作を安定させることができる。
かくして、本実施の形態によれば、スラストプレート17に円形孔18と長孔19とを設け、スラスト受部5の環状溝6に、円形孔18が嵌合する一の突起20と長孔19が長手方向に移動可能に嵌合する他の突起21とを設けることにより、スラストプレート17の円形孔18と長孔19の内周面に、突起20,21を常に当接させることができる。
このため、スラストプレート17に対し、旋回スクロール10との間の摩擦抵抗によって径方向および回転方向の外力が付加されたとしても、スラストプレート17を、環状溝6の外周面6A,内周面6Bとの間に径方向の隙間S1,S2を保持した状態で、径方向および回転方向に位置決めすることができる。この結果、スラストプレート17のがたつきを広い温度範囲にわたって防止し、スラストプレート17が環状溝6の外周面6A,内周面6Bに衝突するのを確実に抑えることができる。従って、空気圧縮機の作動時における衝撃音を低減することができ、低騒音で良好な運転環境を実現することができる。
また、スラストプレート17に円形孔18と長孔19とを設ける構成としたので、スラストプレート17は、円形孔18と突起20との間の環状隙間S3の範囲で、長孔19の内周面を突起21の外周面に摺接させつつ、該長孔19の長手方向に沿って円滑に往復運動することができる。この結果、突起20,21に対するスラストプレート17のがたつきを最小限に抑えることができ、各突起20,21とスラストプレート17との衝突音を防止することができる。
さらに、空気圧縮機の運転に伴う温度上昇によってスラストプレート17とスラスト受部5との間に熱膨張差が生じたとしても、円形孔18と突起20との間の環状隙間S3、長孔19の長手方向と突起21との間に形成される長さ方向隙間S4により、この熱膨張差を吸収することができる。この結果、スラストプレート17が、スラスト受部5との熱膨張差によって湾曲(そり)するのを抑えることができ、旋回スクロール10の旋回動作を安定させることができる。
また、本実施の形態によれば、スラスト受部5に一体形成されたアルミニウム等の金属材料からなる突起20,21を用いたので、例えば従来技術で述べたように、スラスト受部の凹溝とスラストプレートとの間に可撓性材料からなる弾性体を設ける場合に比較して、突起20,21の信頼性を高めることができ、スラストプレート17のがたつきを長期に亘って確実に抑えることができる。
また、スラストプレート17の円形孔18、長孔19に嵌合する突起20,21を、スラスト受部5に一体形成したので、例えばスラスト受部5とは別部材からなる突起を形成し、当該突起をスラスト受部5に組付ける場合に比較して、部品点数の低減、組立工数の低減を図ることができるので、空気圧縮機全体のコストを低減することができる。
次に、図6ないし図10は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、固定部材のスラスト受部に凹窪部と長溝状凹窪部とを設け、スラストプレートには、凹窪部に嵌合する一の突起と長溝状凹窪部に嵌合する他の突起とを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、31は固定部材としてのケーシングで、該ケーシング31は、第1の実施の形態によるケーシング1と同様に、小径筒状に形成された軸受部32と、該軸受部32の軸方向一側に拡径して設けられた大径筒部33と、該大径筒部33の一端側から径方向外向きに突出したフランジ部34と、後述のスラスト受部35とによって大略構成されている。そして、ケーシング31のフランジ部34には、固定スクロール7が取付けられている。
35はケーシング1の大径筒部33に径方向内向きに突出して設けられた円環状のスラスト受部で、該スラスト受部35は、後述の旋回スクロール37と対向する部位に環状溝36が形成され、該環状溝36内には後述のスラストプレート38が遊嵌されている。
ここで、環状溝36は、軸方向に窪んだ円環状の溝として形成され、外周面36A、内周面36Bおよび底面36Cを有している。そして、図9に示すように、環状溝36の外周面36Aは、スラストプレート38の外径よりも大径に形成され、この外周面36Aとスラストプレート38の外周面38Cとの間には、径方向の外側隙間S1′が形成されている。また、環状溝36の内周面36Bは、スラストプレート38の内径よりも小径に形成され、この内周面36Bとスラストプレート38の内周面38Dとの間には、径方向の内側隙間S2′が形成されている。また、環状溝36の底面36Cには、後述する円形状凹窪部39と、長溝状凹窪部40とが凹設されている。
37は駆動軸8のクランク軸8Aに旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール37は、第1の実施の形態による旋回スクロール37と同様に、鏡板37Aと、ラップ部37Bと、ボス部37Cとにより構成されているものの、旋回スクロール10に設けられた凹窪部10Dに対応する部位がなく、鏡板37Aの裏面は一様な平坦面となっている。
38はケーシング31のスラスト受部35と旋回スクロール37の鏡板37Aとの間に設けられたスラストプレートで、該スラストプレート38は、例えば鉄等の金属板をプレス加工することにより、表面38A、裏面38B、外周面38Cおよび内周面38Dを有した円環状の平板として形成されている。
そして、スラストプレート38は、スラスト受部35の環状溝36内に遊嵌され、スラストプレート38の裏面38Bは、環状溝36の底面36Cに当接している。この状態で、スラストプレート38の外周面38Cは、外側隙間S1′をもって環状溝36の外周面36Aと対向し、スラストプレート38の内周面38Dは、内側隙間S2′をもって環状溝36の内周面36Bと対向している(図9参照)。また、スラストプレート38の裏面38Bには、後述する一の突起41と、他の突起42とが突設されている。
39はケーシング31のスラスト受部35に設けられた1個の凹窪部としての円形状凹窪部で、該円形状凹窪部39は、環状溝36の底面36Cに凹設された円形状をなす有底穴により構成されている。そして、この円形状凹窪部39には、後述する一の突起41が嵌合するものである。
40は円形状凹窪部39とは異なる位置でスラスト受部35に設けられ、該スラスト受部35の径方向に延びた1個の長溝状凹窪部で、該長溝状凹窪部40は、環状溝36の底面36Cに凹設された長溝状をなす有底穴により構成され、後述する他の突起42が嵌合するものである。ここで、円形状凹窪部39と長溝状凹窪部40とは、例えば180°の間隔をもって周方向に離間した状態で環状溝36の底面36Cに凹設され、長溝状凹窪部40の長手方向は、環状溝36の中心と円形状凹窪部39の中心とを通る直線に沿って延びている。
41はスラスト受部35の円形状凹窪部39に対応してスラストプレート38に設けられた一の突起で、該突起41は、スラストプレート38の裏面38Bからスラスト受部35の環状溝36に向けて突出し、円形状凹窪部39に隙間をもって嵌合している。
ここで、図7に示すように、円形状凹窪部39の直径(穴径)をφD′とし、突起41の直径をφd′とすると、円形状凹窪部39と突起41との間に形成される環状の隙間S3′は、下記数3のように表される。
Figure 2008248817
そして、円形状凹窪部39と突起41との間の環状隙間S3′は、環状溝36とスラストプレート38との間の外側隙間S1′よりも小さく(S1′>S3′)、かつ、環状溝36とスラストプレート38との間の内側隙間S2′よりも小さく(S2′>S3′)設定されている。
42はスラスト受部35の長溝状凹窪部40に対応してスラストプレート38に設けられた他の突起で、該突起42は、例えば突起41と等しい直径φd′を有する円柱状をなし、突起41と略180°の間隔をもって離間している。そして、突起42は、スラストプレート38の裏面38Bからスラスト受部35の環状溝36に向けて突出し、長溝状凹窪部40にその長手方向に移動可能に嵌合している。
ここで、図8及び図9に示すように、長溝状凹窪部40の長手方向の寸法(長さ寸法)をA′とし、幅寸法をB′とし、突起42の直径をφd′とすると、長溝状凹窪部40の長手方向と突起42との間に形成される長さ方向の隙間S4′は、下記数4のように表される。
Figure 2008248817
そして、長溝状凹窪部40の長手方向と突起42との間に形成される長さ方向隙間S4′は、例えば円形状凹窪部39と突起41との間の環状隙間S3′よりも大きく(S4′>S3′)設定されている。一方、長溝状凹窪部40の幅寸法B′は、突起42の直径φd′よりも僅かに大きく設定されている。従って、突起42は、長溝状凹窪部40にその長手方向に沿って移動可能に嵌合している。
これにより、スラストプレート38は、突起41と円形状凹窪部39との間に形成された環状隙間S3′の範囲で、突起42が嵌合した長溝状凹窪部40の長手方向に沿って往復運動を行うことができる。この場合、長溝状凹窪部40の幅寸法B′は、突起42の直径φd′よりも僅かに大きく設定されているので、スラストプレート38は、突起42を長溝状凹窪部40の内周面に摺接させつつ、該長溝状凹窪部40の長手方向に沿って往復運動することができ、突起41,42に対するスラストプレート38のがたつきを最小限に抑えることができる。
このように、スラストプレート38の各突起41,42は、スラスト受部35の環状溝36に設けた円形状凹窪部39、長溝状凹窪部40にそれぞれ嵌合することにより、スラストプレート38を径方向および周方向(回転方向)に対して位置決めしている。これにより、例えば空気圧縮機の始動時等において、スラストプレート38と環状溝36の外周面36A,内周面36Bとの間に大きな径方向の隙間S1′,S2′が形成されている場合でも、環状溝36内におけるスラストプレート38のがたつきを抑えることにより、スラストプレート38が環状溝36の外周面36A,内周面36Bに接触して騒音が生じるのを防止することができる構成となっている。
本実施の形態は上述の如き構成を有するもので、スラスト受部35の環状溝36に円形状凹窪部39と長溝状凹窪部40とを設け、スラストプレート38の裏面38Bには、円形状凹窪部39に嵌合する一の突起41と長溝状凹窪部40に嵌合する他の突起42とを設けることにより、円形状凹窪部39と長溝状凹窪部40の内周面に、スラストプレート38の突起41,42を常に当接させることができる。
このため、スラストプレート38に対し、旋回スクロール37との間の摩擦抵抗によって径方向および回転方向の外力が付加されたとしても、スラストプレート38を、環状溝36の外周面36A,内周面36Bとの間に径方向の隙間S1′,S2′を保持した状態で、径方向および回転方向に位置決めすることができる。この結果、スラストプレート38のがたつきを広い温度範囲にわたって防止し、スラストプレート38が環状溝36の外周面36A,内周面36Bに衝突するのを抑えることにより、低騒音で良好な運転環境を実現することができる。
また、スラストプレート38は、突起41と円形状凹窪部39との間の環状隙間S3′の範囲で、突起42を長溝状凹窪部40の内周面に摺接させつつ、該長溝状凹窪部40の長手方向に沿って円滑に往復運動することができる。この結果、円形状凹窪部39、長溝状凹窪部40に対する突起41,42のがたつきを最小限に抑えることができ、円形状凹窪部39、長溝状凹窪部40と突起41,42との衝突音を防止することができる。
さらに、空気圧縮機の運転に伴う温度上昇によってスラストプレート38とスラスト受部35との間に熱膨張差が生じたとしても、円形状凹窪部39と突起41との間の環状隙間S3′、長溝状凹窪部40の長手方向と突起42との間に形成される長さ方向隙間S4′により、この熱膨張差を吸収することができる。この結果、スラストプレート38が、スラスト受部35との熱膨張差によって湾曲するのを抑えることができ、旋回スクロール37の旋回動作を安定させることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、スラストプレート17に1個の円形孔18と1個の長孔19とを設け、スラスト受部5に一の突起20と他の突起21を1個ずつ設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばスラストプレート17に2個以上の円形孔18を設け、スラスト受部5に2個以上の突起20を設ける構成としてもよく、スラストプレート17に2個以上の長孔19を設け、スラスト受部5に2個以上の突起21を設ける構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態による円形状凹窪部39、長溝状凹窪部40、各突起41,42についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、スラストプレート17に円形孔18と長孔19とを設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば円形孔18に代えて三角形、四角形等の多角形状の孔を設ける構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態による円形状凹窪部39についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、円形孔18が嵌合する一の突起20と長孔19が嵌合する他の突起21とを、それぞれ円柱状に形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば三角柱、四角柱等の多角柱状の突起を用いてもよい。このことは、第2の実施の形態による各突起41,42についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、ケーシング1のスラスト受部5に突起20,21を一体形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばケーシング1とは別部材からなる円柱状の突起部材(ピン)を形成し、この突起部材をスラスト受部に取付ける構成としてもよい。
また、上述した各実施の形態では、ケーシング1(31)に別部材からなる固定スクロール7を取付けたものを固定部材として用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばケーシングと固定スクロールとが一体形成された固定部材を用いる構成としてもよい。
一方、上述した各実施の形態では、半給油式のスクロール式流体機械を例示したが、油潤滑を行わない無給油式のスクロール式流体機械にも適用することができる。また、上述した各実施の形態では、動力源であるモータをケーシング1(31)の外部に設ける場合を例示したが、ケーシング内にモータを組込んだモータ一体型ケーシングを用いてもよいものである。
さらに、上述した各実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機、真空ポンプ等を含めて他のスクロール式流体機械に適用してもよい。
第1の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 図1中のスラストプレート、円形孔、一の突起等を拡大して示す要部拡大断面図である。 図1中のスラストプレート、長孔、他の突起等を拡大して示す要部拡大断面図である。 ケーシング、スラストプレートを各スクロールを取外した状態で図1中の左側からみた正面図である。 ケーシング、スラストプレートを示す分解斜視図である。 第2の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 図6中のスラストプレート、円形状凹窪部、一の突起等を拡大して示す要部拡大断面図である。 図6中のスラストプレート、長溝状凹窪部、他の突起等を拡大して示す要部拡大断面図である。 ケーシング、スラストプレートを各スクロールを取外した状態で図6中の左側からみた正面図である。 ケーシング、スラストプレートを示す分解斜視図である。
符号の説明
1,31 ケーシング(固定部材)
5,35 スラスト受部
7 固定スクロール
7B ラップ部
10,37 旋回スクロール
10B,37B ラップ部
12 圧縮室
17,38 スラストプレート
18 円形孔(孔)
19 長孔
20 一の突起
21 他の突起
39 円形状凹窪部(凹窪部)
40 長溝状凹窪部
41 一の突起
42 他の突起

Claims (2)

  1. 渦巻状のラップ部を有する固定スクロール部とスラスト方向の荷重を受承するスラスト受部とが設けられた固定部材と、該固定部材に設けられた前記固定スクロール部のラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部を有する旋回スクロールと、該旋回スクロールと前記固定部材のスラスト受部との間に設けられた環状のスラストプレートとを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記スラストプレートには、少なくとも1個の孔と径方向に延びる少なくとも1個の長孔とを設け、前記固定部材のスラスト受部には、前記スラストプレートに向けて突出し前記孔が嵌合する一の突起と、前記長孔がその長手方向に移動可能に嵌合する他の突起とを設ける構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 渦巻状のラップ部を有する固定スクロール部とスラスト方向の荷重を受承するスラスト受部とが設けられた固定部材と、該固定部材に設けられた前記固定スクロール部のラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部を有する旋回スクロールと、該旋回スクロールと前記固定部材のスラスト受部との間に設けられた環状のスラストプレートとを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記固定部材のスラスト受部には、少なくとも1個の凹窪部と径方向に延びる少なくとも1個の長溝状凹窪部とを設け、前記スラストプレートには、前記スラスト受部に向けて突出し前記凹窪部に嵌合する一の突起と、前記長溝状凹窪部にその長手方向に移動可能に嵌合する他の突起とを設ける構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012144489A1 (ja) * 2011-04-19 2012-10-26 サンデン株式会社 スクロール型流体機械
JP2013194631A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Mitsubishi Electric Corp スクロール圧縮機
WO2023181727A1 (ja) * 2022-03-24 2023-09-28 サンデン株式会社 スクロール圧縮機

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