JP2008248446A - 紙塗工用共重合体ラテックス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、シアン化ビニル単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体を乳化重合してなる共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックスから作成されたフィルムの大豆油に対する接触角の測定において1秒後の接触角が20度以上であり、かつ1秒後の接触角から4秒後の接触角への変化率が10%未満である紙塗工用共重合体ラテックス。
【選択図】 なし
Description
一般的に紙塗工用組成物は、クレーや炭酸カルシウムなどの白色顔料を水に分散した顔料分散液、顔料同士および顔料を原紙に接着固定するためのバインダー、およびその他の添加剤によって構成される水性塗料である。バインダーとしてはスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスに代表されるような合成エマルションバインダーやデンプン、カゼインに代表されるような天然バインダーが使用される。その中でもスチレンーブタジエン系共重合体ラテックスは、品質設計の自由度が大きく、今日では紙塗工用組成物に最も適したバインダーとして広く使用されており、スチレンーブタジエン系共重合体ラテックスの性能が紙塗工用組成物の性能あるいは最終的な塗工紙製品のドライピック強度、印刷光沢、インキセット、インキ着肉などの品質に大きく影響すると言われている。
そのため、紙塗工用に使用されるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの品質設計や製造方法に関しては従来から実に様々な改良技術が紹介されている。
特開平2006−206757号公報(特許文献1)によると、共役ジエン系単量体由来の構造単位と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位とを有する共重合体を含有する共重合体ラテックスであって、所定の接触角測定法で接触角を測定したときに、0秒後接触角に対する、0秒後接触角から4秒後の接触角への変化率が20%以上であり、且つ、4秒後接触角に対する、4秒後接触角から10秒後接触角への変化率が20%未満である共重合体ラテックスをバインダーとして使用してなる紙塗工用組成物が、得られる塗工紙の印刷光沢が改良されるとの技術開示がある。
また、特開平2001−172546号公報(特許文献2)によると、紙塗工用バインダーをフィルムに成型したとき、該フィルムが水に対して40°以上の接触角度を示し、亜麻仁油に対し20°以下の接触角度を示す共重合体ラテックスをバインダーとして使用してなる紙塗工用組成物が、高いウェットピック強度を発現しつつ、且つ良好なウェット着肉性を同時に満足することが出来るとの技術開示がある。
しかし、これらの様々な改良技術は、未だ紙塗工用共重合体ラテックスに要求される性能を十分に満足するレベルには至っておらず、更なる改良が強く求められていた。
本発明における脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
これら他の連鎖移動剤は、通常、単量体100重量部に対して0〜10重量部にて使用される。
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は特に断りのない限り重量基準によるものである。また実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。
共重合体ラテックスの数平均粒子径を動的光散乱法により測定した。尚、測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用した。
室温雰囲気にてラテックスフィルムを作成する。その後ラテックスフィルムを約1g秤量し、これを400ccのトルエンに入れ48時間膨張溶解させる。その後、これを300メッシュの金網で濾過し、金網に捕捉されたトルエン不溶部を乾燥後秤量し、この重量のはじめのラテックスフィルムの重量に占める割合をゲル含有量として重量%で算出した。
PETフィルム上にラテックスを塗布し、熱風循環式オーブン中で120℃×40秒間乾燥してラテックスフィルムを作成し、Fibro
社製1100DATを用いて、TAPPI T558&ASTM D−5725に準拠して接触角を測定した。
RI印刷機で各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(最も良い)から1級(最も悪い)まで相対的に評価した。
RI印刷機にて試料を印刷し、一定時間後にこれを別の紙に転写させ、その濃度を目視にて5級(最も速い)から1級(最も遅い)まで判定評価した。
RI印刷機で各塗工紙試料を同一の条件で印刷した後、一昼夜放置し、印刷面の光沢度をJIS.P-8142に従い測定した。数値が大きいほど印刷光沢が良い。
耐圧性の重合反応機に、重合水140部、乳化剤、過硫酸カリウム1部を仕込み、十分攪拌した後、表1および表2に示す1段目の各単量体および他の化合物を加えて70℃にて重合を開始し、重合を3時間継続した後、表1および表2に示す2段目の各単量体および他の化合物を加えて重合を継続し、重合転化率が97%を越えた時点で重合を終了した。
なお、乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(DBS)、上記一般式(a)にて示されるポリオキシアルキレン多環フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩(日本乳化剤(株)製 ニューコール707SF)を使用した。
次いで、これら共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを7に調整して、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスA〜D及びE〜Hを得た。
下記に示した配合処方に従って、共重合体ラテックスA〜Dおよび共重合体ラテックスE〜Hを用いて、紙塗工用組成物を作製した。各紙塗工用組成物の評価結果を表1および表2に示した。
(紙塗工用組成物の配合処方)
カオリンクレー 60部
重質炭酸カルシウム 40部
変性デンプン 3部
共重合体ラテックス 10部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 65%
市販の熱風塗工乾燥機MLC−100L型を用いて、塗工原紙(坪量67g/m2)に、得られた紙塗工用組成物を塗工し、塗工紙を作製した。
なお、各塗工紙は、全て次に示す同一条件下で作製した。
塗工条件:前記の熱風塗工乾燥機にて、上記組成物の塗工量が片面10g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工した。塗工速度は46m/min.に設定した。
乾燥条件:塗工から約0.5秒後に、150℃の乾燥炉内で、温度210℃、風速33m/秒の熱風により3秒間乾燥した。
得られた各塗工紙を、相対湿度65%、温度20℃の条件下で一昼夜調湿した後、線圧70kg/cm、温度55℃、通紙速度7m/分、合計2回の通紙条件でスーパーカレンダー処理し、表1および表2に示す実施例1〜4及び比較例1〜4の塗工紙を得た。得られた塗工紙を各試験に供して評価し、その結果を表1および表2に示した。
Claims (5)
- 脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、シアン化ビニル単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体を乳化重合してなる共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックスから作成されたフィルムの大豆油に対する接触角の測定において1秒後の接触角が20度以上であり、かつ1秒後の接触角から4秒後の接触角への変化率が10%未満であることを特徴とする紙塗工用共重合体ラテックス。
- 脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%、シアン化ビニル単量体15〜35重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体10〜64.5からなる単量体を乳化重合してなる請求項1記載の紙塗工用共重合体ラテックス。
- 多段重合による共重合体ラテックスであって、一段目に使用するシアン化ビニル単量体が、全シアン化ビニル単量体に対して70重量%以上である請求項1又は2何れかに記載の紙塗工用共重合体ラテックス。
- 数平均粒子径が80nm未満である請求項1〜3何れかに記載の紙塗工用共重合体ラテックス。
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