JP2008248137A - ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、高い破断伸張性、伸張時の変形に対する小さな応力変動、伸縮時の応力の小さなヒステリシスロス、常温、低温および高温条件下での伸縮後の小さな残留ひずみ、すぐれた透湿性、さらにすぐれた染色性を示す、弾性性質にすぐれたポリウレタン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールを構成成分とし、特にポリウレタン中のポリウレタン重合体の全重量に対するハードセグメント量を特定したポリウレタン樹脂組成物を製造する。
【選択図】 なし
Description
技術改良の一例としては、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールが挙げられる。ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールは反復単位中にメチル基を有するために結晶化しにくい低コストのポリエーテルグリコールである。しかしながら、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールから得られるポリウレタンエラストマーは、強度、伸度が低いという欠点をもち、その用途が限られている。また、ポリウレタンの製造時に、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールの水酸基が2級であるために反応性が低いといった問題をかかえている。また、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールは分子量分布が非常に狭いために、狭すぎる分子量分布に由来してポリウレタンおよびポリウレタンウレアエラストマーの性能によくない影響を及ぼすことが記載されている。(非特許文献1)
一方、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を用いて、室温での弾性繊維用途で顧客より必要とされるソフト性、弾性機能を発現させるためには、ハードセグメント含量を10%未満に抑えることが必要であり、そのため、低温での耐久性が必ずしも十分ではなかった。
そこで上述の問題を解決する手段として、ポリトリメチレンエーテルグリコールからポリウレタン又はポリウレタンウレアを製造することが試みられてきた。
S.D.セネカー「New Ultra−Low Monol Polyols with Unique High−Performance Characteristics」、Polyurethane Expo‘96,305−313 Conjeevaramら著、J.Polymer Science,Polymer Chemistry Edition,28,429〜444(1 985年)
第2の要旨は、ポリエーテルポリオールが、脱水縮合反応によりよって得られるものである、上記記載のポリウレタンに存する。
第4の要旨は、上記にいずれかに記載のポリウレタンを成形してなるフィルムに存する。
第5の要旨は、上記にいずれかに記載のポリウレタンを成形してなる繊維に存する。
優れた弾性機能、すなわち、高い破断伸度、伸張時の歪みに対する小さな応力変動、伸縮時の応力の小さなヒステリシス損失、低温条件下での伸縮後の小さな残留歪みを有し、さらに透湿性および染色性、且つ機械物性にも優れている。そのため、ポリウレタンおよびポリウレタンウレア弾性繊維、合成・人工皮革、TPU等の高機能ポリウレタンエラストマー用途に極めて有用であるポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂組成物が提供される。また中間体であるプレポリマーは極性溶媒への溶解速度が大きく、該当樹脂の生産性を高めるのに大きく寄与する。
<ポリウレタン>
本発明でいうポリウレタンとは、特に制限がない限りポリウレタン又はポリウレタンウレアを示し、この2種類の樹脂はほぼ同じ物性をとることが従来から知られている。一方、構造的特徴の違いとしては、ポリウレタンとは、鎖延長剤として短鎖ポリオールを使用し製造されるものであり、ポリウレタンウレアとは、鎖延長剤としてポリアミン化合物を使用し製造されるものである。
好ましくは、11%〜25%であり、より好ましくは、12%〜22%であり、特に好ましくは、12%〜20%である。このハードセグメント量が多すぎると、得られるポリウレタン重合物が十分な柔軟性や弾性性能をしめさなくなったり、溶媒を使用する場合は溶けにくくなり加工が難しくなった傾向がある。少なすぎると、ウレタン重合物がやわらかすぎて加工が難しくなったり、低温下で十分な強度や弾性性能や耐久性が得られなくなる傾向がある。
また、本発明でいう、ハードセグメントとは、P.J.フローリー(ジャーナル オブ
アメリカン ケミカル ソサイエティー、58巻 1877〜1885ページ(1936年)をもとに、下記式で定義される。
(アミン+イソシアネート結合部の重量)/(全体(ポリオール+イソシアネート+アミン+末端アリル基)の重量)
M=数平均分子量
Gc=末端アリル基の当量(ポリエーテルポリオールの1モルあたりの末端アリル基のモル数)
R=イソシアネートのモル数/(ポリエーテルポリオールの水酸基のモル数+末端アリル基のモル数)
p=ポリエーテルポリオール
di=ジイソシアネート
da=ジアミン(モル平均分子量)
c=末端アリル基
モル%以上含むポリエーテルポリオールを構成成分とする他に(b)ポリイソシアネート、(c)鎖延長剤を含むものであると好ましい。
各組成割合は、通常、ポリウレタンに対して、(a)1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールの水酸基のモル数をA、(b)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数をB、(c)鎖延長剤の活性水素置換基(水酸基およびアミノ基)のモル
数をCとした場合、A:Bが通常から1:10から1:1の範
囲、好ましくは1:5から1:1.05、より好ましくは、1:4から1:1.1、更に好ましくは、1:3から1:1.4、特に好ましくは1:2.5から1:1.6であり、かつ(B−A):Cが通常から1:0.1から1:5、好ましくは、1:0.8から1:2、より好ましくは、1:0.9から1:1.5、更に好ましくは、1:0.95から1:1.2、特に好ましくは、1:0.98から1:1の範囲である。
本発明で使用するポリエーテルポリオールとは、ポリエーテルポリオールを構成する全ポリオール単位に対して50モル%以上を1,3-プロパンジオール由来のオキシトリメ チレン単位(1,3−プロパンジオール単位)で構成されているポリエーテルポリオールを示す。具体的にはオキシトリメチレン単位とは、以下の化学式(1)であらわされる。
−(CH2CH2CH2O)− (1)
本発明で使用するポリエーテルポリオールを構成するポリオール単位としては、1,3−プロパンジオール単位が全ポリオール単位に対して50モル%以上であることが必要である。好ましくは60モル%以上、より好ましくは、70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは100モル%である。1,3−プロパンジオール単位が50モル%より少ないと、ポリオールの粘度が高くなりすぎて操作性が悪くなったり、得られるポリウレタンが十分な強度や伸度を発現しにくくなる傾向にある。
それ以外のポリオール単位は特に限定されないが、たとえば、2−メチル−1,3−プロパンジオール単位、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位、1,2-エチレングリコール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。
本発明においては、1,3−プロパンジオールの仕込み量は、原料の全ポリオールに対して、下限は50モル%以上であることが必要である。より好ましくは、下限は60モル%以上であり、特に好ましくは、70モル%以上であり、上限は通常、100モル%以下である。この含有量が少なすぎると、得られるウレタンで所望の物性が出なかったり、ポリエーテルポリオールの製造に時間がかかったり、収率が悪化したりする場合がある。
<ポリエーテルポリオールの製造方法>
本発明で原料として使用されるポリエーテルポリオールは、ポリオールを脱水縮合反応により製造され、且つ1,3−プロパンジオール単位を全ポリオール単位に対して50モル%以上含むものを用いることが必須条件となる。
反応は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。反応圧力は反応系が液相に保持される範囲であれば任意であり、通常は常圧下で行われる。所望ならば反応により生成した水の反応系からの脱離を促進するため、反応を減圧下で行ったり、反応系に不活性ガスを流通させてもよい。不活性ガスのかわりに水蒸気や有機溶媒を用いてもよい。
なお、反応は通常は無溶媒で行うが、所望ならば溶媒を用いることもできる。溶媒は反応条件下での蒸気圧、安定性、原料および生成物の溶解性などを考慮して、常用の有機合成反応に用いる有機溶媒から適宜選択して用いればよい。
また、必要に応じて不飽和末端を低減してもよい。
たとえば、ポリトリメチレンエーテルグリコール及びそのコポリマーを、周期表4〜12族の群から選択される金属触媒の存在下に不飽和末端を水酸基に変換するという方法である。
ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀などが挙げられる。好ましい金属触媒は6〜11族の群から選択される金属触媒であり、その具体例としては、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金が挙げられる。更に好ましい金属触媒は8〜10族の群から選択される金属触媒であり、その具体例としては、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金が挙げられる。特に好ましい金属触媒は、ロジウム、パラジウム、ルテニウム又は白金であり、入手の容易性や価格面からパラジウムが最適である。
触媒を担体に担持する場合の担持量は特に制限はないが、通常0.1%以上50%未満、好ましくは0.5%から20%、さらに好ましくは1%から10%である。
金属触媒を担体に担持して使用する場合および微粉金属触媒として使用する場合の使用量は、その種類に応じて適宜選択されるが、たとえば5重量%のパラジウムを担体に担持した触媒の場合、ポリトリメチレンエーテルグリコール及びそのコポリマーの重量に対するドライベース基準の割合として、金属触媒(担体を除く)が通常0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%、更に好ましくは0.005〜0.25重量%である。
量%、より好ましくは0.005%から1重量%である。
リコールに対して約0.5重量%、好ましくは1重量%、更に好ましくは10重量%過剰量)の水分が反応系中に存在していることが好ましい。実用的な処理における水の量は、ポリアルキレンエーテルグリコール100重量部に対し、通常1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、更に好ましくは10〜20重量部である。
<ポリエーテルポリオールの物性>
本発明で使用されるポリエーテルポリオールの数平均分子量は、用いる触媒の種類や触媒量により調整することができ、下限が通常80、好ましくは600、より好ましくは1000であり、上限が通常10000、好ましくは7000、より好ましくは5000である。
本発明で使用されるポリエーテルポリオールの分子量分布は、通常1.0〜5.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.0、さらにより好ましくは1.5〜2.2である。分子量分布が小さすぎても大きすぎても、ポリウレタンの製造時に生産性が悪くなったり、得られるポリウレタンの物性が悪かったりして好ましくない。
末端アリル基量の割合は、水酸基に対して、通常10%、好ましくは、5%、より好ましくは、1%、更に好ましくは、0%である。末端アリル基量が多すぎると、ポリウレタンおよびポリウレタンウレアの分子量を十分に上げられず所望の性能を出すことが難しくなる傾向がある。少なすぎる場合は、反応速度が上がりすぎてポリウレタンおよびポリウレタンウレア化反応でゲル等を発生させてしまう場合が考えられる。しかしながら、少なすぎる場合は、常法により、適量の一官能成分を反応系に共存させることで分子量が上がりすぎるという問題を回避することができる。
本発明において用いられるポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4′−MDI、パラフェニレンジイソシアネート、1,5− ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水添TDI)、1−イソシアネート−3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4′−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。本発明においては、特に反応性の高い芳香族ポリイソシアネートが好ましく、特にトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。またポリイソシアネートのNCO基の一部をウレタン、ウレア、ビュレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド等に変成した物であっても良く、さらに多核体には前記以外の異性体を含有している物も含まれる。
ポリイソシアネートの使用量が多すぎると、未反応のイソシアネート基が好ましくない反応をおこし、所望の物性が得られにくくなる傾向があり、少なすぎると、ポリウレタンおよびポリウレタンウレアの分子量が十分に大きくならず、所望の性能が発現されない傾向がある。
本発明でいう鎖延長剤は、主として、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のアミノ基を有する化合物、水に分類される。この中でも、ポリウレタン用途には短鎖ポリオール、具体的には2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を、ポリウレタンウレア用途には、ポリアミン化合物、具体的には2個以上アミノ基を有する化合物が好ましい。
また、本発明のポリウレタン樹脂は、鎖延長剤として、分子量(数平均分子量)が500以下の化合物を併用すると、ポリウレタンエラストマーのゴム弾性が向上する為に、物性上さらに好ましい。
使用量が多すぎると、得られたポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂が硬くなりすぎて所望の特性が得られなかったり、溶媒にとけにくく加工が困難になる傾向があり、少なすぎると、やわらかすぎて十分な強度や弾性回復性能や弾性保持性能がえられなかったり、高温特性が悪くなる傾向がある。
ール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール、アミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族モノアミンが例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でも良い。
さらに本発明のポリウレタン樹脂には上記以外に必要に応じて他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤としてはCYANOX1790(CYANAMID(株)製)、IRGANOX245、IRGANOX1010(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)、のSumilizer GA−80(住友化学(株)製)、あるいは2,6−ジブチル−4−メチルフェノール(BHT)等の酸化防止剤、TINUVIN622LD、TINUVIN765(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)、SANOL LS−2626、LS−765(以上、三共(株)製)等の光安定剤、のTINUVIN328、TINUVIN234(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)等の紫外線吸収剤、ジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等のシリコン化合物、赤燐、有機リン化合物、リン及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリリン酸アンンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモ
ン等の添加及び反応型難燃剤、二酸化チタン等の顔料、染料、カーボンブラック等の着色剤、カルボジイミド化合物等の加水分解防止剤、ガラス短繊維、カーボンファイバー、アルミナ、タルク、グラファイト、メラミン、白土等のフィラー、滑剤、油剤、界面活性剤、その他の無機増量剤、有機溶媒などが挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂を製造するには、(a)ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を全ポリオール単位に対して50モル%以上含むポリエーテルポリオールを原料とし、ハードセグメントの量が、10%より大きく30%より小さな割合 となるように製造すれば特に制限はないが、好ましくは、ポリエーテルポリオールの原料のほかに、(b)ポリイソシアネート化合物及び(c)鎖延長剤を原料とすることが好ましい。更に、これらの原料を非プロトン性溶媒存在下で反応を行うことがより好ましい。
下記に非プロトン性溶媒の共存下における製造方法の一例を示すが、非プロトン性溶媒の共存下であれば特に制限されない。
この中でも二段法は、ポリエーテルポリオールをあらかじめ1当量以上のポリイソシアネートと反応させることにより、ポリウレタンのソフトセグメントに相当する両末端イソシアネートで封止された中間体を調製する工程を経るものである。プレポリマーをいったん調製した後に鎖延長剤と反応させることにより、ソフトセグメント部分の分子量の調整が行いやすく、ソフトセグメントとハードセグメントの相分離がしっかりとなされやすく、エラストマーとしての性能を出しやすい特徴がある。特に鎖延長剤がジアミンの場合には、ポリエーテルポリオールの水酸基と比較して、イソシアネート基との反応速度が大きく異なるため、プレポリマー法でポリウレタンウレア化を実施することがより好ましい。
1段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、(a)、(b)及び(c)を一緒に仕込むことで反応を行う方法である。
各化合物の使用量は、上記記載の量を使用すればよい。
本発明では、一段法を無溶媒ではなく、有機溶媒の存在下に反応を行うことができる。使用される溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、クロルベンゼン、トリクレン、パークレン等のハロゲン化炭化水素類、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒およびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
この比が大きすぎると、過剰のイソシアネート基が副反応を起こしてポリウレタンの物性に好ましくない影響を与える傾向があり、小さすぎると、得られるポリウレタンの分子量が十分にあがらず、強度や熱安定性に問題を生じる傾向がある。
また、反応は必要に応じて、触媒、安定剤等を添加することもできる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等があり、安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、ジ・ベ−タナフチルフェニレンジアミン、トリ(ジノニルフェニル)フォスファイト等があげられる。
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、あらかじめポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、通常、反応当量比=1.0〜10.00で反応したプレポリマーを製造し、次いでこれにポリイソシアネート成分または多価アルコール、アミン化合物等の活性水素化合物成分を加える2段階反応させることもできる。特にポリオール成分に対して当量以上のポリイソシアネート化合物を反応させて両末端NCOプレポリマーをつくり、つづいて鎖延長剤である短鎖ジオールやジアミンを作用させてポリウレタンを得る方法が有用である。
エチル、酢酸ブチル等のエステル類、クロルベンゼン、トリクレン、パークレン等のハロゲン化炭化水素類、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒およびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるNCO基の当量に対して、下限が通常、0.8、好ましくは1であり、上限が通常、2、好ましくは1.2の範囲である。
また反応時に一官能性の有機アミンやアルコールを共存させてもよい。
反応は通常、各成分を0〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なる。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に生産性が悪く、また高すぎると副反応やポリウレタン樹脂の分解が起こるので好ましくない。反応は、減圧下脱泡しながら行っても良い。
上記の製造方法で得られるポリウレタンは、溶媒存在下で反応を行っているため、溶液に溶解した状態で得られるのが一般的であるが、物性値としては溶液状態でも固体状態でも特に制限がない限り、状態に制限されない。
ポリウレタンの重量平均分子量は、用途により異なるが、ポリウレタン重合溶液として、通常1万〜100万、好ましくは、5万〜50万、より好ましくは、10万〜40万、特に好ましくは、10万〜30万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.9から2.3である。
繊維、フィルム、透湿性樹脂成形体としては、ポリウレタンの重量平均分子量は、通常1万〜100万、好ましくは、5万〜50万、より好ましくは、10万〜40万、特に好ましくは、15万〜35万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.9から2.3である。
ポリウレタンは、非プロトン性溶媒に溶解した溶液の全重量に対して、通常1〜99重量%、好ましくは、5〜90重量%、より好ましくは、10〜70重量%、特に好ましくは、15〜50重量%である。ポリウレタンの量が少なすぎると、大量の溶媒を除去することが必要になり生産性が低くなる傾向があり、多すぎると、溶液の粘度が高すぎて操作性や加工性が悪くなる傾向がある。
ポリウレタン溶液は、特に指定はされないが、長期にわたり保存する場合は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、多様な特性
を発現させることができて、フォーム、エラストマー、塗料、繊維、接着剤、床材、シーラント、医用材料、人工皮革等に広く用いることができる。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化方塗料などの成分として使用可能であり、たとえば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルムなどのオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコートなどとして適用できる。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジングなどに使用可能である。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレアおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、シーラント・コーキングとして、コンクリート打ち壁、誘発目地、サッシ周り、壁式PC目地、ALC目地、ボード類目地、複合ガラス用シーラント、断熱サッシシーラント、自動車用シーラントなどに使用できる。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレアおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、末端を変性させた後にUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物などの原料としてもちいることができる。
以上、本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液を用いた用途例を述べたが、本発明はこれらの用途に限定されるものではない。
以下にフィルムと繊維の製造方法を記載するが、特に製法が制限されるわけではない。
フィルムの製造方法は特に指定はなく、公知の方法が使用できる。たとえばフィルムの製造方法として、支持体や離形材にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、凝固浴中で溶媒その他の可溶性物質を抽出する湿式製膜法と、支持体や離形材にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、加熱あるいは減圧等により溶媒を乾燥させる乾式製膜法が挙げられる。乾燥製膜する際に用いる支持体は特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレンフィルム、ガラス、金属、剥離材を塗布した紙はあるいは布等が用いられる。塗布の方式は特に限定されないが、ナイフコーター、ロールコーター、スピンコーター、グラビアコーター等の公知のいずれでもよい。
乾燥温度は乾燥機の能力によって任意に設定できるが、乾燥不十分、あるいは急激な脱
溶媒がおこらない温度範囲を選ぶことが必要である。好ましくは室温〜300℃、より好ましくは60℃〜200℃の範囲である。
本発明のフィルムの厚さは、通常、10〜1000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは、10〜100μmである。フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向があり、また薄過ぎると、ピンホールができやすかったり、またフィルムがブロッキングしやすく取り扱いにく
くなる傾向がある。また、このフィルムは、医療用粘着フィルムや衛生材料、包装材、装飾用フィルム、その他透湿性素材等に好ましく用いることができる。
破断伸度は、通常100%伸張以上、好ましくは200%以上、より好ましくは300%以上、更に好ましくは500%以上、さらにより好ましくは800%以上である。
破断強度は、通常5MPa、好ましくは、10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、更に好ましくは30MPa以上、さらにより好ましくは60MPa以上である。
また、23℃における150%での弾性保持率(H2/H1)は、通常20%以上、好ましくは、40%以上、より好ましくは、50%以上、更に好ましくは、60%以上である。
−10℃における残留歪は通常300%以下、好ましくは120%以下、より好ましくは100%以下、さらに好ましくは60%以下である。
23℃における2回目の残留歪と−10℃における2回目の残留歪から算出される残留歪の劣化率は好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、さらに好ましくは150%以下である。
透湿性は、フィルム50μm厚みに換算すると、通常500g/m2・24h、好ましくは、1000g/m2・24h、より好ましくは、2000g/m2・24h、更に好ましくは、3000g/m2・24hである。
なお、ポリウレタンフィルムと糸の物性は非常に良い相関があり、フィルムの試験等で得られた物性値は、糸(繊維)においても同様の傾向を示す。
本発明のポリウレタンの中でもポリウレタンウレアは各種用途に利用可能であるが、特に、弾性繊維用として利用した場合において優れた性能を発現するので、以下に、弾性繊維用のポリウレタンウレア樹脂を製造する場合の好ましい製造条件を例示する。
まず、MDIとポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールをNCO/OH=1.1〜3.0で反応
させ、末端NCO基のプレポリマーを製造する。反応は、必要応じて、BuOH、ヘキサノール等のモノオールをポリエーテルポリオールに対して500〜5000ppm程度添加して反応させても良い。また、この際には溶剤を使用せず、バルク状態で反応させると副反応が起きにくいので好ましい。得られたプレポリマーをジメチルアセトアミド(DMAc)あるいはジメチルホルムアミド(DMF)等の非プロトン性極性溶媒に溶解し、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは0〜10℃に冷却する。この際にプレポリマー溶液温度が高すぎると、次工程の鎖延長反応時に反応が速すぎて、不均一な反応となり、ゲル化等の異常反応が発生する可能性がある。また、低すぎるとプレポリマーの溶解に時間がかかったり、プレポリマーが十分に溶解せず析出してうまく反応が行えない場合がある。プレポリマー溶液の濃度については、特に限定はされないが、10重量%から90重量%、好ましくは20から70重量%、より好ましくは35〜50重量%である。次いで、冷却したプレポリマー溶液とプロパンジアミン、エチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン等のメチレン鎖長が6以下脂肪族ジアミン、あるいはキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンをDMAc、あるいはDMFに溶解させたアミン溶液とを反応させ鎖延長する。メチレン鎖長が長すぎる脂肪族ジアミンを単独で使用するとポリウレタン弾性繊維にした際に、物性が低下することがある。ジアミン鎖延長剤としてエチレンジアミンを主成分として50モル%以上用いることが好ましい。さらに好ましくは70モル%以上、さらにより好ましくは80%、さらに好ましくは90%以上用いることである。
本発明をポリウレタンウレア弾性繊維に適用する場合に使用されるジアミン鎖延長剤の合計量は、ポリウレタンウレア重合体に対して、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜15%、さらにより好ましくは3〜10%、さらにより好ましくは3〜9%のハードセグメント量を生じる量である。ハードセグメント量が多すぎるとポリウレタンウレア弾性糸またはフィルムを紡糸あるいはフィルム化する際の溶剤に溶けにくくなったり、繊維やフィルムとしての伸びが不十分であったりする。ハードセグメント量が少なすぎると、繊維やフィルムとして柔らかすぎたり、強度が弱すぎたり、弾性回復力や応力維持率が低く、残留歪が大きくなる可能性がある。
2.5、より好ましくは1.9から2.3である。
本発明で得られるポリウレタンウレア溶液は、ゲル化が進行しにくく、粘度の経時変化が小さいなど保存安定性がよく、また、チクソトロピー性も小さいため、弾性糸を製造するために都合がよい。
<ポリウレタン弾性繊維の物性>
ポリウレタン弾性繊維は、強度、破断伸度、伸張回復性、耐紫外線性、耐熱劣化性、耐加水分解性、低温特性などを総合面で他の弾性繊維よりも性能がよい。特に本発明の1,3−プロパンジオールを50モル%以上含有するポリオールの脱水縮合反応により得られたポリエーテルポリオールを用いた場合に、その特性が際立ってよい。
ましくは650%以上である。
伸張回復率として、伸張率100%で24時間保持した後の回復率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上である。
耐熱劣化性として、120℃にて24時間保持試験後の強度保持率は、試験前に比べて、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上である。
本発明のポリウレタンを用いた繊維は、更に用途を具体的に挙げると、レッグ、パンティー・ストッキング、おむつカバー、紙おむつ、スポーツ用衣類、下着、靴下、ファッション性に優れたストレッチ性の衣類、水着、レオタード等の用途に好ましく用いられる。これは、伸張回復性、弾性、耐加水分解性、耐光性、耐酸化性、耐油性、加工性等に優れているからである。
また応力の変動率が小さいあるいはモジュラスが小さいという特性は、たとえば衣類として体につける際に小さな力でそでを通したりすることができ、小さな子供やお年寄りにとっても非常に脱着しやすいという特徴をもつ。またフィット感および運動追従性がよいことより、スポーツ用衣類やよりファッション性の高い衣類の用途で使用することができる。
残留歪が小さいことより、弾性繊維としてへたりにくく、弾性を長く維持できる。
また、−10℃においての残留歪が小さく、応力保持性に優れているという点は、寒冷地での本材料を用いた製品の使用など、低温にさらされても、その弾性繊維としての特性を保持できるという利点がある。また、 23℃と−10℃における残留歪の差が小さい
点は、寒暖の差に関らず弾性繊維としての特性を保持できる利点がある。
<ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量>
実施例中、ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は水酸基価( KOH (mg)/g)より求めた。
ポリトリメチレンエーテルグリコールのアリル末端の割合は1H−NMR(BRUKE R製AVANCE400)により算出した。ポリウレタン物性はJIS−K6301に順じて測定した。
ポリエーテルポリオールの分子量分布の測定は、ポリエーテルポリオールのTHF溶液を調製し、GPC装置(東ソー(株)製,製品名:HLC−8220 (カラム:TSKgelSuperHZM−N(3本))を使用した。テトラヒドロフラン・キャリブレーシ ョン・キット(Polymer Laboratories社)を用いて検量線を作成した。
得られたポリウレタンおよびポリウレタンウレアの分子量の測定は、ポリウレタンのDMAC溶液を調製し、GPC装置(東ソー(株)製,製品名:HLC−8120 (カラム:TskgelH3000/H4000/H6000))を使用し、標準ポリスチレン換 算重量平均分子量を分子量とした。
ハードセグメント量は、P.J.フローリー、Journal of American Chemical Society,58巻、1877〜1885項(1936)をもとにして、下記式のように計算した。
%HS=100(R-1)(Mdi+Mda)/[Mp+RMdi+(R-1)Mda+GcMc] ・・・・・式1
(アミン+イソシアネート結合部の重量)/(全体(ポリオール+イソシアネート+アミン+末端アリル基)の重量)
M=数平均分子量
Gc=末端アリル基の当量(ポリエーテルポリオール1モルあたりの末端アリル基のモ
ル数)
R=イソシアネートのモル数/(ポリエーテルポリオールの水酸基のモル数+末端
アリル基のモル数)
p=ポリエーテルポリオール
di=ジイソシアネート
da=ジアミン(モル平均分子量)
c=末端アリル基
温度23℃(相対湿度55%)において、幅10mm、厚さ約50μmのフィルムを50mmの長さでセットし500mm/minの速度で300%まで引き延ばし、引き続いてもとの長さまで500mm/minの速度で収縮させた。これを5回繰り返した。n回目の伸長時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをHn、戻り時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをHrnとした。弾性保持率としてはn回目の伸張時の応力に対する戻りの応力を表す数値としてHrn/Hn、n回目の伸張時の応力に対するn+1回目の応力の保持率はHn+1/Hnで表した。これらの値は大きい方が、弾性保持率が高く好ましい。
温度23℃(相対湿度55%)において、幅10mm、厚さ約50μmのフィルムを50mmの長さでセットし500mm/minの速度で300%まで引き延ばし、引き続いてもとの長さまで500mm/minの速度で収縮させた。これを5回繰り返した。n回目の伸張時の応力が立ち上がる点をn回目の残留歪みとした。
温度−10℃(相対湿度未測定)において、幅10mm、厚さ約50μmのフィルムを50mmの長さでセットし500mm/minの速度で300%まで引き延ばし、引き続いてもとの長さまで500mm/minの速度で収縮させた。これを2回繰り返した。1回目の伸長時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをH1、戻り時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをHr1、2回目の伸張時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをH2とした。このときのHr1/H2を−10℃における弾性保持率とした。また2回目の伸張時の応力が立ち上がる点を−10℃での残留歪みとした。
<残留歪の劣化率>
23℃および−10℃での残留歪より、下式により残留歪の劣化率を算出した。
残留歪の劣化率(%) = {(-10℃での残留歪)−(23℃での残留歪)}/(2
3℃での残留歪)×100
ポリウレタン樹脂試験片は幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状とし、JIS K6301に準じ、引張試験機((株)オリエンテック製,製品名:テンシロンUTM−III −100)を用いて測定した。チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)引張破断強度、引張破断伸度、100〜600%への応力変動率の測定を実施した。100〜600%の応力保持率とは、23℃引張試験での600%における応力の100%時における応力に対する倍率を示す。
ポリトリメチレンエーテルグリコールの製造
<1,3−プロパンジオールの脱水縮合反応>
蒸留管、窒素導入管、水銀温度計および攪拌機を備えた1000mLの四つ口フラスコに1NL/minで窒素を供給しながら1,3−プロパンジオール500gを仕込んだ。これに炭酸ナトリウム0.348gを仕込んだ後、攪拌しつつ徐々に95重量%濃硫酸6.78gを添加した。このフラスコをオイルバス中に浸して加熱し、約1.5時間でフラスコ内液温を163℃に到達させた。フラスコ内液温が163℃になった時点を反応開始点とし、以後、液温を163℃に保持して18時間反応させた。反応により生成
した水は窒素に同伴させて留去した。
、70℃にて2時間攪拌して中和した後、オイルバスで加熱しながら窒素バブリングして水の大部分を留去し、次いで、トルエンを加えて共沸脱水を行った。加圧ろ過にて固形物をろ別した後、エバポレーターでトルエンを留去した。更に、120℃にて2時間、5mmHgの減圧下でポリエーテルの乾燥を行い、ポリトリメチレンエーテルグリコール(A)を得た。NMRより求めた数平均分子量は1995、末端アリル基の割合は1.40%であった。
3Lセパラブルフラスコにあらかじめ40℃に加温したリン酸5ppmを添加したポリトリメチレンエーテルグリコール(水酸基価より算出した数平均分子量2180、末端アリル基比率1.12%)1958.5gを加え、引き続いて40℃に加温したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)541.5gを加えた(NCO/OH比=2.39)。45℃のオイルバスにセットし、窒素気流下、碇型攪拌翼(150rpm)で攪拌しつつ、1時間かけてオイルバスの温度を70℃まで昇温し、その後70℃にて3時間、さらに80℃に昇温して2時間保持した。滴定によりNCOの反応率が98%を越えていることを確認した後に、プレポリマーを3Lのブリキ缶に移し、40℃の恒温槽にて一晩保持した。
混合アミンのDMAC溶液の濃度を3%にした以外は実施例1と同様にしてポリウレタンウレアの合成、フィルム化を実施した。
表1からわかるように、末端アリル基を含有するポリトリメチレンエーテルグリコールについては、その分鎖停止剤となるモノアミンの量を低減させてやることで、分子量の調整が可能である。
# 1官能成分mol% =(ポリオールの末端アリル基+モノアミン)÷(ポリオールの水酸基+ポリオールの末端アリル基+ ジアミン+モノアミン)であらわされる。
Claims (8)
- 1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含有するポリエーテルポリオール単位を少なくとも含むポリウレタンであって、ハードセグメントの量を、ポリウレタン重合体の全重量に対して、10%より高く30%より低い割合で含有することを特徴とするポリウレタン。
- ポリエーテルポリオールが、脱水縮合反応により得られるものである、請求項1に記載のポリウレタン。
- ポリエーテルポリオールの分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上であることを特徴とする請求項1〜2に記載のポリウレタン。
- 該ポリウレタンが非プロトン性溶媒の共存下において製造されることを特徴とする請求項1〜3に記載のポリウレタン
- ポリエーテルポリオールの数平均分子量が1500〜4500であることを特徴とする請求項1〜4に記載のポリウレタン。
- 請求項1〜5に記載のポリウレタンを成形してなるフィルム。
- 請求項1〜5にいずれか1項に記載のポリウレタンを成形してなる繊維。
- 弾性繊維であることを特徴とする請求項7に記載の繊維。
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