JP2008248137A - ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 本発明は、高い破断伸張性、伸張時の変形に対する小さな応力変動、伸縮時の応力の小さなヒステリシスロス、常温、低温および高温条件下での伸縮後の小さな残留ひずみ、すぐれた透湿性、さらにすぐれた染色性を示す、弾性性質にすぐれたポリウレタン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールを構成成分とし、特にポリウレタン中のポリウレタン重合体の全重量に対するハードセグメント量を特定したポリウレタン樹脂組成物を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、本発明の新規なポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂組成物及びその製造する方法に関する。
ポリウレタンおよびポリウレタンウレアは様々な分野で応用されているが、用途が多種多様なため、特に弾性機能等についての改良が望まれている。具体的には、室温時の弾性機能として、高い破断伸度、変形歪みに対する応力変動が小さいこと、伸縮時の応力のヒステリシス損失が小さいことが望まれており、さらに低温下での弾性回復性の改良が望まれている。
これらの弾性機能の改良を目的として種々の結晶化しにくいジオールを用いてポリウレタンおよびポリウレタンウレア中のソフトセグメントの結晶性を抑えるといった技術改良が行われているが、現状では上記弾性機能を十分に満足までには至っていない。
技術改良の一例としては、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールが挙げられる。ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールは反復単位中にメチル基を有するために結晶化しにくい低コストのポリエーテルグリコールである。しかしながら、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールから得られるポリウレタンエラストマーは、強度、伸度が低いという欠点をもち、その用途が限られている。また、ポリウレタンの製造時に、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールの水酸基が2級であるために反応性が低いといった問題をかかえている。また、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコールは分子量分布が非常に狭いために、狭すぎる分子量分布に由来してポリウレタンおよびポリウレタンウレアエラストマーの性能によくない影響を及ぼすことが記載されている。(非特許文献1)
一方、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を用いて、室温での弾性繊維用途で顧客より必要とされるソフト性、弾性機能を発現させるためには、ハードセグメント含量を10%未満に抑えることが必要であり、そのため、低温での耐久性が必ずしも十分ではなかった。
そこで上述の問題を解決する手段として、ポリトリメチレンエーテルグリコールからポリウレタン又はポリウレタンウレアを製造することが試みられてきた。
例えば、ポリオキセタンポリマーから誘導されたポリウレタンおよびポリウレタンウレアエラストマー組成物も報告されている。しかしながらこの方法から誘導されるポリオキセタン組成物は、モノマーの不安定性、コストおよび大量に商業的に入手できないため、アカデミックな考察対象であるにすぎず、工業的には問題が残されている。(非特許文献2)。
また、最近では、1,3−プロパンジオールの脱水縮合反応によって製造されたポリトリメチレンエーテルグリコールを用いて、溶媒を用いない方法で重合されるポリウレタンおよびポリウレタンウレアエラストマー成形物についての報告がなされている。(特許文献1)
S.D.セネカー「New Ultra−Low Monol Polyols with Unique High−Performance Characteristics」、Polyurethane Expo‘96,305−313 Conjeevaramら著、J.Polymer Science,Polymer Chemistry Edition,28,429〜444(1 985年) 特表2005−535744号公報
本発明者らの検討によれば、非特許文献2に記載のオキセタンから得られたポリエーテルポリオールを使用する際には、工業的に入手が不可能であり、溶媒として用いられているジメチルスルホキシドではポリウレタンウレアの溶解性が十分でないため、エラストマーとして十分な性能を発現できるほど分子量を上げられなかったり、沸点が高いために溶媒の除去が困難であるといった、1,3−プロパンジオールを脱水縮合反応により得られたポリエーテルポリオールでは適用できないなどの問題点が明らかとなった。
また、特許文献1に開示してある溶媒を用いない製法を用いてポリウレタンおよびポリウレタンウレア化反応を実施しようとしても、イソシアネートやアミンの種類によっては反応をコントロールできず、均質なポリウレタンおよびポリウレタンウレアが得られないなどの問題が生じて、繊維やフィルムに成形しにくいといった問題が明らかとなった。具体的には、この技術内容を精査すると、比較的反応性の低いポリイソシアネートや、比較的反応性の低いポリアミンまたはポリオールの組み合わせからなるポリウレタンの製造にはむいているものの、反応性の高い芳香族イソシアネートや脂肪族アミンとの組み合わせでは、ポリウレタンの重合過程で均一に反応を進行させることができず、十分な物性のポリウレタンが得られないことが明らかになった。したがって、繊維、フィルム、人工皮革、高機能エラストマーなどの製造においては適用が難しい。
そこで、本発明は、ポリウレタン弾性繊維、合成・人工皮革、TPU等の高機能ポリウレタンエラストマー用途に極めて有用であるポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリオールの脱水縮合反応により得られる、ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールを構成成分とし、特にポリウレタン中のポリウレタン重合体の全重量に対するハードセグメント量を特定させることにより、高い破断伸張性、伸張時の変形に対する小さな応力変動、伸縮時の応力の小さなヒステリシスロス、常温、低温および高温条件下での伸縮後の小さな残留ひずみ、すぐれた透湿性、さらにすぐれた染色性を示す、弾性性質にすぐれたポリウレタン樹脂組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1の要旨は、1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含有するポリエーテルポリオール単位を少なくとも含むポリウレタンであって、ハードセグメントの量を、ポリウレタン重合体の全重量に対して、10%より多く30%より小さい割合で含有することを特徴とするポリウレタンに存する。
第2の要旨は、ポリエーテルポリオールが、脱水縮合反応によりよって得られるものである、上記記載のポリウレタンに存する。
第3の要旨は、ポリエーテルポリオールの分子量分布が1.5以上であることを特徴とする上記記載のポリウレタンに存する。
第4の要旨は、上記にいずれかに記載のポリウレタンを成形してなるフィルムに存する。
第5の要旨は、上記にいずれかに記載のポリウレタンを成形してなる繊維に存する。
第6の要旨は、弾性繊維であることを特徴とする上記に記載の繊維に存する。
本発明によれば、本発明の新規なポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂組成物は

優れた弾性機能、すなわち、高い破断伸度、伸張時の歪みに対する小さな応力変動、伸縮時の応力の小さなヒステリシス損失、低温条件下での伸縮後の小さな残留歪みを有し、さらに透湿性および染色性、且つ機械物性にも優れている。そのため、ポリウレタンおよびポリウレタンウレア弾性繊維、合成・人工皮革、TPU等の高機能ポリウレタンエラストマー用途に極めて有用であるポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂組成物が提供される。また中間体であるプレポリマーは極性溶媒への溶解速度が大きく、該当樹脂の生産性を高めるのに大きく寄与する。
以下、本発明につき詳細に説明する。
<ポリウレタン>
本発明でいうポリウレタンとは、特に制限がない限りポリウレタン又はポリウレタンウレアを示し、この2種類の樹脂はほぼ同じ物性をとることが従来から知られている。一方、構造的特徴の違いとしては、ポリウレタンとは、鎖延長剤として短鎖ポリオールを使用し製造されるものであり、ポリウレタンウレアとは、鎖延長剤としてポリアミン化合物を使用し製造されるものである。
本発明におけるポリウレタンは、1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含有するポリエーテルポリオール単位を少なくとも含むポリウレタンであって、ハードセグメントの量が、ポリウレタン重合体の全重量に対して、10%より大きく30%より小さい割合で含有することを特徴とするものである。
好ましくは、11%〜25%であり、より好ましくは、12%〜22%であり、特に好ましくは、12%〜20%である。このハードセグメント量が多すぎると、得られるポリウレタン重合物が十分な柔軟性や弾性性能をしめさなくなったり、溶媒を使用する場合は溶けにくくなり加工が難しくなった傾向がある。少なすぎると、ウレタン重合物がやわらかすぎて加工が難しくなったり、低温下で十分な強度や弾性性能や耐久性が得られなくなる傾向がある。
また、本発明でいう、ハードセグメントとは、P.J.フローリー(ジャーナル オブ
アメリカン ケミカル ソサイエティー、58巻 1877〜1885ページ(1936年)をもとに、下記式で定義される。
%HS=100(R-1)(Mdi+Mda)/[Mp+RMdi+(R-1)Mda+GcMc] ・・・・・式1
(アミン+イソシアネート結合部の重量)/(全体(ポリオール+イソシアネート+アミン+末端アリル基)の重量)
M=数平均分子量
Gc=末端アリル基の当量(ポリエーテルポリオールの1モルあたりの末端アリル基のモル数)
R=イソシアネートのモル数/(ポリエーテルポリオールの水酸基のモル数+末端アリル基のモル数)
p=ポリエーテルポリオール
di=ジイソシアネート
da=ジアミン(モル平均分子量)
c=末端アリル基
より具体的には本発明のポリウレタンは、(a)1,3−プロパンジオール単位を50
モル%以上含むポリエーテルポリオールを構成成分とする他に(b)ポリイソシアネート、(c)鎖延長剤を含むものであると好ましい。
各組成割合は、通常、ポリウレタンに対して、(a)1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールの水酸基のモル数をA、(b)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数をB、(c)鎖延長剤の活性水素置換基(水酸基およびアミノ基)のモル
数をCとした場合、A:Bが通常から1:10から1:1の範
囲、好ましくは1:5から1:1.05、より好ましくは、1:4から1:1.1、更に好ましくは、1:3から1:1.4、特に好ましくは1:2.5から1:1.6であり、かつ(B−A):Cが通常から1:0.1から1:5、好ましくは、1:0.8から1:2、より好ましくは、1:0.9から1:1.5、更に好ましくは、1:0.95から1:1.2、特に好ましくは、1:0.98から1:1の範囲である。
<(a)1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオール>
本発明で使用するポリエーテルポリオールとは、ポリエーテルポリオールを構成する全ポリオール単位に対して50モル%以上を1,3-プロパンジオール由来のオキシトリメ チレン単位(1,3−プロパンジオール単位)で構成されているポリエーテルポリオールを示す。具体的にはオキシトリメチレン単位とは、以下の化学式(1)であらわされる。
本発明において他のポリオール単位も特に制限がない限り同様の表現とする。
−(CHCHCHO)− (1)
本発明で使用するポリエーテルポリオールを構成するポリオール単位としては、1,3−プロパンジオール単位が全ポリオール単位に対して50モル%以上であることが必要である。好ましくは60モル%以上、より好ましくは、70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは100モル%である。1,3−プロパンジオール単位が50モル%より少ないと、ポリオールの粘度が高くなりすぎて操作性が悪くなったり、得られるポリウレタンが十分な強度や伸度を発現しにくくなる傾向にある。
このポリエーテルは、ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールであることがより好ましい。
それ以外のポリオール単位は特に限定されないが、たとえば、2−メチル−1,3−プロパンジオール単位、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位、1,2-エチレングリコール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。
この中でも、ポリエーテルポリオールを構成するポリオール単位のうち、3〜20モル%の2-メチルー1,3―プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、あるいは3−メチル−1,5−ペンタンジオールによって構成される共重合ポリトリメチレンエーテルグリコールが好ましい。さらには、すべて1,3−プロパンジオール単位で構成されるポリトリメチレンエーテルグリコールがもっとも好ましい。
ポリエーテルポリオールの原料となるポリオールは、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の2個の1級水酸基を有するジオールを用いるのが好ましい。
通常はこれらのポリオールを単独で用いるが、所望ならば2種以上のポリオールの混合物として用いることができる。特に1,3−プロパンジオールを単独で用いることが好ましい。
本発明においては、1,3−プロパンジオールの仕込み量は、原料の全ポリオールに対して、下限は50モル%以上であることが必要である。より好ましくは、下限は60モル%以上であり、特に好ましくは、70モル%以上であり、上限は通常、100モル%以下である。この含有量が少なすぎると、得られるウレタンで所望の物性が出なかったり、ポリエーテルポリオールの製造に時間がかかったり、収率が悪化したりする場合がある。
また、これらのジオールに主たるジオールの脱水縮合反応により得られた2〜9量体のオリゴマーを併用することができる。さらには、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のトリオール以上のポリオール、あるいはこれらのポリオールのオリゴマーを併用することもできる。しかしこれらの場合でも1,3−プロパンジオールが50モル%以上を占めるようにすることが好ましい。通常は1,4−ブタンジオールや1,5−ペンタンジオールなどの脱水縮合反応により5員環や6員環の環状エーテルを生成するものを除き、2個の一級水酸基を有する炭素数3〜10のジオール、またはこれと他のポリオールとの混合物であって他のポリオールの比率が50モル%未満のものを反応に供する。好ましくは、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオールよりなる群から選ばれたジオール、または1,3−プロパンジオールと他のポリオールとの混合物であって他のポリオールの比率が50モル%未満のものを反応に供する。さらに好ましくは、1,3-プロパンジオールに対して、3〜20モル%の2-メチルー1,3―プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、あるいは3−メチル−1,5−ペンタンジオールを共重合したものがよい。
ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を全ポリオール単位に対して50モル%以上含むポリエーテルポリオールは、特に本発明の効果を損なわない限り公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールとブレンドして使用してもよい。ブレンドするポリエーテルポリオールとしては、特に限定はないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、3−メチルテトラヒドロフランとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルポリオール(たとえば保土ヶ谷化学PTG−L1000,PTG−L2000,PTG−L3500など)、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルグリコールなどが挙げられる。上記のような公知の1,3-プロパンジオール単位を含まないポリエーテルポリ オールをブレンドする場合には、1,3-プロパンジオール単位を含まないポリエーテル ポリオールは脱水縮合反応で製造されなくてもよく、公知の技術で製造されていればよい。
ブレンドする量については特に限定はされないが、好ましくはポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールと公知のポリオールの重量比が、99:1〜1:99、好ましくは95:5〜5:95、より好ましくは90:10〜10:90、さらに好ましくは80:20〜20:80である。
また、ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールは、その末端水酸基をカプロラクトンでキャップしてABA型のポリオールにして使用してもよい。またエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのオキシランを反応させて末端をキャップして使用してもよい。
<ポリエーテルポリオールの製造方法>
本発明で原料として使用されるポリエーテルポリオールは、ポリオールを脱水縮合反応により製造され、且つ1,3−プロパンジオール単位を全ポリオール単位に対して50モル%以上含むものを用いることが必須条件となる。
本発明で使用されるポリオールの脱水縮合反応によるポリエーテルポリオールの製造は、回分方式でも連続方式でも行うことができる。例えば、回分方式の場合には、反応器に原料のポリオールおよび触媒の酸を仕込み、攪拌下に反応させればよい。アルカリ金属や塩基、4属及び13属からなる群から選ばれる金属の化合物を酸触媒と共存させてもよい。連続反応の場合には、例えば多数の攪拌槽を直列にした反応装置や流通式反応装置の一端から原料のポリオールと触媒を連続的に供給し、装置内をピストンフローないしはこれに近い態様で移動させて、他端から反応液を連続的に抜き出す方法を用いることができる。
脱水縮合反応の温度は、下限は通常120℃、上限は通常250℃であり、好ましくは、下限は140℃、上限は200℃であり、より好ましくは、下限は150℃、上限は190℃である。この温度が高すぎると着色が悪化する傾向があり、低すぎると反応速度が上がらない傾向がある。
反応は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。反応圧力は反応系が液相に保持される範囲であれば任意であり、通常は常圧下で行われる。所望ならば反応により生成した水の反応系からの脱離を促進するため、反応を減圧下で行ったり、反応系に不活性ガスを流通させてもよい。不活性ガスのかわりに水蒸気や有機溶媒を用いてもよい。
反応時間は触媒の使用量、反応温度および生成する脱水縮合物に所望の収率や物性などにより異なるが、下限は通常0.5時間、上限は通常50時間であり、好ましくは、下限は1時間、上限は20時間である。
なお、反応は通常は無溶媒で行うが、所望ならば溶媒を用いることもできる。溶媒は反応条件下での蒸気圧、安定性、原料および生成物の溶解性などを考慮して、常用の有機合成反応に用いる有機溶媒から適宜選択して用いればよい。
生成ポリエーテルポリオールの反応系からの分離・回収は常法により行うことができる。酸として不均一系触媒として作用するものを用いた場合には、まず濾過や遠心分離により反応液からけん濁している酸を除去する。次いで蒸留または水などの抽出により低沸点のオリゴマーや有機塩基を除去して、目的とするポリエーテルポリオールを取得する。均一系触媒として作用する酸を用いた場合には、まず反応液に水を加えてポリエーテルポリオール層と酸、有機塩基およびオリゴマーなどを含む水層を分層させる。なお、ポリエーテルポリオールの一部は触媒として用いた酸とエステルを形成しているので、反応液に水を加えた後、加熱してエステルを加水分解してから分層させる。この際、ポリエーテルポリオールおよび水の双方に親和性のある有機溶媒を水と一緒に用いると、加水分解を促進することができる。また、ポリエーテルポリオールが高粘度で分層の操作性がよくない場合には、ポリエーテルポリオールに親和性があり、かつ蒸留によりポリエーテルポリオールから容易に分離しうる有機溶媒を用いるのも好ましい。分層により取得したポリエーテルポリオール相は蒸留して残存する水や有機溶媒を留去し、目的とするポリエーテルポリオールを取得する。なお、分層により取得したポリエーテルポリオール相に酸が残存している場合には、水やアルカリ水溶液で洗浄したり、水酸化カルシウム等の固体塩基で処理して残存している酸を除去してから蒸留に供する。
得られたポリエーテルポリオールは、通常窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下にて保存しておく。
また、必要に応じて不飽和末端を低減してもよい。
たとえば、ポリトリメチレンエーテルグリコール及びそのコポリマーを、周期表4〜12族の群から選択される金属触媒の存在下に不飽和末端を水酸基に変換するという方法である。
周期表4〜12族の群から選択される金属触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、

ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀などが挙げられる。好ましい金属触媒は6〜11族の群から選択される金属触媒であり、その具体例としては、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金が挙げられる。更に好ましい金属触媒は8〜10族の群から選択される金属触媒であり、その具体例としては、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金が挙げられる。特に好ましい金属触媒は、ロジウム、パラジウム、ルテニウム又は白金であり、入手の容易性や価格面からパラジウムが最適である。
金属触媒は、1種類以上の他の金属との合金の形態、塩の形態、配位化合物の形態などを使用することが出来る。金属触媒は、担体に担持させることも出来る。担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト、粘土、活性白土などが挙げられる。金属の電子状態としては反応時に0価の状態で反応系中に存在していればよく、反応系に加える時点では例えばII価の状態の金属を触媒として選択することも可能である。 金属
触媒を担体に担持する場合の担持量は特に制限はないが、通常0.1%以上50%未満、好ましくは0.5%から20%、さらに好ましくは1%から10%である。
金属触媒としてパラジウムを例に挙げると、金属触媒の態様としては、微粉金属パラジウム、担持金属パラジウム触媒、例えば、炭素上のパラジウム、アルミナ担持パラジウム、シリカ担持パラジウム等が挙げられる。そのほかに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)クロリド、パラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)クロリド、ビス(ペンタンジオナト)パラジウム(II)、パラジウム(II)ビス(ベンゾニトリル)等が挙げられる。 触媒は別々に添加してその結果錯体や塩を形成させてもよい。
触媒は、不飽和末端基の低減速度を測定できるほど増加させるのに十分な量で用いられる。工業化で実用可能な時間、例えば24時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下で反応が所望の割合まで進行するような触媒濃度が好ましい。
金属触媒を担体に担持して使用する場合および微粉金属触媒として使用する場合の使用量は、その種類に応じて適宜選択されるが、たとえば5重量%のパラジウムを担体に担持した触媒の場合、ポリトリメチレンエーテルグリコール及びそのコポリマーの重量に対するドライベース基準の割合として、金属触媒(担体を除く)が通常0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%、更に好ましくは0.005〜0.25重量%である。
また金属触媒を錯体触媒や金属塩、たとえばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)クロリド、パラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)クロリド、ビス(ペンタンジオナト)パラジウム(II)、パラジウム(II)ビス(ベンゾニトリル)等として使用する場合の使用量は、その種類に応じて適宜選択されるが、ポリトリメチレンエーテルグリコールおよびそのコポリマーの重量に対して通常0.001%から10重量%、好ましくは0.001から5重
量%、より好ましくは0.005%から1重量%である。
この方法におけるポリアルキレンエーテルグリコールの金属触媒の存在下での処理による不飽和末端基の低減化(脱不飽和処理)は次の様に行われると推定される。すなわち、アリル末端から内部に2重結合が移動して1−プロペニル基末端が形成され、これが水と反応してプロピオンアルデヒドを脱離すると共に水酸基末端が形成される。脱不飽和処理に必要な水は、金属触媒に含有されている水を使用することが可能である。例えば、パラジウム担持活性炭は一般に50%程度の含水品として市販されている。しかしながら、1−プロペニル基末端を加水分解するのに必要な量以上(例えばポリアルキレンエーテルグ

リコールに対して約0.5重量%、好ましくは1重量%、更に好ましくは10重量%過剰量)の水分が反応系中に存在していることが好ましい。実用的な処理における水の量は、ポリアルキレンエーテルグリコール100重量部に対し、通常1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、更に好ましくは10〜20重量部である。
脱不飽和処理温度の上限は、ポリアルキレンエーテルグリコールの分解温度(T)より低い温度の範囲から選択され、通常T−20℃、好ましくはT−120℃、更に好ましくはT−200℃の温度が採用される。また、脱不飽和処理温度の下限は、通常25℃、好ましくは50℃である。反応温度が高い場合には加圧で脱不飽和処理を行うことも可能である。
脱不飽和処理は溶媒の存在下で行うことも可能である。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン等が挙げられる。溶媒の量は特に制限されないが、その上限は、ポリアルキレンエーテルグリコール対し、通常10重量倍、好ましくは2重量倍である。脱不飽和処理は、回分式または連続式の何れの形式であってもよい。連続式としては、例えば、金属触媒を充填したカラム型反応器に、ポリアルキレンエーテルグリコール/水/溶媒などの原料を連続的に供給する方法が挙げられる。
脱不飽和処理の触媒は、反応後に反応液と分離した後に、リサイクルすることも可能である。分離の方法としては、バッチ式の場合、例えば、ろ過、遠心分離などにより触媒を分離する方法が挙げられる。また、使用触媒を適当な溶媒で洗浄することも有効である場合がある。洗浄溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、水、酢酸エチル、1,3−プロパンジオール、トルエン、アセトン等が挙げられる。固定床反応器の場合には、これらの溶媒を使用して適当な温度で洗浄することにより触媒の活性をある程度回復させることが可能である。
上記の脱不飽和処理によるポリアルキレンエーテルグリコールの末端不飽和基の低減化率は、通常20%以上、好ましくは50以上%、更に好ましくは75%以上低減である。

<ポリエーテルポリオールの物性>
本発明で使用されるポリエーテルポリオールの数平均分子量は、用いる触媒の種類や触媒量により調整することができ、下限が通常80、好ましくは600、より好ましくは1000であり、上限が通常10000、好ましくは7000、より好ましくは5000である。
本発明で使用されるポリエーテルポリオールの分子量分布は、通常1.0〜5.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.0、さらにより好ましくは1.5〜2.2である。分子量分布が小さすぎても大きすぎても、ポリウレタンの製造時に生産性が悪くなったり、得られるポリウレタンの物性が悪かったりして好ましくない。
ポリエーテルポリオールのハーゼン色数は、0に近いほど好ましく、上限は通常、500であり、好ましくは400、より好ましくは200、最も好ましくは50である。
末端アリル基量の割合は、水酸基に対して、通常10%、好ましくは、5%、より好ましくは、1%、更に好ましくは、0%である。末端アリル基量が多すぎると、ポリウレタンおよびポリウレタンウレアの分子量を十分に上げられず所望の性能を出すことが難しくなる傾向がある。少なすぎる場合は、反応速度が上がりすぎてポリウレタンおよびポリウレタンウレア化反応でゲル等を発生させてしまう場合が考えられる。しかしながら、少なすぎる場合は、常法により、適量の一官能成分を反応系に共存させることで分子量が上がりすぎるという問題を回避することができる。
<(b)ポリイソシアネート化合物>
本発明において用いられるポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4′−MDI、パラフェニレンジイソシアネート、1,5− ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水添TDI)、1−イソシアネート−3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4′−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。本発明においては、特に反応性の高い芳香族ポリイソシアネートが好ましく、特にトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。またポリイソシアネートのNCO基の一部をウレタン、ウレア、ビュレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド等に変成した物であっても良く、さらに多核体には前記以外の異性体を含有している物も含まれる。
これらのポリイソシアネート化合物の使用量は、ポリエーテルポリオールの水酸基および鎖延長剤の水酸基およびアミノ基の1当量に対し、通常、0.1当量〜10当量、好ましくは0.8等量〜1.5等量、より好ましくは0.9等量〜1.05等量である。
ポリイソシアネートの使用量が多すぎると、未反応のイソシアネート基が好ましくない反応をおこし、所望の物性が得られにくくなる傾向があり、少なすぎると、ポリウレタンおよびポリウレタンウレアの分子量が十分に大きくならず、所望の性能が発現されない傾向がある。
<(c)鎖延長剤>
本発明でいう鎖延長剤は、主として、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のアミノ基を有する化合物、水に分類される。この中でも、ポリウレタン用途には短鎖ポリオール、具体的には2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を、ポリウレタンウレア用途には、ポリアミン化合物、具体的には2個以上アミノ基を有する化合物が好ましい。
この中で水については反応を安定におこなうために、できるだけ低減することが好ましい。
また、本発明のポリウレタン樹脂は、鎖延長剤として、分子量(数平均分子量)が500以下の化合物を併用すると、ポリウレタンエラストマーのゴム弾性が向上する為に、物性上さらに好ましい。
2個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香環を有するグリコール等があげられる。
2個以上のアミノ基を有する化合物としては、たとえば、2,4−もしくは2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4′−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
この中でも本発明において好ましいのは、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3-ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンである。これらの鎖延長剤は単独使用でも2種以上の併用でも良い。これらの鎖延長剤の使用量は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオール1当量に対し、通常0.1当量以上10当量以下である。

使用量が多すぎると、得られたポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂が硬くなりすぎて所望の特性が得られなかったり、溶媒にとけにくく加工が困難になる傾向があり、少なすぎると、やわらかすぎて十分な強度や弾性回復性能や弾性保持性能がえられなかったり、高温特性が悪くなる傾向がある。
本発明において対象とするポリウレタンおよびポリウレタンウレア樹脂をポリウレタン弾性繊維や合成皮革等の高性能ポリウレタンエラストマー用途に用いる場合は、原料の組み合わせとして以下の例が挙げられる。活性水素化合物成分の1つとして、上記式(1)の分子量500〜5000のポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、鎖延長剤として、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、キシリレンジアミン、2−メチル、1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール等、ポリイソシアネート成分として、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートや2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネートである。
また、ポリウレタン樹脂の分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。これらの鎖停止剤としては水酸基を有するエタノ
ール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール、アミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族モノアミンが例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でも良い。
<その他の添加剤>
さらに本発明のポリウレタン樹脂には上記以外に必要に応じて他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤としてはCYANOX1790(CYANAMID(株)製)、IRGANOX245、IRGANOX1010(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)、のSumilizer GA−80(住友化学(株)製)、あるいは2,6−ジブチル−4−メチルフェノール(BHT)等の酸化防止剤、TINUVIN622LD、TINUVIN765(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)、SANOL LS−2626、LS−765(以上、三共(株)製)等の光安定剤、のTINUVIN328、TINUVIN234(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)等の紫外線吸収剤、ジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等のシリコン化合物、赤燐、有機リン化合物、リン及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリリン酸アンンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモ

ン等の添加及び反応型難燃剤、二酸化チタン等の顔料、染料、カーボンブラック等の着色剤、カルボジイミド化合物等の加水分解防止剤、ガラス短繊維、カーボンファイバー、アルミナ、タルク、グラファイト、メラミン、白土等のフィラー、滑剤、油剤、界面活性剤、その他の無機増量剤、有機溶媒などが挙げられる。
<ポリウレタンの製造方法>
本発明のポリウレタン樹脂を製造するには、(a)ポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を全ポリオール単位に対して50モル%以上含むポリエーテルポリオールを原料とし、ハードセグメントの量が、10%より大きく30%より小さな割合 となるように製造すれば特に制限はないが、好ましくは、ポリエーテルポリオールの原料のほかに、(b)ポリイソシアネート化合物及び(c)鎖延長剤を原料とすることが好ましい。更に、これらの原料を非プロトン性溶媒存在下で反応を行うことがより好ましい。
上記ポリウレタン樹脂を製造するには一般的に実験/工業的に用いられる全ての製造方法が使用できるが、本発明では、非プロトン性溶媒の共存下にウレタン樹脂を製造することが特徴である。なお、各化合物の使用量は特に制限がない限り、上記記載の量を使用すればよい。
下記に非プロトン性溶媒の共存下における製造方法の一例を示すが、非プロトン性溶媒の共存下であれば特に制限されない。
製造方法の一例としては、(a)、(b)及び(c)を一緒に反応させる方法(一段法)や、まず(a)と(b)を反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、プレポリマーと(c)を反応させる方法(二段法)が挙げられる。
この中でも二段法は、ポリエーテルポリオールをあらかじめ1当量以上のポリイソシアネートと反応させることにより、ポリウレタンのソフトセグメントに相当する両末端イソシアネートで封止された中間体を調製する工程を経るものである。プレポリマーをいったん調製した後に鎖延長剤と反応させることにより、ソフトセグメント部分の分子量の調整が行いやすく、ソフトセグメントとハードセグメントの相分離がしっかりとなされやすく、エラストマーとしての性能を出しやすい特徴がある。特に鎖延長剤がジアミンの場合には、ポリエーテルポリオールの水酸基と比較して、イソシアネート基との反応速度が大きく異なるため、プレポリマー法でポリウレタンウレア化を実施することがより好ましい。
<1段法>
1段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、(a)、(b)及び(c)を一緒に仕込むことで反応を行う方法である。
各化合物の使用量は、上記記載の量を使用すればよい。
本発明では、一段法を無溶媒ではなく、有機溶媒の存在下に反応を行うことができる。使用される溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、クロルベンゼン、トリクレン、パークレン等のハロゲン化炭化水素類、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒およびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明では、これら有機溶媒の中でも、ポリウレタンを製造する場合は溶解性の観点から、非プロトン性極性溶媒が好ましく、本発明の特徴である。更に、非プロトン性極性溶媒の好ましい具体例を挙げると、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドがより好ましく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
ワンショット法(1段階で反応させる)の場合、NCO/活性水素基(ポリエーテルポリオールと鎖延長剤)の反応当量比は下限が通常、0.50、好ましくは0.8であり、上限が通常、1.5、好ましくは1.2の範囲である。
この比が大きすぎると、過剰のイソシアネート基が副反応を起こしてポリウレタンの物性に好ましくない影響を与える傾向があり、小さすぎると、得られるポリウレタンの分子量が十分にあがらず、強度や熱安定性に問題を生じる傾向がある。
反応は通常、各成分を0〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なる。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に生産性が悪く、また高すぎると副反応やポリウレタン樹脂の分解が起こるので好ましくない。反応は、減圧下脱泡しながら行っても良い。
また、反応は必要に応じて、触媒、安定剤等を添加することもできる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等があり、安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、ジ・ベ−タナフチルフェニレンジアミン、トリ(ジノニルフェニル)フォスファイト等があげられる。
<二段法>
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、あらかじめポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、通常、反応当量比=1.0〜10.00で反応したプレポリマーを製造し、次いでこれにポリイソシアネート成分または多価アルコール、アミン化合物等の活性水素化合物成分を加える2段階反応させることもできる。特にポリオール成分に対して当量以上のポリイソシアネート化合物を反応させて両末端NCOプレポリマーをつくり、つづいて鎖延長剤である短鎖ジオールやジアミンを作用させてポリウレタンを得る方法が有用である。
本発明では、二段法を無溶媒ではなく、有機溶媒を用いて行うことが特徴である。使用される溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸
エチル、酢酸ブチル等のエステル類、クロルベンゼン、トリクレン、パークレン等のハロゲン化炭化水素類、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒およびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明では、これら有機溶媒の中でも、ポリウレタンを製造する場合は溶解性の観点から、非プロトン性極性溶媒が好ましく、本発明の特徴である。更に、非プロトン性極性溶媒の好ましい具体例を挙げると、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドがより好ましく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
プレポリマーを合成する場合、(1)まず溶媒を用いないで直接ポリイソシアネート化合 物とポリエーテルポリオールを反応させてプレポリマーを合成しそのまま使用してもよいし、(2)(1)の方法でプレポリマーを合成しその後に溶媒に溶かして使用してもよいし、(3)はじめから溶媒を用いてポリイソシアネートとポリエーテルグリコールを反応させてもよい。(1)の場合には本発明では、鎖延長剤と作用させるにあたり、鎖延長剤を溶媒に溶かしたり、溶媒に同時にプレポリマーおよび鎖延長剤を導入するなどの方法により、ポリウレタンを溶媒と共存する形で得ることが重要である。
NCO/活性水素基(ポリエーテルポリオール)の反応当量比は下限が通常、1、好ましくは1.1であり、上限が通常、10、好ましくは5、より好ましくは3の範囲である。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるNCO基の当量に対して、下限が通常、0.8、好ましくは1であり、上限が通常、2、好ましくは1.2の範囲である。
この比が小さすぎると、過剰のイソシアネート基が副反応を起こしてポリウレタンの物性に好ましくない影響を与える傾向があり、小さすぎると、得られるポリウレタンの分子量が十分にあがらず、強度や熱安定性に問題を生じる傾向がある。
また反応時に一官能性の有機アミンやアルコールを共存させてもよい。
反応は通常、各成分を0〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なる。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に生産性が悪く、また高すぎると副反応やポリウレタン樹脂の分解が起こるので好ましくない。反応は、減圧下脱泡しながら行っても良い。
また、反応は必要に応じて、触媒、安定剤等を添加することもできる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等があり、安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、ジ・ベ−タナフチルフェニレンジアミン、トリ(ジノニルフェニル)フォスファイト等があげられる。 しかしながら、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施することが好ましい
<ポリウレタンの物性>
上記の製造方法で得られるポリウレタンは、溶媒存在下で反応を行っているため、溶液に溶解した状態で得られるのが一般的であるが、物性値としては溶液状態でも固体状態でも特に制限がない限り、状態に制限されない。
ポリウレタンの重量平均分子量は、用途により異なるが、ポリウレタン重合溶液として、通常1万〜100万、好ましくは、5万〜50万、より好ましくは、10万〜40万、特に好ましくは、10万〜30万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.9から2.3である。
繊維、フィルム、透湿性樹脂成形体としては、ポリウレタンの重量平均分子量は、通常1万〜100万、好ましくは、5万〜50万、より好ましくは、10万〜40万、特に好ましくは、15万〜35万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.9から2.3である。
本発明で得られるポリウレタン溶液は、ゲル化が進行しにくく、粘度の経時変化が小さいなど保存安定性がよく、また、チクソトロピー性も小さいため、フィルム、糸等に加工するためにも都合がよい。
ポリウレタンは、非プロトン性溶媒に溶解した溶液の全重量に対して、通常1〜99重量%、好ましくは、5〜90重量%、より好ましくは、10〜70重量%、特に好ましくは、15〜50重量%である。ポリウレタンの量が少なすぎると、大量の溶媒を除去することが必要になり生産性が低くなる傾向があり、多すぎると、溶液の粘度が高すぎて操作性や加工性が悪くなる傾向がある。
ポリウレタン溶液は、特に指定はされないが、長期にわたり保存する場合は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
<ポリウレタン成形体・用途>
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、多様な特性

を発現させることができて、フォーム、エラストマー、塗料、繊維、接着剤、床材、シーラント、医用材料、人工皮革等に広く用いることができる。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレアおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、注型ポリウレタンエラストマーに使用できる。例として、圧延ロール、製紙ロール、事務機器、プレテンロールなどロール類、フォークリフト、自動車車両ニュートラム、台車、運搬車などのソリッドタイヤ、キャスターなど、工業製品として、コンベアベルトアイドラー、ガイドロール、プーリー、鋼管ライニング、鉱石用ラバースクリーン、ギア類、コネクションリング、ライナー、ポンプのインペラー、サイクロンコーン、サイクロンライナーなどがある。また、OA機器のベルト、紙送りロール、スクシジー、複写用クリーニングブレード、スノープラウ、歯付ベルト、サーフローラーなどにも適用される。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、熱可塑性エラストマーとしての用途にも適用される。たとえば、食品、医療分野で用いる空圧機器、塗装装置、分析機器、理化学機器、定量ポンプ、水処理機器、産業用ロボットなどにおけるチューブやホース類、スパイラルチューブ、消防ホースなどとして使用できる。また丸ベルト、Vバルト、平ベルトなどのベルトとして、各種伝動機構、紡績機械、荷造り機器、印刷機械などに用いられる。また、履物のヒールトップや靴底、カップリング、パッキング、ポールジョイント、ブッシュ、歯車、ロールなどの機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、時計のベルトなどが例示できる。さらに自動車部品としては、オイルストッパー、ギアボックス、スペーサー、シャーシー部品、内装品、タイヤチェーン代替品などが挙げられる。またキーボードフィルム、自動車用フィルムなどのフィルム、カールコード、ケーブルシース、ベロー、搬送ベルト、フレキシブルコンテナー、バインダー、合成皮革、ディピンイング製品、接着剤などが例示できる。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、溶剤系二液型塗料としての用途にも適用可能であり、楽器、仏壇、家具、化粧合板、スポーツ用品などの木材製品に適用できる。またタールエポキシウレタンとして自動車補修用にも使用できる。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化方塗料などの成分として使用可能であり、たとえば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルムなどのオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコートなどとして適用できる。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、接着剤として、食品包装、靴、履物、磁気テープバインダー、化粧紙、木材、構造部材などに適用され、また低温用接着剤、ホットメルトの成分としても用いることができる。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジングなどに使用可能である。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、繊維加工剤の成分として、防縮加工、防皺加工、撥水加工などに使用できる。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレアおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、シーラント・コーキングとして、コンクリート打ち壁、誘発目地、サッシ周り、壁式PC目地、ALC目地、ボード類目地、複合ガラス用シーラント、断熱サッシシーラント、自動車用シーラントなどに使用できる。
本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、医療材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁など、また使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料などに使用できる。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレアおよびそのウレタンプレポリマー溶液は、末端を変性させた後にUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物などの原料としてもちいることができる。
特に、フィルムや繊維に用いられるのが本発明で製造されるポリウレタンの弾性性能や透湿性の特徴を生かす上で好ましく、これらの具体的用途としては、医療、衛生材料、人工皮革、および衣類用の弾性繊維に用いることが好ましい。
以上、本発明で製造されるポリウレタンおよびそのウレタンプレポリマー溶液を用いた用途例を述べたが、本発明はこれらの用途に限定されるものではない。
以下にフィルムと繊維の製造方法を記載するが、特に製法が制限されるわけではない。
<フィルムの製造方法>
フィルムの製造方法は特に指定はなく、公知の方法が使用できる。たとえばフィルムの製造方法として、支持体や離形材にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、凝固浴中で溶媒その他の可溶性物質を抽出する湿式製膜法と、支持体や離形材にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、加熱あるいは減圧等により溶媒を乾燥させる乾式製膜法が挙げられる。乾燥製膜する際に用いる支持体は特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレンフィルム、ガラス、金属、剥離材を塗布した紙はあるいは布等が用いられる。塗布の方式は特に限定されないが、ナイフコーター、ロールコーター、スピンコーター、グラビアコーター等の公知のいずれでもよい。
乾燥温度は乾燥機の能力によって任意に設定できるが、乾燥不十分、あるいは急激な脱
溶媒がおこらない温度範囲を選ぶことが必要である。好ましくは室温〜300℃、より好ましくは60℃〜200℃の範囲である。
<フィルムの物性>
本発明のフィルムの厚さは、通常、10〜1000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは、10〜100μmである。フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向があり、また薄過ぎると、ピンホールができやすかったり、またフィルムがブロッキングしやすく取り扱いにく
くなる傾向がある。また、このフィルムは、医療用粘着フィルムや衛生材料、包装材、装飾用フィルム、その他透湿性素材等に好ましく用いることができる。
またフィルムは布や不織布等の支持体に塗布したものでもよい。この場合は10μmよりもさらに薄くてもかまわない。
破断伸度は、通常100%伸張以上、好ましくは200%以上、より好ましくは300%以上、更に好ましくは500%以上、さらにより好ましくは800%以上である。
破断強度は、通常5MPa、好ましくは、10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、更に好ましくは30MPa以上、さらにより好ましくは60MPa以上である。
23℃における150%での弾性保持率(Hrn/Hn)は、1回目において通常10%以上、好ましくは、20%以上、より好ましくは、30%以上、更に好ましくは、40%以上である。5回目においては、通常30%以上、好ましくは、50%以上、より好ましくは、70%以上、更に好ましくは、85%以上である。
また、23℃における150%での弾性保持率(H2/H1)は、通常20%以上、好ましくは、40%以上、より好ましくは、50%以上、更に好ましくは、60%以上である。
23℃における300%伸張―収縮繰り返し試験での2回目の残留歪は、通常40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。また5回目における残留歪は、通常50%以下、好ましくは35%以下、さらに好ましくは25%以下、もっとも好ましくは20%以下である。
−10℃における残留歪は通常300%以下、好ましくは120%以下、より好ましくは100%以下、さらに好ましくは60%以下である。
−10℃における弾性保持率(Hr1/H2)は好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。
23℃における2回目の残留歪と−10℃における2回目の残留歪から算出される残留歪の劣化率は好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、さらに好ましくは150%以下である。
透湿性は、フィルム50μm厚みに換算すると、通常500g/m2・24h、好ましくは、1000g/m2・24h、より好ましくは、2000g/m2・24h、更に好ましくは、3000g/m2・24hである。
なお、ポリウレタンフィルムと糸の物性は非常に良い相関があり、フィルムの試験等で得られた物性値は、糸(繊維)においても同様の傾向を示す。
<ポリウレタンウレア樹脂および弾性繊維の製造方法>
本発明のポリウレタンの中でもポリウレタンウレアは各種用途に利用可能であるが、特に、弾性繊維用として利用した場合において優れた性能を発現するので、以下に、弾性繊維用のポリウレタンウレア樹脂を製造する場合の好ましい製造条件を例示する。
まず、MDIとポリオールの脱水縮合反応により得られる1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含むポリエーテルポリオールをNCO/OH=1.1〜3.0で反応
させ、末端NCO基のプレポリマーを製造する。反応は、必要応じて、BuOH、ヘキサノール等のモノオールをポリエーテルポリオールに対して500〜5000ppm程度添加して反応させても良い。また、この際には溶剤を使用せず、バルク状態で反応させると副反応が起きにくいので好ましい。得られたプレポリマーをジメチルアセトアミド(DMAc)あるいはジメチルホルムアミド(DMF)等の非プロトン性極性溶媒に溶解し、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは0〜10℃に冷却する。この際にプレポリマー溶液温度が高すぎると、次工程の鎖延長反応時に反応が速すぎて、不均一な反応となり、ゲル化等の異常反応が発生する可能性がある。また、低すぎるとプレポリマーの溶解に時間がかかったり、プレポリマーが十分に溶解せず析出してうまく反応が行えない場合がある。プレポリマー溶液の濃度については、特に限定はされないが、10重量%から90重量%、好ましくは20から70重量%、より好ましくは35〜50重量%である。次いで、冷却したプレポリマー溶液とプロパンジアミン、エチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン等のメチレン鎖長が6以下脂肪族ジアミン、あるいはキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンをDMAc、あるいはDMFに溶解させたアミン溶液とを反応させ鎖延長する。メチレン鎖長が長すぎる脂肪族ジアミンを単独で使用するとポリウレタン弾性繊維にした際に、物性が低下することがある。ジアミン鎖延長剤としてエチレンジアミンを主成分として50モル%以上用いることが好ましい。さらに好ましくは70モル%以上、さらにより好ましくは80%、さらに好ましくは90%以上用いることである。
反応性の高い脂肪族アミンを使用する場合には、触媒を加えないで反応を実施するのがよい。
本発明をポリウレタンウレア弾性繊維に適用する場合に使用されるジアミン鎖延長剤の合計量は、ポリウレタンウレア重合体に対して、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜15%、さらにより好ましくは3〜10%、さらにより好ましくは3〜9%のハードセグメント量を生じる量である。ハードセグメント量が多すぎるとポリウレタンウレア弾性糸またはフィルムを紡糸あるいはフィルム化する際の溶剤に溶けにくくなったり、繊維やフィルムとしての伸びが不十分であったりする。ハードセグメント量が少なすぎると、繊維やフィルムとして柔らかすぎたり、強度が弱すぎたり、弾性回復力や応力維持率が低く、残留歪が大きくなる可能性がある。
鎖延長反応終了後にジエチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族モノアミンのDMAc、あるいはDMF溶液を添加して反応を停止させる。この際、モノアミンをジアミンとあらかじめ混合しておいて、鎖延長反応と鎖停止反応を同時に進行させても良い。鎖延長反応はプレポリマー溶液をジアミン溶液に添加しても、またジアミン溶液をプレポリマー溶液に添加しても良く、また2液の定量吐出混合装置を使用して連続的に反応させても良い。得られた、ポリウレタンウレア樹脂溶液は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤等の添加剤を混合した後、必要に応じてフィルターで異物を除去した後、乾式紡糸や湿式紡糸法等の紡糸法によってポリウレタンウレア弾性繊維を製造する。
ポリウレタンウレアの重量平均分子量は、使用目的により異なるが、通常ポリウレタンウレア重合溶液として、通常1万〜100万、好ましくは、5万〜50万、より好ましくは、10万〜40万、特に好ましくは、10万〜30万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.9から2.3である。
弾性繊維としては、ポリウレタンウレアの重量平均分子量は、通常1万〜100万、好ましくは、5万〜50万、より好ましくは、10万〜40万、特に好ましくは、15万〜35万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.8から
2.5、より好ましくは1.9から2.3である。
本発明で得られるポリウレタンウレア溶液は、ゲル化が進行しにくく、粘度の経時変化が小さいなど保存安定性がよく、また、チクソトロピー性も小さいため、弾性糸を製造するために都合がよい。
この様にして得られたポリウレタンウレア弾性繊維は高い破断伸張性をもち、伸張時の変形歪に対して応力変動が小さく、伸縮時の応力のヒステリシス損失が小さく、低温条件下での伸縮後の残留歪みが小さい為に、肌着、レッグニット、ストッキング、オムツカバー、紙おむつのキャザー、ファウンデーション、ホウタイ、かつら基布、靴下口ゴム、スポーツ用衣類、水着、各種ベルト、幅細テープ、スポーツ、アウター用途等、高弾性、低温特性等が要求される分野でも使用出来る。
また、鎖延長剤として短鎖ポリオールを使用するポリウレタンから繊維を製造する方法に関しては、公知の技術を利用できる。
<ポリウレタン弾性繊維の物性>
ポリウレタン弾性繊維は、強度、破断伸度、伸張回復性、耐紫外線性、耐熱劣化性、耐加水分解性、低温特性などを総合面で他の弾性繊維よりも性能がよい。特に本発明の1,3−プロパンジオールを50モル%以上含有するポリオールの脱水縮合反応により得られたポリエーテルポリオールを用いた場合に、その特性が際立ってよい。
破断強度は通常0.1g/d以上、好ましくは0.9g/d以上である。破断伸度は通常300%以上、好ましくは500%以上、より好ましくは600%以上、さらにより好

ましくは650%以上である。
伸張回復率として、伸張率100%で24時間保持した後の回復率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上である。
紫外線耐性として、Fade−O−meterで45時間照射後の強度保持率は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
耐熱劣化性として、120℃にて24時間保持試験後の強度保持率は、試験前に比べて、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上である。
<ポリウレタン繊維の用途>
本発明のポリウレタンを用いた繊維は、更に用途を具体的に挙げると、レッグ、パンティー・ストッキング、おむつカバー、紙おむつ、スポーツ用衣類、下着、靴下、ファッション性に優れたストレッチ性の衣類、水着、レオタード等の用途に好ましく用いられる。これは、伸張回復性、弾性、耐加水分解性、耐光性、耐酸化性、耐油性、加工性等に優れているからである。
本弾性繊維の優れた透湿性は、衣類に使用される際に蒸れにくく、付け心地がよいという特徴をもつ。
また応力の変動率が小さいあるいはモジュラスが小さいという特性は、たとえば衣類として体につける際に小さな力でそでを通したりすることができ、小さな子供やお年寄りにとっても非常に脱着しやすいという特徴をもつ。またフィット感および運動追従性がよいことより、スポーツ用衣類やよりファッション性の高い衣類の用途で使用することができる。
また、繰り返しの伸張試験での弾性保持率が高いことより、繰り返しの使用に対してもその弾性性能がそこなわれにくいという特徴もある。
残留歪が小さいことより、弾性繊維としてへたりにくく、弾性を長く維持できる。
また、−10℃においての残留歪が小さく、応力保持性に優れているという点は、寒冷地での本材料を用いた製品の使用など、低温にさらされても、その弾性繊維としての特性を保持できるという利点がある。また、 23℃と−10℃における残留歪の差が小さい
点は、寒暖の差に関らず弾性繊維としての特性を保持できる利点がある。
以下に本発明の実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
<ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量>
実施例中、ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は水酸基価( KOH (mg)/g)より求めた。
<末端アリル基の分析>
ポリトリメチレンエーテルグリコールのアリル末端の割合は1H−NMR(BRUKE R製AVANCE400)により算出した。ポリウレタン物性はJIS−K6301に順じて測定した。
<ポリエーテルポリオールの分子量分布>
ポリエーテルポリオールの分子量分布の測定は、ポリエーテルポリオールのTHF溶液を調製し、GPC装置(東ソー(株)製,製品名:HLC−8220 (カラム:TSKgelSuperHZM−N(3本))を使用した。テトラヒドロフラン・キャリブレーシ ョン・キット(Polymer Laboratories社)を用いて検量線を作成した。
<ポリウレタンおよびポリウレタンウレア重量数平均分子量>
得られたポリウレタンおよびポリウレタンウレアの分子量の測定は、ポリウレタンのDMAC溶液を調製し、GPC装置(東ソー(株)製,製品名:HLC−8120 (カラム:TskgelH3000/H4000/H6000))を使用し、標準ポリスチレン換 算重量平均分子量を分子量とした。
<ハードセグメント量>
ハードセグメント量は、P.J.フローリー、Journal of American Chemical Society,58巻、1877〜1885項(1936)をもとにして、下記式のように計算した。
%HS=100(R-1)(Mdi+Mda)/[Mp+RMdi+(R-1)Mda+GcMc] ・・・・・式1
(アミン+イソシアネート結合部の重量)/(全体(ポリオール+イソシアネート+アミン+末端アリル基)の重量)
M=数平均分子量
Gc=末端アリル基の当量(ポリエーテルポリオール1モルあたりの末端アリル基のモ
ル数)
R=イソシアネートのモル数/(ポリエーテルポリオールの水酸基のモル数+末端
アリル基のモル数)
p=ポリエーテルポリオール
di=ジイソシアネート
da=ジアミン(モル平均分子量)
c=末端アリル基
<弾性保持率>
温度23℃(相対湿度55%)において、幅10mm、厚さ約50μmのフィルムを50mmの長さでセットし500mm/minの速度で300%まで引き延ばし、引き続いてもとの長さまで500mm/minの速度で収縮させた。これを5回繰り返した。n回目の伸長時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをHn、戻り時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをHrnとした。弾性保持率としてはn回目の伸張時の応力に対する戻りの応力を表す数値としてHr/H、n回目の伸張時の応力に対するn+1回目の応力の保持率はHn+1/Hnで表した。これらの値は大きい方が、弾性保持率が高く好ましい。
<残留歪み>
温度23℃(相対湿度55%)において、幅10mm、厚さ約50μmのフィルムを50mmの長さでセットし500mm/minの速度で300%まで引き延ばし、引き続いてもとの長さまで500mm/minの速度で収縮させた。これを5回繰り返した。n回目の伸張時の応力が立ち上がる点をn回目の残留歪みとした。
<−10℃での残留歪みおよび弾性保持率>
温度−10℃(相対湿度未測定)において、幅10mm、厚さ約50μmのフィルムを50mmの長さでセットし500mm/minの速度で300%まで引き延ばし、引き続いてもとの長さまで500mm/minの速度で収縮させた。これを2回繰り返した。1回目の伸長時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをH1、戻り時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをHr1、2回目の伸張時のSSカーブの150%モジュラスでの高さをH2とした。このときのHr1/H2を−10℃における弾性保持率とした。また2回目の伸張時の応力が立ち上がる点を−10℃での残留歪みとした。
<残留歪の劣化率>
23℃および−10℃での残留歪より、下式により残留歪の劣化率を算出した。
残留歪の劣化率(%) = {(-10℃での残留歪)−(23℃での残留歪)}/(2
3℃での残留歪)×100
<フィルム物性>
ポリウレタン樹脂試験片は幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状とし、JIS K6301に準じ、引張試験機((株)オリエンテック製,製品名:テンシロンUTM−III −100)を用いて測定した。チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)引張破断強度、引張破断伸度、100〜600%への応力変動率の測定を実施した。100〜600%の応力保持率とは、23℃引張試験での600%における応力の100%時における応力に対する倍率を示す。
参考例1
ポリトリメチレンエーテルグリコールの製造
<1,3−プロパンジオールの脱水縮合反応>
蒸留管、窒素導入管、水銀温度計および攪拌機を備えた1000mLの四つ口フラスコに1NL/minで窒素を供給しながら1,3−プロパンジオール500gを仕込んだ。これに炭酸ナトリウム0.348gを仕込んだ後、攪拌しつつ徐々に95重量%濃硫酸6.78gを添加した。このフラスコをオイルバス中に浸して加熱し、約1.5時間でフラスコ内液温を163℃に到達させた。フラスコ内液温が163℃になった時点を反応開始点とし、以後、液温を163℃に保持して18時間反応させた。反応により生成
した水は窒素に同伴させて留去した。
室温まで放冷された反応液を脱塩水500gが入った2Lの四つ口フラスコに移し、8時間還流させて硫酸エステルの加水分解を行った。水酸化カルシウム5.84gを加えて
、70℃にて2時間攪拌して中和した後、オイルバスで加熱しながら窒素バブリングして水の大部分を留去し、次いで、トルエンを加えて共沸脱水を行った。加圧ろ過にて固形物をろ別した後、エバポレーターでトルエンを留去した。更に、120℃にて2時間、5mmHgの減圧下でポリエーテルの乾燥を行い、ポリトリメチレンエーテルグリコール(A)を得た。NMRより求めた数平均分子量は1995、末端アリル基の割合は1.40%であった。
実施例1
3Lセパラブルフラスコにあらかじめ40℃に加温したリン酸5ppmを添加したポリトリメチレンエーテルグリコール(水酸基価より算出した数平均分子量2180、末端アリル基比率1.12%)1958.5gを加え、引き続いて40℃に加温したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)541.5gを加えた(NCO/OH比=2.39)。45℃のオイルバスにセットし、窒素気流下、碇型攪拌翼(150rpm)で攪拌しつつ、1時間かけてオイルバスの温度を70℃まで昇温し、その後70℃にて3時間、さらに80℃に昇温して2時間保持した。滴定によりNCOの反応率が98%を越えていることを確認した後に、プレポリマーを3Lのブリキ缶に移し、40℃の恒温槽にて一晩保持した。
プレポリマータンクにプレポリマー1792.5g、脱水ジメチルアセトアミド(DMAC、関東化学品)2689gを加え、室温にて攪拌し溶解させたのち、10℃に冷却し、保持した。アミンタンクにエチレンジアミン(EDA)/プロピレンジアミン(PDA)/ジエチルアミン(DEA)=74.3/18.6/7.1(モル比)の2%のDMAC溶液を調製し、10℃に冷却し保持した。注型機(2液定量吐出混合装置)を用いて、それぞれのタンクより計量ポンプ駆動モーター回転数をインバーターにて制御した計量ポンプで、アミン/NCO比が1.02を中心に0.98〜1.06まで0.02刻みで流量比を調整し全流量が120g/分となるように実験をおこない、それぞれ反応温度が安定したところでサンプルの採取をおこなった。(アミン/NCO=1.00の場合、プレポリマー溶液75.88g/分、アミン溶液を49.18g/分の流量)。パワーミキシングユニットでは、ミキサーはジャケットを10℃で冷却し、高速攪拌で混合して反応をおこない、ポリウレタンウレアのDMAC溶液を得た。この溶液を40℃の恒温槽にて一晩熟成した後に、GPCで分子量および分子量分布の測定を実施した。アミン/NCO=1.02付近のものから、重量平均分子量で18〜20万程度のポリウレタンウレアを選び、この溶液をガラス板上にキャストし、60℃にて乾燥させて厚さ約50μmのフィルムを得た。また、湿式紡糸法により弾性繊維を得た。
実施例2、比較例1,2,3
混合アミンのDMAC溶液の濃度を3%にした以外は実施例1と同様にしてポリウレタンウレアの合成、フィルム化を実施した。
表1からわかるように、末端アリル基を含有するポリトリメチレンエーテルグリコールについては、その分鎖停止剤となるモノアミンの量を低減させてやることで、分子量の調整が可能である。
Figure 2008248137
#末端アリル基の割合は、末端アリル基のモル数/末端水酸基のモル数*100で表される。
# 1官能成分mol% =(ポリオールの末端アリル基+モノアミン)÷(ポリオールの水酸基+ポリオールの末端アリル基+ ジアミン+モノアミン)であらわされる。
Figure 2008248137
このようにポリウレタン重合物のハードセグメント量を適切に選ぶことにより、優れた弾性性能および低温での耐久性を発現させることが可能である。

Claims (8)

  1. 1,3−プロパンジオール単位を50モル%以上含有するポリエーテルポリオール単位を少なくとも含むポリウレタンであって、ハードセグメントの量を、ポリウレタン重合体の全重量に対して、10%より高く30%より低い割合で含有することを特徴とするポリウレタン。
  2. ポリエーテルポリオールが、脱水縮合反応により得られるものである、請求項1に記載のポリウレタン。
  3. ポリエーテルポリオールの分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上であることを特徴とする請求項1〜2に記載のポリウレタン。
  4. 該ポリウレタンが非プロトン性溶媒の共存下において製造されることを特徴とする請求項1〜3に記載のポリウレタン
  5. ポリエーテルポリオールの数平均分子量が1500〜4500であることを特徴とする請求項1〜4に記載のポリウレタン。
  6. 請求項1〜5に記載のポリウレタンを成形してなるフィルム。
  7. 請求項1〜5にいずれか1項に記載のポリウレタンを成形してなる繊維。
  8. 弾性繊維であることを特徴とする請求項7に記載の繊維。
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