JP2008247803A - サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの新規な薬理用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの新規な薬理用途を提供すること。
【解決手段】 本発明は、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンを有効成分とする細胞増殖促進剤およびヒアルロン酸合成促進剤である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの新規な薬理用途に関する。
プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸とともに動物の軟骨を構成する主成分であり、保水性に優れるといった作用を持つことが古くから知られている。近年、酢酸と食塩とエタノールだけを用い、安全にかつ低コストでサケの鼻軟骨からプロテオグリカンを分離精製する技術が確立され(特許文献1)、プロテオグリカンの大量供給が可能になったことから、今日、その研究開発が精力的に行われている。しかしながら、プロテオグリカンが持つ薬理作用の全容は未だ明らかにされていない。
特許第3731150号公報
そこで本発明は、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの新規な薬理用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンが細胞増殖促進作用およびヒアルロン酸合成促進作用を持つことを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明は、請求項1記載の通り、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンを有効成分とする細胞増殖促進剤である。
また、請求項2記載の細胞増殖促進剤は、請求項1記載の細胞増殖促進剤において、細胞が皮膚線維芽細胞である。
また、本発明は、請求項3記載の通り、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンを有効成分とするヒアルロン酸合成促進剤である。
本発明によれば、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの新規な薬理用途としての細胞増殖促進剤およびヒアルロン酸合成促進剤を提供することができる。
本発明は、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンを有効成分とする細胞増殖促進剤およびヒアルロン酸合成促進剤である。サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンは、例えば、特許文献1に記載の方法に従い、ミンチにしたサケの鼻軟骨から溶出溶媒として酢酸を用いて粗プロテオグリカンを溶出した後、得られる溶出液を濾過してから遠心分離し、その上澄液に食塩飽和エタノールを加えて遠心分離することにより得られる粗プロテオグリカンを含む半固形沈殿物を酢酸に溶解し、次いで透析することにより分離精製することができる。このようにしてサケの鼻軟骨から得られるプロテオグリカンは、約300〜400kDaの分子量を有する高度に精製されたものであり、本発明の細胞増殖促進剤およびヒアルロン酸合成促進剤の有効成分として好適である。なお、特許文献1に記載の方法に従ってサケの鼻軟骨から得られるプロテオグリカンは、凍結乾燥粉末として既に市販もされている。
本発明の細胞増殖促進剤は、例えば、皮膚線維芽細胞に対して優れた増殖促進作用を持つので、医薬品として創傷の治癒や皮膚の新陳代謝の活性化などに適用することができる。その投与は、経口投与や非経口投与(例えば、皮下投与、直腸投与、経皮投与など)により行うことができる。投与に際してはそれぞれの投与方法に適した剤型に製剤化すればよい。製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、丸剤、トローチ剤、舌下錠、坐剤、軟膏、乳剤、懸濁剤、シロップなどが挙げられ、これら製剤の調製は、無毒性の賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、防腐剤、等張化剤、安定化剤、分散剤、酸化防止剤、着色剤、矯味剤、緩衝剤などの添加剤を使用して自体公知の方法にて行うことができる。無毒性の添加剤としては、例えば、でんぷん、ゼラチン、ブドウ糖、乳糖、果糖、マルトース、炭酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ペトロラタム、グリセリン、エタノール、シロップ、塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸、ポリビニルピロリドン、水などが挙げられる。製剤中における有効成分の含有量は、その剤型に応じて異なるが、一般に0.01〜100重量%の濃度であることが望ましい。製剤の投与量は、投与対象者の性別や年齢や体重の他、症状の軽重、医師の診断などにより広範に調整することができるが、一般に1日当り0.01〜300mg/Kgとすることができる。上記の投与量は、1日1回または数回に分けて投与すればよい。本発明の細胞増殖促進剤は、細胞増殖促進作用を発揮するに足る有効量を添加したクリーム剤などの化粧品の形態で上記の用途などに適用したり、種々の形態の食品(サプリメントを含む)として食したりしてもよい。また、本発明のヒアルロン酸合成促進剤は、生体内におけるヒアルロン酸の合成を促進するので、細胞の賦活化などによる皮膚の老化防止などに適用することができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:サケの鼻軟骨から分離精製されたプロテオグリカンのヒト皮膚線維芽細胞増殖促進作用
(実験方法)
100mmシャーレ内で、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF:Cascade Biologics社、Portland, OR, USA)を、10% fetal bovine serum(FBS)を含むminimum essential medium(MEM)中、5% CO2、37℃の条件でコンフレントになるまで培養した後、Ca2+-,Mg2+-free phosphate-buffered saline(CMF-PBS)で洗浄した。次いで、2%のFBSを含むMEMにサケの鼻軟骨から分離精製されたプロテオグリカン(PG)の凍結乾燥粉末(分子量344kDa、ヘキソサミン:ウロン酸:硫酸=1.00:0.99:0.67、和光純薬株式会社)を0.1%加えた培地を用い、HDFを35mmシャーレに3.0×104cells/ml播種して培養した。また、比較対照として、HDFを、PGを加えない2%のFBSを含むMEMのみで培養した。培養開始時、培養開始後それぞれ2日目、4日目、6日目、8日目に細胞を0.25%トリプシン処理し、遠心して細胞を回収し、MEMを1ml加えて細胞を浮遊させ、trypan blueと1:1で染色し、Burker-Turk計算盤で細胞数を計測した。
(試験結果)
結果を図1に示す。培地にPGを加えることで、ヒト皮膚線維芽細胞の増殖速度が顕著に上昇し、細胞数が増加した。従って、PGは細胞増殖促進作用を持つことがわかった。
参考例1:HDFのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性に対するPGの影響
HDFのMMP活性に対するPGの影響を調べるために、ゼラチンザイモグラフィーとカゼインザイモグラフィーを行った。
(実験方法)
実施例1に記載の条件でHDFを培養した培地を回収して試料とし、15mA/ゲル(ゲルサイズ;9mm x 8mm x 1mm)の定電流でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE;0.147%のゼラチンまたはカゼインを含む10%アクリルアミドゲル)を行った。泳動後のゲルを50mM Tris-HCl buffer(0.1M NaCl, 2.5% Triton X-100, pH7.5)中で、室温で1.5時間緩やかに振盪し、SDSにより変性したタンパク質の再生を行った。再生後のゲルを、50mM Tris-HCl buffer(0.1M NaCl, 10mM CaCl2, pH7.5)に浸し、37℃で一晩インキュベートした。その後、Coomassie Brilliant Blue R-250で染色後、ethanol:acetic acid:H2O(25:8:65)中で脱色し、さらにethanol:acetic acid:H2O(10:15:175)中で適度になるまで脱色した。酵素活性は青色背景に透明なバンドとして検出した。
(実験結果)
結果を図2に示す。ゼラチンザイモグラフィーでは、分子量67kDaの位置に酵素活性を示すバンドが検出されたが、酵素活性はPGの有無によって差はなかった(A:レーン1がPG非存在下での培養結果、レーン2が0.1%のPG存在下での培養結果)。カゼインザイモグラフィーでは、45kDaと47kDaの位置に酵素活性を示すバンドが検出され、このバンドはPGにより顕著に増強された(B:レーン1がPG非存在下での培養結果、レーン2が0.1%のPG存在下での培養結果)。
参考例2:HDFが産生するMMPの同定とPGの影響
参考例1で行ったザイモグラフィーで活性を示したMMPを同定するために、抗ヒトMMP-1、抗ヒトMMP-2、抗ヒトMMP-3の抗体を用いてwestern blottingを行った。
(実験方法)
実施例1に記載の条件でHDFを培養した培地を回収し、回収した培地2mlに、0.25units chondroitinase AC I Flavo(Flavobacterium heparinum, Seikagaku Corporation)を加え、37℃で2時間酵素消化を行った後、倒立遠心濾過チューブARTKISS MWCO10000(ADVANTEC)で1時間遠心濾過し、さらに硫安(80%飽和、560mg/ml ammonium sulfate)を加えて一晩静置により沈殿させて濃縮したものを試料とした。15mA/ゲル(ゲルサイズ;9mm x 8mm x 1mm)の定電流でSDS-PAGE(10% acrylamide)を行った後、ゲル中のタンパク質をHybond-ECL ニトロセルロース膜(7cm x 8cm, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ, USA)にtransbuffer(192mM glycine, 25mM tris aminometane, 20% methanolを含む)中でセミドライブロッターAE-6677S(ATTO Corporation)を用いて転写した。転写された膜は、blocking溶液(0.1% Tween 20および3%スキムミルクを含むTris buffered saline)中で室温、1時間ブロッキングを行い、その後、TBST溶液(0.1% Tween20を含むTris buffered saline)で溶解した抗ヒトMMP-1抗体、抗ヒトMMP-2抗体、抗ヒトMMP-3抗体(いずれも富士薬品工業株式会社)のそれぞれを4℃で一晩反応させた。膜を洗浄後、ECL anti-mouse IgG horseradish peroxidase-linked whole antibody from sheep(Amersham Biosciences)と室温で一時間反応させた。膜を洗浄後、ECL western blotting detection reagents(Amersham Biosciences)を加えて発色させ、Chemi Doc XRS(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)で化学発光を検出した。
(実験結果)
結果を図3に示す。抗ヒトMMP-1抗体を用いたものでは、分子量45kDaの位置にタンパク量を示すバンドが検出され、タンパク量はPGにより増加した(レーン1がPG非存在下での培養結果、レーン2が0.1%のPG存在下での培養結果)。抗ヒトMMP-2抗体を用いたものでは、分子量67kDaの位置にタンパク量を示すバンドが検出されたが、タンパク量はPGの有無によって差はなかった(レーン3がPG非存在下での培養結果、レーン4が0.1%のPG存在下での培養結果)。抗ヒトMMP-3抗体を用いたものでは、タンパク量を示すバンドは検出されなかった(レーン5がPG非存在下での培養結果、レーン6が0.1%のPG存在下での培養結果)。
参考例3:HDFが産生するMMPとヒアルロン酸合成酵素(HAS)の遺伝子発現に対するPGの影響
HDFが産生するMMPとHASのmRNA発現をRT-PCRによって調べた。
(実験方法)
実施例1に記載の条件で培養したHDFの細胞層をCMF-PBSで洗浄後、0.25%トリプシン処理を行い、遠心して細胞を回収し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN, Japan)とQIAshredder(QIAGEN)を用いて総RNAを抽出した。総RNAからOmniscript RT kit (QIAGEN) およびOligo(dT)15 primerを用いて、37℃60分、95℃3分の条件でcDNAへ逆転写した。このcDNAをPCRによって増幅した。増幅は10×PCR buffer、5×Q solution、dNTP mixture、senseとantisense primerおよびHotStarTaq DNA Polymerase(QIAGEN)を含む反応液中で行った。PCRのプライマーは、MMP-1遺伝子検出用としてsense,5’-CACAGCTTTCCTCCACTGCTGCTGC-3’(配列番号1);antisense,5’-GGCATGGTCCACATCTGCTCTTGGC-3’(配列番号2)、MMP-2遺伝子検出用としてsense,5’-ATGGCAAGGAGTACAACAGC-3’(配列番号3);antisense,5’-GCTGGTGCAGCTCTCATATT-3’(配列番号4)、MMP-3遺伝子検出用としてsense,5’-ATGAAGAGTCTTCCAATCCTACTGT-3’(配列番号5);antisense,5’- CATTATATCAGCCTCTCCTTCATAC-3’(配列番号6)、HAS1遺伝子検出用としてsense,5’-GTGAGTGGCTGTACAACGCG-3’(配列番号7);antisense,5’-AGAGGGACGTAGTTAGCGGC-3’(配列番号8)、HAS2遺伝子検出用としてsense,5’-TGGCATCACACCTCATCATC-3’(配列番号9);antisense,5’-ACCAATTGCGTTACGTGTTG-3’(配列番号10)、HAS3遺伝子検出用としてsense,5’-TTGGCTGTGTGCAGTGTATTAGT-3’(配列番号11);antisense,5’-GGTCTCTGTGAGGCACTTGG-3’(配列番号12)を用いた。また、コントロールとするGAPDH遺伝子検出用プライマーとしてsense,5’-CCACCCATGGCAAATTCCATGGCA-3’(配列番号13);antisense,5’-TCTAGACGGCAGGTCAGGTCCACC-3’(配列番号14)を用いた。PCRサイクルは、MMP-1とMMP-2とGAPDHについては1サイクル(95℃15分)、25サイクル(94℃1分、54℃1分、72℃1分)、1サイクル(72℃10分)とし、MMP-3については1サイクル(95℃15分)、30サイクル(94℃1分、54℃1分、72℃1分)、1サイクル(72℃10分)とし、HAS1とHAS2とHAS3については1サイクル(95℃15分)、35サイクル(94℃1分、61℃1分、72℃1分)、1サイクル(72℃10分)とした。
(実験結果)
結果を図4に示す。MMP-1とMMP-3の遺伝子発現レベルはPGによって顕著に上昇したが、MMP-2の遺伝子発現レベルはPGの有無によって差はなかった(A:レーン1がPG非存在下での培養結果、レーン2が0.1%のPG存在下での培養結果)。また、HAS2の遺伝子発現レベルはPGによって顕著に上昇したが、HAS1とHAS3の遺伝子発現レベルはPGの有無によって差はなかった(B:レーン1がPG非存在下での培養結果、レーン2が0.1%のPG存在下での培養結果)。
実施例2:HDFのヒアルロン酸合成に対するPGの促進作用
参考例3から、ヒアルロン酸合成の主要酵素であるHAS2の遺伝子発現レベルがPGによって上昇することがわかったので、HDFのヒアルロン酸合成量に対するPGの影響を、ホルマリン固定化ウマ赤血球を用いたヒアルロン酸コート観察と、ヒアルロン酸に取り込まれた[3H]glucosamineの放射活性測定によって調べた。
(実験方法)
(1)ヒアルロン酸コート観察
Glutaraldehyde stabilized horse red blood cells(コスモバイオ)をCMF-PBSで1.5%に希釈したformalin neutral buffer solutionで一晩固定し、CMF-PBSで3回洗浄した後、CMF-PBSで1.0×108cells/mlに希釈して、ホルマリン固定化ウマ赤血球とした。実施例1に記載の培地を用い、HDFを35mmシャーレに3.0×104cells/ml播種して3日間培養した。培地を除去した後、細胞にホルマリン固定化ウマ赤血球をかけて、位相差顕微鏡にて倍率100倍で鏡検し、細胞周囲を覆うヒアルロン酸コートを観察した。
(2)ヒアルロン酸への[3H]glucosamine取り込み測定
HDFを、種々の濃度のPGと、5μCi/ml [3H]glucosamine(specific activity 40Ci/mmol, ICR Radiochemicals, Irvine, CA, USA)を加えた2%のFBSを含むMEM中で3日間培養した後、培地を回収し、各培地にactinaseを最終濃度が0.1%になるように加えて45℃で3時間インキュベートした。その後50%トリクロール酢酸を反応液の1/5量だけ加えて混和し、0℃に放置した。これを遠心により除タンパクし、その上清に4倍量食塩飽和エタノールを加え、80%エタノール不溶画分を-20℃で沈殿させ、遠心して沈殿を得る洗浄操作を、この後さらに3回繰り返した。得られた80%エタノール不溶画分を2つに分け、一方に0.25M sodium acetate buffer(pH6.0)に溶解した6.25TRU Streptomyces hyaluronidase(Seikagaku Corporation)を、もう一方に0.25M sodium acetate buffer(pH6.0)のみを加え、37℃で一晩反応させた。4倍量食塩飽和エタノール沈殿を行い、得られた上清を液体シンチレーターEMULSIFIER-SAFE(Packard, MERIDEN, CT, USA)と1:4で混合し、放射活性をliquid scintillation counter LSC-5100(ALOKA Co. Ltd)で1サンプル4分間測定した。
(実験結果)
(1)ヒアルロン酸コート観察
結果を図5に示す。矢印で示すように、赤血球がかからない細胞周囲のヒアルロン酸量がPGによって増加した。
(2)ヒアルロン酸への[3H]glucosamine取り込み測定
結果を図6に示す。[3H]Glucosamineの放射活性は、PGの濃度が高くなるにつれて上昇したことから、PGは濃度依存的にHDFのヒアルロン酸合成を促進することがわかった。
参考例4:HDFが産生するMMP-1とMMP-3とHAS2の遺伝子発現に対する酵素消化PGの影響
PGのコアタンパク質と糖鎖のどちらに活性部位が存在するかを調べるために、PGの糖鎖をchondroitinaseで分解して得られるコアタンパク質と、PGのコアタンパク質をactinaseで分解して得られる糖鎖について、MMP-1とMMP-3とHAS2の遺伝子発現に対する影響を調べた。
(実験方法)
2.5%のPG溶液に、0.4units chondroitinase ABC protease free(Proteus vulgaris, Seikagaku Corporation)と、0.5M Tris-HCl buffer(pH8.0)を加え、37℃で1時間インキュベートすることでPGの糖鎖を分解した。また、2.5%のPG溶液に、1% actinaseと0.5M Tris-HCl buffer(10mM CaCl2, pH8.0)を加え、45℃で一晩インキュベートすることでPGのコアタンパク質を分解した後、トリクロール酢酸を用いて除タンパクを行い、bufferでpHを8.0に近づけた。このようにして得たPGのコアタンパク質と糖鎖を、それぞれPGとして0.1%に相当する量だけ加えた2%のFBSを含むMEMを用いてHDFを培養し、参考例3と同様にしてその細胞層から総RNAを抽出し、RT-PCRを行った。
(実験結果)
結果を図7に示す。PGのコアタンパク質はMMP-1とMMP-3とHAS2の遺伝子発現レベルを全て上昇させ(レーン1)、その程度は0.1%のPGを加えた場合(レーン4)とほぼ同じであった。一方、PGの糖鎖を加えてもこれらの遺伝子発現レベルは上昇せず(レーン2)、PG非存在下での培養結果(レーン3)と同じであった。
実施例と参考例のまとめ(考察)
PGは、細胞外マトリックス成分として細胞環境に有機的に組み込まれ、その場で細胞のHAS2の遺伝子発現レベルを上昇させることでヒアルロン酸合成を促して細胞増殖に適した環境形成に寄与するとともに、細胞環境を形成する構造タンパク質の代謝回転や細胞増殖の空間確保に重要な役割を担っている細胞のMMP-1とMMP-3の産生を促し、結果として細胞に対して増殖促進作用を発揮すると考えられた。
製剤例1:錠剤
サケの鼻軟骨から分離精製されたプロテオグリカンの凍結乾燥粉末、乳糖、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウムの各成分をよく混合してから打錠することで製造した。
製剤例2:カプセル剤
サケの鼻軟骨から分離精製されたプロテオグリカンの凍結乾燥粉末、乳糖、でんぷん、ステアリン酸マグネシウムの各成分をよく混合してからカプセルに充填することで製造した。
製剤例3:クリーム剤
サケの鼻軟骨から分離精製されたプロテオグリカンの凍結乾燥粉末、ステアリルアルコール、ステアリン酸、水添ラノリン、スクワラン、オクチルドデカノール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンセチルエーテル、モノステアリン酸グリセリン、防腐剤、香料、精製水から常法に従ってクリーム剤を製造した。
本発明は、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンの新規な薬理用途としての細胞増殖促進剤およびヒアルロン酸合成促進剤を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
実施例1におけるPGのHDF増殖促進作用を示すグラフである。 参考例1におけるHDFのMMP活性に対するPGの影響を示すザイモグラフィーの結果である。 参考例2におけるHDFが産生するMMPの同定とPGの影響を示すウェスタンブロットの結果である。 参考例3におけるHDFが産生するMMPとHASの遺伝子発現に対するPGの影響を示すRT-PCRの結果である。 実施例2におけるHDFのヒアルロン酸合成に対するPGの促進作用を示す位相差顕微鏡の写真である(ヒアルロン酸コート観察による)。 同、HDFのヒアルロン酸合成に対するPGの促進作用を示すグラフである(ヒアルロン酸への[3H]glucosamine取り込み測定による)。 参考例4におけるHDFが産生するMMP-1とMMP-3とHAS2の遺伝子発現に対する酵素消化PGの影響を示すRT-PCRの結果である

Claims (3)

  1. サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンを有効成分とする細胞増殖促進剤。
  2. 細胞が皮膚線維芽細胞である請求項1記載の細胞増殖促進剤。
  3. サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンを有効成分とするヒアルロン酸合成促進剤。
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