JP2008241747A - トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 トナー表面に露出している離型剤を除去するとともに、定着性、クリーニング性および帯電性に優れたトナーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 アルカン処理前のトナー粒子1aは、少なくとも結着樹脂2、着色剤(不図示)および離型剤3を含み、結着樹脂2中に離型剤3が均一な分散径で分散している。このようなアルカン処理前のトナー粒子1aを直鎖型アルカン処理すると、トナー粒子1a表面に露出していて、表面からの深さが700nm以下の領域に存在する離型剤3は、直鎖型アルカンに溶出し除去され、アルカン処理後のトナー1bが得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、トナーおよびその製造方法に関する。
高速化および省エネ化の流れに伴い、シャープメルト性の高い低温定着トナーが求められている。このようなトナーは定着ローラとの親和性が高く、定着時に定着ローラにオフセットしやすい傾向にあるため、トナーに離型剤を添加することによって、定着ローラから剥離しやすくしている。定着ローラからの離型性を満足させるために、トナーへの離型剤添加量は増加傾向にある。しかし離型剤添加量が多くなると、混練粉砕法によるトナー製法においては、トナー中の離型剤が粉砕界面となる確率が高く、離型剤の分布および分散の状態が最適な状態に制御されずに、離型剤として一般的に使用されているワックスがトナー表面に高濃度で露出し、トナーの粉体流動性や熱的凝集性が悪化してしまうため、トナーを実際に使用する際にブロッキング、フィルミングおよび融着等の問題が発生する。
こうした離型剤含有トナーの欠点を克服するために、離型剤をトナー中にカプセル化したトナーにより、トナー表面に露出する離型剤などの低分子量成分の割合を低減し、ブロッキングやフィルミングといった問題を抑えることが可能であるが、結着樹脂等の材料選択性が低いことや、カプセル化工程の制御が難しく、所望の被覆状態を得ることは困難であった。そこで従来から、トナー表面に露出した離型剤を除去することにより、上記のような問題を解決する試みがなされてきた。
第1の従来の技術では、離型剤を重合性単量体100重量部に対して10〜40重量部含有する懸濁重合によるトナー製法において、重合工程終了後に表面改質液を添加してトナー表面の離型剤を除去することにより、主に高温高湿下での耐久性が著しく改善されたトナーを得ることができる。表面改質液とは、界面活性剤、有機酸、有機酸塩、脂肪族アミン誘導体、水溶性有機溶剤、水酸化カリウム、リン酸、純水を組み合わせたものである(特許文献1参照)。
第2の従来の技術では、超臨界流体および亜臨界流体(臨界温度が低い二酸化炭素等が好ましい)の少なくともいずれかを用いて、トナー表面の離型剤を除去することにより、低温定着性、離型性、耐ブロッキング性などに優れ、かつ高温高湿下における耐久性が高いトナーを得ることができる(特許文献2参照)。
特開平7−128908号公報 特開2005−266621号公報
第1の従来の技術では、離型剤として低温溶融のワックスを多量に含有し、トナー最表面層におけるワックス存在比が5重量%以上である重合トナーについて、トナー表面成分中における離型剤の存在比を5重量%未満にし、高温高湿下での耐久性向上を図ることができるが、ワックス除去に伴うトナー表面への凹部形成によるクリーニング性向上の効果までは得られない。
第2の従来の技術では、加熱加圧下において超臨界流体や亜臨界流体で処理するために、大がかりな製造装置が必要となり、コストアップにもつながる。またトナー表面だけではなく、その内部まで離型剤が除去されるおそれがあるため、トナーの定着性能を確保することができない。
本発明の目的は、上記の従来の問題点を解決して、トナー表面に露出している離型剤を除去するとともに、定着性、クリーニング性および帯電性に優れたトナーおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、少なくとも、結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナーであって、
トナー表面からの深さが700nm以下の領域に存在する前記離型剤が、直鎖型アルカン中に溶出することによって除去されていることを特徴とするトナーである。
また本発明は、前記直鎖型アルカンが、n−ヘキサンおよびn−ヘプタンから選ばれるいずれか1つ以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記離型剤が、パラフィン系ワックスであることを特徴とする。
また本発明は、前記結着樹脂が、ポリエステルおよびポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記トナーを製造するトナーの製造方法であって、
少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を混合する前混合工程と、
前混合して得られる混合物を溶融混練する溶融混練工程と、
溶融混練して得られる混練物を粉砕し分級する粉砕工程と、
粉砕し分級して得られる粉砕物を前記直鎖型アルカン中で処理して、前記粉砕物に含まれる前記離型剤を溶出させるアルカン処理工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明は、前記アルカン処理工程で、超音波を照射することによって、前記粉砕物に含まれる前記離型剤を溶出させることを特徴とする。
また本発明は、前記アルカン処理工程で、前記直鎖型アルカン100重量部中に、前記粉砕物を1重量部以上10重量部以下添加して、前記粉砕物に含まれる前記離型剤を溶出させることを特徴とする。
本発明によれば、トナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤および離型剤を含み、トナー表面からの深さが700nm以下の領域(以下「トナー表層」という場合もある)に存在する離型剤が、直鎖型アルカン中に溶出することによって除去されている。トナー表面に露出した離型剤を直鎖型アルカンで溶出させ、トナー表層における離型剤を除去することにより、一成分現像方式のトナー規制ブレードへのトナーの融着や、感光体のクリーニングブレードに対する融着や、感光体や中間転写体にフィルミングなどが発生しない。また長期に比較的高温で保存されたトナーであっても、トナー表面に離型剤が存在しないため良好な流動性を維持できるので、トナーの配管詰りや補給不良が発生しない。
また離型剤の除去に伴いトナー表面に適度な凹凸が形成されるため、小粒径で円形度の高いトナーであってもクリーニング不良を招かない。また現像器内のキャリア表面に付着した外添剤をその凹凸の窪みによって掻きとることが出来るので、キャリアのトナーに対する帯電付与能力低下を防止することができる。
さらにトナー内部の離型剤は除去されずに残存するので、記録媒体に定着させる加熱ローラに対する離型性を確保することができる。
また本発明によれば、前記離型剤を溶出させる直鎖型アルカンは、n−ヘキサンおよびn−ヘプタンから選ばれるいずれか1つ以上である。低極性溶媒であるn−ヘキサンおよびn−ヘプタンを用いることによって、極性の小さい離型剤を溶出させることができ、トナー表層の離型剤を効率よく除去することができる。
また本発明によれば、離型剤が、パラフィン系ワックスである。低極性溶媒である直鎖型アルカンには、極性の小さいパラフィン系ワックスが溶出しやすく、トナー表層の離型剤を効率よく除去することができる。
また本発明によれば、結着樹脂が、ポリエステルおよびポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂を含む。結着樹脂がハイブリッド樹脂を含むことによって、これを介してポリエステルと離型剤との相溶性が改善され、結着樹脂中の離型剤の均一分散性が向上する。本来ポリエステルと離型剤とは相溶性が悪いので、ポリエステル中に離型剤を均一に分散させることは困難である。これに対して離型剤との相溶性が比較的高いビニル系共重合ユニットと、ポリエステルとの相溶性が高いポリエステルユニットとを含むハイブリッド樹脂をトナー用結着樹脂として用いることによって、トナー中の離型剤の分散性を向上させることができ、離型剤がトナー表面に露出することを防止することができる。またポリエステルとハイブリッド樹脂とを含む結着樹脂は、ハイブリッド樹脂を単独で用いる場合に比べて光沢性が高く、色再現性が良好であり、低温定着性に優れる。またポリエステルとハイブリッド樹脂とを含む結着樹脂は、耐高温オフセット性、製造時における粉砕性にも優れる。
また本発明によれば、前記効果を有するトナーを、前混合工程と、溶融混練工程と、粉砕工程と、アルカン処理工程とを含む製造方法によって得ることができる。前混合工程では、少なくとも結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを混合する。溶融混練工程では、前混合工程で得られる混合物を溶融混練する。粉砕工程では、溶融混練工程で得られる溶融混練物の固化物を粉砕して粉砕物を得る。アルカン処理工程では、粉砕工程で得られる粉砕物を直鎖型アルカン中で処理して、粉砕物に含まれる離型剤を溶出させて除去し、トナーを得る。
粉砕法により製造されたトナーは粉砕時に離型剤が粉砕界面となりやすく、表面に離型剤が露出しやすい。そのため、離型剤の効果が得られやすい反面、感光体表面のフィルミングや、クリーニングブレードへの融着や、トナーの保存安定性の低下や、キャリア表面の離型剤汚染が発生しやすい。粉砕法で製造されたトナーを直鎖型アルカンで処理することでこのような問題の原因であるトナー表層の離型剤を除去して、良好な離型性を保ちつつ上記不具合を防止することができる。
また本発明によれば、アルカン処理工程で、超音波を照射することによって、粉砕物に含まれる離型剤を溶出させる。直鎖型アルカンによる処理は、未外添のトナーに対して行う。未外添のトナーは流動性が悪く凝集しているため、直鎖型アルカン中に分散しにくい。そこで超音波振動を与えることでトナーの凝集物が解砕され分散が促進されるので離型剤を均一に直鎖型アルカンに溶出させることができる。また、溶出した離型剤をトナーから拡散遊離させるのでトナー表層に離型剤が残留することも無くなる。
また本発明によれば、アルカン処理工程で、直鎖型アルカン100重量部中に、粉砕物を1重量部以上10重量部以下添加して、粉砕物に含まれる離型剤を溶出させる。直鎖型アルカンの量はトナーを分散するに十分な容積が必要であり、直鎖型アルカン100重量部中に、粉砕物を1重量部以上10重量部以下の添加であれば、スターラー等により十分分散が可能である。粉砕物の添加量が10重量部を超えると、分散不良が起こりやすく効率よく離型剤除去が行えない。逆に粉砕物の添加量が1重量部未満では、トナー粒子は十分分散するが、直鎖型アルカンの量が過剰になるので効率が低下し、好ましくない。
本発明のトナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤および離型剤を含み、トナー表面からの深さが700nm以下の領域に存在する離型剤が、直鎖型アルカン中に溶出することによって除去されている。トナー表面に露出した離型剤を直鎖型アルカンで溶出させ、トナー表層における離型剤を除去することにより、一成分現像方式のトナー規制ブレードへのトナーの融着や、感光体のクリーニングブレードに対する融着や、感光体や中間転写体にフィルミングなどが発生しない。また長期に比較的高温で保存されたトナーであっても、トナー表面に離型剤が存在しないため良好な流動性を維持できるので、トナーの配管詰りや補給不良が発生しない。
また離型剤の除去に伴いトナー表面に適度な凹凸が形成されるため、小粒径で円形度の高いトナーであってもクリーニング不良を招かない。また現像器内のキャリア表面に付着した外添剤をその凹凸の窪みによって掻きとることが出来るので、キャリアのトナーに対する帯電付与能力低下を防止することができる。
さらにトナー内部の離型剤は除去されずに残存するので、記録媒体に定着させる加熱ローラに対する離型性を確保することができる。
図1は、本発明のトナーの一例を模式的に示す断面図である。図1(a)は、直鎖型アルカン処理を行う前のトナー粒子1aであり、図1(b)は、直鎖型アルカン処理を行った後の本発明のトナー1bである。アルカン処理前のトナー粒子1aは、少なくとも結着樹脂2、着色剤(不図示)および離型剤3を含み、結着樹脂2中に離型剤3が均一な分散径で分散している。このようなアルカン処理前のトナー粒子1aをアルカン処理すると、トナー粒子1a表面に露出している離型剤3は、直鎖型アルカンに溶出し除去され、アルカン処理後のトナー1bが得られる。
離型剤3は複数のドメインを形成して、アルカン処理前のトナー粒子1a中に分散している。離型剤3であるワックスのドメイン(以下「ワックスドメイン」という)とは、結着樹脂2の割合が高い連続相の領域であるマトリクス中に、結着樹脂2の割合が低く離型剤3の割合が高い閉じた界面を有する島状の相のことである。ワックスドメインの平均最長径が700nmであるので、アルカン処理前のトナー粒子1a表面に露出している離型剤3を直鎖型アルカンに溶出させて除去することによって形成される凹部の深さは、最大でトナー1b表面からの深さが700nmである。つまり本発明のトナー1b表面からの深さが700nm以下の領域における離型剤が除去されることになる。
トナーに含まれる離型剤を溶出させる直鎖型アルカンは、n−ヘキサンおよびn−ヘプタンから選ばれるいずれか1つ以上である。低極性溶媒であるn−ヘキサンおよびn−ヘプタンを用いることによって、極性の小さい離型剤を溶出させることができ、トナー表層の離型剤を効率よく除去することができる。
トナーに含まれる離型剤は、パラフィン系ワックスである。低極性溶媒である直鎖型アルカンには、極性の小さいパラフィン系ワックスが溶出しやすく、トナー表層の離型剤を効率よく除去することができる。
トナーに含まれる結着樹脂は、ポリエステルおよびポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂を含む。結着樹脂がハイブリッド樹脂を含むことによって、これを介してポリエステルと離型剤との相溶性が改善され、結着樹脂中の離型剤の均一分散性が向上する。本来ポリエステルと離型剤とは相溶性が悪いので、ポリエステル中に離型剤を均一に分散させることは困難である。これに対して離型剤との相溶性が比較的高いビニル系共重合ユニットと、ポリエステルとの相溶性が高いポリエステルユニットとを含むハイブリッド樹脂をトナー用結着樹脂として用いることによって、トナー中の離型剤の分散性を向上させることができ、離型剤がトナー表面に露出することを防止することができる。またポリエステルとハイブリッド樹脂とを含む結着樹脂は、ハイブリッド樹脂を単独で用いる場合に比べて光沢性が高く、色再現性が良好であり、低温定着性に優れる。またポリエステルとハイブリッド樹脂とを含む結着樹脂は、耐高温オフセット性、製造時における粉砕性にも優れる。
図2は、本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法の手順を示す工程図である。本実施の形態におけるトナーの製造方法は、ステップs1の前混合工程と、ステップs2の溶融混練工程と、ステップs3の粉砕工程と、ステップs4のアルカン処理工程とを含む。
〈前混合工程〉
ステップs1の前混合工程では、結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを混合する。本発明のトナーには、結着樹脂、着色剤および離型剤が必須の成分として含まれ、さらに帯電制御剤などのトナー添加剤を含有させてもよい。
本発明に用いられる結着樹脂は、ポリエステルおよびポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂を含むことが好ましい。ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂とは、ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとが化学的に結合した樹脂である。ハイブリッド樹脂としては、ブロック共重合体およびグラフト共重合体のいずれもが使用可能である。ハイブリッド樹脂の製造方法としては、ポリエステルモノマーと、ビニル系モノマーと、ポリエステルモノマーおよびビニル系モノマーの両モノマーと反応し得る両反応性モノマーとの存在下において、同一反応容器中で縮重合反応と付加重合反応とを同時に行う方法、または縮重合反応と付加重合反応とをそれぞれ独立に行う方法が挙げられるけれども、特に限定されることなく公知の方法を使用できる。
本発明で使用されるポリエステルおよびハイブリッド樹脂中のポリエステルユニットとしては、具体的に、下記の多価アルコールと多価カルボン酸成分とから合成することができる。多価アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物などの2価アルコールを挙げることができる。
またポリマーを非線状化するために3価以上の多価アルコールを使用することができる。3価以上のアルコール成分としては、グリセリン、ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
また多価カルボン酸成分としては、たとえば、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロへキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アルキルコハク酸(たとえば、n−オクチルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸)などの2塩基性カルボン酸、それらの酸無水物およびアルキルエステルが挙げられる。
またハイブリッド樹脂中のビニル系共重合体ユニットとしては、従来公知のものが使用可能であるけれども、粉砕性、帯電特性などを考慮すると、スチレン系モノマー、アクリル酸エステルモノマーもしくはメタクリル酸エステルモノマーを構成単位とすることが好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ter−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルメチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどが挙げられる。アクリル酸エステルモノマーもしくはメタクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェートなどが挙げられる。これらの中でも特にアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メクタリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどが好ましい。
両反応性モノマーとしては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル類などが挙げられる。これらのうちフマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸は、ポリエステルおよびハイブリッド樹脂の多価カルボン酸成分としても使用される。またこれらのうちメタクリル酸エステル類は、ハイブリッド樹脂のメタクリル酸エステルモノマーとしても使用される。
結着樹脂中におけるポリエステルとハイブリッド樹脂との比率は、3:1〜10:1であることが好ましい。ポリエステルとハイブリッド樹脂との比率を上記範囲に設定することによって、ポリエステルの有する光沢性、色再現性および低温定着性と、ハイブリッド樹脂の有する離型剤との相溶性、耐高温オフセット性、および粉砕性とを同時に達成することができる。
着色剤としては、トナー用途に常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。
着色剤は、マスターバッチとして使用されることが好ましい。着色剤のマスターバッチは、ポリエステル樹脂と着色剤とを混練することによって製造することができる。ポリエステル樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないけれども、好ましくはポリエステル樹脂100重量部に対して30重量部以上100重量部以下である。マスターバッチは、たとえば粒径2〜3mm程度に造粒されて用いられる。
着色剤のトナー母体中での含有量は特に制限されないけれども、好ましくはトナー粒子全量の2重量%以上8重量%以下である。マスターバッチを用いる場合、前記含有量はマスターバッチ量ではなく、トナー母体中に含まれる着色剤自体の量である。したがってマスターバッチを用いる場合、トナー母体中に含まれる着色剤の含有量が前記範囲になるように、マスターバッチの使用量を調整することが好ましい。着色剤の含有量は、各色で同じ含有量としてもよく、色ごとに異なる含有量としてもよい。着色剤を前記範囲で用いることによって、十分な画像濃度を有し、透明性および発色性が高く画像品位に優れる良好な画像を形成することができる。
離型剤としてはワックスが用いられ、たとえば、パラフィン系ワックスおよびその誘導体、ならびにマイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子ポリプロピレンワックスおよびその誘導体、ならびにポリオレフィン系重合体ワックスおよびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミドなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられるが、均一分散性および微分散性の面からは、パラフィン系ワックスが好ましい。また低極性溶媒である直鎖型アルカンへの溶解度の面からは、極性の小さいパラフィン系ワックス、木蝋、蜜蝋などが好ましい。特にパラフィン系ワックスが好ましい。これによってトナー表層の離型剤を効率よく除去することができる。
また離型剤の融点としては、示差走査熱量測定において、離型剤の融解由来の吸熱ピークのピーク温度が50〜100℃の範囲にあることが好ましい。離型剤の融点が上記範囲であると、耐高温オフセット性を確保することができる。
離型剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、トナー粒子全量の1.5重量%以上8.0重量%以下の割合で含まれることが好ましい。離型剤が1.5重量%未満であると、定着手段として用いられる加熱ローラに対する離型性を発揮することができず、加熱ローラにトナーが付着する高温オフセットが発生するおそれがある。離型剤が8.0重量%を超えると、感光体表面に離型剤の薄い膜を形成するフィルミングが発生するおそれがある。離型剤をトナー粒子全量の1.5重量%以上8.0重量%以下とすることによって、フィルミングおよび高温オフセットの発生を防止することができる。
トナー原料には、結着樹脂、着色剤および離型剤の他に、帯電制御剤などの添加剤が含有されてもよい。帯電制御剤としては、正電荷制御用または負電荷制御用の公知の帯電制御剤を使用できる。帯電制御剤の添加によって、トナーの摩擦帯電量を好適にすることができる。正電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、およびアミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、オイルブラックおよびスピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、ならびに樹脂酸石鹸などが挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。帯電制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくはトナー粒子全量の0.1重量%以上3重量%以下である。
ステップs1の前混合工程では、上記のような結着樹脂と、着色剤と、離型剤と、必要に応じて用いられる帯電制御剤とを、混合機を用いて乾式混合する。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。混合機によるトナー粒子原料の混合が十分に行われると、ステップs2の溶融混練工程に移る。
〈溶融混練工程〉
ステップs2の溶融混練工程では、前混合工程で得られた混合物と、前混合工程で得られた混合物が少なくとも1回以上溶融混練された予備混練物とを含む混練対象物を溶融混練する。
予備混練物としては、たとえば後述のステップs3における粉砕工程での粉砕および分級によって発生し、トナー粒子として用いることが困難であるたとえば粒径2μm以下の微粉を用いることができる。
予備混練物は、トナー原料を含む混合物が少なくとも1回以上溶融混練されてなる。したがって、予備混練物中にはハイブリッド樹脂のビニル系共重合ユニットが均一に分散され、このビニル系共重合ユニットと混合物中のビニル系共重合ユニットとの相互作用によって、混練対象物中にビニル系共重合ユニットを効率よく分散させることが可能となる。これによって、ビニル系共重合ユニットとの相溶性が高い離型剤を混練対象物中に分散させることが容易となり、離型剤の分散径を小径化することができる。予備混練物は、ステップs1の前混合工程にてトナー原料とともに混合されることが好ましい。
溶融混練工程では、前混合工程で得られた混合物と、前混合工程で得られた混合物が少なくとも1回以上溶融混練された予備混練物とを含む混練対象物を、結着樹脂の軟化点以上、熱分解温度未満の温度に加熱して溶融混練する。これによって、結着樹脂が軟化され、結着樹脂中に着色剤、離型剤などが分散される。溶融混練時における具体的な加熱温度は、たとえば80℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上150℃以下程度である。
溶融混練には、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの混練機を用いることができ、このような混練機としては、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機などが挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行っても構わない。混練対象物の溶融混練が十分に行われると、ステップs3の粉砕工程に移る。
〈粉砕工程〉
ステップs3の粉砕工程では、溶融混練工程で得られた溶融混練物の固化物を粉砕してトナー粒子を得る。ステップs2の溶融混練工程で得られた溶融混練物は、たとえば冷却されて固化される。溶融混練物の固化物は、ハンマーミルまたはカッターミルなどによって、100μm〜5mm程度の粒径を有する粗粉砕物に粉砕された後、このような粗粉砕物を、たとえば超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機または高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナー)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いて溶融混練物の固化物を所望の粒径にまで粉砕し、トナー粒子を得る。
また粉砕機による粉砕後、トナー粒子から微粉を除去するために、分級が行われる。除去された微粉は、前述のステップs2において、予備混練物として用いられる。
粉砕および分級は、トナー粒子の体積平均粒径が3μm以上15μm以下となるように行う。特に高画質画像を得るためには、トナー粒子の体積平均粒径を3μm以上9μm以下とすることが好ましく、さらに画質の向上を図るためには、トナー粒子の体積平均粒径を5μm以上8μm以下とすることが好ましい。トナー粒子の体積平均粒径が3μm未満であると、トナーの粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化および低流動化が起こるおそれがある。この高帯電化および低流動化が発生すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー粒子の体積平均粒径が15μmを超えると、トナーの粒径が大きいので、高精細な画像を得ることができない。またトナーの粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。粉砕工程においてトナー粒子が得られると、ステップs4のアルカン処理工程に移る。
〈アルカン処理工程〉
ステップs4のアルカン処理工程では、粉砕工程で得られたトナー粒子をアルカン処理する。アルカン処理としては、たとえばトナー粒子を直鎖型アルカン中に投入し、トナー粒子に含まれる離型剤を直鎖型アルカン中に溶出させる。このように離型剤を除去した後常温で乾燥させて、本発明のトナーが得られる。
図3は、アルカン処理工程を説明する概略図である。容器4にたとえばn−ヘキサンなどのアルカン溶液5と攪拌子6とを入れ、攪拌子6で攪拌しながら、トナー粒子1aを入れ、さらに攪拌して、トナー粒子1a表面に露出している離型剤3を除去する。その後分散液をろ過吸引器7によって吸引ろ過し、ろ過フィルター8上に残った沈殿物9を乾燥させて、トナー1bを得る。
離型剤を溶出させる溶媒として、低極性溶媒である直鎖型アルカンが用いられ、直鎖型アルカンの炭素数は6以上とすることが好ましい。炭素数が6未満であると、沸点が室温に近くなり超音波振動を加えて使用するなどすると、急激に揮発してしまい、離型剤の溶出が抑制されてしまう。また、炭素数は6以上であれば特に限定されるものではない。
直鎖型アルカンは、特にn−ヘキサンおよびn−ヘプタンから選ばれるいずれか1つ以上とすることが好ましい。低極性溶媒であるn−ヘキサンおよびn−ヘプタンから選ばれるいずれか1つ以上を用いることによって、極性の小さい離型剤を溶媒に溶出させることができ、トナー表層の離型剤を効率よく除去することができる。たとえば溶媒として、n−ヘキサンまたはn−ヘプタンを単独で用いてもよいし、n−ヘキサンおよびn−ヘプタンの混合溶媒としてもよい。
アルカン処理工程では、直鎖型アルカン100重量部中に、トナー粒子を1重量部以上10重量部以下添加して、トナー粒子に含まれる離型剤を溶出させる。直鎖型アルカンの量はトナーを分散するに十分な容積が必要であり、直鎖型アルカン100重量部中に、トナー粒子を1重量部以上10重量部以下の添加であれば、スターラー等により十分分散が可能である。
たとえばn−ヘキサンに対するパラフィン系ワックスの溶解度は最も低いものでも室温で20g/100gである。トナーの一般的な離型剤含有率は10重量%以下であるので、200gのトナーに含まれている離型剤を100gのn−ヘキサンで溶出できることになる。実質的にはn−ヘキサンの量はトナーを分散するに十分な容積が必要であるので、一般的なトナーのかさ密度0.3g/cmとn−ヘキサンの密度0.659g/cmとから、n−ヘキサン100重量部に対するトナー10重量部の容積比は、およそ1/5であるので、スターラー等により十分分散が可能である。トナー粒子の量が10重量部を超えると、分散不良が起こりやすく効率よく離型剤除去が行えない。逆にトナー粒子の量が1重量部未満では、トナー粒子は十分分散するが、直鎖型アルカンの量が過剰になるので効率が低下し、好ましくない。
アルカン処理工程では、超音波を照射することが好ましい。超音波を照射することによって、トナー粒子に含まれる離型剤をより効率よく除去することができる。直鎖型アルカンによる処理は、未外添のトナーに対して行う。未外添のトナーは流動性が悪く凝集しているため、直鎖型アルカン中に分散しにくい。そこで超音波振動を与えることでトナーの凝集物が解砕され分散が促進されるので離型剤を均一に直鎖型アルカンに溶出させることができる。また、溶出した離型剤をトナーから拡散遊離させるのでトナー表層に離型剤が残留することも無くなる。
またトナー粒子を直鎖型アルカン中に投入してから、分散液をろ過するまでのアルカン処理時間は、好ましくは1秒以上30秒以下である。離型剤は直鎖型アルカン中に投入されると速やかに直鎖型アルカン中に溶出する。アルカン処理時間が1秒未満では、離型剤が十分に直鎖型アルカンに溶出せず、30秒を超えると、溶出する離型剤の量は変わらないので効率が低下する。
このようにトナー粒子がアルカン処理されることによって、トナー表層に存在する離型剤が除去されるので、一成分現像方式のトナー規制ブレードへのトナーの融着や、感光体のクリーニングブレードに対する融着や、感光体や中間転写体にフィルミングなどが発生しない。また長期に比較的高温で保存されたトナーであっても、トナー表面に離型剤が存在しないため良好な流動性を維持でき、トナーの配管詰りや補給不良が発生しない。
また離型剤の除去に伴いトナー表面に適度な凹凸が形成されるため、小粒径で円形度の高いトナーであってもクリーニング不良を招かない。また現像器内のキャリア表面に付着した外添剤をその窪みによって掻きとることが出来るので、キャリアのトナーに対する帯電付与能力低下を防止することができる。
さらにトナー内部の離型剤は除去されずに残存するので、トナーの、記録媒体に定着させる加熱ローラに対する離型性を確保することができる。
以上のようにして得られた本発明のトナーには、流動性を向上させるための流動性向上剤を外添してもよい。流動性向上剤としては、公知のものが使用でき、たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ステアリン酸金属塩粒子、フッ素系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子などが挙げられる。流動性向上剤は、1種を単独で使用することができ、または2種以上を併用できる。流動性向上剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは、トナー100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。
本発明のトナーは、それ自体で1成分現像剤として用いることも可能であるが、キャリアと混合して2成分現像剤として用いることもできる。キャリアとしては特に制限されず、この分野で常用されるものを使用できる。キャリアとしては、公知の磁性粒子を使用できる。磁性粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
また、磁性粒子に樹脂を被覆したもの、樹脂中に磁性粒子を分散させたもの(樹脂分散型キャリア)などをキャリアとして用いてもよい。磁性粒子に被覆する樹脂としては特に制限はないけれども、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアのための樹脂としても特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)に例をとれば、現像剤中に、トナーが現像剤全量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。本発明の2成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率が40〜80%であることが好ましい。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、特に限定されるものではない。以下において、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。実施例および比較例における離型剤の融点、トナーの体積平均粒径、離型剤の平均分散径は、以下のようにして測定した。
[離型剤の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を離型剤の融点として求めた。
[トナーの体積平均粒径]
100mLビーカーに、塩化ナトリウム(1級)の1%水溶液(電解液)を20mL入れ、これにアルキルベンゼンスルホン酸塩(分散剤)0.5mLおよびトナー試料3mgを順次添加し、5分間超音波分散した。これに全量が100mLになるように塩化ナトリウム(1級)の1%水溶液を添加し、再度5分間超音波分散したものを測定用試料とした。この測定用試料について、コールターカウンターTA−III(商品名、コールター社製)を用い、アパーチャー径100μm、測定対象粒径が個数基準で2〜40μmの条件下に測定を行い、体積平均粒径を算出した。
[離型剤の平均分散径]
粉砕工程後であってアルカン処理工程前のトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂に包埋して得られた固化物を、ダイヤモンド歯を備えるミクロトームを用い、約100μm厚みに超薄切片化し、四酸化ルテニウムによって染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:H−8100、株式会社日立製作所社製)によって20000倍でトナーの断面観察を行うことによって、ワックスドメインの分散状態および最長径を確認した。1つのトナー粒子につき10個のワックスドメインの最長径を測定し、さらにトナー粒子100個について測定したワックスドメインの最長径の個数平均値を、離型剤の平均分散径とした。
〈ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂の製造例〉
付加重合反応モノマーとしてスチレン15mol、メタクリル酸ブチル5mol、重合開始剤としてt-ブチルハイドロパーオキサイド0.2molを滴下漏斗に入れ、付加重合、縮重合両反応性モノマーとしてフマル酸:15mol、縮重合反応モノマーとして無水トリメリット酸:5mol、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド:5mol、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド:4mol、エステル化触媒としてジブチルスズオキシド6molをステンレス撹拌棒、流下式コンデンサー、窒素ガス導入管および温度計を装備したフラスコに入れ、窒素雰囲気下にて140℃で撹拌しつつ、滴下漏斗から付加重合系原料をあらかじめ混合したものを5時間かけて滴下した。終了後130℃に保ったまま6時間熟成した後、230℃に昇温して反応して、ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂を得た。
(実施例1)
[トナー粒子作製工程]
ポリエステル(商品名:ハイマー、三洋化成株式会社製) 70.2%
ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂 14.9%
離型剤(商品名:HNP−10、日本精鑞株式会社製、融点75℃) 8.6%
着色剤(C.I.ピグメントレッド122) 4.5%
帯電制御剤(商品名:TN−105、保土ヶ谷化学工業株式会社製) 1.8%
上記配合割合のトナー原料45kgを、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)によって10分間混合し、この原料混合物を、オープンロール型連続混連機(商品名:MOS320−1800、三井鉱山株式会社製)で溶融混練した。このときのオープンロールの設定条件は、加熱ロールの供給側温度が140℃、排出側温度が70℃、冷却ロールの供給側温度が80℃、排出側温度が15℃であった。加熱ロールおよび冷却ロールとしては、ともに直径が320mm、有効長が1550mmであるロールを用い、供給側および排出側におけるロール間ギャップをいずれも0.3mmとした。加熱ロールの回転数を75rpm、冷却ロールの回転数を65rpmとし、トナー原料の供給量を30kg/hとした。このようにして得られた混練物を室温まで冷却した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。続いて、粗粉砕によって得られた粗粉砕物をカウンタージェットミルによって微粉砕した後、ロータリー式分級機によって過粉砕トナーを分級除去し、体積平均粒径が7.0μmであるトナー粒子を作製した。
[アルカン処理工程]
2Lビーカーにn−ヘキサン(キシダ化学株式会社製)1425gと攪拌子を入れ、スターラーで攪拌しながら、トナー粒子作製工程で得られた、トナー粒子75gを入れ、10秒攪拌して、トナー表面に露出している離型剤を除去した。トナー粒子の体積平均粒径は5〜7μmであった。その後分散液を吸引ろ過し、ろ紙上に残ったトナーを35℃/5%RHの恒温恒湿槽内で乾燥させて、実施例1のトナーを得た。用いたろ紙(ADVANTEC社製)は、材質ポリテトラフルオロエチレン(略称PTFE)、メッシュ径0.2μmであった。
(実施例2)
アルカン処理工程以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。
[アルカン処理工程]
2Lビーカーにn−ヘキサン(キシダ化学株式会社製)1425gと攪拌子を入れ、スターラーで攪拌しながら、トナー粒子作製工程で得られた、トナー粒子75gを入れ、ビーカー内に超音波振動棒を浸して28kHzで振動させながら10秒攪拌して、トナー表面に露出している離型剤を除去した。トナー粒子の体積平均粒径は7μmであった。その後分散液を吸引ろ過し、ろ紙上に残ったトナーを35℃/5%RHの恒温恒湿槽内で乾燥させて、実施例2のトナーを得た。用いたろ紙(ADVANTEC社製)は、材質ポリテトラフルオロエチレン(略称PTFE)、メッシュ径0.2μmであった。
(実施例3)
アルカン処理工程以外は、実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。
[アルカン処理工程]
2Lビーカーにn−ヘプタン(キシダ化学株式会社製)1425gと攪拌子を入れ、スターラーで攪拌しながら、トナー粒子作製工程で得られた、トナー粒子75gを入れ、ビーカー内に超音波振動棒を浸して28kHzで振動させながら10秒攪拌して、トナー表面に露出している離型剤を除去した。トナー粒子の体積平均粒径は7μmであった。その後分散液を吸引ろ過し、ろ紙上に残ったトナーを35℃/5%RHの恒温恒湿槽内で乾燥させて、実施例2のトナーを得た。用いたろ紙(ADVANTEC社製)は、材質ポリテトラフルオロエチレン(略称PTFE)、メッシュ径0.2μmであった。
(比較例1)
ポリエステル(商品名:ハイマー、三洋化成株式会社製) 69.0%
ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂 14.6%
離型剤(商品名:HNP−10、日本精鑞株式会社製、融点75℃) 8.6%
着色剤(C.I.ピグメントレッド122) 6.0%
帯電制御剤(商品名:TN−105、保土ヶ谷化学工業株式会社製) 1.8%
上記配合割合のトナー原料を用いたことおよびアルカン処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
(比較例2)
ポリエステル(商品名:ハイマー、三洋化成株式会社製) 70.2%
ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂 14.9%
離型剤(商品名:HNP−10、日本精鑞株式会社製、融点75℃) 8.6%
着色剤(C.I.ピグメントレッド122) 4.5%
帯電制御剤(商品名:TN−105、保土ヶ谷化学工業株式会社製) 1.8%
上記配合割合のトナー原料を用いたことおよびアルカン処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。
(比較例3)
ポリエステル(商品名:ハイマー、三洋化成株式会社製) 71.0%
ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂 15.1%
離型剤(商品名:HNP−10、日本精鑞株式会社製、融点75℃) 8.6%
着色剤(C.I.ピグメントレッド122) 3.5%
帯電制御剤(商品名:TN−105、保土ヶ谷化学工業株式会社製) 1.8%
上記配合割合のトナー原料を用いたことおよびアルカン処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のトナーを得た。
(比較例4)
ポリエステル(商品名:ハイマー、三洋化成株式会社製) 70.2%
ポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂 14.9%
離型剤(商品名:S−100、横関油脂工業株式会社製、融点80℃) 8.6%
着色剤(C.I.ピグメントレッド122) 4.5%
帯電制御剤(商品名:TN−105、保土ヶ谷化学工業株式会社製) 1.8%
上記配合割合のトナー原料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4のトナーを得た。なお用いた離型剤(商品名:S−100)は精製ライスワックスである。
以上のようにして作製した実施例および比較例のトナーに対して、離型剤残存率を算出した。また耐ブロッキング性、フィルミング、耐高温オフセットおよび帯電安定性についての評価を行った。
〔離型剤残存率〕
離型剤1gについて、示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線から、離型剤の融解ピークの面積S1を求めた。また、トナー粒子1gについて、示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線から、離型剤の融解ピークに相当する融解ピークの面積S2を求めた。測定結果から、下記式(1)に基づいて、トナー粒子中の離型剤含有率W1(%)を算出した。
W1=(S2/S1)×100 …(1)
算出されたトナー粒子中の離型剤含有率W1(%)と、トナー原料中の離型剤含有率W0(%)とから、下記式(2)に基づいて、トナー原料中の離型剤の重量に対するトナー粒子中の離型剤の重量の比率である離型剤残存率(%)を算出した。
(離型剤残存率)=(W1/W0)×100 …(2)
〔耐ブロッキング性〕
トナー5gを容量100ccのビーカーに入れ、温度50℃の乾燥器中に24時間静置した。次に静置後のトナーの凝集度を、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)の振動ふるい機を用いて測定し、耐ブロッキング性の評価を行った。測定方法としては、振動台に上から100、200、400メッシュのふるいの順に重ねてセットし、100メッシュのふるい上に先の試料を加え、振動台への印加電圧が15Vになるように設定し、その際の振動台の振幅が0.5mmの範囲に入るように調整し、約15秒間振動を加え、その後、各ふるい上に残ったトナーの凝集物の重量を測定し下式によりトナーの凝集度を得た。トナーの凝集度は、静置前のトナーと24時間静置後のトナーとにおいてそれぞれ算出し、静置前後の凝集度の変化率をもとに、次のようにして評価した。
凝集度=(100メッシュふるい上の試料重量×1
200メッシュふるい上の試料重量×0.6
+400メッシュふるい上の試料重量×0.2)/投入量×100(%)
静置前後の凝集度の変化率
=(静置前の凝集度−24時間静置後の凝集度)/静置前の凝集度
◎:非常に良好。凝集度の変化率が0%以上10%以下。
○:良好。凝集度の変化率が10%より大きく20%以下。
△:実使用可。凝集度の変化率が20%より大きく30%以下。
×:実使用不可。凝集度の変化率が30%より大きい。
実施例および比較例で得られたトナー5重量部と、フェライトキャリア(体積平均粒径45μm)95部とを、V型混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて20分間混合して得られた2成分現像剤を市販複写機(商品名:AR−C280、シャープ株式会社製、2成分現像剤使用の画像形成装置)に充填し、下記の実機性能について評価した。
〔フィルミング〕
画像面積率5%のチャートを連続10万枚印字後の感光体および形成画像を目視で観察し、フィルミングの有無を評価した。
◎:フィルミングの発生が全く認められない。
○:付着物痕跡僅かに有り。画像への影響なし。
△:付着物痕跡有り。画像への影響なし。
×:フィルミング発生および画像への影響有り。
〔耐高温オフセット性〕
画像形成装置の定着温度を変化させ、高温オフセット発生温度を求めた。
◎:非常に良好。高温オフセット発生温度が210℃以上。
○:良好。高温オフセット発生温度が200℃以上210℃未満。
△:実使用可。高温オフセット発生温度が190℃以上200℃未満。
×:実使用不可。高温オフセット発生温度が190℃未満。
〔帯電安定性〕
画像面積率5%チャートを連続10万枚印字し、そのときの初期帯電量に対する帯電量の変化を評価した。帯電量は現像剤1gを計量し、ブローオフ法によって算出した。この算出結果から、次のようにして評価を行った。
◎:非常に良好。帯電量の変化が0μC/g以上3μC/g未満。
○:良好。帯電量の変化が3μC/g以上5μC/g未満。
△:実使用可。帯電量の変化が5μC/g以上10μC/g未満。
×:実使用不可。帯電量の変化が10μC/g以上。
〔総合評価〕
◎:非常に良好。評価結果すべて◎である。
○:良好。評価結果に△および×がなく、○を含む。
△:実使用可。評価結果に×がなく、△が1つ以上ある。
×:実使用不可。評価結果に×がある。
実施例および比較例の結果を表1に示す。
Figure 2008241747
表1に示すように、本発明の実施例1〜3で作製したトナーは、アルカン処理によりトナー表面に露出している離型剤が無いので、表面離型剤の離脱、ブリードがなく、耐刷時においてトナー凝集が発生しにくく、また帯電量がより安定推移し、長期にわたり高画質を達成することができた。
実施例2はおよび3、アルカン処理を行うときにビーカー内に超音波振動棒を浸水させて28KHzで振動させながら攪拌を行ったため、実施例1よりも、さらにトナー表面の離型剤をより確実に除去することができた。またトナー粒子製造時に離脱して単体で存在している大きな離型剤を溶出させることが出来るので、トナー粒子中の離脱離型剤を著しく減少させるため、フィルミングを完全に防止できたと考えられる。
比較例1は、最終的なトナー粒子中に実施例1,2と同程度の離型剤を含むように材料中離型剤量を調整して作製したトナーである。分級までの製造工程は、実施例1,2と同様であるが、アルカン処理を行っていない。そのためトナー表面に露出している離型剤があり、耐高温オフセット以外の評価項目全てで性能が悪化した。
比較例2は、比較例1よりも離型剤が少ない処方で作製したトナーである。離型剤量が減ったことで耐ブロッキング、フィルミング、帯電安定性で性能が向上したが、実施例1,2には及ばない。また耐高温オフセット性能は比較例1よりも悪化した。
比較例3は、比較例2よりもさらに離型剤量を減らした処方で作製したトナーである。耐ブロッキング性、フィルミングの評価項目では性能が向上したが、耐オフセット性能は著しく悪化してしまい実使用不可であった。
比較例4で用いたライスワックスは、パラフィン系ワックスに比べて、アルカンに溶解しにくいため、トナー表面に露出している離型剤が溶出せずに残存し、全ての評価項目で性能が悪化した。
アルカン処理時間を30秒〜10分まで5段階で実験を行い、離型剤残存率を算出したところ、処理時間によらず離型剤残存率は同じで、離型剤残存率は67〜70%であった。これは、アルカン処理によって除去される離型剤は表面に露出しているものに限られることを示している。また離型剤の平均最長分散径が700nmであることから、トナー表面からの深さが700nm以上の領域には、未処理トナーと同様に離型剤が存在していることを示す。このようにアルカン処理時間は特に限定されるものではない。
本発明のトナーの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法の手順を示す工程図である。 アルカン処理工程を説明する概略図である。
符号の説明
1a トナー粒子
1b トナー
2 結着樹脂
3 離型剤
4 容器
5 アルカン溶液
6 攪拌子
7 ろ過吸引器
8 ろ過フィルター
9 沈殿物

Claims (7)

  1. 少なくとも、結着樹脂、着色剤および離型剤を含むトナーであって、
    トナー表面からの深さが700nm以下の領域に存在する前記離型剤が、直鎖型アルカン中に溶出することによって除去されていることを特徴とするトナー。
  2. 前記直鎖型アルカンが、n−ヘキサンおよびn−ヘプタンから選ばれるいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記離型剤が、パラフィン系ワックスであることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記結着樹脂が、ポリエステルおよびポリエステル−ビニル系ハイブリッド樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
    少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤を混合する前混合工程と、
    前混合して得られる混合物を溶融混練する溶融混練工程と、
    溶融混練して得られる混練物を粉砕し分級する粉砕工程と、
    粉砕し分級して得られる粉砕物を前記直鎖型アルカン中で処理して、前記粉砕物に含まれる前記離型剤を溶出させるアルカン処理工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  6. 前記アルカン処理工程で、超音波を照射することによって、前記粉砕物に含まれる前記離型剤を溶出させることを特徴とする請求項5に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記アルカン処理工程で、前記直鎖型アルカン100重量部中に、前記粉砕物を1重量部以上10重量部以下添加して、前記粉砕物に含まれる前記離型剤を溶出させることを特徴とする請求項5または6に記載のトナーの製造方法。
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