JP2008241305A - 蛍光シグナルの増幅方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、微量化学物質測定、創薬分野等の研究開発や臨床診断分野において使用される蛍光測定の検出感度を向上させるために、蛍光シグナルを大幅に増幅させる方法を提供することである。
【解決手段】本発明の蛍光シグナル増幅方法は、蛍光物質(F)をフォトニック結晶(PC)の空隙部に存在させて、該フォトニック結晶(PC)により励起光(L)を反射反復させることを特徴とする。励起光(L)のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC)の反射率が、10〜80%であることが好ましく、フォトニック結晶(PC)の厚みが、10〜1000μmであることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の蛍光シグナル増幅方法は、蛍光物質(F)をフォトニック結晶(PC)の空隙部に存在させて、該フォトニック結晶(PC)により励起光(L)を反射反復させることを特徴とする。励起光(L)のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC)の反射率が、10〜80%であることが好ましく、フォトニック結晶(PC)の厚みが、10〜1000μmであることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、蛍光物質に励起光を照射して蛍光シグナルを発生させる方法であって、該蛍光シグナルを増幅する方法に関する。特に、微量化学物質測定、創薬分野等の研究開発や臨床診断分野において使用される蛍光測定の蛍光シグナル増幅方法に関する。
今日、特にバイオメディカルの分野において、遺伝子解析や蛋白質の機能解明等の基礎研究、解析したデーターを利用する新薬開発、癌、ホルモン、感染症などの臨床診断などの用途で蛍光測定が広く使用されている。
一般的に、高感度が要求される蛍光測定には、光電子増倍管を検出器として使用し、フォトンカウンティング法により蛍光量が測定される。フォトンカウンティング法は現在のところ最も感度の高い測光法である。
実際には光子そのものを計数するわけではなく、光子ひとつのエネルギーによって光電子増倍管の光電陰極から叩き出されたひとつの光電子が、ダイノードを通過する過程にて数百万個に増倍されて生じた電流パルスを陽極から外部に取り出し、アンプや波高弁別回路を通した後でパルスカウンタを使用して計数するものである。
一般的に、高感度が要求される蛍光測定には、光電子増倍管を検出器として使用し、フォトンカウンティング法により蛍光量が測定される。フォトンカウンティング法は現在のところ最も感度の高い測光法である。
実際には光子そのものを計数するわけではなく、光子ひとつのエネルギーによって光電子増倍管の光電陰極から叩き出されたひとつの光電子が、ダイノードを通過する過程にて数百万個に増倍されて生じた電流パルスを陽極から外部に取り出し、アンプや波高弁別回路を通した後でパルスカウンタを使用して計数するものである。
フォトンカウンティング法による蛍光測定は、前述のように極めて高感度であるが、バイオメディカルの分野等においては、測定精度の向上や測定の高速化、測定チップ及び装置の小型化、イニシャル及びランニングコストの低減などの観点から、更なる高感度化が求められている。
フォトンカウンティング法による蛍光測定の検出限界感度は、検出器に導入される光子の数、即ち、蛍光物質の蛍光量とノイズである暗電流量によって決定される。従って、検出感度を向上させるには、蛍光量を増加させるか、又はブランクを低減させる、即ち、暗電流量を低減させるかのいずれかの対策が必要である。
フォトンカウンティング法による蛍光測定の検出限界感度は、検出器に導入される光子の数、即ち、蛍光物質の蛍光量とノイズである暗電流量によって決定される。従って、検出感度を向上させるには、蛍光量を増加させるか、又はブランクを低減させる、即ち、暗電流量を低減させるかのいずれかの対策が必要である。
暗電流とは、光子が導入されない状態においても観測される電流パルスであり、主に光電面から放出される熱電子によるものである。従って、光電子増倍管を冷却することによって、暗電流量を低減することができる。また、必要以上に検出波長領域が広い光電子増倍管を使用しないことも暗電流を低減するのに有効である。
しかしながら、これらの手法は既に一般的に行われており、暗電流を低減するのみでは、蛍光測定の大幅な検出感度向上は困難である。
しかしながら、これらの手法は既に一般的に行われており、暗電流を低減するのみでは、蛍光測定の大幅な検出感度向上は困難である。
一方、検出器に導入される蛍光量を増加させる方法としては、例えば、蛍光励起空間において励起光軸の側方に配置された集光鏡と、蛍光励起空間の外側において励起光軸方向に対して実質的に直角方向であって前記集光鏡に対向する位置に配置された検出器とを備え、集光鏡が励起光軸と平行な方向に対して平坦な反射面をもつ逆カマボコ形凹面鏡からなり、検出器が検出胴体を励起光軸に対して平行とするサイドオンタイプの光電子増倍管であることを特徴とする蛍光分析装置が挙げられる。即ち、サイドオンタイプの光電子増倍管の受光部が検出胴体の方向に長いことを利用して、それに対応して平行な方向に対して平坦な反射面をもつ逆カマボコ形凹面鏡を集光鏡として用いることによって、励起光源からの励起光の焦点の調整を容易にすると共に焦点の周辺からもより多くの蛍光を集めて受光部へ供給できるようにしたものである(特許文献1)。
また、励起光源及び蛍光検出器、2枚の反射面とで構成され、反射面は鏡面を持って対向し蛍光励起空間を形成し、一の反射面には励起光を通過させる穴が空いている蛍光増幅器が開発されている。励起光は蛍光励起空間を進行し2枚の鏡面間を反復通過する。鏡面に対しての入射角が大きい一部の励起光は該反復通過を行う過程において、次第に鏡面の端部に向かい外部に射出される。該入射角が小さい励起光は膨大な量の入射反射を鏡面間で繰り返す。蛍光励起空間に満たされている蛍光物質は励起光の反復通過を受け光子との衝突確立が指数関数的に上昇し蛍光量の大幅な向上を実現するものである(特許文献2)。
どちらの方法によっても、検出器に導入される蛍光量は増加するものと推測されるが、前者の方法は発生する蛍光量自体を増加させるものではないため、大幅な蛍光量の増加は望めない。
どちらの方法によっても、検出器に導入される蛍光量は増加するものと推測されるが、前者の方法は発生する蛍光量自体を増加させるものではないため、大幅な蛍光量の増加は望めない。
また、後者の方法は一の反射面に励起光導入用の穴があり、その穴のみから励起光が照射されるため導入される励起光量が少なくなる。一方、穴を大きくして導入する励起光量を増加させると2枚の鏡面間を反復通過する励起光量が減少して増幅効果が大幅に低減するため、穴の径を如何に設定しようとも大幅な蛍光量の増加は困難である。
また、特許文献1、2の方法は従来測定系の大型化に繋がるため、バイオメディカルの分野等で要求されている測定チップ及び装置の小型化といったニーズに対応することが困難であるし、さらには蛍光測定装置自体の改良が必要になるため、既存の装置をそのまま使用できないといった課題がある。
特開平8-159971
特開2002-162352
即ち、本発明の目的は、微量化学物質測定、創薬分野等の研究開発や臨床診断分野において使用される蛍光測定の検出感度を向上させるために、蛍光シグナルを大幅に増幅させる方法を提供することである。
本発明の蛍光シグナルの増幅方法は、蛍光物質(F)をフォトニック結晶(PC)の空隙部に存在させて、該フォトニック結晶(PC)により励起光(L)を反射反復させることを特徴とする。
本発明の蛍光シグナル増幅方法によれば、蛍光シグナルを大幅に増幅させることができるため、微量化学物質測定、創薬分野等の研究開発や臨床診断分野において使用される蛍光測定に適用すれば、その検出感度を向上させることができる。
また、本発明に使用するフォトニック結晶は、極めて微細な構造であることから、各種蛍光測定の測定チップ及び装置の小型化、イニシャル及びランニングコストの低減などに寄与することができる。
また、本発明に使用するフォトニック結晶は、極めて微細な構造であることから、各種蛍光測定の測定チップ及び装置の小型化、イニシャル及びランニングコストの低減などに寄与することができる。
本発明の蛍光物質(F)としては、特に制限されることなく、公知の蛍光物質を使用することができる。例えば、ローダミン系色素(ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン123)、クマリン系色素(クマリン343、クマリン480)、フルオレセイン、リサミン-ローダミンBスルホニルクロライド、アニリノナフタレンスルホン酸、2-メトキシ2,4-ジフェニル3(2H)フラノン、メチルウンベリフェロン、ダンシルクロライド、ルシファーイエロー、エリスロシン、ピレン、テキサスレッド、エオシン、フルオレサミン、クロロフィルなどの有機蛍光色素、ユーロピウム、テルビウムなどの金属蛍光錯体が挙げられる。
蛍光シグナルを単純に増幅するという観点からは、蛍光物質(F)の使用形態は特に限定されることはなく、溶媒に分散した状態で使用することもできるし、固体状態にて使用することもできる。
しかし、実際の蛍光測定に適用するには、溶媒を使用した形態が好ましい場合が多く、使用できる溶媒は適用する蛍光測定の種類によって最適なものを選択する必要がある。少なくとも、溶媒としては、蛍光物質を溶解又は分散可能なものを使用することが好ましく、また後述のように、蛍光シグナルの増幅倍率向上の観点からは、溶媒の屈折率が概ね低い方が好ましい。
バイオメディカルの分野において使用する場合には、免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチド若しくはオリゴペプチドなどに結合した蛍光物質(F)を使用することができる。
また、酵素イムノアッセイのように、酵素を利用してフォトニック結晶中において蛍光物質を反応生成する測定系にも使用することができる。蛍光物質としては、前述の蛍光物質と同一のものを使用することができる。
しかし、実際の蛍光測定に適用するには、溶媒を使用した形態が好ましい場合が多く、使用できる溶媒は適用する蛍光測定の種類によって最適なものを選択する必要がある。少なくとも、溶媒としては、蛍光物質を溶解又は分散可能なものを使用することが好ましく、また後述のように、蛍光シグナルの増幅倍率向上の観点からは、溶媒の屈折率が概ね低い方が好ましい。
バイオメディカルの分野において使用する場合には、免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチド若しくはオリゴペプチドなどに結合した蛍光物質(F)を使用することができる。
また、酵素イムノアッセイのように、酵素を利用してフォトニック結晶中において蛍光物質を反応生成する測定系にも使用することができる。蛍光物質としては、前述の蛍光物質と同一のものを使用することができる。
免疫蛋白質としては、抗原、抗体やハプテンを例示することができる。抗体としては、次の抗原に対する抗体が使用でき、該抗原としては、薬剤、低分子ホルモン、腫瘍マーカー、ウイルス、高分子ホルモン、サイトカイン、各種グロスファクター等が挙げられる。薬剤としては、例えば、テオフィリン、フェニトイン、バルプロ酸などが挙げられる。低分子ホルモンとしては、例えば、サイロキシン、エストロゲン、エストラジオールなどが挙げられる。腫瘍マーカーとしては、例えば、CEA、AFP、CA19−9などが挙げられる。ウイルスとしては、例えば、HIV、HCV、HBVなどが挙げられる。高分子ホルモンとしては、例えば、甲状腺刺激ホルモン、インシュリンなどが挙げられる。サイトカインとしては、例えば、IL−1、IL−2、IL−6などが挙げられる。各種グロスファクターとしては、例えば、EGF、PDGFなどが挙げられる。これらの抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよく、さらに抗体の分解物であるF(ab’)2、Fab’、Fabであってもよい。
酵素としては、酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、ターゲット物質がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、ターゲット物質がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等をターゲット物質とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。DNA(cDNAを含む)、RNAの化学合成は、市販の合成装置を用いて行うことができるし、市販されているDNAプローブをそのまま使用することもできる。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
本発明においてフォトニック結晶(PC)とは、光の波長と同程度の周期的な屈折率変化を3次元的に有する構造体であって、フォトニックバンドギャップを有するものを意味する。周期的な屈折率変化はフォトニック結晶の構成材料とフォトニック結晶の空隙部又は空隙部に充填される物質により決定される。
フォトニックバンドギャップとは、電磁波に対するバンドギャップであり、電磁波の絶縁帯域を意味する。そのギャップに対応する特定波長の電磁波はフォトニック結晶の表面付近で反射されたり、フォトニック結晶内に深く入り込んで反射されたり、或いは、透過する電磁波も存在する。また、フォトニック結晶の内部に入り込んだ電磁波が、結晶内部において反射反復して閉じ込められる現象も起こる。
フォトニックバンドギャップによる電磁波の反射は、ブラック反射を原理とするため、通常の鏡のように表面のみで反射されるわけではなく、何層かの結晶面において反射される。真球状微粒子を集積して作製されるフォトニック結晶の場合には、反射される電磁波は次式に従う。
λmax=2d(n2-sin2θ)1/2
ここで、λmaxは反射光のピーク波長、dは真球状微粒子の粒径、nはフォトニック結晶の屈折率、θは入射角度である。
フォトニック結晶では、前述のような反射や透過、閉じ込めといった現象が混在して存在しているものと想定される。なお、フォトニック結晶内部での電磁波の閉じ込めが起こる場合、電磁波のフォトニック結晶内部での滞在時間が延びることが分かっている。
フォトニックバンドギャップによる電磁波の反射は、ブラック反射を原理とするため、通常の鏡のように表面のみで反射されるわけではなく、何層かの結晶面において反射される。真球状微粒子を集積して作製されるフォトニック結晶の場合には、反射される電磁波は次式に従う。
λmax=2d(n2-sin2θ)1/2
ここで、λmaxは反射光のピーク波長、dは真球状微粒子の粒径、nはフォトニック結晶の屈折率、θは入射角度である。
フォトニック結晶では、前述のような反射や透過、閉じ込めといった現象が混在して存在しているものと想定される。なお、フォトニック結晶内部での電磁波の閉じ込めが起こる場合、電磁波のフォトニック結晶内部での滞在時間が延びることが分かっている。
特定波長の電磁波としては、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、ミリ波、マイクロ波等が挙げられる。本発明の蛍光シグナル増幅方法は、バイオメディカル分野等における蛍光測定に適用することを目的とするため、紫外線、可視光線、赤外線に対応するフォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶を使用することが好ましく、更に好ましくは、波長100〜1000nmの紫外線、可視光線、赤外線に対応するものであり、特に好ましくは、波長300〜800nmの紫外線、可視光線、近赤外線に対応するものである。
フォトニック結晶の空隙部とは、空洞である部分を意味し、本発明においては蛍光物質(F)が存在する場所である。蛍光物質(F)は、前述のように溶媒に分散した形態で使用することが好ましく、その場合は、フォトニック結晶の構成材料の屈折率と溶媒の屈折率によって、フォトニック結晶の周期的な屈折率変化が生まれる。
フォトニック結晶の空隙部の形態としては、後述するフォトニック結晶構造の逆パターンであり、フォトニック結晶構造の変化により追随して変化するものである。
フォトニック結晶の空隙部に蛍光物質(F)を存在させる方法としては、溶媒に分散又は溶解された蛍光物質の場合には、シリンジ等で圧力を加えて充填する方法や毛細管力により充填する方法が挙げられる。また、固体状態の蛍光物質を存在させる方法としては、溶媒に分散させて前述の方法にて充填した後、溶媒を除去する方法などが挙げられる。
バイオメディカル分野等、特に免疫検査薬やDNAチップにおいては、空隙部に検出対象と特異的に結合する抗体や相補的なDNAを分散又は溶解した試薬を充填しておき、又はフォトニック結晶の構成材料に該結合物質を予め固定化しておき、蛍光物質にて標識された検出対象物質をフォトニック結晶中に導入することができる。また、酵素イムノアッセイの場合には、予め酵素を固定化等しておき、基質を導入することにより蛍光物質(F)をフォトニック結晶の空隙部にて反応生成することもできる。
フォトニック結晶の空隙部の形態としては、後述するフォトニック結晶構造の逆パターンであり、フォトニック結晶構造の変化により追随して変化するものである。
フォトニック結晶の空隙部に蛍光物質(F)を存在させる方法としては、溶媒に分散又は溶解された蛍光物質の場合には、シリンジ等で圧力を加えて充填する方法や毛細管力により充填する方法が挙げられる。また、固体状態の蛍光物質を存在させる方法としては、溶媒に分散させて前述の方法にて充填した後、溶媒を除去する方法などが挙げられる。
バイオメディカル分野等、特に免疫検査薬やDNAチップにおいては、空隙部に検出対象と特異的に結合する抗体や相補的なDNAを分散又は溶解した試薬を充填しておき、又はフォトニック結晶の構成材料に該結合物質を予め固定化しておき、蛍光物質にて標識された検出対象物質をフォトニック結晶中に導入することができる。また、酵素イムノアッセイの場合には、予め酵素を固定化等しておき、基質を導入することにより蛍光物質(F)をフォトニック結晶の空隙部にて反応生成することもできる。
フォトニック結晶の構成材料と空隙部との屈折率差が大きい方が、フォトニック結晶の反射率は高くなり、電磁波を閉じ込める効果が高くなる。従って、フォトニック結晶構成材料の屈折率が高く、空隙部に充填する溶媒等の屈折率が低い方が反射率は高くなる。
また、両者の屈折率の組み合わせによって、上式のフォトニック結晶の屈折率nが変化するので、反射される電磁波の波長が変化する、即ち、フォトニックバンドギャップの対応波長領域が変化する。
従って、本発明においては後述のように、励起光(L)のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC)の反射率が10〜80%であることが好ましいため、両者の屈折率の組み合わせを最適なものとすることが必要である。
また、両者の屈折率の組み合わせによって、上式のフォトニック結晶の屈折率nが変化するので、反射される電磁波の波長が変化する、即ち、フォトニックバンドギャップの対応波長領域が変化する。
従って、本発明においては後述のように、励起光(L)のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC)の反射率が10〜80%であることが好ましいため、両者の屈折率の組み合わせを最適なものとすることが必要である。
フォトニック結晶の構成材料としては、有機化合物、無機化合物のいずれも使用することができる。構成材料の屈折率としては、蛍光シグナルの増幅倍率向上の観点等から、1.3〜3.0であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜2.5、より好ましくは1.45〜2.0である。
加えて、構成材料は後述する励起光(L)の波長領域において、透明性が高いことが好ましい。透明性が高ければ、励起光(L)を吸収することがなく、励起効率を高めることができるからである。
加えて、構成材料は後述する励起光(L)の波長領域において、透明性が高いことが好ましい。透明性が高ければ、励起光(L)を吸収することがなく、励起効率を高めることができるからである。
有機化合物としては、前述の条件を満たす各種ポリマーを使用することが好ましく、開環重合系ポリマー、重付加系ポリマー、重縮合系ポリマー、ビニル重合系ポリマーなどの合成ポリマー、多糖類(セルロース、アミロース、アミロペクチン、キトサン、キチン、アラミド繊維など)、脂質(リン脂質、糖脂質、コレステロールなど)、各種ポリペプチド(コラーゲンなど)などの天然ポリマー等が挙げられる。
開環重合系ポリマー、重付加系ポリマー、重縮合系ポリマーなどの非ビニル重合系ポリマーとしては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。
ビニル重合系ポリマーは、ビニル基を有するモノマーを構成単位とするポリマーであり、シアノ基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリレート(アクリル樹脂)、カルボキシル基含有ビニルモノマー、芳香族ビニル炭化水素、脂肪族ビニル炭化水素、脂環式ビニル炭化水素、(メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸、ビニルケトン、多官能モノマー、フッ素系モノマー等を構成単位として使用することができる。
後述の真球状微粒子(P)をフォトニック結晶の構成材料として使用する場合には、専ら、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらの構成モノマーとカルボキシル基含有ビニルモノマー、多官能モノマーなどとの共重合体が使用される。市販されている単分散ポリスチレン系微粒子を使用することもできる。
開環重合系ポリマー、重付加系ポリマー、重縮合系ポリマーなどの非ビニル重合系ポリマーとしては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。
ビニル重合系ポリマーは、ビニル基を有するモノマーを構成単位とするポリマーであり、シアノ基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリレート(アクリル樹脂)、カルボキシル基含有ビニルモノマー、芳香族ビニル炭化水素、脂肪族ビニル炭化水素、脂環式ビニル炭化水素、(メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸、ビニルケトン、多官能モノマー、フッ素系モノマー等を構成単位として使用することができる。
後述の真球状微粒子(P)をフォトニック結晶の構成材料として使用する場合には、専ら、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらの構成モノマーとカルボキシル基含有ビニルモノマー、多官能モノマーなどとの共重合体が使用される。市販されている単分散ポリスチレン系微粒子を使用することもできる。
無機化合物としては、天然物、天然物の変性物及び合成物(精製物を含む)のいずれも使用することができるが、生産ロットのブレ防止等の観点から、合成物であることが好ましい。例えば、金属化合物や有機物を前駆体とする炭化物等が挙げられる。
金属化合物としては、元素の周期率表において、1族〜16族の金属酸化物(酸化チタン、酸化ケイ素(シリカ)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、及び酸化インジウム等)、金属硫化物(硫化銅、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化ニッケル及び硫化白金等)、金属ハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化スズ及びフッ化カリウム等)、金属炭化物(炭化カルシウム、炭化チタン、炭化鉄及び炭化ナトリウム等)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化クロム、チッ化ケイ素、窒化ゲルマニウム及び窒化コバルト等)、金属塩(チタン酸塩(チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カリウム等)、アルミン酸塩(アルミン酸イットリウム(YAG)等)、これらの固溶体(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛等)などが挙げられる。
これらのうち、透明性や屈折率、製造容易性などの観点から、金属酸化物が好ましく、特に好ましくは、酸化チタン、ジルコニア、シリカである。市販されている単分散シリカ微粒子を使用することもできる。
金属化合物としては、元素の周期率表において、1族〜16族の金属酸化物(酸化チタン、酸化ケイ素(シリカ)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、及び酸化インジウム等)、金属硫化物(硫化銅、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化ニッケル及び硫化白金等)、金属ハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化スズ及びフッ化カリウム等)、金属炭化物(炭化カルシウム、炭化チタン、炭化鉄及び炭化ナトリウム等)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化クロム、チッ化ケイ素、窒化ゲルマニウム及び窒化コバルト等)、金属塩(チタン酸塩(チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カリウム等)、アルミン酸塩(アルミン酸イットリウム(YAG)等)、これらの固溶体(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛等)などが挙げられる。
これらのうち、透明性や屈折率、製造容易性などの観点から、金属酸化物が好ましく、特に好ましくは、酸化チタン、ジルコニア、シリカである。市販されている単分散シリカ微粒子を使用することもできる。
フォトニック結晶の作製方法としては、マイクロマニュピュレーター等を使用して構成単位を1個ずつ集積する方法や構成単位として真球状微粒子(P)を使用し、重力や遠心力、毛細管力、液架橋力等により集積する方法が挙げられる。
前者の方法としては、構成単位、具体的には、公知の微細加工技術(リソグラフィー及びエッチング、レーザー加工等)により作製した金属化合物や合成ポリマーからなる柱状体や板状体を電子顕微鏡等で確認しながら1個ずつ集積していく方法が挙げられる。この方法によれば、反射率の極めて高いフォトニック結晶を作製することが可能であるが、生産速度が極めて遅く、産業的に利用できる方法ではない。
前者の方法としては、構成単位、具体的には、公知の微細加工技術(リソグラフィー及びエッチング、レーザー加工等)により作製した金属化合物や合成ポリマーからなる柱状体や板状体を電子顕微鏡等で確認しながら1個ずつ集積していく方法が挙げられる。この方法によれば、反射率の極めて高いフォトニック結晶を作製することが可能であるが、生産速度が極めて遅く、産業的に利用できる方法ではない。
一方、後者の方法は、電子顕微鏡等で確認しながら集積する必要がなく、集積ドライビングフォースを適切に選択すれば、極めて容易に大量生産することができるため前者の方法よりも好ましい。後者の方法によれば、フォトニック結晶の周期構造は六方最密充填構造及び/又は立方最密充填構造となる。後述のように、ある特定形状のテンプレートを使用する場合には、選択的に立方最密充填構造が得られる。
これら六方最密充填構造及び/又は立方最密充填構造を総称してオパール構造という。
このオパール構造からなるフォトニック結晶を鋳型として、後述の方法において、逆オパール構造のフォトニック結晶を作製することができる。逆オパール構造とは、オパール構造体の間隙に構成材料の前駆体などを充填した後、オパール構造体を取り除くことにより形成される構造であり、オパール構造体をちょうど逆にした構造である。
ここで立方最密充填構造及び六方最密充填構造とは、いずれも最密充填構造であって、充填率は74体積%である。
これら六方最密充填構造及び/又は立方最密充填構造を総称してオパール構造という。
このオパール構造からなるフォトニック結晶を鋳型として、後述の方法において、逆オパール構造のフォトニック結晶を作製することができる。逆オパール構造とは、オパール構造体の間隙に構成材料の前駆体などを充填した後、オパール構造体を取り除くことにより形成される構造であり、オパール構造体をちょうど逆にした構造である。
ここで立方最密充填構造及び六方最密充填構造とは、いずれも最密充填構造であって、充填率は74体積%である。
立方最密充填構造は、面心立方格子構造とも呼ばれ、正四角形の単位格子の各頂点および各面の中心に粒子が位置し、最稠密面をABCABCABCの順に重ねた構造となっている。
六方最密充填構造は、単位格子を正六角柱で表し、この正六角柱の上面および底面の各角および中心と、六角柱の内部で高さ 1/2 のところに 3 つの粒子が存在する。底面の中心に位置する原子は、底面の角の 6 粒子および上下の各3粒子(計 12 粒子)と接しており、最稠密面をABABABの順に重ねた構造となっている。
また、バルク状の構成材料をレーザーにより直接加工する方法もフォトニック結晶の作製方法として挙げることができる。具体的な方法としては、感光性レジストに短パルスレーザーを照射することによりレーザーを照射した部分のみを選択的に硬化させて周期構造を得る方法(特開2004-126312に記載の方法)などが挙げられる。
六方最密充填構造は、単位格子を正六角柱で表し、この正六角柱の上面および底面の各角および中心と、六角柱の内部で高さ 1/2 のところに 3 つの粒子が存在する。底面の中心に位置する原子は、底面の角の 6 粒子および上下の各3粒子(計 12 粒子)と接しており、最稠密面をABABABの順に重ねた構造となっている。
また、バルク状の構成材料をレーザーにより直接加工する方法もフォトニック結晶の作製方法として挙げることができる。具体的な方法としては、感光性レジストに短パルスレーザーを照射することによりレーザーを照射した部分のみを選択的に硬化させて周期構造を得る方法(特開2004-126312に記載の方法)などが挙げられる。
真球状微粒子(P)を使用し、重力や遠心力、毛細管力、液架橋力等により集積する方法としては、公知の方法を使用することができる。
真球状微粒子(P)の集積による方法では、蛍光測定の増幅システムとして適用するためのマクロな形状を作り上げることが必要であり、何らかの基板・容器が必要となる。
基板・容器としては、真球状微粒子(P)を規則的に集積できれば種々の形態のものを使用することができ、凹凸のない平面基板、穴や溝が形成された基板、キャピラリー状の容器等を使用することができる。これら基板・容器の形状や大きさにより、得られるフォトニック結晶の形状や大きさが決定される。
基板・容器を構成する材料としては、シリコンやシリカ、石英等の無機化合物からなるものやアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの合成ポリマー等からなるものを使用することができる。基板や容器に集積した状態のままフォトニック結晶を使用して、励起光(L)が基板等を通して照射される場合には、フォトニック結晶の構成材料と同様に、基板等の構成材料も励起光(L)に対して透明性が高いことが好ましい。
真球状微粒子(P)の集積による方法では、蛍光測定の増幅システムとして適用するためのマクロな形状を作り上げることが必要であり、何らかの基板・容器が必要となる。
基板・容器としては、真球状微粒子(P)を規則的に集積できれば種々の形態のものを使用することができ、凹凸のない平面基板、穴や溝が形成された基板、キャピラリー状の容器等を使用することができる。これら基板・容器の形状や大きさにより、得られるフォトニック結晶の形状や大きさが決定される。
基板・容器を構成する材料としては、シリコンやシリカ、石英等の無機化合物からなるものやアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの合成ポリマー等からなるものを使用することができる。基板や容器に集積した状態のままフォトニック結晶を使用して、励起光(L)が基板等を通して照射される場合には、フォトニック結晶の構成材料と同様に、基板等の構成材料も励起光(L)に対して透明性が高いことが好ましい。
真球状微粒子(P)を集積する方法としては、毛細管力、遠心力をドライビングフォースとして使用する方法が、生産性、均一性、厚膜化などの観点から優れている。液架橋力を使用する方法によれば、平面基板上に真球状微粒子のスラリーを添加して乾燥させるといった簡単な操作により集積させることができるが、均一性の低いフォトニック結晶になりやすいという欠点がある。
毛細管力を使用した集積方法としては、細い管の中の溶媒が管の中を上昇する現象(毛細管現象)を使用する集積方法である。
溶媒が上昇する高さは、溶媒の表面張力、管の濡れ易さ、溶媒の密度等によって決まり、次式により計算することができる。
h= 2Tcosθ/pgr
ここでTは表面張力(N/m)、θは接触角、pは溶媒の密度(kg/m3)、gは重力加速度(m/s2)
、rは管の半径(m)である。
毛細管力を使用した集積方法としては、細い管の中の溶媒が管の中を上昇する現象(毛細管現象)を使用する集積方法である。
溶媒が上昇する高さは、溶媒の表面張力、管の濡れ易さ、溶媒の密度等によって決まり、次式により計算することができる。
h= 2Tcosθ/pgr
ここでTは表面張力(N/m)、θは接触角、pは溶媒の密度(kg/m3)、gは重力加速度(m/s2)
、rは管の半径(m)である。
溶媒中に分散されている真球状微粒子(P)は溶媒の上昇により一緒に上昇し、管の上から順に集積されていく。真球状粒子(P)の集積は、溶媒が蒸発することにより発生する液架橋力によって最終的に行われるが、毛細管、所謂、キャピラリーの形状制御効果と垂直方向に働きやすい方向の揃った液架橋力ため、均一性の高いフォトニック結晶を作製することが可能な方法である。
この方法に使用できる容器としては、ガラスや石英製のキャピラリーを使用することが好ましく、キャピラリーの断面形状は、円状や四角形状を使用することができる。
具体的な方法としては、キャピラリーを真球状微粒子(P)のスラリーに片端を浸漬するだけである。また、管表面の親疎水性を調整する等集積の条件を最適化することにより、更に均一性の高いフォトニック結晶を作製することができる。
この方法に使用できる容器としては、ガラスや石英製のキャピラリーを使用することが好ましく、キャピラリーの断面形状は、円状や四角形状を使用することができる。
具体的な方法としては、キャピラリーを真球状微粒子(P)のスラリーに片端を浸漬するだけである。また、管表面の親疎水性を調整する等集積の条件を最適化することにより、更に均一性の高いフォトニック結晶を作製することができる。
遠心力を使用した集積方法は、遠心力を使用することにより、フォトニック結晶の生産効率を高め、更に従来の方法では作製することが困難である均一性の高い周期構造単位の小さなフォトニック結晶を作製することが可能な方法である。例えば、遠心力を10G加えると、集積速度が10倍となる。また、5000G程度の強い遠心力を加えると、粒子径が300nm程度の小さな粒子も容易に集積することが可能であり、バイオメディカル分野等の蛍光測定に適した微細なフォトニック結晶を作製することができる。
遠心力とは、遠心力中心から外へと向かう方向の慣性力であり、次式で与えられる。
F = mrω2
ここで、mは真球状微粒子(P)の質量、rは遠心場の中心から真球状微粒子(P)までの距離、ωは角速度(回転数×2π)である。rは、正確には遠心場の中心(遠心機の中心)から真球状微粒子(P)までの距離であるが、粒子は常に移動するので、便宜上遠心機の中心から基板等までの距離として扱う。
使用する遠心力の強さとしては、粒子径や粒子の比重により好ましい強さは異なるが、生産速度向上の観点からは強い方がよい。但し、規則性の高い均一な真球状微粒子(P)の集積体を作製するためには、遠心力の強さだけでなく、処理時間、粒子スラリーの濃度、溶媒の蒸発速度等のパラメーターを最適化する必要がある。
遠心力とは、遠心力中心から外へと向かう方向の慣性力であり、次式で与えられる。
F = mrω2
ここで、mは真球状微粒子(P)の質量、rは遠心場の中心から真球状微粒子(P)までの距離、ωは角速度(回転数×2π)である。rは、正確には遠心場の中心(遠心機の中心)から真球状微粒子(P)までの距離であるが、粒子は常に移動するので、便宜上遠心機の中心から基板等までの距離として扱う。
使用する遠心力の強さとしては、粒子径や粒子の比重により好ましい強さは異なるが、生産速度向上の観点からは強い方がよい。但し、規則性の高い均一な真球状微粒子(P)の集積体を作製するためには、遠心力の強さだけでなく、処理時間、粒子スラリーの濃度、溶媒の蒸発速度等のパラメーターを最適化する必要がある。
前述方法により作製したオパール構造のフォトニック結晶を鋳型として、逆オパール構造のフォトニック結晶を作製することができる。ポリスチレン微粒子を集積したオパール構造を鋳型として、酸化チタンを構成材料する逆オパール構造のフォトニック結晶を作製する方法を以下に説明する。
ポリスチレン微粒子を集積したオパール構造体の間隙に酸化チタンの前駆体であるエタノール、チタニウムテトライソプロポキシド、少量の水から作成されたチタニアゾルを充填し、エタノール及び水を乾燥除去した後、ポリスチレン微粒子を除去することにより酸化チタンからなる逆オパール構造体を作製することができる。ポリスチレン微粒子の除去方法としては、400〜500℃程度に加熱してポリスチレン微粒子を熱分解してガス化する方法やトルエンやジメチルスルホキシド等の有機溶剤を使用して溶解除去する方法が挙げられる。酸化チタンを構成材料する逆オパール構造のフォトニック結晶は、焼成温度を高くすることにより屈折率を高めることができ、500℃で焼成すれば、2.5程度の屈折率となり、900℃で焼成すれば、2.8程度の屈折率が得られる。これは、酸化チタンの結晶構造が、アモルファス、アナターゼ、ルチルと変化するためである。
ポリスチレン微粒子を集積したオパール構造体の間隙に酸化チタンの前駆体であるエタノール、チタニウムテトライソプロポキシド、少量の水から作成されたチタニアゾルを充填し、エタノール及び水を乾燥除去した後、ポリスチレン微粒子を除去することにより酸化チタンからなる逆オパール構造体を作製することができる。ポリスチレン微粒子の除去方法としては、400〜500℃程度に加熱してポリスチレン微粒子を熱分解してガス化する方法やトルエンやジメチルスルホキシド等の有機溶剤を使用して溶解除去する方法が挙げられる。酸化チタンを構成材料する逆オパール構造のフォトニック結晶は、焼成温度を高くすることにより屈折率を高めることができ、500℃で焼成すれば、2.5程度の屈折率となり、900℃で焼成すれば、2.8程度の屈折率が得られる。これは、酸化チタンの結晶構造が、アモルファス、アナターゼ、ルチルと変化するためである。
一方、シリカ微粒子を集積したオパール構造のフォトニック結晶を鋳型として、ポリスチレンを構成材料とする逆オパール構造のフォトニック結晶を作製することもできる。シリカ微粒子を使用したオパール構造体の間隙に構成材料の原料であるスチレンモノマー及び重合開始剤を充填し、加熱することによりスチレンを重合しポリマー化した後、シリカ微粒子を除去することによりポリスチレンからなる逆オパール構造体を作製することができる。シリカ微粒子の除去方法としては、フッ酸に浸漬してシリカ微粒子を溶解除去する方法が挙げられる。
フォトニック結晶により、励起光(L)を反射反復するとは、前述の電磁波をフォトニック結晶内部で閉じ込めることを意味し、励起光(L)は電磁波であるから、フォトニック結晶内部で反射反復して閉じ込められることになる。
励起光が反射反復して閉じ込められることにより、フォトニック結晶の空隙部に存在する蛍光物質との衝突頻度が飛躍的に向上して、蛍光シグナルの大幅な増幅が可能となる。
励起光の反射反復、即ち、閉じ込め効果は、励起光(L)波長におけるフォトニック結晶の反射率、フォトニック結晶の厚みなどに依存する。フォトニック結晶の反射率としては、フォトニック結晶の構成材料や空隙部に充填される溶媒などの屈折率等によっても多少異なるが、励起光(L)のピーク波長において10〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜60%である。反射率がこの範囲であると、蛍光シグナルの増幅倍率が高くなる傾向にある。また、フォトニック結晶の厚みについても、10〜1000μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜500μmである。厚みがこの範囲であると、蛍光シグナルの増幅倍率が高くなる傾向にある。
励起光が反射反復して閉じ込められることにより、フォトニック結晶の空隙部に存在する蛍光物質との衝突頻度が飛躍的に向上して、蛍光シグナルの大幅な増幅が可能となる。
励起光の反射反復、即ち、閉じ込め効果は、励起光(L)波長におけるフォトニック結晶の反射率、フォトニック結晶の厚みなどに依存する。フォトニック結晶の反射率としては、フォトニック結晶の構成材料や空隙部に充填される溶媒などの屈折率等によっても多少異なるが、励起光(L)のピーク波長において10〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜60%である。反射率がこの範囲であると、蛍光シグナルの増幅倍率が高くなる傾向にある。また、フォトニック結晶の厚みについても、10〜1000μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜500μmである。厚みがこの範囲であると、蛍光シグナルの増幅倍率が高くなる傾向にある。
励起光(L)としては、公知の励起光を使用することができ、水銀ランプ、キセノンランプや各種レーザー光(アルゴンイオンレーザー、窒素レーザー等のガスレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー等の固体レーザー)が挙げられる。蛍光測定の検出感度向上の観点からは、レーザー光を励起光として使用することが好ましいが、本発明の性質上、如何なる励起光を使用しても同様の増幅倍率をもって蛍光シグナルを増幅することができる。
励起光(L)の波長は、使用する蛍光物質(F)の最大吸収波長によって、また、適用する蛍光測定によって変化するので、種々の領域に対応できるように、フォトニック結晶のフォトニックバンド領域を制御する。一般的には、波長300〜800nmの紫外線、可視光線、近赤外線を使用することが多い。
励起光(L)の波長は、使用する蛍光物質(F)の最大吸収波長によって、また、適用する蛍光測定によって変化するので、種々の領域に対応できるように、フォトニック結晶のフォトニックバンド領域を制御する。一般的には、波長300〜800nmの紫外線、可視光線、近赤外線を使用することが多い。
蛍光シグナルは、公知の蛍光測定装置にて測定することができ、本発明の蛍光シグナル増幅方法は種々の蛍光測定に適用することができる。
フォトニック結晶(PC)の励起光(L)の照射部以外の面に、ミラーを設置することができる。ここでミラーとは通常の鏡面体を意味する。ミラーは、反射率が極めて高いものの、反射の原理がブラック反射ではなく表面反射であるため、励起光(L)の照射部には設置することができない。しかし、励起光(L)の照射部以外の面にミラーを設置すれば、フォトニック結晶を透過した励起光やフォトニック結晶により拡散された励起光をフォトニック結晶中に戻すことができるため、更なる蛍光シグナルの増幅効果が得られる。
[実施例]
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<フォトニック結晶の作製>
(1)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-1)
ポリスチレン微粒子の水分散体[積水化学社製、体積平均粒径(以下、DVと記すことがある。):190nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%]に、厚み30μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C1)を30mm浸漬して24時間・室温にて静置した。
24時間後、キャピラリー(C1)を微粒子の水分散体から取出し、90℃にて1時間乾燥させることにより、浸漬した側と反対側の端部に、キャピラリー(C1)内に充填された長さ約1mmのオパール構造型フォトニック結晶(PC-1)が作製できた。
フォトニック結晶(PC-1)は、キャピラリー(C1)の内部壁面に接触して形成されているので、フォトニック結晶(PC-1)の厚みは30μm、幅は5mmである。
(1)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-1)
ポリスチレン微粒子の水分散体[積水化学社製、体積平均粒径(以下、DVと記すことがある。):190nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%]に、厚み30μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C1)を30mm浸漬して24時間・室温にて静置した。
24時間後、キャピラリー(C1)を微粒子の水分散体から取出し、90℃にて1時間乾燥させることにより、浸漬した側と反対側の端部に、キャピラリー(C1)内に充填された長さ約1mmのオパール構造型フォトニック結晶(PC-1)が作製できた。
フォトニック結晶(PC-1)は、キャピラリー(C1)の内部壁面に接触して形成されているので、フォトニック結晶(PC-1)の厚みは30μm、幅は5mmである。
(2)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-2)
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み50μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C2)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-2)を作製した。
(3)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-3)
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み100μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C3)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-3)を作製した。
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み50μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C2)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-2)を作製した。
(3)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-3)
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み100μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C3)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-3)を作製した。
(4)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-4)
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み300μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C4)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-4)を作製した。
(5)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-5)
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み500μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C5)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-5)を作製した。
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み300μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C4)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-4)を作製した。
(5)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-5)
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み500μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C5)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-5)を作製した。
(6)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-6)
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み1000μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C6)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-6)を作製した。
(7)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-7)
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:190nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)の代わりに、ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:220nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-4)と同様にして、フォトニック結晶(PC-7)を作製した。
石英製キャピラリー(C1)の代わりに、厚み1000μm、長さ50mm、幅5mmの石英製キャピラリー(C6)を使用する以外は、(PC-1)と同様にして、フォトニック結晶(PC-6)を作製した。
(7)ポリスチレン微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-7)
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:190nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)の代わりに、ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:220nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-4)と同様にして、フォトニック結晶(PC-7)を作製した。
(8)シリカ微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-8)
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:190nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)の代わりに、シリカ微粒子の水分散体(体積平均粒径:150nm、Cv:7%、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-4)と同様にして、フォトニック結晶(PC-8)を作製した。
シリカ微粒子の水分散体は、テトラエトキシシラン100部、エタノール1500部、水400部、メチルアミン30部を混合して密閉攪拌状態において室温で24時間反応させることによりシリカ微粒子を合成し、遠心分離・溶媒置換を行うことにより作製した。
(9)シリカ微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-9)
シリカ微粒子の水分散体(体積平均粒径:150nm、Cv:7%、固形分濃度:10%)の代わりに、シリカ微粒子の水分散体(体積平均粒径:160nm、Cv:7%、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-8)と同様にして、フォトニック結晶(PC-9)を作製した。
シリカ微粒子の水分散体は、テトラエトキシシラン100部、エタノール1500部、水500部、メチルアミン35部を混合して密閉攪拌状態において室温で24時間反応させることによりシリカ微粒子を合成し、遠心分離・溶媒置換を行うことにより作製した。
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:190nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)の代わりに、シリカ微粒子の水分散体(体積平均粒径:150nm、Cv:7%、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-4)と同様にして、フォトニック結晶(PC-8)を作製した。
シリカ微粒子の水分散体は、テトラエトキシシラン100部、エタノール1500部、水400部、メチルアミン30部を混合して密閉攪拌状態において室温で24時間反応させることによりシリカ微粒子を合成し、遠心分離・溶媒置換を行うことにより作製した。
(9)シリカ微粒子のオパール構造からなるフォトニック結晶(PC-9)
シリカ微粒子の水分散体(体積平均粒径:150nm、Cv:7%、固形分濃度:10%)の代わりに、シリカ微粒子の水分散体(体積平均粒径:160nm、Cv:7%、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-8)と同様にして、フォトニック結晶(PC-9)を作製した。
シリカ微粒子の水分散体は、テトラエトキシシラン100部、エタノール1500部、水500部、メチルアミン35部を混合して密閉攪拌状態において室温で24時間反応させることによりシリカ微粒子を合成し、遠心分離・溶媒置換を行うことにより作製した。
(10)酸化チタンの逆オパール構造からなるフォトニック結晶(PC-10)
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径(以下、DVと記すことがある。):260nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)を、カバーガラス上に滴下して60℃にて静置することにより、直径約1cm、厚み100μmのオパール構造型フォトニック結晶(PC-10B)を作製した。厚みは渦電流膜厚計EDY-1000(サンコウ電子社製)にて測定した。
オパール構造体(PC-10B)の間隙に酸化チタンの前駆体であるエタノール、チタニウムテトライソプロポキシド、水及び塩酸から作成されたチタニアゾルを充填し、エタノール及び水を乾燥除去した後、500℃にて焼成することによりポリスチレン微粒子を熱分解除去して、酸化チタンからなる逆オパール構造のフォトニック結晶(PC-10)を得た。フォトニック結晶の大きさは、直径約1cm、厚み20μmであった。
(11)酸化チタンの逆オパール構造からなるフォトニック結晶(PC-11)
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:260nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)の代わりに、ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:280nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-10)と同様にして、フォトニック結晶(PC-11)を作製した。
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径(以下、DVと記すことがある。):260nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)を、カバーガラス上に滴下して60℃にて静置することにより、直径約1cm、厚み100μmのオパール構造型フォトニック結晶(PC-10B)を作製した。厚みは渦電流膜厚計EDY-1000(サンコウ電子社製)にて測定した。
オパール構造体(PC-10B)の間隙に酸化チタンの前駆体であるエタノール、チタニウムテトライソプロポキシド、水及び塩酸から作成されたチタニアゾルを充填し、エタノール及び水を乾燥除去した後、500℃にて焼成することによりポリスチレン微粒子を熱分解除去して、酸化チタンからなる逆オパール構造のフォトニック結晶(PC-10)を得た。フォトニック結晶の大きさは、直径約1cm、厚み20μmであった。
(11)酸化チタンの逆オパール構造からなるフォトニック結晶(PC-11)
ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:260nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)の代わりに、ポリスチレン微粒子の水分散体(積水化学社製、体積平均粒径:280nm、Cv:3%以下、固形分濃度:10%)を使用する以外は、(PC-10)と同様にして、フォトニック結晶(PC-11)を作製した。
<フォトニック結晶の反射スペクトル(反射率)の測定>
正立顕微鏡BX51(オリンパス社製)及び、分光器PMA-11(浜松ホトニクス社製)を使用して反射スペクトルの測定を行った。反射率(%)は、金板をブランクとして算出した。
反射スペクトル波長が400nm以下のフォトニック結晶については、絶対反射率測定装置ARMV-734(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計V600に設置して使用)を使用して反射スペクトルの測定を行い、反射率(%)は絶対率で表示した。
正立顕微鏡BX51(オリンパス社製)及び、分光器PMA-11(浜松ホトニクス社製)を使用して反射スペクトルの測定を行った。反射率(%)は、金板をブランクとして算出した。
反射スペクトル波長が400nm以下のフォトニック結晶については、絶対反射率測定装置ARMV-734(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計V600に設置して使用)を使用して反射スペクトルの測定を行い、反射率(%)は絶対率で表示した。
<蛍光シグナル増幅倍率の評価>
励起光源として、アルゴンイオンレーザー(スペクトラフィジックス社製)を使用して蛍光シグナルの測定を行った。該アルゴンイオンレーザーは、ピーク波長457、476、488、496、514nmの発振が可能である。
実施例9〜12については、水銀ランプ(ウシオ社製)及びカットフィルターを使用してピーク波長を365nmに設定した。
ブランクは、オパール構造型フォトニック結晶については、比較するフォトニック結晶と同一の厚みを有する石英製キャピラリーに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものとした。逆オパール構造型フォトニック結晶については、2枚のカバーガラス(マツナミ社製、No2)の間にシリコングリスを挟んで比較するフォトニック結晶と同一の厚みに調整したものに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものとした。
蛍光シグナルの増幅倍率は、「フォトニック結晶サンプルでの蛍光シグナルのピーク強度/ブランクシグナルのピーク強度」であり、蛍光分子数基準で表した。
蛍光シグナルの検出器には、SPEC-10(プリンストンインスツルメンツ社製)を使用した。
励起光源として、アルゴンイオンレーザー(スペクトラフィジックス社製)を使用して蛍光シグナルの測定を行った。該アルゴンイオンレーザーは、ピーク波長457、476、488、496、514nmの発振が可能である。
実施例9〜12については、水銀ランプ(ウシオ社製)及びカットフィルターを使用してピーク波長を365nmに設定した。
ブランクは、オパール構造型フォトニック結晶については、比較するフォトニック結晶と同一の厚みを有する石英製キャピラリーに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものとした。逆オパール構造型フォトニック結晶については、2枚のカバーガラス(マツナミ社製、No2)の間にシリコングリスを挟んで比較するフォトニック結晶と同一の厚みに調整したものに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものとした。
蛍光シグナルの増幅倍率は、「フォトニック結晶サンプルでの蛍光シグナルのピーク強度/ブランクシグナルのピーク強度」であり、蛍光分子数基準で表した。
蛍光シグナルの検出器には、SPEC-10(プリンストンインスツルメンツ社製)を使用した。
<実施例1>
石英製キャピラリー(C1)内に作製されたフォトニック結晶(PC-1)の空隙部に、10-4Mの濃度に調整したローダミンBのエチレングリコール溶液を充填して、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
反射スペクトルのピーク波長は460nm、反射率は40%であった。
励起光源は、アルゴンイオンレーザー(ピーク波長457nm、スペクトラフィジックス社製)を使用し、励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-1)の反射率は40%であった。
キャピラリー(C1)に、10-4Mの濃度に調整したローダミンBのエチレングリコール溶液のみを充填したものをブランクとして、該ブランクに対する蛍光シグナルの増幅倍率を評価したところ、蛍光分子数基準で10倍の増幅倍率を確認した。
石英製キャピラリー(C1)内に作製されたフォトニック結晶(PC-1)の空隙部に、10-4Mの濃度に調整したローダミンBのエチレングリコール溶液を充填して、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
反射スペクトルのピーク波長は460nm、反射率は40%であった。
励起光源は、アルゴンイオンレーザー(ピーク波長457nm、スペクトラフィジックス社製)を使用し、励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-1)の反射率は40%であった。
キャピラリー(C1)に、10-4Mの濃度に調整したローダミンBのエチレングリコール溶液のみを充填したものをブランクとして、該ブランクに対する蛍光シグナルの増幅倍率を評価したところ、蛍光分子数基準で10倍の増幅倍率を確認した。
<実施例2>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-2)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-2)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例3>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-3)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-3)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例4>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-4)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-4)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例5>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-5)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-5)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例6>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-6)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-6)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例7>
励起光波長として、457nmの代わりに、488nmを使用しする以外は、実施例4と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-4)の反射率は10%であった。
励起光波長として、457nmの代わりに、488nmを使用しする以外は、実施例4と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-4)の反射率は10%であった。
<実施例8>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-7)を使用し、励起光波長として、457nmの代わりに、514nmを使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-7)の反射率は10%であった。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-7)を使用し、励起光波長として、457nmの代わりに、514nmを使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-7)の反射率は10%であった。
<実施例9>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-8)を使用し、10-4Mの濃度に調整したローダミンBのエチレングリコール溶液の代わりに、LANCEcAMP384Kit(パーキンエルマー社製)を使用する。励起光源としては、アルゴンイオンレーザーの代わりに、水銀ランプ(ウシオ社製、カットフィルターを使用してピーク波長を365nmに設定)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-8)の反射率は10%であった。
LANCEcAMP384Kitは、cAMP-ビオチン-ストレプトアビジンの結合体のストレプトアビジンにドナー蛍光物質であるユーロピウム錯体が標識された試薬(1)と、抗cAMP抗体にアクセプター蛍光物質であるAlexaFluor647が標識された試薬(2)、及びスタンダードからなるcAMPからなるcAMPを競合法にて測定する試薬である。
試薬(1)と試薬(2)とを混合すると、抗cAMP抗体とcAMPが結合して、ユーロピウム錯体とAlexaFluor647の距離が近くなり、この状態において励起光を照射すると、ユーロピウム錯体のみが励起されAlexaFluor647にそのエネルギーが転移してAlexaFluor647の蛍光シグナルが観測される。本実施例では、スタンダードcAMPは使用せず、試薬(1)と試薬(2)のみを混合して使用し、AlexaFluor647の蛍光シグナルを測定した。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-8)を使用し、10-4Mの濃度に調整したローダミンBのエチレングリコール溶液の代わりに、LANCEcAMP384Kit(パーキンエルマー社製)を使用する。励起光源としては、アルゴンイオンレーザーの代わりに、水銀ランプ(ウシオ社製、カットフィルターを使用してピーク波長を365nmに設定)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。励起光のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC-8)の反射率は10%であった。
LANCEcAMP384Kitは、cAMP-ビオチン-ストレプトアビジンの結合体のストレプトアビジンにドナー蛍光物質であるユーロピウム錯体が標識された試薬(1)と、抗cAMP抗体にアクセプター蛍光物質であるAlexaFluor647が標識された試薬(2)、及びスタンダードからなるcAMPからなるcAMPを競合法にて測定する試薬である。
試薬(1)と試薬(2)とを混合すると、抗cAMP抗体とcAMPが結合して、ユーロピウム錯体とAlexaFluor647の距離が近くなり、この状態において励起光を照射すると、ユーロピウム錯体のみが励起されAlexaFluor647にそのエネルギーが転移してAlexaFluor647の蛍光シグナルが観測される。本実施例では、スタンダードcAMPは使用せず、試薬(1)と試薬(2)のみを混合して使用し、AlexaFluor647の蛍光シグナルを測定した。
<実施例10>
水銀ランプ照射面と反対面のキャピラリー(C4)外壁面に、金製薄板を設置する以外は、実施例9と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
水銀ランプ照射面と反対面のキャピラリー(C4)外壁面に、金製薄板を設置する以外は、実施例9と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例11>
フォトニック結晶(PC-8)の代わりに、フォトニック結晶(PC-9)を使用する以外は、実施例9と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-8)の代わりに、フォトニック結晶(PC-9)を使用する以外は、実施例9と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例12>
フォトニック結晶(PC-8)の代わりに、フォトニック結晶(PC-9)を使用する以外は、実施例10と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-8)の代わりに、フォトニック結晶(PC-9)を使用する以外は、実施例10と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例13>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-10)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-10)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例14>
励起光波長として、457nmの代わりに、514nmを使用する以外は、実施例13と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
励起光波長として、457nmの代わりに、514nmを使用する以外は、実施例13と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例15>
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-11)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
フォトニック結晶(PC-1)の代わりに、フォトニック結晶(PC-11)を使用する以外は、実施例1と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例16>
励起光波長として、457nmの代わりに、476nmを使用する以外は、実施例15と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
励起光波長として、457nmの代わりに、476nmを使用する以外は、実施例15と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例17>
励起光波長として、457nmの代わりに、488nmを使用する以外は、実施例15と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
励起光波長として、457nmの代わりに、488nmを使用する以外は、実施例15と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<実施例18>
励起光波長として、457nmの代わりに、496nmを使用する以外は、実施例15と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
励起光波長として、457nmの代わりに、496nmを使用する以外は、実施例15と同様にして、反射スペクトルの測定及び蛍光シグナルの測定を行った。
<比較例>
各実施例において測定しているブランクが比較例となる。
ブランクは、オパール構造型フォトニック結晶については、比較するフォトニック結晶と同一の厚みを有する石英製キャピラリーに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものである。逆オパール構造型フォトニック結晶については、2枚のカバーガラス(マツナミ社製、No2)の間にシリコングリスを挟んで比較するフォトニック結晶と同一の厚みに調整したものに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものである。
蛍光シグナルの増幅倍率は、「フォトニック結晶サンプルでの蛍光シグナルのピーク強度/ブランクシグナルのピーク強度」であることから、本発明の蛍光シグナル増幅方法と従来のフォトニック結晶を用いない方法(ブランク=比較例)とを比較した値である。
各実施例において測定しているブランクが比較例となる。
ブランクは、オパール構造型フォトニック結晶については、比較するフォトニック結晶と同一の厚みを有する石英製キャピラリーに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものである。逆オパール構造型フォトニック結晶については、2枚のカバーガラス(マツナミ社製、No2)の間にシリコングリスを挟んで比較するフォトニック結晶と同一の厚みに調整したものに、蛍光物質濃度が同一である蛍光試薬を充填したものである。
蛍光シグナルの増幅倍率は、「フォトニック結晶サンプルでの蛍光シグナルのピーク強度/ブランクシグナルのピーク強度」であることから、本発明の蛍光シグナル増幅方法と従来のフォトニック結晶を用いない方法(ブランク=比較例)とを比較した値である。
表1〜4に実施例のサンプル条件及び評価結果を示した。
いずれの実施例においても、フォトニック結晶を使用することにより、蛍光シグナルが増幅されていることが分かる。
概ね励起光波長におけるフォトニック結晶の反射率が高く、フォトニック結晶の膜厚が厚い方が、増幅倍率が高くなる傾向にある。
フォトニック結晶の厚みが20μm程度の薄膜においても、蛍光シグナルの増幅が確認できた。
また、LANCEcAMP384Kitを使用した場合にも蛍光シグナルが増幅し、本発明の蛍光シグナル増幅方法は、バイオメディカル分野の蛍光測定にも適用できることが分かった。
概ね励起光波長におけるフォトニック結晶の反射率が高く、フォトニック結晶の膜厚が厚い方が、増幅倍率が高くなる傾向にある。
フォトニック結晶の厚みが20μm程度の薄膜においても、蛍光シグナルの増幅が確認できた。
また、LANCEcAMP384Kitを使用した場合にも蛍光シグナルが増幅し、本発明の蛍光シグナル増幅方法は、バイオメディカル分野の蛍光測定にも適用できることが分かった。
本発明の蛍光シグナル増幅方法は、微量化学物質測定、創薬分野等の研究開発や臨床診断分野において使用される蛍光測定に適用することができ、これら蛍光測定の高感度化を可能にする。
Claims (6)
- 蛍光物質(F)をフォトニック結晶(PC)の空隙部に存在させて、該フォトニック結晶(PC)により励起光(L)を反射反復させることを特徴とする蛍光シグナルの増幅方法。
- 励起光(L)のピーク波長におけるフォトニック結晶(PC)の反射率が、10〜80%である請求項1に記載の蛍光シグナルの増幅方法。
- フォトニック結晶(PC)の厚みが、10〜1000μmである請求項1又は2に記載の蛍光シグナルの増幅方法。
- フォトニック結晶(PC)がオパール構造又は逆オパール構造である請求項1から3のいずれか1項に記載の蛍光シグナルの増幅方法。
- 蛍光物質(F)が、免疫蛋白質又は核酸に結合されて用いられる請求項1から4のいずれか1項に記載の蛍光シグナルの増幅方法。
- フォトニック結晶(PC)の励起光(L)の照射部以外の面に、ミラーを設置する請求項1から5のいずれか1項に記載の蛍光シグナルの増幅方法。
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- 2007-03-26 JP JP2007078828A patent/JP2008241305A/ja active Pending
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