JP2008240131A - 透明ガスバリアフィルムおよびエレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性に優れると共に、酸素および水蒸気のガスバリア性に優れた透明ガスバリアフィルムおよびそれを用いたエレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】樹脂基板1の片面または両面に珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を有する透明ガスバリアフィルム10であって、前記薄膜2に含まれる珪素原子と窒素原子との割合がSiNx(ただし、0.5≦x≦1.4)であり、かつ、前記薄膜2の膜厚が20〜50nmであることを特徴とする透明ガスバリアフィルム10。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂基板1の片面または両面に珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を有する透明ガスバリアフィルム10であって、前記薄膜2に含まれる珪素原子と窒素原子との割合がSiNx(ただし、0.5≦x≦1.4)であり、かつ、前記薄膜2の膜厚が20〜50nmであることを特徴とする透明ガスバリアフィルム10。
【選択図】図1
Description
本発明は、透明ガスバリアフィルム、およびそれを用いたエレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜が形成されたガスバリアフィルムは、食品、工業用品および医薬品等の変質を予防するための包装、酸素や水蒸気の遮断を必要とする物品の包装用途に多く用いられている。
また、前記ガスバリアフィルムは、包装用途以外にも、液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等に用いられている。
特に、液晶表示素子やEL素子等へのガスバリアフィルムの応用が進んでいる透明基板に関しては、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく、大面積化が困難なガラス基板に代わって、透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。
特に、透明プラスチックフィルムは、上記要求に応えるだけでなく、ロールツーロール方式の生産が可能であることから、ガラス基板よりも生産性が良く、コストダウンの点でも有利である。
また、前記ガスバリアフィルムは、包装用途以外にも、液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等に用いられている。
特に、液晶表示素子やEL素子等へのガスバリアフィルムの応用が進んでいる透明基板に関しては、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく、大面積化が困難なガラス基板に代わって、透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。
特に、透明プラスチックフィルムは、上記要求に応えるだけでなく、ロールツーロール方式の生産が可能であることから、ガラス基板よりも生産性が良く、コストダウンの点でも有利である。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材は、ガラス基板に比べて、酸素または水蒸気の透過を防止する効果(ガスバリア性)に劣る問題がある。
ガスバリア性に劣るフィルム基材を上記の用途に用いると、酸素または水蒸気が透過して問題が生じる。たとえば、液晶セル内の液晶または有機EL素子が劣化し、表示欠陥となって表示性能が悪くなる。
ガスバリア性に劣るフィルム基材を上記の用途に用いると、酸素または水蒸気が透過して問題が生じる。たとえば、液晶セル内の液晶または有機EL素子が劣化し、表示欠陥となって表示性能が悪くなる。
このような問題を解決するために、フィルム基材面に金属酸化物薄膜を有するガスバリアフィルムが提案されている。
包装部材や液晶表示素子に用いられるガスバリアフィルムとしては、プラスチックフィルム面に、酸化珪素が蒸着されたもの(特許文献1参照)、酸化アルミニウムが蒸着されたもの(特許文献2参照)がそれぞれ開示されている。
特公昭53―12953号公報
特開昭58―217344号公報
包装部材や液晶表示素子に用いられるガスバリアフィルムとしては、プラスチックフィルム面に、酸化珪素が蒸着されたもの(特許文献1参照)、酸化アルミニウムが蒸着されたもの(特許文献2参照)がそれぞれ開示されている。
近年では、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ、有機EL表示体等の開発により、フィルム基材へのガスバリア性の更なる向上が要求されている。
特許文献1に記載の酸化珪素が蒸着されたプラスチックフィルムは、酸素透過率が1.2cm3/m2・day・atm、水蒸気透過率がベースフィルム両面に酸化珪素が蒸着されたもので0.3g/m2・24hr程度のガスバリア性を有する。
特許文献2に記載の酸化アルミニウムが蒸着されたプラスチックフィルムにおいては、酸素透過率が0.4cm3/m2・day・atm未満、水蒸気透過率が0.2g/m2・24hr未満を同時に満足する例が挙げられているものの、具体的な測定値は示されていない。
しかしながら、特許文献1〜2に記載されているような従来のガスバリアフィルムでは、近年の要求されているガスバリア性が未だ不充分である。
特許文献1に記載の酸化珪素が蒸着されたプラスチックフィルムは、酸素透過率が1.2cm3/m2・day・atm、水蒸気透過率がベースフィルム両面に酸化珪素が蒸着されたもので0.3g/m2・24hr程度のガスバリア性を有する。
特許文献2に記載の酸化アルミニウムが蒸着されたプラスチックフィルムにおいては、酸素透過率が0.4cm3/m2・day・atm未満、水蒸気透過率が0.2g/m2・24hr未満を同時に満足する例が挙げられているものの、具体的な測定値は示されていない。
しかしながら、特許文献1〜2に記載されているような従来のガスバリアフィルムでは、近年の要求されているガスバリア性が未だ不充分である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明性に優れると共に、酸素および水蒸気のガスバリア性に優れた透明ガスバリアフィルムおよびそれを用いたエレクトロルミネッセンス素子を提供することを課題とする。
本発明は、樹脂基板の片面または両面に珪素原子と窒素原子とを含む薄膜を有する透明ガスバリアフィルムであって、前記薄膜に含まれる珪素原子と窒素原子との割合がSiNx(ただし、0.5≦x≦1.4)であり、かつ、前記薄膜の膜厚が20〜50nmであることを特徴とする透明ガスバリアフィルムである。
本発明の透明ガスバリアフィルムにおいては、前記薄膜が、マグネトロンスパッタリング法により形成される膜であることが好ましく、デュアルマグネトロンスパッタリング法により形成される膜であることがより好ましい。
また、本発明の透明ガスバリアフィルムにおいては、前記樹脂基板がポリエチレンナフタレートフィルムであることが好ましい。
本発明の透明ガスバリアフィルムにおいては、前記薄膜が、マグネトロンスパッタリング法により形成される膜であることが好ましく、デュアルマグネトロンスパッタリング法により形成される膜であることがより好ましい。
また、本発明の透明ガスバリアフィルムにおいては、前記樹脂基板がポリエチレンナフタレートフィルムであることが好ましい。
また、本発明の透明ガスバリアフィルムにおいては、全光線透過率が80%以上であり、 温度40℃および湿度90%における酸素透過率が0.5cm3/m2・day・atm以下で、かつ、水蒸気透過率が0.1g/m2・24hr以下であることが好ましい。
また、本発明は、基板上に少なくとも透明電極層、発光層、および陰極層が順次積層した積層体が、密閉された空間内に配置されたエレクトロルミネッセンス素子において、前記基板は、前記本発明の透明ガスバリアフィルムであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子である。
本発明によれば、透明性に優れると共に、酸素および水蒸気のガスバリア性に優れた透明ガスバリアフィルムが提供できる。
本発明の透明ガスバリアフィルムによれば、劣化しにくく、表示欠陥のない高性能なエレクトロルミネッセンス素子が提供できる。
本発明の透明ガスバリアフィルムによれば、劣化しにくく、表示欠陥のない高性能なエレクトロルミネッセンス素子が提供できる。
<透明ガスバリアフィルム>
図1は、本発明の透明ガスバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。
図1において、透明ガスバリアフィルム10は、樹脂基板1上に、珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を有する。
薄膜2は、樹脂基板1の片面だけに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
図1は、本発明の透明ガスバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。
図1において、透明ガスバリアフィルム10は、樹脂基板1上に、珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を有する。
薄膜2は、樹脂基板1の片面だけに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
(樹脂基板)
樹脂基板1としては、ガスバリア性を有する薄膜2を保持することができる有機材料で形成された膜からなるものであれば特に限定されるものではない。
当該有機材料として具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体もしくは共重合体;ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン1、2、共重合体ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラート樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
なかでも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ガスバリア性が良好であり、特に酸素透過率および水蒸気透過率が低いことから、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂等のポリエチレンナフタレート樹脂がより好ましく、樹脂基板1としてはポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが特に好ましい。
樹脂基板1の厚みは、12〜500μmであることが好ましい。
また、樹脂基板1は、透明性が高いことが必要である。透明性としては、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
樹脂基板1としては、ガスバリア性を有する薄膜2を保持することができる有機材料で形成された膜からなるものであれば特に限定されるものではない。
当該有機材料として具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体もしくは共重合体;ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン1、2、共重合体ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラート樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
なかでも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ガスバリア性が良好であり、特に酸素透過率および水蒸気透過率が低いことから、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂等のポリエチレンナフタレート樹脂がより好ましく、樹脂基板1としてはポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが特に好ましい。
樹脂基板1の厚みは、12〜500μmであることが好ましい。
また、樹脂基板1は、透明性が高いことが必要である。透明性としては、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
(薄膜)
薄膜2は、珪素原子(Si)と窒素原子(N)とを含む。
薄膜2に含まれる珪素原子と窒素原子との割合を表す「SiNx」において、xは、0.5≦x≦1.4であり、0.9≦x≦1.4であることが好ましい。
xが1.4より大きいものは、化学量論的に作製することが不可能であり、0.5未満のものは充分なガスバリア性が発揮されない。
本発明において、薄膜2に含まれる珪素原子と窒素原子との割合を表す「SiNx」とは、珪素原子および窒素原子が、珪素原子1個当たり窒素原子x個の割合で薄膜2中に存在することを意味する。
「SiNx」におけるxは、X線光電子分光法から得られる元素組成により求められる値を示す。
薄膜2は、珪素原子(Si)と窒素原子(N)とを含む。
薄膜2に含まれる珪素原子と窒素原子との割合を表す「SiNx」において、xは、0.5≦x≦1.4であり、0.9≦x≦1.4であることが好ましい。
xが1.4より大きいものは、化学量論的に作製することが不可能であり、0.5未満のものは充分なガスバリア性が発揮されない。
本発明において、薄膜2に含まれる珪素原子と窒素原子との割合を表す「SiNx」とは、珪素原子および窒素原子が、珪素原子1個当たり窒素原子x個の割合で薄膜2中に存在することを意味する。
「SiNx」におけるxは、X線光電子分光法から得られる元素組成により求められる値を示す。
薄膜2は、珪素原子と窒素原子以外に、酸素原子、炭素原子等を含んでいてもよい。
薄膜2の膜厚は、透明性、ガスバリア性およびフレキシブル性等のバランスから、20〜50nmである。膜厚が50nm以下であると、曲げ応力に対するクラック発生の恐れが低減し、ガスバリア性が向上する。また、透明性が良好となる。一方、膜厚が20nm以上であると、樹脂基板1を完全に被覆することが容易となり、薄膜2を均一に形成できるため、ガスバリア性がより得られやすくなる。特に、水蒸気透過率が良好となる。
(製造方法)
透明ガスバリアフィルム10の製造方法としては、樹脂基板1を準備し、樹脂基板1上に、珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を製膜する方法が挙げられる。
薄膜2の製膜方法としては、たとえば、一般的な化学蒸着法(CVD法)が挙げられる。具体的には、熱CVD法、プラズマ気層蒸着法(PECVD法)またはCat−CVD(触媒化学気相成長)法等により、減圧下で原料ガスを反応させ、樹脂基板1上に珪素原子と窒素原子とを付着させる方法である。
また、薄膜2の製膜方法としては、スパッタリング法も挙げられる。
「スパッタリング法」とは、一般的に、ターゲット側に電荷をかけることで発生したプラズマにより、ターゲットと基板との間に投入したスパッターガスをイオン化し、発生したイオンをターゲットに衝突させ、叩き出されたスパッター粒子を基板上に堆積させる方法をいう。
本発明においては、より優れたガスバリア性を有する透明ガスバリアフィルムが得られやすいことから、スパッタリング法が好ましく用いられ、マグネトロンスパッタリング法がより好ましく用いられ、製膜速度が速くかつ熱負荷が高いため、より緻密な薄膜が得られやすいことから、デュアルマグネトロンスパッタリング法が特に好ましく用いられる。
透明ガスバリアフィルム10の製造方法としては、樹脂基板1を準備し、樹脂基板1上に、珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を製膜する方法が挙げられる。
薄膜2の製膜方法としては、たとえば、一般的な化学蒸着法(CVD法)が挙げられる。具体的には、熱CVD法、プラズマ気層蒸着法(PECVD法)またはCat−CVD(触媒化学気相成長)法等により、減圧下で原料ガスを反応させ、樹脂基板1上に珪素原子と窒素原子とを付着させる方法である。
また、薄膜2の製膜方法としては、スパッタリング法も挙げられる。
「スパッタリング法」とは、一般的に、ターゲット側に電荷をかけることで発生したプラズマにより、ターゲットと基板との間に投入したスパッターガスをイオン化し、発生したイオンをターゲットに衝突させ、叩き出されたスパッター粒子を基板上に堆積させる方法をいう。
本発明においては、より優れたガスバリア性を有する透明ガスバリアフィルムが得られやすいことから、スパッタリング法が好ましく用いられ、マグネトロンスパッタリング法がより好ましく用いられ、製膜速度が速くかつ熱負荷が高いため、より緻密な薄膜が得られやすいことから、デュアルマグネトロンスパッタリング法が特に好ましく用いられる。
本発明における「マグネトロンスパッタリング法」は、ターゲット後方に磁石を設置し、磁場の効果により、ターゲット近傍のプラズマ密度を高めたスパッタリング法である。
当該マグネトロンスパッタリング法には、スパッターガスや反応ガスを導入するための導入管、放電エネルギーが印加される電極、製膜ロールの温度やフィルム搬送速度を制御する制御部、反応器内のガスを排気するための排気管、および排気装置が備え付けられたものを基本的な構成単位とするスパッター装置が用いられる。
ターゲットとしては、シリコンや窒化シリコン等が挙げられる。
また、スパッターガスや反応ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、水素ガス等もしくはそれらの含有物が用いられる。
当該マグネトロンスパッタリング法には、スパッターガスや反応ガスを導入するための導入管、放電エネルギーが印加される電極、製膜ロールの温度やフィルム搬送速度を制御する制御部、反応器内のガスを排気するための排気管、および排気装置が備え付けられたものを基本的な構成単位とするスパッター装置が用いられる。
ターゲットとしては、シリコンや窒化シリコン等が挙げられる。
また、スパッターガスや反応ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、水素ガス等もしくはそれらの含有物が用いられる。
本発明において、「デュアルマグネトロンスパッタリング法」におけるスパッター条件としては、温度が150℃以下であることが好ましく、出力が2.0kW以下であることが好ましい。かかるスパッター条件であれば、樹脂基板1へのダメージを抑制でき、樹脂基板1上に珪素原子と窒素原子とをより均一に堆積させることができる。これにより、珪素原子と窒素原子とが、緻密で欠点の少ない状態を形成できるため、高いガスバリア性を有し、透明で、かつ、曲げてもそのガスバリア性が低下しない透明ガスバリアフィルム10が得られやすくなる。
(透明ガスバリアフィルム)
本発明の透明ガスバリアフィルム10は、全光線透過率が80%以上であり、温度40℃および湿度90%における酸素透過率が0.5cm3/m2・day・atm以下で、かつ、温度40℃および湿度90%における水蒸気透過率が0.1g/m2・24hr以下であることが好ましい。
本発明の透明ガスバリアフィルム10は、全光線透過率が80%以上であり、温度40℃および湿度90%における酸素透過率が0.5cm3/m2・day・atm以下で、かつ、温度40℃および湿度90%における水蒸気透過率が0.1g/m2・24hr以下であることが好ましい。
本発明の透明ガスバリアフィルム10において、全光線透過率が80%以上であることは、透明性に優れることを示す。
酸素透過率は、0.2cm3/m2・day・atm以下であることがより好ましい。酸素透過率が0.5cm3/m2・day・atm以下であることは、酸素のガスバリア性に優れることを示す。
水蒸気透過率は、10−3g/m2・24hr以下であることがより好ましい。水蒸気透過率が0.1g/m2・24hr以下であることは、水素のガスバリア性に優れることを示す。
酸素透過率は、0.2cm3/m2・day・atm以下であることがより好ましい。酸素透過率が0.5cm3/m2・day・atm以下であることは、酸素のガスバリア性に優れることを示す。
水蒸気透過率は、10−3g/m2・24hr以下であることがより好ましい。水蒸気透過率が0.1g/m2・24hr以下であることは、水素のガスバリア性に優れることを示す。
本発明において、「全光線透過率」は、ヘイズメーター(製品名:Haze Meter NDH2000、日本電色社製)を用いて測定される値を示す。
「酸素透過率」および「水蒸気透過率」は、透湿度測定装置(製品名:GTR−30XATS、GTRテック社製)を用いて、温度40℃、湿度90%の条件でそれぞれ測定される値を示す。
「酸素透過率」および「水蒸気透過率」は、透湿度測定装置(製品名:GTR−30XATS、GTRテック社製)を用いて、温度40℃、湿度90%の条件でそれぞれ測定される値を示す。
以上説明したように、本発明の透明ガスバリアフィルム10は、透明性に優れると共に、酸素および水蒸気のガスバリア性に優れたものである。
透明ガスバリアフィルム10におけるガスバリア性は、主として樹脂基板1上に形成される薄膜2のガスバリア性能に依存する。
本発明の透明ガスバリアフィルム10は、樹脂基板1上に、珪素原子と窒素原子とを特定の割合で含む薄膜2を有するため、本発明の効果が得られる。
本発明の透明ガスバリアフィルム10は、樹脂基板1上に、珪素原子と窒素原子とを特定の割合で含む薄膜2を有するため、本発明の効果が得られる。
また、薄膜2は、マグネトロンスパッタリング法(より好ましくは、デュアルマグネトロンスパッタリング法)により形成される膜であることが好ましい。
薄膜の製膜方法としては、手高加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法等が一般的に知られている。それらの製膜方法や製膜条件により、形成される薄膜の状態が異なり、この薄膜の状態の相違が、最終的に透明ガスバリアフィルムのガスバリア性に影響を及ぼすと考えられる。
本発明においては、マグネトロンスパッタリング法を用いることにより、本発明の効果がより向上する。
薄膜の製膜方法としては、手高加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法等が一般的に知られている。それらの製膜方法や製膜条件により、形成される薄膜の状態が異なり、この薄膜の状態の相違が、最終的に透明ガスバリアフィルムのガスバリア性に影響を及ぼすと考えられる。
本発明においては、マグネトロンスパッタリング法を用いることにより、本発明の効果がより向上する。
<エレクトロルミネッセンス素子>
図2は、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の一例を示す概略断面図である。
図2において、エレクトロルミネッセンス素子20は、樹脂基板1上に珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を有する透明ガスバリアフィルム10を基板として用い、透明ガスバリアフィルム10上に、透明電極層3、発光層4、および陰極層5が順次積層した積層体が、封止膜6により封止されて密閉された空間内に配置されたものである。
図2は、本発明のエレクトロルミネッセンス素子の一例を示す概略断面図である。
図2において、エレクトロルミネッセンス素子20は、樹脂基板1上に珪素原子と窒素原子とを含む薄膜2を有する透明ガスバリアフィルム10を基板として用い、透明ガスバリアフィルム10上に、透明電極層3、発光層4、および陰極層5が順次積層した積層体が、封止膜6により封止されて密閉された空間内に配置されたものである。
(基板)
基板としては、上記本発明の透明ガスバリアフィルム10を用いる。
基板としては、上記本発明の透明ガスバリアフィルム10を用いる。
(透明電極層)
透明電極層3は、発光層4に正孔を供給する陽極としての機能を有するものである。
透明電極層3用材料としては、たとえば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、アルミニウム等の金属を用いることができ、その形状、構造、大きさ等については特に限定されるものではない。これら材料は、一種または二種以上を併用して用いることができる。
透明電極層3は、発光層4に正孔を供給する陽極としての機能を有するものである。
透明電極層3用材料としては、たとえば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、アルミニウム等の金属を用いることができ、その形状、構造、大きさ等については特に限定されるものではない。これら材料は、一種または二種以上を併用して用いることができる。
(発光層)
発光層4は、少なくとも1種の発光材を含有するものであり、必要に応じて、正孔の発生または移動を容易にする正孔注入材または正孔輸送材や、電子の発生または移動を容易にする電子注入材または電子輸送材等を含有させてもよい。
また、正孔注入材もしくは正孔輸送材、または電子注入材もしくは電子輸送材等が、発光層4とは別の層として発光層4に積層されていてもよい。
発光層4は、少なくとも1種の発光材を含有するものであり、必要に応じて、正孔の発生または移動を容易にする正孔注入材または正孔輸送材や、電子の発生または移動を容易にする電子注入材または電子輸送材等を含有させてもよい。
また、正孔注入材もしくは正孔輸送材、または電子注入材もしくは電子輸送材等が、発光層4とは別の層として発光層4に積層されていてもよい。
発光材としては、たとえば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン誘導体、8−キノリール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物が挙げられる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
正孔注入材、正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材および高分子正孔輸送材のいずれも使用可能であり、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、及び陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有していれば特に限定されるものではない。
正孔輸送材としては、たとえば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第3アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物が挙げられる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
正孔輸送材としては、たとえば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第3アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物が挙げられる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
電子注入材、電子輸送材としては、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンザジアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物が挙げられる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
(陰極層)
陰極層5は、発光層4に電子を注入する電極としての機能を有するものである。
陰極層5用材料としては、アルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえば、Mg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げられ、その形状、構造、大きさ等については特に限定されるものではない。これら材料は、一種または二種以上を併用して用いることができる。
陰極層5は、発光層4に電子を注入する電極としての機能を有するものである。
陰極層5用材料としては、アルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえば、Mg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げられ、その形状、構造、大きさ等については特に限定されるものではない。これら材料は、一種または二種以上を併用して用いることができる。
(封止膜)
封止材としては、金属材料、樹脂材料等の公知のものを用いることができ、また、本発明の透明ガスバリアフィルム10を封止材として用いてもよい。
封止材としては、金属材料、樹脂材料等の公知のものを用いることができ、また、本発明の透明ガスバリアフィルム10を封止材として用いてもよい。
エレクトロルミネッセンス素子20は、具体的には以下のようにして製造することができる。
透明ガスバリアフィルム10上に、透明電極層3、発光層4、および陰極層5を順次積層する。
透明電極層3の作製法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、プラズマCVD法等の中から、前記材料との適正を考慮して適宜選択すればよい。
透明電極層3のパターニングは、フォトリソグラフィーによる化学的エッチング法、レーザー等による物理的エッチング法、マスクを用いる真空蒸着法、スパッタリング法、リフトオフ法、または印刷法等により行うことができる。
透明電極層3の厚さは、10nm〜5μmであることが好ましい。
透明ガスバリアフィルム10上に、透明電極層3、発光層4、および陰極層5を順次積層する。
透明電極層3の作製法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、プラズマCVD法等の中から、前記材料との適正を考慮して適宜選択すればよい。
透明電極層3のパターニングは、フォトリソグラフィーによる化学的エッチング法、レーザー等による物理的エッチング法、マスクを用いる真空蒸着法、スパッタリング法、リフトオフ法、または印刷法等により行うことができる。
透明電極層3の厚さは、10nm〜5μmであることが好ましい。
発光層4の作製法は、蒸着やスパッタリング法等の乾式法ディッピング;スピンコート、ディップコート,キャスト、ダイコート、ロールコート、バーコート、グラビアコート等の湿式法等のいずれかによって好適に製膜することができる。これらの製膜法は、発光層4の材料に応じて適宜選択することができる。
発光層4の厚さは、一般に1nm〜10μmであり、10nm〜1μmであることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、および電子輸送層は、発光層とは別に設ける場合、発光層4の作製方法と同様の方法で作製することができる。
発光層4の厚さは、一般に1nm〜10μmであり、10nm〜1μmであることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、および電子輸送層は、発光層とは別に設ける場合、発光層4の作製方法と同様の方法で作製することができる。
陰極層5の作製法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、プラズマCVD等を用いることができ、陰極層5の材料との適正を考慮して適宜選択すればよい。
陰極層5のパターニングは、フォトリソグラフィー、レーザー等による物理的エッチング、マスクを用いる真空蒸着法、スパッタリング法、リフトオフ法、または印刷法等を採用することができる。
陰極層5の厚さは、10nm〜5μmであることが好ましい。
陰極層5のパターニングは、フォトリソグラフィー、レーザー等による物理的エッチング、マスクを用いる真空蒸着法、スパッタリング法、リフトオフ法、または印刷法等を採用することができる。
陰極層5の厚さは、10nm〜5μmであることが好ましい。
そして、図2に示すように、透明ガスバリアフィルム10上に積層した積層体を、前記封止材からなる封止膜6により封止することにより、当該積層体が密閉された空間内に配置されたエレクトロルミネッセンス素子20が得られる。
以上説明した本発明のエレクトロルミネッセンス素子20は、本発明の透明ガスバリアフィルム10を用いたものであり、劣化しにくく、表示欠陥のない高性能なものである。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<透明ガスバリアフィルムの製造>
(実施例1)
樹脂基板として全光線透過率が87%のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ125μm)を用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)と窒素原子(N)とを含む膜種SiNの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、デュアルマグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(50sccm)と窒素(50sccm)とを用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
(実施例1)
樹脂基板として全光線透過率が87%のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ125μm)を用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)と窒素原子(N)とを含む膜種SiNの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、デュアルマグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(50sccm)と窒素(50sccm)とを用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
(実施例2)
実施例1において、膜種SiNの薄膜の製膜方法を、デュアルマグネトロンスパッタリング法からマグネトロンスパッタリング法へ代えた以外は、実施例1と同様にして透明ガスバリアフィルムを得た。
マグネトロンスパッタリング法により当該薄膜を製膜する際、ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(50sccm)と窒素(50sccm)とを用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
実施例1において、膜種SiNの薄膜の製膜方法を、デュアルマグネトロンスパッタリング法からマグネトロンスパッタリング法へ代えた以外は、実施例1と同様にして透明ガスバリアフィルムを得た。
マグネトロンスパッタリング法により当該薄膜を製膜する際、ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(50sccm)と窒素(50sccm)とを用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
(比較例1)
樹脂基板として実施例1と同一のPENフィルムを用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)、酸素原子(O)および窒素原子(N)を含む膜種SiONの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、マグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(100sccm)、酸素(5sccm)および窒素(25sccm)を用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
樹脂基板として実施例1と同一のPENフィルムを用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)、酸素原子(O)および窒素原子(N)を含む膜種SiONの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、マグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(100sccm)、酸素(5sccm)および窒素(25sccm)を用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
(比較例2)
樹脂基板として実施例1と同一のPENフィルムを用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)と酸素原子(O)とを含む膜種SiOの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、マグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(100sccm)と酸素(16sccm)とを用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
樹脂基板として実施例1と同一のPENフィルムを用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)と酸素原子(O)とを含む膜種SiOの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、マグネトロンスパッタリング法を用いた。ターゲットはシリコンターゲット、スパッターガスにはアルゴン(100sccm)と酸素(16sccm)とを用い、出力を1.2kWに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
(比較例3)
樹脂基板として実施例1と同一のPENフィルムを用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)と酸素原子(O)とを含む膜種SiOの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、プラズマCVD法を用いた。原料ガスにはHMDSO(50sccm)と酸素(100sccm)とを用い、出力を4kW、系内圧力を0.1Paに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
樹脂基板として実施例1と同一のPENフィルムを用い、そのPENフィルム表面に、珪素原子(Si)と酸素原子(O)とを含む膜種SiOの薄膜を形成して透明ガスバリアフィルムを得た。
当該薄膜の製膜方法としては、プラズマCVD法を用いた。原料ガスにはHMDSO(50sccm)と酸素(100sccm)とを用い、出力を4kW、系内圧力を0.1Paに調節し、膜厚30nmの薄膜をPENフィルム表面に形成した。
<評価1>
上記実施例及び比較例の透明ガスバリアフィルムについて、水蒸気透過率、酸素透過率および全光線透過率を下記方法によりそれぞれ求めた。その結果を表1に示す。
表1中、「SiNx」は、薄膜に含まれる珪素原子と窒素原子との割合を表し、xは、珪素原子1個当たりの窒素原子の個数を示す。
上記実施例及び比較例の透明ガスバリアフィルムについて、水蒸気透過率、酸素透過率および全光線透過率を下記方法によりそれぞれ求めた。その結果を表1に示す。
表1中、「SiNx」は、薄膜に含まれる珪素原子と窒素原子との割合を表し、xは、珪素原子1個当たりの窒素原子の個数を示す。
[水蒸気透過率、酸素透過率]
水蒸気透過率および酸素透過率は、透湿度測定装置(製品名:GTR−30XATS、GTRテック社製)を用いて、温度40℃、湿度90%の条件でそれぞれ測定した。
水蒸気透過率および酸素透過率は、透湿度測定装置(製品名:GTR−30XATS、GTRテック社製)を用いて、温度40℃、湿度90%の条件でそれぞれ測定した。
[全光線透過率]
全光線透過率は、ヘイズメーター(製品名:Haze Meter NDH2000、 日本電色社製)を用いて測定した。
全光線透過率は、ヘイズメーター(製品名:Haze Meter NDH2000、 日本電色社製)を用いて測定した。
表1の結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜2の透明ガスバリアフィルムは、比較例1〜3の透明ガスバリアフィルムに比べて、水蒸気透過率および酸素透過率がいずれも低く、酸素および水蒸気のガスバリア性に優れていることが確認できた。
また、実施例1〜2の透明ガスバリアフィルムは、全光線透過率が80%以上であり、透明性にも優れていることが確認できた。
また、実施例1〜2の透明ガスバリアフィルムは、全光線透過率が80%以上であり、透明性にも優れていることが確認できた。
実施例1と実施例2との比較より、製膜方法としてデュアルマグネトロンスパッタリング法を用いることにより、酸素および水蒸気のガスバリア性がより優れることが確認できた。
なお、比較例2と比較例3との比較より、珪素原子と酸素原子とからなる薄膜が形成された透明ガスバリアフィルムにおいて、マグネトロンスパッタリング法とプラズマCVD法とでは、マグネトロンスパッタリング法を用いた方が、酸素および水蒸気のガスバリア性がいずれも良好であることが確認された。
本評価1とは別に、下記参考文献1に記載のプラズマCVD法で珪素原子と窒素原子とからなる薄膜を製膜した透明ガスバリアフィルムの水蒸気透過率を測定したところ、0.01g/m2・24hrであった。
珪素原子と窒素原子とからなる薄膜が形成された、実施例1〜2の透明ガスバリアフィルムの水蒸気透過率は、0.01g/m2・24hrよりも低いことから、マグネトロンスパッタリング法とプラズマCVD法とでは、マグネトロンスパッタリング法を用いた方が、水蒸気のガスバリア性が良好であることが確認された。
参考文献1:『プラスチックフィルムへのハイバリア膜作製技術と有機EL適用』
珪素原子と窒素原子とからなる薄膜が形成された、実施例1〜2の透明ガスバリアフィルムの水蒸気透過率は、0.01g/m2・24hrよりも低いことから、マグネトロンスパッタリング法とプラズマCVD法とでは、マグネトロンスパッタリング法を用いた方が、水蒸気のガスバリア性が良好であることが確認された。
参考文献1:『プラスチックフィルムへのハイバリア膜作製技術と有機EL適用』
<評価2>
(実施例3〜4、比較例4〜5)
実施例1と同様にして、表2に示すように膜厚の異なる、珪素原子と窒素原子とを含む膜種SiNの薄膜を有する透明ガスバリアフィルムを製造し、水蒸気透過率、酸素透過率および全光線透過率を上記方法によりそれぞれ求めた。その結果を表2に併記した。
(実施例3〜4、比較例4〜5)
実施例1と同様にして、表2に示すように膜厚の異なる、珪素原子と窒素原子とを含む膜種SiNの薄膜を有する透明ガスバリアフィルムを製造し、水蒸気透過率、酸素透過率および全光線透過率を上記方法によりそれぞれ求めた。その結果を表2に併記した。
表2の結果から、実施例3および実施例4の透明ガスバリアフィルムは、いずれも、透明性に優れると共に、酸素および水蒸気のガスバリア性に優れることが確認できた。
比較例4の透明ガスバリアフィルムは、透明性および水蒸気のガスバリア性は良好であるものの、酸素のガスバリア性に劣ることが確認された。
比較例5の透明ガスバリアフィルムは、水蒸気のガスバリア性は良好であるものの、透明性および酸素のガスバリア性に劣ることが確認された。
比較例4の透明ガスバリアフィルムは、透明性および水蒸気のガスバリア性は良好であるものの、酸素のガスバリア性に劣ることが確認された。
比較例5の透明ガスバリアフィルムは、水蒸気のガスバリア性は良好であるものの、透明性および酸素のガスバリア性に劣ることが確認された。
1・・・樹脂基板 2・・・薄膜 3・・・透明電極層 4・・・発光層 5・・・陰極層 6・・・封止膜 10・・・透明ガスバリアフィルム 20・・・エレクトロルミネッセンス素子
Claims (6)
- 樹脂基板の片面または両面に珪素原子と窒素原子とを含む薄膜を有する透明ガスバリアフィルムであって、
前記薄膜に含まれる珪素原子と窒素原子との割合がSiNx(ただし、0.5≦x≦1.4)であり、かつ、前記薄膜の膜厚が20〜50nmであることを特徴とする透明ガスバリアフィルム。 - 前記薄膜が、マグネトロンスパッタリング法により形成される膜である請求項1に記載の透明ガスバリアフィルム。
- 前記薄膜が、デュアルマグネトロンスパッタリング法により形成される膜である請求項2に記載の透明ガスバリアフィルム。
- 前記樹脂基板がポリエチレンナフタレートフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルム。
- 全光線透過率が80%以上であり、
温度40℃および湿度90%における酸素透過率が0.5cm3/m2・day・atm以下で、かつ、水蒸気透過率が0.1g/m2・24hr以下である請求項1〜4のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルム。 - 基板上に少なくとも透明電極層、発光層、および陰極層が順次積層した積層体が、密閉された空間内に配置されたエレクトロルミネッセンス素子において、
前記基板は、請求項1〜5のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルムであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007086348A JP2008240131A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 透明ガスバリアフィルムおよびエレクトロルミネッセンス素子 |
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ID=39911810
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JP (1) | JP2008240131A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009133806A1 (ja) | 2008-05-02 | 2009-11-05 | ペクセル・テクノロジーズ株式会社 | 色素増感型光電変換素子 |
JP2010115922A (ja) * | 2008-11-04 | 2010-05-27 | Commissariat A L'energie Atomique Cea | ナノ構造を持つ高分子製品のためのモールドの形成方法 |
CN102234787A (zh) * | 2010-04-26 | 2011-11-09 | 株式会社岛津制作所 | 阻气性薄膜以及使用此阻气性薄膜的有机元件 |
-
2007
- 2007-03-29 JP JP2007086348A patent/JP2008240131A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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