JP2008235552A - 発光装置の製造方法および発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】主波長の異なる4種類以上の蛍光体を使用する場合の配合調整を簡略化し、所望の発光特性を有し、高効率の発光装置を作業効率良く得る。
【解決手段】本発明の発光装置の製造方法は、蛍光体層形成工程において、主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体を除く2種類以上の中間蛍光体を混合し、半値幅の広い発光ピークを有する蛍光体混合物を得る工程と、この蛍光体混合物に前記最短波長蛍光体と最長波長蛍光体をそれぞれ混合する工程とを備える。各中間蛍光体は、主波長が540〜640nmの範囲で主波長の差が30nm以上であり、これらの蛍光体の混合物は、ピーク波長の半値幅が130nm±15nmの発光スペクトルに近似した発光スペクトルを有する。
【選択図】図6
【解決手段】本発明の発光装置の製造方法は、蛍光体層形成工程において、主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体を除く2種類以上の中間蛍光体を混合し、半値幅の広い発光ピークを有する蛍光体混合物を得る工程と、この蛍光体混合物に前記最短波長蛍光体と最長波長蛍光体をそれぞれ混合する工程とを備える。各中間蛍光体は、主波長が540〜640nmの範囲で主波長の差が30nm以上であり、これらの蛍光体の混合物は、ピーク波長の半値幅が130nm±15nmの発光スペクトルに近似した発光スペクトルを有する。
【選択図】図6
Description
本発明は、発光ダイオードランプなどの発光装置の製造方法、および発光装置に関する。
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDランプは、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末などのバックライト、屋内外広告など、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。さらに、LEDランプは、長寿命で信頼性が高く、低消費電力、耐衝撃性、高純度表示色、軽薄短小化の実現などの特徴を有することから、産業用途のみならず一般照明用途への適用も試みられている。このようなLEDランプを種々の用途に適用する場合、白色発光を得ることが重要となる。
LEDランプで白色発光を実現する代表的な方式としては、(1)青、緑および赤の各色に発光する3つのLEDチップを使用する方式、(2)青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式、(3)紫外線発光のLEDチップと青色、緑色および赤色発光の三色混合蛍光体とを組合せる方式、の3つが挙げられる。これらのうち、一般的には(2)の方式が広く実用化されている。
上記した(2)の方式を適用したLEDランプの構造としては、LEDチップを装備したカップ型のフレーム内に蛍光体を混合した透明樹脂を流し込み、これを固化させて蛍光体を含有する樹脂層を形成した構造が一般的である(例えば、特許文献1参照)。また、このような砲弾型やSMD(Surface Mounting Device)タイプのLEDランプに加えて、高輝度化を目的に、基板(ボード)の上に複数のLEDチップを搭載したチップオンボード(COB)タイプのものが開発され、注目されている。
一般照明用のLEDランプに求められる特性としては、高い発光効率に加え、色の見え方の指標としての演色性がある。演色性は、自然光に近い光を基準光にして光源による色の見え方を評価したものであり、JISに定められている試験色を、試料光源と基準光でそれぞれ照明したときの色ずれの大きさを数値化したものが演色評価数である。演色評価数には、平均演色評価数Raと特殊演色評価数Riがあり、平均演色評価数Raは、試験No.1〜8の演色評価数の平均値として表され、特殊演色評価数Riは、試験No.9〜15の個々の特殊演色評価数として表される。演色評価指数Raは、基準光源である白色光源による色彩を忠実に再現しているかを指数で表したもので、原則として100に近いほど演色性が良い。この演色性においては、蛍光ランプなどにならい、平均演色評価数Raが80〜85やRa90以上などの種々のラインナップが求められている。
一般に、平均演色評価数Raの高い、いわゆる高演色タイプのLEDランプにおいては、黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体に加えて、窒化物系や硫化物系などの赤色発光の蛍光体を配合することにより、演色性を向上させることが行われている。
しかしながら、赤色蛍光体が窒化物系などの場合には、LEDチップからの波長460nmの青色発光だけでなく、黄色系蛍光体から発光される緑色光から黄色光間の光をも吸収して励起に使用するため、赤色蛍光体を使用するとLEDランプの発光効率が大幅に下がるという問題があった。
そこで最近は、発光の主波長が500nm前後の緑色蛍光体を併せて使用して、LEDチップからの青色発光と黄色系蛍光体からの発光との間の発光スペクトルの谷間を埋めることで、できるだけ太陽光のスペクトルに近づけ、Raをさらに向上させる試みがなされている(例えば、特許文献2参照)。さらに、HIDランプ、電球、蛍光ランプなどとの対応で、光色すなわち色温度についても、6700K、5000K、4200K、3000K(2850K)までのラインナップが必要とされており、各色温度において所望の効率および平均演色評価数Raが要求されている。したがって、照明用のLEDランプにおいては、複数種類の蛍光体を混合する傾向はますます進行しており、蛍光体の種類の選択とそれらの配合量の調整が複雑化している。特に、主波長の異なる4種類以上の蛍光体を混合して使用する場合には、いわゆる色合わせと呼ばれる配合調整が極めて複雑化してしまうという問題があった。
特開2001−148516公報
特開2003−327518公報
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、主波長の異なる4種類以上の蛍光体を使用する場合の配合調整を簡略化し、所望の発光特性(色温度、平均演色評価数Raなど)を有し、発光効率の高い発光装置を作業効率良く得ることが可能な製造方法を提供することを目的としている。
請求項1記載の発光装置の製造方法は、基材上に発光素子を搭載する工程と;前記発光素子の上に、該発光素子から放射された光により励起されて、主波長がそれぞれ異なる可視光を発光する4種類以上の蛍光体を含む層を形成する工程であり、主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体を除く2種類以上の中間蛍光体を混合し、該中間蛍光体の主波長の範囲に半値幅の広い発光ピークを有する蛍光体混合物を得る工程と、得られた蛍光体混合物に、前記主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体をそれぞれ混合する工程とを有する蛍光体層形成工程と;を具備することを特徴としている。
請求項2記載の発光装置の製造方法は、請求項1記載の発光装置の製造方法において、前記発光素子は青色光を放射する発光ダイオードチップを有し、かつ前記蛍光体は、前記発光ダイオードチップから放射された青色光により励起されて黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体と、前記発光ダイオードチップから放射された青色光により励起されて赤色光を発光する赤色蛍光体を有することを特徴としている。
請求項3記載の発光装置は、基材と;前記基材上に配置された発光素子と;前記発光素子上に形成された、該発光素子から放射された光により励起されて主波長がそれぞれ異なる可視光を発光する4種類以上の蛍光体を含む層であり、主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体を除く2種類以上の中間蛍光体は、主波長が540〜640nmで各主波長の差が30nm以上であり、かつこれらの中間蛍光体の混合物は、発光ピークの半値幅が130nm±15nmである発光スペクトルに近似した発光スペクトルを有するものである蛍光体層と;を具備することを特徴としている。
請求項4記載の発光装置は、基材と;前記基材上に配置された発光素子と;前記発光素子を覆うように該発光素子上に形成された蛍光体層と;を備えた発光装置であり、請求項1または2記載の製造方法により製造されたことを特徴としている。
上記した請求項1乃至4記載の発明において、用語の定義および技術的意味は、特に指定しない限り以下の通りである。
基材は、例えば回路パターンやリード端子のような配線部を有する基板を有しており、この基板上に発光素子が搭載される。また、基板上に外部に開口した凹部を有するフレームを配置し、このフレームと基板とにより基材を構成してもよく、さらにフレームを使用せずに直接基板上に凹部を形成して基材としてもよい。このように基材が凹部を有する場合は、凹部内に発光素子が配置される。
発光素子は、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものである。本発明に用いられる発光素子としては、例えば、青色発光タイプのLEDチップや紫外発光タイプのLEDチップなどが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではなく、蛍光体を励起して可視光を発光させることが可能な発光素子であれば、発光装置の用途や目的とする発光色などに応じて、種々の発光素子を使用することができる。
蛍光体は、このような発光素子から放射された光(例えば青色光)により励起されて可視光を発光し、この可視光と発光素子から放射される青色光との混色によって、発光装置として所望の発光色を得るものである。
本発明において蛍光体としては、発光の主波長が異なる4種類以上の蛍光体が使用される。なお、蛍光体の種類については、蛍光体を構成する元素の種類や組合せが同じものは、組成が同一でなくても蛍光体の種類が同じものとする。
蛍光体を含む蛍光体層は、蛍光体をシリコーン樹脂やエポキシ樹脂のような透明樹脂に加えて混合・分散させた層として形成される。発光素子の外側を覆うように形成することができるが、発光素子を直接覆うようにして透明樹脂層を形成し、その上に蛍光体を含む層を設けることも可能である。
本発明では、4種類以上の蛍光体を含む蛍光体層を形成する工程において、まず、主波長が最も短い蛍光体(以下、最短波長蛍光体と示す。)と主波長が最も長い蛍光体(以下、最長波長蛍光体と示す。)を除いた蛍光体、すなわち主波長が中間範囲にある2種類以上の蛍光体(以下、中間蛍光体と示す。)を混合し、中間蛍光体の主波長が存在する波長範囲に、半値幅がより広い発光ピークを有する蛍光体混合物を得る。なお、半値幅は、蛍光体の発光ピークにおける強度(ピーク強度)の1/2の強度におけるスペクトルの広がり幅(波長)をいう。2種類以上の中間蛍光体の配合比率を調整することにより、蛍光体混合物の発光ピークの半値幅が、混合する前の各中間蛍光体の発光ピークの半値幅より広くなるようにする。
より具体的には、中間蛍光体として、主波長が540〜640nmの範囲にあり、かつ各主波長の差が30nm以上となる2種類の蛍光体を選択することが好ましく、これらの中間蛍光体の配合比率を調整することにより、蛍光体混合物が、半値幅が130nm±15nmである発光ピークを有するスペクトルに近似した発光スペクトルを有するようにすることが望ましい。このように構成することで、所望の色温度および平均演色評価数Raを得るための色合せ(配合調整)が簡略化されるうえに、発光効率の高い発光装置を得ることができる。
本発明においては、こうして蛍光体混合物を得た後、得られた中間蛍光体の混合物に、前記した最短波長蛍光体と最長波長蛍光体を混合することで、蛍光体層を形成するための最終的な蛍光体混合物を得ることができる。
請求項1および2記載の発光装置の製造方法によれば、主波長の異なる4種類以上の蛍光体を混合して蛍光体層を形成する工程において、最短波長蛍光体と最長波長蛍光体を除く2種類以上の中間蛍光体を先に混合し、より半値幅の広い発光ピークを有する蛍光体混合物を調製した後、この蛍光体混合物に最短波長蛍光体と最長波長蛍光体を混合するように構成することで、あたかも、前記蛍光体混合物と同等の発光スペクトルを有する1種類の蛍光体と、前記最短波長蛍光体および最長波長蛍光体の計3種類の蛍光体を混合する場合と同様に、配合調整を行うことができる。したがって、蛍光体の配合調整作業を簡略化することができ、作業効率が向上される。
また、半値幅の狭い数種類の蛍光体を組合せる場合、発光効率および平均演色評価数Raを上げる観点から配合調整が難しいが、その場合も、主波長が中間範囲にある2種類以上の蛍光体(中間蛍光体)を混合しておくことで、あたかも半値幅の広い1種類の蛍光体を使用する場合と同様に配合調整を行うことができる。このように、4種類の蛍光体それぞれを個別に配合調整しながら色温度や平均演色評価数Raを制御したのでは、複雑になりすぎる配合調整プロセスを、簡略化することができる。
請求項3記載の発光装置によれば、所望の色温度および平均演色評価数Raを得るための配合調整が簡略化されるうえに、照明用途として好適する発光効率の高い発光装置を得ることができる。
請求項4記載の発光装置によれば、照明用途向けの多種のラインナップ(例えば、色温度のラインナップ)に対応し、平均演色評価数Raが高くかつ効率の高いLEDランプを作業効率よく得ることができる。
したがって、本発明によれば、従来に比べて配合調整作業が簡略化され、平均演色評価数Raが高く高効率の発光装置を簡単に得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に参照する複数の図面において、同一または相当部分には同一符号を付している。
図1は、本発明により製造される発光装置の一例としてのLEDランプの構成を示す断面図、図2は、図1に示すLEDランプを例えば一平面上に3行3列のマトリックス状に複数配置したLEDモジュール21の一例を示す平面図、図3は、図2のIII−III 線断面図である。
図1乃至図3に示すLEDランプ1は、発光素子としてLEDチップ2を有している。LEDチップ2としては、例えば青色発光タイプのLEDチップが用いられている。このLEDチップ2は、基板3上に電気絶縁層4を介して設けられた回路パターン5上に搭載されている。
基板3は、放熱性と剛性を有するアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ガラスエポキシ等の平板からなる。また、回路パターン5は、銅(Cu)とニッケル(Ni)の合金、金(Au)等により構成され、陽極側と陰極側の回路パターン5を有している。LEDチップ2は、底面電極が回路パターン5の一方、例えば陽極側の回路パターン5上に載置されて電気的に接続され、上面電極が回路パターン5の他方、例えば陰極側の回路パターン5にボンディングワイヤ6により電気的に接続されている。
基板3上には、上方に向けて徐々に拡径する円錐台状の凹部7を形成するフレーム8が設けられており、LEDチップ2はこの凹部7内に配置されている。フレーム8は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート(PC)等により形成されており、凹部7は、例えば深さが0.5〜1.0mmの円錐台状に形成されている。
LEDチップ2が配置された凹部7内には、透明な熱硬化性樹脂を主体とし、主波長の異なる4種類以上の蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂層9が設けられており、LEDチップ2は蛍光体含有樹脂層9により凹部7内に封止されている。蛍光体含有樹脂層9は、透明な液状の熱硬化性樹脂に4種類以上の蛍光体を混合・分散させた蛍光体含有樹脂を、ディスペンサなどの注入装置を用いてLEDチップ2が配置された凹部7内に注入し、加熱硬化させることにより形成されている。透明な液状の熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。液状のシリコーン樹脂の使用が好ましく、注入の容易さの観点から、25℃における粘度が1〜70Pa・sのシリコーン樹脂の使用が特に好ましい。
このような液状の熱硬化性樹脂への蛍光体の混合においては、まず主波長が最短のものと最長のものを除き、中間範囲の主波長を有する2種類以上の蛍光体を先に混合して、より半値幅の広い発光ピークを有する蛍光体混合物を得る。次いで、この蛍光体混合物に、主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体をさらに混合する方法が採られている。前記4種類以上の蛍光体が混合・分散された蛍光体含有樹脂の注入量は、ほぼ5〜10mgである。なお、図面では、蛍光体含有樹脂層9の上面が凹部7の上端とほぼ面一に形成されているが、特にこれに限定されるものではない。
液状の熱硬化性樹脂に含有させる4種類以上の蛍光体は、特に限定されるものではなく、目的とするLEDランプ1の発光色などに応じて適宜選択することができるが、主波長が最短のものと最長のものを除く中間の主波長を有する2種類以上の蛍光体(中間蛍光体)は、いずれも主波長が540〜640nmの範囲にあり、かつ主波長の差が30nm以上となる2種類以上の蛍光体を含むことが望ましい。
そして、これら2種類以上の中間蛍光体の配合比率は、蛍光体混合物の発光ピークが、中間蛍光体の主波長の中間に存在し、かつその半値幅が中間蛍光体の発光ピークの半値幅より広くなるように調整される。より具体的には、中間蛍光体として、主波長が540〜640nmの範囲にありかつ主波長の差が30nm以上である2種類の蛍光体を選択した場合、蛍光体混合物の発光スペクトルが、半値幅が130nm±15nmの発光スペクトルに近似するように、2種類の中間蛍光体の配合比率を調整することが望ましい。このように構成することで、所望の色温度および平均演色評価数Raを得るための色合せ(配合調整)が簡略化されるうえに、発光効率の高い発光装置を得ることができる。
中間蛍光体としては、例えば、青色発光タイプのLEDチップ2から発光される青色光により励起されて黄色光から橙色光間の光を発光する黄色系蛍光体が用いられる。そして、主波長が最も短い最短波長蛍光体としては、主波長が500〜535nmの緑色あるいは黄緑色蛍光体が、主波長が最も長い最長波長蛍光体としては、主波長が630〜650nmの赤色蛍光体がそれぞれ使用される。すなわち、蛍光体としては、緑色あるいは黄緑色蛍光体と前記2種類以上の黄色系蛍光体、および赤色蛍光体の合計4種類以上を併用することが望ましい。
ここで、青色光により励起されて黄色光から橙色光間の光を発光する黄色系蛍光体としては、例えばRE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体(REはY、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。以下同じ。)等のYAG系蛍光体、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEは、Sr、Ba、Caなどのアルカリ土類元素を示す。以下同じ。)やSr3SiO5:Eu2+蛍光体等のケイ酸塩(シリケート)蛍光体、サイアロン系蛍光体(例えば、CaxSiyAlzON:Eu2+)、およびCa3Sc2O4:Ce蛍光体等があり、これらの中から選択される。
緑色あるいは黄緑色蛍光体としては、例えばRE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体等のYAG系蛍光体、AE2SiO4:Eu蛍光体やCa3Sc2Si3O12:Ce蛍光体等のケイ酸塩蛍光体、サイアロン系蛍光体(例えば、CaxSiyAlzON:Eu2+)、およびCa3Sc2O4:Ce蛍光体等があり、これらの中から選択される。
赤色蛍光体としては、La2O2S:Eu蛍光体のような酸硫化物蛍光体、窒化物系蛍光体(例えば、AE2Si5N8:Eu2+やCaAlSiN3:Eu2+)等が用いられるが、特に限定されるものではない。
このように構成されるLEDランプ1では、印加された電気エネルギーがLEDチップ2で主波長が420〜480nm(例えば460nm)の青色光に変換されて放射され、放射された青色光は、蛍光体含有樹脂層9中に含有された4種類以上の蛍光体で、より長波長の光に変換される。そして、LEDチップ2から放射される青色光とこれらの蛍光体の発光色とに基づく色である白色光がLEDランプ1から放出される。そして、このLEDランプ1においては、蛍光体の配合調整が簡略化されており、Raおよび発光効率の向上を効率よく達成することができる。
次に、本発明の発光装置の製造方法の一実施形態として、図1乃至図3に示したLEDランプ1の製造方法について説明する。
この実施形態においては、まず、常法により、基板3上に電気絶縁層4を介して回路パターン5を設け、この回路パターン5上にLEDチップ2を搭載して、その底面電極を回路パターン5の一方、例えば陽極側回路パターン5に電気的に接続する一方、上面電極を回路パターン5の他方、例えば陰極側回路パターン5にボンディングワイヤ6により電気的に接続する。それとともに、基板3上に凹部7を形成するフレーム8を設けて、その凹部7内部にLEDチップ2を収容させる。
次いで、液状の透明な熱硬化性樹脂に、以下に示す手順で4種類以上の蛍光体を混合・分散し、蛍光体含有樹脂を調製する。すなわち、まず、4種類以上の蛍光体のうちで、最短波長蛍光体と最長波長蛍光体を除く中間の主波長を有する2種類以上の蛍光体(中間蛍光体)を、液状の熱硬化性樹脂に混合・分散し、中間蛍光体の主波長の中間に、各中間蛍光体の半値幅より広い半値幅の発光ピークを有する蛍光体混合物を得る。次いで、得られた蛍光体混合物に、最短波長蛍光体と最長波長蛍光体をそれぞれ混合し、分散させる。ここで、最短波長蛍光体と最長波長蛍光体の混合順は、どちらを先にしてもよく、またこれらの蛍光体を同時に蛍光体混合物に混合してもよい。
こうして調製された蛍光体含有樹脂を、LEDチップ2を収容した凹部7内にディスペンサなどの注入装置を用いて注入した後、熱硬化性樹脂を加熱硬化させる。
このように構成されるLEDランプ1の製造方法においては、蛍光体の配合調整が簡略化されているので、所望の色温度において高Raで発光効率の高いLEDランプ1を作業効率良く得ることができる。
なお、上記実施形態では、LEDランプ1をマトリックス状に複数個配置したLEDジュール21について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複数個のLEDランプ1を1列状に配置して形成してもよく、さらにLEDランプ1は単数でもよい。
図4および図5は、本発明により製造される発光装置のさらに別の例であるLEDパッケージを形成する発光装置を示している。図4は、この発光装置の平面図であり、図5は、図4に示す発光装置をF−F線に沿って切断した縦断面図である。なお、図4および図5おいて、第1の実施形態に係る発光装置の構成と同一の構成部分には、同一の符号を付して、その説明を簡略化または省略する。
図4および図5に示す発光装置(LEDランプ)1は、パッケージ基板例えば装置基板3と、反射層31と、回路パターン5と、複数好ましくは多数の半導体発光素子例えばLEDチップ2と、接着層32と、リフレクタ34と、蛍光体含有樹脂層9と、光拡散部材33とを備えて形成されている。蛍光体含有樹脂層9は封止部材としても機能する。
装置基板3は、金属または絶縁材、例えば合成樹脂製の平板からなり、発光装置1に必要とされる発光面積を得るために、所定形状例えば長方形状をなしている。装置基板3を合成樹脂製とする場合、例えば、ガラス粉末入りのエポキシ樹脂などで形成することができる。装置基板3を金属製とする場合は、この装置基板3の裏面からの放熱性が向上し、装置基板3の各部温度を均一にすることができ、同じ波長域の光を発する半導体発光素子2の発光色のばらつきを抑制することができる。なお、このような作用効果を奏する金属材料としては、10W/m・K以上の熱伝導性に優れた材料、具体的にはアルミニウムまたはその合金を例示することができる。
反射層31は、所定数の半導体発光素子2を配設し得る大きさであって、例えば、装置基板3の表面全体に被着されている。反射層31は、400〜740nmの波長領域で85%以上の反射率を有する白色の絶縁材料により構成することができる。このような白色絶縁材料としては、接着シートからなるプリプレグ(pre-preg)を使用することができる。このようなプリプレグは、例えば、酸化アルミニウムなどの白色粉末が混入された熱硬化性樹脂をシート基材に含浸させて形成することができる。反射層31はそれ自体の接着性により、装置基板3の表面となる一面に接着される。
回路パターン5は、各半導体発光素子2への通電要素として、反射層31の装置基板3が接着された面とは反対側の面に接着されている。この回路パターン5は、例えば各半導体発光素子2を直列に接続するために、装置基板3および反射層31の長手方向に所定間隔ごとに点在して2列に形成されている。一方の回路パターン5の列の一端側に位置する端側回路パターン5aには、給電パターン部5cが一体に連続して形成され、同様に他方の回路パターン5の列の一端側に位置する端側回路パターン5aには、給電パターン部5dが一体に連続して形成されている。
給電パターン部5c,5dは反射層31の長手方向一端部に並べて設けられ、互いに離間して反射層31により絶縁されている。これらの給電パターン部5c,5dのそれぞれに、電源に至る図示しない電線が個別に半田付けなどで接続されるようになっている。
回路パターン5は以下に説明する手順で形成される。まず、未硬化の前記熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグからなる反射層31を装置基板3上に貼付けた後、反射層31上にこれと同じ大きさの銅箔を貼付ける。次に、こうして得た積層体を加熱するとともに加圧して、熱硬化性樹脂を硬化させることによって、装置基板3と銅箔を反射層31に圧着し接着を完了させる。次いで、銅箔上にレジスト層を設けて、銅箔をエッチング処理した後に、残ったレジスト層を除去することによって、回路パターン5を形成する。銅箔からなる回路パターン5の厚みは例えば35μmである。
各半導体発光素子2は、例えば窒化物半導体を用いてなるダブルワイヤ型のLEDチップからなり、透光性を有する素子基板2b一面に半導体発光層2aを積層して形成されている。素子基板2bは、例えばサファイア基板で作られている。この素子基板2bの厚みは、回路パターン5より厚く、例えば90μmとする。
半導体発光層2aは、素子基板2bの主面上に、バッファ層、n型半導体層、発光層、p型クラッド層、p型半導体層を順次積層して形成されている。発光層は、バリア層とウェル層を交互に積層した量子井戸構造をなしている。n型半導体層にはn側電極が設けられ、p型半導体層上にはp側電極が設けられている。この半導体発光層2aは、反射膜を有しておらず、厚み方向の双方に光を放射できる。
各半導体発光素子2は、装置基板3の長手方向に隣接した回路パターン5間にそれぞれ配置され、白色の反射層31の同一面上に接着層32により接着されている。具体的には、半導体発光層2aが積層された素子基板2bの一面と平行な他面が、接着層32により反射層31に接着されている。この接着により、回路パターン5および半導体発光素子2は反射層31の同一面上で直線状に並べられるので、この並び方向に位置した半導体発光素子2の側面と回路パターン5とは、近接して対向するように設けられている。
接着層32の厚みは、例えば5μm以下とすることができる。接着層32には、例えば5μm以下の厚みで光透過率が70%以上の透光性を有した接着剤、例えばシリコーン樹脂系の接着剤を好適に使用できる。
各半導体発光素子2の電極と半導体発光素子2の両側に近接配置された回路パターン5とは、ボンディングワイヤ6で接続されている。さらに、前記2列の回路パターン5列の他端側に位置された端側回路パターン5b同士も、ボンディングワイヤ6で接続されている。したがって、この実施形態の場合、各半導体発光素子2は直列に接続されている。
以上の装置基板3、反射層31、回路パターン5、各半導体発光素子2、接着層32、およびボンディングワイヤ6により、発光装置1の面発光源が形成されている。
リフレクタ34は、一個一個または数個の半導体発光素子2ごとに個別に設けられるものではなく、反射層31上の全ての半導体発光素子2を包囲する単一のものであり、例えば図6に示すように、長方形の枠で形成されており、半導体発光素子2は前記枠で形成された凹部7内に配置されている。リフレクタ34は反射層31に接着止めされていて、その内部に複数の半導体発光素子2および回路パターン5が収められているとともに、前記一対の給電パターン部5c、5dはリフレクタ34の外部に位置されている。
リフレクタ34は、例えば合成樹脂で成形することができ、その内周面は反射面となっている。リフレクタ34の反射面は、AlやNiなどの反射率の高い金属材料を蒸着またはメッキして形成することができる他、可視光の反射率の高い白色塗料を塗布して形成することができる。あるいは、リフレクタ34の成形材料中に白色粉末を混入して、リフレクタ34自体を可視光の反射率が高い白色にすることもできる。前記白色粉末としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウムなどの白色フイラーを用いることができる。なお、リフレクタ34の反射面は、発光装置1の照射方向に次第に開くように形成することが望ましい。
蛍光体含有樹脂層9は、第1の実施形態と同様に、液状の熱硬化性樹脂に4種類以上の蛍光体を前記した手順で混合・分散した蛍光体含有樹脂を、ディスペンサなどの注入装置を用いて、反射層31表面および一直線上に配列された各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6などを満遍なく埋めるようにして充填し、次いで熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成されている。
このように構成される実施形態においても、蛍光体の配合調整が簡略化されているので、所望の色温度において高Raで発光効率の高いLEDランプ1を作業効率良く得ることができる。
次に、本発明の具体的実施例およびその評価結果について記載する。
実施例1
主波長が540〜640nmの範囲にありかつ主波長の差が30nm以上である2種類の蛍光体を混合することで、前記波長範囲に半値幅がより広い発光ピークを有する蛍光体(YAG系蛍光体)と同等な発光特性が得られることを検証した。なお、以下の記載において、蛍光体の配合割合は、いずれも樹脂に対する配合割合を示す。
主波長が540〜640nmの範囲にありかつ主波長の差が30nm以上である2種類の蛍光体を混合することで、前記波長範囲に半値幅がより広い発光ピークを有する蛍光体(YAG系蛍光体)と同等な発光特性が得られることを検証した。なお、以下の記載において、蛍光体の配合割合は、いずれも樹脂に対する配合割合を示す。
すなわち、主波長565nmで半値幅が100nmのシリケート系黄色蛍光体と、主波長615nmで半値幅が115nmのシリケート系橙色蛍光体を、それぞれ7重量%および3重量%の配合割合でシリコーン樹脂中に混合し、分散させた。こうして得られた2種類の蛍光体を含有するシリコーン樹脂を、波長460nmの青色光を発光するLEDチップが配置された深さ1.0mm、開口径3mmのカップ(凹部)内に、ディスペンサで充填した後、シリコーン樹脂を硬化させ、図1に示す構成を有するLEDランプを作製した。
比較例1は、蛍光体として、主波長570nmで半値幅が130nmのYAG系黄色蛍光体1種類を使用し、これを6重量%の配合割合でシリコーン樹脂中に混合・分散させ、実施例1と同様にしてLEDランプを作製した。
次に、実施例1および比較例1で得られたLEDランプをそれぞれ発光させ、瞬間分光光計MCPD−7000(大塚電子(株)社製)で発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルを、前記シリケート系黄色蛍光体(主波長565nm、半値幅100nm)を7重量%の配合割合で混合・分散させた蛍光体含有樹脂層を有するLEDランプの発光スペクトル、および前記シリケート系橙色蛍光体(主波長615nm、半値幅115nm)を3重量%の配合割合で混合・分散させた蛍光体含有樹脂層を有するLEDランプの発光スペクトルとともに、図6に示す。
また、実施例1および比較例1で得られたLEDランプの発光スペクトルから、色温度と平均演色評価数Raをそれぞれ算出した。さらに、ゴニオ法を用いて発光効率を測定した。これらの測定結果を表1に示す。なお、発光効率は、比較例1のLEDランプの効率を100%としたときの相対値である。
表1から明らかなように、実施例1で得られたLEDランプは、比較例1のLEDランプと同じ色温度においてほぼ同じRa値を有しており、かつ同等の高い発光効率を示すことが確かめられた。
実施例2
主波長565nm(半値幅100nm)のシリケート系黄色蛍光体と主波長615nm(半値幅115nm)のシリケート系橙色蛍光体の2種類の蛍光体を、実施例1と同じ配合割合でシリコーン樹脂中に混合・分散させた後、この2種類の蛍光体を含有するシリコーン樹脂に、主波長535nm(半値幅85nm)のシリケート系黄緑色蛍光体と、主波長650nm(半値幅90nm)の窒化物系赤色蛍光体を、それぞれ4.8重量%および1重量%の配合割合で混合・分散させた。次いで、こうして得られた4種類の蛍光体を含有するシリコーン樹脂を、波長460nmの青色光を発光するLEDチップが配置された深さ1.0mm、開口径3mmのカップ(凹部)内にディスペンサで充填した後、シリコーン樹脂を硬化させ、図1に示す構成を有するLEDランプを作製した。
主波長565nm(半値幅100nm)のシリケート系黄色蛍光体と主波長615nm(半値幅115nm)のシリケート系橙色蛍光体の2種類の蛍光体を、実施例1と同じ配合割合でシリコーン樹脂中に混合・分散させた後、この2種類の蛍光体を含有するシリコーン樹脂に、主波長535nm(半値幅85nm)のシリケート系黄緑色蛍光体と、主波長650nm(半値幅90nm)の窒化物系赤色蛍光体を、それぞれ4.8重量%および1重量%の配合割合で混合・分散させた。次いで、こうして得られた4種類の蛍光体を含有するシリコーン樹脂を、波長460nmの青色光を発光するLEDチップが配置された深さ1.0mm、開口径3mmのカップ(凹部)内にディスペンサで充填した後、シリコーン樹脂を硬化させ、図1に示す構成を有するLEDランプを作製した。
比較例2は、蛍光体として、主波長535nm(半値幅85nm)のシリケート系黄緑色蛍光体と主波長570nm(半値幅130nm)のYAG系黄色蛍光体、および主波長650nm(半値幅90nm)の窒化物系赤色蛍光体の計3種類を使用し、各蛍光体をそれぞれ4.5重量%、4重量%および0.8重量%の配合割合でシリコーン樹脂中に混合・分散させ、実施例2と同様にしてLEDランプ1を作製した。
次に、実施例2および比較例2で得られたLEDランプをそれぞれ発光させ、発光スペクトルを測定した。そして、得られた発光スペクトルから、色温度と平均演色評価数Raをそれぞれ算出した。さらに、ゴニオ法を用いて発光効率を測定した。これらの測定結果を表2に示す。なお、発光効率は、比較例1のLEDランプの効率を100%としたときの相対値である。
表2から明らかなように、実施例1で調製された2種類の蛍光体混合物を含有する樹脂に、さらに主波長が最短の蛍光体である黄緑色蛍光体と主波長が最長の蛍光体である赤色蛍光体の計4種類の蛍光体を混合した蛍光体層を有する実施例2のLEDランプは、より半値幅の広いYAG系黄色蛍光体を含有する樹脂に、前記黄緑色蛍光体と赤色蛍光体の計3種類の蛍光体を混合した蛍光体層を有する比較例2のLEDランプと比べて、同じ色温度においてほぼ同じRa値を有している。また、同等の高い発光効率が得られている。さらに、この実施例2で得られたLEDランプは、実施例1および比較例1のLEDランプに比べて、高演色性の発光が得られ、平均演色評価数Raが向上しているうえに、発光効率も高くなっている。
1…LEDランプ、2…LEDチップ、3…基板、4…電気絶縁層、5…回路パターン、6…ボンディングワイヤ、7…凹部、8…フレーム、9…蛍光体含有樹脂層。
Claims (4)
- 基材上に発光素子を搭載する工程と;
前記発光素子の上に、該発光素子から放射された光により励起されて、主波長がそれぞれ異なる可視光を発光する4種類以上の蛍光体を含む層を形成する工程であり、主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体を除く2種類以上の中間蛍光体を混合し、該中間蛍光体の主波長の範囲に半値幅の広い発光ピークを有する蛍光体混合物を得る工程と、得られた蛍光体混合物に、前記主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体をそれぞれ混合する工程とを有する蛍光体層形成工程と;
を具備することを特徴とする発光装置の製造方法。 - 前記発光素子は青色光を放射する発光ダイオードチップを有し、かつ前記蛍光体は、前記発光ダイオードチップから放射された青色光により励起されて黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体と、前記発光ダイオードチップから放射された青色光により励起されて赤色光を発光する赤色蛍光体を有することを特徴とする請求項1記載の発光装置の製造方法。
- 基材と;
前記基材上に配置された発光素子と;
前記発光素子上に形成された、該発光素子から放射された光により励起されて主波長がそれぞれ異なる可視光を発光する4種類以上の蛍光体を含む層であり、主波長が最短の蛍光体と最長の蛍光体を除く2種類以上の中間蛍光体は、主波長が540〜640nmで各主波長の差が30nm以上であり、かつこれらの中間蛍光体の混合物は、発光ピークの半値幅が130nm±15nmである発光スペクトルに近似した発光スペクトルを有するものである蛍光体層と;
を具備することを特徴とする発光装置。 - 基材と;
前記基材上に配置された発光素子と;
前記発光素子を覆うように該発光素子上に形成された蛍光体層と;
を備えた発光装置であり、請求項1または2記載の製造方法により製造されたことを特徴とする発光装置。
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2007
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