JP2008231982A - 内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法、内接型ギアポンプ、及び電動オイルポンプ - Google Patents

内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法、内接型ギアポンプ、及び電動オイルポンプ Download PDF

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隆敏 阪田
Yasuo Asai
康夫 浅井
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康博 行竹
Hiroharu Yoshinami
弘治 吉浪
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育生 山本
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Abstract

【課題】簡単且つ確実な方法でアウターロータとインナーロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度が高められ、適正な容積効率及び機械効率が安定して得られる内接型ギアポンプを得ること。
【解決手段】複数の内歯を有するアウターロータ21と、該アウターロータ21に外接噛合するインナーロータ22とを備える内接型ギアポンプにおいて、両ロータ21,22の組み合わせにおけるチップクリアランスΔdの調整方法である。アウターロータ21の内径Dnとインナーロータ22の外径dmとの差分(Dn−dm)が0.02mm以上0.12mm以下に収まるように、両ロータ21,22の少なくとも一方の歯先を研削するか、又は、両ロータ21,22の組み合わせを選択するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の内歯を有するアウターロータと複数の外歯を有するインナーロータとの間に形成されるポンプ室の容積変化によって流体を吸入・吐出する内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法、該調整方法を用いて製造された内接型ギアポンプ、及び該内接型ギアポンプと該内接型ギアポンプを回転駆動する電動モータとを備えた電動オイルポンプに関する。
この種の内接型ギアポンプは、自動車の電動オイルポンプや燃料ポンプ等の補機部品として広範囲に活用されている(特許文献1参照)。
この中で電動オイルポンプは、自動車のトランスミッション(変速機)において、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するために用いられるものであり、図7(a)及び図7(b)に示すように、ハウジング本体1と、該ハウジング本体1に収容され、油(流体)を吸引・吐出する内接型ギアポンプ3と、該内接型ギアポンプ3を駆動する電動モータ2とを備えている。
このハウジング本体1は、図7(a)を参照して、ポンプハウジング11と、該ポンプハウジング11に連通一体化されたモータハウジング12とを備えている。また、前記ポンプハウジング11と、モータハウジング12とは、いずれも有底筒状であって、両ハウジング11,12は、ポンプハウジング11のモータ側壁部11a(ポンプハウジング11の底部)で仕切られている。
ここで、電動モータ2は、モータハウジング12に収容され、一対の転がり軸受5a,5bを介してポンプハウジング11及びモータハウジング12に回転自在に支持されたロータコア37と、該ロータコア37を包囲するとともに電磁力により回転させるステータ34とを備えている。
また、内接型ギアポンプ3は、ポンプハウジング11の端部開口がポンププレート13によって閉塞され形成された円柱状のポンプ収容空間23に収容されている。
該内接型ギアポンプ3は、図7(b)を参照して、パラコイド(登録商標)歯形を有するポンプを構成しており、9個の内歯を有するアウターロータ21と、該内歯と噛合する8個の外歯を有するインナーロータ22とを備えている。そして、電動モータ2のロータコア37がアウターロータ21の中央部を貫通した孔21bに嵌合され、当該ロータコア37を介して電動モータ2の回転力が内接型ギアポンプ3に伝達されるようになっている。そしてこれにより、両ロータ21,22は、それぞれ矢印A1及びA2で示す方向に、内歯と外歯の異なる組み合わせを採りながら噛合しつつ回転し、内歯と外歯の歯面間に形成されるポンプ室25の容積変化によって油(流体)が吸入・吐出する。詳しくは、このポンプ室25内には、両ロータ21,22の回転に伴い、吸入側に低圧部25a、及び、吐出側に高圧部25bが形成され、ポンププレート13に形成された吸入側の三日月状ポート13ri及び吐出側の三日月状ポート13roを通って油が送液されるようになっている。
このような内接型ギアポンプ3では、図8に示すように、チップクリアランスΔdが、アウターロータ21の内歯の歯先先端とインナーロータ22の外歯の歯先先端との間の隙間として設定されており、このチップクリアランスΔdが大きすぎると、両ロータ21,22の回転中に当該隙間から流体が逃げて容積効率が下がり、その所定回転数当たりの吐出量が低下する。一方、チップクリアランスΔdが小さすぎると、両ロータ21,22が歯先先端で接触する機会が増えて機械効率が下がり、電動モータ2の駆動トルクが過大となってしまう。
特開2006−249937号公報
ところが、従来は、上記したアウターロータ21やインナーロータ22は、所定の形状・大きさの金型を用い、加熱・焼結後に焼結金属に金型を用いてサイジング等の再圧縮をしたり、或いは、冷間鍛造により材料金属を金型を用いて一定の寸法精度に圧縮することで、所定の形状・大きさに成形されたままの状態であり、この際に前述のチップクリアランスΔdが決定されてしまう。このため、両ロータ21,22の組み合わせにおけるチップクリアランスΔdの範囲が広すぎ、内接型ギアポンプ3の性能にばらつきが生じる問題があった。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(1)アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるように、両ロータ21,22の少なくとも一方の歯先を研削や切削等により加工するか、あるいは、(2)アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるように、両ロータ21,22の組み合わせを選択することで、上記した問題が効果的に解消できることを見出した。
本発明は、このようにして完成に至ったものであって、その目的は、簡単且つ確実な方法でアウターロータとインナーロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度が高められ、適正な容積効率及び機械効率が安定して得られる内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、数の内歯を有するアウターロータと、該アウターロータに外接噛合するインナーロータとを備える内接型ギアポンプにおいて、両ロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの調整方法であって、前記アウターロータの内径Dと前記インナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるように、両ロータの少なくとも一方を加工するようにしたこと、を要旨とする。
同構成によれば、任意のアウターロータとインナーロータの組み合わせにおいて、アウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるうに両ロータの少なくとも一方を加工することで、当該アウターロータとインナーロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度が高められるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のチップクリアランスの調整方法において、前記アウターロータ又はインナーロータのいずれかの歯先を研削することで、前記アウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるようにしたこと、を要旨とする。
同構成によれば、アウターロータにおいて径方向内方に突出した内歯の歯先又はインナーロータにおいて径方向外方に突出した外歯の歯先を研削することで、アウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)を簡単且つ確実に一定範囲内に収めることができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のチップクリアランスの調整方法において、前記内接型ギアポンプには、i(iは自然数且つ奇数)個の内歯を有するアウターロータと、j(jは自然数且つ偶数)個の外歯を有するインナーロータとが備えられ、これらアウターロータとインナーロータをそれぞれ複数個準備するロータ準備工程と、各アウターロータとインナーロータについて、アウターロータの内径Dn(n=1,…,i)とインナーロータの外径dm(m=1,…,j/2)とを測定し、この測定結果を各アウターロータとインナーロータ毎に記憶装置に記憶させるロータ径記憶工程と、任意のアウターロータとインナーロータの組み合わせを決定するロータ組合せ決定工程と、両ロータの各組み合わせにおいて、アウターロータの内径Dnのnを1つインクリメントするnインクリメント工程と、各n値毎に、インナーロータの外径dmのmを1つインクリメントするmインクリメント工程と、前記アウターロータの内径Dnとインナーロータの外径dmの組(Dn,dm)(n=nインクリメント工程で設定された値、m=1,…,j/2)を前記記憶装置から呼び出すとともに当該組(Dn,dm)について、演算処理手段を用いて差分(Dn−dm)を計算し、該差分(Dn−dm)が前記一定範囲を下に外れるものについて、対応するアウターロータの内歯の歯先を研削することで、当該差分(Dn−dm)が前記一定範囲内に収まるようにするロータ歯先研削工程とを備えたこと、を要旨とする。
同構成によれば、アウターロータに奇数個の内歯が設けられている場合において、該アウターロータと外接噛合するインナーロータの一の外歯について、その外歯と対面する全てのアウターロータの内歯との間隔、即ち、その一の外歯についての全てのアウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)を、当該アウターロータの一の内歯の歯先を研削することで一定範囲内に収めることができる。これにより、インナーロータの外歯についての研削加工を重複させることなく、当該アウターロータとインナーロータの組み合わせについて、チップクリアランスの寸法精度を簡単且つ確実に高めることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のチップクリアランスの調整方法において、前記内接型ギアポンプには、i(iは自然数且つ偶数)個の内歯を有するアウターロータと、j(jは自然数且つ奇数)個の外歯を有するインナーロータとが備えられ、これらアウターロータとインナーロータをそれぞれ複数個準備するロータ準備工程と、各アウターロータとインナーロータについて、アウターロータの内径Dn(n=1,…,i/2)とインナーロータの外径dm(m=1,…,j)とを測定し、この測定結果を各アウターロータとインナーロータ毎に記憶装置に記憶させるロータ径記憶工程と、任意のアウターロータとインナーロータの組み合わせを決定するロータ組合せ決定工程と、両ロータの各組み合わせにおいて、インナーロータの外径dmのmを1つインクリメントするmインクリメント工程と、各m値毎に、アウターロータの内径Dnのnを1つインクリメントするnインクリメント工程と、前記アウターロータの内径Dnとインナーロータの外径dmの組(Dn,dm)(n=1,…,i/2、m=mインクリメント工程で設定された値)を前記記憶装置から呼び出すとともに当該組(Dn,dm)について、演算処理手段を用いて差分(Dn−dm)を計算し、該差分(Dn−dm)が前記一定範囲を下に外れるものについて、対応するインナーロータの外歯の歯先を研削することで、当該差分(Dn−dm)が前記一定範囲内に収まるようにするロータ歯先研削工程とを備えたこと、を要旨とする。
同構成によれば、アウターロータに偶数個の内歯が設けられている場合において、該アウターロータの一の内歯について、その内歯と対面する全てのインナーロータの外歯との間隔、即ち、その一の内歯についての全てのアウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)を、当該インナーロータの一の外歯の歯先を研削することで一定範囲内に収めることができる。これにより、アウターロータの内歯についての研削加工を重複させることなく、当該アウターロータとインナーロータの組み合わせについて、チップクリアランスの寸法精度を簡単且つ確実に高めることができるようになる。
請求項5に記載の発明は、複数の内歯を有するアウターロータと、該アウターロータに外接噛合するインナーロータとを備える内接型ギアポンプにおいて、両ロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの調整方法であって、前記アウターロータの内径Dと前記インナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるように、両ロータの組み合わせを選択するようにしたこと、を要旨とする。
同構成によれば、アウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)を一定範囲内に収まるようにアウターロータとインナーロータの組み合わせを選択することで、当該アウターロータとインナーロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度が高められるようになる。さらに、従来、アウターロータとインナーロータの組み合わせをランダムに行っていた場合に比して内接型ギアポンプの製造(組み立て)に要するコストが大幅に低減される。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のチップクリアランスの調整方法において、それぞれがi(iは自然数)個の内歯を有するp(p≧2:pは自然数)個のアウターロータと、それぞれがj(j=i+1)個の外歯を有するq(q≧2:qは自然数)個のインナーロータを準備するロータ準備ステップと、各アウターロータとインナーロータの組み合わせにおいて、アウターロータの内径Dnとインナーロータの外径dmの組(Dn,dm)について、演算処理手段を用いて差分(Dn−dm)を計算し、該差分(Dn−dm)についての単位マトリクスが(p×q)個集合してなるマトリクスを作成するマトリクス作成ステップと、各単位マトリクスにおける各組(Dn,dm)について、前記差分(Dn−dm)が一定範囲内に収まる当該単位マトリクスの位置を特定し、これにより、前記単位マトリクスに対応するアウターロータとインナーロータの組み合わせを選択するロータ組合せ選択ステップとを含むこと、を要旨とする。
同構成によれば、p(p≧2:pは自然数)個のアウターロータと、q(q≧2:qは自然数)個のインナーロータが焼結や冷間鍛造加工により成形されている場合に、アウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるアウターロータとインナーロータの組み合わせを簡単且つ確実に選択することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のチップクリアランスの調整方法において、前記一定範囲が、0.02mm以上0.12mm以下であること、を要旨とする。
同構成によれば、アウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)を収める一定範囲が0.02mm以上0.12mm以下に具体的に設定され、両ロータの少なくとも一方の加工、乃至、両ロータの組み合わせの選択の目標が明確となる。
請求項8に記載の発明は、複数の内歯を有するアウターロータと、該アウターロータに外接噛合するインナーロータとを備える内接型ギアポンプであって、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のチップクリアランスの調整方法を含む製造方法により製造されたこと、を要旨とする。
同構成によれば、アウターロータの内歯の歯先先端とインナーロータの外歯の歯先先端との間の隙間として設定されるチップクリアランスの寸法精度が高められ、容積効率及び機械効率が適正化された内接型ギアポンプが得られるようになる。
請求項9に記載の発明は、自動車等の車両のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプであって、請求項8に記載の内接型ギアポンプと該内接型ギアポンプを回転駆動する電動モータとを備えたこと、を要旨とする。
同構成によれば、自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプとして、請求項8に記載の内接型ギアポンプを用いるので、その容積効率及び機械効率が適正化されたものとなり、自動車用途としての信頼性が高められるようになる。
本発明の内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法によれば、簡単且つ確実な方法でアウターロータとインナーロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度が高められ、適正な容積効率及び機械効率が安定して得られる内接型ギアポンプが得られるようになる。
以下、本発明を具体化した第1〜第3実施形態について図面に従って説明する。
<第1実施形態>
本実施形態に係る内接型ギアポンプ3は、自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプに使用されるものであり、図7(a)及び図7(b)に示す内接型ギアポンプ3と同一の構造・大きさのものである。
この内接型ギアポンプ3は、図1(a)及び図1(b)に示すように、i(iは自然数)(同図では、i=9個)個の径方向外方に突出する内歯u〜u(番号は右回りに大)を有するアウターロータ21と、該内歯u〜uと外接噛合するj(=i−1)(同図では、j=9−1=8個)個の径方向内方に突出する外歯t〜t(番号は右回りに大)を有するインナーロータ22とを備えている。また、アウターロータ21の隣接する内歯同士(u,u)〜(u,u)の間には、それぞれ、径方向外方に凹状の溝s〜s(番号は右回りに大)が形成されている。
両ロータ21,22は、図1(b)及び図7(b)を参照して、それぞれ矢印A1及びA2で示す方向に、内歯u〜uと外歯t〜tの異なる組み合わせを採りながら噛合しつつ回転し、内歯u〜uと外歯t〜tの歯面間に形成されるポンプ室25の容積変化によって油が吸入・吐出するようにされている。
尚、図1(b)を参照して、両ロータ21,22による油の吸入・吐出に必要な1周期(1サイクル)の回転の間、アウターロータ21の一の内歯(u〜uのいずれか)は、インナーロータ22の全ての外歯(t〜t)と対面する。そして、アウターロータ21の一の内歯(u〜uのいずれか)とインナーロータ22の一の外歯(t〜tのいずれか)の組み合わせにおいては、図1(b)を参照して、当該アウターロータ21の一の内歯(u〜uのいずれか)の歯先先端とインナーロータ22の一の外歯(t〜tのいずれか)の歯先先端との間の隙間として、チップクリアランスΔd[mm]が設定される。
本実施形態の内接型ギアポンプ3におけるチップクリアランスΔdの調整方法は、前記アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)[mm]が一定範囲内に収まるように、アウターロータ21を加工するようにしたことを特徴とするものである。尚、本実施形態では、アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dは、それぞれ25mm前後である。
ここで、アウターロータ21の内径Dは、図1(a)及び図1(b)を参照して、本実施形態のようにアウターロータ21の内歯u〜uの個数iが奇数個(9個)の場合は、アウターロータ21の中心を通って180度の角度で対向する内歯の歯先先端と内歯間の溝底(uとs、uとs、uとs、u7とs、u3とs7、u8とs3、u4とs8、u9とs4、u5とs9)の間隔に相当する内径Dn(n=1,…,9)となる。即ち、本実施形態のようにアウターロータ21がi(=9;iは自然数且つ奇数)個の内歯u〜uを有する場合は、アウターロータ21の内径Dは、内径Dn(n=1,…,i[=9])となり、アウターロータ21には、全部でi(=9)箇所に内径Dが存在することになる。
一方、インナーロータ22の外径dは、図1(a)及び図1(b)を参照して、本実施形態のようにインナーロータ22の外歯t〜tの個数jが偶数個(8個)の場合は、インナーロータ22の中心を通って180度の角度で対向する外歯の歯先先端同士(tとt、tとt、tとt、tとt)の間隔に相当する外径dm(m=1,…,4)となる。即ち、本実施形態のようにインナーロータ22がj(=8;jは自然数且つ偶数)個の外歯t〜tを有する場合は、インナーロータ22の外径dは、外径dm(m=1,…,j/2[=8/2=4])となり、インナーロータ22には、全部でj/2(=4)箇所に外径dが存在することになる。
そして、図1(b)を参照して、両ロータ21,22の1サイクルの回転の間、アウターロータ21の内径Dn(n=1,…,9)とインナーロータ22の外径dm(m=1,…,4)は、全ての組(Dn,dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)を形成するようになる。そして、各組(Dn,dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)においては、その差分(Dn−dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)は、アウターロータ21の一の内歯(u〜uのいずれか)の歯先先端とインナーロータ22の一の外歯(t〜tのいずれか)の歯先先端との間の隙間であるチップクリアランスΔd[mm]と一致するようになる。
本実施形態の内接型ギアポンプ3は、次に示すチップクリアランスΔdの調整フローを含んで製造される。
図2に示すように、まず、焼結・サイジング処理、又は、冷間鍛造加工により、金型により金属材料を用いて成形された複数個のアウターロータ21,…及びインナーロータ22,…を準備する(ロータ準備工程S1)。尚、このロータ準備工程S1では、アウターロータ21の内径Dに対して、インナーロータ22の外径dがやや大きめになるように、金型の大きさを設定して成形することが好ましい。具体的には、以後のロータ径判定工程S4において、アウターロータ21及びインナーロータ22における全ての組(Dn,dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)について、(Dn−dm)≦0.12[mm]となるように成形する。
次に、全てのアウターロータ21,…及びインナーロータ22,…について、それぞれ内径Dn(n=1,…,9)及び外径dm(m=1,…,4)をノギス等を用いて手動で測定し、この測定結果を各アウターロータ21及びインナーロータ22毎に、コンピュータ等の記憶装置に端末から手動入力で記憶させる(ロータ径記憶工程S2)。
次いで、複数のアウターロータ21及びインナーロータ22の中で、任意のアウターロータ21及びインナーロータ22の組み合わせを決定する(ロータ組合せ決定工程S3)。
続いて、この決定された一のアウターロータ21及びインナーロータ22の組み合わせにおいて、全ての組(Dn,dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)について、(Dn−dm)≦0.12[mm]であるか否かを判定する(ロータ径判定工程S4)。
そして、一箇所でも(Dn−dm)>0.12[mm]となる場合には、アウターロータ21及びインナーロータ22の組み合わせを変更する(ロータ組合せ変更工程S5)。その後、前述のロータ組合せ決定工程S3から再度実行する。ここで、アウターロータ21及びインナーロータ22の組み合わせを変更するのは、いずれかの組(Dn,dm)について(Dn−dm)>0.12[mm]であると、対応する箇所においてチップクリアランスΔd[mm]が大きすぎることになり、内接型ギアポンプ3の容積効率が下がる虞があるためである。一方、全ての組(Dn,dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)について、(Dn−dm)≦0.12[mm]となる場合には、次の工程S6を実行する。
次の工程S6においては、全ての組(Dn,dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)について、(Dn−dm)≦0.12[mm]となる一のアウターロータ21及びインナーロータ22の組み合わせにおいて、最初に研削する歯先を決定すべく、組(Dn,dm)におけるn,mを初期化する。即ち、n=m=0とする(n,m初期化工程S6)。
続く工程S7において、アウターロータ21の内径Dnのnを1つインクリメントする(n=n+1)(nインクリメント工程S7)。
次いで、各n値毎に、インナーロータ22の外径dmのmを1つインクリメントする(mインクリメント工程S8)。続いて、この段階でのn,m値の組(n,m)毎に、前述の記憶装置からアウターロータ21の内径Dnとインナーロータ22の外径dmの組(Dn,dm)を呼び出す(ロータ径呼出工程S9)。この工程S9は、mがj/2(=8/2=4)以上となる(m≧4)まで繰り返す(m値判定工程S10)。
そして、次の工程S11にて、この段階でのn値において、コンピュータ等の演算処理手段を用いて(Dn−dm)(m=1,…,9)を計算し、(Dn−dm)(m=1,…,9)<0.02[mm]となるインナーロータ22の外歯(t〜tのいずれか)について、その歯先を工作機械に備えられた砥石等を用いて研削して0.02[mm]≦(Dn−dm)(n=nインクリメント工程S7で設定された値、m=1,…,4)≦0.12[mm]とする(ロータ歯先研削工程S11)。ここで、アウターロータ21の内歯(u〜u)を研削して(Dn−dm)≧0.02[mm]とするのは、一箇所でも(Dn−dm)<0.02[mm]となっていると、その箇所においてチップクリアランスΔd[mm]が小さすぎることになり、内接型ギアポンプ3の機械効率が下がる虞があるためである。
その後、次の工程S12において、nが9(=i)未満(n<9)の場合は、前記したnインクリメント工程S7に戻る(n値判定工程S12)。そして、工程S7において、アウターロータ21の内径Dnのnを更に1つインクリメントし、一連の工程S8〜工程S11を再度実行する。一方、nが9以上(n≧9)となった場合は、チップクリアランスΔdの調整を終了する。これにより、任意のアウターロータ21及びインナーロータ22の組み合わせについて、チップクリアランスの寸法精度が高められるようになる。
以上、本実施形態の内接型ギアポンプ3におけるチップクリアランスΔdの調整方法によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)任意のアウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせにおいて、当該アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)が一定範囲としての0.02mm以上0.12mm以下に収まるようにアウターロータ21の内歯(u〜u)の歯先を加工することで、当該アウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度が高められるようになる。
(2)アウターロータ21において径方向内方に突出した内歯(u〜u)の歯先を工作機械に備えられた砥石等で研削することで、アウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度を高めるための指標となるアウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)を簡単且つ確実に0.02mm以上0.12mm以下に収めることができるようになる。
(3)本実施形態のインナーロータ22のように、その外歯t〜tの個数が偶数の場合は、当該外歯t〜tの内の一つ(例えばt)を研削すると、当該外歯tの歯先先端と、インナーロータ22の中心を通って180度の角度で対向する外歯(この場合はt)の歯先先端の間隔に相当する外径dが小さくなるため、チップクリアランスの寸法精度を高めるための外歯tについての研削加工が、前記外歯tを研削して外径dを小さくすることに等しくなってしまう。これに対して、本実施形態のように、奇数個の内歯u〜uを有するアウターロータ21について、当該内歯(例えばu)を研削加工する場合は、当該内歯uにはアウターロータ21の中心を通って180度の角度で対向する内歯が存在しないため、このような不都合が生じることがない。即ち、インナーロータ22の外歯t〜tについての研削加工を重複させることを避けることができるようになる。
(4)本実施形態のように、アウターロータ21に奇数個の内歯u〜uが設けられている場合において、該アウターロータ21と外接噛合するインナーロータ22の一の外歯(t〜tのいずれか)について、その外歯t〜tと対面する全てのアウターロータ21の内歯u〜uとの間隔、即ち、その一の外歯(t〜tのいずれか)についての全てのアウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)を、当該アウターロータ21の一の内歯(u〜uのいずれか)の歯先を工作機械に備えられた砥石等で研削することで0.02mm以上0.12mm以下に収めることができる。これにより、インナーロータ22の外歯t〜tについての研削加工を重複させることなく、当該アウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせについて、チップクリアランスの寸法精度を簡単且つ確実に高めることができるようになる。
(5)自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプとして、本実施形態の内接型ギアポンプ3を用いるので、その容積効率及び機械効率が適正化されたものとなり、自動車用途としての信頼性が高められるようになる。
<第2実施形態>
本実施形態に係る内接型ギアポンプ3´は、第1実施形態と同様に、自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプに使用されるものであり、第1実施形態におけるアウターロータ21及びインナーロータ22に代えて、以下に説明するアウターロータ21´及びインナーロータ22´を用いた以外は、図7(a)及び図7(b)に示す内接型ギアポンプ3と同一の構造・大きさのものである。よって、本実施形態では、特に記載する場合を除いて、共通又は対応する箇所についての符号付与等による部位の説明を省略する。
本実施形態の内接型ギアポンプ3´におけるチップクリアランスΔdの調整方法は、前記アウターロータ21´の内径Dとインナーロータ22´の外径dとの差分(D−d)[mm]が一定範囲内に収まるように、インナーロータ22´を加工するようにしたことを特徴とするものである。
また、第1実施形態では、内接型ギアポンプ3において、i(=9;iは自然数且つ奇数)個の内歯u〜uを有するアウターロータ21´と、j(=8;jは自然数且つ偶数)個の外歯t〜tを有するインナーロータ22´とが備えられる場合について、チップクリアランスΔdの調整方法を説明した。
これに対して、本実施形態では、当該内接型ギアポンプ3´には、図3(a)及び図3(b)に示すように、i(=10;iは自然数且つ偶数)個の内歯u〜u10を有するアウターロータ21´と、j(=9;jは自然数且つ奇数)個の外歯t〜tを有するインナーロータ22´とが備えられている。
本実施形態においては、図4に示すように、第1実施形態の工程S7〜工程S12に代えて、次の工程S7´〜工程S12´を行う。その他の工程S1〜S6については第1実施形態と同様である。
即ち、上述した工程S6に続く工程S7´において、インナーロータ22´の外径dmのmを1つインクリメントする(m=m+1)(mインクリメント工程S7´)。
次いで、各m値毎に、アウターロータ21´の内径Dnのnを1つインクリメントする(nインクリメント工程S8´)。続いて、この段階でのn,m値の組(n,m)毎に、前述の記憶装置からアウターロータ21´の内径Dnとインナーロータ22´の外径dmの組(Dn,dm)を呼び出す(ロータ径呼出工程S9)。この工程S9は、nがi/2(=10/2=5)以上となる(n≧5)まで繰り返す(n値判定工程S10´)。
そして、次の工程S11´にて、この段階でのm値において、コンピュータ等の演算処理手段を用いて(Dn−dm)(n=1,…,5)を計算し、(Dn−dm)(n=1,…,5)<0.02[mm]となるインナーロータ22´の外歯(t〜tのいずれか)について、その歯先を工作機械に備えられた砥石等を用いて研削して0.02[mm]≦(Dn−dm)(n=1,…,5、m=mインクリメント工程S7´で設定された値)≦0.12[mm]とする(ロータ歯先研削工程S11´)。ここで、インナーロータ22´の外歯(t〜t)を研削して(Dn−dm)≧0.02[mm]とするのは、一箇所でも(Dn−dm)<0.02[mm]となっていると、その箇所においてチップクリアランスΔd[mm]が小さすぎることになり、内接型ギアポンプ3´の機械効率が下がる虞があるためである。
その後、次の工程S12´において、mが9(=j)未満(m<9)の場合は、前記したmインクリメント工程S7´に戻る(m値判定工程S12´)。そして、工程S7´において、アウターロータ21´の外径dmのmを更に1つインクリメントし、一連の工程S8´〜工程S11´を再度実行する。一方、mが9以上(m≧9)となった場合は、チップクリアランスΔdの調整を終了する。これにより、任意のアウターロータ21´及びインナーロータ22´の組み合わせについて、チップクリアランスの寸法精度が高められるようになる。
以上、本実施形態の内接型ギアポンプ3´におけるチップクリアランスΔdの調整方法によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)任意のアウターロータ21´とインナーロータ22´の組み合わせにおいて、当該アウターロータ21´の内径Dとインナーロータ22´の外径dとの差分(D−d)が一定範囲としての0.02mm以上0.12mm以下に収まるようにインナーロータ22´の外歯(t〜t)の歯先を加工することで、当該アウターロータ21´とインナーロータ22´の組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度が高められるようになる。
(2)インナーロータ22´において径方向外方に突出した外歯(t〜t)の歯先を工作機械に備えられた砥石等で研削することで、アウターロータ21´とインナーロータ22´の組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度を高めるための指標となるアウターロータ21´の内径Dとインナーロータ22´の外径dとの差分(D−d)を簡単且つ確実に0.02mm以上0.12mm以下に収めることができるようになる。
(3)本実施形態のアウターロータ21´のように、その内歯u〜u10の個数が偶数の場合は、当該内歯u〜u10の内の一つ(例えばu)を研削すると、当該内歯uの歯先先端と、インナーロータ22´の中心を通って180度の角度で対向する内歯(この場合はu)の歯先先端の間隔に相当する外径d1が小さくなるため、チップクリアランスの寸法精度を高めるための内歯uについての研削加工が、前記内歯uを研削して内径Dを大きくすることに等しくなってしまう。これに対して、本実施形態のように、奇数個の外歯t〜tを有するインナーロータ22´について、当該外歯(例えばt)を研削加工する場合は、当該外歯tにはインナーロータ22´の中心を通って180度の角度で対向する外歯が存在しないため、このような不都合が生じることがない。即ち、アウターロータ21´の内歯u〜u10についての研削加工を重複させることを避けることができるようになる。
(4)本実施形態のように、アウターロータ21´に偶数個の内歯u〜u10が設けられている場合において、該アウターロータ21´と外接噛合するインナーロータ22´の一の外歯(t〜tのいずれか)について、その外歯t〜tと対面する全てのアウターロータ21´の内歯u〜u10との間隔、即ち、その一の外歯(t〜tのいずれか)についての全てのアウターロータ21´の内径Dとインナーロータ22´の外径dとの差分(D−d)を、当該インナーロータ22´の一の外歯(t〜tのいずれか)の歯先を工作機械に備えられた砥石等で研削することで0.02mm以上0.12mm以下に収めることができる。これにより、アウターロータ21´の内歯u〜u10についての研削加工を重複させることなく、当該アウターロータ21´とインナーロータ22´の組み合わせについて、チップクリアランスの寸法精度を簡単且つ確実に高めることができるようになる。
(5)自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプとして、本実施形態の内接型ギアポンプ3´を用いるので、その容積効率及び機械効率が適正化されたものとなり、自動車用途としての信頼性が高められるようになる。
<第3実施形態>
本実施形態に係る内接型ギアポンプ3は、第1実施形態に係る内接型ギアポンプ3と同様に、自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプに使用されるものであり、図7(a)及び図7(b)に示す内接型ギアポンプ3と同一の構造・大きさのものである。よって、本実施形態では、共通する箇所についての符号付与等による部位の説明を省略する。
本実施形態の内接型ギアポンプ3におけるチップクリアランスΔdの調整方法は、アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)[mm]が一定範囲内に収まるように、両ロータ21,22の組み合わせを選択するようにしたことを特徴とするものである。具体的には、本実施形態の内接型ギアポンプ3は、次に示すチップクリアランスの調整手順を含んで製造される。
図5(a)に示すように、まず、それぞれがi(iは自然数)個の内歯(u〜u;同図では、i=9個)を有するp(p≧2:pは自然数)個のアウターロータ21,…(アウターロータ群)と、それぞれがj(=i−1)個の外歯(t〜t;同図では、j=i−1=8個)を有するq(q≧2:qは自然数)個のインナーロータ22,…(インナーロータ群)を準備する。尚、本実施形態では、p≧qとなるようにする(ロータ準備ステップS101)。
次に、図6(a)に示すように、全てのアウターロータ21,…及びインナーロータ22,…のロータ21,22について、内径Dn(n=1,…,i[=9])及び外径dm(m=1,…,j/2[=8/2=4])を測定し、コンピュータ等の演算処理装置に、端末からの手動入力で市販の表計算ソフトウェア等を用いてテーブルの状態で記憶させる(ロータ径測定ステップS102)。
次いで、各アウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせにおいて、前記した表計算ソフトウェア等を用いて、アウターロータ21の内径Dn(n=1,…,9)とインナーロータ22の外径dm(m=1,…,4)の組(Dn,dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)について差分(Dn−dm)を計算し、該差分(Dn−dm)についての同図中に領域Aで示す単位マトリクスが(p×q)個集合してなるマトリクスを作成する(マトリクス作成ステップS103)。
続いて、各単位マトリクスにおける全ての組(Dn,dm)について、前記差分(Dn−dm)が一定範囲としての0.02[mm]≦(Dn−dm)(n=1,…,9、m=1,…,4)≦0.12[mm]に収まる当該単位マトリクスの図6(b)に示すマトリクスにおける位置を特定し、これにより、チップクリアランスΔdの寸法精度が高められたアウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせを選択する(ロータ組合せ選択ステップS104)。
最後に、図5(b)に示すように、上記した各ステップS101〜S104により選択されたアウターロータ21,…とインナーロータ22,…を組み合わせる。これにより、例えばk(k≦p≦q)個の寸法精度が向上したチップクリアランスΔdを有するアウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせからなる群が得られるようになる。
尚、上記した両ロータ21,22の組み合わせの選択により、余ったロータ21,22については、その中の任意のロータ21,22の組み合わせについて、第1実施形態のチップクリアランスの調整方法を用いて、チップクリアランスの寸法精度を高めることが可能である。
以上、本実施形態の内接型ギアポンプ3におけるチップクリアランスの調整方法によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)を一定範囲内としての0.02mm以上0.12mm以下に収まるようにアウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせを選択することで、当該アウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせにおけるチップクリアランスの寸法精度を高められるようになる。
(2)p(p≧2:pは自然数)個のアウターロータ21,…と、q(q≧2:qは自然数)個のインナーロータ22,…が焼結や冷間鍛造加工により成形されている場合に、アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるアウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせを簡単且つ確実に選択することができる。さらに、従来、アウターロータ21とインナーロータ22の組み合わせをランダムに行っていた場合に比して内接型ギアポンプ3の製造(組み立て)に要するコスト(費用)が大幅に低減される。
(3)自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプとして、本実施形態の内接型ギアポンプ3を用いるので、その容積効率及び機械効率が適正化されたものとなり、自動車用途としての信頼性が高められるようになる。
尚、上記実施形態は以下のように変形してもよい。
・上記第1及び第2実施形態では、アウターロータ21及びインナーロータ22について、それぞれ内径D及び外径dをノギス等を用いて手動で測定し、この測定結果をコンピュータ等の記憶装置に端末から手動入力で記憶させ、さらにコンピュータ等の演算処理手段を用いて(D−d)を計算した。しかし、これに限られず、当該測定は複数のアウターロータ21,…及びインナーロータ22,…を搬送装置で自動搬送し、さらに画像測定装置等の自動測定手段を用いて自動的に測定し、さらにまた、当該測定結果をイメージング処理等によりコンピュータ等の記憶装置(記憶手段)に自動的に記憶させ、さらにコンピュータ等の演算処理手段を用いて(D−d)を計算してもよい。
・上記実施形態では、アウターロータ21の内径Dとインナーロータ22の外径dとの差分(D−d)を収める一定範囲を0.02mm以上0.12mm以下としたが、これに限られず、内接型ギアポンプ3(3´)の用途や大きさに応じて他の数値範囲を適宜設定することも可能である。
・上記実施形態では、パラコイド(登録商標)歯形を有するアウターロータと、該アウターロータと互いに偏心した状態で噛合するパラコイド(登録商標)歯形を有するインナーロータとから構成される内接型ギアポンプ3(3´)である例について説明した。しかし、これに限定されず、当該内接型ギアポンプ3(3´)は、所謂トロコイド歯形やインボリュート歯形等のその他の歯形を用いたものであってもよい。
・上記実施形態では、内接型ギアポンプ3(3´)を、自動車のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプに使用した。しかし、それ以外の他の自動車用途に用いたり、自動車用途以外の汎用用途に用いたりすることも勿論可能である。
さらに、前記した実施形態及び変形例より把握できる技術的思想について以下に記載する。
○請求項1又は請求項2に記載のチップクリアランスの調整方法において、前記アウターロータの内径Dと前記インナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるように、前記アウターロータの内歯の数が奇数且つインナーロータの外歯の数が偶数の場合には、アウターロータの内歯の歯先を研削する一方、前記アウターロータの内歯の数が偶数且つインナーロータの外歯の数が奇数の場合には、インナーロータの外歯の歯先を研削するようにしたことを特徴とする内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
同構成によれば、アウターロータの内歯又はインナーロータの外歯についての研削加工を重複させることなく、当該アウターロータとインナーロータの組み合わせについて、チップクリアランスの寸法精度を簡単且つ確実に高めることができるようになる。
(a)は、本発明の第1実施形態に係る任意のアウターロータとインナーロータを示す図、(b)は、両ロータを組み合わせた状態を示す図。 本発明の第1実施形態に係る内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法を示すフロー図。 (a)は、本発明の第2実施形態に係る任意のアウターロータとインナーロータを示す図、(b)は、両ロータを組み合わせた状態を示す図。 本発明の第2実施形態に係る内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法を示すフロー図。 (a)は、本発明の第3実施形態に係る複数のアウターロータとインナーロータを示す図、(b)は、複数のロータを組み合わせた状態を示す図。 (a)は、本発明の第3実施形態に係る複数のアウターロータの各内径Dとインナーロータの各外径dを一覧したテーブル(表)を示す図、(b)は、差分(D−d)についての単位マトリクスを複数有するマトリクスを示す図。 (a)は、従来例及び本発明に係る電動オイルポンプの軸方向断面図、(b)は、(a)のX−Xにおける矢視断面図。 アウターロータとインナーロータの組み合わせにおけるチップクリアランスΔdを示す図(Bは要部拡大図)。
符号の説明
Δd…チップクリアランス、3…内接型ギアポンプ、21…アウターロータ、22…インナーロータ。

Claims (9)

  1. 複数の内歯を有するアウターロータと、該アウターロータに外接噛合するインナーロータとを備える内接型ギアポンプにおいて、両ロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの調整方法であって、
    前記アウターロータの内径Dと前記インナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるように、両ロータの少なくとも一方を加工するようにしたことを特徴とする内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
  2. 請求項1に記載のチップクリアランスの調整方法において、
    前記アウターロータ又はインナーロータのいずれかの歯先を研削することで、前記アウターロータの内径Dとインナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるようにした内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
  3. 請求項2に記載のチップクリアランスの調整方法において、
    前記内接型ギアポンプには、i(iは自然数且つ奇数)個の内歯を有するアウターロータと、j(jは自然数且つ偶数)個の外歯を有するインナーロータとが備えられ、
    これらアウターロータとインナーロータをそれぞれ複数個準備するロータ準備工程と、
    各アウターロータとインナーロータについて、アウターロータの内径Dn(n=1,…,i)とインナーロータの外径dm(m=1,…,j/2)とを測定し、この測定結果を各アウターロータとインナーロータ毎に記憶装置に記憶させるロータ径記憶工程と、
    任意のアウターロータとインナーロータの組み合わせを決定するロータ組合せ決定工程と、
    両ロータの各組み合わせにおいて、アウターロータの内径Dnのnを1つインクリメントするnインクリメント工程と、
    各n値毎に、インナーロータの外径dmのmを1つインクリメントするmインクリメント工程と、
    前記アウターロータの内径Dnとインナーロータの外径dmの組(Dn,dm)(n=nインクリメント工程で設定された値、m=1,…,j/2)を前記記憶装置から呼び出すとともに当該組(Dn,dm)について、演算処理手段を用いて差分(Dn−dm)を計算し、該差分(Dn−dm)が前記一定範囲を下に外れるものについて、対応するアウターロータの内歯の歯先を研削することで、当該差分(Dn−dm)が前記一定範囲内に収まるようにするロータ歯先研削工程とを備えた内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
  4. 請求項2に記載のチップクリアランスの調整方法において、
    前記内接型ギアポンプには、i(iは自然数且つ偶数)個の内歯を有するアウターロータと、j(jは自然数且つ奇数)個の外歯を有するインナーロータとが備えられ、
    これらアウターロータとインナーロータをそれぞれ複数個準備するロータ準備工程と、
    各アウターロータとインナーロータについて、アウターロータの内径Dn(n=1,…,i/2)とインナーロータの外径dm(m=1,…,j)とを測定し、この測定結果を各アウターロータとインナーロータ毎に記憶装置に記憶させるロータ径記憶工程と、
    任意のアウターロータとインナーロータの組み合わせを決定するロータ組合せ決定工程と、
    両ロータの各組み合わせにおいて、インナーロータの外径dmのmを1つインクリメントするmインクリメント工程と、
    各m値毎に、アウターロータの内径Dnのnを1つインクリメントするnインクリメント工程と、
    前記アウターロータの内径Dnとインナーロータの外径dmの組(Dn,dm)(n=1,…,i/2、m=mインクリメント工程で設定された値)を前記記憶装置から呼び出すとともに当該組(Dn,dm)について、演算処理手段を用いて差分(Dn−dm)を計算し、該差分(Dn−dm)が前記一定範囲を下に外れるものについて、対応するインナーロータの外歯の歯先を研削することで、当該差分(Dn−dm)が前記一定範囲内に収まるようにするロータ歯先研削工程とを備えた内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
  5. 複数の内歯を有するアウターロータと、該アウターロータに外接噛合するインナーロータとを備える内接型ギアポンプにおいて、両ロータの組み合わせにおけるチップクリアランスの調整方法であって、
    前記アウターロータの内径Dと前記インナーロータの外径dとの差分(D−d)が一定範囲内に収まるように、両ロータの組み合わせを選択するようにしたことを特徴とする内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
  6. 請求項5に記載のチップクリアランスの調整方法において、
    それぞれがi(iは自然数)個の内歯を有するp(p≧2:pは自然数)個のアウターロータと、それぞれがj(j=i+1)個の外歯を有するq(q≧2:qは自然数)個のインナーロータを準備するロータ準備ステップと、
    各アウターロータとインナーロータの組み合わせにおいて、アウターロータの内径Dnとインナーロータの外径dmの組(Dn,dm)について、演算処理手段を用いて差分(Dn−dm)を計算し、該差分(Dn−dm)についての単位マトリクスが(p×q)個集合してなるマトリクスを作成するマトリクス作成ステップと、
    各単位マトリクスにおける各組(Dn,dm)について、前記差分(Dn−dm)が一定範囲内に収まる当該単位マトリクスの位置を特定し、これにより、前記単位マトリクスに対応するアウターロータとインナーロータの組み合わせを選択するロータ組合せ選択ステップとを含む内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のチップクリアランスの調整方法において、
    前記一定範囲が、0.02mm以上0.12mm以下である内接型ギアポンプにおけるチップクリアランスの調整方法。
  8. 複数の内歯を有するアウターロータと、該アウターロータに外接噛合するインナーロータとを備える内接型ギアポンプであって、
    請求項1〜請求項7のいずれかに記載のチップクリアランスの調整方法を含む製造方法により製造されたことを特徴とする内接型ギアポンプ。
  9. 自動車等の車両のトランスミッションにおいて、アイドルストップ時に低下する油圧を補助するための電動オイルポンプであって、請求項8に記載の内接型ギアポンプと該内接型ギアポンプを回転駆動する電動モータとを備えたことを特徴とする電動オイルポンプ。
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