JP2008231583A - 合燃糸、カーペットおよび自動車内装材ならびに合撚糸の製造方法 - Google Patents

合燃糸、カーペットおよび自動車内装材ならびに合撚糸の製造方法 Download PDF

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寛貴 武田
Hiroshi Kajiyama
宏史 梶山
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Abstract

【課題】
易リサイクル性、低環境負荷に加えて、ポリ乳酸繊維と他の熱可塑性繊維の良好な合撚条件、寸法安定性、柔らかな風合い、ボリューム感、ポイント感等に優れ、合撚後の引張強力及び伸度が保たれ、クラックや毛羽の抑制、耐磨耗性に優れたポリ乳酸系合撚糸を提供する。
【解決手段】
ポリ乳酸繊維からなる糸と他の熱可塑性繊維らなる糸とが撚り合わされてなり、前記ポリ乳酸繊維からなる糸の引張強度が0.80cN/dtex以上、引張伸度が20%以上であり、かつ、撚り数が30〜200T/mであることを特徴とする合撚糸。
【選択図】なし

Description

本発明は合撚糸に関する。
近年、石油資源の大量消費によって生じる地球温暖化や、大量消費に伴う石油資源の枯渇が懸念されており、地球規模にて環境に対する意識が高まりつつある。このような背景において、植物由来原料(バイオマス)からなり、使用後は自然環境中で最終的に水と二酸化炭素にまで分解する、自然循環型の環境対応素材が切望されている。
このようなバイオマス利用の生分解性ポリマーとして、現在、最も注目されているのは脂肪族ポリエステルの一種であるポリ乳酸である。ポリ乳酸は、植物から抽出したでんぷんを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中では、力学特性、耐熱性およびコストのバランスが最も優れている。
ポリ乳酸繊維の開発としては、生分解性を活かした農業資材や土木資材等が先行している(用途1)。用途1への適用のため、特許文献1では多段延伸を行い、撚糸後、熱セットし、配向結晶をさせた高強度なポリ乳酸繊維が開示されている。また、それに続く大型の用途としてポリ乳酸の優れた発色性、ドライな風合いを活用した衣料用途や衛生材料用途、寝装用途、さらには非石油系素材を訴求点とした自動車用途への応用も期待されている(用途2)。しかしながら、ポリ乳酸繊維は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等の他の汎用繊維に比べ表面が削れやすく、耐摩耗性に劣るという課題がある。例えば、自動車用カーペットやカーシートにおいては、摩耗によりポリ乳酸繊維の表面が大きく削られ、パイルが脱落することによる製品の著しい摩耗が発生することがある。ポリ乳酸の耐摩耗性を改善する方法としては、ポリ乳酸繊維と非ポリ乳酸繊維の複合方法が開示されている。特許文献2では、ポリ乳酸繊維と非ポリ乳酸繊維の混繊糸に撚りをかけ、熱セットすることで、それぞれの繊維が細かく交わり、非ポリ乳酸繊維によりポリ乳酸の耐摩耗性を十分に補うことができる方法が考案されている。しかしながら、用途2でのポリ乳酸繊維は、用途1に用いる特許文献1の繊維とは違い製造工程での延伸が限られることより、配向性の悪いポリ乳酸繊維となる。これら強度の低いポリ乳酸繊維は、撚糸条件、又は熱セット条件が難しく、撚糸工程後、ポリ乳酸の糸強度が著しく低下し、又は熱セット時にポリ乳酸繊維が脆化するという問題が依然としてあった。
特開2005−248390(請求項1、13) 特開2005−245706(請求項1、4、5、6)
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消し、易リサイクル性、低環境負荷に加えて、寸法安定性、柔らかな風合い、ボリューム感、又はポイント感等に優れ、さらには、クラックや毛羽の抑制、耐磨耗性に優れたポリ乳酸系合撚糸を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討の結果、本願発明者等は、例えば特許文献2に記載の技術においてポリ乳酸繊維系合撚糸の力学特性の向上効果が得られなかったのは、当該技術において、ポリ乳酸繊維と非ポリ乳酸の過剰な合撚条件による糸強力低下と、セット時の熱によりポリ乳酸の分子量低下、もしくは結晶サイズが大きくなることより脆化してしまうためであることをつきとめ、本願発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリ乳酸繊維からなる糸と他の熱可塑性繊維からなる糸とが撚り合わされてなり、前記ポリ乳酸繊維からなる糸の引張強度が0.80cN/dtex以上、引張伸度が20%以上であり、かつ、撚数が30〜200T/mであることを特徴とする合撚糸である。
また本発明は、本発明の合撚糸を用いたことを特徴とするカーペットである。
また本発明は、ポリ乳酸繊維からなる糸と他の熱可塑性繊維からなる糸とを撚り合わせ、90〜120℃で熱セットを施して本発明の合撚糸とする工程を含むことを特徴とする合撚糸の製造方法である。
本発明によれば、易リサイクル性、低環境負荷に加えて、寸法安定性、柔らかな風合い、ボリューム感、又はポイント感等に優れ、さらには、クラックや毛羽の抑制、耐磨耗性に優れたポリ乳酸系合撚糸を得ることができる。
また本発明のカーペットは、ポリ乳酸100%のカーペットに比べ、他の熱可塑性繊維が含まれていることに、より柔らかな風合い、ボリューム感等を向上させることができる。
本発明の合撚糸は、ポリ乳酸繊維からなる糸を含む。ポリ乳酸は、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中でも、力学特性、耐熱性およびコストのバランスに優れている。
ポリ乳酸は−(O−CHCH−CO)−を繰り返し単位として有するポリマーであり、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものである。
乳酸にはD体とL体の2つの光学異性体が存在するが、L体またはD体のいずれにしても、ポリ乳酸の光学純度が高いほどポリ乳酸の融点も高く、すなわち耐熱性が向上するため好ましい。ポリ乳酸の光学純度としては、95%以上が好ましい。またポリ乳酸の融点としては、繊維の耐熱性を維持するために150℃以上であることが好ましい。
また、ポリ(L乳酸)とポリ(D乳酸)とをブレンドして繊維に成形した後、140℃以上の高温熱処理を施してラセミ結晶を形成させたステレオコンプレックスにすると、融点を220〜230℃にまで高めることができ、好ましい。この場合のポリ(L乳酸)とポリ(D乳酸)とのブレンド比としては、40/60〜60/40が、ステレオコンプレックス結晶の比率を高めることができ好ましい。
また、通常、ポリ乳酸中には低分子量残留物として残存ラクチドが存在しうるが、ポリ乳酸中の残存ラクチド量としては3000質量ppm以下が好ましく、より好ましくは1000質量ppm以下、さらに好ましくは300質量ppm以下である。ポリ乳酸中の残存ラクチド量を抑えることにより、延伸や仮撚加工工程での加熱ヒーター汚れや染色加工工程での染め斑等の染色異常を防ぐことができる。また、繊維や繊維成型品の加水分解を防ぎ、耐久性を維持することができる。ポリ乳酸中の残存ラクチド量を低減させる方法としては、重合方法として固相重合を採用することや、ペレットを80℃程度の温水で洗浄することが挙げられる。
また、ポリ乳酸の生分解性を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していてもよい。共重合する成分としては、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンエーテルグリコール、ポリブチレンサクシネートやポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイソフタレートなどの芳香族ポリエステル、及びヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ジカルボン酸、ジオールなどのエステル結合形成性の単量体が挙げられる。
ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)としては、耐摩耗性を保持する上で8万以上とすることが好ましく、より好ましくは10万以上、さらに好ましくは12万以上である。一方、延伸性、ひいては分子配向による繊維強度を維持する上で、ポリ乳酸の重量平均分子量は35万以下が好ましく、より好ましくは30万以下、さらに好ましくは25万以下である。
ポリ乳酸は、粒子、結晶核剤、難燃剤、可塑剤、末端封鎖剤、帯電防止剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、エチレンビスステアリンサンアミドなどの滑剤等を含有していてもよい。
末端封鎖剤としては、ポリカルボジイミド等のカルボジイミド化合物や、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、トリジグリシジルイソシアヌレート等のグリシジル基を有する化合物を挙げることができる。
末端封鎖剤のポリ乳酸に対する添加量としては、0.1〜10質量%が好ましい。0.1質量%以上とすることでポリ乳酸繊維の耐久性を向上させることができる。また、10質量%の添加を行えば末端基が十分に封鎖され、10質量%超では耐久性向上の効果は飽和する。
ポリ乳酸繊維の断面形状としては、丸断面、中空断面、多孔中空断面、三葉断面(三角断面、Y断面、T断面など)等の多葉断面、扁平断面、W断面、X断面等を採用することが可能である。なかでも、異形断面は嵩高性を向上させる上で好ましい。異形断面の異形度としては、1.1〜8.0が好ましく、より好ましくは1.3〜7.0である。ここで、異形度は、断面における内接円の径に対する外接円の径の比で表される。異形度を1.1以上とすることで、異形断面による嵩高性向上の実効を得ることができる。また8.0以下とすることで、繊維のフィブリル化を防ぐことができる。
本発明の合撚糸におけるポリ乳酸繊維からなる糸は、捲縮を有することが好ましい。そうすることで、カーペット用途においてカーペットとしての質感を出すことができる。
ポリ乳酸繊維からなる糸は、引張強度が0.80cN/dtex以上、引張伸度が20%以上であることが重要であり、好ましくは引張強度が0.95cN/dtex以上、引張伸度が40%以上である。そうすることで、カーペット加工でのタフト時の糸切れ等を防ぐことができる。
ポリ乳酸繊維からなる糸は、合撚加工前に対する引張強度保持率が60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上である。そうすることで、クラック(ひび割れ)の発生を防ぎ、また、毛羽を抑制することができる。
本発明の合撚糸は、ポリ乳酸繊維からなる糸と他の熱可塑性繊維からなる糸とが撚り合わされてなることが重要である。ポリ乳酸繊維は、他の汎用繊維に比べ表面が削れやすく耐摩耗性にも劣るため、ポリ乳酸よりも耐摩耗性に優れた「他の熱可塑性繊維」を合撚加工することで、ポリ乳酸繊維の弱点である耐磨耗性を補うことができる。
「他の熱可塑性繊維」の熱可塑性樹脂としては、耐摩耗性向上の点から、熱可塑性ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等を好ましく用いることができる。
なかでも、熱可塑性ポリアミドは、加熱流体処理などにより捲縮を付与しやすい点、カーペットなどに用いたときのしなやかな踏み応え感等の点で、特に好ましい。
熱可塑性ポリアミドは、アミド結合を有するポリマーであり、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン510等を挙げることができる。
「他の熱可塑性繊維」は、ホモポリマーであっても共重合ポリマーであってもよいが、耐摩耗性を維持する上で、結晶性を有するものであることが好ましい。結晶性の有無は、示差走査熱量計(DSC)測定において観測される融解ピークの有無により判定することができ、融解ピークを観測できれば結晶性有りと判定できる。
「他の熱可塑性繊維」の融点としては、耐熱性を考慮すると150℃以上であることが好ましい。
本発明の合撚糸における「他の熱可塑性繊維」からなる糸も、ポリ乳酸繊維からなる糸と同様、捲縮を有することが好ましい。
本発明の合撚糸におけるポリ乳酸繊維からなる糸および「他の熱可塑性繊維」からなる糸の分率としては、低環境負荷の点からはポリ乳酸繊維からなる糸が30質量%以上であることが好ましい。一方、耐摩耗性、柔らかさの点からは、「他の熱可塑性繊維」からなる糸が25質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上である。
本発明の合撚糸における撚りの態様としては、片撚り又は諸撚りを用途に応じて選択することが可能である。本発明においては、片撚りは、ポリ乳酸繊維からなる糸と「他の熱可塑性繊維」からなる糸とがそれぞれ無撚りの状態で合糸され、当該合糸にZ又はSの一方向に撚られている。また、諸撚りは、ポリ乳酸繊維からなる糸と「他の熱可塑性繊維」からなる糸とがそれぞれZ又はSの同じ方向に下撚りされた状態で合糸され、当該合糸に先の下撚りとは逆方向に上撚りがかけられている。諸撚りは、カーペットに用いる場合、スナール(解除撚り)がなく加工性に優れるため好ましい。
本発明の合撚糸における撚数としては、30〜200T/mであることが重要であり、好ましくは50〜180T/mである。30T/m未満では、ポリ乳酸繊維からなる糸と「他の熱可塑性繊維」からなる糸が十分に混ざり合わず、ポリ乳酸繊維が単独でまとまって露出する部分が多いため、合撚時にポリ乳酸が削れやすくなり毛羽が発生し、またカーペットに用いる場合、耐摩耗性改善の効果を得ることができない。一方、200T/m超では、クリープ特性の低いポリ乳酸繊維からなる糸にクラックが発生し、糸の強度低下に繋がる。尚、諸撚りにおいては、撚り合わせる糸のそれぞれの下撚りおよび上撚りがいずれも30〜200T/mであることが重要であり、好ましくは50〜180T/mである。
本発明の合撚糸の総繊度としては、500〜6000dtexが好ましく、より好ましくは1000〜5000dtexである。500dtex以上とすることで、カーペットのパイル用途において地透け等を防ぐことができる。また、6000dtex以下とすることで、カーペットのパイル用途においてのステッチ数を多くとることができ、カーペットのボリューム感を出すことができる。
本発明の合撚糸は、120℃にの乾熱処理による収縮率が5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下である。5%以下とすることで、高温下での寸法安定性にも優れ、カーペット用途においてカーペットの表面平滑性に優れ品位ムラが生じず、また、柔らかな風合いも保てる。
本発明のカーペットの態様としては例えば、段通、ウイルトン、ダブルフェイス、アキスミンター等の織りカーペットや、タフティング、フックドラグ等の刺繍カーペットや、ボンデッド、電着、コード等の接着カーペットや、あるいはそれらの組み合わせを用いることができる。
カーペットにおける、タフトしたパイル糸の単位面積あたりの質量(目付)としては、用途にもよるが、例えば、自動車用カーマットの中でも運転者の踵部が直接当たるオプションマットについては、100〜5000g/mが好ましく、より好ましくは500〜3000g/mである。100g/m以上とすることで、ペダル操作によって踵が当たる部分においても、耐摩耗性を発揮することができる。一方、5000g/m以下とすることが経済的には好ましい。
本発明のカーペットにおけるパイルの耐摩耗性としては、カーペットの磨耗減量試験(回転数5500回)において摩耗減量率が50%以下である事が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。
次に、本発明の合撚糸を製造する方法について説明する。
ポリ乳酸の重合方法としては、乳酸を有機溶媒及び触媒の存在下でそのまま脱水縮合する直接脱水縮合法や、少なくとも2種類のホモポリマーを重合触媒の存在下で共重合およびエステル交換反応させる方法や、乳酸を一旦脱水して環状二量体とした後に開環重合する間接重合法等を挙げることができる。
添加剤をポリ乳酸あるいはポリ乳酸繊維に添加する方法は、添加剤の種類や特性に応じて決定すればよい。
ポリ乳酸繊維を紡糸する際の溶融紡糸装置としては、エクストルーダー型紡糸機あるいはプレッシャー型紡糸機のいずれも使用可能であるが、ポリ乳酸繊維の均一性および製糸工程における収率の点からエクストルーダー型紡糸機が好ましい。
溶融紡糸された糸条には、冷却、給油の後、必要に応じて延伸、熱固定が施される。延伸に際しては、補助的に延伸点を固定するなどの目的で、スチーム処理装置などを併用してもよい。ポリ乳酸繊維を延伸する際の延伸倍率としては、1.5〜6倍とすることが、ある程度の配向と結晶化を促し、適切な強度と捲縮を付与する上で好ましい。
捲縮付与は、加熱流体加工処理により行うことができ、例えば、ジェットノズル方式、あるいはギヤ方式など各種の捲縮付与方法が採用され得る。なかでも、高い捲縮付与とその顕在化を達成する上でジェットノズル方式が好ましい。
溶融紡糸、延伸及び捲縮付与は、途中で巻取らずに連続して行ってもよいし、未延伸糸の段階あるいは延伸糸の段階で一旦巻き取ってもよい。
後述する染色加工前のポリ乳酸繊維からなる糸は、引張強度が1.20cN/dtex以上、引張伸度が50%以上であることが好ましく、より好ましくは引張強度が1.40cN/dtex以上、引張伸度が55%以上である。そうすることで、染色加工、撚糸加工を経て強度が低下しても、カーペット加工でのタフト時の糸切れ等を防ぐことができる。
また、「他の熱可塑性繊維」からなる糸と合撚する前のポリ乳酸繊維からなる糸は、熱収縮応力ピークが70℃以上であることが好ましく、より好ましくは80℃以上である。そうすることで、「他の熱可塑性繊維」からなる糸と合撚後、熱セット加工を行っても適度な収縮性を有するので、「他の熱可塑性繊維」からなる糸との熱収縮差による合撚の解除や合撚糸の捩れを防ぎ、均一な品位と柔らかさとを保つことができる。
ポリ乳酸繊維からなる糸及び「他の熱可塑性繊維」からなる糸は、原着されていてもよいし、チーズ染め、かせ染め、スペースダイ、ウインス染色等の染色加工を行ってもよい。例えば、ポリ乳酸繊維からなる糸及び「他の熱可塑性繊維」からなる糸はチーズキャリヤを設置したパッケージ染色機を用い、それぞれ適切な条件に合わせ、別々にチーズ染色を行う事が、他の染料による汚染がなく、さらには糸強度も保たれるため好ましい。染色加工後、合撚前のポリ乳酸繊維からなる糸は、引張強度が1.00cN/dtex以上、引張伸度が40%以上であることが好ましく、より好ましくは引張強度が1.20cN/dtex以上、引張伸度が45%以上である。そうすることで、カーペット加工でのタフト時の糸切れ等を防ぐことができる。
合撚には、リング撚糸機、カバーリング撚糸機、ダブルツイスター撚糸機、ケーブルツイスター撚糸機、アップツイスター撚糸機等の撚糸機を用いることができる。
合撚した糸は、スチームセッターで処理し、撚り固定を行うことが好ましい。そうすることで、カーペットに用いた場合、本発明の合撚糸特有のポイント感が得ることができる。スチームセッターとしては例えばスペルバ社製のスペルバセット機を用い、飽和または加熱スチームにて熱処理する。スチームセット温度としては、90〜120℃が好ましく、より好ましくは95〜115℃である。そうすることで、カーペット加工後、ポイント感に優れた風合いを得ることができる。90℃未満ではセットが弱くポイント感が得られず、120℃以上ではポリ乳酸繊維の分子量が低下し耐久性が失われるおそれがある。また、スチームセット時間としては、30秒〜3分間が好ましく、より好ましくは50秒〜2分間である。そうすることで、カーペット加工後、ポイント感に優れた風合いを得ることができる。
[測定方法]
(1)繊度
JIS L 1013:1999 8.3.1 A法に基づき、112.5m分の小かせをサンプル数5採取し、その質量を測定し、その値(g)に10000/112.5をかけ、見掛け繊度(dtex)を求めた。見かけ繊度から、次の式によって正量繊度を求め、平均値を算出した。
正量繊度(dtex)=D'×(100+Rc)/(100+Re)
ここに、D':見かけ繊度(dtex)
Rc:公定水分率(%)
Re:平衡水分率(%)。
(2)異形度
糸の断面を切り出し、単繊維横断面の外接円の直径Dと、単糸横断面の内接円の直径dとから次の式によって求めた。
異形度=D/d 。
(3)ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)
ポリ乳酸をクロロホルムに溶解させて測定溶液とし、これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を求めた。
(4)熱収縮応力
カネボウエンジニアリング社製熱収縮応力試験機KE‐2LS型を用い、周長100mmの試料を初期荷重0.10cN/dtex、昇温速度37.5℃/minにて測定し、熱応力曲線の与える応力を熱収縮応力(cN/dtex)とし、極値をピークとした。試験回数は10回とし、その平均値を算出した。
(5)収縮率
JIS L 1013:1999「乾熱収縮率−フィラメント収縮率(B法)」に基づき測定を行った。試料は両端を500mmになるように結び、2mg/dtex(0.0196mN/dtex)の荷重をかけて10秒経過後に、定規により結び目の間を測定し、乾熱処理前の試料長(mm)とした。乾燥機を用い、温度120℃、湿度20%RH以下の雰囲気下で、試料を張力がかからない程度に設置し、15分間処理した。乾燥機から取り出し、前記方法により乾熱処理後の試料長を測定し、下記式にて収縮率を求めた。試験回数は5回とし、その平均値を算出した。
収縮率(%)=(乾熱処理後の試料長−乾熱処理前の試料長)/乾熱処理前の試料長。
(6)融点及び結晶化度
島津製作所社製島津示差走査熱量計DSC−60型を用い、試料1.5mgを昇温速度20℃/minにて測定し、得た融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)とし、極値を有するピークの熱量より次の式によって結晶化度(%)を求めた。試験回数は10回とし、その平均値を算出した。
ポリ乳酸の結晶化度(%)=100×(ΔHm+ΔHc)/93
ここに、ΔHm:融解エンタルピー
ΔHc:結晶化エンタルピー。
(7)引張強度及び引張伸度(標準時試験)
JIS L 1013:1999 8.5.1に拠って測定した。
試料を緩く張った状態で、引張試験機(株式会社オリエンテック製テンシロン(登録商標)UCT−100)のつかみにつかみ間隔200mmで取り付け、引張速度200mm/minの定速伸長にて試験を行った。初荷重をかけたときの伸びを緩み(mm)として読み、更に試料を引張り、試料が切断したときの荷重及び伸び(mm)を測定し、次の式によって引張強度(cN/dtex)及び引張伸度(%)を算出した。試験回数は10回とし、その平均値を算出した。
=SD/F
ここに、T:引張強度
SD:切断時の強さ
:試料の正量繊度
伸度(%)=[(E−E)/(L+E)]×100
ここに、E:緩み(mm)
:切断時の伸び(mm)
L:つかみ間隔(mm)。
(8)毛羽発生の有無
合撚糸の長さ1m中に毛羽の有無を数え、次のように評価した。試験回数は10回とし、その平均値を算出した。
○:合撚糸の毛羽がない。
△:合撚糸の毛羽が10個未満である。
×:合撚糸の毛羽が10個以上である。
(9)クラック発生の有無
サンプルを長さ10mmに切り取り、日立E−1010蒸着装置により試料のコーティングを行い、日立3500N走査電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率500倍によりクラック(ひび割れ)の有無を次のように評価した。
○:繊維にひび割れがない。
×:繊維にひび割れがある。
(10)パイル糸の目付
タフト後のカーペットを50cm角に切り取り、当該試料におけるパイル糸の総質量を測定し、単位面積(1m)あたりに換算したものをパイル糸の目付とした。
(11)カーペットの加工性
カーペット加工時の工程通過性を次のように評価した。
○:タフト時に糸切れが発生しない。
△:タフト時に糸切れが少々発生する。
×:タフト時に糸切れが多発する。
(12)カーペットのポイント感
カーペットを手で触り、風合いの一つであるポイント感を次のように評価した。
○:ポイント感に優れている。
△:ポイント感があまりない。
×:ポイント感が全く無い。
(13)カーペットのボリューム感
カーペットを手で触り、風合いの一つであるボリューム感を次のように評価した。
○:ボリューム感に優れている。
△:ボリューム感があまりない。
×:ボリューム感がない。
(14)カーペットの柔軟性
カーペトを手で触り、風合いの一つである柔軟性を次のように評価した。
○:柔軟性に優れている。
△:柔軟性があまりない。
×:柔軟性がなく、硬い風合いである。
(15)カーペットの摩耗減量率
JIS L 1096:1999 8.17.3 テーバ形法に準じて、H−18摩耗輪を使用し、左右一対のそれぞれの摩耗輪に1kgf(9.8N)の荷重をかけて所定回転数回転してカーペットを摩耗させた後、その未摩耗部分と摩耗部分(JIS L 1096:1999 図20参照。)との目付から摩耗減量率(%)を下記式にて算出した。
摩耗減量率(%)=[(未摩耗部分のパイル目付−摩耗部分のパイル目付)/摩耗部分のパイル目付]×100
回転数は、5500回とした。試験回数は3回とし、その平均値を算出した。
(16)摩耗試験後の風合い
摩耗試験後のカーペットの外観を目視により次のように評価した。
○:カーペットの外観が摩耗前と比べほぼ変化が無い。
×:カーペットの外観が摩耗前と比べ著しく変化が有る。
[実施例1]
(ポリ乳酸繊維糸)
ポリ乳酸チップ(L体95質量%、D体5質量%)を溶融紡糸し、加熱流体捲縮装置により捲縮を付与し、単繊維の断面形状が異形度1.6のY断面、総繊度2000dtex、フィラメント数96の捲縮糸を得た。
この段階のポリ乳酸繊維からなる糸は、引張強度が1.46cN/dtex、引張伸度が58.3%、熱収縮応力のピーク値が0.064cN/dtex、結晶化度が46.2%、重量平均分子量が18.0×10であった。
次いで、分散染料にて110℃で30分間、染色処理を施した。
この段階のポリ乳酸繊維糸は、引張強度が1.21cN/dtex、引張伸度が48.9%、重量平均分子量が11.4×10であった。
(ナイロン6繊維糸)
ナイロン6チップを溶融紡糸し、加熱流体捲縮装置により捲縮を付与し、単繊維の断面形状が異形度3.0のY断面、総繊度1170dtex、フィラメント数54の捲縮糸を得た。
次いで、含金染料にて100℃で20分間、染色処理を施した。
(合撚)
上記ポリ乳酸繊維糸と上記ナイロン6繊維糸とをそれぞれZ方向に180T/mの下撚りをかけ、合糸し、当該合糸にS方向に180T/mの上撚りをかけた。
この段階の合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が11.4×10、引張強度が0.87cN/dtex(合撚加工前に比べ引張強度保持率が71.9%)、引張伸度が34.2%、120℃乾熱処理による収縮率が2.1%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
また、合撚糸に毛羽は全くなかった。
(熱セット)
上記合撚糸を、熱セット温度105℃で1分間処理し、熱セットを施した。
熱セットした合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が9.1×10、結晶化度が47.2%、引張強度が0.91cN/dtex(合撚加工・熱セット前に比べ引張強度保持率が75.2%)、引張伸度が36.1%、熱収縮応力のピーク値が0.018cN/dtex、120℃乾熱処理による収縮率が1.4%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
熱セットした合撚糸におけるナイロン繊維糸は、120℃乾熱処理による収縮率が1.8%であった。
また、熱セットした合撚糸に毛羽は全くなかった。
(基布)
ポリエチレンテレフタレートからなる目付120g/mのスパンボンド不織布を、カーペットの基布とした。
(タフティング)
上記熱セットした合撚糸を上記基布に、1/8ゲージ、ステッチ7.5でタフトし、パイルの先端をカットして、パイル長10mm、パイル目付1100g/mの自動車オプションマット用のカーペットとした。
カーペット加工時の糸切れはなかった。
また、得られたカーペットは、ポイント感、柔軟性に優れる風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は27.9%で、良好な耐摩耗性を示し、摩耗試験後のカーペットの風合いも良好であった。
[実施例2]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚)
上記ポリ乳酸繊維糸と上記ナイロン6繊維糸とを合糸し、Z撚りを50T/mかけた。
得られた合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が11.4×10、引張強度が0.95cN/dtex(合撚加工前に比べ引張強度保持率が78.5%)、引張伸度が34.6%、120℃乾熱処理による収縮率が2.3%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
また、合撚糸に毛羽は全くなかった。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペットを得た。
カーペット加工時の糸切はなかった。
また、得られたカーペットは、ボリューム感、柔軟性に優れる風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は26.2%で、良好な耐摩耗性を示し、摩耗試験後のカーペットの風合いも良好であった。
[実施例3]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚)
上記ポリ乳酸染色糸と上記ナイロン6染色糸とを合糸し、Z撚りを30T/mかけた。
得られた合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が11.4×10、引張強度が0.99cN/dtex(合撚加工前に比べ引張強度保持率が81.8%)、引張伸度が35.1%、120℃乾熱処理による収縮率が2.9%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
また、合撚糸に毛羽は全くなかった。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペットを得た。
カーペット加工時の糸切はなかった。
また、得られたカーペットは、ボリューム感、柔軟性に優れる風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は27.7%で、良好な耐摩耗性を示し、摩耗試験後のカーペットの風合いも良好であった。
[実施例4]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚)
上記ポリ乳酸繊維糸と上記ナイロン6繊維糸とをそれぞれZ方向に200T/mの下撚りをかけ、合糸し、当該合糸にS方向に200T/mの上撚りをかけた。
この段階の合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が11.4×10、引張強度が0.83cN/dtex(合撚加工前に比べ引張強度保持率が68.6%)、引張伸度が29.8%、120℃乾熱処理による収縮率が2.3%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
また、合撚糸に毛羽は全くなかった。
(熱セット)
上記合撚糸を熱セット温度105℃で1分間処理し、熱セットを施した。
熱セットした合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が9.1×10、引張強度が0.85cN/dtex(合撚加工・熱セット前に比べ引張強度保持率が70.2%)、引張伸度が32.2%、120℃乾熱処理による収縮率が1.4%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
また、熱セットした合撚糸に毛羽は全くなかった。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペットを得た。
カーペット加工時の糸切はなかった。
また、得られたカーペットは、ポイント感、柔軟性に優れる風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は26.0%で、良好な耐摩耗性を示し、摩耗試験後のカーペットの風合いも良好であった。
[実施例5]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚)
上記ポリ乳酸繊維糸と上記ナイロン6繊維糸とを用い、実施例1と同様にして合撚糸を得た。
(熱セット)
上記合撚糸を、熱セット温度90℃で1分間処理し、熱セットを施した。
熱セットした合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が10.8×10、引張強度が0.89cN/dtex(合撚加工・熱セット前に比べ引張強度保持率が73.6%)、引張伸度が36.4%、120℃乾熱処理による収縮率が1.4%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
また、熱セットした合撚糸に毛羽は全くなかった。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペットを得た。
カーペット加工時の糸切はなかった。
また、得られたカーペットは、ポイント感、柔軟性に優れる風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は27.1%で、良好な耐摩耗性を示し、摩耗試験後のカーペットの風合いも良好であった。
[実施例6]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(熱セット)
上記合撚糸を熱セット温度120℃で1分間処理し、熱セットを施した。
熱セットした合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が8.5×10、引張強度が0.90cN/dtex(合撚加工・熱セット前に比べ引張強度保持率が74.4%)、引張伸度が37.0%、120℃乾熱処理による収縮率が1.4%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックはなかった。
また、熱セットした合撚糸に毛羽は全くなかった。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペットを得た。
カーペット加工時の糸切はなかった。
また、得られたカーペットは、ポイント感、柔軟性に優れる風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は27.9%で、良好な耐摩耗性を示し、摩耗試験後のカーペットの風合いも良好であった。
[比較例1]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚)
上記ポリ乳酸繊維糸と上記ナイロン6繊維糸とを合糸し、Z撚りを10T/mかけた。
得られた合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が11.4×10、引張強度が0.60cN/dtex(合撚加工前に比べ引張強度保持率が49.6%)、引張伸度が29.3%、120℃乾熱処理による収縮率が2.5%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックが少々発生した。また、合撚糸に毛羽が少々発生した(図1参照。)。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペットを得た。
カーペット加工時に、糸切が少々発生した。
また、得られたカーペットは、ボリューム感、柔軟性に劣る風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は51.3%で、耐摩耗性に劣り、摩耗試験後のカーペットの風合いも、撚りが弱いため、ポリ乳酸繊維とナイロン6繊維が均一に混ざることができず、ポリ乳酸繊維の摩耗が激しく、カーペットにスジが発生し、風合いが低下した。
[比較例2]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚)
上記ポリ乳酸繊維糸と上記ナイロン6繊維糸とをそれぞれZ方向に230T/mの下撚りをかけ、合糸し、当該合糸にS方向に230T/mの上撚りをかけた。
この段階の合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が11.4×10、引張強度が0.42cN/dtex(合撚加工前に比べ引張強度保持率が34.7%)、引張伸度が6.8%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックが多数発生した。
また、合撚糸に毛羽が多数発生した。
(熱セット)
上記合撚糸を熱セット温度105℃で1分間処理し、熱セットを施した。
熱セットした合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が9.1×10、引張強度が0.38cN/dtex(合撚加工・熱セット前に比べ引張強度保持率が31.4%)、引張伸度が4.9%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックが多数発生した。
また、熱セットした合撚糸に毛羽が多数発生した。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペット加工を試みたが、カーペット加工時に糸切れが多数発生し、タフトすることができなかった。
[比較例3]
(ポリ乳酸繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(ナイロン6繊維糸)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(合撚)
上記ポリ乳酸繊維糸と上記ナイロン6繊維糸とを用い、実施例1と同様にして合撚糸を得た。
(熱セット)
上記合撚糸を、熱セット温度150℃で1分間処理し、熱セットを施した。
熱セットした合撚糸におけるポリ乳酸繊維糸は、重量平均分子量が5.5×10、引張強度が0.61cN/dtex(合撚加工・熱セット前に比べ引張強度保持率が50.4%)、引張伸度が18.2%、120℃乾熱処理による収縮率が1.4%であった。また、ポリ乳酸繊維糸においてクラックが少々発生した。
また、熱セットした合撚糸に毛羽が少々発生した。
(基布)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(タフティング)
上記合撚糸を上記基布に、実施例1と同様にタフトして、カーペットを得た。
カーペット加工時に、糸切が少々発生した。
また、得られたカーペットは、ポイント感に優れるものの、極めて硬い風合いであった。また、得られたカーペットの磨耗減量率は53.5%で、耐摩耗性に劣り、摩耗試験後のカーペットも硬い風合いであった。
本発明により、繊維物性に優れる、工場生産の実用上問題のないポリ乳酸からなる合撚糸を得ることができる。前記合撚糸を用いた繊維製品、例えば、カーペット用途に関しては、柔らかな風合い、ボリューム感、又はポイント感等を活かした自動車用オプションマット、応接室用カーペット、客室用カーペット、家庭用ラグ等としてもとても有用である。
比較例1のポリ乳酸繊維におけるクラック発生の有無を観察するためのSEM写真である。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸繊維からなる糸と他の熱可塑性繊維からなる糸とが撚り合わされてなり、前記ポリ乳酸繊維からなる糸の引張強度が0.80cN/dtex以上、引張伸度が20%以上であり、かつ、撚数が30〜200T/mであることを特徴とする合撚糸。
  2. 前記ポリ乳酸繊維からなる糸分の合撚加工前に対する引張強度保持率が60%以上である、請求項1記載の合撚糸。
  3. 前記他の熱可塑性繊維が熱可塑性ポリアミドからなる、請求項1または2記載の合撚糸。
  4. 前記ポリ乳酸繊維からなる糸の合撚糸に対する含有量が30〜75質量%である、請求項1〜3のいずれか記載の合撚糸。
  5. 前記合撚糸が熱セットされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の合撚糸。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の合撚糸を用いたことを特徴とするカーペット。
  7. ポリ乳酸繊維からなる糸と他の熱可塑性繊維からなる糸とを撚り合わせ、90〜120℃で熱セットを施して請求項1〜6のいずれか記載の合撚糸とする工程を含むことを特徴とする合撚糸の製造方法。
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