JP2008231294A - 二段ガス化炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒状の炉本体2と、この炉本体の上部に配される上部バーナー群3と、炉本体の下部に配される下部バーナー群4を備え、炉本体2の上端部に、製品ガスが排出されるガス出口5が、炉本体2の下端部には溶融スラグが排出される溶融スラグ出口7が形成され、上部バーナ群3と下部バーナ群4との間隔Lbと、ガス出口5と上部バーナ群3との間隔Luとの比率がLb/Lu=2〜12とされているガス化炉である。
【選択図】図1
Description
炉本体2は、ほぼ一定の断面積を有する円筒状となっており、その頂部には炉本体2内で生成した一酸化炭素、水素、メタンなどの製品ガスを導出するガス出口5が開口している。このガス出口5の直径(Dout)は、炉本体2の直径(D)よりも小さくされ、後段の機器に接続されるようになっている。
なお、本発明での「仮想旋回流円径」とは、現実のガスの流れによる旋回流についてのものではなく、各バーナ31、32・・のノズルの噴射方向軸を仮想的に延長した4本の直線に内接する円の直径を言うものと定義する。これにより、「仮想旋回流円径」を定めることにより、各バーナ31、32・・の配置が定まることになる。
上部バーナ群3を構成する個々のバーナには、石炭などの固形炭化水素燃料の微粉末と空気、酸素ガスなどの酸素含有気体からなる酸化剤が供給され、これがそれぞれの噴射口から噴射されるようになっている。以下、酸化剤と固形炭化水素燃料との混合比(酸化剤供給量/固形炭化水素燃料供給量:重量比)を酸化剤量比とする。
そして、上部バーナ群3による仮想旋回流円径Duが下部バーナ群4による仮想旋回流円径Dlよりも大きくなるように、かつ下部バーナ群4による仮想旋回流円径Dlがガス出口5の直径Doutよりも大きくなるように構成されている(Du>Dl>Dout)。
一方、下部バーナ群4付近の領域では二酸化炭素、水分などのガスが生成し、このガスは上部バーナ群3の領域に上昇し、ここでの反応に供される。また、固形炭化水素燃料中の灰分は、上部バーナ群3で生成して降下する灰分ととも溶融し、この溶融した灰分は溶融スラグとして、旋回流に乗って炉本体2の壁面に付着し、ここを伝わって下部の溶融スラグ出口7から流下、排出される。
ここで、下部バーナ群4と溶融スラグ出口7との間隔をLlとし、両バーナ群間の間隔をLbとし、上部バーナ群3とガス出口5の間隔をLuとし、炉本体2の高さをLとしたとき、L=Ll+Lb+Luとなっている。
すなわち、二段ガス化炉1をスケールアップするための手段の1つとして、炉本体2の直径(D)を大きくする場合には、炉本体2の高さ(L)と炉本体2の直径(D)との比率(L/D)が小さくなり、同時に上部バーナ群3と下部バーナ群4との間隔(Lb)と炉本体2の直径(D)との比率(Lb/D)も小さくなる。
このため、上部バーナ群3および下部バーナ群4での酸化剤量比を適切に設定したとしても、炉本体2内での温度分布に、図2に示すような低温領域と高温領域の明確な形成が困難となる。
しかし、このようにして炉本体2の高さ(L)を高くすると、炉本体2の炉壁面積が過大となり、その結果として、炉壁からの伝熱損失が増え、温度維持のための酸素量が増え、製品ガスの回収量が少なくなる(ガス化効率が低下)。また、炉負荷が小さいときには石炭入熱が少ないため、この現象は一層顕著となる。
また、炉本体2の高さだけでなく、上部バーナ群3と下部バーナ群4との間隔もできるだけ長くするために、上部バーナ群3をできるだけガス出口5に近づけると、上部バーナ群3の火炎が炉本体2の天井壁に直接接触し、壁に損傷を及ぼすことになる。
請求項1にかかる発明は、円筒状の炉本体と、この炉本体の上部に配され、固形炭化水素燃料粉末と酸化剤との混合流体を噴射する上部バーナー群と、炉本体の下部に配され、固形炭化水素燃料粉末と酸化剤との混合流体を噴射する下部バーナー群を備え、
炉本体の上端部には、製品ガスが排出されるガス出口が形成され、
上部バーナ群と下部バーナ群との間隔Lbと、ガス出口と上部バーナ群との間隔Luとの比率がLb/Lu=2〜12とされていることを特徴とするガス化炉である。
このため、炉本体の高さを高くすることによる製品ガスの回収量の低下、炉本体の炉壁の損傷などの弊害が生じることがなくなる。
この例のガス化炉1では、上部バーナ群3と下部バーナ群4との間隔Lbと、ガス出口5と上部バーナ群3との間隔Luとの比率(Lb/Lu)が2〜12とされている以外は、図1に示した従来のものと同様の構造となっている。
図3に、小規模な2段ガス化炉の炉内温度分布(ガス化炉半径方向の平均温度)を示す。縦軸は相対炉高さL*で、L*=1は生成ガス出口5を、L*=0は溶融スラグ出口7を表す。
試験条件は、上部バーナ群3の酸化剤量比=0.54(トン/トン)、下部バーナ群4の酸化剤量比=1.11(トン/トン)、ガス化圧力2.5MPaである。
使用した石炭の灰の溶融温度(JIS法、酸化雰囲気の流動点)は、1430℃である。グラフ中の黒点は実測値を示し、実線は3次元熱流動解析の結果を示す。
図3に示した温度分布が、本発明で対象とする2段ガス化炉の理想とする温度分布の一例である。
そこで、L/DおよびLbを任意に変え、3次元熱流動解析で炉内での温度分布を調べた結果、2段ガス化炉内の温度分布形成は、上部バーナ群3と下部バーナ群4との間隔Lbと上部バーナ群3とガス出口2の間隔Luの比に支配されることを見出した。
検討の対象としたガス化炉の処理量は小規模ガス化炉の20倍とし、ガス化条件は、上部バーナ群3の酸化剤量比=0.54(トン/トン)、下部バーナ群4の酸化剤量比=1.05(トン/トン)、ガス化圧力3.0MPaである。石炭灰の溶融温度は1430℃である。
図4のグラフでの横軸はLb/Luで、縦軸は上部バーナ群3と下部バーナ群4との間の領域での最も低い温度で、この温度により灰の溶融・非溶融形成がバーナ間で形成されるかどうかの判定ができる。
また、温度は、ガス化炉半径方向の平均温度と壁近傍の温度を示した。壁近傍の温度は、ガス化炉壁に溶融スラグ層が形成されるかどうか否か(灰の非溶融壁状態、又は溶融壁状態)の直接的な判断要素となる。
Lb/Luが小さいということは上部バーナ群3がガス化炉天井壁から離れている(Luが大きい)か、Lbが小さい(上部バーナ群3と下部バーナ群4が接近している)かであり、いずれでも両バーナ群間には灰の非溶融領域は形成されない。
Lb/Luが大きくなる、すなわち両バーナ群間を離すと(Lbが大きい)、両バーナ群間に低温領域がうまく形成されるようになる。しかし、さらに大きくすると、すなわち(a)バーナ群間を離し過ぎる(Lbが大き過ぎる)と、上部バーナ群3で生成した低温ガスの高温側への流れが弱まり、両バーナ群間の温度は全体的に高温側温度の影響に支配されるため、または(b)上部バーナ群3がガス化炉天井壁6に近すぎる(Luが小さ過ぎる)と上部バーナ群3の各バーナ31・・・の噴出孔近傍の局所的高温火炎の影響が強くなり、いずれも両バーナ群間の最低温度は高くなる。
したがって、図4の結果から、好適な炉内温度分を形成するための望ましい範囲としては2≦Lb/Lu≦12となる。
なお、下部バーナ群4と溶融スラグ出口7の間隔Llは、溶融スラグの安定排出やガス化炉壁や炉床に損傷を与えない条件で溶融スラグ出口7に近い位置で決められるもので、この種のガス化炉で定められている範囲とすればよい。
図5の(a)で示したガス化炉1は、従来の手法、すなわち小規模ガス化炉におけるL/Dと等しいL/Dを保って処理能力を20倍とした大型炉を示す。また、(b)で示したガス化炉1は、本発明の手法を用い、Lb/Lu=4.8とし、炉の高さ(L)を(a)のガス化炉の0.38倍とし、処理能力を20倍とした大型炉を示す。
以上のように、両バーナ群の配置位置を適正化することにより、炉の寸法を大型化しても適切な温度分布形成を可能とするものである。
仮に大型炉の炉高Lを従来の設計法により求めると、本発明による炉高より1/0.38≒2.6倍高くする必要があるが、これにより炉壁の伝熱損失は約2.1倍になる。これによるガス化温度の低下を防ぐため、酸素使用量は3.7%増加し、これによりCOとH2の生成量は2.0%低下することになる。
また、固形炭化水素燃料には石炭以外の固形炭化水素燃料、例えば、石油残渣油、固形バイオマス、プラスチック等の固形廃棄物等が用いられる。なお、固形炭化水素燃料に灰分が一定以上含まれないものには、ガス化炉壁保護の観点で、原料に灰分相当の組成の無機物を添加することもできる。
Claims (1)
- 固形炭化水素燃料粉末と酸化剤との反応によりガスを生成する円筒状の炉本体と、この炉本体の上部に配され、固形炭化水素燃料粉末と酸化剤との混合流体を炉本体内に噴射する上部バーナー群と、炉本体の下部に配され、固形炭化水素燃料粉末と酸化剤との混合流体を炉本体内に噴射する下部バーナー群を備え、
炉本体の上端部には、製品ガスが排出されるガス出口が形成され、
上部バーナ群と下部バーナ群との間隔Lbと、ガス出口と上部バーナ群との間隔Luとの比率がLb/Lu=2〜12とされていることを特徴とする二段ガス化炉。
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