JP2008231285A - 発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】
結晶性ポリ乳酸系重合体を主成分とする樹脂組成物による高発泡倍率の発泡体を提供する。
【解決手段】
重量平均分子量が10〜30万、酸価が10〜20(当量/重量トン)の結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と、分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)からなる樹脂組成物(C)において、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸価総量(X:当量/重量トン)と化合物(B)のエポキシ官能基総量(Y:当量/重量トン)の比(X/Y)が0.3〜1.3である樹脂組成物(C)からなることを特徴とする発泡体。
【選択図】なし
結晶性ポリ乳酸系重合体を主成分とする樹脂組成物による高発泡倍率の発泡体を提供する。
【解決手段】
重量平均分子量が10〜30万、酸価が10〜20(当量/重量トン)の結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と、分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)からなる樹脂組成物(C)において、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸価総量(X:当量/重量トン)と化合物(B)のエポキシ官能基総量(Y:当量/重量トン)の比(X/Y)が0.3〜1.3である樹脂組成物(C)からなることを特徴とする発泡体。
【選択図】なし
Description
本発明は、結晶性ポリ乳酸系重合体からなる樹脂組成物による高発泡倍率の発泡体に関する。
原油を初めとする石化燃料使用による大気中への炭酸ガス放出、それに伴う地球温暖化が近年一層深刻さを増しつつあり、二酸化炭素排出量削減への社会の要請は年々強調されてきている。この状況下、カーボンフリーを促進するための非石化原料の検討が加速され、特に、ポリ乳酸樹脂は主原料となる乳酸がコーンスターチやコーンシロップなどを発酵させることで製造できるため、植物由来の樹脂として注目を浴びてきた。さらに、ポリ乳酸樹脂は、土壌またはコンポスト中で微生物に分解される生分解性を有することから、現行石油由来樹脂を置き換えるものとして大きな期待が寄せられている。ポリ乳酸による成型容器や緩衝材は、使用後に自然環境下で分解し、例えば食品トレーとして使用した際、期限切れ容器を容器ごと廃棄してコンポスト化することができる等、これまでの分別回収に比べ、手間やコストの削減が可能となり、産廃削減にも大きく貢献が期待できる。既にフィルムや繊維ではポリ乳酸樹脂を用いた製品が商品化されており、また、発泡シートにおいてもその実用化の研究・開発が盛んに行われている。
ポリ乳酸樹脂は、溶融時の張力が低く、歪み硬化性も乏しいために発泡成型において、気泡構造が安定せず、また気泡の成長とともに気泡破れが発生し、均一な発泡体を得ることが困難である。このポリ乳酸の発泡を安定して行うために、これまで数々の方法が提案されてきた。
例えば、ポリ乳酸に発泡剤としてジメチルエーテル等を添加し特定の温度領域で押出発泡させる技術(特許文献1)、ポリ乳酸を重合段階にて特定の粘度に調整し、高級脂肪酸等の発泡安定剤を加え、物理発泡剤により押出発泡させる技術(特許文献2)、ポリ乳酸に層状ケイ酸塩等を添加し、発泡する技術(特許文献3)が挙げられる。しかしながら、これら技術では発泡体は得られるものの、ポリ乳酸自身の発泡時の粘度は不十分であり、得られる発泡体は低発泡倍率となる。高発泡倍率においては気泡が連続化し、不均一な発泡体しか得られない。
このため、ポリ乳酸自身の改質を目的として幾つかの試みも提案されている。例えば、ポリ乳酸へ(メタ)アクリル酸エステル、過酸化物を添加し、溶融混練により架橋を生じさせる方法(特許文献4,5)、多価イソシアネート化合物を添加し、溶融混練により架橋させる方法(特許文献6、7)等である。しかしながら、これら方法では押出機内での滞留部分にて架橋反応が進行しすぎるため、ゲル化物等が発生し、安定して発泡させることが出来ない。
さらには、ポリ乳酸の酸末端との反応性を持つ官能基を有する単量体を添加し、粘度、歪み硬化度をコンロールする方法も提案されているが(特許文献8)、この方法においてもゲル化物の発生が少なく、かつ均一な高発泡倍率の発泡体を安定的に得ることは出来ていない。
例えば、ポリ乳酸に発泡剤としてジメチルエーテル等を添加し特定の温度領域で押出発泡させる技術(特許文献1)、ポリ乳酸を重合段階にて特定の粘度に調整し、高級脂肪酸等の発泡安定剤を加え、物理発泡剤により押出発泡させる技術(特許文献2)、ポリ乳酸に層状ケイ酸塩等を添加し、発泡する技術(特許文献3)が挙げられる。しかしながら、これら技術では発泡体は得られるものの、ポリ乳酸自身の発泡時の粘度は不十分であり、得られる発泡体は低発泡倍率となる。高発泡倍率においては気泡が連続化し、不均一な発泡体しか得られない。
このため、ポリ乳酸自身の改質を目的として幾つかの試みも提案されている。例えば、ポリ乳酸へ(メタ)アクリル酸エステル、過酸化物を添加し、溶融混練により架橋を生じさせる方法(特許文献4,5)、多価イソシアネート化合物を添加し、溶融混練により架橋させる方法(特許文献6、7)等である。しかしながら、これら方法では押出機内での滞留部分にて架橋反応が進行しすぎるため、ゲル化物等が発生し、安定して発泡させることが出来ない。
さらには、ポリ乳酸の酸末端との反応性を持つ官能基を有する単量体を添加し、粘度、歪み硬化度をコンロールする方法も提案されているが(特許文献8)、この方法においてもゲル化物の発生が少なく、かつ均一な高発泡倍率の発泡体を安定的に得ることは出来ていない。
このように、ポリ乳酸樹脂を発泡させる技術については、多く研究、提案が為されているが、未だに安定、かつ均一な高発泡倍率の発泡体を得る技術は、見出されていない。
特開2003−261704号公報
特開2005−254752号公報
特開2002−363393号公報
特開2003−286360号公報
特開2004−051803号公報
特開2002−155197号公報
特開2003−238789号公報
特開2005−239932号公報
本発明の目的は、結晶性ポリ乳酸系重合体からなる樹脂組成物による高発泡倍率の発泡体を安定的に提供することにある。
本発明は、特定の結晶性ポリ乳酸系重合体へ、特定種の化合物を特定量配合するという以下の手段を採用することで、前記課題を解決できることを見出したものである。すなわち、
(1)重量平均分子量が10〜30万、酸価が10〜20(当量/重量トン)の結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と、分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)からなる樹脂組成物(C)において、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸価総量(X:当量/重量トン)と化合物(B)のエポキシ官能基総量(Y:当量/重量トン)の比(X/Y)が0.3〜1.3である樹脂組成物(C)からなることを特徴とする発泡体。
(2)化合物(B)が、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー並びに、
非官能性のスチレンモノマーおよび/または非官能性の(メタ)アクリルモノマーの
重合生成物からなることを特徴とする、(1)に記載の発泡体。
(1)重量平均分子量が10〜30万、酸価が10〜20(当量/重量トン)の結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と、分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)からなる樹脂組成物(C)において、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸価総量(X:当量/重量トン)と化合物(B)のエポキシ官能基総量(Y:当量/重量トン)の比(X/Y)が0.3〜1.3である樹脂組成物(C)からなることを特徴とする発泡体。
(2)化合物(B)が、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー並びに、
非官能性のスチレンモノマーおよび/または非官能性の(メタ)アクリルモノマーの
重合生成物からなることを特徴とする、(1)に記載の発泡体。
本発明によれば、結晶性ポリ乳酸系重合体からなる樹脂組成物による、高倍率発泡体を安定に、かつ均一に作成、提供することが出来る。
以下、本発明の発泡体について、実施の形態を説明する。
本発明の発泡体は、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)からなる樹脂組成物(C)を用いた発泡体である。
本発明における結晶性ポリ乳酸系重合体(A)とは、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)中の乳酸由来の成分が90重量%以上であるものを指す。乳酸由来の成分としては、実質的にL−乳酸および/またはD―乳酸からなるホモポリ乳酸が好ましく用いられる。組成物中の乳酸由来の成分が90重量%未満の場合、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の結晶性が低下したり、ガラス転移温度が低下するなどするために、発泡体としての耐熱性が不足したり、また、生分解性が不十分となる場合がある。
なお、本発明でいう結晶性ポリ乳酸系重合体(A)とは、加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量分析(DSC)測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する結晶融解熱が観測されるものを言う。
結晶性ポリ乳酸系重合体(A)としては、例えば均一なホモポリ乳酸を用いる場合にはその光学純度が80%以上のホモポリ乳酸を使用すればよい。あるいは、光学純度の異なる2種以上のホモポリ乳酸を併用することも可能である。なお、通常、ホモポリ乳酸は光学純度が高いほど結晶性や融点が高く、例えば光学純度が98%以上のポリL−乳酸では融点は約170℃程度である。光学純度が低いと、耐熱性が低下する傾向にあり好ましくない。発泡体に高い耐熱性を付与したい際には、使用するポリ乳酸のうち少なくとも1種に光学純度が96%以上のホモポリ乳酸を含むことが好ましい。
ポリ乳酸の製造は、公知の方法を用いることが出来る。例えば、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸(ラセミ体)を原料として一旦環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う2段階のラクチド法、または当該原料を溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が挙げられる。本発明においてホモポリ乳酸を用いる場合はいずれの製法によって得られたものであってもよい。
本発明における結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の重量平均分子量は、10〜30万、好ましくは15万〜25万、さらに好ましくは20万〜25万である。重量平均分子量が10万未満では、発泡に必要な粘度を得ることが出来ず、30万を超える場合は、押出成型において生産性が著しく低下するためである。重量平均分子量をかかる範囲とすることで、高発泡倍率の発泡体作成に十分な粘度を付与することができる。
さらに、本発明における結晶性ポリ乳酸系重合体(A)は、酸価が10〜20(当量/重量トン)である。酸価が20当量/重量トンを超える場合、化合物(B)との架橋反応が進行しすぎるため、押出機内でのゲル化が促進される。また、樹脂が着色しやすい傾向となり、発泡体の外観を損なうことが懸念される。また、酸価が10当量/重量トン未満では、化合物(B)との架橋反応が十分に進まず、増粘が不十分となり、安定的に発泡体を作成することが出来ない。なお、本発明における酸価は、好ましくは12〜18(当量/重量トン)、さらに好ましくは13〜17(当量/重量トン)である。
結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸価を上記10〜20(当量/重量トン)の範囲とするには、例えば、使用するポリ乳酸系樹脂組成物に含まれるラクチドや乳酸を、予め加熱減圧処理やアセトンなどの溶剤抽出処理によりコントロールする方法、使用するポリ乳酸形樹脂組成物を溶融成形前に予め乾燥するなどによって水分率を調整する方法、溶融成形時の温度や溶融保持時間の調整により熱分解によるラクチドや乳酸等の生成を制御する方法、ベント付き2軸押出機を用いて溶融時のラクチドを除去する方法、酸化防止剤を添加する方法、酸価の異なる樹脂の混合などの方法が挙げられるが、必要に応じてこれらの方法を選択すればよく、上記のうち複数の方法を組み合わせても良い。なお、本発明における酸価とは実施例に記載する方法で測定された値をいう。
本発明の発泡体では、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)に、分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)を添加し、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)からなる樹脂組成物(C)の溶融粘度を調整して発泡体とする。本発明の分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)は、エピクロロヒドリンを、2つ以上の末端の活性な水素基を有する分子と反応させることにより、従来の方法を使用して一般に製造される。
例えば、ビスフェノールAのエピクロロヒドリンとの反応により調製したビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック樹脂をエピクロロヒドリンと反応させることにより調製したノボラック型エポキシ化合物、カルボン酸をエピクロロヒドリンと反応させることにより調製したポリグリシジルエステル、ならびに脂肪族アルコールおよびエピクロロヒドリンから調製したグリシジルエーテルが、本発明の分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)として挙げられる。
本発明では、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸価総量(X:当量/重量トン)と化合物(B)のエポキシ官能基総量(Y:当量/重量トン)の比(X/Y)が、0.3〜1.3であることを特徴とする。酸価総量(X)、エポキシ官能基総量(Y)は、下記式にて算出したものである。
酸価総量X(当量/重量トン)=(樹脂組成物(A)の酸価(当量/重量トン))×(発泡体中の樹脂組成物(A)の重量%)
エポキシ官能基総量Y(当量/重量トン)={1/(化合物(B)のエポキシ当量(g/mol))}×106×(発泡体中の化合物(B)の重量%)
化合物(B)のエポキシ官能基は、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸末端と反応し、且つ化合物(B)は、その分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有するために、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸末端との反応により反応性生物全体の分子量が増大する。このため、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)からなる樹脂組成物(C)の粘度が増大し、高発泡倍率の発泡体作成に好適となる。
エポキシ官能基総量Y(当量/重量トン)={1/(化合物(B)のエポキシ当量(g/mol))}×106×(発泡体中の化合物(B)の重量%)
化合物(B)のエポキシ官能基は、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸末端と反応し、且つ化合物(B)は、その分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有するために、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸末端との反応により反応性生物全体の分子量が増大する。このため、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)からなる樹脂組成物(C)の粘度が増大し、高発泡倍率の発泡体作成に好適となる。
この際、酸価総量Xとエポキシ官能基総量Yの比(X/Y)が1.3より大きいと、化合物(B)との反応による増粘効果が不十分となり、高発泡倍率の発泡体を作成することが出来ない。一方、(X/Y)が0.3より小さいと、化合物(B)による無限架橋反応が進行しやすくなり、この結果ゲル化物が形成され、安定して高発泡倍率の発泡体を得ることが出来ない。(X/Y)は、好ましくは0.4から1.2であり、より好ましくは0.5から1.1である。酸価総量Xとエポキシ官能基総量Yの比(X/Y)が、この範囲にあると、ゲル化の発生が非常に少なく、かつ高発泡倍率の発泡体を得るための増粘効果を両立させることが出来る。
上記の如く、本発明における、化合物(B)の分子内のエポキシ官能基は、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と反応し、架橋構造を形成し、発泡に適正な粘度を得る、同時に無限架橋反応が進行することで、ゲル化物を形成する。
本発明において特に好ましい形態として、分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)が、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー、並びに非官能性のスチレンモノマーおよび/または非官能性の(メタ)アクリルモノマーの、重合生成物であることを特徴とする。これら成分からなる分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)は、架橋構造による増粘とゲル化物形成の抑制を両立させる効果が高いために好ましい。この理由は定かでないが、化合物(B)の分子内のエポキシ官能基間に一定距離を保つことと、分子内に嵩高い分子構造をもつことが有効であると推察される。
エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの1,2−エポキシ基を含有するモノマーが挙げられる。
本発明において使用する非官能性スチレンモノマーとしては、スチレン、アルファ−メチルスチレン、等が挙げられる。
また、本発明における非官能性の(メタ)アクリルモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、等が挙げられる。
エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーは、化合物(B)の全重量に対して30〜70重量%の範囲が好ましい。化合物(B)中のエポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーの割合が30重量%未満の場合、化合物(B)と結晶性ポリ乳酸系重合体(A)との架橋反応が不十分であり、発泡に十分な粘度を得ることができない場合がある。また化合物(B)の全重量に対して70重量%より大きい場合、エポキシ官能基間距離が小さく、押出機内での滞留部分にて架橋反応が進行し、ゲル化物等が発生し、安定して発泡させることが出来ない場合がある。なお、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーが、化合物(B)の全重量に対して30〜70重量%の範囲に制御された化合物(B)は、JohnsonPolymer社製「Joncryl ADRシリーズ」として市販されており、本発明においては化合物(B)としてこれを好ましく用いることができる。
結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)は、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)の合計100重量%に対して、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)が98.5重量%以上99.7重量%以下、化合物(B)が0.3重量%以上1.5重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)が99.0重量%以上99.6重量%以下、化合物(B)が0.4重量%以上1.0重量%以下である。化合物(B)の量が0.3重量%未満では十分な増粘効果が得られず、また1.5重量%より大きいとゲル化が促進され、安定的に均一な発泡体が得られない。
なお、本発明の発泡体に使用する結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)からなる樹脂組成物(C)には、本特許の目的を阻害しない範囲で、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)および化合物(B)以外の他成分を含有させることができる。この他成分の含有量は、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)の合計100重量部において、20重量部以下であり、好ましくは10重量部以下である。樹脂組成物(C)中に、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)の合計100重量部に対して、20重量部より多くの他成分を含有させる場合、結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶性が低下したり、ガラス転移温度が低下するなどして発泡体としての耐熱性が不足したり、生分解性が不十分となる場合がある。
樹脂組成物(C)に含有させることができる他成分としては特に制限はないが、例えば、非晶性のポリ乳酸や、以下の様なポリ乳酸以外の生分解性樹脂を含有させても良い。例としては、以下のラクトン樹脂、例えば、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンや4−メチルカプロラクトン、2,2,4−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化ラクトンの単独重合体または共重合体、及びそれらの混合物、以下に代表される脂肪族ポリエステル、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/カーボネート等のジオールとジカルボン酸または該酸無水物等の誘導体を重縮合してなる脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート等の芳香族共重合ポリエステル、ポリヒドロキシブチレート・バリレート等の天然直鎖状ポリエステル系樹脂、ポリグリコール酸などのポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。ポリ乳酸との相溶性が良好で、ポリ乳酸の有しない柔軟性に優れている点で、ポリエチレンサクシネート、ポリブテンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/カーボネート等が特に好ましく、中でもポリブチレンテレフタレート/アジペートが最も好ましい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲において、その他の各種添加剤成分を添加してもよい。例えば、添加剤として、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤、抗菌剤、生分解促進剤、発泡剤分解促進剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、充填剤、防臭剤、発泡助剤、気泡安定剤、金属害防止剤、加水分解速度調整剤などであり、これらを単独もしくは2種類以上併用して添加してもよい。
公知の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル系、アジピン酸ジ−1−ブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルオクチルなどのリン酸エステル系、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチルなどのヒドロキシ多価カルボン酸エステル系、アセチルリシノール酸メチル、ステアリン酸アミルなどの脂肪酸エステル系、グリセリントリアセテート、トリエチレングリコールジカプリレートなどの多価アルコールエステル系、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル、エポキシステアリン酸オクチルなどのエポキシ系可塑剤、ポリプロピレングリコールセバシン酸エステルなどのポリエステル系可塑剤、ポリアルキレンエーテル系、エーテルエステル系、アクリレート系などが挙げられる。なお、安全性の面から、米食品衛生局(FDA)の認可がなされている可塑剤を用いることが好ましい。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などが例示される。
結晶核剤としては、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチエレンビスラウリル酸アミドなどの脂肪族カルボン酸アミド系や、脂環族カルボン酸アミド系、芳香族カルボン酸アミド系などの有機系、あるいはタルク、スメクタイトなどの層状ケイ酸塩など無機系が例示される。
着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系などの有機顔料等を使用することができる。
また、成形品の易滑性や耐ブロッキング性の向上を目的として、無機微粒子を添加する際には、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
上述した各種添加剤成分の中でも、ポリ乳酸は酸化劣化し易いポリマーであることから、外観美麗な発泡体を得るために酸化防止剤を含んでいることが特に好ましい。
本発明の発泡体を得るための発泡剤としては、発泡体を得るために使用できるものであれば、いずれでもよく、化学発泡剤、物理発泡剤、またそれら2種以上の組合せなどを用いることができる。
化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロジニトリル、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ化合物、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミドなどのヒドラゾ化合物、5−フェニルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、アゾビステトラゾール系、ビステトラゾール系などのテトラゾール化合物、重炭酸ソーダ、炭酸ソーダなどを挙げることができる。
物理発泡剤としては、エタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレン、石油エーテル、塩化メチル、モノクロルトリフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、水、空気、炭酸ガス、窒素ガスなどを挙げることができ、容易に使用できるという点から、ブタン、ペンタン、ヘキサン、水、空気、炭酸ガス、窒素ガスが好ましく、水、空気、炭酸ガス、窒素ガスがより好ましく、水、空気、炭酸ガスがさらに好ましい。
本発明における高発泡倍率とは、見かけ密度が60kg/m3以下である。見かけ密度が60kg/m3より大きい場合、柔軟・軽量性を欠き、また容器等に成型した際、保温性、断熱性に劣る。見かけ密度を低くすることにより、単位面積当たりの樹脂量が減少し、コスト競争力が著しく向上する。他素材比コスト競争力の向上は、ポリ乳酸樹脂発泡体の普及に不可欠であり、見かけ密度を小さくすることはポリ乳酸樹脂発泡体における最大の課題の一つである。なお、本発明における見かけ密度とは実施例に記載する方法で測定された値をいう。なお、本発明の発泡体における見かけ密度に下限はなく、小さい程高倍率化できるために好ましいが、本発明の発泡体は見かけ密度20kg/m3未満は現在の技術では達成困難であるため、現実的な下限は20kg/m3以上と考えられる。
本発明の発泡体を得る方法は特に限定されないが、例えば、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と化合物(B)からなる樹脂組成物(C)を押出機で溶融混練し、Tダイから押出し、シート状に成型した後、密閉したオートクレーブ中にガス及び/又は超臨界流体とともに封入し、一定時間含浸させたのちオートクレーブの圧力を開放して発泡させる方法、押出機の先端に取り付けた金型内で、樹脂組成物(C)と発泡剤の溶融混練物を押出しと同時に金型内にて発泡させる方法、樹脂組成物(C)と発泡剤の溶融混練物を、Tダイあるいは環状ダイから連続的に押出発泡させる方法等がある。中でも、コストなどの観点から、樹脂組成物(C)に、発泡剤として二酸化炭酸、など安価な不活性ガスを超臨界状態で圧入し、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の融点以下の温度でTダイあるいは環状ダイから連続的に押出発泡させる方法が好ましい。これら不活性ガスは、樹脂組成物(C)100重量部に対して、3〜10重量部の範囲で用いられる。不活性ガスの添加量が3重量部を下回ると得られる発泡体の発泡倍率が低くなり、高発泡倍率の発泡体は得られず、10重量部を超えると発泡時のガス抜けが多く、気泡が破泡しやすく外観が劣り、均一な発泡体が得られない。高発泡倍率の発泡体を得るには、不活性ガスの量は4〜9部が好ましく、5〜8部が更に好ましい。
以下、一例として、特にこの方法について詳細に記載する。
本発明法において用いる樹脂組成物(C)の混合は従来公知の混合方法によって行うことができる。例えば、ヘンシェルミキサによる混合、バンバリミキサによる混合、ミキシングロールによる混合、混練押出機による混合する方法などがあり、単独または併用して使用される。なお、本発明で用いる結晶性ポリ乳酸系重合体(A)は、加熱下で加水分解を受けやすいため、予め真空乾燥機で含有水分率を500ppm以下に低下させておくことが好ましく、100ppm以下とすることがさらに好ましい。
ついで、樹脂組成物(C)を押出機内にて溶融混練する。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、また、これらを組み合わせたタンデム型押出機等を用いることが出来る。これらの中でも、押出機としては、樹脂組成物(C)を良く混合するとともに溶融し、発泡剤を均一に含ませることができて、引き続き所定の温度に冷却して維持し、押し出すことができるという観点からタンデム型押出機を用いることが最も好ましい。また、必要に応じて、押出機とダイの間にギヤポンプ等を設置してもよい。例えば、タンデム型の溶融押出機を用いる場合、一段目の押出機で発泡剤を圧入して樹脂中に分散させた後、発泡剤を含有させた溶融樹脂組成物を二段目の押出機に連続的に供給する。この場合、発泡剤としては炭酸ガスなどの安価な不活性ガスを用いることが好ましい。また発泡剤は、臨界温度以上、臨界圧力以上の条件(超臨界状態)にて圧入されることが好ましい。二段目の押出機においては、引き続き冷却して樹脂組成物の融点以下の温度で維持し押し出すことが好ましい。この場合、比較的低温での押出しにより熱分解を抑制しつつ、かつ融点以上で押し出す場合に比べて溶融粘度を高いレベルで保ったまま押出発泡させることができるため、より安定的に高発泡倍率の発泡体を得ることが出来る。
押出機の先端には、Tダイあるいは環状ダイ等公知のものを付設し、シート状の発泡体を得ることが出来る。表面が平滑な高発泡倍率の発泡体を得るには環状ダイがより好ましい。環状ダイを使用する場合は、ダイから吐出された筒状の発泡体を冷却したマンドレルに沿って進行させつつ冷却し、その後冷却した筒状発泡体を軸線方向に切り開いて発泡シートとする。必要に応じて、シートに平滑性、平坦性を付与するために、引き続いてニップロールによる成形を行なうことが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお、諸特性は、以下の方法により測定し、評価したものである。
(1)重量平均分子量
東ソー(株)製HLC8220GPCにて、カラムとしてTSKゲルスーパーHN−H(H−0028および0029)、ガードカラムとしてTSKガードカラムスーパーH−H(K−0008)を用いて測定した。カラム温度は40℃、クロロホルムを溶媒としPMMAを標準に算出した。
(2)酸価
精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)調整液に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加の後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより測定した。試料1トンの中和に必要なKOHのモル数を酸価(当量/重量トン)とする。
(3)見かけ密度
浮力式比重測定装置(Mirage社製Electronic Densimetor:型式MD-30S)により、試料の質量と資料の水中での重量から算出した。
(4)発泡体の外観
発泡体表面を目視により下記の通り判定した。
○・・・表面が平滑で気泡が均一である
△・・・表面は平滑であるが気泡が粗い
×・・・表面が粗く気泡も粗い
(5)成形性
真空成形を行い、それぞれ外観及び成形絞り比を評価した。
(1)重量平均分子量
東ソー(株)製HLC8220GPCにて、カラムとしてTSKゲルスーパーHN−H(H−0028および0029)、ガードカラムとしてTSKガードカラムスーパーH−H(K−0008)を用いて測定した。カラム温度は40℃、クロロホルムを溶媒としPMMAを標準に算出した。
(2)酸価
精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)調整液に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加の後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより測定した。試料1トンの中和に必要なKOHのモル数を酸価(当量/重量トン)とする。
(3)見かけ密度
浮力式比重測定装置(Mirage社製Electronic Densimetor:型式MD-30S)により、試料の質量と資料の水中での重量から算出した。
(4)発泡体の外観
発泡体表面を目視により下記の通り判定した。
○・・・表面が平滑で気泡が均一である
△・・・表面は平滑であるが気泡が粗い
×・・・表面が粗く気泡も粗い
(5)成形性
真空成形を行い、それぞれ外観及び成形絞り比を評価した。
外観は、発泡体を真空成形した成形体について、目視により膨れや皺の有無で判断した。
成形絞り比は、直径D、深さHの垂直円筒状の雌型上において発泡体を加熱し、真空成形機を用いてストレート成形したときに、発泡体が破れることなく、円筒状に展開、伸長される限界での、H/Dの値のことである。なお、ここにおいて直径Dは50mmである。
発泡体の表面温度が80、100、120℃の3点について成形絞り比(H/D)を測定し、その値について以下の基準で判断した。
成形性○:2点以上の温度で成形絞り比0.50以上、かつ外観良好。
成形性△:1点の温度で成形絞り比0.50以上、かつ外観良好。
成形性×:成形絞り比0.50以上となる温度がない、あるいは外観不良。
(6)生分解性
試料を冷凍粉砕して粉体または顆粒状とし、JIS K6953に従って生分解度を求めた。生分解度が60%に到達する処理期間から下記のとおり判定した。
成形性○:2点以上の温度で成形絞り比0.50以上、かつ外観良好。
成形性△:1点の温度で成形絞り比0.50以上、かつ外観良好。
成形性×:成形絞り比0.50以上となる温度がない、あるいは外観不良。
(6)生分解性
試料を冷凍粉砕して粉体または顆粒状とし、JIS K6953に従って生分解度を求めた。生分解度が60%に到達する処理期間から下記のとおり判定した。
○・・・3ヶ月以内で生分解度が60%に到達
△・・・3ヶ月で生分解性が60%未満であり、かつ6ヶ月以内で生分解度が60%に到達
×・・・6ヶ月の処理期間が経っても生分解度は60%未満
(7)総合評価
上記、「見かけ密度」、「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」における評価結果から、以下の基準で総合評価を行った。
△・・・3ヶ月で生分解性が60%未満であり、かつ6ヶ月以内で生分解度が60%に到達
×・・・6ヶ月の処理期間が経っても生分解度は60%未満
(7)総合評価
上記、「見かけ密度」、「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」における評価結果から、以下の基準で総合評価を行った。
総合評価○:見かけ密度が60kg/m3以下、且つ「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」のすべての評価が○の場合。
総合評価△:見かけ密度が60kg/m3以下、且つ「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」の評価結果において1つ以上△評価を有し×評価がない場合。
総合評価×:見かけ密度が60kg/m3より大きい、もしくは「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」の評価結果において×評価がある場合。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
樹脂組成物(A)として表1に示すPLA−1を予め温度60℃、10torr以下の真空度で4時間乾燥し、分子内に二つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)として、JohnsonPolymer社製ADR-4368を表1の配合量に混合し、第一段押出機がL/D=32、スクリュー径40mmφ、第二段押出機がL/D=34、スクリュー径50mmφのタンデム型押出機に連続的に投入し、第一段押出機のシリンダーの途中から炭酸ガスを、結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)と分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有するエポキシ系化合物(B)からなる樹脂組成物100重量部に対して7重量部添加しながら、直径22mmφのサーキュラーダイから押出し、直径80mmφのマンドレルで冷却しながら切開し、巾約200mmのシート状発泡体を作成した。
樹脂組成物(A)として表1に示すPLA−1を予め温度60℃、10torr以下の真空度で4時間乾燥し、分子内に二つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)として、JohnsonPolymer社製ADR-4368を表1の配合量に混合し、第一段押出機がL/D=32、スクリュー径40mmφ、第二段押出機がL/D=34、スクリュー径50mmφのタンデム型押出機に連続的に投入し、第一段押出機のシリンダーの途中から炭酸ガスを、結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)と分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有するエポキシ系化合物(B)からなる樹脂組成物100重量部に対して7重量部添加しながら、直径22mmφのサーキュラーダイから押出し、直径80mmφのマンドレルで冷却しながら切開し、巾約200mmのシート状発泡体を作成した。
第一段押出機の温度はシリンダー6ゾーンに対して、シリンダー1を150℃、シリンダー2〜6を200℃とし、第二段押出機の温度はシリンダー6ゾーンに対し、シリンダー1を80℃、シリンダー2を180℃に設定、シリンダー3からシリンダー6は130℃、ダイ温度を130℃とした。樹脂温度は132℃、ダイ部分での圧力は15MPaであった。得られたシート状発泡体の物性を表1に示す。厚みは2.1mm、密度は40kg/m3(25倍発泡)と高倍発泡化できており、外観、成型性、生分解性ともに良好な結果であった。
(実施例2〜15)
結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)と分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)を表1の配合量に混合する以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。いずれの配合においても、密度50kg/m3以下の外観、成型性、生分解性ともに良好な発泡体が得られた。
結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)と分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)を表1の配合量に混合する以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。いずれの配合においても、密度50kg/m3以下の外観、成型性、生分解性ともに良好な発泡体が得られた。
(実施例16〜18)
結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)として、重量平均分子量、D体含有量、酸価の異なるものを表1の配合量に混合する以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。いずれの配合においても、密度50kg/m3以下の外観、成型性、生分解性ともに良好な発泡体が得られた。
(比較例1)
分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)を添加しない以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。しかしながら、密度は560kg/m3(1.7倍発泡)と高倍発泡化は出来なかった。発泡体外観も凹凸が酷く、不均一であった。
(比較例2〜14)
結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)と分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)を表2の配合量に混合する以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。いずれの配合においても、密度は50kg/m3より大きく、高倍発泡化は出来なかった。発泡体外観も凹凸が酷く、不均一であった。
結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)として、重量平均分子量、D体含有量、酸価の異なるものを表1の配合量に混合する以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。いずれの配合においても、密度50kg/m3以下の外観、成型性、生分解性ともに良好な発泡体が得られた。
(比較例1)
分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)を添加しない以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。しかしながら、密度は560kg/m3(1.7倍発泡)と高倍発泡化は出来なかった。発泡体外観も凹凸が酷く、不均一であった。
(比較例2〜14)
結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物(A)と分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)を表2の配合量に混合する以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。いずれの配合においても、密度は50kg/m3より大きく、高倍発泡化は出来なかった。発泡体外観も凹凸が酷く、不均一であった。
本発明の発泡体は、植物由来の樹脂を主成分とし、生分解性を有することから、例えば食品トレーとして使用した際、期限切れ容器を容器ごと廃棄してコンポスト化することができる等、これまでの分別回収に比べ、手間やコストの削減が可能となり、産廃削減にも大きく貢献が期待できる。本発泡体にて、現行石油由来樹脂を置き換えることにより、二酸化炭素排出量削減に繋がり、地球温暖化の進行抑制に貢献できる。
Claims (2)
- 重量平均分子量が10〜30万、酸価が10〜20(当量/重量トン)の結晶性ポリ乳酸系重合体(A)と、分子内に2つ以上のエポキシ官能基を有する化合物(B)からなる樹脂組成物(C)において、結晶性ポリ乳酸系重合体(A)の酸価総量(X:当量/重量トン)と化合物(B)のエポキシ官能基総量(Y:当量/重量トン)の比(X/Y)が0.3〜1.3である樹脂組成物(C)からなることを特徴とする発泡体。
- 化合物(B)が、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー並びに、
非官能性のスチレンモノマーおよび/または非官能性の(メタ)アクリルモノマーの
重合生成物からなることを特徴とする、請求項1記載の発泡体。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011016941A (ja) * | 2009-07-09 | 2011-01-27 | Sekisui Plastics Co Ltd | ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法及びポリ乳酸系樹脂発泡体 |
WO2013058056A1 (ja) * | 2011-10-18 | 2013-04-25 | 株式会社ジェイエスピー | ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法 |
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JP7392881B1 (ja) | 2023-02-28 | 2023-12-06 | 株式会社リコー | 発泡シート、発泡シートの製造方法、製造物、及び成型体 |
-
2007
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