JP2008221802A - 樹脂製品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜とその押え塗膜とを備えた樹脂製品及びこの樹脂製品の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂基材31上に、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜32を成膜し、この上に、活性エネルギー線により固化し、且つ、固化後に、樹脂背後材34の成形温度より10℃低い温度以上のガラス転移温度(Tg)を有する高Tg塗料を塗装し、活性エネルギー線により固化させて高Tg塗膜21を成膜し、この上に、固化後に、樹脂背後材の成形温度より110℃低い温度以下のガラス転移温度(Tg)を有する低Tg塗料を塗装し、固化させて低Tg塗膜22を成膜し、もって金属皮膜の押え塗膜20を高Tg塗膜と低Tg塗膜とで構成し、低Tg塗膜上に、樹脂背後材を成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜とその押え塗膜とを備えた樹脂製品とその製造方法に関するものである。
今日、自動車が周囲の物に接近したことを運転者に警告するために、距離測定用のミリ波レーダー装置を自動車の各部、例えばラジエータグリル、サイドモール、バックパネル等の背後に設けられることがある。しかし、これらのラジエータグリル等が金属皮膜により光輝性をもたせたものである場合、その金属皮膜がミリ波を遮断し又は大きく減衰させる。そのため、レーダー装置のミリ波の経路上は、光輝性及びミリ波透過性のレーダー装置カバーによって覆う必要がある。金属皮膜がミリ波透過性を有するには、不連続構造、すなわち、金属皮膜が一面に連続しておらず、多数の微細な金属粒子が島状に互いに僅かに離間し又は一部接触した状態で敷き詰められてなる構造(海島構造)をなす必要がある。
このような金属皮膜の上に成膜される押え塗膜には、この金属皮膜の耐食性の向上、後工程で金属皮膜より上に成形される樹脂背後材との密着性の向上及び樹脂背後材成形時の応力等から金属皮膜を保護することが求められている。
ここで、後工程で成形される樹脂背後材との密着性を向上させるためには、ガラス転移温度(Tg)が低い塗膜が好ましい。一方、後工程で金属皮膜の上面に樹脂背後材を成形する時に、金属皮膜を保護するためには、ガラス転移温度が高い塗膜が好ましい。
このように、押え塗膜は相反するガラス転移温度が好まれることから、押え塗膜は、塗膜全体が均一に目的とするガラス転移温度になることが必要となる。
これをふまえ、現状、押え塗膜を成膜する塗装の工程は、主剤及び硬化剤からなる二液型のアクリルウレタン樹脂を希釈剤で希釈した塗料を用いて塗装し、その後、塗膜中の希釈剤を蒸発させ、樹脂の反応成分が完全に架橋硬化するまで熱乾燥が行われる。
しかし、塗膜中の樹脂の反応成分が完全に架橋するためには、100℃以上で長時間の熱乾燥が必要となることから、生産工程及び製造コストの最適化が図れていない。
そこで、押え塗膜の硬化時間を短縮するため、押え塗膜の塗装に特許文献1記載のような、光を照射することで塗膜が硬化する塗料を用いた。
特開2005−68384号公報
ところが、光照射で塗膜が硬化する塗料を使用すると、塗膜の硬化時間を短縮することはできたが、ガラス転移温度が高いものは、後工程で成形される樹脂背後材との密着性がえられず、また、塗膜のガラス転移温度が低くいものを使用すると、樹脂背後材成形時に金属皮膜が影響を受け外観不良が生じた。そのため、光照射で塗膜が硬化する塗料を押え塗膜の塗装に用いることができなかった。
そこで、本発明は、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜とその押え塗膜とを備えた樹脂製品及びこの樹脂製品の製造方法を提供することを目的とする。
A.樹脂製品
上記目的を達成するため、本発明の樹脂製品は、樹脂基材上に、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜と、後工程で成形される樹脂背後材の成形時の熱に対して金属皮膜を保護できるガラス転移温度(Tg)を有する高Tg塗膜と、樹脂背後材の成形時の熱によって樹脂背後材との密着性がえられるよう軟化するガラス転移温度(Tg)を有する低Tg塗膜とがこの載順に積層され、金属皮膜の押え塗膜が高Tg塗膜と低Tg塗膜とで構成されており、低Tg塗膜上に樹脂背後材が成形されてなるものである。
B.樹脂製品の製造方法
上記目的を達成するため、本発明の樹脂製品の製造方法は、樹脂基材上に、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜を成膜し、金属皮膜上に、固化後に後工程で成形される樹脂背後材の成形時の熱に対して金属皮膜を保護できるガラス転移温度(Tg)を有する高Tg塗膜になる高Tg塗料を塗装し、高Tg塗料を固化させて高Tg塗膜を成膜し、高Tg塗膜上に、固化後に樹脂背後材の成形時の熱によって樹脂背後材との密着性がえられるよう軟化するガラス転移温度(Tg)を有する低Tg塗膜になる低Tg塗料を塗装し、低Tg塗料を固化させて低Tg塗膜を成膜し、もって金属皮膜の押え塗膜を高Tg塗膜と低Tg塗膜とで構成し、低Tg塗膜上に、樹脂背後材を成形する。
本発明における各要素の態様を以下に例示する。
1.樹脂基材
樹脂基材の形態としては、特に限定はされないが、板材、シート材、フィルム材等を例示できる。また、樹脂基材の樹脂としては、上に成膜される金属皮膜の光輝性を活かすため、透明であること以外は、特に限定はされないが、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン等が例示できる。なお、透明は、無色透明だけでなく、有色透明であってもよい。
2.光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜
光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜としては、特に限定はされないが、インジウム(In)、スズ(Sn)又はアルミニウム(Al)とインジウム(In)との合金等の皮膜が例示できる。また、金属皮膜の上、下又は上下に金属皮膜の耐食性を向上させる耐食保護膜を有してもよいし、有さなくてもよい。
膜厚としては、特に限定されないが、10〜100nmが好ましい。10nm未満では光輝性が低下する傾向となり、100nmを越えると不連続構造になりにくいからである。
成膜方法としては、特に限定されないが、真空蒸着、分子線蒸着、イオンプレーティング、イオンビーム蒸着、スパッタリング等の物理的蒸着が例示できる。
耐食保護膜としては、特に限定はされないが、酸窒化ケイ素(SiO)、酸窒化アルミニウム(AlO)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン等の無機化合物が例示できる。
3.押え塗膜
押え塗膜としては、後述する理由により結果的にガラス転移温度が相対的に高い高Tg塗膜とガラス転移温度が相対的に低い低Tg塗膜とで構成され、高Tg塗膜と低Tg塗膜との間に、他の塗膜を一つ又は二つ以上有してもよいし、有さなくてもよい。
3−1.高Tg塗膜
高Tg塗膜としては、後工程で成形される樹脂背後材の成形時の熱に対して金属皮膜を保護できるガラス転移温度(Tg)を有するものであれば、特に限定はされないが、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系等の塗膜が例示できる。高Tg塗膜の膜厚としては、5〜50μmであることが好ましい。これより膜厚が厚くなると、塗装時にたれが生じたり、コスト的に高くなる上に、塗膜深さ方向に均一な硬化が得られないからである。また、完全に硬化させたとしても、塗膜の内部応力が高くなり、塗膜自体が割れてしまうからでもある。一方、これより膜厚が薄くなると、金属皮膜を保護する機能が十分に得られないからである。
また、生産工程時間の短縮が図れることから、活性エネルギー線で塗料が固化し、硬化する塗膜(光硬化塗膜)であって、塗膜を活性エネルギー線の照射で硬化することが好ましい。さらに、樹脂背後材成形時の熱から金属皮膜をよりよく保護できることから、ガラス転移温度(Tg)は、樹脂背後材の成形温度より10℃低い温度に対して、この温度以上であることが好ましい。
3−1−1.活性エネルギー線
活性エネルギー線としては、特に限定はされないが、紫外線、可視光線、電子線等が例示できる。また、活性エネルギー線の照射方法としては、特に限定はされないが、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が例示できる。
3−2.低Tg塗膜
低Tg塗膜としては、樹脂背後材の成形時の熱によって樹脂背後材との密着性がえられるよう軟化するガラス転移温度(Tg)を有するものであれば、特に限定はされないが、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリルウレタン系等の塗膜が例示できる。低Tg塗膜の膜厚としては、5〜50μmであることが好ましい。これより膜厚が厚くなると、塗装時にたれが生じたり、コスト的に高くなる上に、塗膜深さ方向に均一な硬化が得られないからである。一方、これより膜厚が薄くなると、樹脂背後材との密着性が十分に得られないからである。
また、活性エネルギー線等で塗料が固化し、硬化する塗膜(光硬化塗膜)であってもよいし、主剤と硬化剤とを混合することで塗料か固化し、硬化する塗膜(二液硬化塗膜)であってもよい。さらに、樹脂背後材との密着性がより向上することから、ガラス転移温度(Tg)は、樹脂背後材の成形温度より110℃低い温度に対して、この温度以下であることが好ましい。
4.樹脂背後材
樹脂背後材としては、特に限定はされないが、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン等が例示できる。また、樹脂背後材の成形方法としては、特に限定はされないが、射出成形やインサート成形等が例示できる。
5.樹脂製品の用途
本樹脂製品の用途としては、特に限定はされないが、ミリ波レーダー装置用のカバーや、通信機器の筐体等のように、光輝性を有しつつ電波透過性も有することが好まれるものが例示できる。
本発明によれば、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜とその押え塗膜とを備えた樹脂製品及びこの樹脂製品の製造方法を提供することができる。
樹脂基材上に、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜を成膜し、
金属皮膜上に、活性エネルギー線の照射により硬化する塗膜であり、且つ、固化後に、樹脂背後材の成形温度より10℃低い温度に対して、この温度以上のガラス転移温度(Tg)を有する高Tg塗膜になる高Tg塗料を塗装し、高Tg塗料を活性エネルギー線の照射により固化させて高Tg塗膜を成膜し、
高Tg塗膜上に、固化後に、樹脂背後材の成形温度より110℃低い温度に対して、この温度以下のガラス転移温度(Tg)を有する低Tg塗膜になる低Tg塗料を塗装し、低Tg塗料を固化させて低Tg塗膜を成膜し、
もって金属皮膜の押え塗膜を高Tg塗膜と低Tg塗膜とで構成し、
低Tg塗膜上に、樹脂背後材を成形する。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、先ずは、本発明にいたるまでに行った、予備的な試験について説明する。
次の表1に示すものは、加温による金属皮膜の割れ評価の結果である。
(1)加温による金属皮膜の割れ評価(AES成形の簡易再現試験)
加温下において、押え塗膜のガラス転移温度(Tg)の違いによる金属皮膜への影響を以下の条件で調べた。
加温条件としては、200℃で3分間の加温を行った。
押え塗膜としては、ガラス転移温度が80℃の塗膜(主剤と硬化剤との二液を混合することで硬化する二液硬化塗膜、アクリルウレタン系)、ガラス転移温度が100℃の塗膜(紫外線で硬化する光硬化塗膜、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系)又はガラス転移温度が200℃以上の塗膜(紫外線で硬化する光硬化塗膜、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系)を用いた。
なお、以下で説明するものも含め、全ての試験における押え塗膜のガラス転移温度(Tg)の測定には、剛体振り子型物性試験器(エー・アンド・デイ社の型式:RPT−3000)を用いた。
樹脂基材としては、寸法が30mm×40mmのポリカーボネート(PC、厚さ:5mm)を用いた。
金属皮膜としては、インジウム(In、膜厚:400Å)又は、アルミニウム(Al)とインジウムとの合金(Al/In合金、膜厚:300Å)を用いた。なお、金属皮膜として、インジウムを用いた場合には、金属皮膜の下側に、酸窒化ケイ素(SiO、膜厚:100Å)からなる耐食保護膜(下耐食保護膜)を成膜した。
試験方法としては、図2(a)に示すように、樹脂基材上に金属皮膜を成膜し、その上に押え塗膜を成膜したものを、上記条件で加温を行った後、金属皮膜の状態(割れの有無)を目視で評価した。割れ無しは、○、割れ有りは、×である。
本試験より、
押え塗膜がない、試験1−1及び2−1は、共に、熱によって、樹脂基材であるポリカーボネートが変形し、金属皮膜に割れが生じた。
押え塗膜のガラス転移温度が80℃である、試験1−2及び2−2、並びに、押え塗膜のガラス転移温度が100℃である、試験1−3及び2−3は、熱によって、樹脂基材であるポリカーボネートと押え塗膜との両方が変形し、金属皮膜に割れが生じた。
押え塗膜のガラス転移温度が200℃以上である、試験1−4及び2−4は、共に、高架橋である押え塗膜が金属皮膜を強固に保持するため、樹脂基材であるポリカーボネートが動いても、金属皮膜に割れが生じなかった。
次の表2に示すものは、押え塗膜の膜厚による金属皮膜の割れ評価の結果である。
(2)押え塗膜の膜厚による金属皮膜の割れ評価
押え塗膜の膜厚の違いによる金属皮膜への影響を以下の条件で調べた。
押え塗膜としては、ガラス転移温度が80℃の主剤と硬化剤との二液を混合することで硬化する二液硬化塗膜(アクリルウレタン系)を膜厚30μm(標準)若しくは60μmの二水準、又は、ガラス転移温度が同じく80℃の紫外線で硬化する光硬化塗膜(アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系)を膜厚10μm(標準)、20μm若しくは30μmの三水準を用いた。
樹脂基材としては、ポリカーボネート(PC、厚さ:約4〜6mm)を用いた。
金属皮膜としては、インジウム(In、膜厚:400Å)又は、アルミニウム(Al)とインジウムとの合金(Al/In合金、膜厚:300Å)を用いた。なお、金属皮膜として、インジウムを用いた場合には、金属皮膜の下側に、酸窒化ケイ素(SiO、膜厚:100Å)からなる耐食保護膜(下耐食保護膜)を成膜した。
樹脂背後材としては、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES、厚さ:約2〜4mm)を用いた。
試験方法としては、図2(b)に示すように、樹脂基材上に金属皮膜を成膜し、その上に押え塗膜を成膜した後、樹脂背後材をインサート成形したものの金属皮膜の状態(割れの有無)及び押え塗膜と樹脂背後材との密着性を目視で評価した。割れ無しは、○、割れ有りは、×である。また、密着性良好は、○、密着性不良は、×である。
本試験より、ガラス転移温度が80℃の押え塗膜を厚膜化しても、樹脂背後材であるAESをインサート成形する時に、金属皮膜が侵された(金属皮膜の割れが発生)。
次の表3に示すものは、本発明の実施例(6種類)及び比較例(9種類)の金属皮膜の割れと樹脂背後材との密着性の評価の結果である。
前記押え塗膜の膜厚による金属皮膜の割れ評価と同じようにして、金属皮膜への影響を調べた。
図1に示すように、本実施例の樹脂製品10は、ポリカーボネート(PC)の樹脂基材31上に、インジウム(In)、又は、アルミニウム(Al)とインジウムとの合金(Al/In合金)からなる金属皮膜32を成膜した。なお、金属皮膜として、インジウムを用いた場合には、金属皮膜32の下側に、酸窒化ケイ素(SiO)からなる耐食保護膜33(下耐食保護膜)を成膜した。金属皮膜32上に、紫外線で硬化し、ガラス転移温度が200℃以上の高Tg塗膜21とガラス転移温度が70℃、80℃又は90℃の低Tg塗膜22とからなる押え塗膜20を成膜し、その後その上に、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)の樹脂背後材34をインサート成形したものである。
また、試験方法及び試験条件としては、押え塗膜以外は、前記押え塗膜の膜厚による金属皮膜の割れ評価と同じである。
それぞれの押え塗膜としては、以下の通りである。なお、押え塗膜の膜厚を、主剤と硬化剤との二液を混合することで塗料が固化し、塗膜が硬化する二液硬化塗膜(アクリルウレタン系)は、30μmに、紫外線の照射で塗料が固化し、塗膜が硬化する光硬化塗膜(アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系)は、10〜15μmにした。
実施例1−1、1−2、1−3は、押え塗膜を二層にし、下層にガラス転移温度が200℃以上の光硬化塗膜を用い、上層にガラス転移温度が70℃、80℃又は90℃の二液硬化塗膜を用いた。
実施例2−1、2−2、2−3は、実施例1−1と比較して、上層をガラス転移温度が70℃、80℃又は90℃の光硬化塗膜に変更した。
比較例1−4、2−4は、実施例1−1と比較して、上層をガラス転移温度が100℃の二液硬化塗膜又は光硬化塗膜に変更した。
比較例1−5は、実施例1−1と比較して、下層をガラス転移温度が80℃の二液硬化塗膜に、上層をガラス転移温度が200℃以上の光硬化塗膜に変更した。
比較例3−1は、押え塗膜を一層にし、ガラス転移温度が80℃の二液硬化塗膜を用いた。
比較例3−2、3−3、3−4、3−5、3−6は、比較例3−1と比較して、ガラス転移温度が80℃、100℃、180℃、190℃、200℃以上の光硬化塗膜に変更した。
表3に示すように、下層をガラス転移温度が200℃以上の塗膜にし、上層をガラス転移温度が90℃以下の塗膜にした二層の押え塗膜を用いた実施例は、金属皮膜の割れが生じず、かつ、樹脂背後材であるAESとの密着性も良好であった。
一方、上層をガラス転移温度が100℃の塗膜にした比較例、下層をガラス転移温度が80℃の塗膜にし、上層をガラス転移温度が200℃以上の塗膜にした比較例及び一層の押え塗膜を用いた比較例は、金属皮膜に割れが生じたり、AESとの密着性が良好でなかった。
金属皮膜に割れが生じる機構としては、図3(b)に示すように、樹脂背後材であるAESのインサート成形時の温度は、200℃であり、その熱によって、押え塗膜及び樹脂基材であるPCは軟化する。そして、型内をAESが流動するときの応力で、軟化した押え塗膜及び樹脂基材が変形し、金属皮膜は動き割れが生じる。
しかし、図3(a)に示すように、押え塗膜20が高Tg塗膜21と低Tg塗膜22との二層から成っているときには、AESのインサート成形時の熱によって、低Tg塗膜22及び樹脂基材31であるPCは軟化するが、高Tg塗膜21は軟化せず、かつ、不連続構造となっている金属皮膜の金属粒子同士の間隙にも高Tg塗膜21が入り、強固に金属皮膜32を保持していると考えられることから、型内をAESが流動しても、金属皮膜は動かず割れが生じない。
図4に示すように、金属皮膜と押え塗膜との界面で剥離し、上から金属皮膜の状態を観測した写真を添付する。図5に示すものは、金属皮膜に割れが生じていない状態の写真であり、図6に示すものは、金属皮膜に割れが生じた状態の写真である。
押え塗膜の工程時間については、押え塗膜を二層にし、下層に紫外線で硬化する塗膜を、上層に主剤と硬化剤との二液を混合することで硬化する塗膜を用いることで、押え塗膜を成膜するための硬化時間が、現行と比べ、約16分の1に短縮された。また、下層と上層の両層に、紫外線で硬化する塗膜を用いることで、押え塗膜を成膜するための硬化時間が、現行と比べ、約95分の1に短縮された。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
本発明の実施例の樹脂製品の模式図である。 予備試験用試験片の模式図である。 樹脂背後材成形時の模式図である。 金属皮膜観察方法を示す模式図である。 良好な金属皮膜の顕微鏡写真である。 割れが生じた金属皮膜の顕微鏡写真である。
符号の説明
10 樹脂製品
20 押え塗膜
21 高Tg塗膜
22 低Tg塗膜
31 樹脂基材
32 金属皮膜
34 樹脂背後材

Claims (5)

  1. 樹脂基材上に、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜と、後工程で成形される樹脂背後材の成形時の熱に対して金属皮膜を保護できるガラス転移温度(Tg)を有する高Tg塗膜と、前記樹脂背後材の成形時の熱によって該樹脂背後材との密着性がえられるよう軟化するガラス転移温度(Tg)を有する低Tg塗膜とがこの載順に積層され、前記金属皮膜の押え塗膜が前記高Tg塗膜と前記低Tg塗膜とで構成されており、前記低Tg塗膜上に前記樹脂背後材が成形されてなる樹脂製品。
  2. 樹脂基材上に、光輝性でかつ不連続構造の金属皮膜を成膜し、
    前記金属皮膜上に、固化後に後工程で成形される樹脂背後材の成形時の熱に対して金属皮膜を保護できるガラス転移温度(Tg)を有する高Tg塗膜になる高Tg塗料を塗装し、該高Tg塗料を固化させて高Tg塗膜を成膜し、
    前記高Tg塗膜上に、固化後に前記樹脂背後材の成形時の熱によって該樹脂背後材との密着性がえられるよう軟化するガラス転移温度(Tg)を有する低Tg塗膜になる低Tg塗料を塗装し、該低Tg塗料を固化させて低Tg塗膜を成膜し、
    もって前記金属皮膜の押え塗膜を前記高Tg塗膜と前記低Tg塗膜とで構成し、
    前記低Tg塗膜上に、樹脂背後材を成形する樹脂製品の製造方法。
  3. 前記高Tg塗料を活性エネルギー線の照射により固化させる請求項2記載の製造方法。
  4. 前記高Tg塗膜のガラス転移温度(Tg)が、前記樹脂背後材の成形温度より10℃低い温度に対して該温度以上である請求項1記載の樹脂製品。
  5. 前記低Tg塗膜のガラス転移温度(Tg)が、前記樹脂背後材の成形温度より110℃低い温度に対して該温度以下である請求項1又は4に記載の樹脂製品。
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