JP2008214736A - 加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パワーショベルなど土砂と接触する部材用として好適で、曲げ加工性に優れる耐摩耗鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.35%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜2.0%、B:0.0003〜0.0030%、Al:0.1%以下、更に、Nb:0.1〜1.0%、V:0.1〜1.0%の1種または2種以上と、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、W:0.05〜1.0%の1種または2種以上を含有し、DI*≧60以上、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼板。DI*=33.85×(0.1×C*)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.5×W+1)・・・・・(1)ここで、C*=C−(12/93×Nb+12/51×V)
【選択図】図1

Description

本発明は、建設、土木、鉱山等の分野で使用される、例えば、パワーショベル、ブルドーザー、ホッパー、バケットなどの産業機械や運搬機器等で、土砂との接触による摩耗が問題となるような部材用として好適な耐摩耗鋼板およびその製造方法に係り、特に、曲げ加工性に優れるものに関する。
土、砂等による摩耗を受ける部材には、長寿命化のため、耐摩耗性に優れた鋼材が使用される。鋼材の耐摩耗性は、高硬度化することにより、向上することが知られ、耐摩耗性が要求される部材には、Cr、Mo等の合金元素を大量に添加した鋼材に焼入等の熱処理を施し、高硬度化した鋼材が使用されてきた。
例えば、特許文献1には、C:0.10〜0.19%を含み、Si、Mnを適正量含有し、Ceqを0.35〜0.44%に限定した鋼を、熱間圧延後直接焼入れし、あるいは900〜950℃に再加熱したのち焼入れし、300〜500℃で焼戻し、鋼板表面硬さを300HV以上とする耐摩耗鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献2には、C:0.10〜0.20%を含み、Si、Mn、P、S、N、Alを適正量に調整し、あるいは更にCu、Ni、Cr、Mo、Bの1種以上を含有する鋼に、熱間圧延後直接焼入れし、あるいは圧延後放冷した後、再加熱して焼入れし、340HB以上の硬さを付与する、耐摩耗厚鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献3には、C:0.07〜0.17%を含み、Si、Mn、P、S、N、Alを適正量に調整し、あるいは更にCu、Ni、Cr、Mo、Bの1種以上を含有する鋼に、熱間圧延後直ちに焼入れ、あるいは一旦空冷した後に、再加熱して焼入れし、表面硬さが321HB以上で、曲げ加工性に優れた鋼板とする耐摩耗鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献1〜3に記載された技術は、合金元素を多量に添加して、固溶硬化、変態硬化、析出硬化等を活用して、高硬度化することで、耐摩耗特性を向上させている。しかし、合金元素を多量に添加して、固溶硬化、変態硬化、析出硬化等を活用して、高硬度化した場合には、溶接性、加工性が低下するようになり、更に製造コストが高騰する。
ところで、耐摩耗性が要求される部材の場合、使用条件によっては、表面近傍のみを高硬度化して、耐摩耗性を向上させるだけでも良い場合があり、このような場合に用いられる鋼材は、Cr、Mo等の合金元素を多量に添加する必要はなく、焼入れ処理等の熱処理を施して、表面近傍のみを焼入れ組織とすることが考えられる。
しかし、焼入れ組織の高硬度化のためには、一般に、鋼材の固溶C量を増加させる必要があるが、固溶C量の増加は、溶接性の低下、曲げ加工性の低下などを招き、特に曲げ加工性の低下は部材として必要な曲げ加工が制限され使用条件が限定される。
このため、過度に高硬度化を図ることなく、耐摩耗特性を向上させることが可能な耐摩耗鋼板が要望され、特許文献4には、C:0.10〜0.45%を含み、Si、Mn、P、S、Nを適正量に調整し、さらにTi:0.10〜1.0%含有し、平均粒径0.5μm以上のTiC析出物あるいはTiCとTiN、TiSとの複合析出物を400個/mm以上を含み、Ti*が0.05%以上0.4%未満とする表面性状に優れた耐摩耗鋼が提案されている。
特許文献4に記載された技術によれば、凝固時に粗大なTiCを主体とする析出物を生成させ、過度に高硬度化させることなく安価に耐摩耗性を向上させることが可能である。
特開昭62−142726号公報 特開昭63−169359号公報 特開平1−142023号公報 特許第3089882号公報
しかしながら、特許文献4に記載された技術では、焼入れ熱処理を実施し、組織を焼入れままのマルテンサイト組織としているため、強度が高く、その結果、曲げ加工時の変形抵抗が高くなるため、曲げ加工が容易であるとは云い難く、曲げ加工性に問題を残していた。
また、特許文献1〜4のいずれに記載の耐磨耗鋼でも熱処理を実施することが必須であり、製造工期、製造コスト面で課題を残していた。
そこで、本発明は、熱間圧延ままで、熱処理を施さずに製造可能で、耐摩耗性および曲げ加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記した目的を達成するために、耐摩耗性と曲げ加工性に影響する各種要因について、鋭意研究を重ね、TiとCを含有する成分系を有し、金属組織が圧延ままのフェライト−パーライト組織の複合組織を基地相とし、かつ、マトリクス中に硬質な第二相(硬質相:TiC)を分散させることにより、耐磨耗性を確保したまま、曲げ加工時の加工荷重低減が可能、つまり、曲げ加工性の改善が可能であることを見出した。
本発明は得られた知見を基に、更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.質量%で、C:0.05〜0.35%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜2.0%、B:0.0003〜0.0030%、Al:0.1%以下、更に、Nb:0.1〜1.0%、V:0.1〜1.0%の1種または2種以上と、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、W:0.05〜1.0%の1種または2種以上を含有し、DI*≧60以上、残部Feおよび不可避的不純物からなる、加工性に優れた耐摩耗鋼板。
DI*=33.85×(0.1×C*)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.5×W+1)・・・・・(1)
ここで、 C*=C−(12/93×Nb+12/51×V)
2.更に、質量%でTi:0.005〜1.0%を含有することを特徴とする1記載の耐摩耗鋼板。
3.更に、金属組織が、フェライト−ベイナイト相を基地相とし、該基地相中に硬質相が分散していることを特長する1または2に記載の耐摩耗鋼板。
4.更に、前記硬質相の分散密度が、400個/mm以上であることを特徴とする3に記載の耐摩耗鋼板。
5.1または2記載の組成を有する鋼片を熱間圧延後、0.5〜2℃/s以下の冷却速度で400℃以下まで冷却することを特徴とする加工性に優れた耐摩耗鋼板の製造方法。
本発明によれば、耐摩耗性を劣化させること無く曲げ加工性を向上した耐摩耗鋼板が
熱間圧延後、熱処理を施さずに得られ、熱処理コスト低減、製造工期短縮などの合理的な生産が可能で産業上格段の効果を奏する。
本発明に係る耐磨耗鋼板で成分組成、金属組織を規定した理由について説明する。
[成分組成]以下の%表示は、いずれも質量%とする。
C:0.05〜0.35%
Cは、金属組織においてマトリクス硬度を向上させて耐磨耗性を向上させるとともに、硬質な第二相(以下、硬質相ともいう)としてのTi炭化物を形成し、耐摩耗性の向上に、有効な元素であり、このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。
一方、0.35%を超える含有は、硬質相としての炭化物が粗大になり、曲げ加工時に炭化物を起点として割れが発生する。このため、Cは0.05〜0.35%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.15〜0.30%である。
Si:0.05〜1.0%
Siは、脱酸元素として有効な元素であり、このような効果を得るためには0.05%以上の含有を必要とする。また、Siは、鋼に固溶して固溶強化により高硬度化に寄与する有効な元素であるが、1.0%を超える含有は、延性、靭性を低下させ、さらに介在物量が増加するなどの問題を生じる。このため、Siは0.05〜1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05〜0.40%である。
Mn:0.1〜2.0%
Mnは、固溶強化により高硬度化に寄与する有効な元素であり、このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超える含有は、溶接性を低下させる。このため、Mnは0.1〜2.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.1〜1.60%である。
B:0.0003〜0.0030%
Bは、粒界に偏析し、粒界を強化して、靭性向上に有効に寄与する元素であり、このような効果を得るためには、0.0003%以上の含有が必要である。一方、0.0030%を超える含有は、溶接性を低下させる。このため、Bは、0.0003〜0.0030%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.0003〜0.0015%である。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸材として作用し、このような効果は、0.0020%以上の含有で認められるが、0.1%を超える多量の含有は、鋼の清浄度を低下させる。このため、Alは0.1%以下に限定することが好ましい。
Nb:0.005〜1.0%、V:0.005〜1.0%の1種または2種
Nb、Vは、Cとともに本発明における重要な元素であり、耐摩耗性向上に寄与する硬質な第二相(Nb炭化物、V炭化物)を形成する必須の元素である。このような効果をえるためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を越える含有は、硬質な第二相(Nb炭化物、V炭化物)が粗大化し、曲げ加工時に粗大な第二相を起点として割れが発生する。このため、Nb、Vは0.1〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは、いずれも0.1〜0.8%である。
なお、NbとVを複合して添加する場合には、硬質な第二相が(NbV)Cとなるだけで、同様に耐摩耗性を向上させる効果を有する。なお、Nを含有する場合には、炭化物に加えて、炭窒化物が形成される場合もあるが、同様の効果が得られる。
図1に耐摩耗性に及ぼすNbまたはV添加量の影響を、図2に引張り強度(YS,TS)に及ぼすNbまたはV添加量の影響を示す。図1において縦軸は,ラバーホイール摩耗試験における磨耗量を従来鋼(SS400)の磨耗量と比較した耐磨耗比を示す。
Nb,またはV添加量が0.1%以上で、耐磨耗性が一般的な耐磨耗鋼と同程度以上の特性が得られ、かつ、YS,TSが低下している。すなわち、従来の焼入れ熱処理をした耐磨耗鋼板と同等の磨耗特性を有しつつ、加工性を改善することが可能となる。
ラバーホイール摩耗試験における供試鋼は、Mass%で、0.30%C−0.31%Si−1.12%Mn−0.05〜1.2%Vを含む鋼片を、12mmtに圧延後、冷却速度:0.9℃/sで空冷して製造した。
得られた鋼板について、引張特性、磨耗試験を実施した。引張試験は、JISZ2201の規定に準拠して、JIS5号試験片を採取して引張試験を実施し、引張特性(引張強さ:TS、降伏強さ:YS)を求めた。
磨耗試験は、ASTMG65に準拠したラバーホイール摩耗試験によって実施し、試験結果を軟鋼(SS400)の磨耗量と各供試鋼板の磨耗量の比を耐磨耗比として整理した。耐磨耗比が大きいほど、磨耗特性に優れていることを示す。
比較試験として、一般的な熱処理で製造する耐磨耗鋼板についても同様の試験を実施した。ここでいう、一般的な耐磨耗鋼板とは、0.15%Cを含み、焼入れ熱処理を施した材料であり、ブリネル硬さで400HB程度の鋼板をさす。
Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、W:0.05〜1.0%の1種または2種以上
Cu:0.1〜1.0%
Cuは、固溶することにより焼入れ性を向上させる元素であり、この効果を得るためには0.1%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超える含有は、熱間加工性を低下させる。このため、Cuは0.1〜1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.1〜0.5%である。
Ni:0.1〜2.0%
Niは、固溶することにより焼入れ性を向上させる元素であり、このような効果は0.1%以上の含有で顕著となる。一方、2.0%を越える含有は、材料コストを著しく上昇させる。このため、Niは0.1〜2.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.1〜1.0%である。
Cr:0.1〜1.0%
Crは、焼入れ性を向上させる効果を有し、このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とするが、0.1%を超える含有は、溶接性を低下させる。このため、Crは0.1〜1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.1〜0.40%である。
Mo:0.05〜1.0%
Moは、焼入れ性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を越えて含有すると溶接性を低下させる。そのため、Moは0.05〜1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.05〜0.40%である。
W:0.05〜1.0%
Wは、焼入れ性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を越えて含有すると溶接性を低下させる。そのため、Wは0.05〜1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.05〜0.40%である。
DI*≧60
本発明でDI*(焼入れ性指標値)は、DI*=33.85×(0.1×C*)0.5 ×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.5×W+1)、ここでC*=C−(12/93×Nb+12/51×V)で定義し、DI*≧60とする。
図3に、耐摩耗性に及ぼすDI*の影響を、図4に引張り強度(YS,TS)に及ぼすDI*の影響を示す。図3において、縦軸はラバーホイール摩耗試験における磨耗量を従来鋼(SS400)の磨耗量と比較した耐磨耗比を示す。耐磨耗比が大きいほど、磨耗特性に優れていることを示す。
図3より、DI*が60未満では磨耗特性が低下している。DI*が60未満の場合、フェライト−ベイナイト組織が得られず、フェライト−パーライト化したためと考えられる。
一方、DI*が60以上では、磨耗特性に優れ、強度は900MPa程度に上昇するが、従来の0.15%Cを含み、焼入れ熱処理を施し、ブリネル硬さで400HB程度の耐摩耗鋼よりは低強度で曲げ加工性に優れる。
ラバーホイール摩耗試験における供試鋼は、mass%で0.24%C−0.31%Si−0.90%Mn−0.3%Nbに更にCu、Ni、Cr、Mo、Wの1種あるいは2種以上含み、DI*が40〜120の鋼片を、12mmtに圧延後、空冷(冷却速度:0.9℃/s)して製造した。
得られた鋼板について、引張特性、磨耗試験を実施した。引張試験は、JISZ2201の規定に準拠して、JIS5号試験片を採取して引張試験を実施し、引張特性(引張強さTS、降伏強さYS)を求めた。
ラバーホイール摩耗試験はASTMG65に準拠して実施し、試験結果は軟鋼(SS400)の磨耗量と各鋼板の磨耗量の比を耐磨耗比として整理した。
上記した成分が基本成分で優れた耐摩耗性が得られるが、本発明では、更に耐摩耗性を向上させるため、硬質な第二相を形成し、耐摩耗性に寄与する元素であるTiを選択元素として含有することができる。
Ti:0.005〜1.0%
Tiは、NbやVと複合して添加することにより、複合炭化物((NbTi)C)、((VTi)C)、((NbVTi)C)などを形成し、硬質な第二相として分散し、耐摩耗性向上に有効に寄与する元素である。
このような耐摩耗性向上効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を越える含有は、硬質な第二相(炭化物)が粗大化し、曲げ加工時に硬質な第二相(炭化物)を起点として割れが発生する。このため、Tiは0.005〜1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.1〜0.5%である。
[金属組織]
本発明に係る耐摩耗鋼板は、金属組織を、フェライト−ベイナイト相を基地相とし、当該基地相中に硬質相(硬質な第二相)が分散した組織とする。基地相は加工性を考慮して、ブリネル硬度で340HB以下とすることが好ましい。
硬質相としては、NbC,VCなどのNbまたはV系炭化物とすることが好ましい。(NbV)C、((NbTi)C)、((VTi)C)、((NbVTi)C)など、あるいは炭化物だけでなく、炭窒化物中も例示できる。
なお、硬質相の大きさは、特に限定しないが、耐摩耗性の観点からは、0.5μm以上50μm以下程度とすることが好ましい。また、硬質相の分散密度は、耐摩耗性の観点から、400個/mm以上とすることが好ましい。
尚、硬質相の大きさは、各硬質相の面積を測定し、同面積から円相当直径を算出し、得られた円相当直径を算術平均して平均値をその鋼板における硬質相の大きさ(平均粒径)とする。
[製造方法]
本発明に係る耐摩耗鋼板は、上記した組成の溶鋼を、公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分解圧延法により、所定寸法のスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。
硬質相を所定の大きさおよび個数に調整するためには、例えば、連続鋳造法を用いた場合、厚み200〜400mmの鋳片の1500〜1200℃の温度域における冷却速度0.2〜10℃/sの範囲と成るように冷却を調整することが好ましい。
なお、造塊法を用いる場合にも、インゴットの大きさおよび冷却条件を、硬質相を所望の大きさおよび個数になるように、調整する必要があることはいうまでもない。
次いで、鋼素材を、冷却することなく、直ちに熱間圧延し、または冷却後、950〜1250℃に再加熱したのち、熱間圧延し、所望の板厚の鋼板とする。熱間圧延後は、熱処理することなく、平均冷却速度0.5〜2℃/s以下で冷却する。
冷却速度が0.5℃/s未満では、フェライト‐ベイナイト組織が得られず、耐磨耗特性が劣化する。一方、冷却速度が2℃/sを超えると、硬度が上昇し、加工性が劣化するため、平均冷却速度0.5〜2℃/s以下とする。
なお、熱間圧延条件は、所望の寸法形状の鋼板とすることができればよく、とくに限定しない。本発明に係る耐磨耗鋼板は、熱処理を実施する必要が無く、圧延ままで曲げ加工を必要とする種々の用途に使用可能である。
表1に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、小型鋼塊(50kg)(鋼素材)とした後、1050〜1250℃に加熱し、熱間圧延を施して板厚6〜20mmの供試鋼板とした。各供試鋼板について組織観察、引張試験、摩耗試験を実施した。
組織観察
組織観察用試験片は、研磨後、ナイタール腐食して、表層下1mmの位置について、光学顕微鏡(倍率:400倍)を用いて、組織の同定および硬質相の大きさ、個数を測定した。なお、観察視野において、80%以上を占める組織を主組織とし、硬質相の大きさは、前述の方法により求めた平均粒径とした。

引張試験
JISZ2201の規定に準拠して、JIS5号試験片を採取し、JISZ2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(降伏強さ:YS、引張強さ:TS)を求めた。
摩耗試験
試験片はt(板厚)×20×75(mm)とし、ASTM G 65の規定に準拠して、ラバーホイール摩耗試験を、磨耗砂を使用して実施した。試験後、試験片の摩耗量を測定した。
試験結果は、軟鋼(SS400)板の摩耗量を基準(1.0)として、耐摩耗比=(軟鋼板の摩耗量)/(各鋼板の摩耗量)で評価した。耐摩耗比が大きいほど、耐摩耗性に優れていることを意味し、本発明範囲は耐摩耗比:5.0以上とした。
表2に組織観察、引張試験、磨耗試験の結果を示す。本発明例(鋼板No.1〜5、鋼板No.8,9)は、耐磨耗性が非常に優れた鋼板となっている。一方、比較例は、本発明例に比較して耐磨耗性が劣る。
Figure 2008214736
Figure 2008214736
耐摩耗性に及ぼすNb,V添加量の影響を示す図。 引張り強度(YS,TS)に及ぼすNb,V添加量の影響を示す図。 耐摩耗性に及ぼすDI*の影響を示す図。 引張り強度(YS,TS)に及ぼすDI*の影響を示す図。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.35%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜2.0%、B:0.0003〜0.0030%、Al:0.1%以下、更に、Nb:0.1〜1.0%、V:0.1〜1.0%の1種または2種以上と、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、W:0.05〜1.0%の1種または2種以上を含有し、DI*≧60以上、残部Feおよび不可避的不純物からなる、加工性に優れた耐摩耗鋼板。
    DI*=33.85×(0.1×C*)0.5×(0.7×Si+1)×(3.33×Mn+1)×(0.35×Cu+1)×(0.36×Ni+1)×(2.16×Cr+1)×(3×Mo+1)×(1.5×W+1)・・・・・(1)
    ここで、 C*=C−(12/93×Nb+12/51×V)
  2. 更に、質量%でTi:0.005〜1.0%を含有することを特徴とする請求項1記載の耐摩耗鋼板。
  3. 更に、金属組織が、フェライト−ベイナイト相を基地相とし、該基地相中に硬質相が分散していることを特長する請求項1または2に記載の耐摩耗鋼板。
  4. 更に、前記硬質相の分散密度が、400個/mm以上であることを特徴とする請求項3に記載の耐摩耗鋼板。
  5. 請求項1または2記載の組成を有する鋼片を熱間圧延後、0.5〜2℃/s以下の冷却速度で400℃以下まで冷却することを特徴とする加工性に優れた耐摩耗鋼板の製造方法。
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