JP2008213692A - 中空シャフトの構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】肉厚の増加によることなく剛性を高めることのできる中空シャフトの構造を提供する。
【解決手段】一端側に配される開口部を有する中空部材11と他端側に配される開口部を有する中空部材12とが互いの軸線を一致させた状態で開口端同士を突き合わせて溶接により接合されてなり、下転輪3を支持する中空シャフト1の構造において、一端側の中空部材11と他端側の中空部材12との接合位置内周に当接し、それら中空部材11,12の中空部13,13′を仕切るように円盤状のリブ20を設ける構造とする。
【選択図】図1
【解決手段】一端側に配される開口部を有する中空部材11と他端側に配される開口部を有する中空部材12とが互いの軸線を一致させた状態で開口端同士を突き合わせて溶接により接合されてなり、下転輪3を支持する中空シャフト1の構造において、一端側の中空部材11と他端側の中空部材12との接合位置内周に当接し、それら中空部材11,12の中空部13,13′を仕切るように円盤状のリブ20を設ける構造とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、車輪を支持する中空シャフトの構造に関し、特にブルドーザや油圧ショベル等に装備される履帯式走行装置の下転輪や遊動輪を支持する車軸として用いられて好適な中空シャフトの構造に関するものである。
例えばブルドーザや油圧ショベルなどのように不整地での作業に使用される車両には、トラックフレームの前後に配置される遊動輪と駆動輪に無端状の履帯が巻き掛けられて構成される履帯式走行装置が装備されている。この履帯式走行装置においては、車体の重量を分散して履帯に伝えるとともにその履帯を案内するために、トラックフレームの下面側に複数の下転輪が所要の間隔で配置されている。各下転輪は、トラックフレームの下面に取り付けられた軸サポート部材によって両端部が固定・支持される中空シャフトに、ブッシュを介して回転自在に支持されている。
前記中空シャフトは、図8(a)に示されるように、当該中空シャフト101の図において左半分を構成する中空部材111と、当該中空シャフト101の図において右半分を構成する中空部材112とが互いの軸線を一致させた状態で開口端同士を突き合わせて溶接により接合されて構成されている。左側の中空部材111と右側の中空部材112との接合位置には、それら中空部材111,112を溶接する際の溶融金属の溶け落ちを防止して溶接部の健全性を確保するために、同図(a)(b)に示されるように、リング状の裏当て金113が設けられている。
なお、リング状の裏当て金を溶接部に裏当てして溶接するという技術は、例えば特許文献1にて知られており、この特許文献1では、特に、リング状裏当て金の肉厚と幅を規定することにより、溶接接合の際の落ち込み座屈や角変形を防止することができるという技術が提案されている。
ところで、履帯式走行装置における下転輪は障害物に乗り上げた時などに衝撃的な荷重を受けるため、下転輪を支持する中空シャフト101は高剛性である必要がある。中空シャフト101の剛性を高める手段として、その肉厚を増加させるという手段が考えられるが、肉厚の増加により重量の増加を免れないという問題点がある。このため、肉厚の増加によることなく、中空シャフト101の剛性を高めることのできる中空軸構造が望まれている。
なお、前記特許文献1に係る技術は、中空金属部材の溶接接合時における部材変形を防止するためにリング状裏当て金の肉厚と幅を規定するものであり、かかる技術に基づいて肉厚と幅が規定された裏当て金113では、中空シャフト101の剛性を高める強度部材としての機能が不十分であると言える。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、肉厚の増加によることなく剛性を高めることのできる中空シャフトの構造を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明による中空シャフトの構造は、
一端側に配される開口部を有する中空部材と他端側に配される開口部を有する中空部材とが互いの軸線を一致させた状態で開口端同士を突き合わせて溶接により接合されてなり、車輪を支持する中空シャフトの構造において、
前記一端側の中空部材と他端側の中空部材との接合位置内周に当接し、それら中空部材の中空部を仕切るように円盤状のリブを設けることを特徴とするものである(第1発明)。
一端側に配される開口部を有する中空部材と他端側に配される開口部を有する中空部材とが互いの軸線を一致させた状態で開口端同士を突き合わせて溶接により接合されてなり、車輪を支持する中空シャフトの構造において、
前記一端側の中空部材と他端側の中空部材との接合位置内周に当接し、それら中空部材の中空部を仕切るように円盤状のリブを設けることを特徴とするものである(第1発明)。
本発明において、前記リブには、前記一端側の中空部材の中空部と前記他端側の中空部材の中空部とを連通する連通孔が設けられるのが好ましい(第2発明)。
本発明において、前記車輪は、履帯式走行装置の下転輪であるとすることができる(第3発明)。
本発明によれば、一端側の中空部材と他端側の中空部材との接合位置内周に当接し、それら中空部材の中空部を仕切るように円盤状のリブが設けられるので、従来の中空シャフトと比較して、接合位置における断面係数を格段に大きくすることができ、肉厚の増加によることなく剛性を格段に高めることができるという効果がある。なお、当然のことながら、接合位置に設けられるリブは溶接接合の際に裏当て金として機能するため、溶融金属の溶け落ちを防止して溶接部の健全性を確保することができるとともに、溶接接合時における部材変形を防止することができる。
また、中空シャフトの中空部が潤滑油を溜めるための潤滑油溜り部として使用された場合、この潤滑油溜り部内で潤滑油を流動させて潤滑油の熱放散を促し、ヒートバランスを適正に保つ必要がある。そこで、一端側の中空部材の中空部と他端側の中空部材の中空部とを仕切るリブに、それら中空部材の中空部を連通する連通孔を設けるという第2発明の構成を採用することにより、リブを挟んで両中空部に充填された潤滑油をその連通孔を通して互いに行き来させて流動させることができ、潤滑油のヒートバランスを適正に保つことができる。
また、本発明の中空シャフトの構造をブルドーザや油圧ショベル等に装備される履帯式走行装置の下転輪を支持する中空シャフトに適用した場合、下転輪が障害物に乗り上げた時などに発生する衝撃荷重にも十分に耐え得る中空シャフトを得ることができる。
次に、本発明による中空シャフトの構造の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、ブルドーザや油圧ショベル等に装備される履帯式走行装置の下転輪を支持する中空シャフトに本発明が適用された例である。
図1には、本発明の一実施形態に係る下転輪装置の要部構造説明図が示されている。また、図2には、本実施形態の中空シャフトの構造説明図が示されている。
図1に示される下転輪装置は、トラックフレームの下面に取り付けられた軸サポート部材(いずれも図示省略)によって両端部(後述する小径軸部15,15′)が固定・支持される中空シャフト1と、この中空シャフト1の外周面に所定間隔を存して嵌められる一対のブッシュ2と、これらブッシュ2を介して中空シャフト1に回転自在に支持される下転輪3と、この下転輪3の中空シャフト1に対するスラスト方向移動をスラスト軸受4を介して規制するために下転輪3の各端面に装着されるキャップアッセンブリ5とを備えて構成されている。なお、後述する中空部13,13′には潤滑油が八分目程度充填される。また、各キャップアッセンブリ5には図示されないシール装置が内蔵されており、このシール装置により、下転輪3内部で循環される潤滑油が外部に漏洩しないように、また外部からの土砂等が下転輪3内部に侵入しないようにされている。
中空シャフト1は、図2(a)に示されるように、一端側(図において左側)に配されて当該中空シャフト1の図において左半分を構成する中空部材11と、他端側(図において右側)に配されて当該中空シャフト1の図において右半分を構成する中空部材12とが、互いの軸線を一致させた状態で開口端同士を突き合わせて溶接により接合されて構成されている。
一端側の中空部材11は、丸穴状の中空部13を有する中空部材本体14と、この中空部材本体14の閉鎖端側に一体的に設けられその中空部材本体14よりも小径の小径軸部15とより構成されている。ここで、中空部材本体14には、下転輪3と中空シャフト1との間に形成される隙間16(図1参照)と、中空部13とを連通する一対の油孔17,18が、鉛直方向に対向配置で設けられており、中空部13内に溜められた潤滑油が鉛直下方側の油孔17から送り出されてブッシュ2やスラスト軸受4の摺動面を潤滑し、この摺動面の潤滑に供された潤滑油が鉛直上方側の油孔18から中空部13内に還流されるようになっている。
一方、他端側の中空部材12は、その小径軸部15′の中心に中空部13′に繋がる潤滑油充填用孔19が形成されている点以外は基本的に一端側の中空部材11と同形状である。したがって、この他端側の中空部材12において、一端側の中空部材11と同一または同様の構成要素については図に「′」付きの同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとする。なお、潤滑油充填用孔19には、その孔を塞ぐための図示されないプラグが取り付けられており、中空シャフト1内に充填された潤滑油が漏れ出さないようにされている。
一端側の中空部材11と他端側の中空部材12との接合位置には、図2(a)(b)に示されるように、その接合位置内周に当接し、それら中空部材11,12の中空部13,13′を仕切るように所定厚み寸法の円盤状のリブ20が設けられている。このリブ20には、一端側の中空部材11の中空部13と他端側の中空部材12の中空部13′とを連通する複数(本例では5つ)の連通孔21が設けられている。図2(b)に示されるように、これら5つの連通孔21のうち、一つはリブ20の中心Oに配置され、残り4つは所定直径Dのピッチ円上に等間隔で中心Oを基準に鉛直方向および水平方向にそれぞれ対称配置されている。
以上に述べたように構成される中空シャフト1によれば、一端側の中空部材11と他端側の中空部材12との接合位置内周に当接し、それら中空部材11,12の中空部13,13′を仕切るように円盤状のリブ20が設けられるので、従来の中空シャフト101と比較して、接合位置における断面係数を格段に大きくすることができ、肉厚の増加によることなく剛性を格段に高めることができるという効果がある。なお、当然のことながら、接合位置に設けられるリブ20は溶接接合の際に裏当て金として機能するため、溶融金属の溶け落ちを防止して溶接部の健全性を確保することができるとともに、溶接接合時における部材変形を防止することができる。また、中空部13,13′に充填された潤滑油を連通孔21を通して互いに行き来させて流動させることができるので、潤滑油のヒートバランスを適正に保つことができる。
次に、本発明による中空シャフトの構造の具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図3には、製造実施例1の中空シャフトの製造工程説明図が示されている。
〔製造実施例1〕
以下に述べるようにして製造実施例1の中空シャフトを作製した。
(圧入工程1)
まず、図3(a)(b)に示されるように、中空部材11の開口端部に形成された段付き部22に円盤状のリブ20A(連通孔21なし)を圧入する。ここで、段付き部22は、リブ20Aが中空部材11内へ過度に深く押し込まれることなくリブ20Aの厚み寸法の半部程度が中空部材11内へ押し込まれて位置決めされるようにリブ20Aに対する係止部として設けられるものである。
(圧入工程2)
次いで、同図(c)(d)に示されるように、中空部材12の開口端部に形成された段付き部22′にリブ20Aの残り半分部分を圧入し、中空部材11と中空部材12とを突き合わせる。
これら圧入工程1,2により、中空部材11と中空部材12とが互いの軸線を一致させた状態で位置決めされる。
(溶接工程)
そして、同図(e)に示されるように、中空部材11と中空部材12との突き合わせ部分に対してアーク溶接機25によるアーク溶接を全周に亘って施して両者を接合する。
以下に述べるようにして製造実施例1の中空シャフトを作製した。
(圧入工程1)
まず、図3(a)(b)に示されるように、中空部材11の開口端部に形成された段付き部22に円盤状のリブ20A(連通孔21なし)を圧入する。ここで、段付き部22は、リブ20Aが中空部材11内へ過度に深く押し込まれることなくリブ20Aの厚み寸法の半部程度が中空部材11内へ押し込まれて位置決めされるようにリブ20Aに対する係止部として設けられるものである。
(圧入工程2)
次いで、同図(c)(d)に示されるように、中空部材12の開口端部に形成された段付き部22′にリブ20Aの残り半分部分を圧入し、中空部材11と中空部材12とを突き合わせる。
これら圧入工程1,2により、中空部材11と中空部材12とが互いの軸線を一致させた状態で位置決めされる。
(溶接工程)
そして、同図(e)に示されるように、中空部材11と中空部材12との突き合わせ部分に対してアーク溶接機25によるアーク溶接を全周に亘って施して両者を接合する。
〔製造実施例2〕
連通孔21が設けられていない円盤状のリブ20Aに代えて連通孔21が設けられている円盤状のリブ20を用いた点以外は製造実施例1と同様にして製造実施例2の中空シャフトを作製した。
連通孔21が設けられていない円盤状のリブ20Aに代えて連通孔21が設けられている円盤状のリブ20を用いた点以外は製造実施例1と同様にして製造実施例2の中空シャフトを作製した。
〔製造比較例1〕
リブ20Aに代えて従来技術に係るリング状の裏当て金113(図8参照)を用い、またアーク溶接機25に代えて電子ビーム溶接機を用いた点以外は製造実施例1と同様にして製造比較例1の中空シャフトを作製した。
リブ20Aに代えて従来技術に係るリング状の裏当て金113(図8参照)を用い、またアーク溶接機25に代えて電子ビーム溶接機を用いた点以外は製造実施例1と同様にして製造比較例1の中空シャフトを作製した。
〔製造比較例2〕
リブ20Aに代えてリング状の裏当て金113を用いた点以外は製造実施例1と同様にして製造比較例2の中空シャフトを作製した。
リブ20Aに代えてリング状の裏当て金113を用いた点以外は製造実施例1と同様にして製造比較例2の中空シャフトを作製した。
〔製造比較例3〕
リブ20Aに代えてリング状の裏当て金113を用い、また中空部材11,12の各中空部材本体14,14′を20%厚肉化した点以外は製造実施例1と同様にして製造比較例3の中空シャフトを作製した。
リブ20Aに代えてリング状の裏当て金113を用い、また中空部材11,12の各中空部材本体14,14′を20%厚肉化した点以外は製造実施例1と同様にして製造比較例3の中空シャフトを作製した。
図4には、各製造比較例および各製造実施例の中空シャフトにおける溶接部の拡大断面図が示されている。
溶融金属の溶け込みを細く深くできる電子ビーム溶接では、図4(a)に示されるように、溶け込み深さがHに対してルート部の溶け込み幅がW1で比較的幅が狭い。これに対して、アーク溶接で電子ビーム溶接と同等の溶け込み深さHを得るには、例えばV形の開先を設けて多層盛溶接を行わなければならない。このため、同図(b)および同図(d)(e)に示されるように、溶け込み深さがHに対してルート部の溶け込み幅がW1よりもかなり広いW2となる。
図5には、疲労試験方法の説明図が示されている。また、図6には溶接部におけるルート部応力および表面応力のFEM解析結果を表わす図が、図7には疲労試験結果を表わす図が、それぞれ示されている。
製造比較例1〜3および製造実施例1,2の各中空シャフトについて、図5に示されるように、両端部を固定し、軸方向中間部に対してラジアル荷重Fを鉛直上方から作用させた場合の溶接部におけるルート部応力および表面応力をそれぞれFEM解析により求めた。その結果が図6に示されている。ここで、表面応力とは軸径方向からの荷重により中空シャフトの外周表面に作用し、軸方向に引張りとなる応力をいう。例えば図5中記号P矢印で示される部分の応力である。また、製造比較例1〜3および製造実施例2の各中空シャフトについて、図5におけるラジアル荷重Fを所定の周期で繰り返し作用させて疲労試験を行った。その結果が図7に示されている。
まず、製造比較例1の中空シャフトと製造比較例2の中空シャフトを比較・検討する。図6に示されるように、製造比較例1の中空シャフトの表面応力と製造比較例2の中空シャフトの表面応力は略同じである。一方、製造比較例2の中空シャフトのルート部応力は、製造比較例1の中空シャフトのルート部応力よりも高い値となっている。これは、ルート部の溶け込み幅が広くなると、ルート部応力が大きくなる関係にあることを示している。図7に示されるように、製造比較例2の中空シャフトは製造比較例1の中空シャフトと比べてその耐久性が著しく劣り、ルート部応力が耐久性に大きな影響を及ぼすことが分かる。製造比較例1の中空シャフトと製造比較例2の中空シャフトはその基本構造が同一であるにも関わらず、製造段階において電子ビーム溶接を施すかアーク溶接を施すかによってその耐久性に優劣が生じてしまい、電子ビーム溶接を施した製造比較例1の中空シャフトの方が耐久性に優れているという結果が得られた。しかしながら、製造上、汎用性の高いアーク溶接を選択したいというニーズがある。
次に、製造比較例2の中空シャフトと製造比較例3の中空シャフトを比較・検討する。図6に示されるように、製造比較例2の中空シャフトの表面応力と製造比較例3の中空シャフトの表面応力は略同じである。一方、製造比較例3の中空シャフトのルート部応力は、製造比較例2の中空シャフトのルート部応力よりも低い値で製造比較例1の中空シャフトのルート部応力相当となっている。これは、中空部材本体14,14′の肉厚増により、ルート部応力を低減することができることを示している。図7に示されるように、製造比較例3の中空シャフトは製造比較例1の中空シャフトと同程度の耐久性を有しており、製造比較例1の中空シャフトとその基本構造が同一で、製造段階においてアーク溶接を採用した場合、製造比較例1の中空シャフトと同程度の耐久性を確保するためには、中空部材本体14,14′の肉厚を20%程度増加させる必要があるという結果が得られた。しかしながら、肉厚の増加により重量の増加を免れないという問題がある。
次に、製造実施例1の中空シャフトと製造比較例3の中空シャフトを比較・検討する。図6に示されるように、製造実施例1の中空シャフトのルート部応力は、製造比較例3の中空シャフトのルート部応力よりも格段に低い値となっている。これは、接合位置に円盤状のリブ20A(連通孔21なし)を設けることにより、製造段階においてアーク溶接を採用した場合でも肉厚の増加によることなく剛性を格段に高めることができることを示している。
次に、製造実施例1の中空シャフトと製造実施例2の中空シャフトを比較・検討する。図6に示されるように、製造実施例2の中空シャフトのルート部応力は、製造実施例1の中空シャフトのルート部応力よりもほんの僅かだけ高い値となっているが、製造比較例3の中空シャフトのルート部応力よりも格段に低い値であることには変わりがない。一方、製造実施例2の中空シャフトの表面応力は、製造実施例1の中空シャフトの表面応力よりも低い値となっている。これは、連通孔21によってリブ20の鉛直方向のクッション性が高められ、これによって表面応力が緩和されたことを示している。図7に示されるように、製造実施例2の中空シャフトは優れた耐久性を有している。
以上のことから、製造実施例1および製造実施例2によれば、汎用性の高いアーク溶接を用いて、肉厚の増加によることなく剛性や耐久性が格段に高められた中空シャフトを得ることができる。また、連通孔21は、潤滑油の流動性を確保する上で有効に働くのみならず、表面応力の調整にも有効に働くことが分かった。
なお、上記実施の形態および実施例においては、履帯式走行装置における下転輪を支持する中空シャフトに本発明が適用された例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、履帯式走行装置における遊動輪を支持する中空シャフトに本発明を適用することも可能である。また、前記リブ20においては、5つの連通孔21が設けられ、これら5つの連通孔21のうち、一つはリブ20の中心Oに配置され、残り4つは所定直径Dのピッチ円上に等間隔で中心Oを基準に鉛直方向および水平方向にそれぞれ対称配置されているが、表面応力の調整等のために、連通孔21の配置や個数、孔径の大きさ、孔形状等をその趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更・調整することができるものである。
1 中空シャフト
3 下転輪(車輪)
11 中空部材(一端側)
12 中空部材(他端側)
13 中空部(中空部材11側)
13′ 中空部(中空部材12側)
20 リブ(連通孔21あり)
20A リブ(連通孔21なし)
21 連通孔
3 下転輪(車輪)
11 中空部材(一端側)
12 中空部材(他端側)
13 中空部(中空部材11側)
13′ 中空部(中空部材12側)
20 リブ(連通孔21あり)
20A リブ(連通孔21なし)
21 連通孔
Claims (3)
- 一端側に配される開口部を有する中空部材と他端側に配される開口部を有する中空部材とが互いの軸線を一致させた状態で開口端同士を突き合わせて溶接により接合されてなり、車輪を支持する中空シャフトの構造において、
前記一端側の中空部材と他端側の中空部材との接合位置内周に当接し、それら中空部材の中空部を仕切るように円盤状のリブを設けることを特徴とする中空シャフトの構造。 - 前記リブには、前記一端側の中空部材の中空部と前記他端側の中空部材の中空部とを連通する連通孔が設けられる請求項1に記載の中空シャフトの構造。
- 前記車輪は、履帯式走行装置の下転輪である請求項1または2に記載の中空シャフトの構造。
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---|---|---|---|---|
US20100304919A1 (en) * | 2009-06-02 | 2010-12-02 | Schaeffler Technologies Gmbh & Co. Kg | Machine element |
US9908572B2 (en) | 2015-09-24 | 2018-03-06 | Caterpillar Inc. | Track roller assembly |
-
2007
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20100511 |