JP2008212461A - 整形外科手術器具セット - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造を有するとともにインプラントに対する着脱作業が容易で、かつ、インプラントに対する確実な操作が可能な整形外科手術器具セットを提供する。
【解決手段】本発明の整形外科手術器具セットにおいて、操作器具50は、前記操作器具が固定部材40に装着された状態において前記固定部材に係合したスリーブ部材30に向けて突出可能に構成された当接部材54を有し、該当接部材はその突出状態において前記スリーブ部材に当接して前記スリーブ部材と前記固定部材の係合状態を維持することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は整形外科手術器具セットに係り、特に、骨に係合固定される軸状部材と、該軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、その基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、前記スリーブ側係合部に対して係合する固定側係合部、及び、該固定側係合部から延在する固定プレート部を有し、該固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口部を備えてなる固定部材と、を含むインプラントシステムを使用する際に用いる操作器具の構造に関する。
一般に、ラグスクリュウと呼ばれる骨ネジ等からなる軸状部材と、この軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、その基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、前記スリーブ側係合部に対して係合する固定側係合部、及び、該固定側係合部から延在する固定プレート部を有し、該固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口部を備えてなる固定部材と、を含む骨手術用のインプラントシステムが知られている(例えば、以下の特許文献1乃至3参照)。
上記のように構成されたインプラントシステムでは、骨に係合固定される軸状部材を挿通可能に構成されたスリーブ部材と、骨の外面上に固定される固定部材とが別体に設けられていることにより、軸状部材及びスリーブ部材を先に骨内に導入固定し、その後に固定部材をスリーブ部材に係合させることができるため、手術の低侵襲化、すなわち、手術時の切開範囲を小さくして患者の負担を軽減することが可能になるという利点があり、近年の小切開手術(MIS:Minimally Invasive Surgery)の流れに沿った最小侵襲プレート固定術(MIPO:Minimally Invasive Plate Osteosynthesis)の実施に適した構造を有するものとなっている。
一方、このインプラントシステムでは、スリーブ部材のスリーブ側係合部と、固定部材の固定側係合部とを体内において確実に係合させる必要があるが、これらの係合作業を手作業で行うことは困難であり、また、両者が確実に係合したことを確認することも難しいという問題点がある。そこで、このようなインプラントシステムの係合作業を容易に行うことができるようにするために、スリーブ部材に取り付けられる第1の器具と、固定部材に取り付けられる第2の器具とをそれぞれ設け、第1の器具と第2の器具を第3の器具を介して位置決めすることにより、スリーブ部材と固定部材とを確実に係合させることができるように構成してなる装置が提案されている(例えば、以下の特許文献4参照)。
米国特許第4438762号明細書 特開平8−98846号公報 特開2002−65687号公報 特表2005−511116号公報
しかしながら、前述の第1乃至第3の器具を備えた装置においては、スリーブ部材に第1の器具を取り付け、固定部材に第2の器具を取り付けた上で、第1の器具と第2の器具を第3の器具を介して位置決めすることで、スリーブ部材と固定部材とを完全に係合させるようにしているため、インプラントに対する第1乃至第3の器具の取り付け作業及び取り外し作業が煩雑であるという問題点があった。
一方、上記のような複数の器具を用いない場合には、共に体内に埋設されたスリーブ部材と固定部材を正確に位置決めして係合させることが難しく、また、スリーブ部材と固定部材とが係合したとしても、固定部材を保持したまま完全な係合状態に達したか否かをX線画像等で確認しなければならないため、煩雑な作業となり、手術者の熟練が必要とされるという問題点がある。さらに、X線画像等での確認にも熟練を要するため、スリーブ部材と固定部材とが完全に係合しない状態、すなわち不完全に係合した状態で固定部材の固定プレート部を大腿骨にねじ固定してしまう結果、手術をやり直さなければならない場合があった。
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、簡易な構造を有するとともにインプラントに対する着脱作業が容易で、かつ、インプラントに対する確実な操作が可能な整形外科手術器具セットを提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の整形外科手術器具セットは、軸状部材と、該軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、該スリーブ部材の前記スリーブ側係合部に対して係合可能となるように一方の端部寄りに設けられた固定側係合部、及び、該固定側係合部から他方へ向けて延在する固定プレート部を有し、前記固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口を備えてなる固定部材と、前記スリーブ側係合部に前記固定側係合部を係合可能な態様で前記固定部材を装着可能に構成されてなる操作器具と、を具備する整形外科手術器具セットであって、前記操作器具は、前記操作器具が前記固定部材に装着された状態において前記固定部材に係合した前記スリーブ部材に向けて突出可能に構成された当接部材を有し、該当接部材はその突出状態において前記スリーブ部材に当接して前記スリーブ部材と前記固定部材の係合状態を維持することを特徴とする。
この発明によれば、操作器具を固定部材に装着した状態で固定部材に係合したスリーブ部材に向けて当接部材を突出させ、突出状態とすることで当接部材がスリーブ部材に係合してスリーブ部材と固定部材の係合状態を維持するため、当接部材を突出状態とすることでスリーブ部材と固定部材の係合状態を確認することができるとともに、当該係合状態が維持されるので操作器具をスリーブ部材に対する所定位置に保持する必要もなくなる。したがって、手術者は手術中にX線画像等を参照しなくてもスリーブ部材と固定部材が係合状態にあることを知り、安心して手術を続行できるとともに、スリーブ部材と固定部材とが係合状態にない態様で固定部材を誤って骨に固定してしまうことも防止される。また、スリーブ部材と固定部材とにそれぞれ別途の第1及び第2の器具を取り付けたり取り外したりし、さらに、第1の器具と第2の器具を第3の器具で相対的に位置決めしたりする必要がなくなるため、器具としての構造を簡易に構成できるとともに着脱作業が容易になる。
本発明において、前記当接部材は、前記突出状態において前記スリーブ貫通孔の内面のうち前記スリーブ部材に対する前記固定部材の係合方向とは逆側にある内面部に当接して前記係合状態を維持することが好ましい。これによれば、スリーブ貫通孔の上記内面部に突出状態にある当接部材を当接させることで簡易な構造でも確実にスリーブ部材と固定部材の係合状態を維持できる。
本発明において、前記当接部材は、その突出過程において前記スリーブ部材に押圧力を与え、前記スリーブ部材と前記固定部材とを相対的に前記係合状態へ向けて駆動するように構成されていることが好ましい。これによれば、当接部材の突出過程においてスリーブ部材に押圧力を与え、スリーブ部材と固定部材とを相対的に係合状態へ向けて駆動させることができるため、スリーブ部材と固定部材とを予め最終的な係合状態にしておかなくても、両部材の係合途中において当接部材を突出動作させるだけで最終的な係合状態を得ることが可能になるから、両部材の係合作業を容易に行うことが可能になる。
本発明において、前記スリーブ部材と前記当接部材の対応する当接部位のうち、少なくとも一方の前記当接部位が前記当接部材の突出方向に対して傾斜した傾斜面部を有し、該傾斜面部は前記当接部材の前記突出過程において他方の前記当接部位との間に前記押圧力に基づいて前記係合状態へ向かう駆動力成分を生じさせることが好ましい。このようにすると、スリーブ部材と当接部材の当接部位のうち少なくとも一方に当接部材の突出方向に対して傾斜した傾斜面部が形成されることで、その突出方向とは異なる方向に押圧力の駆動力成分を生じさせることができるが、当該成分を係合状態へ向かう方向の成分とすることで、スリーブ部材と固定部材を係合状態へ向けて駆動することが可能になる。したがって、上記傾斜面部によって当接部材の突出方向の自由度が高められるため、複雑な構造を設けなくても操作器具を構成できるなど、操作器具の設計を容易に行うことが可能になる。
本発明において、前記当接部材は、前記操作器具の本体部分に対して突出方向に沿った軸線を備えた螺合構造により進退可能に取り付けられていることが好ましい。これによれば、当接部材を回転させることで当接部材を操作器具の本体部分に対して容易に突出させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。最初に、図4乃至図7を参照して本発明に係る軸状部材、スリーブ部材、及び、固定部材からなるインプラントシステムについて説明する。図4(a)はこのインプラントシステムの組み立て状態を示す側面図、図4(b)は同組み立て状態の正面図、図5(a)はスリーブ部材及び固定部材の分解正面図、図5(b)は同分解底面図、図6(a)は上記インプラントシステムの分解縦断面図、図6(b)は固定部材の背面図、図6(c)は固定部材の平面図、図6(d)は固定部材の底面図、図6(e)はスリーブ部材の縦断面図である。
このインプラントシステムは、骨内に導入された状態で骨に係合固定される、例えば骨ネジ(ラグスクリュウ)等で構成される軸状部材10と、この軸状部材10を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔30aを備え、その基端側にスリーブ側係合部32が設けられたスリーブ部材30と、このスリーブ部材30のスリーブ側係合部32に対して係合可能となるように一方の端部寄りに設けられた固定側係合部41、及び、この固定側係合部41から他方へ向けて軸状部材10の軸線方向に対して鈍角を有する方向に延在する固定プレート部42を有し、前記固定側係合部41にスリーブ貫通孔に連通する固定側開口41aを備えてなる板状の固定部材40と、を含む。これらの各部材は生体適合性を有する素材、例えば、ステンレス鋼、純チタン、チタン合金等によって構成することが好ましい。
この軸状部材10は、先端に骨係合要素としてのスクリュウ11を有するとともに基端に工具係合部12を有し、先端から基端まで一様に伸びる軸孔10aを備えたものである。スクリュウ11は、骨の内部に係合するタッピングネジであり、骨に螺入された状態で骨に対して軸状部材10を軸線方向に固定する。また、工具係合部12には端部に開口する係合穴12aが設けられ、この係合穴12aが図示しない回転工具に係合した状態で回転駆動されるようになっている。軸孔10aは図示しないガイドワイヤを挿通可能にするためのものである。この軸孔10aを用いて当該ガイドワイヤを挿通させた状態で、軸状部材10は上記ガイドワイヤに案内されながら骨に螺入されるようになっている。
なお、この軸状部材10は図示例の場合には骨ネジとして構成されているが、骨内に導入されて骨に係合固定される軸状の部材であれば如何なるものであってもよく、例えば、骨に係合固定される拡径可能又は膨張可能な先端係合部を備えたもの、或いは、骨に打ち込まれて係合固定される種々の断面を有する骨釘などで構成することも可能である。
スリーブ部材30は、筒状部31と、この筒状部31の端部に接続された鍔状のスリーブ側係合部32とを有している。スリーブ部材30には筒状部31及びスリーブ側係合部32を貫通するスリーブ貫通孔30aが設けられ、このスリーブ貫通孔30aは軸状部材10の工具係合部12及び軸部13が挿通可能となるように構成されている。図6(e)に示すように、筒状部31の先端部にはスリーブ貫通孔30aの内径が他よりも小径となるように構成された抜け止め部31aが形成され、この抜け止め部31aは軸状部材10の工具係合部12が通過できないように構成されている。これによって、図示例の場合には軸状部材10とスリーブ部材30とが図4(a)及び図6(a)に示す状態で出没自在に、しかしながら相互に分離しないように組み立てられている。
また、抜け止め部31aの内面には、図6(e)に示すように、軸線を挟んで両側に一対の平坦な内面部31bが形成されている。この内面部31bは軸状部材10の軸部13に設けられた一対の外面部13aに係合することにより、軸状部材10が軸線周りに回転しないように規制する。ただし、軸状部材10の工具係合部12が上記抜け止め部31aに係合して、軸状部材10がスリーブ部材30より最も突出した状態とされたときには、抜け止め部31aの内面が軸状部材10の小径のネック部13bに対向し、これによって内面部31bによる軸状部材10の回転止め作用が解除されて、軸状部材10がスリーブ30部材に対して回転自在に構成されるようになっている。
また、スリーブ部材30のスリーブ側係合部32は図示上下方向にスライドさせることにより固定部材40の固定側係合部41と係脱可能となるように構成されている。ここで、図5(a)に示すように、スリーブ貫通孔30aのスリーブ側係合部32に設けられた開口縁には係合マーク32tが形成されている。この係合マーク32tは図示例の場合には固定側開口41aを取り巻く閉曲線状に構成され、好ましくは固定側開口41aに沿った形状、例えば、楕円若しくは長円状に形成される。係合マーク32tは、スリーブ部材30の表面を覆う表面被膜(例えば、純チタン又はチタン合金の酸化被膜)をレーザ光等で除去することによって形成されることが望ましい。
スリーブ側係合部32と固定側係合部41は図5及び図6に示すようにテーパ状の係合面32sと41sを有し、スリーブ部材30に対して固定部材40を上述の係合方向である図示上方向にスライドさせることにより両部材は厚み方向に重なった状態で係合する。具体的には、スリーブ側係合部32には逆台形状の凸部が厚み方向に突設され、この凸部の外周側面に上記係合面32sが形成されている。また、固定側係合部41には逆台形状の凹部が厚み方向に上記凸部と嵌合する形状に形成され、この凹部の内周側面に上記係合面41sが形成されている。係合面32sと41sはそれぞれ平面視U字型に形成されており、広範囲に亘ってスリーブ部材30と固定部材40が厚み方向に離脱しないように規制している。また、スリーブ側係合部32と固定側係合部41とは平面的な重なり範囲内でほぼ等しい幅を有し、両係合部の境界線が両係合部の重ね合わせ部分の側部にのみ表れるように構成されている。
固定部材40は、上記固定側係合部41と、この固定側係合部41から伸びる固定プレート部42とを有している。固定側係合部41には、スリーブ部材30と固定部材40とが係合した状態でスリーブ部材30のスリーブ貫通孔30aと連通するように形成された固定側開口41aが設けられている。この固定側開口41aは、上記組み立て状態において軸状部材10の工具係合部12若しくは軸部13の基端側が通過できるように構成されている。スリーブ部材30と固定部材40とを図4に示すように完全に係合させたとき、固定側開口41aの内側に上記の係合マーク32tが隠れたり視認されたりするように構成されており、これによってスリーブ側係合部32と固定側係合部41とが完全に係合しているか否かを確認できるようになっている。図示例の場合、スリーブ側係合部32と固定側係合部41の完全な係合状態(固定側係合部41がスリーブ側係合部32の最奥部まで挿入されて突き当たった状態)において図4に示すように係合マーク32tが隠れるように構成されているが、完全な係合状態において係合マーク32tが固定側開口41aの内縁に沿って視認されるように構成してもよい。すなわち、係合マーク32tはスリーブ側係合部32と固定側係合部41の完全な係合状態が判別できるものであればよい。
上記固定側開口41aの開口範囲は固定部材40の延長方向に沿って延長された延長形状(楕円状若しくは長円状)に構成されている。固定側開口41aは上記スリーブ部材30のスリーブ貫通孔30aと連通し、固定側開口41aの開口範囲の少なくとも一部は、スリーブ貫通孔30aの軸線に沿って見たときにスリーブ貫通孔30aの開口範囲と一致する開口範囲を有するように構成されている。すなわち、軸状部材10の基端側(工具係合部12と軸部13)がスリーブ貫通孔30aから固定側係合部41側へ突出しても、固定側係合部41に抵触せずに固定側開口41aを通過できるように構成されている。ここで、固定側開口41aの内面のうち、一方の端部(図4の上端)側の内面部及び他方の端部(図4の下端)側の内面部(後述する対向内面部)は共に上記スリーブ貫通孔30aの軸線と平行に傾斜している。特に、一方の端部側の内面部は、固定側開口41aの開口縁の厚み方向全体に亘ってスリーブ部材30の側に斜めに向いた傾斜内面部41tとなっている。そして、上記組み立て状態において傾斜内面部41tとスリーブ側係合部32(の正面側端面若しくはこれに開口するスリーブ貫通孔30aの開口面)との間には間隔が存在する。また、図示例の場合、傾斜内面部41tはスリーブ貫通孔30aの内面に沿った、そして好ましくは組み立て状態において当該内面と連続した、凹曲面状に構成されている。なお、この傾斜内面部41tは、後述する操作器具50の係合部材51に係合可能とされていればよいので、スリーブ部材30の側に向き、スリーブ側係合部32との間に間隔を有する張出内面部となっていればよい。例えば、スリーブ側係合部32に対して正対した姿勢で間隔を有して対向する面であってもよい。
固定側開口41aの開口縁が上記のように構成されている理由は、固定部材40の一方の端部近傍には、軸状部材10に加えられる応力(大腿骨の骨頭部に軸状部材10が導入される場合には、図4の下方へ向けて加わる患者の体重に起因する応力)がスリーブ部材30を介して伝達されるので、上記応力に耐えうる剛性を確保するために、固定側開口41aの開口縁のうち一方の端部側の開口縁部分を特に肉厚に構成する必要があるためである。すなわち、固定側開口41aを上記軸状部材10の基端側が通過可能となるように固定部材40の一方の端部の剛性を確保するには、軸状部材10の通過を妨げない範囲で傾斜内面部41tの張出量を大きくとることが要求される。この場合、一方の端部の剛性を確保する上で最も好ましい態様は、傾斜内面部41tを図示例のように厚み方向全体に亘り傾斜した内面部分で構成し、しかも、傾斜内面部41tがスリーブ貫通孔30aの内面と連続するもの(なお、図示例では間に僅かな段差が生ずる。)である。
また、本実施形態では固定側係合部41から固定プレート部42が軸状部材10の軸線10xに対して鈍角となる方向に延在しているので、傾斜内面部41t等の張出内面部を固定側開口41aの固定部材40の一方の端部側に設けることは、固定部材の剛性を高める上で有利である。この場合には、軸状部材10の基端側が固定側開口41aを通過できるように構成しても張出内面部の張出量を充分に確保でき、特に、傾斜内面部41tを軸線10xに沿って傾斜させるとともに、スリーブ貫通孔30aに連続するように形成すれば、固定部材40の一方の端部の肉厚を充分に確保できるからである。さらに、傾斜内面部41tをスリーブ貫通孔30aの内面に沿った凹曲面状とすれば、固定部材40の剛性をなおさら高めることができる。
一方、固定プレート部42には複数のネジ孔42aが形成されている。これらのネジ孔42aは図示しない骨ネジの軸部を通過させたときに当該骨ネジの頭部に係合するように構成され、この骨ネジによって固定プレート部42が骨の外側面上に固定される。
上記のように構成されたインプラントシステムは、大腿骨の骨頭部近傍の骨折を治療する場合には例えば以下のように用いられる。まず、大腿骨の外側面から骨頭部内へ向けて図示しないガイドワイヤを刺入し、このガイドワイヤを案内手段としてリーマ等の穿孔器具で骨に穴を開ける。このとき、骨に開けられた穴は、奥の部分が軸状部材10に対応する小さな穴径を有し、浅い部分がスリーブ部材30の筒状部31の外径に対応するより大きな穴径を有する段付穴形状とされる。その後、上記ガイドワイヤを図6(a)に示す軸状部材10とスリーブ部材30の組み立て体に挿通させ、このガイドワイヤを案内手段として軸状部材10を骨に導入(螺入)する。そして、図示しない回転工具の先端の回転操作部をスリーブ貫通孔30aに挿入し、軸状部材10の工具係合部12と係合させる。このとき、スリーブ部材30を回転工具の手元側に引き出しておき、上記ネック部13bが筒状部31の抜け止め部31a及び平坦部31bに対向することで軸状部材10がスリーブ部材30に対して回転自在に構成されるようにする。
上記の状態で回転工具を回転させて軸状部材10を骨に導入(螺入)していく。軸状部材10が十分な深さに導入された(ねじ込まれた)こと(すなわち、スクリュウ11の先端が骨頭部内の皮質近傍に到達したこと)をX線画像等の透視画像などで確認してから、導入作業を終了する。
しかる後に、スリーブ部材30を骨内に押し込み、筒状部31の内面部31bが軸状部材10の外面部13aと係合し、軸状部材10とスリーブ部材30とが軸線周りに固定されるようにする。そして、スリーブ部材30のスリーブ側係合部32の裏面を骨面に密着させる。その後、固定部材40を体内に挿入し、大腿骨の外側面に沿って固定側係合部41をスリーブ部材30のスリーブ側係合部32にスライド係合させる。最後に、固定部材40の固定プレート部42を図示しない骨ネジによって大腿骨の外表面上に(管状骨の長手方向に沿って)固定する。
本実施形態では、上記のように軸状部材10の外面部13aとスリーブ部材30の内面部31bが回転方向に係合することによって軸状部材10がスリーブ部材30に対して軸線10x方向にはスライド可能であるが、回転不能の状態になる。ただし、軸状部材10の回転による骨頭部の回旋を防止する必要がなければ、上述の軸状部材10とスリーブ部材30の回転方向の係合構造は不要であり、この場合には両者は常に回転自在に連結された状態とされる。
また、本実施形態では、スリーブ側係合部32と固定側係合部41が内部に配置された係合構造(凸部と凹部)によって厚み方向に係合しているため、スリーブ側係合部32と固定側係合部41の重ね合わせ部分が小型化(狭幅化)され、特に、大腿骨のサイズが小さい東洋人や骨の強度が弱い高齢者に対する手術でも患者への負担を軽減することができるという効果が得られる。
さらに、本実施形態では、スリーブ側係合部32の幅や長さを低減できるため、手術時の切開範囲を低減して、手術の低侵襲性を向上させることができる。特に、本実施形態のインプラントシステムでは、スリーブ部材30と固定部材40を別体とし、これらを着脱可能に構成することで、手術の低侵襲化を図ることに成功しているが、さらに、スリーブ部材30のスリーブ側係合部32の長さ(図5(a)における上下方向の寸法)及び幅(図5(a)における左右方向の寸法)を小さくすることで、切開範囲をより低減することができ、手術の低侵襲性をいっそう向上させることができる。
図7は上記インプラントシステムの変形例を大腿骨に装着した様子を示す縦断面図である。ここで、図示例のインプラントシステムでは、固定部材40′の構造が上記実施形態と異なるのみであり、他の軸状部材10及びスリーブ部材30は上記実施形態と同一の構造を有する。また、大腿骨に対する軸状部材10の係合固定状態や固定部材40′の固定プレート部42の大腿骨の外側面上への骨ネジ48を用いた固定態様は先の実施形態と同様である。
固定部材40′は、先の実施形態と同様の固定側係合部41及び固定プレート部42とを備えているが、さらに、固定側係合部41から固定プレート部42とは反対側に伸びる延長部43を備えている点で上記実施形態と異なる。この延長部43には1又は複数のネジ孔43aが設けられ、このネジ孔43aに他の骨ネジ(ラグスクリュウ)47を挿通させ、係合保持することができるようになっている。このような構造は、特に、大腿骨の近位端に複雑な骨折が生じている場合に、複数の骨片を確実に固定することができる点で好ましく、或いはまた、大腿骨の骨頭部が軸状部材10(ラグスクリュウ)を中心に回旋してしまうことを防止することができる点でも好ましい。
なお、本実施形態のインプラントシステムでは上記完全な係合状態とされたときに支障なく機能するように構成されているが、一般的には、上記完全な係合状態だけでなくスリーブ側係合部32に対する固定側係合部41の係合深さが所定の範囲内で支障なく機能するのであれば、当該範囲内にある場合を本発明において「係合状態」と呼ぶこととする。
次に、上記インプラントシステムに用いることができる操作器具の構造について詳細に説明する。図1(a)は本発明に係る整形外科手術システムの一部を構成する操作器具50の部分断面図、図1(b)は図1(a)の操作器具50を図示右側から見た側面図、図2は操作器具50の固定部材40に対する保持固定動作を示す説明図、図3は操作器具50の突出動作(スリーブ部材30に対する当接動作、あるいは押圧動作)を示す説明図である。
操作器具50は、装着部50Aと、この装着部50Aの基端に接続された把持部50Bとを有し、装着部50Aは、係合部材51と、保持部材52と、係合部材51と保持部材52を相対的に移動させるための移動部材53とを備えた本体部分を有している。また、この本体部分には、装着部50Aを固定部材40に装着した状態で当該固定部材40をスリーブ部材30に係合させたとき、スリーブ部材30側へ突出可能となるように構成された当接部材54が取り付けられている。一方、把持部50Bには、把持柄55と、この把持柄55の先端に回転可能に取り付けられた操作つまみ56とが設けられている。
係合部材51は、端部51a(図示下端)に上記固定部材40に係合する楔状の内面係合部51bを備えている。この内面係合部51bは、上記傾斜内面部41tとほぼ整合する形状の係合外面部51sを有している。係合外面部51sは、図示例の場合上記傾斜内面部41tの傾斜面に対応する厚み方向に傾斜した外面形状を備え、より具体的には、スリーブ貫通孔30aの内面に沿った凹曲面状の傾斜内面部41tに嵌合する凸曲面状に構成されている。また、端部51aは上記固定側開口41a内に導入可能に構成され、固定側開口41aの開口範囲をそのまま軸線方向に延長させた仮想範囲と対応する開口形状(例えば、楕円状若しくは長円状)を有している。さらに、係合部材51の基端側にはネジ孔51cが設けられ、このネジ孔51cが設けられた部分は保持部材52の内部に収容されている。なお、固定部材40に操作器具50を装着した状態で、端部51aの端面は固定部材40の固定側開口41aの開口面と平行な平坦面となっており、また、当該状態でスリーブ部材30に干渉せずに固定部材40の取り外しを可能とするに充分な程度に係合部材51が保持部材52に対して離反する方向に移動できるように構成されている。
保持部材52は先端部に形成された平坦な端面52aと、この端面52aの端縁から突出する保持凸部52bとを有している。保持凸部52bの内側には当接内面部52sが設けられている。この当接内面部52sは上記固定部材40の一方の端部の外面部位に嵌合する凹曲面状の内面形状を備えている。上記端面52aには係合部材51の基部を収容する収容穴52cが開口している。この収容穴52cは、端部51aが端面52aから突出する態様となる姿勢で係合部材51を収容し、また、上記係合部材51の係合外面部51sと、保持部材52の当接内面部52sとの距離が増減する方向に係合部材51が移動可能になるように、所定形状に、あるいは、余裕をもって形成されている。さらに、保持部材52には上記収容穴52cに連通する挿通孔52dが設けられている。
移動部材53は、全体として軸体で構成され、先端部に係合部材51のネジ孔51cに螺合するネジ部53aを有するとともに、その基端側は保持部材52内から延在して上記把持部50Bの把持柄55内に挿通され、上記操作つまみ56に接続固定されている。なお、移動部材53の基端部を把持部50Bの内部を挿通させずに別に設けられた操作つまみに接続してもよく、あるいは、当該基端部に、例えば六角形状の凹穴等で構成される工具係合部を設け、この工具係合部により図示しないレンチ等の工具を用いて移動部材53を回転操作することができるように構成されていてもよい。また、上記係合部材51と上記保持部材52との間には移動部材53に挿通されたコイルバネ等で構成される弾性部材57が介挿され、係合部材51を常に保持部材52に対して上記収容穴52cから突出する方向へ押圧(付勢)している。なお、止めネジ58は、移動部材53を保持部材52に保持する抜け止めである。
したがって、操作つまみ56を回転させることで、図2(a)及び(b)に示すように、移動部材53が回転して係合部材51を収容穴52cから出没する方向に移動させることが可能になる。より詳しくは、移動部材53が係合部材51に対してねじ込み方向に回転すると、図2(a)に示すように係合部材51が収容穴52c内に引き込まれ、また、移動部材53が上記と逆の緩め方向に回転すると、図2(b)に示すように係合部材51が弾性部材57の押圧力で収容穴52cから突出する。
図示例の場合、係合外面部51sの傾斜方向は、操作器具50を固定部材40に装着したとき、上記傾斜内面部41tの傾斜方向と平行になるように構成されている。これにより、係合外面部51sが傾斜内面部41tに係合したときの両者の接触面積が増大するので、係合強度を高めることができる。
図2(b)で示す位置に係合部材51が配置された状態では、係合外面部51sと当接内面部52sの距離が離間しているため、内面係合部51bを固定側開口41aから脱出させることができ、また、逆に内面係合部51bを外部から固定側開口41a内に導入することができるようになっている。一方、図2(a)で示す位置に係合部材51が配置された状態では、係合外面部51sと当接内面部52sの距離が接近しているため、内面係合部51bを固定側開口41aから脱出させることができず、また、逆に内面係合部51bを外部から固定側開口41a内に導入することができないようになっている。
したがって、図2(b)の状態で係合部材51の端部51aを固定側開口41a内に導入し、その後、移動部材53を操作して係合部材51を図2(a)で示す位置まで移動させると、内面係合部51bが傾斜内面部41tに係合するとともに当接内面部52sが固定部材40に当接して端部51aが固定側開口41aから脱出不可能な状態となるので、操作器具50が固定部材40に保持された状態とされる。
本実施形態では、係合部材51の係合内面部51sは傾斜内面部41tの凹曲面形状に嵌合する凸曲面状に構成されているので、係合内面部51sを傾斜内面部41tに密接させることにより、操作器具50に装着された固定部材40の保持姿勢を規制することができる。もっとも、係合部材51の端部51aは固定側開口41aの延長形状の開口範囲に嵌合しうる延長形状を有するので、係合内面部51sが傾斜内面部41tに密接しなくても、係合部材51の端部51aが固定側開口41a内に挿入されるだけで、操作器具50に対する固定部材40の姿勢は概略規制される。
ここで、図示例の場合、係合部材51には当接部材54に干渉しないための凹溝51d(図1参照)が形成されているため、端部51aにも上記凹溝51dの開口が形成され、当該開口から後述するように当接部材54が突出するようになっている。
以上説明した上記の操作器具50は図4乃至図6に示す固定部材40に適合したものであるが、図7に示す変形例の固定部材40′を用いる場合には、保持部材52の保持凸部52bの位置及び当接内面部52sの形状等を延長部43の先端に適合するように変更することで対応可能である。たとえば、延長部43に設けられたネジ孔43a内に保持凸部52が嵌合する態様で、ネジ孔43aの内面に当接内面部52sが当接することで固定部材40が操作器具50に保持される構造としてもよい。なお、上記の係合部材51のネジ孔51c、挿通孔52d、及び、雄ネジ53aを備えた移動部材53、さらには必要に応じて使用される上記弾性部材57は、操作器具50を固定部材40に装着するための装着手段を構成する。
再び図1(a)を参照すると、保持部材52には、上記収容穴52cに連通し、保持部材52の外面に開口するネジ孔52eが形成され、このネジ孔52eに上記当接部材54が螺合している。当接部材54は上記ネジ孔52eに螺合するネジ部54aと、このネジ部54aから収容穴52c内に突出する突起部54bとを有する。ネジ部54aには外部に向いた工具係合部(たとえば角穴)が形成され、図示しない工具、たとえばレンチ工具に係合し、当該工具による回転操作で当接部材54が螺合構造の軸線に沿って移動するように構成されている。また、突起部54bは収容穴52c内に突出し、上記回転操作に応じて収容穴52cの開口から突出可能に構成されている。突起部54bの先端には円錐形状若しくは円錐台形状のテーパ面54cが形成されている。このテーパ面54cは上記の傾斜面部に相当する。
本実施形態において、固定部材40に操作器具50が装着されている場合において、当接部材54が図3(a)に示すように収容穴52cから突出していない状態にあるときは、スリーブ部材30と固定部材40を係合状態としたり、逆に、当該係合状態を解除して両部材を分離したりすることができる。これに対して、図3(b)に示すように、上記の係合状態において当接部材54を収容穴52c内からスリーブ部材30の側に突出させると、操作器具50を装着してなる固定部材40の上記固定側開口41aを通して当接部材54の先端部がスリーブ貫通孔30a内に導入され、上記係合状態を解除しようとしても、当該先端部がスリーブ貫通孔30aの内面のうち上記係合方向とは逆側にある内面部30c(図4及び図6参照)に当接するために規制され、当該係合状態が維持される。このように、スリーブ部材30側に突出して上記係合状態を維持することのできる位置にある当接部材54の状態を本発明において「突出状態」と言う。
本実施形態では、当接部材54の先端にテーパ面54cが形成されているため、スリーブ部材30と固定部材40とが係合状態ではなく、不十分に係合している場合(係合深さが浅い場合)であっても、このテーパ面54cが上記内面部30cの上縁(これはスリーブ貫通孔30aの上縁でもある。)に当たる範囲であれば、当接部材54を上記突出状態へ向けて突出させていく過程で、テーパ面54cが上記の上縁に当接したときにスリーブ部材30と固定部材40との間に上記係合方向の駆動力成分が発生するので、当該駆動力成分によりスリーブ部材30と固定部材40とを相対的に上記係合状態へ向かう方向に駆動することができる。したがって、上記範囲内に限られるものの、スリーブ部材30と固定部材40とが上記係合状態になくても、当接部材54を突出させるだけでスリーブ部材30に対して固定部材40を上記係合方向に移動させ、最終的な係合状態を得ることが可能になる。
なお、当接部材54の突出方向はスリーブ貫通孔30aの軸線と平行に設定されているので、スリーブ部材30と固定部材40の係合状態においては、当接部材54のスリーブ貫通孔30a内への挿入深さが増大しても内面部30cに対する当接状態が変化しないように構成されている。したがって、当接部材54をスリーブ貫通孔30a内に意識的に深く挿入することで、係合状態の確認を容易かつ安心して行うことができる。
また、傾斜面部であるテーパ面54cは、当接部材54を突出させる過程でスリーブ部材30の内面部30c(図示例では上縁)との当接で固定部材40をスリーブ部材30に対して係合方向(図4の図示上方向)に駆動する駆動力成分を生じさせているが、このような駆動力成分を発生させる方法は図示例に限らない。たとえば、当接部材54のテーパ面54cの代わりに、スリーブ貫通孔30aの上縁近傍(内面部30cの上部)にテーパ面を形成してもよい。
図8乃至図10は、上記操作器具50を用いて手術を行う際の作業手順を示す概略工程図である。最初に、体表面を切開して図8に示す皮膚開口a及び切開範囲Aを形成する。切開範囲Aは皮膚開口aから軸状部材10の軸線10xに沿って大腿骨の外側面に至るまで斜めに形成される。切開範囲Aの傾斜角度は大腿骨の外側面に対して通常130〜150度程度の角度範囲(これは、上記軸状部材10の軸線10xと固定プレート部42の延在方向との間の角度(鈍角)に対応する。)であり、皮膚開口aの位置及び上記傾斜角度は予め角度テンプレート(アングルチェッカー)等の位置決め器具(図示せず)を用いるなどの方法でX線画像等の透視画像に基づいて設定される。その後、前述のように大腿骨の外側面から、ガイドピンの導入、段付穴を形成するためのリーマ加工、軸状部材10の導入を順次に実施し、図8に示すように軸状部材10及びスリーブ部材30を骨に導入する。
次に、操作器具50を図2(b)に示す状態にして固定部材40に係合させ、図2(a)に示す状態へ移行させることで図8に示すように固定部材40を操作器具50に装着する。そして、固定プレート部42の先端を皮膚開口aから体内に導入し、図9に示すように大腿骨の外側面に沿って固定プレート部42を遠位側へ挿入し、一旦、固定部材40の固定側係合部41がスリーブ部材30のスリーブ側係合部32よりも遠位側に配置される状態とする。その後、図10に示すように大腿骨の外側面に沿って固定部材40を近位側へスライドさせて固定側係合部41をスリーブ側係合部32に係合させる。
上記のようにしてスリーブ部材30と固定部材40とを係合させるが、このときに、操作器具50において当接部材54を図3(a)に示す位置から図3(b)に示す突出状態へ向けて突出させると、当接部材54の押圧力によりスリーブ部材30のスリーブ側係合部32に対して固定部材40の固定側係合部41が係合方向へ駆動され、上記の係合状態にすることができる。
ここで、当接部材54を操作することで当接部材54を突出状態にすることができれば、スリーブ部材30と固定部材40とが係合状態にあることが確認できるから、X線画像等を見なくても安心して手術を続行できる。
また、当接部材54が突出状態にあることで、スリーブ部材30と固定部材40が係合状態に維持されるため、X線画像等を確認したり、固定プレート部を固定するための準備作業をしたりする際に操作器具50を把持し続ける必要もない。さらに、上記の状態では操作器具50、たとえばその装着部50A等に図示しない工具で衝撃を与えて操作器具50をインパクタ代わりに用いることにより、スリーブ部材30を骨面に密接させることができる。特に、当接部材54の基端部の工具係合部(角穴)内に軸状工具の先端を嵌入させてスリーブ部材30の軸線方向に衝撃を加えることが好ましい。従来においてはスリーブ部材30を骨面に密着させるために専用のインパクタを用いる必要があったが、この場合には専用のインパクタを固定プレート部42のネジ孔などに係合させて衝撃を与える必要があるために操作が煩雑であるとともに、当該専用のインパクタを取り外したときにスリーブ部材30が骨面から浮き上がってしまうという問題があった。本実施形態では、予め固定部材40に装着されている操作器具50をインパクタの一部として用いることで、作業の煩雑さを回避できるとともに、スリーブ部材30が骨面に密着した後においてもそのまま操作器具50がスリーブ部材30及び固定部材40に保持され続けるため、スリーブ部材30が骨面から浮き上がる虞も低減される。
上記のように係合状態が得られたら、操作器具50を固定部材40に取り付けたままで、固定部材40の固定プレート部42の少なくとも一つのネジ孔42aに骨ネジを挿通して大腿骨に導入することで、固定部材40を固定する。このとき、固定プレート部42のいずれかのネジ孔42aに対して最初の骨ネジを挿入して骨に螺入させると当該骨ネジの頭部によってネジ孔42aの近位側の開口縁が押圧され、固定部材40が近位側に圧迫されるようにすることで、スリーブ側係合部32と固定側係合部41との完全な係合状態(スライド係合構造が最も深く係合した状態)をより確実に得ることができる。
操作器具50はインプラントシステムを体内から取り外す場合にも用いることができる。この場合には、固定部材40に操作器具50を装着し、固定プレート部42に係合していた骨ネジ等が抜去された状態で操作器具50を用いて固定部材40をスライドさせてスリーブ部材30から取り外し、体外に取り出す。そして、その後に軸状部材10及びスリーブ部材30を骨から抜去する。このようにすると、抜去時の皮膚開口aや切開範囲Aを小さくすることができ、患者に与える負担を軽減できる。このとき、本実施形態の操作器具50では固定部材40に対する装着作業を従来よりも容易に行うことができるため、体内に埋設された固定部材40に対して操作器具50を装着することに困難が生ずることはない。また、本実施形態の操作器具50では固定部材40に対する係合強度(取付剛性)を従来のネジ結合などを用いたものに比べて高めることができるため、固定部材40を取り外す際に仮骨形成等に起因する抜去抵抗により装着構造が破壊されるなどの事故を防止することができる。
なお、上記の実施形態では、係合部材51の内面係合部51bを固定側開口41aの内部に配置し、傾斜内面部41tに係合させるとともに、保持部材52の保持凸部52bを固定部材40の一方の端部の外面部位に当接させることで、操作器具50が固定部材40を保持できるように構成しているが、保持部材52を固定側開口41aの上記傾斜内面部41tとは反対側の対向内面部に当接するように構成してもよい。すなわち、保持部材52に上記対向内面部に当接する保持凸部52bを設け、この保持凸部52bと係合部材51の内面係合部51bとが固定側開口41aの開口縁を内側から押し広げるようにして固定部材40が保持される構造であってもよい。この場合、対向内面部は図示例のように正面側に開くように傾斜した内面部ではなく、固定側開口41aの開口面に対して垂直な面、或いは、スリーブ部材30の側に傾斜した面で構成されることが好ましい。
また、上記実施形態では、係合部材51と保持部材52の相対的移動を可能にする部材移動手段として、移動部材53やネジ孔51cを主要構造とする送りネジ機構が設けられているが、部材移動手段は上記実施形態に限定されるものではなく、公知のスライド式の移動機構、回動式の移動機構など、種々の移動機構で構成できる。さらに、軸状部材の軸線と固定部材の延在方向との間の角度は鈍角に限定されるものではない。
実施形態の整形外科手術器具セットの一部断面図(a)及び側面図(b)。 同操作器具の装着部における係合部材の動作態様を示す部分側面図(a)及び(b)。 同操作器具を装着部における当接部材の動作態様を示す部分断面図(a)及び(b)。 実施形態のインプラントシステムの組み立て状態を示す側面図(a)及び正面図(b)。 同インプラントシステムのスリーブ部材と固定部材の分解正面図(a)及び底面図(b)。 同インプラントシステムの分解断面図(a)、固定部材の背面図(b)、固定部材の平面図(c)、固定部材の底面図(d)及びスリーブ部材の断面図(e)。 異なるインプラントシステムの構造及び使用態様を示す縦断面図。 同操作器具の使用状態1を示す概略工程図。 同操作器具の使用状態2を示す概略工程図。 同操作器具の使用状態3を示す概略工程図。
符号の説明
10…軸状部材、30…スリーブ部材、30a…スリーブ貫通孔、30c…内面部、31…筒状部、32…スリーブ側係合部、40…固定部材、41…固定側係合部、41a…固定側開口、41t…傾斜内面部、42…固定プレート部、50…操作器具、51…係合部材、51a…端部、51b…内面係合部、51s…係合外面部、51c…ネジ孔、52…保持部材、52a…端面、52b…保持凸部、52s…当接内面部、53…移動部材、53a…ネジ部、54…当接部材、54c…テーパ面(傾斜面部)

Claims (5)

  1. 軸状部材と、該軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、該スリーブ部材の前記スリーブ側係合部に対して係合可能となるように一方の端部寄りに設けられた固定側係合部、及び、該固定側係合部から他方へ向けて延在する固定プレート部を有し、前記固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口を備えてなる固定部材と、前記スリーブ側係合部に前記固定側係合部を係合可能な態様で前記固定部材を装着可能に構成されてなる操作器具と、を具備する整形外科手術器具セットであって、
    前記操作器具は、前記操作器具が前記固定部材に装着された状態において前記固定部材に係合した前記スリーブ部材に向けて突出可能に構成された当接部材を有し、該当接部材はその突出状態において前記スリーブ部材に当接して前記スリーブ部材と前記固定部材の係合状態を維持することを特徴とする整形外科手術器具セット。
  2. 前記当接部材は、前記突出状態において前記スリーブ貫通孔の内面のうち前記スリーブ部材に対する前記固定部材の係合方向とは逆側にある内面部に当接して前記係合状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の整形外科手術器具セット。
  3. 前記当接部材は、その突出過程において前記スリーブ部材に押圧力を与え、前記スリーブ部材と前記固定部材とを相対的に前記係合状態へ向けて駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の整形外科手術器具セット。
  4. 前記スリーブ部材と前記当接部材の対応する当接部位のうち、少なくとも一方の前記当接部位が前記当接部材の突出方向に対して傾斜した傾斜面部を有し、該傾斜面部は前記当接部材の前記突出過程において他方の前記当接部位との間に前記押圧力に基づいて前記係合状態に向かう駆動力成分を生じさせることを特徴とする請求項3に記載の整形外科手術器具セット。
  5. 前記当接部材は、前記操作器具の本体部分に対して突出方向に沿った軸線を備えた螺合構造により進退可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の整形外科手術器具セット。
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