JP2008208941A - 樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑油を十分に供給して摩耗を低減できる樹脂製動圧軸受けを得ること。
【解決手段】本発明の樹脂製動圧軸受け装置40Bは、有底円筒形状でその軸挿通孔14の内周面に動圧発生溝16、17が設けられた樹脂製動圧軸受け10Bと、この樹脂製動圧軸受け10Bを嵌入できる底面部を備えた収容部33が形成されている軸受け支持部材30Bとを備え、この軸受け支持部材30Bの前記収容部33に前記樹脂製動圧軸受け10Bを嵌入して、前記樹脂製動圧軸受け10Bと前記軸受け支持部材30Bとで潤滑油溜20Bを形成して構成し、前記課題を解決している。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の樹脂製動圧軸受け装置40Bは、有底円筒形状でその軸挿通孔14の内周面に動圧発生溝16、17が設けられた樹脂製動圧軸受け10Bと、この樹脂製動圧軸受け10Bを嵌入できる底面部を備えた収容部33が形成されている軸受け支持部材30Bとを備え、この軸受け支持部材30Bの前記収容部33に前記樹脂製動圧軸受け10Bを嵌入して、前記樹脂製動圧軸受け10Bと前記軸受け支持部材30Bとで潤滑油溜20Bを形成して構成し、前記課題を解決している。
【選択図】図2
Description
本発明は、回転軸を円滑に回転できるように支持できる樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置に関するものである。
各種情報の演算処理などを行う情報処理装置である携帯型コンピュータ、液晶パネル型などの薄型映像表示装置などの電子機器には放熱装置が組み込まれており、この放熱装置には、非常に小型のファンを回転させる小型モータが組み込まれている。そのモータの回転軸を軸支する動圧軸受けも非常に小さなものである。
動圧軸受けとしては、ステンレス製、焼結メタル製動圧軸受けや樹脂製動圧軸受けが開発され、実用化されているが、ステンレス製、焼結メタル製動圧軸受けなどは高価であるのに反し、樹脂製動圧軸受けは格段にコストダウンが可能となる優れた動圧軸受けである。
このような樹脂製動圧軸受けは、例えば、下記の[特許文献1]の図1にファンモータの軸受けとして用いられており、そして図2にその樹脂製動圧軸受けが開示されている。以下、この従来技術の一例の樹脂製動圧軸受け(以下、本項において特に断らない限り、単に「軸受け」と記す)の構造を図面を参照しながら説明する。
図7は従来技術の一形態のファンモータの断面図、図8は図7に用いられている軸受けを示していて、同図Aはその開口側上面図、同図Bはその側面図、同図Cはその底面図、そして図9は図8AのA−A線上における断面側面図である。
このファンモータ1は、図7に示したように、ロータ2とステータ3とから構成されている。
この図においてロータ2は逆カップ形状の構造のものであって、上面円板部4の平面な内面中心部には回転軸Sが垂直に固定されており、また、上面円板部4の外周縁に垂直に形成されている円形外周板5の内面には磁石Mが、そしてその外面には羽根6が固定されている。
ステータ3はケース7の平面に垂直に形成された円筒状軸受け支持部材8と、この軸受け支持部材8の外周面に固定されたステータコイルCと、この軸受け支持部材8内に嵌入されている軸受け10などとから構成されている。
そしてこのファンモータ1は、その軸受け10内にロータ2の回転軸Sを回転自在になるように挿入され、軸受け10内に潤滑油を注入して組み立てられている。
このような構成のモータ1に不図示の電源からステータコイルCに通電すると回転磁界が発生し、ロータ2の磁石Mに作用してロータ2を回転させ、羽根6が回転して周囲の空気を撹拌或いは排吸気する。
前記の軸受け10は、外観的には、図8及び図9に示したように、円筒部11と開口部12と底面部13と前記開口部12の中心から同心円で内部に所定の深さの軸挿通孔14が形成された構造のものである。軸挿通孔14の内周面15には所定の間隔を開けて上下2段に互いに平行に全周にわたって動圧発生溝16、17からなるラジアル軸受け18が、そして底面部13の内面にはスラスト軸受け19が形成されている構造のものである。
軸受け10の材料としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などを用いている。
また、軸受け10の外径の大きさは、例えば、直径1.5mm、長さ4mm程度の小型のものも開発されており、また、大きいものでも直径6mm、長さ10mm程度である。
特開平11−341737号
しかし、前記従来技術の軸受け10は、潤滑油が不足しがちで、軸受け10の動圧発生溝16、17やスラスト軸受け19、或いは回転軸Sが摩耗し、それらの摩耗屑がまた軸受け10や回転軸Sを摩耗させるという悪循環を引き起こして長寿命化を図ることが困難であった。
従って、本発明は、加工が簡単で材料が比較的安価な樹脂製動圧軸受けの利点を確保しながらも、潤滑油量を十分に確保して摩耗粉の発生を抑え、焼結メタル製軸受けの寿命と同等かそれ以上の長寿命をも確保できる樹脂製動圧軸受けを得ることを課題とするものである。
それ故、前記課題を解決するために、本発明の樹脂製動圧軸受けは、一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、その軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けにおいて、前記円筒部の底面部近傍の内周面に潤滑油溜が形成されていることを特徴とする。
前記潤滑油溜の位置は、前記軸挿通孔に回転軸を挿入した場合に、その回転軸の下端エッジ部を覆う位置であることが望ましい。
また、本発明の樹脂製動圧軸受け装置は、一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、その軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、その樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、その軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、前記樹脂製動圧軸受けと前記軸受け支持部材とで潤滑油溜が形成されていることを特徴とする。
そしてまた、本発明の樹脂製動圧軸受け装置は、一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、その底面部にスラスト軸受けが、その軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、その樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、その軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、前記樹脂製動圧軸受けの前記底面部のスラスト軸受け部分を除く部分に少なくとも1本の貫通孔が形成されており、前記軸受け支持部材の底面部の中央のスラスト軸受けと前記少なくとも1本の貫通孔を覆う面積と所定の深さからなる潤滑油溜が形成されていて、前記樹脂製動圧軸受けの開口部から注入された潤滑油が前記少なくとも1本の貫通孔を通じて前記潤滑油溜に貯蔵されることを特徴とする。
更にまた、本発明の樹脂製動圧軸受け装置は一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、その底面部にスラスト軸受けが、その軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、その樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、その軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、前記樹脂製動圧軸受けの前記円筒部の底面部近傍に少なくとも1本の貫通孔が形成されており、前記軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入した場合に、前記軸受け支持部材の前記収容部の内周面の底面部から前記少なくとも1本の貫通孔の開口部を越える高さまで前記収容部の前記内周面の前記底面部の直径が前記内周面の上方部のそれより大きく形成し、このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより、前記樹脂製動圧軸受けの外周面と前記収容部の前記直径が大きい前記内周面との間にできる空間と前記少なくても1本の貫通孔とで潤滑油溜が形成されていることを特徴とする。
そして更にまた、本発明の樹脂製動圧軸受け装置は、一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、その底面部にスラスト軸受けが、その軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、その樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、
その軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、前記樹脂製動圧軸受けの前記円筒部の底面部近傍に少なくとも1本の貫通孔が開口し、前記円筒部の外周面側の直径を軸方向に所定の高さにわたって小さく形成し、このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより前記収容部の内周面と前記直径が小さい前記樹脂製動圧軸受けの外周面との間に空間を形成し、その空間と前記少なくとも1本の貫通孔を潤滑油溜としたこと
を特徴とする。
その軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、前記樹脂製動圧軸受けの前記円筒部の底面部近傍に少なくとも1本の貫通孔が開口し、前記円筒部の外周面側の直径を軸方向に所定の高さにわたって小さく形成し、このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより前記収容部の内周面と前記直径が小さい前記樹脂製動圧軸受けの外周面との間に空間を形成し、その空間と前記少なくとも1本の貫通孔を潤滑油溜としたこと
を特徴とする。
そして更にまた、本発明の樹脂製動圧軸受け装置は、一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、その底面部にスラスト軸受けが、その軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、その樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、
前記樹脂製動圧軸受けの前記開口側動圧発生溝の外方位置と前記底面部側動圧発生溝の外方位置において前記樹脂製動圧軸受けの外周面から前記軸挿通孔に貫通する少なくとも1本の貫通孔が形成されており、このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより前記樹脂製動圧軸受けの前記両貫通孔を連通させる空間を前記樹脂製動圧軸受けの外周面と前記軸受け支持部材の内周面との間に形成し、その空間を潤滑油溜としたことを特徴とする。
前記樹脂製動圧軸受けの前記開口側動圧発生溝の外方位置と前記底面部側動圧発生溝の外方位置において前記樹脂製動圧軸受けの外周面から前記軸挿通孔に貫通する少なくとも1本の貫通孔が形成されており、このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより前記樹脂製動圧軸受けの前記両貫通孔を連通させる空間を前記樹脂製動圧軸受けの外周面と前記軸受け支持部材の内周面との間に形成し、その空間を潤滑油溜としたことを特徴とする。
前記空間は前記軸受け支持部材の前記内周面に形成された直径が大なる内周面と前記樹脂製動圧軸受けの外周面との間に形成されていることが望ましい。
また、前記空間は前記軸受け支持部材の前記内周面と前記樹脂製動圧軸受けの直径が小なる前記外周面との間に形成されていることが望ましい。
従って、本発明によれば、前記各種潤滑油溜を形成したことにより、従来技術の樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置に比して十分な潤滑油を樹脂製動圧軸受け内のラジアル軸受け及びスラスト軸受けに供給でき、従って、摩耗粉の発生を抑えることができ、そして安価な樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置を得ることができる。
以下、図を用いて、本発明の樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置(以下、特に断らない限り、それぞれを単に「軸受け」及び「軸受け装置」と記す)の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例の軸受けの断面側面図、図2は本発明の第1実施例の軸受け装置の断面側面図、図3は本発明の第2実施例の軸受け装置の断面側面図、図4は図3に示した軸受けの貫通孔を形成する加工方法を説明するための加工状態示した断面図、図5は本発明の第3実施例の軸受け装置の断面側面図、そして図6は本発明の第4実施例の軸受け装置の断面側面図である。
ただし、以下の説明においては、前記[背景技術]の項で採り上げ、図7乃至図9を用いて説明した従来技術のファンモータの軸受けにも応用することができるので、本発明の軸受け及び軸受け装置の図7及び図8に相当する図面の再掲は省略する。
ただし、以下の説明においては、前記[背景技術]の項で採り上げ、図7乃至図9を用いて説明した従来技術のファンモータの軸受けにも応用することができるので、本発明の軸受け及び軸受け装置の図7及び図8に相当する図面の再掲は省略する。
先ず、図1を用いて、本発明の実施例の軸受けの構造を説明する。
図1において、符号10Aは本発明の実施例の軸受けを指す。この軸受け10Aは、中心部に断面円形の軸挿通孔14が形成され、底面部13を備えた円筒部11の軸挿通孔14の内周面15に動圧発生溝16、17が形成され、底面部13の内面中央部にスラスト軸受け19が形成された樹脂製のものであることは従来技術の軸受け10の構造と変わりはない。
符号30Aは電子機器などのハウジング、ケース、取付基板などの樹脂製軸受け支持部材である。この軸受け支持部材30Aは一端が底面部32となっている円筒部31からなり、その円筒部31の内部は軸受け10Cを収容できる形状と容積の収容部33である。軸受け10Cの外周面が円形であれば、収容部33の円形内周面34は軸受け10Cの外周直径と深さを備えている。
このような構造の軸受け支持部材30Aの収容部33内に前記軸受け10Cを嵌め込み、支持固定する。
本実施例の軸受け10Aにおいては、円筒部11の底面部13近傍の内周面15に潤滑油溜20Aが形成されていることである。この潤滑油溜20Aの構造は、例えば、環状の凹溝構造に形成すると、より多量に潤滑油を貯蔵することができる。
この潤滑油溜20Aの位置は、軸挿通孔14に回転軸Sを挿入した場合に、その回転軸Sの下端エッジ部Saを覆う位置であることが望ましい。このような構造を採ると、万一回転軸Sが傾いても、下端エッジ部Saが軸挿通孔14の内周面15に当接するがことなく、その内周面15を研削するようなことがない。
このような潤滑油溜20Aを備えた軸受け10Aはアウトサート成形法により成形することができる。動圧発生溝16、17及び潤滑油溜20Aは軸挿通孔14を形成するための可動金型の円柱状雄型(コア)で成形することができる。それは円柱状雄型の中間部の外周面に形成された動圧発生溝16、17を形成するための凹凸溝と、円柱状雄型の先端部外周面に形成された潤滑油溜20Aを形成するための環状突起とで同時に成形できる。このような可動金型を雌型である固定金型と組み合わせて形成されたキャビティ内に固定金型側のゲートから溶融樹脂を注入し、注入された溶融樹脂を冷却した後、前記可動金型を後退させて円柱状雄型を無理抜きすることにより軸挿通孔14と同時に動圧発生溝16、17と潤滑油溜20Aとを形成することができる。
更に、潤滑油溜20Aは2箇所の動圧発生溝16、17の間に追加することもできる。これにより、油量の増加効果と動圧部分以外の寸法管理が簡略化できる。
なお、この軸受け10Aのスラスト軸受け19は平面状であり、回転軸Sの下端部が球状に形成されているが、逆にスラスト軸受け19を球状突起に形成しておけば、回転軸Sの下端部は平面であってもよい。即ち、ピボット軸受けである。また、軸挿通孔14の底面部13に動圧発生溝を形成して潤滑油を注入しておき、下端部が平面端面の回転軸Sを軸受けできる構造を採れば、動圧スラスト軸受けにも構成することができる。本発明においては、このスラスト軸受け19の形態は問わない。
前記実施例の軸受け10Aにおける潤滑油溜20Aは軸受けそのもののみで構成されているため、その潤滑油溜20Aは十分な量の潤滑油を貯蔵し難い。しかも成形時に固定金型の円柱状雄型を無理抜きできる範囲の深さに制限されるので深さに限度がある。従って、より多くの潤滑油の貯蔵量を必要とする場合は、軸受けと軸受け支持部材との組合せで構成することにより、より多量の潤滑油を貯蔵できる潤滑油溜を得ることができる。この軸受けと軸受け支持部材との組合せで構成したものが本発明の第1実施例の軸受け装置であって、以下、その構造を図2を用いて説明する。なお、図1に示した軸受け10Aの構造部分と同一の構造部分には同一の符号を付し、説明は省略する。以下、各実施例においても同様に省略することを予め断っておく。
図2において、符号40Bは本発明の第1実施例の軸受け装置を指す。この軸受け装置40Bは、軸受け10Bと軸受け支持部材30Bとから構成されている。
軸受け10Bには、軸挿通孔14の底面部13のスラスト軸受け19部分を除く部分に少なくとも1本の貫通孔21が形成されている。
軸受け支持部材30Bは、軸受け10Bを嵌め込める内径の断面円形の円筒部31と底面部32とからなる収容部33が形成された部材で、その特徴は底面部32の内面中央部に円形の貯蔵凹部35が形成されている点である。この貯蔵凹部35の面積は、軸受け10Bの底面部13に形成した貫通孔21を覆う直径のものである。
軸受け10Bを軸受け支持部材30Bの収容部33の底面部32まで嵌め込み、組み立てることにより、貫通孔21と貯蔵凹部35とからなる潤滑油溜20Bを構成することができる。潤滑油は回転軸Sを軸挿通孔14に挿入する前に開口部12から注入する。注入された潤滑油は動圧発生溝16、17のそれぞれの溝内に入り込むのみならず、軸挿通孔14の内周面15を潤し、そして更に底面部13の貫通孔21を通じて貯蔵凹部35に貯蔵される。
このように本発明の軸受け装置40Bは潤滑油を貫通孔21と貯蔵凹部35とからなる潤滑油溜20Bに多量に貯蔵することができる。
このようにして本発明は潤滑油を軸受け装置40B内に多量に貯蔵することができるが、図3に示したような構造の潤滑油溜20Cを形成すると潤滑油の貯蔵量を更に増やすことができる。以下、図3を用いて、本発明の第2実施例の軸受け装置40Cの構造を説明する。
この第2実施例の軸受け装置40Cにおける潤滑油溜20Cは、やはり軸受け10Cと
軸受け支持部材30Cとで構成されているが、この潤滑油溜20Cは主として軸受け支持部材30Cに形成した環状凹部36で構成されている。
軸受け支持部材30Cとで構成されているが、この潤滑油溜20Cは主として軸受け支持部材30Cに形成した環状凹部36で構成されている。
この潤滑油溜20Cを形成するために、本発明に用いられる軸受け10Cは、その円筒部11の底面部13近傍に少なくとも1本の貫通孔22が、この実施例では直径方向の対象位置にそれぞれ1本づつ、合計2本の貫通孔22が直径方向に形成されている。
これら貫通孔22は、例えば、図4に示したように、ドリル50を用い、軸受け10Cの外周面下方から軸挿通孔14方向の直径方向に開けることができる。
また、軸受け支持部材30Cには環状凹部36が形成されている。この環状凹部36は収容部33の底面部32の内周面34から金型を無理抜きできる程度の深さで円筒部31のほぼ中央部まで延在するように形成されている。この環状凹部36の長さは、その軸受け10Cが必要とする潤滑油の容量で決められる。
前記のような構造の軸受け10Cをこのような軸受け支持部材30Cの収容部33に嵌入することにより、軸受け10Cの外周面と収容部33の直径が大きい内周面との間にできる空間、即ち、環状凹部36と前記の少なくとも1本の貫通孔22とで比較的大空間の潤滑油溜20Cを形成することができる。
なお、本実施例における潤滑油溜20Cを環状凹部36の構造で形成したが、潤滑油溜20Cはこのような環状凹部36の空間で形成する必要はない。断面円形の一部の柱状溝或いは断面矩形の柱状溝で形成し、それらの溝と軸受け10Cの外周面とで形成される管を形成し、そのような管と貫通孔22との空間に貯蔵した潤滑油で軸受け10Cとしての潤滑が行えれば、そのような構造の潤滑油溜20Cで構成してもよい。
前記第2実施例の軸受け装置40Cの潤滑油溜20Cは主として軸受け支持部材30Cの方に形成したが、潤滑油溜は軸受け側に形成してもよい。図5にその実施例を採り上げた。
これは本発明の第3実施例の軸受け装置40Dであって、その構造を以下説明する。
この第3実施例の軸受け装置40Dにおける潤滑油溜20Dは、やはり軸受け10Dと軸受け支持部材30Aとで構成されているが、この潤滑油溜20Dは軸受け10Dに形成した環状凹部23で構成されている。
この潤滑油溜20Dを形成するために、本発明に用いられる軸受け10Dは、その円筒部11の底面部13近傍に少なくとも1本の貫通孔22が、この実施例では直径方向の対象位置にそれぞれ1本、合計2本の貫通孔22が対称的に、そして直径方向に向けて形成されている。
また、軸受け10Dはその円筒部11の中央部から下半分の外周面の直径が中央部から上半分の外周面の直径より細く形成されている。この直径の細い円筒部11に前記2本の貫通孔22の開口部が臨むように開けられている。
このような軸受け10Dを軸受け支持部材30Aの収容部33に嵌め込むことによって軸受け10Dの直径の細い円筒部11と軸受け支持部材30Aの内周面34との間に空間ができ、この空間に前記2本の貫通孔22が開口する。そしてこの空間と両貫通孔22とで本実施例における潤滑油溜20Dが構成されている。
この実施例の潤滑油溜20Dは軸受け10Dの円筒部31の中央部から下方の外周直径を細く形成した例で示したが、軸受け10D全体を同一の直径の円筒部31のものを用い、その円筒部31の外周面の貫通孔22が開口する部分から上方に向けて、断面円形の一部の柱状溝或いは断面矩形の柱状溝で形成し、それらの溝と軸受け10Dの外周面とで形成される管を形成し、そのような管と貫通孔22との空間に貯蔵した潤滑油で軸受け10Dとしての潤滑が行えれば、そのような構造の潤滑油溜20Dで構成してもよい。
次に、図6を用いて、本発明の第4実施例の軸受け装置の構成、構造を説明する。
図6において符号40Eは本発明の第4実施例の軸受け装置を指す。この軸受け装置40Eは軸受け10Eと軸受け支持部材30Eとから構成されている。
この軸受け10Eは、第3実施例或いは第4実施例における貫通孔22の他に図6において上側の動圧発生溝16の開口部12側に外れた円筒部11の上部外周面から軸挿通孔14に開口した貫通孔24が開けられた構造のものである。
一方、軸受け支持部材30Eは、その収容部33内に前記軸受け10Eを嵌め込んだ場合に、その内周面34に底面部32から軸受け10Eの上方の貫通孔24を越える部分まで延在する断面円形の一部をなす柱状溝或いは断面矩形の柱状溝(空間)などの連通溝37が形成されている。
軸受け10Eを軸受け支持部材30Eの収容部33内に嵌め込んで収容した場合に、その軸受け10Eに開けたそれぞれ上下の貫通孔22、24がそれぞれの連通溝37に開口するように嵌め込むことで、軸受け10Eの外周面と軸受け装置40Eの内周面34とで管状の連通溝37を形成されることになり、上下の貫通孔22、24がこの連通溝37と連通し、従って、上下の貫通孔22、24を通じて軸受け10Eの軸挿通孔14とも連通することになる。
このように本実施例の軸受け装置40Eは上下貫通孔22、24と連通溝37とからなる構造の潤滑油溜20Eを形成することができ、この潤滑油溜20Eには大容量の潤滑油を貯蔵することができる。
また、この軸受け装置40Eは、上下の動圧発生溝16、17で異なる動圧が発生したとしても、その生じた動圧差は上下の貫通孔22、24と連通溝37とで短絡されていることから平均化される。例えば、動圧発生溝17で発生した動圧が動圧発生溝16で発生した動圧より高い場合、回転軸Sは浮き上がりがちになるが、前記のようにこの潤滑油溜20Eにより動圧差が平均化され、回転軸Sは軸受け10E内で安定に回転させることができる。
以上、説明したことから明らかなように、本発明の軸受け及び軸受け装置は潤滑油溜を備えていることから、この潤滑油溜に潤滑油を貯蔵でき、軸挿通孔内に必要な潤滑油を供給できることから、回転軸の回転によって軸受けの摩耗を軽減することができる。
本発明に係る樹脂製動圧軸受け或いは樹脂製動圧軸受け装置は、放熱装置のモータやディスクドライブのスピンドルモータの回転軸の動圧軸受けとして用いられるのみならず、各種のモータの動圧軸受けとして用いることができ、また、モータに限らず、回転軸を備える機構や軸に対し、回転する部品を支持する機構に広く用いることができるので、電子機器分野のみならず、医療機器分野、光学機器分野などの産業で利用することができる。
10A…本発明の第1実施例の樹脂製動圧軸受け、10B…本発明の第2実施例の樹脂製動圧軸受け、11…樹脂製ハウジング、12…樹脂製ハウジング11の円筒部、12a…開口、12b…円筒部12の端面、12c…円筒部12の外周表面、13…樹脂製ハウジング11の底面部、14…ラジアル軸受け、14a,14b…動圧発生溝、15…スラスト軸受け、16…軸挿通孔、17…通路、17a…軸方向通路、17b…開口側直径方向通路、17c…底部側直径方向通路、18…封止部材、18A…リベット状封止部材、18B…球状封止部材、19…ニゲ、60…ドリル、70,80…金型、71,81…雌型、82…雌型81の固定金型、82b…固定金型82のゲート、83,84…雌型81の可動金型、72…雌型71のパーティング面、73,81c…キャビティ、74,82b…ゲート、78,75,85…雄型、76…雄型75のパーティング面、86…雄型85のパーティング面、77,87…軸芯、77a,77b,87a,87b…動圧発生溝形成突起、77c…軸芯77の端面、87c…軸芯87の端面、91…開口側直径方向通路、92…底部側直径方向通路、88…ピン、88a…ピン88の窪み、P…樹脂
Claims (9)
- 一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、該軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けにおいて、
前記円筒部の底面部近傍の内周面に潤滑油溜が形成されていること
を特徴とする樹脂製動圧軸受け。 - 前記潤滑油溜の位置は、前記軸挿通孔に回転軸を挿入した場合に、該回転軸の下端エッジ部を覆う位置であること
を特徴とする請求項1に記載の樹脂製動圧軸受け。 - 一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、該軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、
該樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、
該軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、
前記樹脂製動圧軸受けと前記軸受け支持部材とで潤滑油溜が形成されていること
を特徴とする樹脂製動圧軸受け装置。 - 一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、該底面部にスラスト軸受けが、該軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、
該樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、
該軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、
前記樹脂製動圧軸受けの前記底面部のスラスト軸受け部分を除く部分に少なくとも1本の貫通孔が形成されており、前記軸受け支持部材の底面部の中央のスラスト軸受けと前記少なくとも1本の貫通孔を覆う面積と所定の深さからなる潤滑油溜が形成されていて、
前記樹脂製動圧軸受けの開口部から注入された潤滑油が前記少なくとも1本の貫通孔を通じて前記潤滑油溜に貯蔵されること
を特徴とする樹脂製動圧軸受け装置。 - 一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、該底面部にスラスト軸受けが、該軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、
該樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、
該軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、
前記樹脂製動圧軸受けの前記円筒部の底面部近傍に少なくとも1本の貫通孔が形成されており、
前記軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入した場合に、前記軸受け支持部材の前記収容部の内周面の底面部から前記少なくとも1本の貫通孔の開口部を越える高さまで前記収容部の前記内周面の前記底面部の直径が前記内周面の上方部のそれより大きく形成し、
このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより、前記樹脂製動圧軸受けの外周面と前記収容部の前記直径が大きい前記内周面との間にできる空間と前記少なくても1本の貫通孔とで潤滑油溜が形成されていること
を特徴とする樹脂製動圧軸受け装置。 - 一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、該底面部にスラスト軸受けが、該軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、
該樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、
該軸受け支持部材の前記収容部に前記樹脂製動圧軸受けを嵌入して構成されている樹脂製動圧軸受け装置において、
前記樹脂製動圧軸受けの前記円筒部の底面部近傍に少なくとも1本の貫通孔が開口し、前記円筒部の外周面側の直径を軸方向に所定の高さにわたって小さく形成し、
このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより前記収容部の内周面と前記直径が小さい前記樹脂製動圧軸受けの外周面との間に空間を形成し、該空間と前記少なくとも1本の貫通孔を潤滑油溜としたこと
を特徴とする樹脂製動圧軸受け装置。 - 一端が開口し、他端が底面部で、中心部に断面円形の軸挿通孔が形成された円筒部からなり、該底面部にスラスト軸受けが、該軸挿通孔の内周面に動圧発生溝が形成された樹脂製動圧軸受けと、
該樹脂製動圧軸受けを嵌入できる底面部を備えた収容部が形成されている軸受け支持部材とを備え、
前記樹脂製動圧軸受けの前記開口側動圧発生溝の外方位置と前記底面部側動圧発生溝の外方位置において前記樹脂製動圧軸受けの外周面から前記軸挿通孔に貫通する少なくとも1本の貫通孔が形成されており、
このような構造の樹脂製動圧軸受けを前記軸受け支持部材の前記収容部に嵌入することにより前記樹脂製動圧軸受けの前記両貫通孔を連通させる空間を前記樹脂製動圧軸受けの外周面と前記軸受け支持部材の内周面との間に形成し、該空間を潤滑油溜としたこと
を特徴とする樹脂製動圧軸受け装置。 - 前記空間は前記軸受け支持部材の前記内周面に形成された直径が大なる内周面と前記樹脂製動圧軸受けの外周面との間に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の樹脂製動圧軸受け装置。
- 前記空間は前記軸受け支持部材の前記内周面と前記樹脂製動圧軸受けの直径が小なる前記外周面との間に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の樹脂製動圧軸受け装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007047198A JP2008208941A (ja) | 2007-02-27 | 2007-02-27 | 樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置 |
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JP2007047198A JP2008208941A (ja) | 2007-02-27 | 2007-02-27 | 樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置 |
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JP2008208941A true JP2008208941A (ja) | 2008-09-11 |
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JP2007047198A Pending JP2008208941A (ja) | 2007-02-27 | 2007-02-27 | 樹脂製動圧軸受け及び樹脂製動圧軸受け装置 |
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JP (1) | JP2008208941A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7480735B2 (ja) | 2021-03-25 | 2024-05-10 | 株式会社明電舎 | 回転電機の筐体構造及び回転電機 |
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2007
- 2007-02-27 JP JP2007047198A patent/JP2008208941A/ja active Pending
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