JP2008208152A - プラスチックコーティング剤用水性樹脂エマルジョンおよびそれを用いたプラスチックコーティング剤 - Google Patents

プラスチックコーティング剤用水性樹脂エマルジョンおよびそれを用いたプラスチックコーティング剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた密着性、耐水性等を有するプラスチックコーティング剤を設計する上で有用な水性樹脂エマルジョン、およびそれを用いたプラスチックコーティング剤を提供する。
【解決手段】アクリル酸エステル等のエチレン性不飽和単量体のラジカル重合を、カルボキシル基を有する水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂及びそのポリエステル樹脂の架橋剤の共存下で、行うことにより得られた水性樹脂エマルジョン、およびそれを用いたプラスチックコーティング剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル酸エステルなどのエチレン性不飽和単量体を水性媒体中で重合して得られる水性エマルジョンに関し、更に詳しくは水溶性または水分散性ポリエステルの存在下でエチレン性不飽和単量体を重合して得られる水性エマルジョンであって、ポリエステル樹脂の架橋剤共存下で重合を行うことによって優れた性能を有するプラスチックコーティング剤用水性樹脂エマルジョンの製造方法に関する。
従来からアクリル酸エステルなどのエチレン性不飽和単量体を水性媒体中で重合して得られる水性樹脂エマルジョン、とりわけアクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョンは、水性であることから揮発性有機化合物の含有量が少なく、環境への負荷が低減できるとして、各種コーティング剤、接着剤等に好用されている。
また、この水性樹脂エマルジョンは種々基材に接着する特徴を有し、耐久性にも優れることから、種々コーティング剤、プライマー等に用いられるが、一方で、アクリル樹脂とは異なる樹脂基材、例えばPET等のポリエステル樹脂には通常のアクリル樹脂エマルジョンでは接着が不十分であり、そのコーティング剤、プライマーとして使用できない場合が多い。
この欠点を改良するために特許文献1には親水性基を有するポリエステル樹脂の存在下、アニオン性乳化剤単独、またはアニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤を併用して単量体類を重合して得られる平均粒子径50から200ナノメーターの水性樹脂組成物が示されている。この水性樹脂エマルジョンを使用すれば、通常のアクリル樹脂エマルジョンと比較して、ポリエステル基材に対して優れた密着性を得ることが可能であるが、共存させるポリエステル樹脂の分子量は高々数万程度であり、耐久性に乏しい欠点があった。
特許第3353435号公報
本発明の課題は、プラスチック基材への接着性が良好であり、かつ耐久性に優れたアクリル酸エステル共重合水性樹脂エマルジョン、およびそれを用いたプラスチックコーティング剤を開発することである。
本発明者らは、上述の課題に関し鋭意検討を行なった結果、水溶性もしくは水分散性ポリエステルの存在下においてエチレン性不飽和単量体をラジカル重合する際に、ポリエステル樹脂の架橋剤共存下で重合を行うことによって、プラスチック基材への接着性が優れ、かつ耐久性に優れるものであること見出すに及んで、本発明を完成させるに到った。
即ち、本発明は以下からなる。
(1)カルボキシル基を有する水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂(a)及び該ポリエステル樹脂のカルボキシル基と反応可能な官能基を二つ以上有する架橋剤(c)の共存下で、エチレン性不飽和単量体(b)をラジカル重合して得られる水性樹脂エマルジョン。
(2)ポリエステル樹脂(a) 2〜75質量%
エチレン性不飽和単量体(b) 97.8〜20質量%
架橋剤(c) 0.2〜5質量%
且つ(a)≧(c)、(a)+(b)+(c)=100質量%を満たすことを特徴とする、上記(1)に記載の水性樹脂エマルジョン。
(3)架橋剤(c)が分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する多官能性化合物であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の水性樹脂エマルジョン。
(4)乳化剤を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の水性樹脂エマルジョン。
(5)上記(1)〜(4)の何れかに記載の水性エマルジョンを含有するプラスチック用コーティング剤。
本発明の水性樹脂エマルジョンは、プラスチック基材への密着性に優れ、しかも耐久性に優れる為、コーティング剤として極めて有用なものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用する水溶性もしくは水分散性ポリエステル(a)は、多塩基酸とポリオールから製造されたものが使用され、その製造方法は何ら限定されない。
多塩基酸成分として代表的なものを挙げるにとどめれば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸などであり、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
ポリオール成分として代表的なものを挙げれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどであり、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
更に水溶性もしくは水分散性を付与するために、親水性基を有する成分を共重合することができる。これらの具体例として、有機スルホン酸塩をポリエステル分子内に導入せしめるためには、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸などのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が用いられる。
また、カルボキシル基をポリエステル分子内に導入せしめるためには、例えば(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、トリメシン酸などが用いられ、アミノ化合物、アンモニアまたはアルカリ金属などで中和することによって、分子中にカルボン酸塩基として導入することができる。中和はポリエステル樹脂に水分散性を与える。中和によりカルボキシル基をカルボキシラートアニオンに解離させ、水と樹脂界面での溶解性付与およびイオン的な反発によって、水中での分散安定化に寄与する。
カルボキシル基を導入する場合、該ポリエステル樹脂の酸価が1〜100となるよう調整することが好ましい。酸価が100を超えるとプラスチック基材への接着性、耐水性が劣り、1未満では、エポキシ基含有架橋剤と反応し得るカルボキシル基の量が少なく、耐温水性などの耐久性が低下し好ましくない。
本発明で用いるカルボキシル基を有する水溶性もしくは水分散性ポリエステルとしては、市販のものをそのまま使用してもよく、例えば、プラスコート(登録商標、互応化学工業(株)製)Z−561、Z−730、RZ−142、ペスレジン(登録商標、高松油脂(株)製)A−110、A−210、A−620、バイロナール(登録商標、東洋紡績(株)製)MD−1200、MD−1220、MD−1250、MD−1335、MD−1400、MD−1480、MD−1500などが例示される。
水溶性もしくは水分散性ポリエステルの使用量としては、組成中、好ましくは2から75質量%、さらに好ましくは5から50質量%であり、2質量%未満では得られる水性エマルジョンの安定性が低下したり、プラスチック基材に対する接着性向上の効果が小さくなる傾向がある。75質量%を超えると耐水性が損なわれる傾向がある。
上記のカルボキシル基を含有する水溶性もしくは水分散性ポリエステル及びそのポリエステルの架橋剤の共存下、アクリル酸エステル等のエチレン性不飽和単量体をラジカル重合する。
ラジカル重合に用いられるエチレン性不飽和単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、少なくとも1個の重合可能な(メタ)アクロイル基を有するものを挙げる事が出来る。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、1〜18個の炭素数の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)クリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等)が挙げられる。
また、芳香族ビニル化合物(スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等)、複素環式ビニル化合物(ビニルピロリドン等)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、ポリアルキレンレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコール(メタ)アクリレート、ブチレングリコール(メタ)アクリレート等)、アルキルアミノ(メタ)アクリレート(N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等)、ビニルエステル化合物(蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチツク酸ビニル等)、モノオレフィン化合物(エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等)、共役ジオレフィン化合物(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、α,β−不飽和モノまたはジカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等)、
カルボキシル基含有ビニル化合物(フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シュウ酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、アミンイミド基含有ビニル化合物(1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミドなど)、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、アミド基もしくは置換アミド基含有α,β−エチレン性不飽和化合物((メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、カルボニル基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ダイアセトンアクリレート、アセトニトリルアクリレート等)、スルホン酸基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(スルホン酸アリル、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等)、エチレン性不飽和基含有紫外線吸収剤(2−(2‘−ヒドロキシ−5’−メタアクロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなど)、エチレン性不飽和基含有光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなど)等の公知の重合性ビニル化合物も使用することができる。
また、必要に応じて、ラジカル共重合体の架橋性モノマーとして、エポキシ基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等)、加水分解性アルコキシシリル基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、多官能ビニル化合物(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等)等を導入し、それ自身同士の架橋をさせるか、活性水素基を持つエチレン性不飽和化合物成分と組み合わせて架橋させる、もしくは、カルボニル基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(特にケト基含有のものに限る)を導入し、ポリヒドラジン化合物(特に2つ以上のヒドラジド基を有する化合物;シュウ酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等)との組み合わせで架橋させることも可能である。
エチレン性不飽和単量体(b)の使用量は97.8〜20質量%が好ましい。
本発明において用いられる架橋剤(c)はポリエステル樹脂のカルボキシル基と反応可能な官能基を二つ以上有するものであれば使用できる。好ましいものとしては少なくとも2つのエポキシ基(脂環式も含む)を含む化合物で、具体的には、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグルシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物が挙げられ、単独、或いは必要に応じて複数併用して使用することが出来る。
ポリエステル樹脂のカルボキシル基と反応可能な架橋剤(c)の使用量としては、組成中、好ましくは0.2から5質量%、さらに好ましくは0.5から3質量%であり、0.2質量%未満では耐水性が低下し、5質量%を超えるとプラスチック基材に対する密着性が損なわれるので、好ましくない。
本発明の合成樹脂水性エマルジョンには、必要に応じてアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤を適宜併用してもよく、乳化剤の種類や使用量は、水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂の使用量や重合する単量体組成をはじめとした種々条件により調節して配合する。
乳化剤としては、ノニオン性、アニオン性ともに公知公用のものであればよく、代表的なものを例示すれば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルなどのアニオン系界面活性剤を用いることができる。乳化剤として、異なる2種以上の乳化剤を併用してもよい。また、プラスチック基材への接着性を損なわない範囲でポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子を用いてもよい。
乳化重合に際して使用される重合開始剤としては公知慣用のものであればよく、代表的なものを挙げれば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどであり、必要に応じてナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、アスコルビン酸類、亜硫酸塩類、酒石酸又はその塩類などと組合わせてレドックス重合としてもよい。また、必要に応じてアルコール類、メルカプタン類を連鎖移動剤として用いてもよい。
エマルジョン粒子の平均粒子径は、特に特定するものではないが、沈降安定性を考慮すれば、2.0μm以下が望ましい。エマルジョン粒子は外殻がポリエステル、中がアクリルの単一粒子を形成していると考えられる。平均粒子径は動的光散乱法による。
エマルジョン粒子の平均粒子径を調整するためには、水溶性もしくは水分散性ポリエステルの使用量を始めとし、該ポリエステルの導入方法、重合開始剤の量、後述の乳化剤を併用する場合はその量などにより調整すればよい。例えば、水溶性もしくは水分散性ポリエステルを多く使用すると得られるエマルジョンの平均粒子径は小さくなる傾向である。また、該ポリエステルを同量用いた場合でも全量反応器に導入した後に重合を行なう場合では、滴下しながら重合を行なう場合と比べ平均粒子径は小さくなる傾向を示す。重合初期に用いる重合開始剤の量を多くすることや、乳化剤を併用すると同様に平均粒子径が小さくなる傾向を示す。
本発明の合成樹脂水性エマルジョンの製造方法としては、常圧もしくは耐圧反応器を用いバッチ式、半連続式、連続式のいずれかの方法で行われる。反応温度は通常10℃から100℃で行われるが、30℃から90℃が一般的である。反応時間は、特に制限されることはなく、各成分の配合量及び反応温度などに応じて適宜調整すればよい。
このようにして得られる合成樹脂水性エマルジョンは、必要に応じてアクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ウレタン系樹脂などの樹脂成分、イソシアネート系化合物などの架橋剤(アクリル成分同士もしくはポリエステルとアクリル成分を架橋するための後添加物による後架橋)、界面活性剤、粘性改良剤、着色剤、ブロッキング防止剤、消泡剤などを添加することができ、更には体質顔料、着色顔料を用いて塗料化し、コーティング剤として用いることも無論可能である。
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例および比較例で作製した水性エマルジョンの評価方法は以下のようにした。
(常態密着性)
各実施例及び各比較例で得たエマルジョンを以下の配合で塗料化し、粘度調製した後、SMC成型板(不飽和ポリエステル使用)、およびABS板に100gr/m2スプレー塗布した。更に常温で10分セッティング後、80℃×30分乾燥させ、試験片とした。この試験片を23℃、65%RH条件下で24時間養生した後、同条件にて2mm幅、100マスの碁盤目テープ剥離試験を行い、剥離せずに基材に残った塗膜のマス目を数え、常態密着性を評価した。
コーティング剤配合を表1に示す。
Figure 2008208152
(耐温水性)
常態密着性と同様に調製した試験片の60°光沢をデジタル変角光沢計UGV−5D(スガ試験機製)を用いて予め測定し、次に、40℃の温水に240hr浸漬。温水浸漬直後のブリスターの発生有無を評価した。また、温水浸漬後の試験片を23℃、65%RH条件下で24時間乾燥した後の60°光沢を測定し、温水浸漬前後の変化を光沢保持率として評価した。更に、2mm幅、100マスの碁盤目テープ剥離試験を行い、2次密着性を評価した。
以下において、部は質量部、%は質量%を表す。
(実施例1)
撹拌機、温度計、環流凝縮機を備えた重合装置中に、水分散性ポリエステル樹脂としてプラスコートZ−730(固形分25%、Tg46℃、酸価58)60部、プラスコートZ−561(固形分25%、スルホン酸基含有タイプ、Tg64℃、酸価2.5)60部を入れ、窒素置換を十分に行った後、昇温した。内温を75℃に保ちながら、脱イオン水60部、プラスコートZ−561 30部、スチレン(St)65部、メチルメタクリレート(MMA)50部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)35部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)3部、グリセリンポリグリシジルエーテル(GLG)3部をホモミキサーにて予め混合乳化したものの5%を重合装置内に加えた。
次いで、過硫酸カリウム0.17部、脱イオン水2部を加えて重合を開始し、80℃で15分反応させた。さらに、先の乳化物の残り95%、1.5%過硫酸カリウム水溶液20部を内温80℃に保ちながら3時間かけて滴下した。さらに、80℃で2時間反応し、その後室温(25℃)に冷却した。尚、使用したエチレン性不飽和単量体の理論Tgは20℃である。そして、得られた水分散樹脂組成物(エマルジョン)の性状は、不揮発分50.0%、粘度(BM型粘度計、60rpm、23℃)30mPa・s、pH6.5、MFT50℃、平均粒子径0.22μmであった。
(実施例2)
撹拌機、温度計、環流凝縮機を備えた重合装置中に、実施例1と同じ水分散性ポリエステル樹脂 プラスコートZ−730 60部、プラスコートZ−561 60部を入れ、窒素置換を十分に行った後、昇温した。内温を75℃に保ちながら、脱イオン水65部、プラスコートZ−561 30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)5部、St65部、MMA50部、2EHA35部、2HEMA3部、GLG3部をホモミキサーにて予め混合乳化したものの5%を重合装置内に加えた。
次いで、過硫酸カリウム0.17部、脱イオン水2部を加えて重合を開始し、80℃で15分反応させた。さらに、先の乳化物の残り95%、1.5%過硫酸カリウム水溶液20部を内温80℃に保ちながら3時間掛けて滴下した。さらに、80℃で2時間反応し、その後室温(25℃)に冷却した。そして、得られた水分散樹脂組成物の性状は、不揮発分50.1%、粘度(BM型粘度計、60rpm、23℃)62mPa・s、pH6.9、MFT48℃、平均粒子径0.21μmであった。
(実施例3)
実施例1の組成についてGLGをトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(TPG)に置き換えた以外は、同様の操作にて製造した。そして、得られた水分散樹脂組成物の性状は、不揮発分49.8%、粘度(BM型粘度計、60rpm、23℃)45mPa・s、pH7.1、MFT51℃、平均粒子径0.25μmであった。
(比較例1)
撹拌機、温度計、環流凝縮機を備えた重合装置中に、実施例1と同じ水分散性ポリエステル樹脂 プラスコートZ−730 60部、プラスコートZ−561 60部を入れ、窒素置換を十分に行った後、昇温した。内温を75℃に保ちながら、脱イオン水57部、水分散性ポリエステル樹脂(固形分25%、スルホン酸基含有タイプ、Tg64℃、酸価5以下)30部、St65部、MMA50部、2EHA35部、2HEMA3部をホモミキサーにて予め混合乳化したものの5%を重合装置内に加えた。
次いで、過硫酸カリウム0.17部、脱イオン水2部を加えて重合を開始し、80℃で15分反応させた。さらに、先の乳化物の残り95%、1.5%過硫酸カリウム水溶液20部を内温80℃に保ちながら3時間掛けて滴下した。さらに、80℃で2時間反応し、その後室温(25℃)に冷却した。そして、得られた水分散樹脂組成物の性状は、不揮発分50.0%、粘度(BM型粘度計、60rpm、23℃)28mPa・s、pH6.2、MFT48℃、平均粒子径0.24μmであった。
(比較例2)
撹拌機、温度計、環流凝縮機を備えた重合装置中に、実施例1と同じ水分散性ポリエステル樹脂 プラスコートZ−730 60部、プラスコートZ−561 60部を入れ、窒素置換を十分に行った後、昇温した。内温を75℃に保ちながら、脱イオン水72部、水分散性ポリエステル樹脂(固形分25%、スルホン酸基含有タイプ、Tg64℃、酸価5以下)30部、St65部、MMA50部、2EHA35部、2HEMA3部、GLG15部をホモミキサーにて予め混合乳化したものの5%を重合装置内に加えた。
次いで、過硫酸カリウム0.17部、脱イオン水2部を加えて重合を開始し、80℃で15分反応させた。さらに、先の乳化物の残り95%、1.5%過硫酸カリウム水溶液20部を内温80℃に保ちながら3時間掛けて滴下した。さらに、80℃で2時間反応し、その後室温(25℃)に冷却した。そして、得られた水分散樹脂組成物の性状は、不揮発分50.0%、粘度(BM型粘度計、60rpm、23℃)25mPa・s、pH7.5、MFT55℃、平均粒子径0.21μmであった。
比較例3
撹拌機、温度計、環流凝縮機を備えた重合装置中に、脱イオン水60部を入れ、窒素置換を十分に行った後、昇温した。内温を75℃に保ちながら、脱イオン水80部、DBS5部、St65部、MMA50部、2EHA35部、2HEMA3部、GLG3部をホモミキサーにて予め混合乳化したものの5%を重合装置内に加えた。次いで、過硫酸カリウム0.17部、脱イオン水2部を加えて重合を開始し、80℃で15分反応させた。さらに、先の乳化物の残り95%、1.5%過硫酸カリウム水溶液20部を内温80℃に保ちながら3時間掛けて滴下した。さらに、80℃で2時間反応し、その後室温(25℃)に冷却した。そして、アンモニア水を用いてpH7に調整し、得られた水分散樹脂組成物の性状は、不揮発分50.1%、粘度(BM型粘度計、60rpm、23℃)26mPa・s、pH6.9、MFT28℃、平均粒子径0.28μmであった。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2008208152

実施例1〜3、比較例1〜3の工程で得られた水分散組成物の性能評価結果一覧を表3に示した。
Figure 2008208152

表3の結果から明らかなように、実施例1、2及び3の場合はプラスチック基材に対する密着性が良好であり、しかも、ポリエステル、その架橋剤を適量使用することで、耐温水性に優れたコーティング剤として使用できる。
水性樹脂エマルジョンは種々の基材、特にプラスチック基材への接着性が良好であり、また耐久性にも優れており、コーティング材、プライマーなどに利用できる。

Claims (5)

  1. カルボキシル基を有する水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂(a)及び該ポリエステル樹脂のカルボキシル基と反応可能な官能基を二つ以上有する架橋剤(c)の共存下で、エチレン性不飽和単量体(b)をラジカル重合して得られる水性樹脂エマルジョン。
  2. ポリエステル樹脂(a) 2〜75質量%
    エチレン性不飽和単量体(b) 97.8〜20質量%
    架橋剤(c) 0.2〜5質量%
    且つ(a)≧(c)、(a)+(b)+(c)=100質量%を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の水性樹脂エマルジョン。
  3. 架橋剤(c)が分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する多官能性化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性樹脂エマルジョン。
  4. 乳化剤を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水性樹脂エマルジョン。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の水性エマルジョンを含有するプラスチック用コーティング剤。
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