JP2008201634A - ジルコニア微粒子分散液、該分散剤から製造される有機無機複合材料および光学部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であり、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とするジルコニア微粒子分散液。
【選択図】なし
Description
[1] 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であり、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とするジルコニア微粒子分散液。
[2] 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であるジルコニア微粒子分散液であって、前記分散剤が、
[3] 前記分散剤が、
[4] 前記分散剤が、
[5] 前記分散剤が、
[7] 前記ジルコニア微粒子分散液を樹脂に滴下して混合した後、溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする[6]に記載の有機無機複合材料の製造方法。
[9] 分散剤を含む樹脂中に数平均粒サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子が分散している有機無機複合材料であって、前記分散剤が、
[11] 光学部品がレンズ基材であることを特徴とする[10]に記載の光学部品。
[12] 波長589nmにおける屈折率が1.65以上であることを特徴とする[11]に記載の光学部品。
[13] 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする[11]または[12]に記載の光学部品。
本発明のジルコニア微粒子分散液には、数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子を用いる。ジルコニア微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、分散液を用いて製造される有機無機複合材料の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明におけるジルコニア微粒子の数平均粒子サイズは1〜15nmにすることが必要であり、好ましくは2〜13nmであり、より好ましくは3nm以上10nm未満であり、さらに好ましくは3〜9nmである。
この方法に用いられる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
本発明のジルコニア微粒子分散液は、分散剤を含有する。ジルコニア微粒子に、有機溶媒への相溶性を有する有機化合物(分散剤)を配位あるいは修飾すると、該有機溶媒への微粒子の分散性が向上し、本発明のジルコニア微粒子分散液の透明性が向上する。また、分散剤を用いることによって、微粒子同士の凝集が抑制される。これらの分散剤の効果が組み合わされることにより、本発明のジルコニア微粒子分散液は優れた特性を示し、透明性と屈折率が高い有機無機複合材料や光学部品を提供することが可能になる。
本発明のジルコニア微粒子分散液は、分散媒として有機溶媒を含有する。
本発明で用いることができる分散媒は、有機溶媒であればその種類は特に制限されない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、アニソール等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン系炭化水素類を用いることができる。中でも、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロベンゼンが好ましく、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタンが更に好ましい。これらの分散媒は、1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
本発明のジルコニア微粒子分散液は、上記の分散媒中に分散剤とジルコニア微粒子を混合することにより得ることができる。混合の方法は特に制限されない。例えば、ジルコニア微粒子の水分散液を用意しておき、これを分散媒中に分散剤を溶解した溶液と混合して十分に攪拌し、有機相を取り出すことにより本発明のジルコニア微粒子分散液を得ることができる。また、ジルコニア微粒子の水分散液に、分散剤を溶解した水に混和可能であり、かつ水の沸点よりも高い沸点を有する有機溶媒を混合して十分に撹拌した後に、水を留去する方法によっても、本発明のジルコニア微粒子分散液を得ることができる。
本発明のジルコニア微粒子分散液を樹脂と混合することによって、有機無機複合材料を製造することができる。本発明の有機無機複合材料の作成方法は特に限定されるものではない。具体的には、樹脂とジルコニア微粒子分散液をそれぞれ独立に合成して両者を混合させる方法、予め合成したジルコニア微粒子分散液の存在下で樹脂を合成する方法、予め合成した樹脂の存在下でジルコニア微粒子分散液を合成する方法、樹脂とジルコニア微粒子分散液の両者を同時に合成する方法等を挙げることができ、本発明の有機無機複合材料はこれらのいずれの方法で作成してもよい。
本発明の有機無機複合材料に用いる樹脂は、熱硬化性樹脂、光硬化樹脂、熱可塑性樹脂のいずれであってもよいが、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55より大きいことがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。また、本発明において用いる樹脂は、波長589nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
本発明の有機無機複合材料を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、成形温度を下げるために、本発明の有機無機複合材料に可塑剤を含有させてもよい。本発明で使用する可塑剤としては、一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
B1,B2の基としては、具体的には、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。一般式(2)で表される化合物の具体例としては次に示すものが挙げられ、中でもW−1(花王株式会社製の商品名〔KP−L155〕)が好ましい。ただし、本発明で用いることができる可塑剤はこれらの化合物に限定されない。
本発明における有機無機複合材料の成形法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、キャスト成形等、一般の熱可塑性樹脂材料の成形法を採用することができる。有機無機複合材料の流動性が低いことから、本発明では圧縮成形により成形することが好ましい。
本発明の有機無機複合材料は、高屈折性、低分散性(高いアッベ数)、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れた有機無機複合材料である。また、本発明の有機無機複合材料の屈折率は、例えばジルコニア微粒子と樹脂との混合比を変えることにより任意に調節することが可能である。本発明の光学部品は、上記の有機無機複合材料を含むものである。本発明の光学部品の種類は、特に制限されない。特に、有機無機複合材料の優れた光学特性を利用した光学部品、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)に好適に利用される。かかる光学部品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作成し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で波長589nmの光について測定した。
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)にて、波長589nmの光について行った。
分散媒との濃度を変更することにより、分散媒以外の分散剤とジルコニア微粒子からなる組成物の屈折率および体積分率を以下のMaxwell Garnettの式より見積もった。
光路長10mmの石英セルを用い、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で波長589nmの光について測定した。
(1)ジルコニア微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒としてジルコニア換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理してジルコニア微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmのジルコニア微粒子の生成を確認した。
(1)で合成したジルコニア水分散液と東京化成製のD−1を溶解させたMEK溶液を混合後、50℃で8時間攪拌した後、MEK溶液を抽出し、ジルコニア微粒子MEK分散液を作製した。
表1に記載される他の分散剤を用いる場合にも、同様の方法により調製できる。このようにして、分散剤の種類と使用量を表1に示す通りに変えて分散液を調製した。比較例1では分散剤として特許文献5に記載の楠本化成(株)製PLAAD ED151(芳香族基を有しないリン酸エステル)を用いた。比較例2では分散剤として高屈折率を有する安息香酸を用いた。得られた各分散液の屈折率と透過率を表1に併せて示す。
リビングラジカル重合開始剤Aの合成:
還流冷却器、ガス導入コックを付した200ml三口フラスコにα,α’−ジブロモ−p−キシレン20g(75.8mmol)、m−キシレン70mlを仕込み、加熱還流しながら、窒素気流下、トリイソプロピルホスファイト16.8g(80.7mmol)をm−キシレン20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後3時間加熱還流し、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、開始剤Aを得た(収率53%)。
還流冷却器、ガス導入コックを付した200ml三口フラスコに臭化銅0.41g(2.86mmol)、スチレン59.6g(0.57mol)、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン0.5g(2.86mmol)、開始剤A 1.0g(2.86mmol)を仕込み、5回窒素置換した後、窒素気流下80℃で5時間加熱した。室温に戻した後、アルミナ30gとトルエン50mlを添加し10分間攪拌し、セライト濾過した。濾液を大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥してポリマーを得た(収率38%)。
ガス導入コックを付した100ml三口フラスコに上記で得られたポリマー10g、トリメチルシリルブロマイド2.3g(15mmol)、塩化メチレン40mlを仕込み、窒素気流下、室温で24時間攪拌した。水10mlを添加し1時間攪拌した後、大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥して樹脂P−1を得た(収量96%。数平均分子量25,200、重量平均分子量28,200)。
(2)で合成したジルコニア微粒子MEK分散液を樹脂P−1のMEK溶液に5分かけて滴下し、これを1時間攪拌した後、溶媒を除去することにより、有機無機複合材料を粉体として得た。
(4)で合成した各有機無機複合材料を220℃で加熱成形し、厚さ1mmのレンズ用成形体を作成した(実施例8〜14と比較例3および4)。使用したジルコニア微粒子分散液の種類と無機成分としての使用量は表2に示す通りとした。また、比較例5では無機微粒子を添加せず樹脂のみを成形した。
成形体を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果は以下の表2に記載した。その後、レンズ用成形体をレンズの形状に成形して、光学部品であるレンズを得た。
Claims (13)
- 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であり、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とするジルコニア微粒子分散液。
- 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であるジルコニア微粒子分散液であって、前記分散剤が、
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のジルコニア微粒子分散液を樹脂と混合する工程を含むことを特徴とする有機無機複合材料の製造方法。
- 前記ジルコニア微粒子分散液を樹脂に滴下して混合した後、溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機無機複合材料の製造方法。
- 請求項6または7の製造方法により製造される有機無機複合材料。
- 分散剤を含む樹脂中に数平均粒サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子が分散している有機無機複合材料であって、前記分散剤が、
- 請求項8または9に記載の有機無機複合材料を含んで構成される光学部品。
- 光学部品がレンズ基材であることを特徴とする請求項10に記載の光学部品。
- 波長589nmにおける屈折率が1.65以上であることを特徴とする請求項11に記載の光学部品。
- 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項11または12に記載の光学部品。
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