JP2008201634A - ジルコニア微粒子分散液、該分散剤から製造される有機無機複合材料および光学部品 - Google Patents

ジルコニア微粒子分散液、該分散剤から製造される有機無機複合材料および光学部品 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂と混合したときに無機微粒子の凝集を抑制することができ、また、優れた透明性と高い屈折率を有する有機無機複合材料や光学部品を製造することができる無機微粒子分散液を提供する。
【解決手段】数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であり、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とするジルコニア微粒子分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジルコニア微粒子分散液およびその分散液を用いた有機無機複合材料に関する。さらに詳しくは、高屈折性、透明性、軽量性、加工性に優れる材料組成物を含んで構成される光学部品(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、低分散性(すなわち高いアッベ数)、耐熱性、透明性、易成形性、軽量性、耐薬品性・耐溶剤性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(特許文献1、特許文献2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。しかし、十分に屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。
屈折率を有機物のみで上げることは難しいため、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって高屈折率材料をつくる手法(特許文献4参照)が報告されている。レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子サイズが15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリックス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子サイズが15nm以下の1次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリックス中に均一に分散させることは極めて難しい。そこで、一次粒子の凝集を抑制するために、粒子表面との相互作用が可能な配位性基を有する分散剤を導入する技術(特許文献5参照)が報告されている。しかし、この技術で用いられている分散剤の屈折率は低い。このために、有機無機複合材料とした際には分散剤の低屈折率のために、無機粒子本来の高屈折率を損なってしまう問題がある。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2003−73564号公報 特開2005−185924号公報
よって、高屈折性、透明性、および軽量性を併せ持つプラスチック材料、およびそれを含んで構成されるレンズ等の光学部品やそれを製造するための方法や分散液は未だ見出されておらず、その開発が望まれていた。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂と混合したときに無機微粒子の凝集を抑制することができ、また、優れた透明性と高い屈折率を有する有機無機複合材料や光学部品を製造することができる無機微粒子分散液を提供することにある。特に、高屈折率を有する分散剤により、無機微粒子が有機溶媒中に均一に分散した無機微粒子分散液を提供することにある。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、高屈折率を有し、特定の配位性基を有する分散剤を用いることにより、無機粒子本来の高屈折率を損なうことなく、有機溶媒中に均一に分散したジルコニア微粒子分散液が得られることを見出した。さらに該分散液を用いることにより得られた有機無機複合材料が、分散剤の高屈折率と微粒子の均一分散効果により、高屈折性と優れた透明性を有することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[13]に記載した事項に特定される。
[1] 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であり、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とするジルコニア微粒子分散液。
[2] 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であるジルコニア微粒子分散液であって、前記分散剤が、
Figure 2008201634
10SO3H、および、Si(OR11m12 4-m[上式において、R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10、R11かR12の少なくとも一方は芳香族基を有する。mは1〜4の整数を表す。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有するジルコニア微粒子分散液。
[3] 前記分散剤が、
Figure 2008201634
10SO3H、および、Si(OR11m12 4-m[上式において、R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10、R11かR12の少なくとも一方は芳香族基を有する。mは1〜4の整数を表す。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする[1]に記載のジルコニア微粒子分散液。
[4] 前記分散剤が、
Figure 2008201634
およびR10SO3H[上式において、R1〜R10はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10は芳香族基を有する。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載のジルコニア微粒子分散液。
[5] 前記分散剤が、
Figure 2008201634
[上式において、R1〜R9はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも2つ、R4〜R6の少なくとも2つ、R7〜R9の少なくとも2つは芳香族基を有する。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載のジルコニア微粒子分散液。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載のジルコニア微粒子分散液を樹脂と混合する工程を含むことを特徴とする有機無機複合材料の製造方法。
[7] 前記ジルコニア微粒子分散液を樹脂に滴下して混合した後、溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする[6]に記載の有機無機複合材料の製造方法。
[8] [6]または[7]の製造方法により製造される有機無機複合材料。
[9] 分散剤を含む樹脂中に数平均粒サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子が分散している有機無機複合材料であって、前記分散剤が、
Figure 2008201634
10SO3H、および、Si(OR11m12 4-m[上式において、R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10、R11かR12の少なくとも一方は芳香族基を有する。mは1〜4の整数を表す。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする有機無機複合材料。
[10] [8]または[9]に記載の有機無機複合材料を含んで構成される光学部品。
[11] 光学部品がレンズ基材であることを特徴とする[10]に記載の光学部品。
[12] 波長589nmにおける屈折率が1.65以上であることを特徴とする[11]に記載の光学部品。
[13] 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする[11]または[12]に記載の光学部品。
本発明のジルコニア微粒子分散液は、樹脂と混合したときに微粒子の凝集を抑制することができ、また、優れた透明性と高い屈折率を有する有機無機複合材料や光学部品を提供することができる。
以下において、本発明のジルコニア微粒子分散液、有機無機複合材料とその製造方法、およびそれを含んで構成される光学部品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[ジルコニア微粒子]
本発明のジルコニア微粒子分散液には、数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子を用いる。ジルコニア微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、分散液を用いて製造される有機無機複合材料の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明におけるジルコニア微粒子の数平均粒子サイズは1〜15nmにすることが必要であり、好ましくは2〜13nmであり、より好ましくは3nm以上10nm未満であり、さらに好ましくは3〜9nmである。
本発明で用いられるジルコニア微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も採用することができる。例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望のジルコニア微粒子を得ることができる。
ジルコニア微粒子の合成原料としては、硫酸ジルコニルが例示される。ジルコニウムテトライソプロポキサイド等の金属アルコキシド類も原料として好適に使用可能である。例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)あるいはラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)に記載の公知の方法を用いることができる。特にゾル生成法によりジルコニア微粒子を合成する場合においては、例えば硫酸ジルコニルを原料として用いるジルコニア微粒子の合成のように、水酸化物等の前駆体を経由し次いで酸やアルカリによりこれを脱水縮合または解膠してヒドロゾルを生成させる手順も採用することが可能である。かかる前駆体を経由する手順では、該前駆体を、濾過や遠心分離等の任意の方法で単離精製することが最終製品の純度の点で好適である。該ヒドロゾルにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(略称DBS)やジアルキルスルホスクシネートモノナトリウム塩(三洋化成工業(株)製、商標名はエレミノールJS−2)等の適当な界面活性剤を加えて、ゾル粒子を非水溶化させて単離してもよい。例えば、色材,57巻6号,305〜308(1984)に記載の公知の方法を用いることができる。
また、水中で加水分解させる方法以外の方法として、有機溶媒中でジルコニア微粒子を作成する方法を採用することもできる。
この方法に用いられる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
本発明で用いられるジルコニア微粒子の波長589nmにおける屈折率は、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることがより好ましく、2.00〜2.70であることがさらに好ましい。屈折率が1.90以上であるジルコニア微粒子を用いれば屈折率が1.80より大きい有機無機複合材料や光学部品を作成しやすくなり、屈折率が3.00以下のジルコニア微粒子を用いれば透過率が80%以上の有機無機複合材料や光学部品を作成しやすくなる傾向がある。なお、本発明における屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社DR−M4)にて波長589nmの光について25℃で測定した値である。
本発明のジルコニア微粒子分散液におけるジルコニア微粒子の含有量は、0.1〜80質量%であることが好ましく、0.5〜60質量%であることがより好ましく、1〜50質量%であることがさらに好ましい。
[分散剤]
本発明のジルコニア微粒子分散液は、分散剤を含有する。ジルコニア微粒子に、有機溶媒への相溶性を有する有機化合物(分散剤)を配位あるいは修飾すると、該有機溶媒への微粒子の分散性が向上し、本発明のジルコニア微粒子分散液の透明性が向上する。また、分散剤を用いることによって、微粒子同士の凝集が抑制される。これらの分散剤の効果が組み合わされることにより、本発明のジルコニア微粒子分散液は優れた特性を示し、透明性と屈折率が高い有機無機複合材料や光学部品を提供することが可能になる。
本発明で用いられる分散剤の好ましい構造の具体例として、
Figure 2008201634
10SO3H、および、Si(OR11m12 4-mを挙げることができる。好ましくは、
Figure 2008201634
10SO3Hであり、さらに好ましくは、
Figure 2008201634
であり、特に好ましくは、
Figure 2008201634
である。
上式において、R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。
アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルケニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。アルキニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。アリール基の炭素数は、5〜20が好ましく、5〜16がより好ましく、5〜12がさらに好ましい。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基の好ましい具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を挙げることができ、アルケニル基の好ましい具体例として、エテニル基、プロペニル基を挙げることができ、アルキニル基の好ましい具体例として、エチニル基、プロピニル基を挙げることができ、アリール基の好ましい具体例として、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基を挙げることができる。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基はそれぞれ置換されていてもよく、置換としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。
ただし、上式において、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10、R11かR12の少なくとも一方は芳香族基を有する。R1〜R3の少なくとも2つは芳香族基を有することが好ましく、R4〜R6の少なくとも2つは芳香族基を有することが好ましく、R7〜R9の少なくとも2つは芳香族基を有することが好ましい。芳香族基は、アリール基であってもよいし、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基の置換基に含まれていてもよい。
上式において、mは1〜4の整数を表す。好ましくは1〜3である。
本発明では、1種類の分散剤を単独で用いてもよいし、また複数種の分散剤を併用してもよい。
以下において、本発明で用いられる分散剤の好ましい具体例を挙げるが、本発明で用いることができる分散剤はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008201634
Figure 2008201634
Figure 2008201634
Figure 2008201634
Figure 2008201634
本発明のジルコニア微粒子分散液における分散剤の含有量は、0.01〜40質量%であることが好ましく、0.05〜30質量%であることがより好ましく、0.05〜25質量%であることがさらに好ましい。
[分散媒]
本発明のジルコニア微粒子分散液は、分散媒として有機溶媒を含有する。
本発明で用いることができる分散媒は、有機溶媒であればその種類は特に制限されない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、アニソール等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン系炭化水素類を用いることができる。中でも、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロベンゼンが好ましく、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタンが更に好ましい。これらの分散媒は、1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
[ジルコニア微粒子分散液]
本発明のジルコニア微粒子分散液は、上記の分散媒中に分散剤とジルコニア微粒子を混合することにより得ることができる。混合の方法は特に制限されない。例えば、ジルコニア微粒子の水分散液を用意しておき、これを分散媒中に分散剤を溶解した溶液と混合して十分に攪拌し、有機相を取り出すことにより本発明のジルコニア微粒子分散液を得ることができる。また、ジルコニア微粒子の水分散液に、分散剤を溶解した水に混和可能であり、かつ水の沸点よりも高い沸点を有する有機溶媒を混合して十分に撹拌した後に、水を留去する方法によっても、本発明のジルコニア微粒子分散液を得ることができる。
本発明のジルコニア微粒子分散液は、波長589nmにおける厚さ10mmの光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。波長589nmにおける厚さ10mmの光線透過率が80%以上であれば、より好ましい性質を有する有機無機複合材料やレンズ等の光学部品を提供しやすい。
本発明のジルコニア微粒子分散液は、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であることが好ましく、1.85以上であることがより好ましい。分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であれば、より好ましい性質を有する有機無機複合材料やレンズ等の光学部品を提供しやすい。
[有機無機複合材料]
本発明のジルコニア微粒子分散液を樹脂と混合することによって、有機無機複合材料を製造することができる。本発明の有機無機複合材料の作成方法は特に限定されるものではない。具体的には、樹脂とジルコニア微粒子分散液をそれぞれ独立に合成して両者を混合させる方法、予め合成したジルコニア微粒子分散液の存在下で樹脂を合成する方法、予め合成した樹脂の存在下でジルコニア微粒子分散液を合成する方法、樹脂とジルコニア微粒子分散液の両者を同時に合成する方法等を挙げることができ、本発明の有機無機複合材料はこれらのいずれの方法で作成してもよい。
例えば、樹脂とジルコニア微粒子分散液をそれぞれ独立に合成して両者を混合させる方法を採用する場合は、ジルコニア微粒子分散液を一気に樹脂溶液と混合してもよいし、徐々に樹脂溶液に滴下してもよい。また、攪拌混合に際しては、後述する可塑剤を存在させておいてもよい。このような可塑剤は、予め樹脂溶液や無機微粒子分散液に添加しておいてもよいし、樹脂溶液とジルコニア微粒子分散液に添加してもよい。混合後に溶媒を除去することにより、本発明の有機無機複合材料を得ることができる。
本発明の有機無機複合材料は、波長589nmにおける屈折率が1.65以上であることが好ましく、1.70以上であることがより好ましい。波長589nmにおける屈折率が1.65以上であればより好ましい性質を有するレンズ等の光学部品を提供しやすい。
本発明の有機無機複合材料は、波長589nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。波長589nmにおける光線透過率が80%以上であればより好ましい性質を有するレンズ等の光学部品を提供しやすい。なお本発明における光線透過率は、樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作成し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所)で測定した値である。
本発明の有機無機複合材料中に含まれるジルコニア微粒子含量は、1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜70質量%であることがさらに好ましい。ジルコニア微粒子含量が1質量%以上であれば、屈折率向上効果が得られやすく、90質量%以下であれば有機無機複合材料の機械強度の低下を防ぎやすい傾向にある。
[樹脂]
本発明の有機無機複合材料に用いる樹脂は、熱硬化性樹脂、光硬化樹脂、熱可塑性樹脂のいずれであってもよいが、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55より大きいことがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。また、本発明において用いる樹脂は、波長589nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂に関しては、熱重合開始剤、多官能(メタ)アクリレートモノマー等から調製できる。
光硬化性樹脂に関しては、光重合開始剤、多官能(メタ)アクリレートモノマー等から調製できる。
熱可塑性樹脂に関しては、ガラス転移温度は80℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂の数平均分子量は、好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは3,000〜300,000、さらに好ましくは5,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000である。数平均分子量1,000以上であれば実用的な力学強度を有する有機無機複合材料が得られやすく、500,000以下であれば成形加工を行いやすい傾向がある。また、本発明に用いる樹脂を構成するポリマーは、付加系ポリマー、縮合系ポリマーのいずれであってもよく、ポリマーの種類に制限はない。
本発明では、硫黄を含有する熱可塑性および熱硬化性樹脂を用いてもよい。例えば、ジチアン構造を有するモノマーおよびポリマーの例としては、特開平5−148340号、特開平6−192250号、特開平11−202101号、特開2002−131502号各公報などに記載のものが挙げられる。また、エピスルフィド構造を有するモノマーの例および硬化樹脂の例としては、特開平9−110979、特開平9−255781号、特開平10−298287号各公報などに記載のものが挙げられる。また、ウレタン構造を有する樹脂の例としては、特開平5−208950、特開平7−252207号、特開2001−342252号各公報などに記載のものが挙げられる。フェニレンスルフィド構造を有する樹脂の例としては、特開平7−316295号、特開平8−92367号、特開平8−104751号、特開平8−100065号各公報などに記載のものが挙げられる。
これら以外の屈折率1.65以上の樹脂の例としては、特開平5−178929号、特開平7−267919号各公報などに記載のものが挙げられる。
本発明で用いられる樹脂は、ジルコニア微粒子との相溶性向上のために、
Figure 2008201634
[R11〜R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または置換または無置換のアルキル基を表わす。]、−SO3H、−OSO3H、−CO2H、−OH、および―Si(OR17x18 3-x[R17およびR18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、または置換または無置換のアリール基を表し、xは1〜3の整数を表す。]からなる群より選択される官能基を有していてもよい。これらの中で好ましいのは、
Figure 2008201634
−SO3H、−OSO3H、−CO2Hから選ばれる官能基を有している態様であり、さらに好ましくは、
Figure 2008201634
−SO3H、−CO2Hから選ばれる官能基を有している態様である。
官能基の導入部位はポリマーの末端でも、主鎖中でも、側鎖中でもよい。また、複数の部位に導入されていてもよい。これらの官能基は、樹脂中に例えば0.1〜20質量%含ませることができ、より好ましくは0.2〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%で含ませることができる。
ポリマーの主鎖または側鎖に前記官能基を導入する方法は、特に制限されない。例えば、官能基を有するモノマーを共重合する方法や、ポリマーの主鎖または側鎖に反応により官能基を導入する方法が挙げられる。
ポリマー末端に官能基を導入する方法としては、官能基をもつ開始剤、停止剤、連鎖移動剤などを用いて重合しポリマーを得る方法や、例えばビスフェノールAから得られるポリカーボネートのフェノール末端部を官能基を含有する反応剤で修飾する方法などを挙げることができる。例えば、新高分子実験学2、高分子の合成・反応(1)付加系高分子の合成(高分子学会編)110項〜112項に記載の硫黄含有連鎖移動剤を用いた連載移動法ビニル系モノマーのラジカル重合、新高分子実験学2、高分子の合成・反応(1)付加系高分子の合成(高分子学会編)255項〜256項に記載の、官能基含有開始剤、および/または官能基含有停止剤を用いるリビングカチオン重合、Macromolecules,36巻,7020項〜7026項(2003年)に記載の硫黄含有連鎖移動剤を用いた開環メタセシス重合などを挙げることができる。
本発明の有機無機複合材料を製造する際には、上記の熱可塑性樹脂の1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合は、混合後の樹脂混合物が上記の屈折率の条件を満たすことが好ましい。
[可塑剤]
本発明の有機無機複合材料を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、成形温度を下げるために、本発明の有機無機複合材料に可塑剤を含有させてもよい。本発明で使用する可塑剤としては、一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2008201634
[一般式(2)中、B1およびB2はそれぞれ独立に炭素数6〜18のアルキル基またはアリールアルキル基、mは0または1、Xは
Figure 2008201634
のうちのいずれかであり、R21 およびR22 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数4以下のアルキル基を示す。]
また、一般式(2)で表される化合物において、B1,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなるので添加効果が不十分である場合がある。
1,B2の基としては、具体的には、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。一般式(2)で表される化合物の具体例としては次に示すものが挙げられ、中でもW−1(花王株式会社製の商品名〔KP−L155〕)が好ましい。ただし、本発明で用いることができる可塑剤はこれらの化合物に限定されない。
Figure 2008201634
[成形法]
本発明における有機無機複合材料の成形法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、キャスト成形等、一般の熱可塑性樹脂材料の成形法を採用することができる。有機無機複合材料の流動性が低いことから、本発明では圧縮成形により成形することが好ましい。
[光学部品]
本発明の有機無機複合材料は、高屈折性、低分散性(高いアッベ数)、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れた有機無機複合材料である。また、本発明の有機無機複合材料の屈折率は、例えばジルコニア微粒子と樹脂との混合比を変えることにより任意に調節することが可能である。本発明の光学部品は、上記の有機無機複合材料を含むものである。本発明の光学部品の種類は、特に制限されない。特に、有機無機複合材料の優れた光学特性を利用した光学部品、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)に好適に利用される。かかる光学部品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
かかる光学機能装置における上記パッシブ光学部品としては、レンズ、プリズム、パネル(板状成形体)、フィルム、光導波路(フィルム状やファイバー状等)、光ディスク等が例示される。これら例示の光学部品のうち、本発明の光学部品はレンズとして特に好ましく用いることができる。かかるパッシブ光学部品には、必要に応じて任意の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、無機粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよい。かかる任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート等が挙げられ、そのコーティング法としては真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)光線透過率測定
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作成し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で波長589nmの光について測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)にて、波長589nmの光について行った。
(4)ジルコニア微粒子分散液の屈折率
分散媒との濃度を変更することにより、分散媒以外の分散剤とジルコニア微粒子からなる組成物の屈折率および体積分率を以下のMaxwell Garnettの式より見積もった。
Figure 2008201634
ここで、ncは分散液の屈折率であり、noは分散媒の屈折率であり、niは分散媒以外の分散剤とジルコニア微粒子からなる組成物の屈折率であり、qは分散剤により修飾された無機微粒子の体積分率である。ncは実測値、noも既知であるため、体積分率qおよび分散媒以外の分散剤とジルコニア微粒子からなる組成物の屈折率としてniを見積もることができる。
(5)ジルコニア微粒子分散液の透過率
光路長10mmの石英セルを用い、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で波長589nmの光について測定した。
[材料の調製]
(1)ジルコニア微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒としてジルコニア換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理してジルコニア微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmのジルコニア微粒子の生成を確認した。
(2)ジルコニア微粒子MEK分散液の調製
(1)で合成したジルコニア水分散液と東京化成製のD−1を溶解させたMEK溶液を混合後、50℃で8時間攪拌した後、MEK溶液を抽出し、ジルコニア微粒子MEK分散液を作製した。
表1に記載される他の分散剤を用いる場合にも、同様の方法により調製できる。このようにして、分散剤の種類と使用量を表1に示す通りに変えて分散液を調製した。比較例1では分散剤として特許文献5に記載の楠本化成(株)製PLAAD ED151(芳香族基を有しないリン酸エステル)を用いた。比較例2では分散剤として高屈折率を有する安息香酸を用いた。得られた各分散液の屈折率と透過率を表1に併せて示す。
(3)樹脂の合成
リビングラジカル重合開始剤Aの合成:
還流冷却器、ガス導入コックを付した200ml三口フラスコにα,α’−ジブロモ−p−キシレン20g(75.8mmol)、m−キシレン70mlを仕込み、加熱還流しながら、窒素気流下、トリイソプロピルホスファイト16.8g(80.7mmol)をm−キシレン20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後3時間加熱還流し、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、開始剤Aを得た(収率53%)。
Figure 2008201634
P−1の合成:
還流冷却器、ガス導入コックを付した200ml三口フラスコに臭化銅0.41g(2.86mmol)、スチレン59.6g(0.57mol)、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン0.5g(2.86mmol)、開始剤A 1.0g(2.86mmol)を仕込み、5回窒素置換した後、窒素気流下80℃で5時間加熱した。室温に戻した後、アルミナ30gとトルエン50mlを添加し10分間攪拌し、セライト濾過した。濾液を大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥してポリマーを得た(収率38%)。
ガス導入コックを付した100ml三口フラスコに上記で得られたポリマー10g、トリメチルシリルブロマイド2.3g(15mmol)、塩化メチレン40mlを仕込み、窒素気流下、室温で24時間攪拌した。水10mlを添加し1時間攪拌した後、大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥して樹脂P−1を得た(収量96%。数平均分子量25,200、重量平均分子量28,200)。
Figure 2008201634
(4)有機無機複合材料の調製
(2)で合成したジルコニア微粒子MEK分散液を樹脂P−1のMEK溶液に5分かけて滴下し、これを1時間攪拌した後、溶媒を除去することにより、有機無機複合材料を粉体として得た。
Figure 2008201634
表1から明らかなように、本発明により有機溶媒中に均一分散された分散剤修飾されたジルコニア微粒子の屈折率が1.80より大きくて、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%より大きいジルコニア微粒子分散液が得られた(実施例1〜7)。比較例1では分散剤の屈折率が低いことにより、無機微粒子の高屈折率を損ない、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80より高いものは得られず、比較例2では、分散剤は高屈折率であるものの、分散性が低く、微粒子分散液の光線透過率が80%より高いものは得られなかった。また光線透過率が低いため、アッベ屈折率計での屈折率測定を行なえなかった。
[加熱成形による光学部品の製造]
(4)で合成した各有機無機複合材料を220℃で加熱成形し、厚さ1mmのレンズ用成形体を作成した(実施例8〜14と比較例3および4)。使用したジルコニア微粒子分散液の種類と無機成分としての使用量は表2に示す通りとした。また、比較例5では無機微粒子を添加せず樹脂のみを成形した。
成形体を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果は以下の表2に記載した。その後、レンズ用成形体をレンズの形状に成形して、光学部品であるレンズを得た。
Figure 2008201634
表2から明らかなように、本発明により屈折率が1.65より大きくて透明性が良好な光学部品が得られた(実施例8〜14)。比較例1では分散媒以外の組成物の屈折率が低いことにより、屈折率が十分に高い光学部品は得られず、比較例2では、分散性が低く、微粒子が凝集しており、光線透過率が低いため、アッベ屈折率計での屈折率測定を行なえなかった。
本発明のジルコニア分散液は無機微粒子の高屈折率を損なうことなく、有機溶媒中に均一に分散しており、これを含んで構成される本発明の光学部品は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持つ。また、本発明によれば、屈折率を任意に調節した光学部品を比較的容易に提供することができる。このため、本発明は、高屈折レンズ等の広範な光学部品の提供に有用であり、産業上の利用可能性が高い。

Claims (13)

  1. 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、分散媒以外の組成物の屈折率が1.80以上であり、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とするジルコニア微粒子分散液。
  2. 数平均粒子サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子、分散剤、および分散媒として有機溶媒を含有し、波長589nmにおける厚さ10mm換算の光線透過率が80%以上であるジルコニア微粒子分散液であって、前記分散剤が、
    Figure 2008201634
    10SO3H、および、Si(OR11m12 4-m[上式において、R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10、R11かR12の少なくとも一方は芳香族基を有する。mは1〜4の整数を表す。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有するジルコニア微粒子分散液。
  3. 前記分散剤が、
    Figure 2008201634
    10SO3H、および、Si(OR11m12 4-m[上式において、R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10、R11かR12の少なくとも一方は芳香族基を有する。mは1〜4の整数を表す。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のジルコニア微粒子分散液。
  4. 前記分散剤が、
    Figure 2008201634
    およびR10SO3H[上式において、R1〜R10はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10は芳香族基を有する。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のジルコニア微粒子分散液。
  5. 前記分散剤が、
    Figure 2008201634
    [上式において、R1〜R9はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも2つ、R4〜R6の少なくとも2つ、R7〜R9の少なくとも2つは芳香族基を有する。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のジルコニア微粒子分散液。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のジルコニア微粒子分散液を樹脂と混合する工程を含むことを特徴とする有機無機複合材料の製造方法。
  7. 前記ジルコニア微粒子分散液を樹脂に滴下して混合した後、溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機無機複合材料の製造方法。
  8. 請求項6または7の製造方法により製造される有機無機複合材料。
  9. 分散剤を含む樹脂中に数平均粒サイズが1〜15nmのジルコニア微粒子が分散している有機無機複合材料であって、前記分散剤が、
    Figure 2008201634
    10SO3H、および、Si(OR11m12 4-m[上式において、R1〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、R1〜R3の少なくとも1つ、R4〜R6の少なくとも1つ、R7〜R9の少なくとも1つ、R10、R11かR12の少なくとも一方は芳香族基を有する。mは1〜4の整数を表す。]からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする有機無機複合材料。
  10. 請求項8または9に記載の有機無機複合材料を含んで構成される光学部品。
  11. 光学部品がレンズ基材であることを特徴とする請求項10に記載の光学部品。
  12. 波長589nmにおける屈折率が1.65以上であることを特徴とする請求項11に記載の光学部品。
  13. 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項11または12に記載の光学部品。
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