JP2008195099A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】キャップトレッド31の硬度よりも硬度が低いウイングチップ40に緩衝部42を設け、キャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込ませる。これにより、サイドフレックスゾーン65の高さFHを高くすることができ、応力集中を低減することができる。また、ウイングチップ40に緩衝部42を設けることにより、ショルダー部16付近全体の硬度を低くすることができ、乗心地性を向上させることができる。また、キャップトレッドゴム比ヒステリシスが低いウイングチップ40にてキャップトレッド31が一部置換されるため、転がり抵抗が減少する。これらの結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。特に、この発明は、低偏平の空気入りタイヤに関するものである。
従来の空気入りタイヤでは、路面に接地するトレッド面を有するトレッド部に、性質の異なる複数のゴム材料が用いられている。例えば、トレッド部は、トレッド面を形成するキャップトレッドと、キャップトレッドのタイヤ径方向内方に位置するアンダートレッドとから形成されているものがある。この場合、キャップトレッドには、耐候性、グリップ性、耐摩耗性、低転動抵抗性などに優れたゴム材料が用いられ、アンダートレッドには、低転動抵抗性を向上させる目的で、低ヒステリシスロスのゴム材料が用いられる。
また近年では、車両の高出力化や高速道路網の発達に伴い、空気入りタイヤに高い操縦安定性が求められる場合が多くなっている。このため、このような空気入りタイヤでは、操縦安定性を向上させるために、タイヤ断面幅に対するタイヤ断面高さの比で表される偏平率を小さく設定し、タイヤの横剛性の向上を図ったものが多くなっている。また、このような空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向の両側に設けられる2箇所のビード部間に渡って設けられると共にサイドウォール部及びトレッド部に沿って形成されるカーカスが、ビード部で折り返され、この折り返された部分をタイヤ径方向における外方に延ばし、トレッド部のタイヤ幅方向における両端に位置するバットレス部の近傍にまで延在させたものがある。これにより、サイドウォール部の剛性を向上させることができるので、操縦安定性を向上させることができる。
しかし、バットレス部付近は、車両の走行中に空気入りタイヤに作用する荷重によって圧縮変形が生じ易い部分であるため、この部分の近傍に位置するカーカスの折り返し部分の外端には歪みが生じ易くなっている。これにより、この部分のカーカスは周囲のゴムから剥離し易くなり、耐久性が低下し易くなっている。特に、偏平率が60%を下回る場合には、サイドウォール部の屈曲領域が大幅に減じられるため、その分、バットレス部に生じる変形量も大きくなり、より耐久性が低下する虞がある。このため、従来の空気入りタイヤでは、操縦性安定性を高めつつ耐久性を向上させているものがある。例えば、特許文献1に記載の空気入りタイヤでは、トレッド部の主要部分をなすゴム主部のタイヤ幅方向における両側に、軟質のゴム材からなるウイングゴムを配設し、このウイングゴムを、カーカスの折り返し部分である折返し部の外端付近と、カーカスの本体部とで挟んでいる。これにより、カーカスの折返し部の外端付近の歪みをウイングゴムで緩和、吸収することができるので、折返し部が周囲のゴムから剥離することを抑制することができ、耐久性の向上を図ることができる。この結果、操縦性安定性を高めつつ耐久性を向上させることができる。
特開2002−120514号公報
ここで、近年の車両は、制動性能の向上を図るため、ブレーキディスクやブレーキキャリパーが大型化しており、これらをホイール内に収めるために、ホイールのリム径が大型のもの、即ちハイインチ化されたものが多くなっている。このため、近年の空気入りタイヤでは、ホイールのリム径のハイインチ化に伴い、従来の空気入りタイヤよりも偏平率がさらに小さく、タイヤ断面高さが100mm以下の低偏平のものが増加している。このように、低偏平化された空気入りタイヤでは、タイヤ断面高さが低くなるので、トレッド部の一部を形成するキャップトレッドのタイヤ幅方向における外端部から、ビードフィラーのタイヤ径方向における外端部までのタイヤ径方向における高さが低くなっている。
しかしながらこの部分は、タイヤ径方向において変形し易くなった、いわゆるサイドフレックスゾーンとなっており、空気入りタイヤに対してタイヤ径方向に荷重が作用した際に変形することにより、衝撃を吸収したり、応力集中を低減したりする作用をする。従って、空気入りタイヤを低偏平化し、サイドフレックスゾーンのタイヤ径方向における高さが低くなった場合には、応力分散の領域が減少するため、これに起因してカーカスの折返し部における外端以外の部分でも故障が発生し易くなる虞がある。特に、サイドフレックスゾーンのタイヤ径方向内方側に位置するビードフィラーの近傍には応力集中が発生し易く、このビードフィラーと、当該ビードフィラーに接触して設けられるカーカスとの剥離破壊であるプライセパレーションが生じ易くなる虞があった。また、サイドフレックスゾーンのタイヤ径方向における高さが低くなった場合には、タイヤ径方向における衝撃を吸収する作用が低減するため、乗心地性が低減する虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ径方向における最外部分にトレッド部が設けられており、前記トレッド部は、前記トレッド部の表面であるトレッド面を形成するキャップトレッドと、前記キャップトレッドのタイヤ径方向内方に設けられるアンダートレッドと、前記キャップトレッド及び前記アンダートレッドのタイヤ幅方向両側に設けられるウイングチップと、からなる空気入りタイヤにおいて、前記ウイングチップは、JIS−A硬度が前記キャップトレッドのJIS−A硬度よりも低いゴム材料により形成されており、前記ウイングチップには、前記キャップトレッドと前記アンダートレッドとのタイヤ幅方向における端部から前記キャップトレッドと前記アンダートレッドとの間に入り込んでいる緩衝部が設けられており、正規リムにリム組みし、且つ、正規内圧の5%を内圧充填した状態で最もタイヤ径方向外方に位置する部分から最もタイヤ径方向内方に位置する部分までのタイヤ径方向における距離であるタイヤ断面高さが、100mm以下となっていることを特徴とする。
この発明では、ウイングチップに緩衝部を設け、キャップトレッドとアンダートレッドとの間に入り込ませているので、キャップトレッドのタイヤ幅方向における外端部のタイヤ径方向における位置を、緩衝部を設けない場合よりもタイヤ径方向外方に位置させることができる。これにより、ビードフィラーからキャップトレッドの外端部までのタイヤ径方向における距離を大きくすることができる。また、ウイングチップは、JIS−A硬度がキャップトレッドのJIS−A硬度よりも低いゴム材料によって形成されているので、ウイングチップを緩衝部材として用いることができる。このため、ウイングチップをサイドフレックスゾーンの一部として用いることができ、また、ビードフィラーからキャップトレッドの外端部までのタイヤ径方向における距離が大きくなっているので、サイドフレックスゾーンのタイヤ径方向における高さを高くすることができる。従って、タイヤ径方向の荷重を吸収することができ、応力集中を低減することができ、特に、荷重たわみ変形におけるビードフィラー付近の応力集中を回避することができる。これにより、プライセパレーションの発生を低減することができる。
また、JIS−A硬度がキャップトレッドのJIS−A硬度よりも低いゴム材料からなるウイングチップの緩衝部をキャップトレッドとアンダートレッドとの間に入り込ませることにより、トレッド部におけるウイングチップが設けられている部分付近、即ちショルダー部付近全体の硬度を低くすることができる。これにより、ショルダー部付近が全体的に軟らかくなるので、ショルダー部付近の潰れ変形能が増大し、バネ定数が低減する。このため、トレッド部に作用する荷重による衝撃をショルダー部付近で吸収することができるので、乗心地性を向上させることができる。また、キャップトレッドゴム比ヒステリシスが低いウイングチップにてキャップトレッドが一部置換されるため、転がり抵抗が減少する。これらの結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記緩衝部は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線側の端部からタイヤ幅方向外方に向かうに従ってタイヤ径方向における幅が広くなっていることを特徴とする。
この発明では、緩衝部の幅を、タイヤ赤道線側の端部からタイヤ幅方向外方に向かうに従って広くしているので、キャップトレッドのタイヤ幅方向における外端部のタイヤ径方向における位置を、より確実にタイヤ径方向外方に位置させることができる。これにより、サイドフレックスゾーンのタイヤ径方向における高さを、より確実に高くすることができ、より確実に応力集中を低減することができる。また、このように緩衝部を形成することにより、ショルダー部付近におけるウイングチップの割合が増加するので、より確実にショルダー部付近の潰れ変形能が増大させることができ、バネ定数を低減させることができる。これらの結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を、より確実に向上させることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記トレッド面には、タイヤ周方向に延びる周方向溝が複数形成されていると共に前記周方向溝によって区画された陸部が複数形成されており、前記緩衝部は、前記複数の周方向溝のうちタイヤ幅方向における最外に位置する前記周方向溝と前記複数の陸部のうちタイヤ幅方向における最外に位置する前記陸部との前記トレッド面における境界を通る前記トレッド面のプロファイルラインの法線に対して、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線側の端部がタイヤ幅方向外方に少なくとも5mm以上離れて形成されていることを特徴とする。
この発明では、ウイングチップの緩衝部のタイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線側の端部が、前記プロファイルラインの法線よりもタイヤ幅方向外方に5mm以上離れているので、周方向溝の溝底付近でのキャップトレッドの厚さを確保できる。つまり、キャップトレッドは、ウイングチップの緩衝部がキャップトレッドとアンダートレッドとの間に入り込むことにより、その部分のタイヤ径方向の厚さが薄くなるが、緩衝部のタイヤ赤道線側の端部を、タイヤ幅方向外方側に法線から離すことにより、周方向溝よりもタイヤ径方向内方側に位置するキャップトレッドの厚さを確保できる。これにより、ウイングチップに緩衝部を設けることに起因して、周方向溝よりもタイヤ径方向内方側のキャップトレッドの厚さが薄くなることを抑制できる。この結果、グルーブクラックの発生を抑制できる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記ウイングチップは、JIS−A硬度が35〜65の範囲内となっていることを特徴とする。
この発明では、ウイングチップのJIS−A硬度を35〜65の範囲内としているので、より効果的にサイドフレックスゾーンで応力集中を回避すると共に、ショルダー部付近のバネ定数を低減することができる。この結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を、より確実に向上させることができる。
本発明に係る空気入りタイヤは、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施の形態)
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内方とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道線に向かう方向、タイヤ幅方向外方とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道線に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、前記回転軸と直交する方向をいい、タイヤ周方向とは、前記回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。図1は、この発明に係る空気入りタイヤの要部を示す子午面断面図である。同図に示す空気入りタイヤ1は、子午面断面で見た場合、タイヤ径方向における最外部分にトレッド部10が設けられている。このトレッド部10のタイヤ幅方向の両端部はショルダー部16となっており、ショルダー部16付近からタイヤ径方向内方側の所定の位置までは、サイドウォール部15が設けられている。つまり、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の両端には、サイドウォール部15が位置しており、トレッド部10は、サイドウォール部15のタイヤ径方向外方に設けられている。また、サイドウォール部15のタイヤ径方向内方側には、ビード部24が設けられている。このビード部24は、当該空気入りタイヤ1の2箇所に設けられており、タイヤ赤道線5を中心として対称になるように、タイヤ赤道線5の両側に設けられている。このビード部24にはビードコア25が設けられており、ビードコア25のタイヤ径方向外方にはビードフィラー26が設けられている。
また、トレッド部10のタイヤ径方向内方には、複数のベルト層21が設けられている。このベルト層21のタイヤ径方向内方、及びサイドウォール部15のタイヤ赤道線5側には、カーカス22が連続して設けられている。このカーカス22は、ラジアルプライのカーカス22になっており、2箇所のビード部24間に渡って設けられると共に、サイドウォール部15及びトレッド部10に沿って形成されている。さらに、カーカス22は、ビード部24でビードコア25に沿ってタイヤ幅方向外方に巻き返されている。このように形成されるカーカス22の内側、或いは、当該カーカス22の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ23がカーカス22に沿って形成されている。
このように形成される空気入りタイヤ1は、偏平率が低く、いわゆる低偏平の空気入りタイヤ1となっている。具体的には、この空気入りタイヤ1は、正規リムにリム組みし、且つ、正規内圧の5%を内圧充填した状態で、子午面断面視において最もタイヤ径方向外方に位置する部分から最もタイヤ径方向内方に位置する部分までのタイヤ径方向における距離であるタイヤ断面高さSHが、100mm以下となっている。なお、ここでいう正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいはETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。ただし、乗用車用の空気入りタイヤ1の場合には、180kPaである。
また、トレッド部10の表面であるトレッド面11には、タイヤ周方向に延びる周方向溝50が複数形成されている。この周方向溝50は、タイヤ周方向に沿って形成されており、複数がほぼ平行にタイヤ幅方向に並んで形成されている。また、トレッド面11には、この周方向溝50によって区画された陸部であるリブ55が複数設けられている。この実施の形態に係る空気入りタイヤ1は、これらの複数の周方向溝50及び複数のリブ55によってトレッドパターンが形成された、いわゆるリブパターンの空気入りタイヤ1となっている。なお、この周方向溝50は、正確にタイヤ周方向に沿って形成されていなくてもよい。周方向溝50は概ねタイヤ周方向に沿って形成されていればよく、タイヤ幅方向に斜めに形成されている場合や、曲線、またはジグザグ状などの形状で形成されていてもよい。
また、トレッド部10は、キャップトレッド31を有している。このキャップトレッド31は、トレッド部10におけるタイヤ径方向外方寄りに位置し、空気入りタイヤ1の外部に対して露出することによりトレッド面11を形成している。また、トレッド部10は、アンダートレッド35とウイングチップ40とを有している。このうち、アンダートレッド35は、キャップトレッド31のタイヤ径方向内方に設けられており、ウイングチップ40は、キャップトレッド31及びアンダートレッド35のタイヤ幅方向両側に設けられている。
このようにトレッド部10に設けられるウイングチップ40は、本体部41と緩衝部42とにより形成されている。このうち、本体部41は、タイヤ幅方向におけるキャップトレッド31及びアンダートレッド35のタイヤ幅方向両側に位置しており、緩衝部42は、キャップトレッド31とアンダートレッド35とのタイヤ幅方向における端部からキャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込んでいる。
つまり、ウイングチップ40の緩衝部42は、キャップトレッド31のタイヤ幅方向における端部であるキャップトレッド端部32と、アンダートレッド35のタイヤ幅方向における端部であるアンダートレッド端部36との間から、キャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込んでいる。このように形成される緩衝部42は、本体部41のタイヤ赤道線5側の面からタイヤ赤道線5方向に、本体部41から突出して形成されることにより本体部41と一体に形成されている。また、緩衝部42は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線5側の端部である緩衝部内側端部43から、緩衝部42における本体部41側の端部である緩衝部外側端部44に向かうに従ってタイヤ径方向における幅が広くなっている。即ち、緩衝部42は、緩衝部内側端部43から、タイヤ幅方向外方に向かうに従ってタイヤ径方向における幅が広くなっている。
このように、トレッド部10はキャップトレッド31とアンダートレッド35とウイングチップ40とから形成されているが、これらは、それぞれ異なる物性のゴム材料から形成されている。具体的には、ウイングチップ40は、JIS−A硬度(JIS K6253)が、キャップトレッド31やアンダートレッド35のJIS−A硬度よりも低いゴム材料により形成されている。
詳しくは、ウイングチップ40とキャップトレッド31のJIS−A硬度は、ウイングチップ40のJIS−A硬度が35〜65の範囲内となり、キャップトレッド31のJIS−A硬度が40〜85の範囲内となっている。ウイングチップ40のJIS−A硬度とキャップトレッド31のJIS−A硬度は、この範囲内となりつつ、ウイングチップ40のJIS−A硬度がキャップトレッド31のJIS−A硬度よりも低くなっている。なお、このJIS−A硬度は、ウイングチップ40のJIS−A硬度が、キャップトレッド31のJIS−A硬度よりも10ポイント以上低くなっているのが好ましい。
このように、ウイングチップ40は、キャップトレッド31よりも硬度が低くなっており、これに伴い弾力性が高くなっている。このため、ウイングチップ40の緩衝部42は、低い硬度で形成され、空気入りタイヤ1に荷重が作用した際に変形することにより、空気入りタイヤ1に発生する応力集中を抑制可能なサイドフレックスゾーン65の一部となっている。このように、ウイングチップ40の緩衝部42はサイドフレックスゾーン65に含まれるため、サイドフレックスゾーン65は、ビードフィラー26のタイヤ径方向外方側の端部であるビードフィラー登頂部27からキャップトレッド端部32までの範囲となっている。
つまり、ビードフィラー26は、ウイングチップ40を形成するゴム材料よりも硬度が高いゴム材料によって形成されており、弾性変形がし難くなっているため、サイドフレックスゾーン65は、ビードフィラー登頂部27からキャップトレッド端部32までの範囲となっている。また、ウイングチップ40の緩衝部42がキャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込んでいることにより、タイヤ径方向におけるサイドフレックスゾーン65の高さは高くなっており、タイヤ径方向におけるサイドフレックスゾーン65の高さFHは、タイヤ断面高さSHの30%以上となっている。
また、ウイングチップ40を形成するゴム材料は、路面(図示省略)との摩擦性能であるグリップ性能が、キャップトレッド31を形成するゴム材料のグリップ性能よりも低くなっている。さらに、ウイングチップ40を形成するゴム材料は、耐候性を有しており、具体的には、オゾン耐久性を有している。このように耐候性を有するウイングチップ40を形成するゴム材料は、特にワックスを配合し、耐候性を付与したタイヤサイドトレッド用の一般的なものとなっている。具体的には、ウイングチップ40を形成するゴム材料は、NR(天然ゴム)、BR(ブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、カーボン、オイル等により構成されるゴム材料となっている。
また、ウイングチップ40が有する緩衝部42は、タイヤ幅方向における位置が、トレッド面11に複数形成される周方向溝50よりも、タイヤ幅方向外方に位置している。つまり、緩衝部42は、全ての部分が、複数の周方向溝50のうちタイヤ幅方向における最外に位置する周方向溝50であるショルダー部側周方向溝52よりもタイヤ幅方向外方に設けられている。換言すると、緩衝部42は、複数のリブ55のうちタイヤ幅方向における最外に位置するリブ55であるショルダー部側リブ56のタイヤ赤道線5側の端部よりも、全ての部分がタイヤ幅方向外方に設けられている。
詳しくは、ショルダー部側周方向溝52とショルダー部側リブ56とのトレッド面11における境界を通るトレッド面11のプロファイルライン60の法線を境界法線61とした場合に、緩衝部42は、緩衝部内側端部43が境界法線61に対して、タイヤ幅方向外方に少なくとも5mm以上離れて形成されている。即ち、境界法線61と緩衝部内側端部43との距離Dは、5mm以上になっている。なお、この境界法線61と緩衝部内側端部43との距離Dは、10mm以上となるのが好ましい。
図2は、図1の空気入りタイヤが有するトレッド部の素材形状を示す説明図である。トレッド部10は、上述したように、キャップトレッド31とアンダートレッド35とウイングチップ40とから形成されており、また、ウイングチップ40は緩衝部42を有し、この緩衝部42は、キャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込んでいる。トレッド部10は、このように複数の部材を張り合わせることによって形成されるが、このトレッド部10は、空気入りタイヤ1の製造時には、まずキャップトレッド31とアンダートレッド35とウイングチップ40とを張り合わせたトレッド部素材70が形成される。その後、トレッド部素材70がさらに他の部材に張り合わされることにより、空気入りタイヤ1は製造される。
トレッド部10は、このように、まずトレッド部素材70が形成されるが、ウイングチップ40の緩衝部42はキャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込んでおり、従来の空気入りタイヤのトレッド部の構成とは異なっている。このため、このトレッド部素材70は、緩衝部42を設けた形状にウイングチップ40を形成することができると共に、緩衝部42をキャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込ませることのできる特殊形状ダイス(図示省略)により押し出して形成する。
この実施の形態に係る空気入りタイヤ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。この空気入りタイヤ1を車両(図示省略)に装着して走行すると、トレッド面11のうち下方に位置するトレッド面11が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両走行時には、このようにトレッド面11が路面に接触するため、トレッド面11には車両の重量などによる荷重が作用する。空気入りタイヤ1は、ゴム材料などの弾性部材によって形成されている部分が多いため、トレッド面11に荷重が作用した場合には、荷重の作用の仕方や各部の硬度などに応じて空気入りタイヤ1は弾性変形をする。このように、車両の走行時に作用する荷重によって空気入りタイヤ1が変形をする場合には、硬度の低い部分が大きく変形し易くなっている。
例えば、トレッド面11に、タイヤ径方向における内側方向への荷重が作用した場合には、低い硬度で形成された部分であるサイドフレックスゾーン65が変形し、サイドフレックスゾーン65に位置するサイドウォール部15が、タイヤ幅方向外方に突出して湾曲した形状に変形する。また、このサイドフレックスゾーン65には、キャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込んでいるウイングチップ40の緩衝部42も含まれており、トレッド面11に荷重が作用した場合には、緩衝部42もタイヤ径方向に潰れる方向に弾性変形をする。このようにサイドフレックスゾーン65が変形することにより、荷重が作用した際に発生する応力は分散し、応力集中は抑制される。
また、ウイングチップ40には緩衝部42が設けられているため、キャップトレッド31の硬度よりも硬度が低いゴム材料からなるウイングチップ40の子午面断面視における断面積は、ウイングチップ40に緩衝部42が設けられない場合の断面積よりも大きくなっている。このため、ウイングチップ40が配設されている部分であるショルダー部16付近全体の硬度が低くなるため、ショルダー部16付近に荷重が作用した場合には、断面積が大きいウイングチップ40によって衝撃は吸収される。
特に、空気入りタイヤ1を、大きなキャンバー角で車両に装着した場合には、トレッド面11におけるショルダー部16付近が接地し易くなるので、路面から空気入りタイヤ1への荷重などの入力は、ショルダー部16付近から入力され易くなるが、ショルダー部16付近には、ウイングチップ40が配設されている。このため、このウイングチップ40によって、路面から入力された荷重や衝撃などは吸収される。
以上の空気入りタイヤ1は、ウイングチップ40に緩衝部42を設け、キャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込ませているので、キャップトレッド端部32のタイヤ径方向における位置を、緩衝部42を設けない場合よりもタイヤ径方向外方に位置させることができる。これにより、ビードフィラー登頂部27からキャップトレッド端部32までのタイヤ径方向における距離を大きくすることができる。また、ウイングチップ40は、JIS−A硬度がキャップトレッド31のJIS−A硬度よりも低いゴム材料によって形成されているので、ウイングチップ40を緩衝部材として用いることができる。このため、ウイングチップ40をサイドフレックスゾーン65の一部として用いることができ、また、ビードフィラー登頂部27からキャップトレッド端部32までのタイヤ径方向における距離が大きくなっているので、サイドフレックスゾーン65のタイヤ径方向における高さFHを高くすることができる。従って、より確実にタイヤ径方向の荷重を吸収することができ、応力集中を低減することができ、特に、荷重たわみ変形におけるビードフィラー26付近の応力集中を回避することができる。これにより、カーカス22とビードフィラー26との剥離破壊であるプライセパレーションの発生を低減することができる。
また、JIS−A硬度がキャップトレッド31のJIS−A硬度よりも低いゴム材料からなるウイングチップ40の緩衝部42をキャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込ませることにより、トレッド部10におけるウイングチップ40が設けられている部分付近、即ちショルダー部16付近全体の硬度を低くすることができる。これにより、ショルダー部16付近が全体的に軟らかくなるので、ショルダー部16付近の潰れ変形能が増大し、バネ定数が低減する。このため、トレッド部10に作用する荷重による衝撃をショルダー部16付近で吸収することができるので、乗心地性を向上させることができる。また、キャップトレッドゴム比ヒステリシスが低いウイングチップ40にてキャップトレッド31が一部置換されるため、転がり抵抗が減少する。これらの結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることができる。
また、タイヤ径方向における緩衝部42の幅を、緩衝部内側端部43からタイヤ幅方向外方に向かうに従って広くしているので、キャップトレッド端部32のタイヤ径方向における位置を、より確実にタイヤ径方向外方に位置させることができる。これにより、サイドフレックスゾーン65のタイヤ径方向における高さFHを、より確実に高くすることができるので、タイヤ径方向の荷重を吸収し易くなり、より確実に応力集中を低減することができる。また、このような形状で緩衝部42を形成することにより、ショルダー部16付近におけるウイングチップ40の割合が増加するので、より確実にショルダー部16付近の潰れ変形能が増大させることができ、バネ定数を低減させることができる。これらの結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を、より確実に向上させることができる。
また、ウイングチップ40のJIS−A硬度を35〜65の範囲内としているので、より確実にウイングチップ40のJIS−A硬度をキャップトレッド31のJIS−A硬度よりも低くすることができ、また、ウイングチップ40の硬度を、適度な軟らかさにすることができる。このため、より効果的にサイドフレックスゾーン65で応力集中を回避すると共に、ショルダー部16付近のバネ定数を低減することができる。この結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を、より確実に向上させることができる。
また、ウイングチップ40を形成するゴム材料は、グリップ性能が、キャップトレッド31を形成するゴム材料のグリップ性能よりも低くなっている。このため、ウイングチップ40が路面に接地した場合の路面との摩擦力は、キャップトレッド31が路面に接地した場合の摩擦力よりも低くなるので、ウイングチップ40が路面に接地した場合の転動抵抗、つまり転がり抵抗は低くなる。この結果、ウイングチップ40を設けることにより、転がり抵抗を小さくすることができ、転がり抵抗に対する性能を向上させることができる。
また、ウイングチップ40を形成するゴム材料は、耐候性を有しているため、トレッド部10が摩耗してウイングチップ40の緩衝部42が露出した場合でも、緩衝部材として設けられる緩衝部42が、オゾンなどにより劣化することを抑制できる。これにより、ウイングチップ40による緩衝性能を長期に渡って維持することができる。この結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を、長期に渡って向上させることができる。
また、タイヤ径方向におけるサイドフレックスゾーン65の高さFHを、タイヤ断面高さSHの30%以上にしているので、トレッド面11に荷重が作用した場合に、より確実にタイヤ径方向の荷重を吸収することができる。つまり、トレッド面11に荷重が作用した場合には、サイドフレックスゾーン65全体が撓むことにより荷重を吸収するため、サイドフレックスゾーン65は、タイヤ径方向における高さFHを高くした方が、より荷重を吸収し易くなり、応力集中を抑制し易くなる。このため、タイヤ径方向におけるサイドフレックスゾーン65の高さFHを、タイヤ断面高さSHの30%以上にすることによりサイドフレックスゾーン65の高さFHを確保できるので、タイヤ断面高さSHを100mm以下にして空気入りタイヤ1を低偏平にした場合でも、サイドフレックスゾーン65で荷重を吸収することができる。これにより、より確実に応力集中を抑制することができるので、ビードフィラー26付近の応力集中を、より確実に回避することができる。この結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性を、より確実に向上させることができる。
また、ショルダー部16付近にウイングチップ40を配設し、さらに、ウイングチップ40に緩衝部42を設けている。これにより、空気入りタイヤ1を大きなキャンバー角で車両に装着した場合に接地し易い部分であるショルダー部16付近の緩衝機能を確保することができる。この結果、低偏平に形成し、且つ、大きなキャンバー角で車両に装着した場合における乗心地性を向上させることができる。
また、ウイングチップ40の緩衝部42の緩衝部内側端部43が、境界法線61よりもタイヤ幅方向外方に5mm以上離れているので、ショルダー部側周方向溝52の溝底51付近でのキャップトレッド31の厚さを確保することができる。つまり、キャップトレッド31は、ウイングチップ40の緩衝部42がキャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込むことにより、その部分のタイヤ径方向の厚さが薄くなるが、緩衝部内側端部43を、タイヤ幅方向外方側に境界法線61から離すことにより、ショルダー部側周方向溝52よりもタイヤ径方向内方側に位置するキャップトレッド31の厚さを確保できる。これにより、ウイングチップ40に緩衝部42を設けることに起因して、ショルダー部側周方向溝52、即ち周方向溝50よりもタイヤ径方向内方側に位置するキャップトレッド31の厚さが薄くなることを抑制できる。この結果、グルーブクラックの発生を抑制できる。
なお、上記の説明では、空気入りタイヤ1の一例として、トレッド面11には複数の周方向溝50が形成されたリブターンを有する空気入りタイヤ1を説明しているが、本発明を適用する空気入りタイヤ1はリブパターン以外でもよく、リブラグパターン、ブロックパターンなど、いずれのパターンのトレッド部10を有する空気入りタイヤ1でもよい。これらのリブパターンの空気入りタイヤ1以外の空気入りタイヤ1でも、リブパターンの空気入りタイヤ1と同様に、トレッド部10が有するウイングチップ40に緩衝部42を設け、緩衝部42が、キャップトレッド31とアンダートレッド35とのタイヤ幅方向における端部からキャップトレッド31とアンダートレッド35との間に入り込んでいればよい。このように、ウイングチップ40、キャップトレッド31、アンダートレッド35が形成された空気入りタイヤ1であれば、トレッド面11のパターン形状は、どのような形状であっても構わない。どのようなパターン形状の空気入りタイヤ1であっても、上述した形態でトレッド部10を形成することにより、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることができる。
以下、上記の空気入りタイヤ1について、本発明の空気入りタイヤ1と、この本発明の空気入りタイヤ1と比較する従来例の空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、プライセパレーション耐久性と、転がり抵抗についての性能と、乗心地性についての3項目について行なった。
試験方法は、275/35R19 96Wサイズの空気入りタイヤ1によって行なった。各試験項目の評価方法は、プライセパレーション耐久性についての性能試験では、試験を行なう空気入りタイヤ1を19×10.5Jのリムに装着して内圧を330kPaに設定し、この空気入りタイヤ1をドラム試験機に装着して室内試験によって行なった。この試験では、試験速度を81km/h、キャンバー角を3°に設定し、走行時間によって区切ったステップごとに行なった。この試験のステップごと条件を、表1に示す。
Figure 2008195099
プライセパレーション耐久性についての性能試験では、表1に示すように、走行時間(hr)で区切った各ステップで、それぞれ所定の試験荷重(kN)を空気入りタイヤに負荷することにより行ない、プライセパレーションが発生するまでの累積走行距離を測定した。このプライセパレーション耐久性についての評価は、後述する従来例の空気入りタイヤ1の累積走行距離を100とする指数で示しており、指数が大きいほどプライセパレーション耐久性が優れている。
また、転がり抵抗についての性能試験は、プライセパレーション耐久性についての性能試験と同様の試験条件でドラム試験機を用いた室内試験によって行ない、転がり抵抗を測定した。この転がり抵抗についての評価は、測定した転がり抵抗よりRRC(Rolling Resistance Coefficient:転がり抵抗係数)を算出し、RRCを比較することにより行なった。このRRCは、数値が小さい方が空気入りタイヤ1の転動時における転がり抵抗が小さく、転がり抵抗についての性能が優れている。
また、乗心地性についての性能試験は、試験を行なう空気入りタイヤを車両に装着し、この車両で試験走行をした際の乗心地を、ドライバーの官能評価によって評価した。評価結果は、後述する従来例の空気入りタイヤの乗心地の評価を100とする指数で示している。この指数が大きいほど乗心地が良くなっており、乗心地に対する性能が優れている。
これらの試験は、従来の空気入りタイヤ1の一例である従来例と、本発明とを、それぞれ上記の方法で試験する。試験を行なう従来例と本発明の空気入りタイヤ1は、共にタイヤ断面高さSH、キャップトレッド31のJIS−A硬度、ウイングチップ40のJIS−A硬度が同じ値になっている。即ち、従来例と本発明の空気入りタイヤ1は、共にタイヤ断面高さSH=91.3mm、キャップトレッド31のJIS−A硬度は65、ウイングチップ40のJIS−A硬度は55になっている。
また、本発明の空気入りタイヤ1に設けられるウイングチップ40は緩衝部42を有しており、従来例の空気入りタイヤ1に設けられているウイングチップ40は緩衝部42を有していない。このため、子午面断面視におけるウイングチップ40の断面積は、従来例の空気入りタイヤ1よりも本発明の空気入りタイヤ1の方が大きくなっており、従来例の空気入りタイヤに設けられるウイングチップ40の断面積を100%とした場合における本発明の空気入りタイヤ1に設けられるウイングチップ40の断面積は300%になっている。これらの従来例及び本発明の空気入りタイヤ1を上記の方法で評価試験をし、得られた結果を表2に示す。
Figure 2008195099
表2に示した上記の試験結果で明らかなように、ウイングチップ40に緩衝部42を設けることにより、サイドフレックスゾーン65のタイヤ径方向における高さFHを高くすることができるので、応力集中を抑制でき、ビードフィラー26付近の応力集中を回避することができる。また、ウイングチップ40に緩衝部42を設け、ウイングチップ40の断面積を増加させることにより、ショルダー部16付近のバネ定数を低減させることができ、トレッド部10に作用する荷重による衝撃をショルダー部16付近で吸収することができる。また、キャップトレッド31の一部をウイングチップ40に置換することにより、転がり抵抗を減少させることができる。これらの結果、低偏平にした場合におけるプライセパレーション耐久性と乗心地性及び低転がり抵抗性を向上させることができる。
また、グリップ性能が低いウイングチップ40の断面積を大きくすることにより、ショルダー部16付近のグリップ力を低減させることができる。この結果、転がり抵抗を小さくすることができ、転がり抵抗に対する性能を、より確実に向上させることができる。
以上のように、本発明に係る空気入りタイヤは、低偏平の空気入りタイヤに有用であり、特に、トレッド部が、物性の異なる複数のゴム部材により形成されている場合に適している。
この発明に係る空気入りタイヤの要部を示す子午面断面図である。 図1の空気入りタイヤが有するトレッド部の素材形状を示す説明図である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
5 タイヤ赤道線
10 トレッド部
11 トレッド面
15 サイドウォール部
16 ショルダー部
21 ベルト層
22 カーカス
24 ビード部
25 ビードコア
26 ビードフィラー
27 ビードフィラー登頂部
31 キャップトレッド
32 キャップトレッド端部
40 ウイングチップ
41 本体部
42 緩衝部
43 緩衝部内側端部
44 緩衝部外側端部
50 周方向溝
51 溝底
52 ショルダー部側周方向溝
55 リブ
56 ショルダー部側リブ
60 プロファイルライン
61 境界法線
65 サイドフレックスゾーン
70 トレッド部素材

Claims (4)

  1. タイヤ径方向における最外部分にトレッド部が設けられており、前記トレッド部は、前記トレッド部の表面であるトレッド面を形成するキャップトレッドと、前記キャップトレッドのタイヤ径方向内方に設けられるアンダートレッドと、前記キャップトレッド及び前記アンダートレッドのタイヤ幅方向両側に設けられるウイングチップと、からなる空気入りタイヤにおいて、
    前記ウイングチップは、JIS−A硬度が前記キャップトレッドのJIS−A硬度よりも低いゴム材料により形成されており、
    前記ウイングチップには、前記キャップトレッドと前記アンダートレッドとのタイヤ幅方向における端部から前記キャップトレッドと前記アンダートレッドとの間に入り込んでいる緩衝部が設けられており、
    正規リムにリム組みし、且つ、正規内圧の5%を内圧充填した状態で最もタイヤ径方向外方に位置する部分から最もタイヤ径方向内方に位置する部分までのタイヤ径方向における距離であるタイヤ断面高さが、100mm以下となっていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記緩衝部は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線側の端部からタイヤ幅方向外方に向かうに従ってタイヤ径方向における幅が広くなっていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッド面には、タイヤ周方向に延びる周方向溝が複数形成されていると共に前記周方向溝によって区画された陸部が複数形成されており、
    前記緩衝部は、前記複数の周方向溝のうちタイヤ幅方向における最外に位置する前記周方向溝と前記複数の陸部のうちタイヤ幅方向における最外に位置する前記陸部との前記トレッド面における境界を通る前記トレッド面のプロファイルラインの法線に対して、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線側の端部がタイヤ幅方向外方に少なくとも5mm以上離れて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ウイングチップは、JIS−A硬度が35〜65の範囲内となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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