JP2008185043A - 直動アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 電動モータの非制御中において逆入力振動が働いてもねじ送り機構が動かないようにする。
【解決手段】 中空円筒状のロータ53をナットとして備えた電動モータ60と、軸回り方向に回転不能で軸線方向に移動可能なねじ軸となる駆動シャフト61と、電動モータ60のロータ53と駆動シャフト61との間に設けられる複数の遊星ローラ62とにより、ロータ53の回転運動を駆動シャフト61の直線運動に変換する。電動モータ60が制御状態におかれていないときには、ロータ53と駆動シャフト61との間にソレノイド80の押圧体83を挿入して、駆動シャフト61を遊星ローラ62に押し付ける。これにより送りねじ機構に荷重が加わって逆入力振動に対しても送りねじ機構が動かなくなる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電動モータの回転運動を直線運動に変換する直動アクチュエータに関する。
従来から、この種の直動アクチュエータとしては、例えば、ボールねじ送り機構やローラねじ送り機構を設けたものが知られている。ボールねじ送り機構の場合は、正効率(回転運動を直線運動に変換する効率)は高いものの、逆効率(直線運動を回転運動に変換する効率)を0以下にすることができず、逆入力(駆動対象物から入力される力)に対して駆動シャフトが軸線方向に動いてしまう。
これに対して、ローラねじ送り機構の場合は、ねじリードを小さくすることができ、逆効率を0以下にすることができる。ローラねじ送り機構を用いた直動アクチュエータとしては、例えば、特許文献1に提案されている。このものでは、電動モータのロータ軸の外周面と、ロータ軸の外径側に固定された外輪部材の内径面との間に複数の遊星ローラを設けている。遊星ローラの外周面には螺旋溝が形成され、外輪部材の内周面には遊星ローラの螺旋溝に嵌りこむ螺旋状凸条が形成される。これにより、ロータ軸の回転に伴って、遊星ローラは、ロータ軸回りを自転しながら公転して、軸線方向へ相対移動する。
特開2006−194356号
こうしたローラねじ送り機構を用いた直動アクチュエータにおいては、ねじ送り機構は逆入力に対して動かないと考えられている。しかし、実際には、ねじ送り機構のガタを完全になくす事はできないため、駆動対象物から振動が入力された場合には、ねじ送り機構が動いてしまうことがある。
一例として、この直動アクチュエータを車両の転舵装置に適用したケースについて説明する。転舵装置は、直動アクチュエータを車体と転舵輪との間に備え、運転者のハンドル操作に応じて電動モータを駆動制御することで、モータ回転運動を駆動シャフトの直線運動に変換し転舵輪を転舵する。直動アクチュエータは、電動モータが制御状態におかれている時には、仮に、車輪から振動が入力されてもモータ制御により転舵角を適正に維持することができる。しかし、直動アクチュエータは、電動モータが制御状態におかれていないときには、電動モータによりねじ送り機構に荷重が加わっていないため、車輪から振動が入力されると、ねじ送り機構が動いてしまい転舵輪の向きが変化するおそれがある。
例えば、車両をトレーラに載せて輸送するときには、トレーラの振動が荷台車両の車輪に伝わり、その逆入力振動によりねじ送り機構が動かされて車輪が転舵してしまうことがある。また、1輪の転舵装置が故障しているときの走行中(修理工場へ向かう走行中)においても、直動アクチュエータの電動モータが駆動制御されていない状態となるため、車輪に伝わる路面からの振動によりねじ送り機構が動かされて車輪が転舵してしまうことがある。
転舵装置は、転舵輪の舵角(転舵角)を検出するセンサを備えるが、電動モータの回転角度から転舵角を演算するタイプのものでは絶対角度を検出できない。こうした操舵装置においては、基準位置から電動モータの回転角度分を加減算することにより現時点の転舵角を推定により算出している。つまり、車輪の転舵制御を行っていないときには車輪の向きが変化しないという前提で、転舵制御中における電動モータの回転角度から転舵角検出を行っている。従って、転舵制御を行っていないときに、逆入力によりねじ送り機構が動いてしまった場合には、実際の転舵角と転舵装置が認識している相対転舵角との間に差が生じてしまう。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、電動モータの非制御中において逆入力が働いてもねじ送り機構が動かないようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、電動モータと、軸回り方向に回転不能で軸線方向に移動可能な駆動シャフトと、上記電動モータのロータと上記駆動シャフトとの間に設けられ、上記ロータの回転運動を上記駆動シャフトの直線運動に変換するねじ送り機構とを備えた直動アクチュエータにおいて、上記電動モータが制御状態におかれていないときに、上記駆動シャフトを上記ねじ送り機構に押し付ける押付手段を備えたことにある。
この場合、上記押付手段は、上記電動モータが制御状態におかれたときに、上記駆動シャフトのねじ送り機構への押付を解除するように構成するとよい。
この発明によれば、電動モータのロータの回転運動がねじ送り機構により駆動シャフトの直線運動に変換される。電動モータが制御状態におかれていない場合には、ねじ送り機構に荷重が働いていないため、駆動対象物から駆動シャフトに振動が入力されるとねじ送り機構が動きやすい。そこで、本発明においては、電動モータが制御状態におかれていないときに、押付手段が駆動シャフトをねじ送り機構に押し付ける。従って、ねじ送り機構を構成するねじ同士が押し付けられ、ねじ間の摩擦抵抗によりねじ送り機構が動かなくなる。
また、電動モータが制御状態におかれたときには、押付手段が駆動シャフトのねじ送り機構への押付を解除するため、ねじ送り機構をスムーズに作動させて電動モータのロータの回転運動を駆動シャフトの直線運動に変換することができる。
本発明の他の特徴は、上記ねじ送り機構は、上記電動モータのロータに設けられるナットと、上記駆動シャフトに設けられ上記ナットの円筒空間内に上記ナットと隙間をあけて同一軸線上に配置されるねじ軸と、上記ナットの内周ねじ形成面と上記ねじ軸の外周ねじ形成面との間に介在され、上記ナットが回転したときに上記ナットの内周ねじ形成面と上記ねじ軸の外周ねじ形成面との間を自転しながら公転する複数の回転体とを備え、上記押付手段は、上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間に挿入可能に設けられる押圧体と、上記電動モータが制御状態におかれていないときに上記押圧体を上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間に押し込み、上記電動モータが制御状態におかれたときに上記押圧体を上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間から退避させる進退駆動装置とを備えたことにある。
この発明においては、電動モータのロータにナットが設けられ、このナットの円筒空間内にねじ軸が配置される。このねじ軸は、駆動シャフトに設けられる。ナットの内周面およびねじ軸の外周面には、それぞれねじが形成される。そして、ナットの内周ねじ形成面とねじ軸の外周ねじ形成面との間に複数の回転体が設けられ、電動モータの駆動によりナットが回転したときに、回転体が両ねじ形成面の間を自転しながら公転する。このとき、ねじ軸を設けた駆動シャフトは、軸回り方向に回転不能で軸線方向に移動可能に設けられるため、回転体の動きによりねじ軸が軸線方向に押されて直線方向に移動する。このように、ねじ送り機構は、ナットとねじ軸と回転体とを含んで構成される。
押圧手段は、ナットの内周面とねじ軸の外周面との間に挿入可能に設けられる押圧体と、この押圧体を進退させる進退駆動装置とを備える。進退駆動装置は、電動モータが制御状態におかれていないときに、押圧体をナットの内周面とねじ軸の外周面との間の空間に押し込む。この押圧体が押し込まれることにより、ねじ軸は主に径方向に押圧される。従って、この押圧方向におけるねじ軸の外周ねじ形成面とナットの内周ねじ形成面との間に介在される回転体が、両ねじ形成面に強く挟まれることになる。この結果、回転体が挟まれた部分のガタが詰められて、この部分で回転体の運動が規制される。従って、駆動対象物から振動が駆動シャフトを介してねじ送り機構に入力されても、回転体が転動して駆動シャフトが動いてしまうといった不具合を防止することができる。
尚、ねじ送り機構を構成する要素の1つであるナットは、電動モータのロータに固着しても良いが、ロータ自身を中空円筒状に形成し、その中空円筒内周面に雌ねじを形成してナットを構成してもよい。これによれば、直動アクチュエータをコンパクトに構成することができる。
また、ねじ軸と駆動シャフトとを別体に構成してもよいが、駆動シャフトの外周面に雄ねじを形成してねじ軸を構成してもよい。この場合、押圧手段は、駆動シャフトを押し付けることにより、その外周面に形成した雄ねじ形成面を回転体に押し付ける。
本発明の他の特徴は、上記押圧体は、上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間への挿入方向に細くなった楔状体であることにある。
この発明によれば、押圧体が挿入方向に細くなった楔状体であるため、ナットの内周面とねじ軸の外周面との隙間に押圧体を簡単に押し込むことができる。しかも、楔状体の押し込みにより、ねじ軸とナットとの間で回転体が強く挟まれ、その状態が確実に維持される。従って、振動を伴う逆入力に対して、ねじ送り機構の動きを確実に規制することができる。
本発明の他の特徴は、上記回転体は、上記ねじ軸の周りに等間隔に配置される遊星ローラであることにある。
この発明によれば、ナットとねじ軸との間に介在される回転体として遊星ローラを用いているため、ねじリードを小さくすることができ逆効率を0以下にすることができる。従って、振動を伴う逆入力に対しては、遊星ローラと押圧体との協調によりねじ送り機構の動きを規制することができる。
尚、回転体としてボールねじを用いた場合には、ねじリードを小さくして逆効率を0に近づけようとするとボール径が小さくなってしまうため、ねじ軸やナットの径を大きくするなど、装置の大型化や耐久性といった問題が生じるが、本発明のように遊星ローラを用いた場合には、そうした問題を生じない。
本発明の他の特徴は、上記電動モータを車体に支持するとともに上記駆動シャフトを転舵輪に連結することにより、転舵アクチュエータとして使用されることにある。
この場合、乗員によりハンドル操作される操舵操作部と転舵輪を転舵する転舵駆動部とを機械的に分離したステアリングバイワイヤ方式の操舵装置に使用することができる。
この発明によれば、直動アクチュエータが車両の転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータとして使用される。例えば、電動モータのハウジングを車体側に固定し、駆動シャフトの先端を転舵輪のナックルに連結する。そして、電動モータを駆動することによりナックルの先端を進退移動させて転舵輪の舵角を調整する。
転舵アクチュエータは、電動モータが制御状態におかれていないとき、例えば、車両のイグニッションスイッチがオフ状態のとき、あるいは、転舵アクチュエータが故障しているとき等においては、ねじ送り機構にモータ荷重が働いていない。このため、振動が車輪からねじ送り機構に入力されるとねじ送り機構が動きやすく、転舵輪の向きが変化してしまうおそれがある。
そこで本発明においては、電動モータが制御状態におかれていないときに、ナット内周面とねじ軸外周面との間に押圧体を押し込んでねじ軸を主に径方向に押圧する。従って、押圧方向におけるナットとねじ軸とが遊星ローラを挟圧してガタが詰められる。この結果、ねじ送り機構の摩擦抵抗が大きくなり、車輪から振動が入力されても、ねじ送り機構が動かず、転舵輪が転舵してしまうといった不具合を防止できる。
特に、ステアリングバイワイヤ方式の操舵装置においては、操舵操作部と転舵駆動部とが機械的に切り離されているため、操舵操作部とは別に転舵駆動部における転舵角を検出する必要がある。この場合、絶対舵角を検出する舵角センサを設ければ、転舵制御していないときに転舵角が変化しても問題ないが、電動モータの回転角を検出しこの回転角と基準舵角とに基づいて転舵角を推定する舵角センサを設けた場合には、転舵制御をしていないときに舵角が変化してしまうと、それ以降正確な転舵角推定ができなくなる。こうした問題に対して、本発明では、押付手段を設けたことで電動モータの非駆動制御中に逆入力振動により転舵輪の向きが変化しないため、正確な転舵角推定を行うことができる。
以下、本発明の直動アクチュエータに係る一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、直動アクチュエータを車両の操舵装置に用いるものであるため、以下、車両の操舵装置から説明する。図7は、実施形態としての直動アクチュエータを備えた車両の操舵装置の全体概略図である。この車両の操舵装置は、運転者によって操作される操舵操作部10と、操舵操作部10とは機械的に分離され左右前輪Wfl,Wfrおよび左右後輪Wrl,Wrrをそれぞれ独立に転舵可能な転舵駆動部20fl,20fr,20rl,20rrとを備えたステアリングバイワイヤ方式の操舵装置である。
操舵操作部10は、運転者によって回転操作される操作部としての操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は、ステアリングシャフト12の上端に固定され、ステアリングシャフト12はその下端に反力発生用の電動モータと減速機構とで構成される反力アクチュエータ13が連結される。反力アクチュエータ13は、操舵ハンドル11の操舵操作に対して操舵反力を付与して、運転者に手ごたえ感覚を与えるものである。
次に、転舵駆動部20fl,20fr,20rl,20rrについて説明する。尚、これらの転舵駆動部20fl,20fr,20rl,20rrは、転舵対象となる車輪が異なるだけで基本的な構成については同一であるため、以下、それらを特定しない場合には単に転舵駆動部20として説明する。尚、図中においては、転舵駆動部20fl側となる構成部品にはその符号末尾に「fl」を、転舵駆動部20fr側となる構成部品にはその符号末尾に「fr」を、転舵駆動部20rl側となる構成部品にはその符号末尾に「rl」を、転舵駆動部20rr側となる構成部品にはその符号末尾に「rr」を付加し、説明文中においては、それらを特定しない場合には末尾符号を省略する。また、左右前輪Wfl,Wfrおよび左右後輪Wrl,Wrrについても、それらを特定しない場合には、単に車輪Wと呼ぶ。
4つの転舵駆動部20は、車輪Wにそれぞれ組み付けられるとともに一体的に垂直軸回りに回動して車輪Wを転舵するナックル21(21fl,21fr,21rl,21rr)を備えている。各ナックル21は、サスペンションアーム22(22fl,22fr,22rl,22rr)により支持される。本実施形態では、ダブルウイッシュボーン式サスペンションを用いるが、ストラット式サスペンションなど他の方式のものであっても採用できる。
尚、サスペンションアーム22と車体との間には、図示しないが、路面から受ける衝撃を吸収し乗心地を高めるバネ装置と、バネ装置の上下振動に対して減衰力を発生させるショックアブソーバとを備える。
左右前輪Wfl,Wfrのナックル21fl,21frは後方に延設され、左右後輪Wrl,Wrrのナックル21rl,21rrは前方に延設される。各ナックル21の端部には、転舵アクチュエータ50がボールジョイント23(23fl,23fr,23rl,23rr)を介して連結される。この転舵アクチュエータ50は、電動モータ60(60fl,60fr,60rl,60rr)と、電動モータ60の回転運動を減速するとともに駆動シャフト61(61fl,61fr,61rl,61rr)の直線運動に変換するねじ送り機構とを備えるもので、ナックル21との連結部と反対側で車体に鉛直軸回りに揺動可能に取り付けられる。転舵アクチュエータ50は、駆動シャフト61の左右動によりナックル21の端部をボールジョイント23を介して左右に駆動する。従って、各車輪Wは、この転舵アクチュエータ50により独立して転舵される。尚、この転舵アクチュエータ50は、本発明の直動アクチュエータに相当するものである。
また、転舵アクチュエータ50には、電動モータ60の駆動制御を行っていないときに、ねじ送り機構が動かないようにするソレノイド80(80fl,80fr,80rl,80rr)が設けられる。
次に、反力アクチュエータ13および4組の転舵アクチュエータ50を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、ハンドル操舵角センサ31と、各転舵アクチュエータ50fl,50fr,50rl,50rr設けられる転舵角センサ70fl,70fr,70rl,70rrを備えている。ハンドル操舵角センサ31は、ステアリングシャフト12に組み付けられて、操舵ハンドル11の回転角であるハンドル操舵角θhを表す信号を出力する。なお、ハンドル操舵角θhは、操舵ハンドル11の中立位置を「0」とし、操舵ハンドル11の左方向の回転角を正の値で表し、操舵ハンドル11の右方向の回転角を負の値で表す。
各転舵角センサ70は、転舵アクチュエータ50内の各電動モータ60に組み込まれた回転角センサによってそれぞれ構成され、各電動モータ60の回転角度位置を表す信号を出力する。電動モータ60の回転角度は車輪Wの転舵角に対応するため、転舵角センサ70により回転角度検出信号は、転舵角信号として使用される。
また、電気制御装置は、反力アクチュエータ12を駆動するための駆動回路34と、各転舵アクチュエータ50fl,50fr,50rl,50rrの電動モータ60fl,60fr,60rl,60rrを駆動するための駆動回路32fl,32fr,32rl,32rr(以下、これらを総称する場合には駆動回路32と呼ぶ)と、各ソレノイド80fl,80fr,80rl,80rrに独立して電流を流すコイル通電回路33とを備える。
ハンドル操舵角センサ31および4組の転舵角センサ70検出信号は、マイクロコンピュータを主要部として構成される電子制御ユニット30に出力される。電子制御ユニット30は、検出したハンドル操舵角θhと各車輪Wごとの目標転舵角δfl*,δfr*,δrl*,δrr*とを対応付けた目標転舵角マップ、および、ハンドル操舵角θhと目標操舵反力T*とを対応付けた目標反力マップをそれぞれ記憶している。
電子制御ユニット30は、イグニッションスイッチ(図示略)がオンされている期間において、制御プログラムにしたがって転舵角および操舵反力を制御する。転舵角の制御は、例えば、ハンドル操舵角センサ31により検出されたハンドル操舵角θhに対応する目標転舵角δfl*,δfr*,δrl*,δrr*を目標転舵角マップから算出し、各転舵角センサ70により検出されたモータ回転角に対応する転舵角δfl,δfr,δrl,δrrと目標転舵角δfl*,δfr*,δrl*,δrr*との偏差に応じたモータ制御信号(例えばPWM制御信号)を駆動回路32fl,32fr,32rl,32rrに出力することにより、転舵角δfl,δfr,δrl,δrrを目標転舵角δfl*,δfr*,δrl*,δrr*に一致させる。
また、操舵反力の制御は、ハンドル操舵角センサ31により検出されたハンドル操舵角θhに対応する目標操舵反力T*を目標反力マップから算出し、目標操舵反力T*に対応する目標電流が反力アクチュエータ13の電動モータに流れるように、駆動回路34内に設けた電流センサ(図示略)の検出電流値をフィードバックさせて駆動回路34にモータ制御信号(例えばPWM制御信号)を出力することにより行う。このようにして、ステアリングバイワイヤ方式の操舵装置においては、運転者の行ったハンドル操作に応じて、各車輪Wを独立して転舵するとともに、操舵ハンドル11に適切な反力トルクを付与する。尚、転舵角制御および操舵反力制御については、本発明の特徴部分ではなく、種々の手法が知られているため、ここではこれ以上の説明を省略する。
また、電子制御ユニット30は、転舵アクチュエータ50fl,50fr,50rl,50rrの電動モータ60fl,60fr,60rl,60rrが制御状態におかれているときに、コイル通電回路33を介してソレノイド80fl,80fr,80rl,80rrに通電するように構成されている。
次に、転舵アクチュエータ50の構成について説明する。図1は、転舵アクチュエータ50の断面正面図である。
転舵アクチュエータ50は、中空円筒状の第1ハウジング51を備える。第1ハウジング51の内周面には、その周方向に沿って電磁コイル52が固定される。この電磁コイル52は、鉄心を形成する複数のティース52aにコイル52bを巻回したもので駆動回路32(図7参照)から出力された駆動電流が供給される。本実施形態においては、駆動回路32としてバッテリの直流電源を3相交流電源に変換するインバータを採用し、このインバータから供給される駆動電流により電磁コイル52に回転磁界を発生させる。従って、この第1ハウジング51に固定される電磁コイル52により電動モータ60のステータを構成している。また、第1ハウジング51は、電動モータ60のハウジングを形成するものでもある。
第1ハウジング51内には、電磁コイル52に囲まれてロータ53が設けられる。ロータ53は、中空円筒状をなす。このロータ53の一端は、第1ハウジングの一端開放部(図面左側開放部)に第2ハウジング54をねじ結合することによりアンギュラボールベアリング55を介して第2ハウジング54に軸線回りに回転自在に支持される。また、ロータ53の他端は、スペーサ56およびアンギュラボールベアリング57を介して第1ハウジング51に軸線回りに回転自在に支持される。
第1ハウジング51の一端開放部(図面左側開放部)の円筒内周面には雌ねじ51aが形成される。第2ハウジング54は、一方端が第1ハウジング51の開口部を閉蓋するキャップとして椀状に形成され、他方端が車体との連結部となっている。第2ハウジング54の一方端の外周面には、第1ハウジング51の雌ねじ51aと螺合可能な雄ねじ54aが形成されている。第2ハウジング54は、第1ハウジング51の雌ねじ51aに雄ねじ54aを螺合してねじ込むことにより第1ハウジング51と連結される。更に、第2ハウジング54の雄ねじ54a形成面にロックナット59を螺合してねじ締めすることにより第2ハウジング54が第1ハウジング51から外れないようになっている。
この第2ハウジング54の第1ハウジング51へのねじ込みにより、第2ハウジング54の内壁とロータ53との間でアンギュラボールベアリング55が軸線方向と径方向とに挟圧される。また、第1ハウジング51他方端(図面右側端)の内壁とロータ53との間でアンギュラボールベアリング57とスペーサ56とが軸線方向と径方向とに挟圧される。
スペーサ56は、同軸異径円筒体で、大径部がロータ53の先端部の外周面に嵌められ、小径部がロータ53先端から軸線方向に延長された部分となる。このスペーサ56の小径部が、アンギュラボールベアリング57のインナレースを径方向に挟圧する部分を構成し、小径部と大径部との境となる段部がアンギュラボールベアリング57を軸線方向に挟圧する部分を構成する。従って、ロータ53は、2組のアンギュラボールベアリング55,57により軸線方向に挟持されるとともに径方向内側に押圧されて第1ハウジング51内に回転可能に支持される。
ロータ53の外周面には、電磁コイル52と向かい合う領域に複数の永久磁石58が周方向に所定の間隔で貼付されている。各磁石58は、ロータ53の軸線cl方向に平行に延設される。この磁石58は、ロータ53の半径方向に磁化されており、その磁性は隣り合う磁石58同士が互いに異なる磁極となっている。例えば、1つの磁石58の外周面がN極である場合には、その隣の磁石58は外周面がS極となるように配列される。電動モータ60は、こうしたステータ(第1ハウジングに固定された電磁コイル52)とロータ53とを主要部に備えることにより、例えば、3相同期式永久磁石モータ(ブラシレスモータ)を構成する。
ロータ53は中空円筒状に形成され、その円筒壁に囲まれた空間内には、駆動シャフト61と遊星ローラ62とが軸線cl方向に沿って設けられる。駆動シャフト61は、ロータ53の中心軸線clと同軸上に配置され、その外周面には雄ねじ61aが形成されている。ロータ53の内周面には、駆動シャフト61に形成された雄ねじ61aと同じピッチで雌ねじ53aが形成されている。駆動シャフト61の外径は、ロータ53の内径よりも小さく形成される。従って、駆動シャフト61をロータ53と同軸上に配置したときには、この駆動シャフト61外周面とロータ53の内周面との間には、断面リング状の空間Sが形成される。遊星ローラ62は、この断面リング状の空間Sに所定の周方向間隔で軸線cl方向に沿って設けられる。尚、図中において、駆動シャフト61の外周面に形成される雄ねじ61aについては、その輪郭のみを表示して全体表示を省略している。
遊星ローラ62の外周面には、環状溝62aが等ピッチが形成されている。この環状溝62aは、駆動シャフト61の外周面に形成した雄ねじ61aおよびロータ53の内周面に形成した雌ねじ53aのピッチと等しいピッチで形成される。こうして、遊星ローラ62は、この環状溝62aを駆動シャフト61の外周面に形成した雄ねじ61aと噛合するとともにロータ53の内周面に形成した雌ねじ53aとも噛合する。つまり、遊星ローラ62の環状溝62a内に、駆動シャフト61の雄ねじ61aの螺旋状凸条を嵌合するとともに、それに向かい合う位置でロータ53の雌ねじ53aの螺旋状凸条を嵌合する。
本実施形態においては、10本の遊星ローラ62がロータ53と駆動シャフト61との間に周方向に等間隔で配置される。つまり、遊星ローラ62は、駆動シャフト61の周囲を軸回りに36度おきに設けられる。各遊星ローラ62は、図示しないリテーナにより隣り合う遊星ローラ62との間隔が所定間隔に保持される。また、各遊星ローラ62は、駆動シャフト61の雄ねじ61a形成面とロータ53の雌ねじ53a形成面との間に密着して設けられる。
第1ハウジング51の他方端(図面右側端)には、円盤状のシャフト回り止め63が図面右側から装着され、その外側からロックナット64を螺合して締め付けることによりシャフト回り止め63が第1ハウジング51に固定される。シャフト回り止め63には、駆動シャフト61の貫通する貫通孔63aが形成されている。この貫通孔63aには、その周方向の一部に外径方向に切り欠かれたキー溝63bが形成されている。キー溝63bは、後述する駆動シャフト61の外周面に形成したキー61bが進退自在に挿入可能な大きさに形成される。
駆動シャフト61は、その外周面の図面左側の約三分の二が雄ねじ61a形成領域となる。右側の雄ねじ61aが形成されていない領域には、外径方向に延びた鍔状のストッパ61cが形成される。ストッパ61cよりも先端側となる駆動シャフト61の外周面には、軸線cl方向に沿ってキー61bが形成される。このキー61bは、駆動シャフト61の外周面から径方向外側に突出した凸条で、シャフト回り止め63に形成したキー溝63b内に進退可能に挿入される。従って、駆動シャフト61は、その外周面に形成したキー61bとシャフト回り止め63に形成したキー溝63bとの係合により、第1ハウジング51に対して軸線cl周りに回転不能で、かつ、軸線cl方向に進退移動可能に設けられる。
駆動シャフト61の先端は、小径となり、外周面に雄ねじ61eが形成された連結部61dとなっている。この連結部61dには、タイロッドエンド65が螺合される。タイロッドエンド65は、その先端にナックル21と連結されるボールジョイント23を備えている。タイロッドエンド65は、駆動シャフト61の連結部61dと螺合可能なナット部65aを備え、このナット部65aを駆動シャフト61の連結部61dの雄ねじ61eに螺合して連結される。この場合、ロックナット66を連結部61dの雄ねじ61eに螺合してナット部65a側に締め付けることでタイロッドエンド65が駆動シャフト61に硬く固定される。
タイロッドエンド65のナット部65aの外周面には、ブーツ67の一端が取り付けられる。ブーツ67は、蛇腹状に形成された伸縮自在カバーで、その他端が第1ハウジング51の図面右側端外周面に取り付けられる。こうして、第1ハウジング51から露出する駆動シャフト61の先端部は、ブーツ67により覆われる。
転舵アクチュエータ50は、第2ハウジング54にて車体と連結される。第2ハウジング54には、車体との連結部となるブッシュ装置68が設けられる。ブッシュ装置68は、第2ハウジング54に固定される外筒68aと、外筒68a内に設けられる内筒68bと、外筒68aと内筒68bとの間に介装されるゴムブッシュ68cとからなる。ブッシュ装置68は、その軸線が駆動シャフトの軸線clと直交するように設けられる。
電動モータ60のロータ53の周りには、ロータ53の回転角度(回転位置)を検出する回転角センサ70が設けられる。この回転角センサ70は、上述した転舵角センサ70を兼用するものであるため同一符号を付して説明する。本実施形態においては、この回転角センサ70としてレゾルバセンサを採用する。ここでは、回転角センサ70をレゾルバセンサ70と呼ぶ。レゾルバセンサ70は、ロータ53の外周面に固定されロータ53とともに回転するレゾルバロータ70aと、レゾルバロータ70aの外周に設けられ第1ハウジング51に固定されるレゾルバステータ70bとを備える。このレゾルバセンサ70は、1次巻線(図示略)を正弦波信号により励磁することにより、2次巻線(図示略)に2種類の誘起電圧信号を出力させる。電子制御ユニット30は、この1次巻線への励磁信号の出力と2次巻線からの出力信号の検出とを行って、電動モータ60の回転角度を検出する。この検出したモータ回転角度は、電動モータ60の駆動制御に使用されるとともに、車輪Wの転舵角δの検出に利用される。
このように構成された転舵アクチュエータ50においては、電動モータ60の電磁コイル52に通電されるとステータに回転磁界が発生しロータ53が回転する。このロータ53の回転により、遊星ローラ62が駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との間を自転しながら公転する。駆動シャフト61は、キー61bとキー溝63bとの係合により軸線cl回りに回転不能に設けられているため、遊星ローラ62のこの動作により軸線cl方向に押されて前進あるいは後退する。
ロータ53の内周面には、1箇所だけ径方向外側に向けて円弧状に切り欠いた窪み(図示略)が軸線方向に沿って形成されており、遊星ローラ62は、それぞれロータ53の内周面を1周するたびにこの窪みに入り込むようになっている。このとき、遊星ローラ62の環状溝62aと、ロータ53の雌ねじ53aおよび駆動シャフト61の雄ねじ61aとの噛合が解除され、遊星ローラ62は軸線cl方向に1ピッチ分だけ戻る。そして、遊星ローラ62がリテーナに保持されて公転し窪みから脱出すると、1ピッチ分だけ軸線方向に戻った位置で再びロータ53の雌ねじ53aおよび駆動シャフト61の雄ねじ61aとに噛合する。つまり、各遊星ローラ62は、ロータ53の内周面を転動するあいだに軸線cl方向にも相対移動するが、ロータ53の内周面を1周するたびに軸線cl方向に1ピッチ分だけ戻されることにより軸線cl方向に循環できるようになっている。一方、駆動シャフト61は、他の遊星ローラ62(窪みに入ってない9本の遊星ローラ62)の動きにより、そのまま軸線cl方向に移動する。従って、この転舵アクチュエータ50においては、駆動シャフト61の雄ねじ61a形成領域が遊星ローラ62の軸方向寸法よりも長く設定されている。
このように転舵アクチュエータ50は、電動モータ60のロータ53の回転運度を駆動シャフト61の軸線方向の運動に変換する循環式ローラねじ送り機構を備えている。この場合、電動モータ60のロータ53自身がローラねじ送り機構のナットを構成し、駆動シャフト61の雄ねじ61a形成部分がローラねじ送り機構のねじ軸を構成している。従って、ローラねじ送り機構は、電動モータ60のロータ53、遊星ローラ62、駆動シャフト61の雄ねじ61a形成部により構成される。このローラねじ送り機構においては、ねじリード(ピッチ)を小さくして逆効率を0以下にすることができる。
転舵アクチュエータ50は、この駆動シャフト61を軸線cl方向に直線運動させることにより、ナックル21のアーム端を車幅内側方向に引き寄せ、あるいは、車幅外側方向に押し出して車輪Wを転舵する。図2は、この転舵アクチュエータ50により駆動シャフト61を車幅外側方向に前進させたときの状態を表し、図3は、駆動シャフト61を車幅内側方向に後退させたときの状態を表す。
電子制御ユニット30は、イグニッションスイッチ(図示略)がオンされると転舵制御を開始する。この転舵制御中においては、運転者の行ったハンドル操作を操舵角センサ31により検出し、検出したハンドル操舵角θhに応じて目標転舵角δ*を設定するとともに、車輪Wの実際の転舵角が目標転舵角δ*になるように電動モータ60を駆動制御する。
転舵角を検出するセンサとしてレゾルバセンサ70が用いられるが、レゾルバセンサ70は、車輪Wの転舵角を直接的に検出するものではなく、ロータ53の基準回転位置(角度位置)に対する相対回転角度を検出する相対角度センサである。従って、電子制御ユニット30は、レゾルバセンサ70によって検出したロータ回転角度を基準回転位置に加減算することにより転舵角δ(δfl,δfr,δrl,δrr)を算出する。例えば、操舵ハンドル11が中立位置(θh=0)となるときの電動モータ60の回転角度位置を基準回転位置とし、この基準回転位置に対するモータ回転角度から転舵角δを演算する。
転舵アクチュエータ50は、ローラねじ送り機構の採用により逆効率を0以下に設定することができるため、転舵制御中に車輪Wから逆入力が働いてもそれにより車輪Wが転舵してしまうことはない。しかし、転舵制御を行っていないとき、つまり、電動モータ60の非制御状態においては、電動モータ60がローラねじ送り機構に荷重をかけていないため、車輪Wから振動が入力されるとローラねじ送り機構が動くことがある。この場合、車輪Wの転舵角が変化してしまう。
また、電子制御ユニット30は、転舵制御中においてレゾルバセンサ70によりモータ回転角度を検出しているが、転舵制御を行っていないときには、その検出を行っていない。従って、転舵制御を行っていないときに、逆入力振動によりローラねじ機構が動いてしまった場合には、実際の転舵角と電子制御ユニット30が認識している相対転舵角との間に差が生じてしまう。
そこで、本実施形態においては、転舵制御を行っていないときに車輪Wから振動が入力されてもローラねじ送り機構が動かないようにする押付手段を備える。この押付手段は、第2ハウジング54内に設けられるソレノイド80と、ソレノイド80の作動を制御する制御装置とからなる。制御装置は、電子制御ユニット30と、この電子制御ユニット30からの通電指令によりソレノイド80のコイル81に所定電流を流すコイル通電回路33とから構成される。電子制御ユニット30は、上述した転舵制御、操舵反力制御用のものを兼用する。
ソレノイド80は、可動鉄心82を駆動シャフト61の軸線cl方向と平行に備える。可動鉄心82の先端には、押圧体83が固着される。ソレノイド80は、この可動鉄心82の中心軸線がロータ53と駆動シャフト61との間の断面リング状の空間Sに向くような位置に設けられる。押圧体83は、軸線clから放射方向に向けた厚さが、先端側ほど小さくなるような楔状に形成される。可動鉄心82は、バネ84によりソレノイド80本体から所定位置にまで突出するように付勢されており、コイル81に通電した場合に限ってバネ84の付勢に反して後退するようになっている。
遊星ローラ62は、ロータ53の図面左側円筒端部からやや内側に入った位置に設けられるため、駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との間には押圧体83が進入可能な空間Sが形成される。ソレノイド80は、図4に示すように、コイル81に通電されていないときには、バネ84により可動鉄心82が図面右方向に付勢され、駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との間に形成されるリング状開口に押圧体83を押し込む。
図5に示すように、押圧体83の厚さ(軸線clから放射方向に向けた厚さ)は、その先端部(図面右側)においては駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との離隔よりも小さく、後端側に向かって増大し、後端部においては駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との離隔よりも大きくなっている。この例では、押圧体83の駆動シャフト61外周面と向かい合う第1当接面83aを、駆動シャフト61外周面と平行な部分円筒面に形成し、押圧体83のロータ53内周面と向かい合う第2当接面83bを、先端側ほど厚さが小さくなるような先細り部分円筒面に形成する。この押圧体83の第1当接面83a、第2当接面83bの円筒中心軸は、どちらもシャフト軸線clと同一とする。また、ソレノイド80は、押圧体83の第1当接面83aが駆動シャフト61外周面と同一平面状、あるいは、駆動シャフト61外周面よりわずかに径方向外側に位置するように配置される。
可動鉄心82は、コイル81への通電が遮断されると吸着力が解かれバネ84の付勢力により図面右方向に移動する。これにより押圧体83は、駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との間に形成される空間Sに進入し、その過程で第2当接面83bがロータ53の開口端部に当接する。これにより可動鉄心82は、径方向内側にたわみつつ前進し、ついには、押圧体83が駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との間に挟圧されて前進不能になる。このとき、押圧体83は、図4,図5の矢印に示すように、駆動シャフト61を主に径方向内側に向けて押し付け、ローラねじ送り機構に荷重をかける。従って、押圧方向(矢印方向)側の駆動シャフト61の雄ねじ61a形成面とロータ53の雌ねじ53a形成面との間で遊星ローラ62が挟圧される。このため、挟圧された遊星ローラ62部分のガタが詰められ、この部分での摩擦抵抗により遊星ローラ62の運動が規制される。従って、車輪Wから振動が駆動シャフト61を介してローラねじ送り機構に入力されても、駆動シャフト61が軸線cl方向に動かない。この結果、車輪Wの向きが変化してしまうといった不具合を防止することができる。
次に、ソレノイド80への通電タイミングについて図6を用いて説明する。電子制御ユニット30は、イグニッションスイッチ(図示略)の状態を読み込み、イグニッションスイッチがオフ状態にあるときには、コイル通電回路33に通電指令を出力しない。従って、この状態においては、上述したようにソレノイド80の押圧体83によりねじ送り機構に荷重をかけて逆入力振動に対する回転防止を行う(図4参照)。そして、イグニッションスイッチがオンすると(時刻t1)、電子制御ユニット30は、操舵装置のシステム内の初期診断を開始する。初期診断で異常がなければ、転舵制御および操舵反力制御を開始する(時刻t2)。
電子制御ユニット30は、この転舵制御および操舵反力制御を開始するのと同時にコイル通電回路33に通電指令を出力する。これにより、各ソレノイド80のコイル81に通電され、可動鉄心82が吸引されて押圧体83が駆動シャフト61とロータ53との間の空間Sから引き出される。従って、ローラねじ送り機構の回転防止が解除され、押圧体83がローラねじ送り機構の作動を邪魔しなくなる。その後、イグニッションスイッチがオフになると(時刻t3)、電子制御ユニット30は、転舵制御および操舵反力制御を終了するとともに、コイル通電回路33への通電指令を停止する。この結果、ソレノイド80の押圧体83が駆動シャフト61外周面とロータ53内周面との間に形成される空間Sに進入し、再び、逆入力振動に対する回転防止機能が働くようになる。
また、電子制御ユニット30は、初期診断時、あるいは、転舵制御時において転舵駆動部20の異常が検出された場合には、その異常が検出された転舵駆動部20の転舵制御を中止する。この場合においても、電子制御ユニット30は、その転舵制御を中止した転舵駆動部20に対応するソレノイド80への通電を停止する。従って、逆入力振動による異常輪側の転舵を防止する。
このように、電子制御ユニット30は、電動モータ60が制御状態におかれる転舵制御時においては、ソレノイド80を駆動して押圧体83を退避させ、電動モータ60が制御状態におかれないときには、ソレノイド80による可動鉄心82の吸着を解除して押圧体83を前進させ逆入力振動による車輪Wの転舵を防止する。
以上説明した本実施形態の転舵アクチュエータによれば、ローラねじ送り機構を採用しているため逆効率を0以下にすることができ逆入力に対して強い。しかも、電動モータ60が制御状態におかれていないときには、ソレノイド80の押圧体83により駆動シャフト61をねじ送り機構に押し付けるため、遊星ローラ62が駆動シャフト61の雄ねじ61aとロータ53の雌ねじ53aとの間で挟圧され、車輪Wから逆入力振動が加わっても摩擦抵抗によりローラねじ送り機構が動かない。つまり、逆入力振動に対して車輪Wが転舵しない。また、押圧体83は、挿入方向に細くなった楔状であるため、ロータ53と駆動シャフト61との間に簡単にスムーズに進入することができる。しかも、挿入時においては、確実な押し込み力を得ることができる。
また、電動モータ60が制御状態におかれているときには、ソレノイド80により押圧体83を後退させるため、電動モータ60の作動を邪魔しない。従って、ローラねじ送り機構をスムーズに作動させて電動モータ60のロータ53の回転運動を駆動シャフト61の直線運動に変換することができる。
さらに、電動モータ60のロータ53を中空円筒状に形成してねじ送り機構のナットを構成しているため、転舵アクチュエータ50をコンパクトに構成することができる。また、電動モータ60の相対回転角度から転舵角を検出する転舵角センサ70を用いている場合であっても、電動モータ60の制御を行っていないときに車輪Wが転舵しないため、検出される転舵角が実転舵角とずれてしまうことが防止され、転舵装置の信頼性が向上する。
以上、本実施形態の転舵アクチュエータを用いた転舵装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、車両の転舵装置に適用するものであったが、車両の電動ブレーキ装置など他の装置に適用することもできる。また、本実施形態においては、押付手段としてソレノイドを採用しているが、それに限定するものではない。また、押圧体の形状に関しても種々の形状を採用することができるものである。
本発明の実施形態に係る転舵アクチュエータの正面断面図である。 本発明の実施形態に係る転舵アクチュエータの正面断面図である(駆動シャフト前進時)。 本発明の実施形態に係る転舵アクチュエータの正面断面図である(駆動シャフト後退時)。 本発明の実施形態に係る転舵アクチュエータの正面断面図である(押圧作動時)。 ソレノイドによるローラねじ送り機構への押圧作動を説明する拡大断面図である。 ソレノイドへの通電タイミングを表すタイミングチャートである。 操舵装置の全体概略構成図である。
符号の説明
10…操舵操作部、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、20(20fl,20fr,20rl,20rr)…転舵駆動部、30…電子制御ユニット、31…ハンドル操舵角センサ、32(32fl,32fr,32rl,32rr)…駆動回路、33…コイル通電回路、50(50fl,50fr,50rl,50rr)…転舵アクチュエータ、51…第1ハウジング、52…電磁コイル、53…ロータ、54…第2ハウジング、58…永久磁石、60(60fl,60fr,60rl,60rr)…電動モータ、61…駆動シャフト、61a…雄ねじ、61b…キー、61c…ストッパ、61d…連結部、62…遊星ローラ、62a…環状溝、63b…キー溝、63a…貫通孔、70(70fl,70fr,70rl,70rr)…回転角センサ、80(80fl,80fr,80rl,80rr)…ソレノイド、81…コイル、82…可動鉄心、83…押圧体、83a…第1当接面、83b…第2当接面、84…バネ、S…空間、W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)…車輪。

Claims (7)

  1. 電動モータと、
    軸回り方向に回転不能で軸線方向に移動可能な駆動シャフトと、
    上記電動モータのロータと上記駆動シャフトとの間に設けられ、上記ロータの回転運動を上記駆動シャフトの直線運動に変換するねじ送り機構と
    を備えた直動アクチュエータにおいて、
    上記電動モータが制御状態におかれていないときに、上記駆動シャフトを上記ねじ送り機構に押し付ける押付手段を備えたことを特徴とする直動アクチュエータ。
  2. 上記押付手段は、上記電動モータが制御状態におかれたときに、上記駆動シャフトのねじ送り機構への押付を解除することを特徴とする請求項1記載の直動アクチュエータ。
  3. 上記ねじ送り機構は、上記電動モータのロータに設けられるナットと、上記駆動シャフトに設けられ上記ナットの円筒空間内に上記ナットと隙間をあけて同一軸線上に配置されるねじ軸と、上記ナットの内周ねじ形成面と上記ねじ軸の外周ねじ形成面との間に介在され、上記ナットが回転したときに上記ナットの内周ねじ形成面と上記ねじ軸の外周ねじ形成面との間を自転しながら公転する複数の回転体とを備え、
    上記押付手段は、上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間に挿入可能に設けられる押圧体と、上記電動モータが制御状態におかれていないときに上記押圧体を上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間に押し込み、上記電動モータが制御状態におかれたときに上記押圧体を上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間から退避させる進退駆動装置とを備えたことを特徴とする請求項2記載の直動アクチュエータ。
  4. 上記押圧体は、上記ナットの内周面と上記ねじ軸の外周面との間への挿入方向に細くなった楔状体であることを特徴とする請求項3記載の直動アクチュエータ。
  5. 上記回転体は、上記ねじ軸の周りに等間隔に配置される遊星ローラであることを特徴とする請求項3または請求項4記載の直動アクチュエータ。
  6. 上記電動モータを車体に支持するとともに上記駆動シャフトを転舵輪に連結することにより、転舵アクチュエータとして使用されることを特徴とする請求項5記載の直動アクチュエータ。
  7. 乗員によりハンドル操作される操舵操作部と転舵輪を転舵する転舵駆動部とを機械的に分離したステアリングバイワイヤ方式の操舵装置に使用されることを特徴とする請求項6記載の直動アクチュエータ。
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