JP2008184597A - 研磨パッドの製造方法 - Google Patents

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俊二 金田
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Abstract

【課題】 半導体ウェハー等の被研磨物を、精度よく且つ高い研磨効率で研磨するために有用な、厚さが均一な研磨パッドを、効率よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂を射出圧縮成形してシート状成形体とする工程を含む研磨パッドの製造方法により達成される。該製造方法において、例えば、熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有さないシート状成形体とし、その後、該シート状成形体に溝パターンを形成するか、またはスタンパーを装着した金型を用いて熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有するシート状成形体とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は研磨パッドの製造方法に関する。本発明によれば、半導体ウェハー等の被研磨物を精度よく且つ高い研磨効率で研磨するために有用な、厚さが均一な研磨パッドを効率よく製造することができる。
集積回路を形成するための基材として使用される半導体ウェハーの鏡面加工に用いられる研磨パッドとしては、一般に、ベロア調やスエード調などの繊維と樹脂の複合材料、あるいは熱可塑性ポリウレタン樹脂を不織布に含浸させ湿式凝固させた、圧縮変形特性が大きく比較的柔らかいシートが多用されていた。
近年、半導体ウェハーは、高集積化、多層配線化に伴い、一層の高平坦化等の品質向上に加えて低価格化の要求が増々高まっている。それに伴い、研磨パッドに対しても、従来以上の平坦化を可能にする等の高機能化や長時間使用可能であることなどが要求されている。
従来の比較的柔軟な不織布タイプの研磨パッドは、半導体ウェハーとの接触性が良く、研磨時に使用される研磨スラリーの保持性も良好であるが、その柔軟性のために被研磨面の平坦化が十分でない。しかも、研磨スラリーや研磨時に生じる研磨屑が不織布の空隙に目詰まりし、これが原因で半導体ウェハー表面に傷を生じやすかった。また、研磨スラリーや研磨屑が目詰まりした場合には、これらが空隙深くまで侵入しているためこれらを除去することが困難であり、結果として研磨パッドの寿命が短くなるという問題点も有していた。
一方、高分子発泡体を使用した研磨パッドも知られており、不織布タイプの研磨パッドに比べて剛性が高いため、より高い平坦化が要求される用途によく使用されている。また、独立気泡構造を有する高分子発泡体を使用した研磨パッドは、研磨スラリーや研磨屑が不織布タイプの研磨パッドのように空隙の奥まで侵入しないので、研磨パッドの洗浄が比較的容易であり、長時間の使用にも耐えられるものである。このような高分子発泡体としては、特に耐摩耗性に優れることから発泡ポリウレタンがよく用いられている。
発泡ポリウレタンを使用した研磨パッドは、通常、発泡ポリウレタンを適宜研削またはスライスすることにより製造される。従来、研磨パッドに用いられる発泡ポリウレタンは、2液硬化型ポリウレタンを用いて注型発泡硬化することによって製造されていた(特許文献1〜4などを参照)。しかしながら、この方法では、反応・発泡の均一化が困難である上、厚さが均一な研磨パッドを効率良く製造することが難しかった。
厚さが均一な研磨パッドとしては、例えば、発泡ポリウレタンブロックをスライス加工して得たシートをバフ加工することによって、厚みのバラツキを100μm以下とした研磨パッドが知られている(特許文献5参照)。しかしながら、この方法では、スライス加工およびバフ加工によるパッド製造工程が煩雑であることに加え、バフ加工における研磨粒子が研磨パッド表面に残り、ウェハーなどを研磨する際にスクラッチが発生する問題があった。
また、ポリエステル樹脂等からなるマトリックス中に、ポリスチレン樹脂やポリオレフィン樹脂等からなるマトリックス相と非相容性の樹脂を分散させて、押出しシートとした後、延伸によって界面剥離をさせて空孔を有する厚さの均一な研磨パッドとする方法が知られている(特許文献6参照)。しかし、この方法によると、押出しシートを製造する際に生じた厚さ斑が研磨パッドの斑となるため、緻密な厚み精度を有する研磨パッドを製造することが難しく、結局、後加工によって厚み精度を調整する必要があった。
特開2000−178374号公報 特開2000−248034号公報 特開2001−89548号公報 特開平11−322878号公報 特開2002−192455号公報 特開2001−88013号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、半導体ウェハー等の被研磨物を、精度よく且つ高い研磨効率で研磨するために有用な、厚さが均一な研磨パッドを効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、本発明者らは、熱可塑性樹脂を特定の成形方法で成形することにより、目的とする研磨パッドが効率よく得られることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1] 熱可塑性樹脂を射出圧縮成形してシート状成形体とする工程を含む研磨パッドの製造方法、
[2] 射出圧縮成形において、射出前の半型開状態から射出後の型締状態に至るまでの金型移動幅を成形品肉厚で除した値で定義される圧縮率が5〜400%である上記[1]の製造方法、
[3] 熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有さないシート状成形体とし、その後、該シート状成形体に溝パターンを形成する上記[1]または[2]の製造方法、
[4] スタンパーを装着した金型を用いて熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有するシート状成形体とする上記[1]または[2]の製造方法、
[5] 前記熱可塑性樹脂が、50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率が130〜800MPa、50℃における損失正接(tanδ)が0.2以下、水との接触角が80度以下である上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法、
[6] 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリウレタンである上記[5]の製造方法、
に関する。
本発明によれば、半導体ウェハー等の被研磨物を、精度よく且つ高い研磨効率で研磨するために有用な、厚さが均一な研磨パッドを効率よく製造する方法が提供される。
本発明の研磨パッドの製造方法は、熱可塑性樹脂を射出圧縮成形してシート状成形体とする工程を含む。射出圧縮成形法は、溶融樹脂を金型に射出充填した後、金型の一部(可動型)を動かしたり、または型締力を利用して溶融樹脂全体に均等な圧力を加えながら成形品を製造する成形方法である。射出圧縮成形の具体的な方法としては、例えば、ローリンクス法、マイクロモールド法等が挙げられる。ローリンクス法は、金型を予め僅かに広げておくか、射出時の樹脂圧によりキャビティ容積を増大させ、キャビティ内に樹脂を充填した後、金型を完全に閉じて加圧し、キャビティ内の樹脂を加圧して成形する方法である。また、マイクロモールド法は、キャビティの一部を可動型にしておき、キャビティの一部の容積を増大させた状態で射出し、キャビティ内に樹脂を充填した後、可動型を圧縮して成形する方法である。マイクロモールド法は、成形体の必要な部分を必要な量だけ圧縮することができる利点があるが、本発明の製造方法においては、シート状成形体全体にわたって均一に圧縮することができ、残留歪が少なく、また厚さ斑が小さいシート状成形体を得ることができることから、ローリンクス法を採用することが好ましい。
射出圧縮成形における圧縮は、射出前の半型開状態から射出後の型締状態に至るまでの金型移動幅(圧縮幅)を成形品肉厚で除した値で定義される圧縮率で規定される。本発明における研磨パッドの製造方法において、圧縮率は5%から400%の範囲内であることが好ましい。圧縮率が5%未満の場合には、得られるシート状成形体の歪が大きく、平坦性が低下する傾向がある。一方、圧縮率が400%を超える場合には、シート状成形体の厚さ斑が大きくなる傾向がある。平坦性が高く、厚さ斑の小さい研磨パッドを得る観点から、圧縮率は30〜300%の範囲内であることがより好ましい。
射出圧縮成形におけるシリンダー温度としては、用いる熱可塑性樹脂にもよるが、例えば、熱可塑性ポリウレタンを用いる場合には、160〜250℃の範囲内であることが好ましい。シリンダー温度が160℃未満の場合には、十分な流動性が得られずショートショットなどの成形不良を生じたり、シート状成形体に歪が発生して平坦性が低下することがある。また、シリンダー温度が250℃を超える場合には熱可塑性ポリウレタンが分解し、得られる研磨パッドの物性が低下することがある。
また、金型温度は20〜80℃の範囲内であることが好ましい。金型温度が20℃未満の場合には、ショートショットなどの成形不良を生じたり、シート状成形体に歪が発生して平坦性が低下することがある。一方、金型温度が80℃を超える場合には、金型からの離型性が低下する傾向がある。
射出圧縮成形して得られたシート状成形体の厚さとしては、目的とする研磨パッドによって適宜設定可能であるが、好ましくは1.0〜4.0mmの範囲内であることが好ましい。シート状成形体の厚さが1.0mm未満である場合には、後述する溝形成を行う際に該溝形成が困難となる傾向があり、一方、シート状成形体の厚さが4.0mmを超える場合には、射出圧縮成形後の冷却に長時間を要し、研磨パッドの製造の効率が低下する傾向がある。溝形成の容易さおよび研磨パッドの製造の効率の観点から、シート状成形体の厚さは1.5〜2.5mmの範囲内であることがより好ましい。
また、シート状成形体の大きさや形状についても、目的とする研磨パッドによって適宜設定可能であり、直径300〜1000mmの円形状であることが好ましく、直径500〜900mmの円形状であることがさらに好ましい。
射出圧縮成形して得られたシート状成形体は、そのまま、または後述する溝形成をおこなった後に研磨パッドとすることが可能であるが、より小さな厚さ斑を有するシート状成形体とするために、バフ研磨やバイトを用いた表面切削等の方法によって、シート状成形体の表面にさらに平坦化加工を施してもよい。平坦化加工後のシート状成形体の厚さ斑は、30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
本発明により製造される研磨パッドは、溝パターンを有していることが好ましい。溝パターンを有する研磨パッドは、例えば、熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有さないシート状成形体とし、その後、該シート状成形体に溝パターンを形成する(A法)か、またはスタンパーを装着した金型を用いて熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有するシート状成形体とし(B法)、これらの溝パターンを有するシート状成形体から製造することができる。
上記B法におけるスタンパーは、(1)金属板、ガラス板等の平坦な基板に、エッチング、機械加工等の方法によって直接凹凸パターンを付与した後、電鋳によって該パターンを転写する方法、(2)金属板、ガラス板等の平坦な基板上にフォトレジストを塗布し、マスクを介して露光するか、レーザー光線等によって直接露光するなどした後、現像して凹凸パターンを付与し、その後、電鋳によって該パターンを転写する方法、などによって得ることができる。なお、スタンパーを金型に装着する際、スタンパーの金型側の面にポリイミド等から形成された断熱層を設けると、溝パターン形状の再現性をより向上させることができることから好ましい。
上記溝パターンの形状としては、例えば、同心円状、螺旋状、クロスハッチ状、X−Y格子状、六角形状、三角形状、またはこれらの組合せなどが挙げられる。
溝パターンの溝深さとしては、0.2〜2mmの範囲内であることが好ましい。溝深さが0.2mm未満の場合には研磨パッドの寿命が短くなり、一方、溝深さが2mmを超える場合には研磨パッドが柔軟になり、段差緩和性等の研磨特性が低下する傾向がある。研磨パッドの寿命と研磨特性の観点から、溝深さは0.4〜1.8mmの範囲内であることがより好ましい。
溝パターンの溝幅としては、0.3〜3mmの範囲内であることが好ましい。溝幅が0.3mm未満の場合には研磨時に使用される研磨スラリーが効率的に***されず、研磨速度が低下する傾向があり、一方、溝幅が3mmを超える場合には研磨パッドが柔軟になり、段差緩和性等の研磨特性が低下する傾向がある。研磨速度、段差緩和性等の研磨特性の観点から、溝幅は0.5〜2.5mmの範囲内であることがより好ましい。
溝パターンの溝ピッチとしては、1〜20mmの範囲内であることが好ましい。溝ピッチが1mm未満の場合には研磨パッドが柔軟になり、段差緩和性等の研磨特性が低下する傾向があり、一方、溝ピッチが20mmを越える場合には研磨スラリーが効率的に***されず、研磨速度が低下する傾向がある。研磨速度、段差緩和性等の研磨特性の観点から、溝ピッチは1.5〜18mmの範囲内であることがより好ましい。
本発明において使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。上記した熱可塑性樹脂の中でも、得られる研磨パッドが耐摩耗性に優れるものとなることから特にポリウレタン(熱可塑性ポリウレタン)が好ましい。
上記の熱可塑性ポリウレタンは、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させることにより製造することができる。このようにして得られた熱可塑性ポリウレタンは、高分子ジオールからソフトセグメントが構成され、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤からハードセグメントが構成されたブロック共重合体となる。
熱可塑性ポリウレタンの製造に使用される高分子ジオールとしては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。これらの高分子ジオールは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。高分子ジオールは、ポリエーテルジオールおよび/またはポリエステルジオールであることが好ましい。
上記のポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)、グリセリンベースポリアルキレンエーテルグリコール等が挙げられる。これらのポリエーテルジオールは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でもポリ(エチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)が好ましい。
上記のポリエステルジオールとしては、例えば、常法に従い、ジカルボン酸またはそのエステル、無水物等のエステル形成性誘導体と低分子ジオールとを直接エステル化反応またはエステル交換反応させることにより製造されるものを使用することができる。
ポリエステルジオールを構成するジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、2−メチルコハク酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸等の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸;トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)等の長鎖脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。
ポリエステルジオールを構成する低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオールなどを挙げることができる。これらの低分子ジオールは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも炭素数6〜12のジオールが好ましく、炭素数8〜10のジオールがより好ましく、炭素数9のジオールがさらに好ましい。
上記のポリカーボネートジオールとしては、低分子ジオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物との反応により得られるものを使用することができる。ポリカーボネートジオールを構成する低分子ジオールとしては、ポリエステルジオールの構成成分として先に例示した低分子ジオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート等が挙げられる。ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等が挙げられる。
高分子ジオールは1種類または2種類以上の高分子ジオールを用いることができるが、少なくとも1種類の高分子ジオールの数平均分子量が1300〜5000の範囲内であることが好ましい。高分子ジオールの数平均分子量が1300未満であると、ハードセグメントとソフトセグメントの明確な相分離が生じず、結果として得られる熱可塑性ポリウレタンの弾性率が高くなり、研磨パッドとした際にスクラッチが発生し易くなる傾向がある。一方、高分子ジオールの数平均分子量が5000を越えると、熱可塑性ポリウレタンを製造する際の押出し成形または射出成形時に成形機中で増粘現象を起こして不溶融物が発生し易くなり、成形運転を中断し内部を洗浄しなければならなくなることがある。ハードセグメントとソフトセグメントが相分離構造を形成して適度な弾性率を有する熱可塑性ポリウレタンを製造することができ、且つ熱可塑性ポリウレタンを製造する際の押出し成形または射出成形時に増粘現象を生じさせないために、使用する少なくとも1種類の高分子ジオールの数平均分子量が1400〜4000の範囲内であることがより好ましく、1500〜3500の範囲内がさらに好ましく、1500〜2500の範囲内が特に好ましい。なお、本明細書でいう高分子ジオールの数平均分子量は、いずれもJIS K1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量を意味する。
熱可塑性ポリウレタンの製造に使用される有機ジイソシアネートとしては、通常のポリウレタンの製造に従来から使用されている有機ジイソシアネートのいずれを使用してもよく、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロへキセン等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート;2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートなどを挙げることができる。これらの有機ジイソシアネートは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが、得られる研磨パッドの耐摩耗性等の点から好ましい。
熱可塑性ポリウレタンの製造に使用される鎖伸長剤としては、通常のポリウレタンの製造に従来から使用されている鎖伸長剤のいずれを使用してもよい。鎖伸長剤としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を使用することが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール;ヒドラジン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、3−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノ−1,1’−ビナフタレン、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、4,4’−ジアミノビベンジル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン等の1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン(nは3〜10)、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等のジアミン類などが挙げられる。これらの鎖伸長剤は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
熱可塑性ポリウレタンは、上記の高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を所定の比率で溶融混錬することにより製造することができる。上記各成分の使用比率は熱可塑性ポリウレタンに付与すべき物性、耐摩耗性などを考慮して適宜決定されるが、高分子ジオールおよび鎖伸長剤に含まれる活性水素原子1モルに対して、有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が0.95〜1.3モルとなる割合で各成分を使用することが好ましい。イソシアネート基の割合が0.95モルより低いと、得られる研磨パッドの機械的強度および耐摩耗性が低下する場合があり、一方、1.3モルを越えると熱可塑性ポリウレタンの生産性、保存安定性が低下する場合がある。得られる研磨パッドの機械的強度、耐摩耗性、および熱可塑性ポリウレタンの生産性、保存安定性の観点から、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤は、高分子ジオールおよび鎖伸長剤に含まれる活性水素原子1モルに対して、有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が0.96〜1.10の範囲となる比率で使用することがより好ましく、0.97〜1.05の範囲となる比率がさらに好ましい。
熱可塑性ポリウレタンは、上記の高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を使用し、公知のウレタン化反応を利用したプレポリマー法またはワンショット法のいずれの方法によっても製造することができる。熱可塑性ポリウレタンは、実質的に溶剤の非存在下に溶融重合する方法によって製造することが好ましく、多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合する方法によって製造することがより好ましい。
本発明において使用される熱可塑性樹脂の、50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率は130〜800MPaであることが好ましい。使用される熱可塑性樹脂の50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率が130MPa未満であると、得られる研磨パッドが柔らかくなりすぎるため、被研磨面の平坦性が低下したり、研磨効率が低下したりする場合がある。一方、800MPaを越えると、研磨時にスクラッチが発生し易くなる。被研磨面の平坦性とスクラッチ抑制の観点から、使用される熱可塑性樹脂の50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率は、180〜750MPaの範囲内であることがより好ましく、200〜700MPaの範囲内がさらに好ましい。
本発明において使用される熱可塑性樹脂の、50℃における損失正接(tanδ)は0.2以下であることが好ましい。使用される熱可塑性樹脂の50℃における損失正接(tanδ)が0.2を超えると、得られる研磨パッドが柔らかくなりすぎるため、被研磨面の平坦性が低下したり、研磨効率が低下したりする場合がある。被研磨面の平坦性の観点から、熱可塑性樹脂の50℃における損失正接(tanδ)は、0.15以下であることがより好ましく、0.13以下であることがさらに好ましい。なお、該損失正接(tanδ)とは、損失弾性率(E”)と貯蔵弾性率(E’)との比(E”/E’)である。
本発明において使用される熱可塑性樹脂の、水との接触角は80度以下であることが好ましい。使用される熱可塑性樹脂の水との接触角が80度を超えると、得られる研磨パッドを用いて研磨を行う際にスクラッチが発生し易くなる。研磨時のスクラッチ抑制の観点から、熱可塑性樹脂の水との接触角は、75度以下であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂として好ましく使用される熱可塑性ポリウレタンについても、50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率が130〜800MPa、50℃における損失正接(tanδ)が0.2以下、水との接触角が80度以下であることが好ましい。このような熱可塑性ポリウレタンは、例えば、数平均分子量が1400〜5000の高分子ジオールを使用し、且つ得られる熱可塑性ポリウレタンにおけるイソシアネート基由来の窒素原子の含有率が4.8質量%以上6.0質量%未満となるように、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させることにより製造することができる。
本発明において使用される熱可塑性樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲内において、有機系充填剤、無機系充填剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、軟化剤、粘着付与剤、増粘剤、加工助剤、滑剤、ブルーミング防止剤、離型剤、密着性付与剤、結晶核剤、老化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、熱分解型発泡剤(化学発泡剤)等の添加剤を配合させることができる。これらの添加剤の配合量としては、添加剤を配合した熱可塑性樹脂全体の質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法により得られた研磨パッドは、それ自体公知の研磨スラリーと共に、ケミカルメカニカル研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)に使用することができる。研磨スラリーは、例えば、水やオイル等の液状媒体;シリカ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素などの研磨剤;塩基、酸、界面活性剤などの成分を含有している。また、CMPを行うに際し、必要に応じ、研磨スラリーと共に、潤滑油、冷却剤などを併用してもよい。
CMPは、公知のCMP用装置を使用し、研磨スラリーを介して被研磨面と研磨パッドを、加圧下、一定速度で、一定時間接触させることによって実施することができる。研磨の対象となる物品には特に制限はないが、例えば、水晶、シリコン、ガラス、光学基板、電子回路基板、多層配線基板、ハードディスクなどが挙げられる。特に、研磨の対象としては、シリコンウェハーや半導体ウェハーであることが好ましい。半導体ウェハーの具体例としては、例えば、酸化シリコン、酸化フッ化シリコン、有機ポリマー等の絶縁膜、銅、アルミニウム、タングステン等の配線材金属膜、タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン等のバリアメタル膜などを表面に有するものが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例に記載した熱可塑性ポリウレタンおよび研磨パッドの物性評価は次の方法で実施した。
<熱可塑性ポリウレタンの物性評価>
50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率
熱可塑性ポリウレタンを熱プレス法により厚さ300μmのフィルムとし、該フィルムから2号型試験片(JIS K7113)を打ち抜き、50℃の温水に3日間浸漬したものを水膨潤サンプルとした。該サンプルを用いて株式会社島津製作所製、「オートグラフAG5000」を用い、チャック間距離40mmでサンプルを装着後、雰囲気温度50℃において5分間静置した後、引張り速度50mm/分にて引張り弾性率を測定した。
50℃における損失正接(tanδ)
熱可塑性ポリウレタンを厚さ2mmの射出成形シートとし、該シートを90℃で5時間熱処理した試験片を用いて、株式会社レオロジー製、動的粘弾性測定装置「DVEレオスペクトラー」を使用して、所定温度における動的粘弾性率を周波数11Hzで測定することにより、貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)を求めた。またこれらの値から50℃における損失正接(tanδ、E”/E’)を算出した。
水との接触角
熱可塑性ポリウレタンを熱プレス法により厚さ300μmのフィルムとし、該フィルムを20℃、65%RHに3日間放置したサンプルを用い、協和界面科学株式会社製、「Drop Master500」を用いて水との接触角を測定した。
<研磨パットの物性評価>
研磨レートおよびスクラッチ数(研磨特性評価)
下記の実施例および比較例において得られた研磨パッドを、株式会社野村製作所製、CMP研磨装置「PPO−60S」に設置し、三菱マテリアル株式会社製、ダイヤモンドドレッサー「MEC100−L」を用い、1.8Kgf/cm、ドレッサー回転数110回転/分にて18分間研磨パッド表面を研削(シーズニング)した。
次に、プラテン回転数50回転/分、ヘッド回転数49回転/分、研磨圧力45KPa、研磨時間100秒の条件において、キャボット社製研磨スラリーSS25を蒸留水で2倍に希釈した液を120mL/分の量を供給しつつ直径8インチの酸化膜表面を有するシリコンウェハーを100秒間研磨した。研磨後のシリコンウェハー表面の研磨レートを株式会社溝尻光学工業所製、エリプソメーター「DVA−36LS」を用いて研磨前後の膜厚変化を測定することにより評価した。また、研磨後のシリコンウェハーの表面に存在する0.16μm以上の大きさの傷の数をKLA−Tencor社製、「Surfscan SP1」を用いて測定し、スクラッチ数とした。
[製造例1]
熱可塑性ポリウレタン(PU−1)の製造
数平均分子量2000のポリ(テトラメチレングリコール)[略号:PTMG2000]、数平均分子量2000のポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレン−co−ノナメチレンアジペート)[略号:PNOA、ノナメチレン単位と2−メチル−1,8−オクタメチレン単位とのモル比=7対3]、1,4−シクロヘキサンジメタノール[略号:CHDM]、1,4−ブタンジオール[略号:BD]、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート[略号:MDI]を、PTMG2000:PNOA:CHDM:BD:MDIの質量比が20.1:8.4:5.7:14.2:51.6(窒素原子の含有率:5.8質量%)となるような割合で用い、且つそれらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状に水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを70℃で20時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレタン(以下、これをPU−1という)を製造した。PU−1の50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率、50℃における損失正接(tanδ)、水との接触角を表1に示した。
[製造例2]
熱可塑性ポリウレタン(PU−2)の製造
PNOA[ノナメチレン単位と2−メチル−1,8−オクタメチレン単位とのモル比=7対3]、数平均分子量600のポリ(エチレングリコール)[略号:PEG600]、CHDM、BD、およびMDIを、PNOA:PEG600:CHDM:BD:MDIの質量比が31.0:5.0:2.4:13.6:48.0(窒素原子の含有率:5.4質量%)となるような割合で用い、且つそれらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状に水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを70℃で20時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレタン(以下、これをPU−2という)を製造した。PU−2の50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率、50℃における損失正接(tanδ)、水との接触角を表1に示した。
Figure 2008184597
[実施例1]
PU−1のペレットを株式会社名機製作所製、射出圧縮成形機「MDIP1400」に仕込み、厚さ300μmのニッケル層を表層に有し、厚さ400μmのポリイミドからなる断熱層を有する、溝を形成するためのパターンを有さない積層構造体を装着した50℃の金型内に、シリンダー温度170〜220℃、ノズル温度220℃で充填後、金型内において圧縮率140%で圧縮し、厚さ2mm(厚さ斑50μm)、直径510mmの円形のシート状成形体を作製した。
得られた円形のシート状成形体を、回転式定盤を有する表面加工装置に装着し、金属製バイトで表面を研削した。1回の研削で20μm研削し、2回研削することにより厚さ斑10μmのシートが得られた。得られたシートを溝形成装置に装着し、溝深さ1.2mm、溝幅2.2mm、溝ピッチ15mmのX−Y格子型溝を形成して研磨パッドとした。該研磨パッドの製造の容易さ、および研磨特性評価結果を表2に示した。
[実施例2]
PU−1のペレットを株式会社名機製作所製、射出圧縮成形機「MDIP1400」に仕込み、表面に高さ0.4mm、幅0.5mm、ピッチ1.5mmの同心円状の凸パターンが形成された厚さ600μmのニッケル層を表層に有し、厚さ400μmのポリイミドからなる断熱層を有する断熱スタンパーを装着した50℃の金型内に、シリンダー温度170〜220℃、ノズル温度220℃で充填後、金型内において圧縮率140%で圧縮し、厚さ2mm、直径510mmの円形のシート状成形体を作製した。
得られた円形のシート状成形体は溝深さ0.4mm、溝幅0.5mm、溝ピッチ1.5mmの同心円状の溝パターンを有しており、溝と溝の間を形成する部位の厚さ斑は30μmであり、そのまま研磨パッドとして使用した。該研磨パッドの製造の容易さ、および研磨特性評価結果を表2に示した。
[実施例3]
PU−2のペレットを株式会社名機製作所製、射出圧縮成形機「MDIP1400」に仕込み、厚さ300μmのニッケル層を表面に有し、厚さ400μmのポリイミドからなる断熱層を有する、溝を形成するためのパターンを有さない積層構造体を装着した50℃の金型内に、シリンダー温度170〜220℃、ノズル温度220℃で充填後、金型内において圧縮率140%で圧縮し、厚さ2mm(厚さ斑50μm)、直径510mmの円形のシート状成形体を作製した。
得られた円形のシート状成形体を、回転式定盤を有する表面加工装置に装着し、金属製バイトで表面を研削した。1回の研削で20μm研削し、2回研削することにより厚さ斑10μmのシートが得られた。得られたシートを溝形成装置に装着し、溝深さ1.0mm、溝幅0.5mm、溝ピッチ1.5mmの同心円状の溝を形成して研磨パッドとした。該研磨パッドの製造の容易さ、および研磨特性評価結果を表2に示した。
[比較例1]
PU−1のペレットを単軸押出成形機(90mmφ)に仕込み、シリンダー温度215〜225℃、ダイス温度225℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて、厚さ2mm(厚さ斑300μm)のシート状成形体とした。
得られたシート状成形体を、回転式定盤を有する表面加工装置に装着し、金属カッターで直径510mmの円形状に切り出した後、金属製バイトで表面を研削した。1回の研削で20μm研削し、15回研削することにより厚さ斑10μmのシートが得られた。得られたシートを溝形成装置に装着し、溝深さ1.2mm、溝幅2.2mm、溝ピッチ15mmのX−Y格子型溝を形成して研磨パッドとした。該研磨パッドの製造の容易さ、および研磨特性評価結果を表2に示した。
[比較例2]
PU−1のペレットを三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社製、射出成形機「1450em」に仕込み、50℃の金型内に、シリンダー温度170〜220℃、ノズル温度220℃で充填し、厚さ2mm、直径510mmの円形のシート状成形体を作製した。得られたシート状成形体は射出成形において生じた歪により平坦性が低く、研磨パッドとして評価することができなかった。
[比較例3]
PU−1のペレットを関西ロール株式会社製、サイドシリンダー付き押下げ型圧縮成形機に仕込み、220℃でプレス後、金型を50℃に冷却して厚さ2mm、直径510mmの円形のシート状成形体を作製した。この時、220℃から50℃に冷却するのに15分要し、その間に熱可塑性ポリウレタンの劣化により分子量が低下し、シート状成形体の物性が著しく低下したため、研磨パッドとして評価することができなかった。
Figure 2008184597
表2から明らかなように、実施例1〜3においては、研磨パッドの製造過程における研削回数が少ないにもかかわらず、厚さ斑の小さな研磨パッドが製造されており、厚さ斑の小さい研磨パッドが容易に製造されることが分かる。これに対して、比較例1においては、押出成形機を使用したため、得られた円形のシート状成形体は厚さ斑が大きく、厚さ斑を小さくするために、15回もの研削をする必要が生じ、効率的な製造とはいえない。
本発明によれば、半導体ウェハー等の被研磨物を、精度よく且つ高い研磨効率で研磨するために有用な、厚さが均一な研磨パッドを効率よく製造する方法が提供される。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂を射出圧縮成形してシート状成形体とする工程を含む研磨パッドの製造方法。
  2. 射出圧縮成形において、射出前の半型開状態から射出後の型締状態に至るまでの金型移動幅を成形品肉厚で除した値で定義される圧縮率が5〜400%である請求項1に記載の製造方法。
  3. 熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有さないシート状成形体とし、その後、該シート状成形体に溝パターンを形成する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. スタンパーを装着した金型を用いて熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して溝パターンを有するシート状成形体とする請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂の、50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における引張り弾性率が130〜800MPa、50℃における損失正接(tanδ)が0.2以下、水との接触角が80度以下である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリウレタンである請求項5に記載の製造方法。
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