しかしながら、図19に示すような、単に、連結ビーム113を介して、複数の検重用ロードセル111、112を上下方向に連結しただけの構造からなるロードセルユニットを、図18に示すような検重装置のロードセルユニット109として組み合わせて配設しただけでは、これらのロードセル111、112を連結する部分が全く位置規制されていないため、これらのロードセル111、112を連結する部分を含めて、各ロードセル111、112の姿勢が不安定であるという問題がある。したがって、検重装置の油圧シリンダ装置108により負荷を作用させた際に、各ロードセル111、112が真下に力を受けないような傾斜姿勢となってしまうおそれがあり、その結果、各ロードセル111、112が、横荷重や斜め方向に作用する力による曲げやねじれの影響を受けて、荷重を正確に測定することが困難となる恐れがあるとともに、上下方向の荷重を載台104側に鉛直方向荷重として良好に伝達することができない恐れもあり、良好な検査精度を得られなくなる可能性が高い。
すなわち、秤量が互いに異なる複数の検重用ロードセル111、112を上下に積み重ねるように配置すると同時に、各検重用ロードセル111、112が良好な姿勢に常に維持されていれば、大秤量でなおかつ極めて精度の高いロードセルを用いる場合と比較して、ロードセルユニットを比較的安価に構成できながら、かつ、極めて高精度の検査を行うことができる。しかしながら、どのように構成すると、複数のロードセルにおける各ロードセルをそれぞれが鉛直に荷重を受ける姿勢で重ねて配置できて、各ロードセルにより良好に計量することが可能に配置でき、しかも、鉛直方向の力を良好に載台側に負荷させることができるのかが課題である。
本発明は、上記課題を解決するもので、負荷が作用した際において、秤量が互いに異なる複数の検重用ロードセルを安定した姿勢で保持することができて、高精度の検査を良好に行うことができる検重装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明の検重装置は、検査対象である被検査台秤の上方を跨る姿勢で固定部に固定された支持固定枠と、被検査台秤の載台と支持固定枠における載台の上方箇所との間で上下方向に並ぶ姿勢で直列に配設させた荷重発生装置および検重用のロードセルユニットとを備え、前記ロードセルユニットに、秤量が互いに異なる複数の検重用ロードセルと、各検重用ロードセルに対応して配設され、各検重用ロードセルを、上下方向に直列に重ねて並べた姿勢で、かつ検重用ロードセルに対して荷重が作用する各荷重点が上下方向に重なる状態で支持するロバーバル機構とを設けたことを特徴とする。
この構成により、各検重用ロードセルが、ロバーバル機構により、その各荷重点が上下方向に重なり、かつ上下方向に直列に重ねて並べられた姿勢で安定して支持されるので、荷重発生装置で発生した荷重がロードセルユニットに作用した場合に、各検重用ロードセルによって前記荷重が鉛直方向に良好に力を受けられて良好に計量でき、しかも、鉛直方向の力を良好に載台側に伝達することができる。すなわち、ロードセルユニットに対して負荷が作用した際に、仮にこの負荷に横荷重や曲げや捩れなどの非鉛直荷重が含まれていたとした場合でも、前記非鉛直荷重がロバーバル機構により受けられ、検重用ロードセルには非鉛直荷重が除かれた鉛直荷重だけが良好に作用し、極めて高精度に計量することができる。
また、本発明は、複数の検重用ロードセルにおける小秤量ロードセルの秤量よりも過大な荷重が作用した際に当接して、秤量よりも大きな荷重が当該小秤量ロードセルの薄肉変形部に作用することを阻止するとともに、支持固定枠側からの荷重を下方に伝達するストッパ兼用の荷重伝達部を設けたことを特徴とする。
この構成により、小秤量ロードセルの秤量よりも過大な荷重が小秤量ロードセルに作用した際でも、この荷重が小秤量ロードセルの薄肉変形部に作用して損傷することを阻止でき、かつ、小秤量ロードセルに作用した荷重が荷重伝達部を介して下方に伝達される。
また、本発明は、支持固定枠と荷重発生装置または検重用のロードセルユニットとの間に、支持固定枠からの反力が真下に作用するように揺動する揺動機構を配設したことを特徴とする。
この構成により、揺動機構を介することで、支持固定枠からの反力である荷重を受けた際に、支持固定枠からの荷重が真下に作用するように自動的に調整され、ロードセルユニットにより精度よく計量することができる。
また、本発明は、支持固定枠、荷重発生装置および検重用のロードセルユニットを複数組設け、被検査台秤に設けた計量用ロードセルで支持している位置での、器差検査時における載台の傾斜角が、複数の荷重発生装置により負荷を作用させた場合と、分銅を載台に等分布荷重となる状態で負荷させた場合とで、ほぼ等しくなるような載台の位置に各組の荷重発生装置および検重用のロードセルユニットを配設したことを特徴とする。
この構成により、器差検査時において当該検査装置の複数の荷重発生装置により荷重を負荷した場合と分銅を載台に等分布荷重となる状態で負荷させた場合とで、計量用ロードセルで支持している位置での載台の傾斜角がほぼ等しくなり、分銅を用いた場合と極めて近い条件で計量用ロードセルで計量することができ、測定精度が向上する。
また、本発明は、地面に設けた基礎における計量用ロードセルを配設する箇所を、秤量に対応する計量用ロードセルに作用する力よりも大きな地耐力を有する基礎ブロック部で構成し、この基礎ブロック部における計量用ロードセルの配設箇所近傍に支持固定枠を固定したことを特徴とする。
この構成により、計量用ロードセルに作用する力に十分耐え得る地耐力をするブロック部を、支持固定枠の固定部としても兼用することができて、良好な信頼性を得ることができる。しかも、このブロック部において、支持固定枠を計量用ロードセルの配設箇所と近接して配置したため、これらの箇所に働くモーメントが小さく抑えられ、これらの間の基礎の部分が変形したり傾斜したりして検査精度が低下することを少なめに抑えることができる。
また、本発明は、地面に設けた基礎における計量用ロードセルを配設する箇所を、秤量に対応する計量用ロードセルに作用する力よりも大きな地耐力を有する基礎ブロック部で構成し、基礎に対する支持固定枠の支持脚部分を、被検査台秤に設けた計量用ロードセルの基礎への配設点を中心として、両横となるように二又状に構成し、かつ、前記基礎ブロック部内に立設させて固定したことを特徴とする。
この構成によっても、計量用ロードセルに作用する力に十分耐え得る地耐力をするブロック部を、支持固定枠の固定部としても兼用することができて、良好な信頼性を得ることができる。しかも、支持固定枠から基礎に対して上向きの力が作用する支持固定枠の固定箇所の略中心に、基礎に対して荷重が下方に作用する計量用ロードセルの配設箇所が位置するので、これらの間の基礎の部分が変形したり傾斜したりして検査精度が低下することを防止できる。
また、本発明の検重装置による検査方法は、検査対象である被検査台秤の上方を跨る姿勢で固定部に固定された支持固定枠と、被検査台秤の載台と支持固定枠における載台の上方箇所との間で上下方向に並ぶ姿勢で直列に配設させた荷重発生装置としての油圧シリンダ装置および検重用のロードセルユニットとを備え、前記ロードセルユニットに、秤量が互いに異なる複数の検重用ロードセルと、各検重用ロードセルに対応して配設され、各検重用ロードセルを、上下方向に直列に重ねて並べた姿勢で、かつ検重用ロードセルに対して荷重が作用する各荷重点が上下方向に重なる状態で支持するロバーバル機構とを設けた検重装置を用いた検査方法であって、支持固定枠、油圧シリンダ装置および検重用のロードセルユニットを組付けた状態で、正規の器差試験を行う前に予め予備負荷を作用させ、予備負荷を作用させていない状態から予備負荷を作用させた際にかけての、油圧シリンダ装置の出退ロッドの突出量、または載台および支持固定枠の撓み量を検出し、この突出量または撓み量と、検重装置の荷重測定値または被検査台秤の計量値との相関関係に基づいて、検重装置の据付状態の適否を判定するとともに、これらの支持固定枠と被検査台秤と荷重発生装置としての油圧シリンダ装置と検重用のロードセルユニットとからなる構造体のバネ係数に相当する値を求める予備検査を行った後、正規の器差検査を行うことを特徴とする。
この検重装置の検査方法によれば、正規の器差試験を行う前に、予め予備負荷を作用させた時点で、検重装置の据付状態の適否を判定したり、基礎の耐久力が十分であることを確認できる。また、正規の器差試験を行う際の油圧シリンダ装置への適切な油供給量を設定することができるので、器差試験を良好かつ能率良く行うこともできる。
また、本発明の検重装置の組立方法は、検査対象である被検査台秤の上方を跨る姿勢で固定部に固定された支持固定枠と、被検査台秤の載台と支持固定枠における載台の上方箇所との間で上下方向に並ぶ姿勢で直列に配設させた荷重発生装置および検重用のロードセルユニットとを備え、前記ロードセルユニットに、秤量が互いに異なる複数の検重用ロードセルと、各検重用ロードセルに対応して配設され、各検重用ロードセルを、上下方向に直列に重ねて並べた姿勢で、かつ検重用ロードセルに対して荷重が作用する各荷重点が上下方向に重なる状態で支持するロバーバル機構とを設けた検重装置の組立方法であって、ロードセルユニットのベースに対して鉛直に立設させた組立用治具を用いて複数のロバーバル機構を上下に並べた姿勢に組付け、このロバーバル機構に対して前記組立用治具を取り外した後に負荷取付体および検重用ロードセルを組付けてロードセルユニットとして予めユニット化し、検査時に支持固定枠を固定するとともに、載台上における支持固定枠との間に前記ユニット化したロードセルユニットおよび荷重発生装置を配設して検重装置を組み立てることを特徴とする。
この組立方法によれば、複数の検重用ロードセルを複数のロバーバル機構により良好に支持した状態でロードセルユニットを予めユニット化することができ、載台上のロードセルユニットおよび荷重発生装置の配設も能率良く行うことができる。
本発明によれば、被検査台秤の載台と支持固定枠との間に、荷重発生装置と検重用のロードセルユニットとを上下に並べて配設し、前記ロードセルユニットに、秤量が互いに異なる複数の検重用ロードセルと、各検重用ロードセルに対応して配設され、各検重用ロードセルを、上下方向に直列に重ねて並べた姿勢で、かつ各荷重点が上下方向に重なる状態で支持するロバーバル機構とを設けたことにより、各検重用ロードセルが、ロバーバル機構により、その各荷重点が上下方向に重なり、かつ上下方向に直列に重ねて並べられた姿勢で安定して支持されるので、荷重発生装置で発生した荷重がロードセルユニットに作用した場合に、各検重用ロードセルによって前記荷重が鉛直方向に良好に受けられて良好に計量でき、しかも、鉛直方向の力だけを良好に載台側に伝達することができ、この結果、高精度の検査を安定して行うことができる。しかも、極めて高精度の1つのロードセルを用いる場合と比較してロードセルユニットを安価に構成できる。
また、複数の検重用ロードセルにおける小秤量ロードセルの秤量よりも過大な荷重が作用した際に当接して、秤量よりも大きな荷重が当該小秤量ロードセルの薄肉変形部に作用することを阻止するとともに、支持固定枠側からの荷重を上下方向に伝達するストッパ兼用の荷重伝達部を設けたことにより、小秤量ロードセルの秤量よりも過大な荷重が作用した際でも、支障をきたすことがない。
また、支持固定枠と荷重発生装置または検重用のロードセルユニットとの間に、支持固定枠からの反力が真下に作用するように揺動する揺動機構を配設したことによって、ロードセルユニットの計量精度を向上させることができる。
また、支持固定枠、荷重発生装置および検重用のロードセルユニットを複数組設け、被検査台秤に設けた計量用ロードセルで支持している位置での、器差検査時における載台の傾斜角が、複数の荷重発生装置により負荷を作用させた場合と、分銅を載台に等分布荷重となる状態で負荷させた場合とで、ほぼ等しくなるような載台の位置に各組の荷重発生装置および検重用のロードセルユニットを配設することにより、分銅を用いた場合と極めて近い条件で計量用ロードセルで計量することができ、測定精度が向上する。
また、地面に設けた基礎における計量用ロードセルを配設する箇所を、秤量に対応する計量用ロードセルに作用する力よりも大きな地耐力を有する基礎ブロック部で構成し、この基礎ブロック部に支持固定枠を固定したことにより、計量用ロードセルに作用する力に十分耐え得る地耐力をする基礎ブロック部を、支持固定枠の固定部としても兼用することができて、それぞれ別個に大きな地耐力を有する基礎ブロック部を設けた場合と比較して安価に済ますことができながら、良好な信頼性を得ることができる。しかも、この基礎ブロック部において、支持固定枠を計量用ロードセルの配設箇所と近接して配置したため、これらの箇所に働くモーメントが小さく抑えられ、これらの間の基礎の部分が変形したり傾斜したりして検査精度が低下することを少なめに抑えることができる。
また、地面に設けた基礎における計量用ロードセルを配設する箇所を、秤量に対応する計量用ロードセルに作用する力よりも大きな地耐力を有する基礎ブロック部で構成し、基礎に対する支持固定枠の支持脚部分を、被検査台秤に設けた計量用ロードセルの基礎への配設点を中心として、両横となるように二又状に構成し、かつ、前記基礎ブロック部内に立設させて固定したことによっても、計量用ロードセルに作用する力に十分耐え得る地耐力をする基礎ブロック部を、支持固定枠の固定部としても兼用することができて、良好な信頼性を得ることができ、しかも、支持固定枠から基礎に対して上向きの力が作用する支持固定枠の固定箇所の略中心に、基礎に対して荷重が下方に作用する計量用ロードセルの配設箇所が位置するので、これらの間の基礎の部分が変形したり傾斜したりして検査精度が低下することを防止できて、安全性を向上させることができる。
また、支持固定枠、油圧シリンダ装置および検重用のロードセルユニットを組付けた状態で、正規の器差試験を行う前に予め予備負荷を作用させ、予備負荷を作用させていない状態から予備負荷を作用させた際にかけての、油圧シリンダ装置の出退ロッドの突出量、または載台および支持固定枠の撓み量を検出し、この突出量または撓み量と、検重装置の荷重測定値または被検査台秤の計量値との相関関係に基づいて、検重装置の据付状態の適否を判定するとともに、これらの支持固定枠と被検査台秤と荷重発生装置としての油圧シリンダ装置と検重用のロードセルユニットとからなる構造体のバネ係数に相当する値を求める予備検査を行った後、正規の器差検査を行うことにより、正規の器差試験を行う前に、予め予備負荷を作用させた時点で、検重装置の据付状態の適否を判定したり、基礎の耐久力が十分であることを確認でき、信頼性が向上する。また、正規の器差試験を行う際の油圧シリンダ装置への適切な油供給量を設定することができるので、器差試験を良好かつ能率良く行うこともできる。
また、ロードセルユニットのベースに対して鉛直に立設させた組立用治具を用いて複数のロバーバル機構を上下に並べた姿勢に組付け、このロバーバル機構に対して前記組立用治具を取り外した後に負荷取付体および検重用ロードセルを組付けてロードセルユニットとして予めユニット化し、検査時に支持固定枠を固定するとともに、載台上における支持固定枠との間に前記ユニット化したロードセルユニットおよび荷重発生装置を配設して検重装置を組み立てることにより、複数の検重用ロードセルを複数のロバーバル機構により良好に支持した状態でロードセルユニットを予めユニット化することができ、載台上のロードセルユニットおよび荷重発生装置の配設も能率良く行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る検重装置を配設したトラックスケール(被検査対象の大型台秤の1例)の概略的な平面図、図2(a)および(b)は同トラックスケールの概略的な側面断面図および要部側面断面図、図3は同トラックスケールの正面図である。
図1〜図3に示すように、この実施の形態では、検査対象となる被検査台秤5がトラックスケールである場合を示しており、また、この実施の形態のトラックスケールは、いわゆる地上設置型(地下に深いピットを設ける必要のないピットレスタイプ)とされている。そして、対となったコンクリート製のスロープ部7の間に、固定部としての基礎1上に複数(本実施の形態では4つ)の計量用のロードセル3を介して載せられた平面視矩形の載台4が位置するように配設されている。基礎1は、載台4の長手方向両端部分の下方に対応する位置において、スロープ部7に隣接して地面6を若干深く掘られて十分な地耐力を有するように埋設された基礎ブロック部1aと、平面視して、これらの基礎ブロック部1aの間をつなぐように、地面を浅く掘られて埋設された基礎平面状部1bとからなる。そして、前記計量用のロードセル3は基礎ブロック部1a上に載置され、これらの4つのロードセル3によって、載台4の四隅部が支持されている。なお、基礎ブロック部1aは、載台4からの荷重を支えるための十分な地耐力を備えている。また、図1などにおける8は、載台4が横方向に過度に移動することを規制する位置規制ストッパである。
この実施の形態では、載台4における幅方向両端部において長手方向に沿って延びる端辺部分に、主桁部4aの一部が上方に延びるように配設され、この主桁部4aがトラックなどの車輌の走行領域を規制するガードとしても機能している。被検査台秤5は、例えば、最大計測荷重40tのトラックスケールであり、計量時には、載台4上にトラックなどの車輌(計量対象物)が載せられて計量される。また、この実施の形態では、4つの計量用のロードセル3によって載台4の四隅部を支持している場合を図示しているが、これに限るものではなく、例えば、載台4の長手方向に対する中央部を支持する左右のロードセル3をさらに有するもの(すなわち、合計6つの計量用のロードセル3によって載台4を6点支持する構成)でもよい。また、図2における1c、1d、7aは、基礎ブロック部1aと設置面との間、基礎底面部1bと設置面との間、スロープ部7と設置面との間に、それぞれ介装された底盤である。また、以下の説明では、単に「長手方向」と称した場合には載台4の長手方向に沿う方向を意味するものとし、また、単に「幅方向」と称した場合には載台4の幅方向に沿う方向を意味するものとする。
この被検査台秤5を検査する検重装置10は、被検査台秤5の上方を跨る姿勢でその両端部がアンカーボルトなどの固定ボルト(図示せず)を介して固定部としての基礎1に固定された門型の支持固定枠12と、支持固定枠12の上辺フレーム12aと被検査台秤5の載台4との間に上下に直列に並べられた状態で配設された荷重発生装置としての油圧シリンダ装置13および検重(検査)用のロードセルユニット14とから構成されている。なお、支持固定枠12は、その両端部が、設置ブロック部12dを介して基礎ブロック部1a上に載置され、平面視して載台4の主桁部6よりも外側において長手方向に沿って延びるように配置されたベースフレーム12bと、各ベースフレーム12b上の所定の2箇所からそれぞれ立設されている支柱部12cと、支柱部12cの上端部同士を互いに連結するように幅方向に延びる上辺フレーム12aとからなる。なお、この実施の形態では、支持固定枠12のベースフレーム12bの両端部に設置ブロック部12dが設けられ、支持固定枠12をこれらの両端に設けられた設置ブロック部12dにより支持固定枠12を支持している。そして、この基礎1への支持固定枠12の固定部分である設置ブロック部12dの配設箇所が、被検査台秤5に設けた計量用のロードセル3が配設されている基礎ブロック部1a上であって、ロードセル3が配設されている箇所の近傍とされている。また、一般に、設置ブロック部12dおよびベースフレーム12bは常設され、検査時のみ支柱部12cや上辺フレーム12aが取り付けられる。なお、支柱部12cは常設しておいてもよい。
また、検重装置10の油圧シリンダ装置13およびロードセルユニット14は、側面視して被検査台秤5の載台4の計量用のロードセル3間の部分を長手方向に2つに分けた領域のそれぞれ中心部よりも少し両端部側に寄った位置(詳しい位置は後述する)にそれぞれ配設され、これらの油圧シリンダ装置13およびロードセルユニット14に対応するように、それぞれ支持固定枠12が被検査台秤5の上方を幅方向(図1の紙面における上下方向)に沿って上方を跨る姿勢で配設されている。なお、以下においては、支持固定枠12の上辺フレーム12aに対応して油圧シリンダ装置13やロードセルユニット14などが設けられている部分を検重ユニット11と称し、この実施の形態では、2つの検重ユニット11と支持固定枠12とによって検重装置10が構成されている。また、図3においては、油圧シリンダ装置13に油圧を付与していない状態(すなわち、負荷が作用していない状態)を示している。
図2(b)、図3などに示すように、各検重ユニット11においては、載台4上に、幅方向に沿って延びる荷重受けベース41がそれぞれ載せられ、この荷重受けベース41を介して、載台4上にロードセルユニット14が載せられ、さらに、この上に、荷重発生装置としての油圧シリンダ装置13が上下方向に直列に並べられた姿勢で載せられている。また、油圧シリンダ装置13の上方に鉛直方向に力を伝達する揺動機構15が載せられ、この揺動機構15の上端部が、支持固定枠12の上辺フレーム12aの幅方向中央部分に設けられた被当接部12f(図3参照)に下方から当接するように配設される。
図4〜図7に示すように、検重ユニット11に設けられたロードセルユニット14は、秤量が互いに異なる2つの検重用ロードセル16、17と、各検重用ロードセル16、17に対応して配設され、各検重用ロードセルを上下方向に直列に重ねて並べた姿勢で、かつ検重用ロードセル16、17に対して荷重が作用する各荷重点(後述する上部取付体24と検重用ロードセル17(の球面部17b)とが接触して検重用ロードセル17に対して荷重が作用する点と、後述する中間取付体23と検重用ロードセル16(の球面部16b)とが接触して検重用ロードセル16に対して荷重が作用する点)が上下方向に重なる状態で支持し、薄肉変形部18a,19aを有するいわゆるロバーバル機構18、19と、検重ユニット11の底面部をなすベース20と、検重ユニット11のその他の長方体外殻部分をなす外枠部21などを備えた構成とされている。
詳しくは、ベース20(図8参照)の中央部に形成された取付凹部20bに、略円柱形状の下部取付体22が殆ど隙間が無い状態で嵌め込まれて取り付けられ、さらにこの下部取付体22に形成された凹部22aに、その下端部が余裕を持って嵌合されて載せられた状態で大秤量(例えば25t)の検重用ロードセル16がロードセルユニット14内の下側に配設されている。なお、ベース20の取付凹部20bは、ベース20が水平面上に載置された際に、取付凹部20bの底面部も良好に水平になるように加工されている。
また、大秤量の検重用ロードセル16の上端部に、略円柱形状の中間取付体23が余裕を持って嵌合されて載せられ、さらにこの中間取付体23に、その下端部が余裕を持って嵌合されて載せられた状態で小秤量(例えば10t)の検重用ロードセル17がロードセルユニット14内の上側に配設され、また、この小秤量の検重用ロードセル17の上端部に、略円柱形状の上部取付体24が余裕を持って嵌合されて載せられている。なお、各取付体22〜24における検重用ロードセル16、17の嵌合内周部分にはそれぞれOリングが嵌め込まれているとともに、内部が密閉状態とならないように通気孔が適宜形成されている。
ベース20の一端部に設けられた支持部20a上には、下方に配置されたロバーバル機構(下ロバーバル機構とも称す:図9参照)18がその固定部下辺側で結合手段としてのボルト26で固定されている。また、この下ロバーバル機構18の固定部上辺側には固定用中間部材(スペーサ)27が載せられており、この固定用中間部材27を介して、下ロバーバル機構18とその上方に配設されたロバーバル機構(上ロバーバル機構とも称す:図10参照)19とが結合手段としてのボルト28で一体化されるように固定されている。さらに、各ロバーバル機構18、19の可動側上辺部だけがビームの長手方向に延長されているとともに、これらの延長部分(可動側延長部と称す)18b、19bに上下に貫通する貫通孔18c、19cが形成されている。なお、これらの貫通孔18c、19cと、ベース20の取付凹部20bとは同じ直径に形成され、平面視して同位置となるように配置されている。
そして、下ロバーバル機構18の可動側延長部18bの貫通孔18cに中間取付体23が殆ど隙間が無い状態で嵌め込まれており、また、上ロバーバル機構19の可動側延長部19bの貫通孔19cに上部取付体24が殆ど隙間が無い状態で嵌め込まれている。これにより、各検重用ロードセル16、17が、上下方向に直列に重ねて並べた姿勢で、かつ各検重用ロードセル16、17の荷重点が上下方向に重なる状態で位置規制された姿勢で支持されている。
なお、下ロバーバル機構18の可動側延長部18bには、補助挟持体29が、中間取付体23の太径部分に上方から被せられた状態でボルト(図示せず)により結合されており、これにより、中間取付体23が、下ロバーバル機構18の可動側延長部18bに対して上下方向にも位置規制されて固定されている。また、上部取付体24には、油圧シリンダ装置13の下端部にボルト(図示せず)で固定された補助連結部材30が、この上部取付体24の太径部分に上方から被せられた状態でボルト(図示せず)により結合されており、これにより、上部取付体24が、上ロバーバル機構19の可動側延長部19bに対して上下方向にも位置規制されて固定されている。また、各ロバーバル機構18、19は広幅のものが用いられて、各取付体22〜24が捩れ方向に力を受けた場合などに、正規姿勢に良好に位置矯正できるようになっている。
また、この実施の形態では、下側に配設されている大秤量の検重用ロードセル16は、ロッカーピン型の起歪体にストレインゲージ(図示せず)が貼り付けられたものが用いられ、それぞれ上下に延びる上端部と下端部とに球面部16a、16bが形成され、この球面部16a、16bが、下部取付体22と中間取付体23とに鉛直方向に当接されている。また、上側に配設されている小秤量の検重用ロードセル17は、中央に横方向に扁平な扁平孔17c(図7参照)が形成されているとともに円形にくり貫かれた薄肉変形部17hにストレインゲージ17fが貼り付けられたものが用いられ、それぞれ上下に延びる上端部と下端部とに球面部17a、17bが形成され、これらの球面部17a、17bが、中間取付体23と上部取付体24とに鉛直方向に当接されている。
また特に、小秤量の検重用ロードセル17には、扁平孔17c内において、ストッパ兼用の荷重伝達部としてのストッパ体42が着脱可能に取り付けられている。この実施の形態では、ストッパ体42は、検重用ロードセル17の下部側面にねじ25aなどにより取り付けられた左右のブラケット25に跨るような姿勢で、検重用ロードセル17の扁平孔17c内においてその扁平孔17cの下面壁部分に載置され上方に向けて突出する姿勢(逆に、扁平孔17cの上面壁部分から下方に向けて突出する姿勢に配設してもよい)で取り付けられている。そして、この検重用ロードセル17の秤量(10t)よりも過大な荷重が作用した際に、小秤量の検重用ロードセル17の扁平孔17cに臨む上面壁部分17gが、ストッパ体42の上端に当接して、秤量よりも大きな荷重がこの検重用ロードセル17の薄肉変形部17hに作用して損傷することを阻止するとともに、支持固定枠12の被当接部12f(図3参照)側(この実施の形態では油圧シリンダ装置13)から作用する荷重を下方の中間取付体23側に伝達するよう構成されている。
図4、図5、図11、図12に示すように、油圧シリンダ装置13は、シリンダ本体13aから上方に出退自在の出退ロッド13bの先端に上部が球状になった油圧先端金具31が取り付けられ、この油圧先端金具31の球面部分が、揺動機構15に設けられた平面視略三叉状の当接ブロック32に下方から当接されている。当接ブロック32の上部には、複数(この実施の形態では3つ)の球面座33が取り付けられ、この球面座33に載せられた球体34を介して、上下に長い矩形枠形状の連結金具35の上部に取り付けられた球面座36が当接され、さらにこの連結金具35の下部にも上面に球面状凹部が設けられた球面座37が取り付けられ、この球面座37に載せられた球体38を介して、揺動機構15の外周側に設けられた保持部材40の下部に取り付けられた球面座39が当接されている。そして、保持部材40の上部に取り付けられた当接部40aが、油圧シリンダ装置13の出退ロッド13bが上方に突出された際に、支持固定枠12の上辺フレーム12aの中央部分下面に設けられた当接部12fに当接して力を伝達するよう構成されている。
なお、保持部材40は、概略的には、上部円盤状部40bと下部円環状部40cとを、上下に延びる複数の連結ロッド40dで連結して一体化した構成とされている。そして、この、揺動機構15を介することで、油圧シリンダ装置13が、支持固定枠12側からの反力を真下に受けるよう構成されている。
また、図13に簡略的に示すように、基礎1の表面には検査中に基礎1の表面が変形して傾斜することを監視するための基礎傾斜センサ45が設けられている。なお、この実施の形態では、ロードセル3および支持固定枠12の設置ブロック部12dが設置されている基礎ブロック部1a上に基礎傾斜センサ45が設けられている。つまり、検査中には、計量用のロードセル3を介して載台4側から下方に荷重が作用すると同時に、油圧シリンダ装置13の圧力によって、支持固定枠12を介して、上方に引き上げようとする力が作用するので、支持固定枠12が固定されている基礎1(例えば、この実施の形態のように支持固定枠12の設置ブロック部12dやロードセル3の近傍箇所)が傾斜することを監視して、所定角度以上傾斜したことを検知した際には、検重装置10に設けられた制御部50の警報装置51において、警報音を発したり、警報表示を行うよう構成されている。
また、図13に簡略的に示すように、支持固定枠12、例えば、油圧シリンダ装置13からの力が揺動機構15を介して伝達される支持固定枠12の上辺フレーム12aの当接部12f近傍箇所にも、検査中に支持固定枠12が変形して傾斜することを監視するための支持固定枠傾斜センサ46が設けられている。なお、この支持固定枠傾斜センサ46は、実際の検査の前に予め負荷をかける予備負荷時にも用いられるようになっている。また、図13における47は、検査中などに載台4が水平面内での移動を監視するための水平移動監視センサ、48は、被検査台秤5で測定された荷重を表示する被検査台秤5の指示計である。
図13に示すように、本実施の形態では、油圧シリンダ装置13に油圧を負荷する油圧ユニット52として、吐出量の大きな電動ポンプ52a(手動ポンプでもよい)と吐出量の小さな手動ポンプ52bとが設けられ、電動ポンプ52aでは制御部50のポンプ駆動指示部53の指示により給油され、制御部50により供給量を調整可能に構成されている。また、微調整用に手動で手動ポンプ52bからも給油可能に構成されている。また、各検重ユニット11に設けられたロードセル16、17からの出力データが第1、第2の指示計54a、54bに入力され、これらの合計値がこの検重装置10の制御部50に設けられている指示計55に表示される。また、この実施の形態では、一方の検重ユニット11には、被検査台秤5に作用させる微小荷重を発生する微小荷重発生装置60を備えており(なお、この微小荷重発生装置60には、微小荷重を調整する駆動モータや発生させた微小荷重を測定するロードセルも有している)、荷重発生装置としての油圧シリンダ装置13を用いて、検査のための目標荷重に近い荷重を発生させ、この後に、微小荷重発生装置60により微小荷重を発生させることで、目標荷重に厳密に合った荷重を作用させるよう構成している。
ここで、制御部50は、目標値の設定なども行う操作部58の入力値に応じて、各検重ユニット11の荷重合計値と目標値との差に応じた荷重を微小荷重発生装置60から作用させるよう補正演算制御部56により微小荷重発生装置60の駆動モータを制御し、最終荷重値が目標荷重となるように制御する。
また、本発明では特に、被検査台秤5に設けた複数(この実施の形態では4つ)の計量用ロードセル3で支持している位置での、器差検査時における載台4の傾斜角が、複数(この実施の形態では2つ)の油圧シリンダ装置13により負荷を作用させた場合と、分銅を載台4に等分布荷重となる状態で負荷させた場合とで、ほぼ等しくなるような載台4の位置に各組の検重ユニット11を配設している。
つまり、分銅を用いる従来の器差検査では、複数の分銅を載台4の中央から載台4の長手方向両端部側に等分布荷重となるようにそれぞれ継ぎ足すように順次載せてゆき、図14(a)に簡略的に示すように、秤量に達した際には、載台4において分銅が等分布荷重となるように載せられて器差検査が行われる。したがって、本実施の形態では、秤量の荷重が、計量用のロードセル3での支持点R1,R2間の範囲(図14(a)における寸法範囲A)で、等分布荷重であるとみなして、このときの計量用のロードセル3に対する載台4の傾斜角と、本実施の形態に係る検重装置10を用いた際の計量用のロードセル3に対する載台4の傾斜角とが同じになるように各検重ユニット11の配置位置を決定する。これにより、分銅を用いた場合と極めて近い条件で計量用ロードセル3で計量することができ、測定精度が向上し、信頼性が向上する。
ここで、図14(a)、(b)において、Wは荷重、Eはヤング率、Iは中立面の軸に関する断面二次モーメント、R1,R2は計量用のロードセル3を配設している箇所の位置、L1、L2は各検重ユニット11の計量用のロードセル3からの距離(したがって、L1+L2=A)である。
そして、この実施の形態では、検重ユニット11が2つ設けられ、これら2つの検重ユニット11が載置された点に、それぞれ秤量Wの半分の集中荷重P(=W/2)が作用することとなる。したがって、上記のように等分布荷重が作用した場合と、2点に集中荷重が作用した場合との各傾斜角(例えば、点R1での載台4の傾斜角i(R1))が等しいとして計算することで、検重ユニット11の配設すべき位置を決定することができる。すなわち、図14(a)に示す支持点R1,R2での傾斜角と、図14(b)に示す支持点R1,R2での傾斜角とが等しいとして計算すればよい。例えば、計量用のロードセル3間距離Aが9mである場合には、検重ユニット11同士の間の距離Bが約5.2mとなる位置(計量用のロードセル3からそれぞれ1.9m離れた位置。つまり、計量用のロードセル3間距離を4分割した位置よりも各ロードセル3側に寄った位置)となる。
また、制御部50は、小秤量の検査範囲(20t以内)においては、この範囲内で小さい目量で荷重を測定できる小秤量のロードセル17で測定した値を検重装置10の測定値として指示計55に表示する。一方、前記小秤量よりも大きな大秤量の範囲(20tを超える場合)では大きい目量の大秤量ロードセル16で測定した値を検重装置10の測定値として切り換えて入力し、指示計55に表示する。
ここで、各検重ユニット11に設けられたロードセルユニット14の組立て作業は以下のようにして行われる。
まず、ベース20を略水平に載置し、ベース20の支持部20a上に、下ロバーバル機構18を載せてその固定部側をボルト26で連結する。また、下ロバーバル機構18の上に、固定用中間部材27を載せるとともに、この固定用中間部材27を介して、上ロバーバル機構19を載せて、これらをボルト28で連結する。この場合に、各ボルト26、28は、下ロバーバル機構18や上ロバーバル機構19が水平面内で若干移動できるように緩めに連結しておく。
次に、これらのロバーバル機構18、19の可動側延長部18b、19bの両方の貫通孔18c、19cに、上下に直線状に延びる棒状の組立用治具からなるガイド用ロッドを挿通させ、ベース20の取付凹部20b上に立設させる。そして、前記ガイド用ロッド40を平面20cに対して鉛直姿勢となるように立設させる。ここで、平面20cは一平面を構成するよう機械加工されている。これにより、ロバーバル機構18、19が鉛直方向に良好に並んだ適正姿勢となるように調整でき、この状態で、ボルト26、28を締め付けてロバーバル機構18、19の位置を固定する。
この後、ロバーバル機構18、19の貫通孔18c、19cから前記ガイド用ロッド40を上方に抜いて取り出した後、ベース20の取付凹部20bに下部取付体22を組み付け、また下部取付体22上に、大秤量の検重用ロードセル16を載せる。さらに、下ロバーバル機構18の貫通孔18cに中間取付体23を上方から挿入して、検重用ロードセル16の上にセットする。そして、補助取付体29を中間取付体23の周りに嵌めこみ、図示しないボルトにより、補助取付体29を下ロバーバル機構18の可動側延長部18bに固定する。このようにして、まず、下側に配設される大秤量の検重用ロードセル16などをセットする。
次に、中間取付体23の上に、小秤量の検重用ロードセル17を載せ、さらに、上ロバーバル機構19の貫通孔19cに上部取付体24を上方から挿入して、検重用ロードセル17の上に載せる。そして、さらに、補助取付部材30を上部取付体24の上に嵌めこみ、図示しないボルトにより、補助取付部材30を上ロバーバル機構19の可動側延長部19bに固定する。この後、検重ユニット11の長方体外殻部分をなす外枠部21などを取り付ける。
これにより、ベース20上に、ロバーバル機構18、19や検重用ロードセル16、17、各取付体22〜24などを組付けて一体化してなるロードセルユニット14を良好な姿勢に、かつ比較的簡単な作業で能率良く組付けることができる。
上記構成において、検査(器差試験)を行う際には、常設している支持固定枠12のベースフレーム12bに、支柱部12cや上辺フレーム12aを取り付ける。また、検重ユニット11を載台4に載せていない状態で、載台4または荷重受けベース41上に水準器などを載置して、載台4が水平姿勢に維持されていることを確認した後、荷重受けベース41上に、ユニット化されたロードセルユニット14を取り付け、さらに、補助取付部材30の上に油圧シリンダ装置13を配設して固定し、さらに、揺動機構15を配設することで、図1〜図3に示すように、支持固定枠12や検重ユニット11を組付けた状態とする。
そして、この組付状態で、制御部50に設けられた操作部58(図13参照)を操作して電動ポンプ52aを駆動させたり、手動ポンプ52bを用いたりして予め予備負荷を作用させる。この場合に、油圧シリンダ装置13に油圧を負荷すると、これに応じて載台4および支持固定枠12が撓みながら、ロードセルユニット14や載台4に負荷が作用することとなるが、載台4の面積や構造等により載台4や支持固定枠12の撓み量が異なるため、この際の載台4(荷重受けベース41)の撓み量と支持固定枠12の撓み量との和が、油圧シリンダ装置13の出退ロッド13bの突出量であるとみなして計測し、この結果と、検重装置10の荷重測定値や被検査台秤5の計量値との相関関係に基づいて、検重装置10の据付状態の適否を概略的に判定するとともに、これらの構造体のバネ係数に相当する値を求めて、次に正規の器差試験を行う際の、電動ポンプ52aによる油供給量を適切に設定する(手動ポンプの場合には適切な供給量を表示する)。ここで、載台4の撓み量は、例えば、油圧シリンダ装置13の出退ロッド13bに、油圧シリンダ装置13の本体13aから突出する突出量を目測できるように目盛を形成しておき、出退ロッド13bの突出量から推定するとよいが、これに代えて、歪み量を測定するセンサ等を設けて自動的に測定するよう構成してもよい。なお、この時に、検重装置10の荷重測定値と被検査台秤5の計量値とが大きく異なっている場合は、検重装置10または被検査台秤5が異常であると予見することができる。
この後、油圧シリンダ装置13を駆動させることにより、油圧シリンダ装置13に油圧を負荷して、所定の設定目標荷重まで荷重を負荷させる。また、微小荷重発生装置60が設けられている場合には、油圧シリンダ装置13に油圧を負荷して、所定の設定目標荷重近傍まで荷重を負荷させた後、微小荷重発生装置60を動作させて合計値が正確に設定目標荷重となるように荷重を負荷させる。このようにすることで、予備負荷時において、検重装置が正常に稼動しているかどうかを判定(確認)することができ、また、電動ポンプ52aによる油供給量を適切に設定することで、本検査時における油圧を負荷させる際の作業時間を短縮することができて、作業能率を向上させることができる。
そして、所定の目標荷重に厳密に合わせて負荷させた状態で、ロードセルユニット14で測定した計測荷重と、被検査台秤5の計測荷重とを比較することにより、前記所定荷重(例えば15.000t、20.000t等、5.000t間隔で40tまで)での検査を行う。
この場合に、秤量が異なる2つのロードセル16、17を、上下方向に直列に重ねて並べた姿勢で、かつ各荷重点が上下方向に重なる状態で配置したので、小秤量範囲内での測定精度を高めることが可能となり、しかも、大秤量でなおかつ極めて精度の高いロードセルを用いる場合と比較して、ロードセルユニット14を比較的安価に構成できる。つまり、大秤量で目量の小さな極めて精度の高い単体のロードセルを用いる場合には、ロードセルは1つであるものの、高い製作精度が要求されるなどするために極めて高価なものとなったり、技術的に困難であるために実現し難くなったりすることがあるが、本発明のように、秤量が異なる2つのロードセル16、17を、上下方向に直列に重ねて並べ、小秤量範囲内では、目量の小さな小秤量のロードセル17を用いることで、比較的安価なロードセルを用いながら、小秤量範囲内では目量の小さな測定を安定して行うことができ、精度の高い単体のロードセルを用いる場合よりも安価に構成できる。
また、本実施の形態によれば、2つの検重用ロードセル16、17が、それぞれ対応して設けられたロバーバル機構18、19により、その各荷重点が上下方向に重なり、かつ上下方向に直列に重ねて並べられた姿勢で安定して支持されるので、荷重発生装置としての油圧シリンダ装置13で発生した荷重がロードセルユニット14に作用した場合に、横荷重や斜め方向に作用する力による曲げやねじれの影響を最小限に抑えることができて、各検重用ロードセル16、17によって前記荷重が鉛直方向に良好に力を受けられて良好に計量でき、しかも、鉛直方向の力を良好に載台4側に伝達することができ、この結果、高精度の検査を安定して行うことができる。すなわち、ロードセルユニット14に対して負荷が作用した際に、仮にこの負荷に横荷重や曲げや捩れなどの非鉛直荷重が含まれていたとした場合でも、前記非鉛直荷重がロバーバル機構18、19により受けられ、検重用ロードセル16、17には非鉛直荷重が除かれた鉛直荷重だけが良好に作用し、極めて高精度に計量することができる。
さらに、支持固定枠12の当接部12f(図3参照)と油圧シリンダ装置13との間に、複数の球面座33、36、37、39と球体(鋼球)34、38とを有して、支持固定枠12からの反力が真下に作用するように揺動する揺動機構15を配設しているので、支持固定枠12からの反力である荷重を受けた際に、支持固定枠12からの荷重が油圧シリンダ装置13に対して真下に作用するように自動的に調整され、この結果、ロードセルユニット14により一層精度よく計量することができる。
また、被検査台秤5に設けた計量用ロードセル3で支持している位置での、器差検査時における載台4の傾斜角が、荷重発生装置としての油圧シリンダ装置13により負荷を作用させた場合と、分銅を載台4に等分布荷重となる状態で負荷させた場合とで、ほぼ等しくなるような載台4の位置に油圧シリンダ装置13および検重用のロードセルユニット14を配設したので、器差検査時における分銅を用いた場合の載台4の傾斜角がほぼ等しくなり、分銅を用いた場合と極めて同じ条件で計量用ロードセル3で計量することができ、測定精度が向上する。つまり、秤量を負荷させた際は、載台4はこれにより中央が最も下方に円弧状に窪むように変形することとなり、この場合には、載台4の傾斜角に応じて、計量用ロードセル3も鉛直状態から傾斜することとなるため、僅かでは有るものの、測定負荷が小さくなる傾向があるが、上記のような構成とすることで、分銅を用いた場合と同様の状況を実現できて、より検査状況が同じで精度の高い測定を行うことができて、これにより、さらに検査精度が向上する。
なお、被検査台秤5の検査としては、二隅検査があり、この場合には、秤量の1/2の質量の分銅を、載台4の長手方向の中央位置と一方側の計量用ロードセル3の支持点との間の中間位置、またはその反対側を中心として載置する(例えば、前記載台4の長手方向の中央位置と一方側の計量用ロードセル3支持点との間に等分布で秤量の1/2の質量の分銅を載置する)ので、この場合の分布荷重の状態と検重装置により集中荷重を負荷させた場合の載台4の傾斜角度は若干異なってしまう。しかしながら、この場合は、荷重が秤量の1/2であることから、その計量用ロードセル3の支持点での載台4の傾斜角は、秤量を負荷させる前記器差検査時よりも小さいので、器差検査時よりも検査精度の影響は少ない。
また、上記構成では、地面に設けた基礎1における計量用のロードセル3を配設する箇所を、秤量に対応する計量用ロードセル3に作用する力よりも大きくて十分な地耐力を有する基礎ブロック部1aで構成し、この基礎ブロック部1aに支持固定枠12の設置ブロック部12dを固定したことにより、計量用ロードセル3に作用する力に十分耐え得る地耐力をする基礎ブロック部1aを、支持固定枠12の固定部としても兼用することができて、それぞれ別個に大きな地耐力を有する基礎ブロック部を設けた場合と比較して安価に済ますことができながら、良好な信頼性を得ることができる。しかも、この基礎ブロック部1aにおいて、支持固定枠12を、基礎ブロック部1aの上であって、さらに計量用ロードセル3の配設箇所と近接して配置したため、これらの箇所に働くモーメントが小さく抑えられ、これらの間の基礎1の部分が変形したり傾斜したりして検査精度が低下することを少なめに抑えることができる。
また、上記実施の形態では、基礎1の表面には検査中に基礎1の表面が変形して傾斜することを監視するための基礎傾斜センサ45が設けられているので、万一、基礎1の表面が変形して傾斜し始めている場合でも、この状況が基礎傾斜センサ45により検知され、検査装置に設けられた制御部50の警報装置51において、警報音が発せられたり、警報表示が行われたりして、安全性が確保される。
また、油圧シリンダ装置13からの力が揺動機構15を介して伝達される支持固定枠12の上辺フレーム12aの当接部12f近傍箇所にも、検査中に支持固定枠12が変形して傾斜することを監視するための支持固定枠傾斜センサ46が設けられているので、呼び負荷時や検査中においても、支持固定枠傾斜センサ46により、支持固定枠12の変形(傾斜)量を監視しながら良好かつ安全に検査を行うことができる。
しかしながら、上記構成では、基礎1に対して荷重が下方に作用する計量用ロードセル3の配設箇所と、基礎1に対して上向きの力が作用する支持固定枠12の固定箇所(設置ブロック部12dの箇所)とが近接して配置されているものの、これらの箇所では、反対方向に力か作用するため、これらの間にモーメントが作用して、基礎1の部分が変形したり傾斜したりするおそれがある。
また、上記構成では、支持固定枠12を固定するための設置ブロック部12dやベースフレーム12bが、計量用ロードセル3や、基礎1(基礎ブロック部1aや基礎平面状部1bの両側部)、載台4の両側部に近接して常設されているため、これらの部材により、計量用ロードセル3の箇所が見え難くなって、計量用ロードセル3の管理を行い難くなったり、基礎ブロック部1aや基礎平面状部1bの両側部にごみが溜まった場合でも掃除を行い難かったりすることがある。
これに対処する本発明の他の実施の形態として、図15(a)、(b)に示すように、基礎1への支持固定枠12の支持脚12gの部分を、被検査台秤5に設けた計量用ロードセル3の基礎1への配設点を中心として、両横となるように二又状に構成している。なお、図15(b)における12hは、二又状の支持脚12gの上端部同士を連結する脚連結部、12iは長手方向に延びて脚連結部12h同士を連結する連結枠である。
この構成によれば、支持固定枠12の支持脚12gが、計量用ロードセル3の基礎1への配設点を中心として、長手方向に両横となるように二又状に配設されているので、図15(b)に簡略的に矢印で示すように、基礎1における計量用ロードセル3の配設箇所には下方へ押圧する荷重F1が作用し、この荷重F1が作用する点を中心として両側に、荷重F1の約半分の大きさの力F2、F3が上向きの力が基礎1に対して作用することとなる。この結果、基礎1に作用するモーメントが打ち消し合い、これにより、基礎1の部分が変形したり傾斜したりすることを最小限に抑えることができる。
また、支持脚12gを二又状にすることを利用して、連結枠12iを基礎1から離れた高い位置に配設することにより、計量用ロードセル3の箇所が見え難くなることを防止できて、計量用ロードセル3の管理を行い易くなるとともに、基礎ブロック部1aや基礎平面状部1bの両側部にごみが溜まった場合でも掃除を容易に行うことができる。
なお、上記実施の形態では何れも、被検査台秤5としてのトラックスケールが、いわゆる地上設置型(地下に深いピットを設ける必要のないピットレスタイプ)である場合を述べたが、これに限るものではなく、図16、図17に示すように、基礎1として地下に深いピット1fを底面壁1hおよび側壁1g部分により形成したものに対しても適用できることはもちろんである。なお、図17における42は、載台4を支持する載台支持枠である。
また、上記の実施の形態では、ロードセルユニット14において、秤量が互いに異なる大秤量の計量用ロードセル16と小秤量の計量用ロードセル17と、これらを支持する2つのロバーバル機構18、19とを設けた場合を述べたが、これに限るものではなく、ロードセルを3つ以上、例えば、大秤量の計量用ロードセルと中秤量の計量用ロードセルと小秤量の計量用ロードセルとをそれぞれロバーバル機構で個別に支持し、小秤量の測定範囲内においては、小さい目量で荷重を測定できる小秤量のロードセルで測定した値を計量装置の測定値として指示計に表示し、測定値が小秤量を越えて中秤量の範囲内においては、中間の目量で荷重を測定できる中秤量のロードセルで測定した値を計量装置の測定値として指示計に表示し、前記中秤量よりも大きな大秤量の範囲では大きい目量の大秤量ロードセルで測定した値を計量装置の測定値として切り換えて指示計に表示するよう構成してもよい。