JP2008178363A - レプチンシグナル伝達障害モデル動物 - Google Patents

レプチンシグナル伝達障害モデル動物 Download PDF

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Abstract

【課題】多くの薬剤の摂食抑制作用の中心的役割をもつ神経ペプチドと認識されているPOMCとCARTの2つのシグナル伝達を同時ブロックしたモデルマウス等の、食欲系やストレスに作用する薬物の創薬過程で簡便で低価格で使用可能な、レプチン及びセロトニンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こしたモデル動物を提供すること。
【解決手段】KKマウスに自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることにより、視床下部のPOMCとCARTとCRHとNPYとの発現が、自由摂食KKマウスに比べて低下しているレプチンシグナル伝達障害を後天的に引き起こしたモデル動物を作製する。また、KKマウスを3週間個別飼育によって得られる、3週間グループ飼育によるKKマウスに比べて、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下したレプチンシグナル伝達障害を後天的に引き起こしたモデル動物を作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、レプチンシグナル伝達障害モデル動物及びその作製法やその利用、より詳しくは、視床下部のPOMCとCARTとCRHとNPYとの発現が低下しているレプチンやセロトニンのシグナル伝達障害モデル動物や、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下しているレプチンやセロトニンのシグナル伝達障害モデル動物及びその作製法やその利用に関する。
近年、我が国においても、欧米型の食事形態や過食による摂取エネルギーの増加と運動不足による消費エネルギーの減少との格差が増大し、肥満体形が増えており、肥満は生活習慣病の発症要因として注目されている。肥満状態が慢性化すると糖尿病、動脈硬化症、高血圧症、脂肪肝、胆石症、腎臓障害等の疾患を合併症として起こしやすくなるといわれている。
他方、近年の分子遺伝学の進歩により、肥満等の体重調節に関連する重要な分子として、レプチン(例えば、非特許文献1参照)、レプチンレセプター(タータグリア(例えば、非特許文献2参照)、プロオピオメラノコルチコトロピン(POMC)(例えば、特許文献1参照)、コカイン−アンフェタミン調節転写産物(CART)(例えば、特許文献2参照)、ニューロペプチドY(NPY)、コルチコトロピン放出因子(CRF)とも呼ばれるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)(例えば、特許文献3参照)、NEFA/nucleobindin2 (NUCB2)、メラノコルチン−4レセプター(MC4R)、セロトニン5−HT2Cレセプター(5−HT2CR)、メラニン凝集ホルモン(MCH)、サイトカインシグナル伝達抑制因子−3(SOCS−3)(例えば、非特許文献3参照)を含むシグナル伝達のサイトカイン誘導性阻害因子の新しいファミリーが同定されている。
上記レプチンは、遺伝性の肥満マウス(ob/obマウス)が欠失している遺伝子としてポジショナルクローニングされた肥満遺伝子(ob遺伝子)の産物としてJ.F.Friedmanらにより発見され、マウスob遺伝子を用いてヒト組織細胞由来のcDNAライブラリーからヒトob遺伝子のcDNAがクローン化されている(例えば、非特許文献1参照)。レプチンは脂肪組織で発現していることが知られており、細胞外に分泌シグナルを持ち、血流中に分泌されるホルモンである。分泌されたレプチンのシグナルは、レプチン受容体を介して血液脳関門から脳の視床下部に作用し、交感神経系の脂肪細胞へのシグナル伝達系を活性化して脂肪分解を促進したり、摂食抑制を来たす。従って、レプチンのシグナル伝達障害は肥満の病態の主因と考えられている。
また、現在までに知られている食欲抑制効果を来たす薬剤やレプチン等のタンパク質は、すべて上記POMC/CARTニューロンを刺激して食欲抑制効果を奏するといわれており、最もよく知られている食欲抑制経路は、POMC−MC4Rの経路であるとされている。POMCとCARTは視床下部弓状核に存在し、共同的にニューロンが活性化する。CRHニューロンはMC4Rと同様に視床下部室傍核に存在する。
特表2003−520015号公報 特表2002−541842号公報 特開2001−348400号公報 Nature, 372, 425-432 (1994) Cell,83,1263-1271(1995) Nature,387,917〜921(1997)
従来の技術では、標的遺伝子ノックアウトマウスのように、標的とする1つの遺伝子をノックアウトすることでその遺伝子発現を抑制し、タンパク質の欠損を生じさせるモデルマウスが動物実験で生産されているが、1つの標的に関係する2〜3種の複数遺伝子を同時にノックアウトする技術はなく、1つの標的遺伝子をノックアウトすると、それに関連する他の遺伝子発現が代償的に増加してホメオスターシスを保とうとするため、生理学的な反応では考えられない薬物反応が生じる場合がある。本発明の課題は、多くの薬剤の摂食抑制作用の中心的役割をもつ神経ペプチドと認識されているPOMCとCARTの2つのシグナル伝達を同時ブロックしたモデルマウス等の、食欲系やストレスに作用する薬物の創薬過程で簡便で低価格で使用可能な、レプチン及びセロトニンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こしたモデル動物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、KKマウスに自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることにより、視床下部のPOMCとCARTとCRHとNPYとの発現が、自由摂食KKマウスに比べて低下していることを見い出し、また、KKマウスを3週間個別飼育すると、脂肪細胞のNOR−1の発現が、集団飼育KKマウスに比べて低下していることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(2)レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCとCARTとの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(3)レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCとCARTとCRHとの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(4)レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCとCARTとCRHとNPYとの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(5)レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育による非ヒト哺乳動物に比べて、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(6)レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育による非ヒト哺乳動物に比べて、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下し、かつNur77の発現は低下していないことを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(7)さらに、セロトニンシグナル伝達障害を有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(8)非ヒト哺乳動物がマウスであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物や、(9)マウスの系統がKKであることを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物に関する。
また本発明は、(10)非ヒト哺乳動物に自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることを特徴とする前記(1)〜(4)及び(7)〜(9)のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物の作製方法や、(11)非ヒト哺乳動物を3週間個別飼育することを特徴とする前記(5)〜(9)のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物の作製方法に関する。
さらに本発明は、(12)自由摂取量の90%以下の量を3〜7日間摂取させた前記(1)〜(4)及び(7)〜(9)のいずれか記載の制限食投与非ヒト哺乳動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する方法や、(13)3週間個別飼育した前記(5)〜(9)のいずれか記載の非ヒト哺乳動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する方法や、(14)3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育に比べて肝Nurr1の発現が増加しているKKAyマウスをインスリン非依存性糖尿病モデル動物として使用する方法に関する。
本発明によると、先天的に遺伝子変異を作製する従来のノックアウトマウスではなく、後天的に、よりヒトの生活状況の中で生じやすい遺伝子発現の低下を起こすモデル動物を提供することができ、1つの標的だけではなく、その関連ネットワーク物質の脳内遺伝子を摂食状況や飼育環境を変えることで変化させることができ、食欲系やストレスに作用する薬物の創薬過程で簡便で低価格で使用可能なモデル動物を提供することができる。
本発明のレプチンシグナル伝達障害モデル動物としては、レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、1)自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCの発現が低下している、好ましくは、視床下部のPOMCとCARTとの発現が低下している、より好ましくは、視床下部のPOMCとCARTとCRHとの発現が低下している、特に好ましくは、視床下部のPOMCとCARTとCRHとNPYとの発現が低下しているモデル動物[タイプ1モデル動物]や、2)3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育による非ヒト哺乳動物に比べて、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下している、好ましくは、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下し、かつNur77の発現は低下していないモデル動物[タイプ2モデル動物]を挙げることができ、これらの中でも、さらに、セロトニンシグナル伝達障害を有するモデル動物を好適に例示することができる。
上記タイプ1モデル動物は、非ヒト哺乳動物に自由摂食量の90%以下、例えば、1〜90%、10〜90%、30〜90%、50〜90%、70〜90%の量を3〜7日間摂食させることにより作製することができ、ここで、自由摂食量とは、各非ヒト哺乳動物における標準的な飼料(餌料)を自由(無制限)に摂取させたときの平均的な摂取量を意味する。また、上記タイプ2モデル動物は、非ヒト哺乳動物を3週間個別飼育することにより作製することができる。なお、個別(単独)飼育に対する集団(グループ)とは、少なくとも3匹〜4匹を同じケージ等で集団飼育することを意味する。
セロトニンもレプチンもポストレセプターレベルでは、同じように、視床下部POMC,CART,CRHにシグナル伝達され、摂食抑制効果を生じることが知られており、タイプ1モデル動物では、レプチンのシグナル伝達は視床下部でも脂肪細胞(交感神経系を介したシグナル)でも障害されているが、タイプ2モデル動物では、脂肪細胞でセロトニン5−HT2C受容体の発現が低下することでセロトニンの脂肪分解シグナル伝達が障害されているが、視床下部ではセロトニンのシグナル伝達は障害されていない。タイプ2モデル動物、特に3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育に比べて肝Nurr1の発現が増加しているKKAyマウスは、インスリン非依存性糖尿病モデル動物として好適に使用することができる。
上記非ヒト哺乳動物としてはマウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ウサギ等特に制限されないが、飼育や実験の簡便さから特にマウスが好ましく、中でも、KK系統のマウスが好ましい。特に、タイプ2モデル動物としては、肥満やインスリン非依存性糖尿病を起こすモデルマウスが好ましい。
本発明のタイプ1モデル動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する方法としては、タイプ1モデル動物に被検物資を投与(経口、腹腔内、筋注、静注)し、POMC遺伝子、CART遺伝子、CRH遺伝子、NPY遺伝子から選ばれる少なくとも1つの遺伝子の発現量を測定し、被検物資を投与していない対照における場合と比較・評価して、対照に比べてPOMC遺伝子、CART遺伝子、CRH遺伝子、NPY遺伝子の発現の程度が上昇したとき、前記被検物資を抗肥満剤と判定する抗肥満剤のスクリーニングに使用する方法を例示することができる。上記の遺伝子の発現量を測定する方法としては、POMC、CART、CRH、NPYの各mRNAの発現量をRT−PCRにより測定する方法や、POMC、CART、CRH、NPYの各タンパク質の発現量をWestern blot ImmunohistochemistyやELISAにより測定する方法を挙げることができる。
本発明のタイプ1モデル動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する他の方法としては、タイプ1モデル動物に被検物資を投与した後に、前記モデル動物の摂食量を測定し、3〜7日間自由摂取させた同種の対照非ヒト哺乳動物における場合と比較・評価して、対照非ヒト哺乳動物における摂取の程度が減少しているとき、前記被検物資を抗肥満剤と判定する抗肥満剤のスクリーニングに使用する方法を例示することができる。上記摂食量の測定方法として具体的には、23時間絶食させてから被検物資を腹腔内投与して30分後に餌を与え、1時間の摂食量を測定する方法を挙げることができる。
本発明のタイプ2モデル動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する方法としては、タイプ2モデル動物(例えば、肥満型インスリン非依存性糖尿病の疾患モデルマウス)に被検物資を投与し、被検物資を投与した前記モデル動物の脂肪細胞におけるNOR−1遺伝子の発現量を測定し、被検物資を投与していない対照における場合と比較・評価して、対照に比べてNOR−1遺伝子の発現の程度が上昇したとき、前記被検物資を抗肥満剤と判定する抗肥満剤のスクリーニングに使用する方法を例示することができる。上記のNOR−1遺伝子の発現量を測定する方法としては、NOR−1のmRNAの発現量をRT−PCRにより測定する方法や、NOR−1タンパク質の発現量をELISAにより測定する方法を挙げることができる。
本発明のタイプ2モデル動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する他の方法としては、タイプ2モデル動物(例えば、肥満型インスリン非依存性糖尿病の疾患モデルマウス)の脂肪細胞に被検物資を接触させ、被検物資を接触させた脂肪細胞におけるNOR−1遺伝子の発現量を測定し、被検物資を接触させていない対照における場合と比較・評価して、対照に比べてNOR−1遺伝子の発現の程度が上昇したとき、前記被検物資を抗肥満剤と判定する抗肥満剤のスクリーニングに使用する方法を例示することができる。上記の脂肪細胞としては、精巣上体白色組織又は褐色脂肪組織由来の脂肪細胞を挙げることができ、また、NOR−1遺伝子の発現量を測定する方法としては、NOR−1のmRNAの発現量をRT−PCRにより測定する方法や、NOR−1タンパク質の発現量をELISAにより測定する方法を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、供試マウスは、動物実験のための制度上のガイドラインに従ったプロトコールのもとで東北大学医学研究科にて実験に用いられた。また、データを、平均値±SEM(n=5〜8)として表示し、Two-tailed unpaired Student's t検定を用いて、2群間の比較を行った。2群以上の群間の比較は、Bonferroni検定を用いた偏差の分析により行った。0.05未満のP値を統計的に有為であるとみなした。
[社会的隔離はマウスにおいて肥満及び2型糖尿病の発達に影響する]
A.材料と方法
(全体的な手順)
C57BL6Jマウス、KKマウス、及びKKAyマウスのオスを、Japan CLEA(東京)より購入した。動物が配送された後、全てのマウスを集団で飼育し、そしてコロニーに1週間順応させ、その後実験を行った。本実験の前に、これらを全て飼育し(1ケージあたり3匹〜4匹のマウス)、光制御(12時間オン/12時間オフ;2000時間光オフ)かつ温度制御(20℃〜22℃)の環境の下で、水及び食物のペレットに自由に接近可能にした。1週間後、1匹ずつ個別ケージで飼育(個別飼育)する条件に動物をランダムに移した。マウスを、1ケージ(21.5x32x14cm)あたり3匹〜4匹の集団で飼育(集団飼育)するか、又は個別に3週間飼育し、その後、屠殺した。3週間にわたって7日ごとに、午前中にこれらの体重を測定した。
(血液化学)
血漿グレリン及びアディポネクチンのレベルを、酵素免疫抗体法((ELISA);活性グレリンELISAキット及びデスアシルグレリンELISAキット、Mitsubishi Kagaku Iatron Inc., Tokyo,Japan及びmouse adiponectin ELISAキット、Ootsuka Inc.,Tokyo,Japan)により測定した。活性グレリンのELISAについて、塩酸(1N)を最終濃度が0.1Nになるように、血漿の分離の直後に添加した。血漿レプチン、インスリン及びコルチコステロンのレベルを、それぞれマウスのレプチン(Linco,St.Louis,Missouri)、ラットのインスリン(Linco,St.Louis,Missuouri)及びラットのコルチコステロン(ICN Biomedicals,Costa Mesa,California)のラジオイムノアッセイのキットを用いて測定した。血中グルコースレベルを、グルコースのstrips(Blood glucose monitoring system;FreeStyle,KISSEI,Tokyo,Japan)を用いて測定した。
(リアルタイムでの定量的な逆転写連鎖反応)
全RNAを、酸単離−グアニジウム・チオシアネート−フェノール−クロロホルム法により、精巣上体白色組織、BAT、ヒラメ骨格筋(soleus skeletal muscle)より抽出し、そしてマウスの肝組織及び視床下部組織より、RNeasy Midiキット(Qiagen,Hilden,Germany)を用いて、製造業者の指示に従って、全RNAを単離した。cDNAの合成を、全RNA1μgを用いて、Super Script III First-Strand Synthesis System for RT-PCR Kit(Invitgrogen,Rockville,MD)を用いて行った。全RNAより合成したcDNAを、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)定量システム(Light Cycler Quick System 350S;Roche Diagnostics,Mannheim,Germany)で評価した。使用したプライマーを表1(配列番号1〜46)に列挙した。また、β―アクチンのmRNAをインバリアントなコントロールとして使用し、mRNAの相対的な量を算出した。このデータを、コントロール群の平均値の倍数変化として示す。上記コントロール群には、生理食塩水を投与した。
Figure 2008178363
B.結果
(社会的隔離により誘導される肥満)
1匹ずつ個別ケージで3週間飼育された生後6週間〜8週間のC57BL6Jマウス(個別飼育マウス)と、集団で3週間飼育された生後6週間〜8週間のC57BL6Jマウス(集団飼育マウス)との間では、体重の変化に有為差はなかった(図1A)が、その一方でKKマウスにおける体重の増加は、1匹ずつ個別ケージで飼育された生後6週間のマウスが、集団で飼育された生後6週間のものよりも有為に大きかった(図1B)。生後8週間の個別に飼育されたKKマウスの精巣上体白色組織(epididymal white adipose tissue)及び褐色脂肪組織(brown adipose tissue;BAT)の重量は、集団で飼育されたものと比較して有為に増加したが、個別に飼育されたC57BL6Jマウスと集団で飼育されたC57BL6Jマウスとの間には、これらの有為差はなかった(図1C及び図1D)。これらの知見は、慢性的な隔離はKKマウスにおいて体重の増加及び肥満症に拍車をかけるが、C57BL6Jマウスにおいてはそうではないことを示唆している。
(社会的隔離により誘導された血液化学変化)
個別に飼育された生後8週間のKKマウスの血漿レプチンのレベルは、集団で飼育されたものと比較して、有為に増加した(図2A)。個別に飼育された生後8週間のKKマウスと、集団で飼育された生後8週間のKKマウスとの間では、血漿インスリンレベルに有為差がなかったが、生後8週間のKKマウスの血漿インスリンレベルは、生後8週間のC57BL6Jマウスのそれよりも有為に高かった(図2B)。個別に飼育された生後8週間のKKマウスの血漿コルチコステロン及び活性型グレリンのレベルは、集団で飼育された生後8週間のKKマウスと比較して有為に減少した(図2E及び図2C)が、デスアシルグレリンは減少しなかった(図2D)。しかし、生後8週間のKKマウスの血漿デスアシルグレリンのレベルは、C57BL6Jマウスのそれよりも有為に低かった(図2D)。血漿アディポネクチンレベルと血中グルコースレベルに関しては、個別に飼育された生後8週間のKKマウスと集団で飼育された生後8週間のKKマウスとの間には有為差はなかったが、生後8週間のKKマウスの血漿アディポネクチンレベルは、生後8週間のC57BL6Jマウスよりも有為に低かった(図2F及び図2G)。KKマウスにおいて社会的隔離により誘導されるこれらのホルモン上の変化及び代謝上の変化は、C57BL6Jマウスにおいては見出されなかった。これらの知見は、慢性的な社会的隔離が誘導する肥満は、高インスリン血症(hyperinsulinemia)及び高コルチステロン血症(hypercorticosteronemia)によるものではなく、血漿アディポネクチンレベル及びデスアシルグレリンレベルの低下を伴っていないことを示す。
(社会的隔離により誘導される遺伝子発現の変化)
精巣上体白色組織におけるセロトニン5−HT2Cレセプター、β3−アドレナリンレセプター、非共役型タンパク質(UCP)−2、及びNR4Aオーファン核内レセプターファミリーであるNOR−1のmRNAレベルもまた、集団飼育された生後8週間のKKマウスと比較して、生後8週間の個別飼育されたKKマウスにおいて有為に減少したが、その一方で、精巣上体白色組織におけるNurr1及びNur77のmRNAに関しては有為差がなかった(図3A、図3B、図3C及び図3D)。
BATにおける5−HT2Cレセプター、β3−アドレナリンレセプター、及びNOR−1のmRNAレベルもまた、集団で飼育された生後8週間のKKマウスと比較して、生後8週間の個別に飼育されたKKマウスにおいて有為に減少した(図3F、図3G及び図3H)が、BATにおけるUCP−1のmRNAレベルに関しては、生後8週間の個別に飼育されたKKマウスと集団で飼育されたものとの間に有為差はなかった(図3E)。ヒラメ筋におけるPPARδ、UCP−2及びUCP−3のmRNAのレベルに関しては、生後8週間の個別に飼育されたKKマウスと集団で飼育されたものとの間に有為差はなかった(図4A、図4B及び図4C)が、NR4Aオーファン核内レセプターファミリーであるNOR−1やNur77のmRNAレベルは、生後8週間の個別に飼育されたKKマウスにおいて有意に上昇していた(図4D)。
肝臓におけるPPARγのmRNAレベルは、集団で飼育された生後8週間のKKマウスと比較して、個別に飼育されたKKマウスにおいて有為に増加した(図5A)が、肝臓におけるUCP−2のmRNAのレベルは、個別に飼育されたKKマウスと集団で飼育されたKKマウスとの間で有意差がなかった(図5B)。NA4Rオーファン核内レセプター(例えば、Nurr1、Nur77及びNOR−1)、並びに糖新生遺伝子(例えば、G6Pase、Fbp1及びFbp2)の肝臓における発現には、個別に飼育されたKKマウスと集団で飼育されたKKマウスとの間に有意差がなかった(図5C及び図5D)。これらの遺伝子発現の変化は、個別に飼育されたC57BL6Jマウスと集団で飼育されたC57BL6Jマウスとの間においても見出されなかった(データは示さず)。
視床下部副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、オレキシン及びレプチン受容体(LepR)のmRNAレベルは、集団で飼育された生後8週間のKKマウスと比較して、個別に飼育された生後8週間のKKマウスにおいて有為に減少したが、視床下部ニューロペプチドY(NPY)、プロオピオメラノコルチン(POMC)、コカイン−アンフェタミン調節転写産物(CART)、サイトカインシグナル伝達のサプレッサー(SOCS)−3、メラノコルチン(MC)−4レセプター、5−HT2Cレセプター、並びに血清及びグルココルチコイド誘導可能キナーゼ(SGK−1)のmRNAのレベルは、個別に飼育された生後8週間のマウスと集団で飼育された生後8週間のマウスとの間で有為差はなかった(表2)。このことから、個別飼育したKKマウスでは、レプチン受容体レベルでのシグナル伝達障害を伴う肥満を呈することが判明した。表2は、個別及び集団で飼育された生後8週間のKKマウスの、食物の取り込みの調節及びエネルギーのホメオスタシスに関与する視床下部の遺伝子の発現の結果を示している。データを、平均値±SEM(n=5−6)として算出した。また、表2中、I:生後8週間の個別に飼育されたKKマウス、G:生後8週間の集団で飼育されたKKマウスを示し、POMC;プロオピオメラノコルチン、CART;コカイン及びアンフェタミン制御転写産物、NPY;ニューロペプチドY、SOCS3;サイトカインシグナル伝達のサプレッサー3、CRH;副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、SGK−1;血清及びグルココルチコイド誘導可能キナーゼ−1、5−HT2CR;セロトニン5−HT2Cレセプター、MC4R;メラノコルチンレセプター4、LepR;レプチン受容体を示す。*P<0.05
Figure 2008178363
(社会的隔離により誘導されるインスリン非依存性糖尿病)
個別に飼育された生後8週間のKKAyマウスは、集団で飼育されたKKAyマウスと比較して、体重の増加及び精巣上体の脂肪の増加に関連して高血糖を、並びに血漿レプチンの増加を示したが(図6A、図6B、図6C、図6D、図6E)、その一方で、血漿インスリンレベル及びアディポネクチンレベルに関しては、個別に飼育されたKKAyマウスと集団で飼育されたKKAyマウスとの間で有為差はなかった(図6F及び図6I)。血漿活性グレリンレベルは顕著に減少し(図6G)、そしてデスアシルグレリンレベルは、個別に飼育されたKKAyマウスの方が集団で飼育されたKKAyマウスと比較して僅かに減少した(図6H)。
NR4Aオーファン核内レセプターは、肝糖新生のcAMP依存性レギュレーターの新規なブランチである。個別に飼育された生後8週間のKKAyマウスでは、肝Nurr1のmRNAレベルが増加したが、肝Nur77及びNOR1のmRNAレベルに対しては有意な効果はなかった(図6J)。さらに、個別に飼育した生後8週間のKKAyマウスは、糖新生に関与する肝グルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)、フルクトースビスホスフェート1(Fbp1)及びFbp2遺伝子の発現が有意に増加したが、その一方で、これは肝ピルピン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)のmRNAレベルに有意な効果を有していなかった(図6K)。上記のように、このKKAyマウスの個別飼育によって生じる高血糖は、インスリン非依存性に肝臓での糖新生の増加による高血糖であり、肝臓でのNurr1遺伝子発現の増加が関与していることを示している。この原因は過食による高血糖であることから、Nurr1遺伝子の発現を抑制することは過食によって誘発される高血糖の治療になりうる。
C.考察
5−HT2Cレセプターは、中枢神経系において発現され、そして5−HT2Cレセプター欠損マウスは、代謝における変化よりもむしろ、過食や身体活動の増加といった行動の変化を引き起こす。慢性的な過食は、部分的なレプチン抵抗性及び白色脂肪組織におけるβ3アドレナリン受容体遺伝子の発現の低下を伴う中年期肥満を発症させる。身体活動量が多いにもかかわらず、活動時のエネルギー消費の低下がこの肥満の機序に関与している。しかし、上記実施例では、5−HT2Cレセプターが中枢神経系のみならず、脂肪組織においても発現していることを示し、脂肪組織において5−HT2C受容体のシグナル伝達の低下が、内臓脂肪蓄積に寄与することを示唆している。セロトニン5−HT2C受容体の刺激薬であるmCPP(5mg/kg)を腹腔内投与すると1時間後から急速な脂肪分解を生じる。その際に白色脂肪細胞ではNur77の遺伝子発現が低下しているが、NOR−1とNurr1の遺伝子発現は変化が認められなかった。5週齢のC57BL6Jマウスにレプチン(5mg/kg)投与後1時間で5−HT2C受容体発現の低下を起こすことより、この個別飼育によって生じる肥満に伴う白色脂肪細胞の5−HT2C受容体遺伝子発現の低下は、血中に増加したレプチンの作用によるものである。つまり、レプチンはセロトニン5−HT2C受容体による脂肪分解作用を抑制することが示唆される。
社会的隔離が誘導する肥満症は、エネルギー取り込みが増加したためというよりもむしろ、エネルギー消費が減少したためである可能性がある。第一の理由は、より活性の低いグレリンにもかかわらず、血漿デスアシルグレリンレベルに関しては、個別に飼育されたKKマウスと集団で飼育されたKKマウスとの間に差はなかったという結果に基づく。本発明者は、以前に、マウスにおいて、摂食亢進が血漿デスアシルグレリンレベルを減少させるが、活性なグレリンレベルを減少させるわけではないことを報告している。第二の理由は、肥満にもかかわらず、視床下部SGK−1のmRNAが個別に飼育されたKKマウスにおいて増加しなかったという結果に基づく。摂食亢進マウス及び肥満のマウスにおいて、視床下部SGK−1遺伝子の発現が増加し、そして血漿デスアシルグレリンレベルと相関しているからである。第三の理由は、肝UCP−2遺伝子の発現が、個別に飼育されたKKマウスにおいて増加しなかったという結果に基づく。肝臓におけるUCP−2遺伝子の発現は、摂食亢進5−HT2Cレセプターの変異体マウスにおいて増加する。第四の理由は、視床下部SOCS−3遺伝子の発現の結果に基づく。視床下部SOCS−3が、規定食の誘導する肥満において抑制的な役割を果たすからである。従って、社会的隔離が誘導する肥満は、規定食の誘導する肥満とは異なる特徴を有する。
リガンド非依存性オーファン核内レセプター、Nur77、Nurr1及びNOR−1のNR4Aファミリーのメンバーは、転写因子である。Nur77及びNOR−1は、報告通り、骨格筋におけるβアドレナリンレセプターシグナル伝達の標的である。従って、Nur77及びNOR−1の骨格筋における発現の増加は、骨格筋におけるβアドレナリン刺激の増強を反映し得る(これは、活動亢進を示唆している)。我々の以前の結果及び今回の結果により、KKマウスでは、骨格筋においてβアドレナリン刺激が増強されたにも関わらず、慢性的に社会的に隔離することによりβ3−アドレナリンのシグナル伝達が、肥満症と関係した脂肪組織において低減したことが示唆された。脂肪組織におけるNOR−1は、従って、エネルギー消費の調節に関与し得る。肝の糖新生は、2型糖尿病の高血糖に寄与し得る。肝Nur77、Nurr1及びNOR1の発現は全て、STZ誘導糖尿病マウス及びdb/dbマウスにおいて増加する。Nurr1によるアデノウイルスにより、G6Pアーゼ、Fbp1、及びFbp2遺伝子(これらは、糖新生に関与している)が誘導され、そして血中グルコースレベルを上昇させるグルコースの産生を刺激する。しかし、上記結果を考慮すると、Nurr1は、KKAyマウスにおいて、社会的隔離の誘導する肝糖新生及び高血糖に具体的に関連している。
要するに、これらの結果により、KKマウスにおいて、社会的な隔離が肥満症(これは、恐らくは、エネルギー消費が低減したためと考えられる)を促進し、そしてKKAyマウスにおいて、肝糖新生遺伝子の発現の増加と関連するインスリン非依存性の糖尿病を発症させることが示唆される。脂肪組織及び肝臓における特異的なNR4Aレセプターは、インスリン非依存性の肥満症及び糖尿病の発症に寄与し得る。従って、社会的隔離は、肥満及び2型糖尿病を発症させる環境因子として特徴付けられ得る。
[制限食投与マウスはPOMC遺伝子及びCART遺伝子の発現が低下する]
5週齢雄性KKマウスを1日3.5gの制限食を5日間与えた場合と、同日間を自由に餌を食べさせた場合(1日4.0〜4.5g位食べる)の視床下部を摘出し、視床下部で摂食抑制系ペプチドであるPOMC、CART、CRH等の各遺伝子発現の差を、実施例1と同様にRT−PCRで測定した。結果を図7に示す。
図7からもわかるように、制限食を与えたKKマウスでは、視床下部で摂食抑制系ペプチドであるPOMCとCARTのmRNAの発現量が自由に餌を食べさせた対照に比べて顕著に低下した(それぞれ、17.5%と22%まで低下)。このようにPOMCとCARTのmRNAの発現量が20%程度まで低下したということは、機能的には遮断と同じである。また、CRHやNPYの遺伝子発現が、それぞれ対照の67.8%と76.4%まで低下した。しかし、これらシグナルの下流にあるMC4RのmRNAの発現量は減弱しなかった。
[制限食投与マウスはミルナシプランによる摂食抑制効果を消失する]
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の1種ミルナシプランを、23時間絶食後の5週齢雄性KKマウスの腹腔内に種々の濃度で投与し、その30分後に餌を与え、1時間の摂餌量を測定した。結果を図8に示す。その結果、ミルナシプランは用量依存的に摂食抑制効果を示した。次に、ミルナシプラン(30mg/kg)を腹腔内投与して1時間後の視床下部の遺伝子発現の変化を、実施例1と同様にRT−PCRにより定量した。結果を図9に示す。その結果、ミルナシプランの投与により、POMCとCARTの遺伝子発現の増加を認めた。
1日3.5gの制限食を5日間与えた4週齢雄性KKマウスと、同日間を自由摂取(1日4.0〜4.5g位食べる)させた4週齢雄性KKマウスに、23時間絶食させてから生理食塩水とミルナシプラン(30mg/kg)を腹腔内投与して30分後に餌を与え、1時間の摂食量を測定した。結果を図10Aに示す。その結果、ミルナシプラン投与KKマウスでは、無制限食では摂食抑制効果を呈したが、制限食後ではその摂食抑制効果が消失した。次に、4週齢雄性KKマウスに1日3.5gの制限食を5日間与えた後に自由摂取させ、1週間後と2週間後に、それぞれ23時間絶食させてから生理食塩水とミルナシプラン(30mg/kg)を腹腔内投与して30分後に餌を与え、1時間の摂食量を測定した。結果を図10Bに示す。その結果、摂食抑制効果の消失が維持されていることがわかった。なお、制限食後に自由摂取に戻した1〜2週間の間、摂食量は自由摂取群(対照)と同じであったが、体重増加率が自由摂取群(対照)よりも高くなり、2週間後から体重は自由摂取群(対照)と同じになった。
個別及び集団で飼育されたC57BL6Jマウス(A)、並びに個別及び集団で飼育されたKKマウス(B)の、生後5週間〜生後8週間の3週間にわたる体重の変化や、個別に飼育された生後8週間のC57BL6Jマウス及びKKマウスの、精巣上体白色脂肪組織(epididymal white adipose)の重量(C)、並びに褐色脂肪組織(BAT)の重量(D)を測定した結果を示す図である。データを平均値±SEM(n=8)として表示。*P<0.05 個別及び集団で飼育された生後8週間のC57BL6Jマウス、並びに個別及び集団で飼育された生後8週間のKKマウスの、血漿レプチン(A)、インスリン(B)、活性グレリン(C)、デスアシルグレリン(D)、コルチコステロン(E)、アディポネクチン(F)及び血中グルコース(G)のレベルを測定した結果を示す図である。データを平均値±SEM(n=8)として表示。*P<0.05 個別及び集団で飼育された生後8週間のKKマウスの、精巣上体白色脂肪組織及び褐色脂肪組織における遺伝子発現の変化を示す図である。個別及び集団で飼育された生後8週間のKKマウスの、精巣上体白色脂肪組織における5−HT2Cレセプター(A)、β3アドレナリンレセプター(B)、UCP−2(C)、Nurr1、Nur77、及びNOR−1(D)のmRNAレベル並びに褐色脂肪組織における5−HT2Cレセプター(E)、β3−アドレナリンレセプター(F)、UCP−1(G)、Nurr1、Nur77及びNOR−1のmRNAレベル(H)を測定した結果である。データを平均値±SEM(n=6)として表示。*P<0.05 個別及び集団で飼育された生後8週間のKKマウスのヒラメ筋における遺伝子発現の変化を示す図である。個別及び集団で飼育された生後8週間のKKマウスのヒラメ筋におけるUCP−2(A)、UCP−3(B)、PPAR−δ(C)、Nurr1、Nur77並びにNOR−1のmRNAレベル(D)を測定した結果である。データを平均値±SEM(n=5〜6)として表示。*P<0.05 個別及び集団で飼育された生後8週間のKKマウスの肝臓における遺伝子発現の変化を示す図である。個別及び集団で飼育されたKKマウスの肝臓におけるNR4Aレセプターファミリー(例えば、Nurr1、Nur77及びNOR−1)のmRNAレベル(A)、並びにGP6アーゼ、Fbp1、及びFbp2のmRNAレベル(B)を測定した結果である。データを平均値±SEM(n=5〜6)として表示。*P<0.05 個別及び集団で飼育されたKKAyマウスの生後5週間〜生後8週間の3週間にわたる体重の変化(A)、個別及び集団で飼育されたKKAyマウスの精巣上体白色組織の重量(B)及び褐色脂肪組織の重量(C)、血中グルコースレベル(D)、血漿レプチンレベル(E)、インスリンレベル(F)、活性なグレリンレベル(G)、デスアシルグレリンレベル(H)、及びアディポネクチンレベル(I)、Nurr1のmRNAのレベル、Nur77のmRNAのレベル及びNOR−1のmRNAのレベル(J)、並びに肝臓中のGP6ase、Fbp1、及びFbp2のmRNAのレベル(K)を測定した結果を示す図である。データを平均値±SEM(n=6〜8)として表示。*P<0.05を示す図である。 本発明のPOMC遺伝子及びCART遺伝子の発現低下モデルマウスと自由摂取マウスの視床下部を摘出し、遺伝子発現の差をRT−PCRにより定量した結果を示す図である。1日3.5gの制限食を5日間与えたKKマウス(白いバー)と自由摂取(1日4.0〜4.5g位食べる)させたKKマウス(黒いバー)の視床下部における摂食抑制系ペプチドであるPOMC、CART、CRH等のmRNAの発現量。 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の摂食抑制効果の用量依存を示す図である。白いバーグラフは生食コントロール、黒のバーはミルナシプランの用量差による摂食抑制効果を表わす。*P<0.05 ミルナシプラン(30mg/kg)を腹腔内投与して1時間後の視床下部の遺伝子発現の変化をRT−PCRにより定量した結果を示す図である。*P<0.05 本発明のPOMC遺伝子及びCART遺伝子の発現低下モデルマウスにミルナシプラン(30mg/kg)と生理食塩水を腹腔内投与し、A)30分経過後に、B)1週間後と2週間経過後に、1時間の摂食量を測定した結果を示す図である。白いバー(生食投与群)黒いバー(ミルナシプラン投与群)*P<0.05

Claims (14)

  1. レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  2. レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCとCARTとの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  3. レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCとCARTとCRHとの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  4. レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることによって得られる、自由摂食非ヒト哺乳動物に比べて、視床下部のPOMCとCARTとCRHとNPYとの発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  5. レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育による非ヒト哺乳動物に比べて、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下していることを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  6. レプチンのシグナル伝達障害を後天的に引き起こした非ヒト哺乳動物であって、3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育による非ヒト哺乳動物に比べて、脂肪細胞のNOR−1の発現が低下し、かつNur77の発現は低下していないことを特徴とするレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  7. さらに、セロトニンシグナル伝達障害を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  8. 非ヒト哺乳動物がマウスであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  9. マウスの系統がKKであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物。
  10. 非ヒト哺乳動物に自由摂食量の90%以下の量を3〜7日間摂食させることを特徴とする請求項1〜4及び7〜9のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物の作製方法。
  11. 非ヒト哺乳動物を3週間個別飼育することを特徴とする請求項5〜9のいずれか記載のレプチンシグナル伝達障害モデル動物の作製方法。
  12. 自由摂取量の90%以下の量を3〜7日間摂取させた請求項1〜4及び7〜9のいずれか記載の制限食投与非ヒト哺乳動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する方法。
  13. 3週間個別飼育した請求項5〜9のいずれか記載の非ヒト哺乳動物を、レプチンシグナル伝達障害モデル動物として使用する方法。
  14. 3週間個別飼育によって得られる、3週間集団飼育に比べて肝Nurr1の発現が増加しているKKAyマウスをインスリン非依存性糖尿病モデル動物として使用する方法。
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