JP2008173160A - 心拍のゆらぎの解析方法およびそれを用いた健康状態の判断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】心拍数を測定し、心拍データを取得して、その時系列から平均値を計算し、時系列のそれぞれの要素とこの平均値との差をさらに差分し、新しい時系列を算出し、この新しい時系列を所定の長さlのボックスに分割し、これをランダムに並べなおし、そのデータを足し合わせ、これからDFAを用いて、スケーリング指数とする心拍ゆらぎの解析方法とし、スケーリング指数を基に、健康上問題があると判断する。
【選択図】図5
Description
しかし、非特許文献1等の方法のDFA(Detrended Fluctuation Analisis:トレンド除去心拍分析)では、心拍ゆらぎの測定にあたり、数十分から24時間の時間を要し、迅速且つ簡便・的確な判断ができないという問題点があった。
シー・ケイ・ペン,エス・ハブリン,エイチ・イー・スタンレイ,エー・エル・ゴールドバーガー(C.-K.Peng, S. Havlin, H. E. Stanley, and A. L. Goldberger), "クオンティフィケイション オブ スケーリング エクスポーネンツ アンド クロスオーバー フェノミナ イン ノンステショナリイ ハートビート タイム シリーズ(Quantification of scaling exponents and crossover phenomenain nonstationary heartbeat time series)",カオス( Chaos), 第5巻(Vol.5), 1995, pp.82-87 スタンレイ エイチイー,等(Stanley HE, et al.) (1999) スタティカル フィジックス アンド フィジオロジイ:モノフラクタクル アンド マルチフラクタクル アプローチイズ.フィジカ エー(Statistical physics and physiology: Monofractal andmultifractal approaches. Physica A), 270:309-324. ヴィラ,エムピー,等(Villa, MP, et al.) (2000) エフェクツ オブ スリープ ステージ アンド エージ オン ショート−ターム ハート レイト ヴァリアビィリティ ディアリング スリープ イン ヘルシイ インファンツ アンド チルドレン( Effects of sleep stage and age on short-term heart ratevariability during sleep in healthy infants and children).
本発明者らは、ノコギリガザミに付いて、長期間の心拍を測定したところ、非特許文献1と同様に、指数が1.0を超えると、突然の死が訪れることを発見した。モデル動物でも非特許文献1と同じような結果が得られたのである。そこで、本発明者らは、ヒトに適用して、短時間のデータで健康状態の判断が出来る心拍ゆらぎの解析方法をについて研究したのである。
この場合、前記所定の長さのボックスの長さlは、30〜150拍であることが好ましい。
また、前記並べなおしは、ランダムルーチン メルセンヌ・ツイスター法によって行われることが好ましい。
また、前記並べなおしは、時系列の長さlのN/l個のボックス(ここに、Nはlの倍数の整数である。)に分割されることが好ましい。
そして、前記ボックスが4〜1000個の整数に分割されることが好ましい。
さらに、前記ボックスの長さlが30〜60であることが好ましい。
また、前記スケーリング指数は、4次関数へのフィッティングで求めることが好ましい。
前記スケーリング指数は、log−logプロットの指数であることが好ましい。
さらに、本発明は、前記のいずれかの解析方法で得られたスケーリング指数を基に、1.1超であったら、健康上問題があると判断する健康状態の判断方法である。
図1には、取得された信号xiが示される。
zi=yi−yv(i)
ここで、α=0.5の場合はガウス分布の場合と同様である。また、α=1.0の場合、確率密度関数はコーシー分布となる(ステップ6)。
以上の方法により250拍データを30000拍に拡張しDFAを行えばよい。
そして各ボックスでの分散を平均した
図6では、先ず、心拍データを取得する。次いで、心拍数に変換した後、差分処理を行う。
そして、小区間のデータ数nを指定する。nは、20より大であって、通常20〜150、好ましくは、30〜80、さらには、30〜60、特に50が好ましい。
その際、各区間番号を付ける。ボックスの数は、4〜1000が好ましい。
そして、各小区間の平均値を0に変換する。
この後、データ数が30000を超えているか否かを判断する。
30000未満のときには、ランダムルーチンによる番号を決定する。ランダムルチーンとしては、公知のメルセンヌ・ツイスター法を用いる。
当該番号の小区間データを追加する。その後、再びデータ数が30000未満か否かを判断する。そして、30000超であったら、加算処理に移る。
DFAでは、図7に示されるように、先ず、データの読み込みを行う。その後、DFA、Boxサイズlの初期値をセットする。lが例えば、1000未満であるか否かを判断する。1000未満であれば、データを長さlの小区間に分割する。各区間にて、最小二乗法によるディトレンドを行う。そして、各区間の最初と最後のデータの差の二乗平均の平方根fを記録する。そして、再度、Boxサイズの指定を行う。これにより、1000を超えたときには、フィッティングBoxサイズ区間を指定する。そして、Boxサイズlと各二乗平均平方根とをlog−logスケールでフィッティングする。
フィッティングの一次の係数によりスケーリング指数が決定される。
心拍ゆらぎの算出には、図2〜4に示されるボックス数50とこのボックスを1〜5個並べなおして行った。この結果、基準の0.78に極めて近い0.66が得られた。この場合は、注意(突然死の危険はないが、低すぎる。制御系に不健康な問題が内包されている。)との判断がなされる。
その他、同様にして、何人もの被験者のゆらぎを算出した結果を図9〜12に示す。
これらの例から、本発明による算出方法が優れた一致を見せることがわかる。
なお、図11に示される被験者は、スケーリング指数αが1.4を超えており、その後死亡した例である。
このようにして、スケーリング指数を算出することができるが、この指数を用いて、健康状態を判断することができる。1に近い値なら、心配無用のシグナルを出すようにすればよい。これに対し、低い数値なら、ストレスや運動やサプリメントを要するので、注意(突然死の危険はないが、低すぎる。制御系に不健康な問題が内包されている。)のシグナルを発すればよい。異常に高い数値のときは、心臓疾患の可能性があるので、警告を発する。このように、健康を指向する利用者には好都合である。また、医療現場では、新しい診断項目の追加ができるだけでなく、末期医療における生体システムの動作状態を数値化できることも可能となる。その他、医学領域のみならず、ペット、競馬馬、動物園等の獣医学等関係領域での診断、運輸交通機関運転士(航空機、電車、トラック、バス、タクシーなど)の始業開始前、運転中診断、警備保障会社の遠隔地診断や生命保険会社での診断技術としての利用、携帯電話端末等に代表される移動端末への心拍監視診断警告発信機構の組み込み、ゲーム、クイズ等の遊戯器具や、心電計、血圧計、便座等の既存の脈波検出可能な装置への接続、この他、パソコンのマウス、自動車、椅子、ベット、眼鏡、腕輪、腕時計、入れ歯、健康器具のハンドル、イヤホン等のおよそ身体に接触して数分間の脈波の検出に供せられる状況にあるものへの接続などによる診断に適用することができ、高齢化社会対策、高密度交通往来危険対策、深刻な病気になる前の予防予知の支援が可能となる。
Claims (9)
- 心拍数を測定し、心拍データを取得して、その時系列から平均値を計算し、
時系列のそれぞれの要素とこの平均値との差をさらに差分し、新しい時系列を算出し、
この新しい時系列を所定の長さlのボックスに分割し、
これをランダムに並べなおし、そのデータを足し合わせ、
これからDFAを用いて、スケーリング指数とする心拍ゆらぎの解析方法。 - 前記所定の長さのボックスの長さlは、30〜150拍である請求項1の心拍ゆらぎの解析方法。
- 前記並べなおしは、ランダムルーチン メルセンヌ・ツイスター法によって行われる請求項1または2の心拍ゆらぎの解析方法。
- 前記並べなおしは、時系列の長さlのN/l個のボックス(ここに、Nはlの倍数の整数である。)に分割される請求項1〜3のいずれかの心拍ゆらぎの解析方法。
- 前記ボックスが4〜1000個の整数に分割される請求項4の心拍ゆらぎの解析方法。
- 前記ボックスの長さlが30〜60である請求項2〜6のいずれかの心拍ゆらぎの解析方法。
- 前記スケーリング指数は、4次関数へのフィッティングで求める請求項1〜6のいずれかの心拍ゆらぎの解析方法。
- 前記スケーリング指数は、log−logプロットの指数である請求項1〜7のいずれかの心拍ゆらぎの解析方法。
- 請求項1〜8のいずれかの解析方法で得られたスケーリング指数を基に、1.1超であったら、健康上問題があると判断する健康状態の判断方法。
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