JP2008172107A - 撮像素子及びそれを有する撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高画質で小型かつ低価格な光学的ローパスフィルタ機能を備えた撮像素子及びそれを有する撮像装置を提供する。
【解決手段】複数の画素を備え、各画素が、光電変換を行う受光部と、当該受光部の入射光側に配置されて画素に対応する色を分離するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの入射光側に配置され、入射光を前記受光部に取り込むために集光機能を有するマイクロレンズとを有する撮像素子であって、各画素の一辺に平行な方向における前記画素に対応したマイクロレンズの開口形状によるMTF特性が、前記マイクロレンズが前記方向において一画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である一画素開口MTF特性より低く、かつ、前記マイクロレンズが前記方向において二画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である二画素開口MTF特性よりも高いことを特徴とする撮像素子を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の画素を備え、各画素が、光電変換を行う受光部と、当該受光部の入射光側に配置されて画素に対応する色を分離するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの入射光側に配置され、入射光を前記受光部に取り込むために集光機能を有するマイクロレンズとを有する撮像素子であって、各画素の一辺に平行な方向における前記画素に対応したマイクロレンズの開口形状によるMTF特性が、前記マイクロレンズが前記方向において一画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である一画素開口MTF特性より低く、かつ、前記マイクロレンズが前記方向において二画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である二画素開口MTF特性よりも高いことを特徴とする撮像素子を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学的ローパスフィルタ(Optical Low Pass Filter:OLPF)の機能を有し、撮像レンズの予定結像面に配置される撮像素子及びそれを有する撮像装置に関する。
近年、ビデオカメラなどの撮像装置の普及に伴って、それに使用される高画質で小型かつ低価格な撮像素子を提供する需要が増加している。高画質の要請を満足するために、撮像素子は、被写体上の高周波パターンと撮像素子の画素との間に発生するモアレや偽色を除去するのにOLPFを用いている。OLPFは、従来は撮影レンズの像面側に設けられた3枚の水晶であった。しかし、最近では、OLPFの機能を実現する代替的構造も様々提案されてきている。
例えば、特許文献1は、2次元格子パターンを有する2次元位相格子からなるOLPFを開示している。また、特許文献2は、撮像素子にマイクロレンズ層、透明樹脂層、凸凹形状の格子形状層を順次設けた位相格子型OLPFを開示している。
特開平7−5394号(第2〜4頁、第2〜3図等)
特開平8−211336号(第4〜5頁、第1図等)
水晶からなるOLPFは、一般に3枚構成、具体的には結晶軸方向が異なる水晶板(複屈折素子、位相板、複屈折素子)の組み合わせを取ることにより水平方向と垂直方向のフィルター効果を持たせている。従って、高価であると共に設置スペースを要するために小型化を阻害する。一方、特許文献1のOLPFは、不要な高次回折光を発生し、LPF効果を改善しようとすれば低域側の空間周波数のMTF(Modulation Transfer Function)特性まで落ちて画像の精鋭度が低下する。低域側の空間周波数は、一般には、ナイキスト周波数(Nyquist Frequency:NF)の半分以下の周波数範囲をいう。また、絞り開口が小さくなると点像光束はパターンの1ピッチ分の光照射ができなくなり、回折現象によるLPF効果がなくなるだけでなく、格子パターンの影が画像に写り込むという問題が発生する。また、特許文献2は、回折作用によりLPF効果を持たせるために低域側の空間周波数のMTF特性まで落ちて画像の精鋭度が低下する。加えて、格子形状層の具体的構成を開示していないために実用性に欠ける。なお、本出願では、画像の精鋭度が低下した状態は解像感が悪いと呼ぶ場合もある。
そこで、本発明は、高画質で小型かつ低価格なOLPF機能を備えた撮像素子及びそれを有する撮像装置を提供することを例示的目的とする。
本発明の一側面としての撮像素子は、複数の画素を備え、各画素が、光電変換を行う受光部と、当該受光部の入射光側に配置されて画素に対応する色を分離するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの入射光側に配置され、入射光を前記受光部に取り込むために集光機能を有するマイクロレンズとを有する撮像素子であって、各画素の一辺に平行な方向における前記画素に対応したマイクロレンズの開口形状によるMTF特性が、前記マイクロレンズが前記方向において一画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である一画素開口MTF特性より低く、かつ、前記マイクロレンズが前記方向において二画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である二画素開口MTF特性よりも高いことを特徴とする。また、本発明の別の側面としての撮像素子は、前記マイクロレンズは対応する画素及び当該対応する画素に隣接する画素に拡がり、各画素においてマイクロレンズは前記マイクロレンズから受光部へ向かう方向において重なり合わないように配置されていることを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、高画質で小型低価格なOLPF機能を備えた撮像素子及びそれを有する撮像装置を提供することができる。
まず、デジタルカメラのMTF特性について説明する。
MTF特性は、結像性能を空間周波数(本/mm)により表記する指標で像の鮮鋭度を表す。MTF特性には、撮像レンズのMTF特性、水晶からなるOLPFによるMTF特性、マイクロレンズの開口形状によるMTF特性、検出された光電変換情報の画像信号処理によるMTF特性がある。ここで、「マイクロレンズの開口」とは、マイクロレンズにおいて入射光が通過する有効領域である。これら4種類のMTF特性の積により総MTF特性が決定される。なお、以下の説明では、これらの4種類のMTF特性を順に第1乃至第4のMTF特性と呼ぶ場合がある。
撮像素子はNFによって再現可能な空間周波数の限界が決定される。水平及び垂直方向のNFは、画素ピッチ(画素の一辺の寸法)をpとすると次式で規定される。
NF以上で総MTF特性が大きい値を示すと、実際の像とは異なる画情報になってしまう。特に、単板のカラー撮像素子においては、NF近傍の像は実際の色とは異なる偽色モアレが生じて撮像性能を劣化させる。このため、第2のMTF特性は、NFより若干高い周波数でゼロとなるように設定される。
第1及び第4のMTF特性も偽色対策を採る必要がある。しかし、第1のMTF特性は、一般に解像感を上げるために十分に高いMTF特性を持たせており、第4のMTF特性は像のパターンにより特性が異なる。このため、第2及び第3のMTF特性の合成MTF特性を設定することにより、撮像素子の偽色対策を採るのが一般的である。
第3のMTF特性は、マイクロレンズの開口幅をW、空間周波数をuとすると次式によって与えられる。
一方、水晶を使用したOLPFによる正方4点分離型OLPFの水平方向のMTF特性(第2のMTF特性)は、分離幅をd、空間周波数をuとすると次式で与えられる。なお、分離幅dは、水晶を使用したOLPFを光が通過することによって生じた常光線と異常光線の分離した距離であり、OLPFの厚さに比例するものである。
一般的な撮像素子の開口は画素ピッチpに対して理想的にはp×pの矩形マイクロレンズ開口になるように設定される。ここで、画素ピッチp=5μm、開口矩形形状の一辺を5μm(W=5μm)、正方4点分離型OLPFの分離幅dをd=5/1.3=3.85μmとする。すると、水平及び垂直方向のMTF特性とNFは図16に示すようになる。図16において、横軸は空間周波数(Freq)(本/mm)で、縦軸は1に規格化されたMTF特性(コントラスト)である。「MTFs」は第3のMTF特性であり、「MTFo」は第2のMFT特性(4点分離型OLPF単体のMTF特性)であり、「4点分離」がこれらの合成の(即ち、これらを積算した)MTF特性である。画素ピッチの2倍は10μmであるため、NFは100本/mmである。但し、第3のMTF特性は、上述したように、マイクロレンズが理想的に水平及び垂直方向において一画素分の長さpがあると仮定した場合のMTF特性である。かかるMTF特性(MTFs)を本出願では一画素開口MTF特性と呼ぶ場合がある。同様に、マイクロレンズが理想的に水平及び垂直方向において二画素分の長さpがあると仮定した場合のMTF特性を二画素開口MTF特性と呼ぶ場合がある。
図16において、NFでのMTFs値は0.6以上と大きく偽色が多く発生する。NFでのMTF値をゼロとすると偽色を効率よく抑制できるが、低域側の空間周波数のMTF特性を落とすことになり、画像鮮鋭度が低下する。そのため若干偽色を抑えてMTF特性を上げる手法が用いられる。
次に、対角方向のMTF特性について説明する。対角方向のナイキスト周波数NFdは次式で与えられる。
同様に、画素ピッチp=5μm、開口矩形形状の一辺を5μm(W=5μm)、正方4点分離型OLPFの分離幅dをd=5/1.3=3.85μmとする。すると、対角方向のMTF特性とNFは図17に示すようになる。図17において、横軸は空間周波数(Freq)(本/mm)で、縦軸は1に規格化されたMTF特性(コントラスト)である。「MTFsd」は、第3のMTF特性であり、「MTFod」は第2のMFT特性(4点分離型OLPF単体のMTF特性)であり、「4点分離d」がこれらの合成の(即ち、これらを積算した)MTF特性である。NFdは約140本/mmである。
理想的に矩形のマイクロレンズを対角方向から見ると菱形の開口形状となり、MTFがゼロとなるトラップポイントの周波数値が図16に示すMTFsのそれよりも増加している。このため、図17に示すNFが140付近となり、図16に示すNFよりも増加しているにも拘らず偽色は多く発生する。MTFodは、対角方向では中央に2倍、左右に1倍の像分離強度になるため、図16のMTFoの形とは異なる。
図18に理想的にマイクロレンズが単一画素に拡がったと仮定した場合の水平方向と対角方向での開口形状を示す。MTFsdは次式で与えられる。
また、図19に4点分離の水平方向と対角方向での光強度分布を示す。
次に、本実施例のマイクロレンズの開口を変化させた時のMTF特性について説明する。図20は、各画素がp×pの正方形形状を有する場合に、マイクロレンズが、対角長さが2pとなる菱形の開口形状を有する場合を示したものである。この開口形状での水平方向のMTF特性を「MTF水平」として図21(a)に、対角方向のMTF特性を「MTF対角」として図21(b)に示し、それぞれ従来のMTFs、MTFsdと対比させている。
偽色を抑制して高画質の要請を満足するためには、水平方向では、NFにおけるMTF値が0.5以下であることが好ましい。また、対角方向では、NFにおけるMTF値ができるだけ0に近く、低域側の空間周波数のMTF値が0.7以上であることが好ましい。図21(a)及び図21(b)におけるMTF水平とMTF対角はこれらの要件を満足している。このように、水平方向のNFにおけるMTF値が対角方向のそれよりも高くてもよい。これは、水平方向の偽色は画像処理で目立たなくすることができるのに対して、対角方向ではこれが難しいからである。従って、対角方向での偽色抑制効果を高めている図21(b)は好ましい。
もっとも、本発明は、必ずしも対角方向が0になることを要求するものではない。即ち、後述する図13及び図15に示すように、各画素の一辺に平行な水平又は垂直方向における当該画素に対応した第2のMTF特性が、一画素開口MTF特性より低く、かつ、二画素開口MTF特性よりも高ければ足りる。
本発明者は、図21(a)及び図21(b)に示すMTF特性が得られるように、マイクロレンズの形状を調節すればOLPFの機能を撮像素子に内蔵することができることを発見した。この場合、従来のOLPF又はその代替的構造を使用しなくても、マイクロレンズの開口形状を調節することによって偽色を抑制することができる。また、MTF特性をある程度任意に設定できるため、解像度と偽色抑制効果とのバランスを取った構成を撮像素子に一体的に形成することができる。
以下、各実施例について説明する。
以下、図1(a)及び図1(b)を参照して、本実施例のCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)タイプの撮像素子10について説明する。撮像素子10は、図1には省略されている撮像レンズの予定結像面に配置される。ここで、図1(a)は画素毎のマイクロレンズ9の開口形状を上面から見たもので、図1(b)は撮像素子10の概略断面図である。
撮像素子10は、光電変換を行うSi受光部1上に、Al配線2及び3を含み、SiO2からなる層間絶縁膜4、SiNからなる保護膜5、平坦化膜6、ベイヤ配列のカラーフィルタ7(7B、7Gなど)、平坦化膜8を順次積層する。そして、平坦化膜8の上には、開口が隣接画素に延びるマイクロレンズ9が配置されている。
図1(a)に示すG、B、Rはカラーフィルタ7に対応した画素であり、9G、9B、9Rはカラーフィルタ7G、7Bなどに対応したマイクロレンズ9で全て同一の光透過材料により形成されている。20は不図示の撮像光学系から入射される光線である。マイクロレンズ9は入射光20を受光部16に取り込むために集光機能を有する。
図2(a)は1画素に対応したマイクロレンズ9の斜視図であり、図2(b)は4×4画素のマイクロレンズ群の斜視図である。図3は画素毎のカラーフィルタ7G、7B、7Rの平面図であり、図4は1画素に対応するカラーフィルタ7とマイクロレンズ9の平面図である。
図4に示すように、マイクロレンズ9Gは、矩形画素を超えて延びている。そして、図1及び図2(b)に示すように、マイクロレンズ9は対応する画素及び当該対応する画素に隣接する画素に拡がっている。各画素においてマイクロレンズは前記マイクロレンズから受光部へ向かう方向、即ち、図1に示す紙面に垂直な方向、において重なり合わないように配置されている
入射光20が各画素に対応するマイクロレンズ9の開口を透過すると、図3及び図4に示すように対応するカラーフィルタ7を介して対応するSi受光部1に導かれる。各画素の実質的な開口は、図4に示すマイクロレンズ9形状の開口とほぼ一致する。ここで、図4で示すマイクロレンズ9の開口面積は、単一画素面積と等しく開口率1となり、光の利用効率も高い。即ち、図1に示すように、マイクロレンズとマイクロレンズとの間には隙間がない。但し、開口率は1でなくても0.8以上であれば光の利用効率が十分高い。実質開口率が1ではない例は、後述する図10(b)乃至図10(d)に示されている。
入射光20が各画素に対応するマイクロレンズ9の開口を透過すると、図3及び図4に示すように対応するカラーフィルタ7を介して対応するSi受光部1に導かれる。各画素の実質的な開口は、図4に示すマイクロレンズ9形状の開口とほぼ一致する。ここで、図4で示すマイクロレンズ9の開口面積は、単一画素面積と等しく開口率1となり、光の利用効率も高い。即ち、図1に示すように、マイクロレンズとマイクロレンズとの間には隙間がない。但し、開口率は1でなくても0.8以上であれば光の利用効率が十分高い。実質開口率が1ではない例は、後述する図10(b)乃至図10(d)に示されている。
以下、本実施例の撮像素子10のMTF特性について説明する。
図5(a)乃至図5(c)は、実施例1の画素開口を示している。より詳細には、図5(a)は元のマイクロレンズ9の形状、図5(b)は水平方向の第2のMTF特性を算出するために図5(a)に示す形状を並べ替えたものである。水平方向の第2のMTF特性を算出する場合には、数式2におけるWは、図5(b)に示すマイクロレンズ9の水平方向(横方向)の長さとなる。水平方向の第2のMTF特性は数式2で規定される割合で与えられるため、図5(b)に示す形状は図20に示す菱形開口と等価である。
図5(c)は対角方向の第2のMTF特性を算出するために図5(b)に示す形状を並べ替えたものである。対角方向の第2のMTF特性を算出する場合の数式2におけるWは、図5(c)に示すマイクロレンズ9の対角方向(斜め方向)の長さとなる。
画素ピッチは5μmとしている。図6(a)は、図5(b)の形状と数式2を利用して算出した水平方向の第2のMTF特性である。図6(b)は、図5(c)の形状と数式5を利用して算出した対角方向の第2のMTF特性である。それぞれ前述した4点分離方式及び一画素開口MTF特性(MTFs)と比較されている。
図6(a)から、図21(a)と同様に、NFにおけるMTF水平の値は0.4であり、一画素開口MTF特性の0.64よりは改善しているが4点分離の0.24よりは劣る。但し、低域側の空間周波数の鮮鋭度は4点分離よりも高い。図6(b)から、図21(b)と同様に、NFにおけるMTF対角の値が0であり、MTFsの0.4と4点分離の0.05のいずれに対しても優れ、偽色抑制効果は高い。また、低域側の鮮鋭度は4点分離よりも高い。従って、上述の高画質の要請を満足する。更には、マイクロレンズ9はOLPF機能を奏するので、多機能化により小型化と低価格化の両方を達成することができる。
次に、マイクロレンズ9の製造方法について説明する。
従来のマイクロレンズは、フォトリソグラフィ工程でマイクロレンズの開口形状と相似のレジストパターンを形成し、その後、熱溶融させることにより球面のマイクロレンズを形成する。マイクロレンズ9には、このような従来の製造方法は適用することができない。そのためグレイトーンマスクを利用したフォトリソグラフィにより、露光箇所でレジスト除去深さが異ならせるプロセスを適用する。
図7にマイクロレンズ9のアウトラインを、図8にグレイトーンマスク30の一例を示す。図7では元々の設計形状に対し段々形状となっているが、グレイトーンマスク30の単一パターンピッチを細かくすることによって、設計形状との誤差が減り、実質的な差を無くすことができる。図9はグレイトーンマスク30の単一パターン内での開口率とレジスト除去深さとの関係を示すグラフである。露光装置とレジスト材料に対して事前にこのような関係データを取得することにより、マイクロレンズ設計形状をグレイトーンマスク30のパターンにデータ変換することができる。
以上の方法により、任意のマイクロレンズ開口形状と面曲率を形成することができる。このように、マイクロレンズ9は、従来の製造方法のマスクパターンを変更することによって製造することができ、従来とほぼ同等のコストで、OLPF機能が内蔵されたマイクロレンズ9を得ることができる。独立の部材としてのOLPFが不要となるため、低価格化と小型化を図ることが可能となる。
本実施例では撮像素子10としてCMOSタイプを示したが、CCDの撮像素子10に本実施例を適用しても同様の効果が得られる。
以下、図10(a)乃至図13を参照して、撮像素子10に適用されるマイクロレンズの様々な形状について説明する。図10(a)は、図1と同様の、マイクロレンズ9を有する第1の実施例の平面図である。図10(b)は、マイクロレンズ19を有する第2の実施例の平面図である。図10(c)は、図1と同様の、マイクロレンズ29を有する第3の実施例の平面図である。図10(d)は、マイクロレンズ39を有する第4の実施例の平面図である。
図11(a)は、図5(a)と同様の、1画素に対応するマイクロレンズ9の平面図である。図11(b)は、1画素に対応するマイクロレンズ19の平面図である。図11(c)は、1画素に対応するマイクロレンズ29の平面図である。図11(d)は、1画素に対応するマイクロレンズ39の平面図である。
図11(a)乃至図11(d)に示すように、マイクロレンズ9、19、29、39は、それぞれ、4つの点対称に配置された同一形状のマイクロレンズ要素9a、19a、29a及び39aから構成される。なお、マイクロレンズの形状に対応した形状を有するカラーフィルタ7がマイクロレンズ9、19、29、39に対して配置されるが、図示は省略する。
図12(a)は、図5(b)と同様の、水平方向のMTF特性を算出するために図11(a)に示す形状を並べ替えたマイクロレンズ9の平面図である。図12(b)は、水平方向のMTF特性を算出するために図11(b)に示す形状を並べ替えたマイクロレンズ19の平面図である。図12(c)は、水平方向のMTF特性を算出するために図11(c)に示す形状を並べ替えたマイクロレンズ29の平面図である。図12(d)は、水平方向のMTF特性を算出するために図11(d)に示す形状を並べ替えたマイクロレンズ39の平面図である。
図12(a)乃至図12(d)に示す形状と数式5に基づいて計算されたマイクロレンズ9、19、29、39のMTF特性を図13で示す。図13は、1画素開口MTF特性と2画素開口MTF特性も示している。2画素開口のMTF特性はNFでMTF特性がゼロとなるので偽色抑制効果としては最良となる。しかしながら、低域側の空間周波数のMTF特性を落として画像の精鋭度を低下させる。一方、従来のマイクロレンズは円形又は正八角形形状であり、正方1画素開口に対し開口が小さい場合が多い。従って、1画素開口MTF特性よりも従来のマイクロレンズのMTF特性は高くなる。
以上から、本実施例により1画素開口MTF特性特性と2画素開口MTF特性特性との間となるマイクロレンズの開口形状を適用すれば、解像度の犠牲を最小限に抑えつつ、偽色抑制効果を上げることができる。マイクロレンズの開口形状パターンを変更することによって、様々なMTF特性の設計が可能となる。これらの形状パターンを画像信号処理との相性や絵作りの考え方に合わせて選択することによって解像感と偽色抑制効果とのバランスを取ることができる。
上述の実施例は、水平方向と垂直方向のMTF特性が同一となる例を説明している。しかし、水平方向と垂直方向とで画素ピッチの異なる撮像素子に対してはそれぞれのピッチに対応するNF特性からマイクロレンズの開口形状を設定すればよい。
近年のコンパクトデジタルカメラに見られるように、水平方向のみにOLPF効果を持たせる撮影システムもある。実施例5では、水平方向のOLPF機能のみを発揮させることができ、垂直方向の解像度を上げることができる。図14(a)は実施例5のマイクロレンズ49の平面図であり、図14(b)はその単一画素のマイクロレンズの平面図である。図14(c)は水平方向のMTF特性を算出するために図14(b)に示すマイクロレンズ49形状を並べ替えたものである。
図15にマイクロレンズ49の水平方向のMTF特性を示す。この場合、垂直方向のOLPF効果はないが対角方向に対してはLPF効果が発生するため、偽色抑制効果を発揮しつつ解像感を出すことができる。本実施例では対角方向の規則性をなくすために、縦方向2画素毎にマイクロレンズの開口形状を左右対称系に入れ替えている。
また水平方向は実施例5を適用し、垂直方向は従来の水晶からなるOLPFを採用しても、水平、垂直方向で偽色抑制効果を発揮させることができる。この場合、水晶板は3枚から1枚に減らすことができ、低コスト化、省スペース化を図ることが可能である。
以上説明したように、本実施例によって、OLPF機能が内蔵された高画質かつ小型低価格な撮像素子を提供することができる。また、マイクロレンズの形状を変更することにより、様々なMTF特性を持つ撮像素子を設計することができる。
図22は、撮像素子10を有するデジタルカメラ100のブロック図である。
撮影レンズ52の手前にはシャッター51があり、露出を制御する。絞り53により必要に応じ光量を制御し、撮像素子10に結像させる。撮像素子10から出力された信号は信号処理回路54で処理され、A/D変換器55によりアナログ信号からディジタル信号に変換される。出力されるディジタル信号はさらに信号処理部56で演算処理される。処理されたディジタル信号はメモリ59に蓄えられたり、外部I/F62を通して外部の機器に送られる。
撮像装置10、撮像信号処理回路54、A/D変換器55、信号処理部56はタイミング発生部57により制御される他、システム全体は全体制御部・演算部58で制御される。記録媒体61に画像を記録するために、出力ディジタル信号は全体制御部・演算部で制御される記録媒体制御I/F部60を通して、記録される。
デジタルカメラ100は、撮像素子10によって高画質、小型低価格を達成することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
1 受光部
7 カラーフィルタ
9、19、29、39、49 マイクロレンズ
9a、19a、29a、39a、49a マイクロレンズ要素
10 撮像素子
100 デジタルカメラ(撮像装置)
7 カラーフィルタ
9、19、29、39、49 マイクロレンズ
9a、19a、29a、39a、49a マイクロレンズ要素
10 撮像素子
100 デジタルカメラ(撮像装置)
Claims (6)
- 複数の画素を備え、各画素が、光電変換を行う受光部と、当該受光部の入射光側に配置されて画素に対応する色を分離するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの入射光側に配置され、入射光を前記受光部に取り込むために集光機能を有するマイクロレンズとを有する撮像素子であって、
各画素の一辺に平行な方向における前記画素に対応したマイクロレンズの開口形状によるMTF特性が、前記マイクロレンズが前記方向において一画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である一画素開口MTF特性より低く、かつ、前記マイクロレンズが前記方向において二画素分の長さがあると仮定した場合のMTF特性である二画素開口MTF特性よりも高いことを特徴とする撮像素子。 - 複数の画素を備え、各画素が、光電変換を行う受光部と、当該受光部の入射光側に配置されて画素に対応する色を分離するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの入射光側に配置され、入射光を前記受光部に取り込むために集光機能を有するマイクロレンズとを有する撮像素子であって、
前記マイクロレンズは対応する画素及び当該対応する画素に隣接する画素に拡がり、各画素においてマイクロレンズは前記マイクロレンズから受光部へ向かう方向において重なり合わないように配置されていることを特徴とする撮像素子。 - 各画素に対応する前記マイクロレンズは複数の点対称に配置されたマイクロレンズ要素から構成され、各画素の実質開口率は0.8乃至1であることを特徴とする請求項2に記載の撮像素子。
- 前記マイクロレンズがグレイトーンマスクを利用したフォトリソグラフィにより形成されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の撮像素子。
- 請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
- 請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の撮像素子及び複屈折素子を組み合わせたことを特徴とする撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007005204A JP2008172107A (ja) | 2007-01-12 | 2007-01-12 | 撮像素子及びそれを有する撮像装置 |
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- 2007-01-12 JP JP2007005204A patent/JP2008172107A/ja active Pending
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