以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態における像加熱装置としての定着装置を示す断面図、図2はこの定着装置の発熱部を示す一部破断した平面図である。
図1、図2において、1は発熱部材としての発熱ローラであり、2は亜鉛メッキ鋼板からなる支持側板、3は支持側板2に固定され、発熱ローラ1を両端で回転可能に支持するベアリングである。発熱ローラ1は、図示しない装置本体の駆動手段によって回転駆動される。発熱ローラ1は、鉄・ニッケル・クロムの合金である磁性材料によって構成され、そのキュリー点が300℃以上となるように調整されている。また、発熱ローラ1は、厚さ0.3mmのパイプ状に形成されている。
発熱ローラ1の表面には、離型性を付与するために、厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層(図示せず)が被覆されている。尚、離型層としては、PTFE、PFA、FEP、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂やゴムを単独であるいは混合して用いてもよい。発熱ローラ1をモノクロ画像の定着用として用いる場合には離型性のみを確保すればよいが、発熱ローラ1をカラー画像の定着用として用いる場合には弾性を付与することが望ましく、その場合にはさらに厚いゴム層を形成する必要がある。
4は加圧手段としての加圧ローラである。この加圧ローラ4は、硬度JISA65度のシリコーンゴムによって構成され、20kgfの押圧力で発熱ローラ1に圧接してニップ部を形成している。そして、この状態で、加圧ローラ4は、発熱ローラ1の回転に伴って回転する。尚、加圧ローラ4の材料としては、他のフッ素ゴム、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂やゴムを用いてもよい。また、耐摩耗性や離型性を高めるために、加圧ローラ4の表面には、PFA、PTFE、FEP等の樹脂あるいはゴムを単独であるいは混合して被覆することが望ましい。また、熱の放散を防ぐために、加圧ローラ4は、熱伝導性の小さい材料によって構成されることが望ましい。
5は励磁手段としての励磁コイルである。この励磁コイル5は、表面が絶縁された外径0.2mmの銅製の線材を60本束ねた線束を、発熱ローラ1の回転軸方向に延伸し、かつ、発熱ローラ1の周方向に沿って周回して形成されている。尚、線束の断面積は線材の絶縁被覆を含めて約7mm2である。
励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸に垂直な断面は、発熱ローラ1の上半分を覆うように、線束を発熱ローラ1の周方向に沿って互いに密着させて配置し、それを二重に重ねた形状となっている。この場合、発熱ローラ1の一端部から他端部に向かう線束のうち隣接する線束が密着し、発熱ローラの他端部から一端部に向かう線束のうち隣接する線束が密着するように構成されている。
尚、発熱ローラ1の回転軸方向に延伸して周回される線束の周回順序は、周回の中心に近い方から順次である必要はなく、途中で順序が入れ替わってもよい。
励磁コイル5は、その巻数が全体で18巻となっており、線束が表面の接着剤によって互いに接着されることにより、図1、図2に示す形状が保たれている。尚、励磁コイル5は、発熱ローラ1の外周面と約2mmの間隔を開けて対向している。励磁コイル5が発熱ローラ1の外周面と対向する範囲は、発熱ローラ1の回転軸を中心として角度が約180度の広い範囲である。
励磁コイル5には半共振形インバータである励磁回路6から30kHzの交流電流が印加される。励磁コイル5に印加される交流電流は、発熱ローラ1の表面に設けられた温度センサ7によって得られる温度信号により、発熱ローラ1の表面が所定の定着温度である170℃となるように制御される。以下、励磁コイル5に印加された交流電流を『コイル電流』ともいう。
本実施の形態においては、A4サイズ(幅210mm)の記録紙が最大幅の記録紙として用いられており、発熱ローラ1の回転軸方向の長さは270mm、励磁コイル5の外周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは230mm、励磁コイル5の内周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは200mmに設定されている。
以上のように構成された定着装置に、表面にトナー10を担持した被記録材としての記録紙8が、図1の矢印の方向から挿入され、これにより記録紙8上のトナー10が定着される。
本実施の形態においては、励磁コイル5が電磁誘導によって発熱ローラ1を発熱させる。以下、その機構について、図3を参照しながら説明する。
励磁回路6(図2参照)からの交流電流によって励磁コイル5が発生させる磁束は、発熱ローラ1の磁性のために、図3中の破線Mで示すように、発熱ローラ1内を円周方向に貫通し、生成消滅を繰り返す。この磁束の変化によって発熱ローラ1に発生する誘導電流は、表皮効果によってほとんど発熱ローラ1の表面にのみ流れ、ジュール熱を発生させる。
本実施の形態においては、励磁コイル5が、発熱ローラ1の一端部から他端部に向かう線束のうち隣接する線束が密着し、発熱ローラの他端部から一端部に向かう線束のうち隣接する線束が密着するように構成されているので、磁束が線束の間を通過することはない。また、励磁コイル5の中央部分には線束が無く、磁束が通過するように隙間が設けられているので、図3中の破線Mで示すように、磁束は励磁コイル5の周囲を旋回する大きなループを形成する。さらに、励磁コイル5は、発熱ローラ1の円周方向に発熱ローラ1の回転軸を中心として角度が約180度の広い範囲にわたって発熱ローラ1と対向して設けられているので、発熱ローラ1の広い範囲を磁束が円周方向に貫通することとなる。これにより、発熱ローラ1は広い範囲で発熱するので、コイル電流が小さく、発生する磁束が少なくても、発熱ローラ1に所定の電力を投入することが可能となる。
上記したように、発熱ローラ1を貫通せずに線束の間を通過する磁束がないので、励磁コイル5に与えられた電磁エネルギーが漏れなく発熱ローラ1へ伝達される。このため、コイル電流が小さくても、発熱ローラ1に所定の電力を効率良く投入することができる。さらに、線束を密着させることにより、励磁コイル5を小型化することもできる。
また、励磁コイル5の線束が発熱ローラ1の近傍に位置しているので、コイル電流が発生させる磁束が発熱ローラ1へ効率良く伝達される。そして、この磁束によって発熱ローラ1に生じる渦電流は、コイル電流による磁界の変化を打ち消すように流れる。この場合、コイル電流と発熱ローラ1に生じる渦電流とが近接しているので、打ち消し合う効果が大きく、全体の電流が周辺空間に生じさせる磁界が抑制される。
また、励磁コイル5の外周からの放熱を妨げるものが無いので、蓄熱による温度上昇によって線材の絶縁被覆が溶解したり、励磁コイル5の抵抗値が上昇したりすることを防止することができる。
図4に、励磁コイルを発熱ローラに対向させた状態における、励磁コイルと発熱ローラの等価回路を示す。図4において、rは励磁コイル5自身の抵抗、Rは励磁コイル5が発熱ローラ1と対向して電磁結合することによる抵抗、Lは回路全体のインピーダンスである。rは、励磁コイル5を発熱ローラ1から外し、励磁コイル5単体の電気抵抗を、所定の角周波数ωでLCRメータによって測定することにより得られる。Rは、励磁コイル5を発熱ローラ1に対向させた状態での電気抵抗からrを除いた値として得られる。Lは、励磁コイル5単体のインダクタンスと大差はない。この回路に電流Iが流れると、電流Iの2乗と抵抗値との積が実効電力として消費され、熱が発生する。rで消費される電力によって励磁コイル5が発熱し、Rで消費される電力によって発熱ローラ1が発熱する。この関係は、発熱ローラ1への投入電力をWとしたとき、下記(式1)によって表記される。
W=(R+r)×I2 (式1)
また、励磁コイル5に印加される電圧をVとすると、下記(式2)の関係が成立する。
I=V/{(R+r)2+(ωL)2} (式2)
上記(式2)から分かるように、L及びRが過大な場合、一定の電圧Vの下では十分な電流Iが得られない。従って、上記(式1)から分かるように、投入電力Wが不足し、十分な発熱量が得られない。逆に、Rが過小な場合には、電流Iが流れても実効電力が消費されず、十分な発熱量が得られない。また、Lが過小な場合には、半共振インバータである励磁回路6が十分に動作しない。励磁回路6から励磁コイル5に印加される交流電流の周波数が25kHzから50kHzの範囲にある場合には、Rが0.5Ω以上5Ω以下、Lが10μH以上50μH以下であればよい。この場合には、励磁回路6を、耐電流、耐電圧がそれほど高くない回路素子によって構成して、十分な投入電力と発熱量とを得ることができる。また、RとLの値がこの範囲内にあれば、励磁コイル5の巻数、励磁コイル5と発熱ローラ1との間隔等の、励磁コイル5の仕様を変えても同様の効果が得られる。
尚、本実施の形態においては、上記したように、外径0.2mmの線材を60本束ねて励磁コイル5の線束が構成されている。線束の構成は、必ずしもこの構成に限定されるものではないが、外径が0.1mm以上0.3mm以下の線材を50本から200本束ねて構成されるのが望ましい。線材の外径が0.1mm未満では、機械的な負荷によって断線するおそれがある。一方、線材の外径が0.3mmを超えると、高周波の交流電流に対する電気抵抗(図4中のr)が大きくなり、励磁コイル5の発熱が過大となる。また、線束を構成する線材の本数が50本以下では断面積が小さいために電気抵抗が大きくなり、励磁コイル5の発熱が過大となる。一方、線束を構成する線材の本数が200本以上では線束が太くなるために任意の形状に励磁コイル5を巻くことが困難となり、また、所定の空間内で所定の周回数を得ることが困難となる。おおむね、線束の外径を5mm以下とすることにより、これらの条件を満たすことが可能となる。これにより、狭い空間で励磁コイル5の巻数を多くすることができるので、励磁コイル5の小型化を図りつつ、必要な電力を発熱ローラ1へ投入することが可能となる。
周回する励磁コイル5の線束は、部分的に互いに間隔を開けて構成することもできるが、大部分を互いに密着させた方が効率が良い。また、周回する励磁コイル5の線束は、部分的に重ね方を変えて構成することもできるが、励磁コイル5の高さが低い方がより小さい電流で多くの電力を発熱ローラ1へ投入することができる。励磁コイル5の形状としては、励磁コイル5の高さ(積層した厚さ)よりも周回して並んだ幅(円周方向の長さ)が大きければよい。
また、励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸方向における長さが発熱ローラ1の長さよりも長い場合には、側板2などの発熱ローラ1の端部の導電性部材を磁束が貫通することとなる。このため、周囲の構成部材が発熱し、発熱ローラ1への電磁エネルギーの伝達割合が減少してしまう。本実施の形態においては、発熱ローラ1の長さが励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸方向における長さよりも長いので、コイル電流によって生じた磁束は、側板2などの周囲の構成部材に到達することなく、ほぼ全てが発熱ローラ1へ到達する。これにより、励磁コイル5に与えた電磁エネルギーを効率良く発熱ローラ1へ伝達することができる。特に、発熱ローラ1の端面から回転軸方向に磁束が通過すると、発熱ローラ1の端面の渦電流密度が高くなる。この場合には、発熱ローラ1の端面における発熱が大きくなり過ぎるという課題が生じる。
本実施の形態においては、上記したように、発熱ローラ1の回転軸方向における長さが小さい順に、励磁コイル5の内周部、最大幅の記録紙、励磁コイル5の外周部、発熱ローラ1となっており、励磁コイル5は、記録紙8が通過する部分で、発熱ローラ1の回転軸方向に平行かつ回転軸方向に均等に周回されている。このため、記録紙8が通過する部分での発熱ローラ1の発熱分布を均一にすることができる。その結果、定着部での温度分布を均一にし、安定した定着作用を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図5は本発明の第2の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す断面図、図6はこの定着装置の発熱ローラを除いた発熱部を示す底面図である。尚、上記第1の実施の形態と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施の形態は、線束を二重に重ねることなく、発熱ローラ1の周方向に沿って周回し、励磁コイル5の背面に一対の背面コア9を設けた点で、上記第1の実施の形態と相違している。
背面コア9の材料としては、比透磁率が1000〜3000、飽和磁束密度が200〜300mT、体積抵抗率が1〜10Ω・mのフェライトが用いられている。尚、背面コア9の材料としては、フェライトの他、パーマロイ等の高透磁率で抵抗率の高い材料を用いることもできる。
背面コア9の断面は、外径36mm、厚さ5mmの円筒を軸方向に略90度の角度をもって切断した形状となっている。このため、背面コア9の断面積は243mm2となる。また、励磁コイル5の断面積は7mm2×9巻×2で126mm2となる。
発熱ローラ1は、外径が20mm、厚さが0.3mmのパイプ状に形成されている。このため、発熱ローラ1の内部の回転軸に垂直な面の断面積は、約295mm2となる。従って、背面コア9を含めた励磁コイル5の断面積は、発熱ローラ1の内部の回転軸に垂直な面の断面積よりも大きくなる。また、背面コア9と発熱ローラ1との間隔は5.5mmとなる。
また、本実施の形態においては、A4サイズ(幅210mm)の記録紙が最大幅の記録紙として用いられており、発熱ローラ1の回転軸方向の長さは240mm、周回する励磁コイル5の外周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは200mm、励磁コイル5の内周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは170mm、背面コア9の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは220mmに設定されている。発熱ローラ1の支持部材であるベアリング3(図2参照)は磁性材料である鋼によって構成されている。このベアリング3と背面コア9との間隔は10mmであり、背面コア9と発熱ローラ1との間隔よりも大きい。
その他の構成は上記第1の実施の形態と同様である。
以下に、上記のように構成された定着装置の作用について説明する。
背面コア9を設けることにより、励磁コイル5のインダクタンスが大きくなり、励磁コイル5と発熱ローラ1との電磁結合が良好となって、図4の等価回路におけるRが大きくなる。このため、同じコイル電流でも多くの電力を発熱ローラ1へ投入することが可能となる。従って、耐電流及び耐電圧の低い安価な励磁回路6(図2参照)を用いて、ウォームアップ時間の短い定着装置を実現することができる。
また、図5中の破線Mで示すように、励磁コイル5の背面側の磁束がすべて背面コア9の内部を通過するため、磁束が後方へ漏れることを防止することができる。その結果、周辺の導電性部材の電磁誘導による発熱を防止することができると共に、不要な電磁波の放射を防止することができる。
さらに、周回する線束が重ねられていないので、励磁コイル5の全ての線束が発熱ローラ1の近傍に位置する。このため、コイル電流によって発生する磁束が発熱ローラ1へさらに効率良く伝達される。
本実施の形態においては、励磁コイル5や背面コア9が発熱ローラ1(発熱部)の外部に設置されているので、励磁コイル5等が発熱部の温度の影響を受けて昇温することを防止することができる。このため、発熱量を安定に保つことができる。特に、発熱ローラ1の内部の回転軸に垂直な面の断面積よりも大きな断面積を有する励磁コイル5及び背面コア9が用いるものであるため、熱容量の小さい発熱ローラ1と、巻き数の多い励磁コイル5と、適当な量のフェライト(背面コア9)とを組み合わせて用いることができる。このため、定着装置の熱容量を抑制しながら、所定のコイル電流で多くの電力を発熱ローラ1へ投入することが可能となる。
本実施の形態においては、上記したように、発熱ローラ1の回転軸方向における長さが小さい順に、励磁コイル5の内周部、励磁コイル5の外周部、最大幅の記録紙、背面コア9、発熱ローラ1となっている。そして、このように、励磁コイル5の外周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さを最大幅の記録紙の幅よりも小さくする一方、背面コア9の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さを最大幅の記録紙の幅よりも大きくしているので、励磁コイル5の巻き方が多少不均一であっても、励磁コイル5から発熱ローラ1へ達する磁界を回転軸方向に均一にすることができる。従って、記録紙が通過する部分での発熱ローラ1の発熱分布を均一にすることができる。これにより、定着部での温度分布を均一にし、安定した定着作用を得ることができる。また、発熱ローラ1の発熱分布を均一にしながら、発熱ローラ1の回転軸方向の長さと励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さを短くすることができるので、装置の小型化と同時にコストの低減を図ることができる。さらに、背面コア9の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さが発熱ローラ1の回転軸方向の長さよりも短いので、発熱ローラ1の端面の渦電流密度が高くなって発熱ローラ1の端面における発熱が大きくなり過ぎることを防止することができる。
また、上記したように、発熱ローラ1の支持部材であるベアリング3(図2参照)としては、機械的な強度を保証するために、一般に、磁性を有する鋼が用いられる。このため、コイル電流によって生じた磁束はベアリング3に吸引され易く、磁束がベアリング3を貫通すると熱が発生してしまう。このため、発熱ローラ1への電磁エネルギーの伝達割合が減少してしまうと共に、ベアリング3の温度が上昇して寿命が短くなってしまう。本実施の形態においては、上記したように、ベアリング3と背面コア9の端面との間隔は、背面コア9と発熱ローラ1との対向間隔よりも大きく設定されているため、背面コア9を貫通した磁束は、ベアリング3へ導かれることなく、そのほとんどが発熱ローラ1を貫通する。これにより、励磁コイル5に与えた電磁エネルギーを効率良く発熱ローラ1へ伝達することができると共に、ベアリング3の発熱を防止することができる。
ベアリング3と背面コア9との間隔(本実施の形態では10mm)は、背面コア9と発熱ローラ1との対向間隔(本実施の形態では5.5mm)よりも大きければよいが、2倍以上とすることが望ましい。
また、背面コア9の厚さが均一であるため、背面コア9の内部に局所的に熱が蓄積することはない。さらに、背面コア9の外周からの放熱を妨げるものが無いので、蓄熱による温度上昇によって背面コア9の飽和磁束密度が低下して、全体としての透磁率が急激に減少することを防止することができる。これにより、長時間にわたって安定して発熱ローラ1を所定の温度に保つことができる。
(第3の実施の形態)
図7は本発明の第3の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す断面図である。尚、上記第2の実施の形態と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施の形態は、図7に示すように、励磁コイル5の存在しない範囲にも背面コア9を延長し、励磁コイル5を介さずに発熱ローラ1に対向する『対向部F』が設けられている点で、上記第2の実施の形態と相違している。以下、背面コア9のうち励磁コイル5を介して発熱ローラ1に対向している部分を『透磁部T』という。尚、背面コア9の断面は、円筒を軸方向に180度の角度をもって切断した形状となっている。
この場合には、磁路をさらに多くのフェライト(背面コア9)によって構成することができる。従って、コイル電流によって生じた磁束が通過する透磁率の低い空気部分は、発熱ローラ1と背面コア9との間の狭い間隙部分だけとなる。このため、励磁コイル5のインダクタンスが増加して、コイル電流によって発生する磁束がほぼ完全に発熱ローラ1へ導かれる。その結果、発熱ローラ1と励磁コイル5との電磁結合がさらに良好となり、図4の等価回路におけるRがさらに大きくなる。これにより、同じコイル電流でもより多くの電力を発熱ローラ1へ投入することが可能となる。
また、図7中の破線Mで示すように、背面コア9から発熱ローラ1へ導かれる磁束は対向部Fを通過する。発熱ローラ1の回転軸方向に沿った対向部Fの長さは背面コア9の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さと同一であり、記録紙の幅よりも長い。このため、記録紙が通過する部分には対向部Fから均一に磁束が入射することになる。従って、発熱ローラ1の定着に必要な範囲を均一に加熱することができる。
尚、本実施の形態においては、背面コア9の発熱ローラ1との対向側に励磁コイル5を配設しているが、図8に示すように、半円筒状の背面コア9に、線束を軸方向に延伸して周回させながら、発熱ローラ1の円周方向に沿って周回して、励磁コイル5を構成することもできる。この場合、コイル電流によって生じた磁束は、発熱ローラ1の円周の励磁コイル5側だけでなく、圧力ローラ側も貫通する(図8の破線M’)。その結果、発熱ローラ1の全周が発熱することとなるので、同じコイル電流でも全体の発熱量を大きくすることができる。また、磁束が通過する断面積が大きくなるので、発熱ローラ1により多くの磁束を貫通させても、発熱ローラ1の飽和磁束密度を超えることはない。このため、磁束が発熱ローラ1以外の空間を通過することを防止することができるので、電磁誘導によってより効率良く発熱ローラ1を加熱することができる。
(第4の実施の形態)
図9は本発明の第4の実施の形態における像加熱装置を定着装置として用いた画像形成装置を示す断面図、図10Aは本発明の第4の実施の形態における像加熱装置としての定着装置を示す断面図、図11は図10Aの矢印Gの方向から見た発熱部の投影図、図12は発熱ローラの回転軸と励磁コイルの中心を含む面における発熱部の断面図である。
図9において、11は電子写真感光体(以下『感光ドラム』という)である。感光ドラム11は、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動されながら、その表面が帯電器12によってマイナスの暗電位V0に一様に帯電される。13はレーザビームスキャナであり、図示しない画像読取装置やコンピュータ等のホスト装置から入力される画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビーム14を出力する。帯電された感光ドラム11の表面は、このレーザビーム14によって走査露光される。これにより、感光ドラム11の露光部分は電位絶対値が低下して明電位VLとなり、静電潜像が形成される。この潜像は現像器15のマイナスに帯電したトナーによって現像され、顕像化される。
現像器15は、回転駆動される現像ローラ16を備えている。現像ローラ16は、感光ドラム11と対向して配置されており、その外周面にはトナーの薄層が形成される。現像ローラ16には、その絶対値が感光ドラム11の暗電位V0よりも小さく、明電位VLよりも大きい現像バイアス電圧が印加されており、これにより現像ローラ16上のトナーが感光ドラム11の明電位VLの部分にのみ転写されて、潜像が顕像化される。
一方、給紙部17からは記録紙8が一枚ずつ給送され、レジストローラ対18を経て、感光ドラム11と転写ローラ19とのニップ部へ、感光体ドラム11の回転と同期した適切なタイミングで送られる。そして、感光ドラム11上のトナー像は、転写バイアスが印加された転写ローラ19により、記録紙8に順次転写される。記録紙8が分離された後の感光ドラム11は、その表面の転写残りトナー等の残留物がクリーニング装置20によって除去され、繰り返し次の画像形成に供される。
21は定着紙ガイドであり、この定着紙ガイド21によって転写後の記録紙8の定着装置22への移動が案内される。記録紙8は感光ドラム11から分離された後、定着装置22へ搬送され、これにより記録紙8上に転写されたトナー像が定着される。23は排紙ガイドであり、この排紙ガイド23によって定着装置22を通過した記録紙8が装置外部へ案内される。これらの定着紙ガイド21、排紙ガイド23は、ABSなどの樹脂によって構成されている。尚、定着紙ガイド21、排紙ガイド23は、アルミなどの非磁性の金属材料によって構成することもできる。トナー像が定着された後の記録紙8は排紙トレイ24へ排出される。
25は装置本体の底板、26は装置本体の天板、27は本体シャーシであり、これらは一体となって装置本体の強度を担うものである。これらの部材は、磁性材料である鋼を基材とし、亜鉛メッキを施した材料によって構成されている。
28は冷却ファンであり、この冷却ファン28は装置内に気流を発生させる。29はアルミなどの非磁性の金属材料からなる遮蔽部材としてのコイルカバーであり、このコイルカバー29は励磁コイル5の背面コア9を覆うように構成されている(図10A参照)。
次に、本実施の形態の像加熱装置としての定着装置について詳細に説明する。
図10Aにおいて、薄肉の定着ベルト31は、基材がポリイミド樹脂からなる直径50mm、厚さ100μmのエンドレスのベルトである。定着ベルト31の表面には、離型性を付与するために、フッ素樹脂からなる厚さ20μmの離型層(図示せず)が被覆されている。基材の材料としては、耐熱性を有するポリイミド樹脂やフッ素樹脂等の他、電鋳で製作したニッケル等のごく薄い金属を用いることもできる。また、離型層としては、PTFE、PFA、FEP、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂やゴムを単独であるいは混合して用いてもよい。定着ベルト31をモノクロ画像の定着用として用いる場合には離型性のみを確保すればよいが、定着ベルト31をカラー画像の定着用として用いる場合には弾性を付与することが望ましく、その場合にはさらに厚いゴム層を形成する必要がある。
励磁手段としての励磁コイル5は、表面が絶縁された外径0.2mmの銅製の線材を60本束ねた線束を、発熱ローラ1の回転軸方向に延伸し、かつ、発熱ローラ1の周方向に沿って周回して形成されている。線束の断面積は線材の絶縁被覆を含めて約7mm2である。
図10A〜図12に示すように、励磁コイル5は、発熱ローラ1に巻き付いた定着ベルト31を覆うような断面形状となっている。この場合、定着ベルト31の移動方向における励磁コイル5の励磁幅は、定着ベルト31と発熱ローラ1の接触範囲(巻き付き範囲)以下となっている。発熱ローラ1のうち定着ベルト31に熱を奪われない部分が発熱すると、定着ベルト31の材料の耐熱温度を超えて発熱ローラ1の温度が上昇し易いという問題がある。しかし、本実施の形態のように構成すれば、発熱ローラ1のうち定着ベルト31に接触する範囲のみが発熱するために、発熱ローラ1の温度が異常に上昇してしまうことを防止することができる。また、線束は、励磁コイル5の両端部(発熱ローラ1の回転軸方向の両端部)のみで重なっており、発熱ローラ1の周方向に沿って互いに密着した状態で9回周回している。励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸方向における両端部は線束が2列に重なった状態で盛り上がっている。すなわち、励磁コイル5は全体として鞍のような形状に形成されている。このため、発熱ローラ1の回転軸方向のより広い範囲を均一に加熱することができる。尚、励磁コイル5の両端部において重なった線束は発熱ローラ1との距離が大きくなるので、この部分に渦電流が集中して部分的に高温になり過ぎることはない。
背面コア9は、C形コア32と中心コア33とにより構成されている。C形コア32は、幅が10mmであり、発熱ローラ1の回転軸方向に25mmの間隔を開けて7個配置されている。これにより、外部に漏れる磁束を捕捉することができるようにされている。また、中心コア33は、励磁コイル5の周回の中央に位置し、C形コア32に対して凸形状となっている。すなわち、中心コア33は、背面コア9の対向部Fのうち、発熱ローラ1への近接部Nとなっている(図13参照)。尚、中心コア33の断面積は3mm×10mmである。
また、中心コア33は、フェライトを製造し易いように、発熱ローラ1の回転軸方向に数個に分割して構成してもよい。また、中心コア33は、C形コア32と一体に組み合わせた形状としてもよく、さらには、C形コア32と一体に組み合わせた形状で、かつ、発熱ローラ1の回転軸方向に数個に分割して構成してもよい。
34はPEEK材やPPSなどの耐熱温度の高い樹脂からなる厚さ1mmの断熱部材である。断熱部材34の端部には、励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸方向における両端部の盛り上がった部分を保持する両端保持部34aが設けられている。これにより、励磁コイル5の両端の盛り上がりが崩れることを防止することができると共に、励磁コイル5の外側の位置が規制される。
背面コア9の材料は、上記第2の実施の形態と同様である。中心コア33を除いて、C形コア32を含む断面での背面コア9の断面形状、及び発熱ローラ1の形状も、上記第2の実施の形態と同様である。従って、背面コア9を含めた励磁コイル5の断面積が発熱ローラ1の内部の回転軸に垂直な面の断面積よりも大きい点も、上記第2の実施の形態2と同様である。
励磁回路6(図2参照)から励磁コイル5に印加される交流電流は、上記第1の実施の形態と同様である。励磁コイル5に印加される交流電流は、定着ベルト31の表面に設けられた温度センサによって得られる温度信号により、定着ベルト31の表面が所定の定着温度である190℃となるように制御される。
図10Aに示すように、定着ベルト31は、表面が低硬度(JISA30度)の弾力性を有する発泡体であるシリコーンゴムによって構成された直径20mmの低熱伝導性の定着ローラ35と、直径20mmの発熱ローラ1とに所定の張力をもって懸架されており、矢印Bの方向に回転移動可能となっている。ここで、発熱ローラ1の両端には、定着ベルト31の蛇行を防止するためのリブ(図示せず)が設けられている。また、加圧手段としての加圧ローラ4は、定着ベルト31を介して定着ローラ35に対して圧接されており、これによりニップ部が形成されている。
本実施の形態においては、A4サイズ(幅210mm)の記録紙が最大幅の記録紙として用いられており、定着ベルトの幅は230mm、発熱ローラ1の回転軸方向の長さは260mm、背面コア9の発熱ローラ1の回転軸方向における最外端間の長さは225mm、周回する励磁コイル5の外周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは245mm、断熱部材34の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは250mmに設定されている。
本実施の形態においては、励磁コイル5、背面コア9及び発熱ローラ1が上記のように構成されており、励磁コイル5が電磁誘導によって発熱ローラ1を発熱させる。以下、その機構について、図13を参照しながら説明する。
図13に示すように、コイル電流によって生じた磁束は、背面コア9の対向部Fから発熱ローラ1へ入る。この場合、コイル電流によって生じた磁束は、発熱ローラ1の磁性のために、図中の破線Mで示すように、発熱ローラ1内を円周方向に貫通する。そして、この磁束は、背面コア9の発熱ローラ1への近接部Nである中心コア33から透磁部Tを経て大きなループを形成し、生成消滅を繰り返す。この磁束の変化によって発生する誘導電流がジュール熱を発生させる点は、上記第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態においては、図11に示すように、幅の狭いC形コア32が発熱ローラ1の回転軸方向に均等な間隔を開けて複数個配置されているが、この構成だけでは、励磁コイル5の背面で円周方向に流れる磁束がC形コア32の部分に集中し、隣接するC形コア32間の空気中にはほとんど流れない。このため、発熱ローラ1に入る磁束はC形コア32が存在する部分に集中する傾向にある。従って、発熱ローラ1の発熱もC形コア32との対向部分で大きくなり易い。しかし、本実施の形態においては、励磁コイル5の周回の中央で近接部Nを形成する中心コア33が発熱ローラ1の回転軸方向に連続して設けられているので、C形コア32の対向部Fから発熱ローラ1に入った磁束は、発熱ローラ1内で回転軸方向にも流れて分布が均一化される。このため、発熱ローラ1の発熱量の不均一さが緩和される。
透磁部Tの磁束をC形コア32の対向部Fから別の対向部Fへ導く働きは、発熱ローラ1への磁束の入射分布とは直接関係がない。このため、透磁部Tと対向部Fを分けて構成することは、背面コア9の形状の最適化に非常に有効である。透磁部Tは軸方向に均一である必要はなく、対向部Fをできるだけ軸方向に均一にすればよい。
中心コア33をC形コア32に対して凸形状とすることによって、発熱ローラ1への近接部Nを設けているので、磁路をより多くのフェライトによって構成することができる。従って、コイル電流によって生じた磁束が通過する透磁率の低い空気部分は、発熱ローラ1と背面コア9との間の狭い間隙部分だけとなる。このため、励磁コイル5のインダクタンスがより増加して、コイル電流によって発生する磁束がより多く発熱ローラ1へ導かれるので、発熱ローラ1と励磁コイル5との電磁結合が良好となる。これにより、同じ電流でもより多くの電力を発熱ローラ1へ投入することが可能となる。特に、励磁コイル5の周回の中央にはコイル電流によって発生した磁束が必ず通過するので、この部分に発熱ローラ1の回転軸方向に連続した中心コア33からなる近接部Nを設けることにより、コイル電流によって発生した磁束を効率良く発熱ローラ1へ導くことができる。
C形コア32の透磁部Tの円周方向の断面積は、励磁コイル5から導かれる磁束の密度が材料としての最大磁束密度を超えないように設定されている。この磁束密度は、最大時に、フェライトの飽和磁束密度の約80%となるように設定されている。この最大時の磁束密度の飽和磁束密度に対する割合は100%以下であればよいが、実用的には50%から85%の範囲に設定することが望ましい。この割合が高すぎると、環境や部材のバラツキによって最大時の磁束密度が飽和磁束密度を超えてしまうことがある。そして、この場合には、磁束が背面コア9の背面を流れて、後方の部材を加熱してしまう。逆に、この割合が低すぎると、高価なフェライトを必要以上に使用していることになるので、装置が高価なものとなってしまう。
また、C形コア32は、その幅が均一で、大きな間隔を開けて発熱ローラ1の回転軸方向に複数個配置されているので、背面コア9及び励磁コイル5に熱が蓄積することはない。さらに、背面コア9及び励磁コイル5の外周からの放熱を妨げるものが無いので、蓄熱による温度上昇によって背面コア9のフェライトの飽和磁束密度が低下して、全体としての透磁率が急激に減少することを防止することができる。また、線材の絶縁被覆が溶解して線材同士が短絡することを防止することができる。これにより、長時間にわたって安定に発熱ローラ1を所定の温度に保つことができる。
また、励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸方向における両端部が線束を重ねて形成されているので、より広い範囲にわたって励磁コイル5を発熱ローラ1の回転軸方向に均等に延伸することができる。これにより、発熱ローラ1の発熱分布を均一にすることができる。逆に、均一な発熱領域を確保しながら励磁コイル5の発熱ローラ1の回転軸方向における両端部の幅を小さくすることができるので、装置全体の小型化を図ることができる。
また、本実施の形態においては、発熱ローラ1の回転軸方向における長さが小さい順に、最大幅の記録紙、背面コア9、定着ベルト31、励磁コイル5の外周部、断熱部材34、発熱ローラ1となっている。すなわち、断熱部材34の長さが励磁コイル5及び背面コア9の長さよりも長い。そして、断熱部材34を介して背面コア9と発熱ローラ1及び定着ベルト31とが対向しているので、背面コア9を発熱ローラ1に近接させた場合であっても、背面コア9の温度上昇を防止することができる。また、冷却気流が定着ベルト31に接触して、定着ベルト31を冷却することを防止することができる。
また、定着ベルト31の幅が背面コア9の発熱ローラ1の回転軸方向における長さよりも長いために、定着ベルト31に接触しない部分の発熱ローラ1が加熱されることはないので、この部分の発熱ローラ1の温度が上昇し過ぎることを防止することができる。
また、コイルカバー29を設けることにより、背面コア9の背面にわずかに漏れる磁束や励磁コイル5から発生する高周波の電磁波が装置内外に伝搬することを防止することができる。その結果、装置内外の電気回路が電磁ノイズによって誤動作することを防止することができる。
さらに、コイルカバー29と断熱部材34とで囲まれた空間を通風路として、冷却ファン28からの空気流が流れるので、発熱ローラ1及び定着ベルト31を冷やすことなく、励磁コイル5と背面コア9を冷却することができる。
また、装置本体の底板25、天板26、本体シャーシ27の装置を構成する磁性部材は、励磁コイル5との間隔が最も近いもので20mmに設定されている。これにより、背面コア9の内部を通過している磁束が対向部F以外の箇所から励磁コイル5の外側へ放射されて、本体シャーシ27などの磁性部材へ入射することを防止することができる。その結果、装置の構成部材を不要に加熱することなく、励磁コイル5に与えた電磁エネルギーを効率良く発熱ローラ1へ投入することができる。励磁コイル5と本体シャーシ27などの磁性部材との間隔の最小値は20mmに設定されているが、背面コア9と本体シャーシ27などの磁性部材との間隔が、背面コア9と発熱ローラ1との間隔以上、望ましくはその間隔の1.5倍以上であれば、励磁コイル5の背面への磁束の漏れを防止することができる。本実施の形態においては、定着装置22に最も接近せざるを得ない定着紙ガイド21、排紙ガイド23が樹脂によって構成されているので、背面コア9と他の磁性部材との間に十分な間隔を容易に確保することができる。
また、本実施の形態においては、発熱ローラ1(発熱部)が定着ベルト31の内部に設置されている一方、励磁コイル5や背面コア9は定着ベルト31の外部に設置されているので、励磁コイル5等が発熱部の温度の影響を受けて昇温することを防止することができる。このため、発熱量を安定に保つことができる。特に、発熱ローラ1の内部の回転軸に垂直な面の断面積よりも大きな断面積を有する励磁コイル5及び背面コア9を用いるものであるため、熱容量の小さい発熱ローラ1と、巻き数の多い励磁コイル5と、適当な量のフェライト(背面コア9)とを組み合わせて用いることができる。このため、定着装置22の熱容量を抑制しながら、所定のコイル電流で多くの電力を発熱ローラ1へ投入することが可能となる。その結果、耐電流及び耐電圧の低い安価な励磁回路6(図2参照)を用いて、ウォームアップ時間の短い定着装置22を実現することができる。本実施の形態においては、励磁回路6からの交流電流が実効値電圧140V(電圧振幅500V)、実効値電流22A(ピーク電流55A)で800Wの電力を発熱ローラ1へ投入することができた。
発熱ローラ1の外側に位置する励磁コイル5は発熱ローラ1の表面を発熱させるので、定着ベルト31は発熱ローラ1の最も発熱量の大きい部分に接触することとなる。従って、最大発熱部が定着ベルト31への熱伝達部となり、発生した熱を発熱ローラ1内での熱伝導なしに定着ベルト31へ伝達することができる。このように、熱伝達距離が小さいので、定着ベルト31の温度変動に対して応答の速い制御を行うことが可能となる。
発熱ローラ1の定着ベルト31との接触部を通り過ぎた位置の近傍には、温度センサ(図示せず)が設けられている。この部分の温度を一定に制御することにより、定着ローラ35と加圧ローラ4とのニップ部に突入するときの定着ベルト31の温度を常に一定に保つことができる。その結果、連続して複数枚の記録紙8を定着する場合であっても、その定着を安定に行うことが可能となる。
また、励磁コイル5及び背面コア9が発熱ローラ1の円周のほぼ半分を覆っているので、定着ベルト31と発熱ローラ1との接触部の全域が発熱することになる。このため、励磁コイル5から発熱ローラ1へ電磁誘導によって伝達される加熱エネルギーをより多く定着ベルト31へ伝達することができる。
また、本実施の形態においては、発熱ローラ1と定着ベルト31の材質、厚さ等は各々独立して設定することができる。従って、発熱ローラ1の材質、厚さとして、励磁コイル5の電磁誘導による加熱を行うために最適な材質、厚さを選ぶことができる。また、定着ベルト31の材質、厚さとしては、定着を行うために最適な材質、厚さを選ぶことができる。
本実施の形態においては、ウォームアップ時間を短縮するという目的を達成するために、定着ベルト31の熱容量を極力小さく設定すると共に、発熱ローラ1の厚さと外径を小さくしてその熱容量を小さく設定している。このため、投入電力800Wで、定着のための昇温の開始から約15秒で所定の温度にすることができた。
尚、本実施の形態においては、C形コア32が発熱ローラ1の回転軸方向に均等な間隔を開けて配置されているが、この間隔は必ずしも均等である必要はない。放熱状況や温度センサなどの接触部材の有無などに応じて間隔を調整することにより、温度分布が均一となるように発熱分布を自由に設計することができる。
また、本実施の形態においては、背面コア9が、発熱ローラ1の回転軸方向に間隔を開けて配置されたフェライトからなる均一厚さの複数のC形コア32と、同じくフェライトからなる中心コア33とにより構成されているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、発熱ローラ1の回転軸方向に連続した一体の背面コア9に複数の孔を設けた構成であってもよい。また、フェライトからなる複数のブロックを、励磁コイル5の背面にそれぞれ孤立して分布させた構成であってもよい。
また、本実施の形態においては、定着ベルト31の基材が樹脂によって構成されているが、樹脂の代わりにニッケルなどの強磁性金属を用いて構成することもできる。この場合には、電磁誘導による発熱の一部がこの定着ベルト31内で発生し、定着ベルト31そのものも加熱されるので、加熱エネルギーを定着ベルト31へより有効に伝えることができる。
また、本実施の形態においては、装置本体の底板25、装置本体の天板26、本体シャーシ27が磁性材料によって構成されているが、磁性材料の代わりに樹脂材料を用いて構成することもできる。この場合には、装置本体の強度を担う部材が磁力線に影響を与えることはないので、背面コア9の近傍にこれらの部材を配置することができる。その結果、装置全体の小型化が可能となる。
また、本実施の形態においては、発熱ローラ1の両端がベアリング3によって支持された構成となっているが、図14に示すように、発熱ローラ1の両端に設けられ、ベークライト等の熱伝導性の小さい耐熱樹脂によって構成されたフランジ36と、両フランジ36を貫通する中心軸37とによって支持された構成であってもよい。この構成を採用すれば、発熱ローラ1の両端からの熱や磁束の漏れを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、定着ベルト31の移動方向における励磁コイル5の励磁幅を、定着ベルト31と発熱ローラ1の接触範囲(巻き付き範囲)以下に設定しているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、図10Bに示すように、定着ベルト31の移動方向における励磁コイル5の励磁幅が定着ベルト31と発熱ローラ1の接触範囲(巻き付き範囲;境界線b)から定着ローラ35側へ延長されていてもよい。この構成によれば、図10Aの構成に比べて、発熱ローラ1のさらに広い範囲(図10B中のaの範囲)まで発熱させることができるので、小さいコイル電流でも十分な発熱量を得ることができる。また、この場合、線束を周回して励磁コイル5を形成した後、励磁コイル5を圧縮することにより、周回する線束の断面を略四角形状として、線束同士をさらに密着させている。これにより、励磁コイル5の占有体積を小さくすることができるので、励磁コイル5の巻数をより多くすることができる。その結果、コイル電流の電流密度が大きくなるので、発熱ローラ1に生じる渦電流の密度も大きくなり、発熱量が増加する。このため、必要とされるコイル電流を小さくしたり、発熱ローラ1を小径化することが可能となる。さらに、背面コア9と励磁コイル5との間隔を大きくすることができるので、背面コア9の放熱を促進して、背面コア9の温度上昇を防止することができる。また、線束が互いに強く密着しているので、線束間の接着が強固となり、励磁コイル5単体でその形状を保持することができる。従って、定着装置22の組立工程が簡単になる。
(第5の実施の形態)
図15は本発明の第5の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す断面図である。尚、上記第4の実施の形態と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図15に示すように、本実施の形態においては、上記第4の実施の形態と異なり、背面コア9の対向部Fの発熱ローラ1に対向する箇所が、発熱ローラ1へ近接するように凸状に形成されている。
その他の構成は上記第4の実施の形態と同様である。
本実施の形態の構成によれば、磁路をほぼ完全にフェライトによって構成することができる。従って、コイル電流によって生じた磁束が通過する透磁率の低い空気部分は、発熱ローラ1と背面コア9との間の狭い間隙部分だけとなる。このため、励磁コイル5のインダクタンスがより増加して、コイル電流によって発生する磁束がほぼ完全に発熱ローラ1へ導かれる。その結果、発熱ローラ1と励磁コイル5との電磁結合が良好となり、図4の等価回路におけるRが大きくなる。従って、同じコイル電流でもより多くの電力を発熱ローラ1へ投入することが可能となる。本実施の形態においては、実効値電流20A(ピーク電流50A)で800Wの電力を発熱ローラ1へ投入することができた。
また、断熱部材34を介して背面コア9と発熱ローラ1及び定着ベルト(図示せず)が対向しているので、背面コア9を発熱ローラ1に近接させた場合であっても、背面コア9の温度上昇を防止することができる。
(第6の実施の形態)
図16は本発明の第6の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す断面図、図17は発熱部を図16の矢印Aの方向から見た投影図である。尚、上記第5の実施の形態と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図16、図17に示すように、本実施の形態においては、上記第5の実施の形態と異なり、背面コア9の対向部Fとして発熱ローラ1の回転軸方向に連続した対向コア38が設けられている。また、A4サイズ(幅210mm)の記録紙が最大幅の記録紙として用いられており、発熱ローラ1の回転軸方向の長さは240mm、対向コア38を除いたC形コア32の発熱ローラ1の回転軸方向における最外端間の長さは200mm、励磁コイル5の内周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは210mm、対向コア38の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さは220mmに設定されている。
その他の構成は上記第5の実施の形態と同様である。
本実施の形態においては、励磁コイル5の透磁部Tの発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さ(励磁コイル5の内周部における発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さ)を最大幅の記録紙の幅よりも小さくする一方、背面コア9の対向部Fの発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さ(対向コア38の発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さ)を最大幅の記録紙の幅よりも大きくしているので、透磁部Tにおける背面コア9に隙間を設けて偏在させても、対向部Fから発熱ローラ1へ達する磁界を回転軸方向に均一にすることができる。これにより、透磁部Tにおける背面コア9を少なくしながら、記録紙が通過する部分での発熱ローラ1の発熱分布を均一にすることができるので、定着部での温度分布が均一となる。従って、安定した定着作用を得ることができる。また、発熱ローラ1の発熱分布を均一にしながら、透磁部Tにおける背面コア9を少なくすることができるので、装置の小型化と同時にコストの低減を図ることができる。
尚、本実施の形態においては、背面コア9の対向部Fとしての対向コア38が発熱ローラ1の回転軸方向に連続して設けられているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、図18に示すように、対向コア38を分断し、背面コア9を、透磁部Tよりも対向部Fの方が発熱ローラ1の回転軸方向に幅の広い形状となるように構成してもよい。この構成によれば、対向部Fにおける背面コア9が少なくなるので、背面コア9の重量を軽くすることができる。また、温度が高くなり易い対向部Fの表面積を増加させることができるので、放熱による冷却を促進させることができる。
(第7の実施の形態)
図19は本発明の第7の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す断面図、図20は発熱部を図19の矢印Aの方向から見た投影図である。尚、上記第5の実施の形態と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図19、図20に示すように、本実施の形態においては、上記第5の実施の形態と異なり、C形コア38が発熱ローラ1の回転軸に対して略90度の範囲を覆う形状に形成されており、設置する向きを変えたC形コア38a、38bが発熱ローラ1の回転軸方向に千鳥状に配置されている。すなわち、背面コア9の対向部Fは発熱ローラ1の回転軸方向の励磁コイル5の中心線に対して非対称な位置に配置されている。
上記第5の実施の形態においては、発熱ローラ1の同一円周部分がC形コア32の2箇所の対向部Fと対向して回転するために、発熱ローラ1のC形コア32との対向部分とそれ以外の部分の発熱量に大きな差が生じ、温度分布に大きなムラが生じ易い。一方、本実施の形態においては、発熱ローラ1の同一円周部分がC形コア38の1箇所の対向部Fと対向して回転するために、発熱ローラ1のC形コア38との対向部分とそれ以外の部分の発熱量に大きな差が生じることはない。また、使用する背面コア9の体積を小さくしながら、発熱ローラ1が回転したときに、発熱ローラ1の表面での背面コア9の対向部Fと対向した部分の軌跡の間隔が短くなる。すなわち、対向部Fの発熱ローラ1の回転軸方向に沿った長さを上記第6の実施の形態と同様に220mmに設定すると、一方の列にはC形コア38が5個並んでいるので、ピッチは44mmとなるが、千鳥状に2列のC形コア38a、38bが配列されているので、発熱ローラ1が回転すると、千鳥状の対向部Fと対向した部分のピッチは、発熱ローラ1の表面では、見かけ上、半分の22mmとなる。このように、本実施の形態においては、発熱ローラ1のC形コア38との対向部分とそれ以外の部分の発熱量に大きな差が生じることはなく、また、発熱が集中する対向部Fの間隔が小さくなるので、発熱分布を均一にすることができる。その結果、発熱ローラ1及び定着ベルトの温度ムラを抑制することができる。
また、対向部Fにおける背面コア9が少なくなるので、背面コア9の重量を軽くすることができる。さらに、背面コア9の表面積を増加させることができるので、放熱による冷却を促進させることができる。このため、背面コア9の内部に局所的に熱が蓄積することはない。これにより、蓄熱による温度上昇によって背面コア9の飽和磁束密度が低下して、全体としての透磁率が急激に減少することを防止することができる。その結果、長時間にわたって安定に発熱ローラ1を所定の温度に保つことができる。
(第8の実施の形態)
図21は本発明の第8の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す断面図、図22は発熱部を図21の矢印Aの方向からみた投影図である。尚、上記第4の実施の形態と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図21、図22に示すように、本実施の形態は、隣接するC形コア32の間隔を発熱ローラ1の回転軸方向に沿って変化させて構成した点で、上記第4の実施の形態と相違する。図22おいて、d1=21mm、d2=21mm、d3=18mmである。従って、d1=d2>d3の関係となる。つまり、発熱ローラ1の端部で隣接する背面コア9の間隔が狭くなっている。また、定着ベルトの表面に接触して温度を測定する温度センサ7を設置した位置と軸方向で同じ位置に、5mm角のフェライトからなるブロック40が設置されている。
ところで、隣接する背面コア9の間隔を均等にすると、発熱ローラ1及び定着ベルトの端部の温度が低くなることがある。そして、この発熱ローラ1の回転軸方向における温度ムラは定着不良を生じさせる。
本実施の形態においては、上記したように、発熱ローラ1の中央部よりも端部の方で隣接する背面コア9の間隔が狭くなっているので、コイル電流によって生じる磁束は、発熱ローラ1の中央部よりも端部の方で若干多くなる。このため、発熱ローラ1の端部において発熱量が多くなる。一方、発熱ローラ1の端部においては、軸受などへの熱伝導により、中央部よりも多くの熱が奪われ易い。従って、この両方の作用が相殺されて、発熱ローラ1及び定着ベルトの温度分布が均一となるので、定着不良を防止することができる。
また、温度センサ7が定着ベルトの表面に接触しているので、温度センサ7によって定着ベルトから熱が奪われることがある。このため、温度センサ7が接触した部分だけ、定着ベルトの円周方向で温度が低くなり易い。
本実施の形態においては、上記したように、この部分にフェライトからなるブロック40が設置されているので、この部分には他の部分よりも磁束が集中し易い。このため、他の部分よりもこの部分で発熱量が多くなる。これにより、温度センサ7によって奪われる熱を補完して、定着ベルトの表面の温度分布を均一にすることができるので、定着不良を防止することができる。
尚、本実施の形態においては、発熱ローラ1の端部で隣接する背面コア9の間隔を狭くすることにより、均一な温度分布が得られるようにしているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、隣接する背面コア9の間隔は均等にし、発熱ローラ1の端部に位置する背面コア9の幅を、発熱ローラ1の中央部に位置する背面コア9の幅よりも広くすることによっても、同様に均一な温度分布を得ることができる。また、例えば、隣接する背面コア9の間隔は均等にし、発熱ローラ1の端部に近い範囲にフェライトからなるブロックを孤立して配置することによっても、同様に均一な温度分布を得ることができる。
(第9の実施の形態)
図23は本発明の第9の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す投影図、図24は本発明の第9の実施の形態における像加熱装置としての定着装置の発熱部を示す断面図である。尚、上記第4の実施の形態と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図23、図24に示すように、本実施の形態においては、上記第4の実施の形態と異なり、発熱ローラ1の端部に近い箇所に位置する背面コア9のC形コア32a、32bが移動可能に保持されている。さらに、本実施の形態においては、A3サイズ(幅297mm)の記録紙が最大幅の記録紙として用いられている。C形コア32aは、A4サイズ(幅210mm)の記録紙が通過する領域の外側に位置しており、A4サイズ程度の記録紙が使用される場合には、図24に破線32a’で示すように、C形コア32aが発熱ローラ1の径方向に、かつ、発熱ローラ1から離れるように移動する。さらに小さいサイズの記録紙が使用される場合には、C形コア32aの内側に位置しているC形コア32bも同様に移動させる。
その他の構成は上記第4の実施の形態と同様である。
本実施の形態においては、記録紙が通過する領域の外側のC形コア32が移動して、この部分だけ、コイル電流によって生じた磁束が通過する透磁率の低い空気部分が多くなる。このため、この部分の磁束が減少し、対向する部分の発熱ローラ1の発熱量が低減される。これにより、記録紙が通過しない範囲の温度が上昇し過ぎて、端部の定着ベルトや軸受などの部材の温度が耐熱温度を超えることを防止することができる。さらに、小さいサイズの記録紙を連続して使用した後に、大きいサイズの記録紙を使用しても、定着部の温度が適正であるために、ホットオフセットが生じることを防止することができる。従って、小さいサイズの記録紙を用いた直後に大きいサイズの記録紙を用いることができる。
尚、本実施の形態においては、C形コア32のみが移動可能な場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、図25に示すように、C形コア32aと中心コア33とが一体となって、破線9’で示すように移動する構成であっても、同様の効果が得られる。
また、上記各実施の形態においては、励磁コイル5と背面コア9とを接触させているが、両者の間に1mm程度の隙間を設けた場合であっても、同様の効果を得ることができる。このように励磁コイル5と背面コア9との間に隙間を設けることにより、励磁コイル5と背面コア9との接触部で温度が上昇することを防止することができる。
また、上記各実施の形態においては、断熱部材34と励磁コイル5とを接触させているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、断熱部材34と励磁コイル5とは離間した構成とし、両者の間を気流が通過するように構成することにより、励磁コイル5の放熱をさらに促進させることができる。
また、励磁コイル5、背面コア9、発熱ローラ1の構成は、上記各実施の形態の構成に限定されるものではない。図4の等価回路におけるインダクタンスLが10μH以上50μH以下、抵抗成分Rが0.5Ω以上5Ω以下であれば、実用上問題はない。
また、上記各実施の形態においては、励磁コイル5によって発熱ローラ1(発熱部材)の外部から励磁する場合を例に挙げて説明したが、発熱ローラ1(発熱部材)の内部から励磁する構成であってもよい。