JP2008159317A - X線管装置およびそれを用いたx線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】X線管装置の電子線を偏向する偏向磁場を適正化して、焦点位置の移動や焦点寸法の補正を行う。
【解決手段】X線管10の外囲器16に近接して、偏向磁場発生手段である電磁石40が配設される。電磁石40はコの字形の鉄芯42と巻線44を有し、鉄芯42の棒状体の端面42a、42bは傾斜面に加工され、その端面42a、42b間の間隙46に偏向磁場が形成される。端面42a、42bの傾斜面はX線主放射方向35において管軸48から離れるにつれて間隙46間の距離が大きくなるように加工されている。このため、電磁石40を励磁したとき、偏向磁場の磁場強度が管軸48に近い所では高く、遠い所では低くなる。この偏向磁場で電子線を偏向した場合従来の強度の均一な偏向磁場の場合と比べ大きな焦点長さ寸法が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線CT装置などに使用されるX線管装置に係わり、特に焦点を形成する電子線を偏向磁場によって偏向してターゲット上の焦点の位置を移動することができるX線管装置に関する。
回転陽極X線管装置は、回転陽極X線管の高速で回転する回転陽極のターゲットに陰極で発生した電子線を衝突させ、ターゲットからX線を発生させるように構成されている。回転陽極において、ターゲットは回転機構によって回転可能に支持され、回転機構はターゲットが連結された回転体とこれを支持する固定体などから構成され、回転体と固定体の間には軸受が設けられている。また、回転陽極の周りには、その回転体を回転駆動するためのステータが配置されている。
回転陽極X線管装置においては、陰極のフィラメントから放出された電子線は、陰極と回転陽極との間に印加されるX線管電圧、例えば100〜150kVの電圧によって加速されるとともに集束されて、ターゲットに衝突し、X線発生源となる実焦点を形成する。高いエネルギー、例えば100〜150keVのエネルギーを持った電子がターゲットに衝突すると、電子はターゲット内で急速に減速され、制動X線が発生し、ターゲットの実焦点からX線が放出される。このとき、ターゲットに衝突する電子の運動エネルギーのうち約1%程度がX線に変換され、残りの99%のエネルギーが熱に変換されることになるため、この熱によってターゲットが加熱される。この熱により、ターゲットの温度は全体としては約1000℃程度に、実焦点面の温度は2000℃以上に上昇し、更にこの熱が回転陽極を構成する各部に熱伝導することで、各部の温度が上昇し数100℃に達する。この温度上昇に伴い回転陽極の各部が熱膨張し、ターゲットが回転陽極の中心軸(通常X線管の中心軸に相当する)に沿って陰極側に移動する。このときのターゲットの移動量は500μm以上になり、このターゲットの移動の結果、ターゲット上の実焦点の位置が同量だけ移動することになる。
X線管装置の実焦点の位置が移動することにより、これを搭載したX線検査装置、例えばX線CT装置では、そのX線検出部(線量計)に入射するX線の線量分布が変動し、X線画像を劣化させるという問題が生じている。この問題は特にX線CT装置で小さなスライス幅で検査する場合に顕著になっている。
上記のX線管装置の実焦点の移動の問題の対応策としては、X線管装置自体で行うものと、X線装置のX線管装置を支持する部分で行うものなどが提案されている。前者の例としては、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1には、X線管の陰極からの電子線を偏向コイルで偏向して、陽極のターゲット上で実焦点の位置を移動して、補償する技術が開示されている。この技術は、先ず、X線管装置では、X線管の外側の陰極の近傍に偏向コイルを配置し、この偏向コイルに電流を流すことにより、電子線を円盤状ターゲットの半径方向に偏向する偏向磁場を発生させる。次に、X線装置側では、X線検出部にて、X線量分布などからX線管の実焦点の移動量を検出する。次に、上記の偏向コイルに流す電流量を調整して、電子線をターゲット上で半径方向に偏向する。この電子線の偏向により実焦点の位置は上記の実焦点の移動方向とは逆の方向に移動し、上記の実焦点の移動量を補償する。
米国特許5,550,889号公報
後者の例としては、X線管装置を支持する支持台にX線管装置全体をX線管の陽極の回転軸と平行な方向に移動するための移動機構を設け、この移動機構をX線管装置の実焦点の移動量を検出する焦点移動量検出機構と共働させて、この移動機構によってX線管装置を実焦点の移動とは逆方向に同じ移動量だけ移動することによって、X線管装置の実焦点の移動量を補償するものがある。この従来例では、X線管装置全体を移動させることになるため、移動機構が大きな構造体となってしまうという問題点をかかえている。
特許文献1に記載されたX線装置では、X線管の陰極から放出された電子線を偏向磁場発生手段によって形成した偏向磁場によって容易に偏向することが可能である。その結果として、陽極のターゲット上に形成される実焦点の位置を移動することは容易に実施できる。しかし、上記の偏向磁場発生手段ではX線管の陰極と陽極間の空間にほぼ均一な磁場強度の偏向磁場を形成するために大径のコイルを使用していることから以下に述べるような問題がある。
第1の問題は、X線管装置がX線CT装置に搭載された時、偏向磁場発生手段である大径のコイルによって生成された磁束がX線管装置のX線管容器を通して外部に漏れて、スキャナ回転時に上記の偏向磁場発生手段が周囲に磁束を生成しながら回転することになり、スキャナ本体の構成材に渦電流を発生させてしまうという問題である。
第2の問題は、偏向磁場発生手段は、銅線などを大径のコイルに巻いたものであるので、偏向磁場発生時の磁場発生効率が悪く、コイルから多量の熱を放出するというもので、このコイル自身の発熱に対する冷却手段について配慮されていないという問題がある。
第3の問題は、X線管の陰極から放出された電子線を上記の偏向磁場発生手段によって形成したほぼ均一な偏向磁場で偏向した場合にはターゲット上に形成される実焦点の面積が増加する場合と減少する場合が生じ、前者の場合にはX線を利用する方向であるX線主放射方向から見た実効焦点の長さ寸法が大きくなってX線撮影時の解像度の低下を引き起こし、後者の場合には、実焦点の面積の減少により実焦点面の温度が上昇しX線管としての耐負荷性が低下するというものである。
第3の問題は電子線を偏向した場合の実焦点の長さ寸法の変化に起因するものであり、本発明と密接に関係するので、以下図7を用いて詳しく説明する。図7はX線管の陰極からの電子線をほぼ均一な磁場強度の偏向磁場で偏向した場合の実焦点の長さ寸法の変化を説明するための図である。図7(a)は電子線をX線管の中心軸に近づく方向に偏向した場合、図7(b)は電子線をX線管の中心軸から離れる方向に偏向した場合のものである。図7には、X線管の電子線が走行する部分、すなわちX線管の陰極12(陰極支持体24)と回転陽極14とが対向する部分とその近傍を拡大して示してある。図7(a)において、陰極12の集束電極22と回転陽極14の円盤状のターゲット28の傾斜面28aが対向して配置され、集束電極22に内包されるフィラメント20から放出された電子線18がターゲット28の傾斜面28aに向けて走行し、ターゲット28に衝突し、X線を発生する。このときターゲット28面上に電子線18の断面積に相当する実焦点(X線源)100が形成される。X線管の陰極12と回転陽極14との間には60〜150kVの高電圧が印加され、集束電極22とターゲット28の傾斜面28aとの間の空間にはほぼ均一な磁場強度の偏向磁場が形成されている。この場合の偏向磁場は電子線18を電磁力によって矢印101の方向に偏向するためのものであるので、その磁束は紙面の背面側から前面側に向けてのものである。図7(a)において、電子線18の実線の輪郭線100a、100bは偏向磁場をかけない状態での電子線100のものであり、電子線18の破線の輪郭線102a、102bは磁束が前面側に向く偏向磁場を与えた状態での電子線102のものである。以下、偏向磁場を与えない状態での電子線100を無磁場電子線100と、磁束が前面側に向く偏向磁場を与えた状態での電子線102を前面向磁束付与電子線と呼ぶことにし、また電子線18のX線管の中心軸48に近い側の輪郭線100a、102aを内側電子線と、X線管の中心軸48から離れた側の輪郭線100b、102bを外側電子線と呼ぶことにする。
また、図7(a)において、電子線18に上記の偏向磁場を与えた場合、電子線18はX線管の中心軸48に近づく方向に偏向されるが、内側電子線102aと外側電子線102bとでは陰極12と回転陽極14間での走行距離が異なり、外側電子線102bの方が長くなるため、均一な磁場強度の偏向磁場で偏向したときには外側電子線102bの方が内側電子線102aよりも大きく偏向される。その結果、前面向磁束付与電子線102がターゲット28の傾斜面28に衝突するときの内側電子線102aと外側電子線102bとの間隔102cは、無磁場電子線100の内側電子線100aと外側電子線100bとの間隔100cより小さくなる。ここで、内側電子線と外側電子線との間隔は実焦点の長さ寸法に相当するので、上記の結果から前面向磁束の偏向磁場による電子線の偏向によって、偏向後の実焦点の長さ寸法102cが偏向前の実焦点の長さ寸法100cより減少し、これに伴い実焦点の面積も減少することになる。この実焦点の面積の減少によりX線管の耐負荷性が低下することになる。また、偏向後の実効焦点の長さ寸法102dは偏向前の実効焦点の長さ寸法100dより減少する。
次に、図7(b)では、偏向磁場の磁束の向きが図7(a)とは逆向きで紙面の前面側から背面側に向けてのものとなる。その他は図7(a)の場合と同様である。図7(b)において、偏向磁場の磁束の向きが図7(a)とは逆向きとなるため、電子線18は矢印103に示す如く偏向磁場によってX線管の中心軸48から離れる方向に向けての電磁力を受けてX線管の中心軸48から離れる方向に偏向される。ここで、磁束が背面側に向く偏向磁場を与えた状態での電子線104を背面向磁束付与電子線、そのX線管の中心軸48に近い側の輪郭線104aを内側電子線、そのX線管の中心軸48から離れた側の輪郭線104bを外側電子線と呼ぶことにする。この場合にも内側電子線104aと外側電子線104bとでは陰極12と回転陽極14間での走行距離が異なり、外側電子線104bの方が長くなるため、外側電子線104bの方が内側電子線104aより大きく偏向される。その結果、背面向磁束付与電子線104がターゲット28の傾斜面28aに衝突するときの内側電子線104aと外側電子線104bとの間隔104cは無磁場電子線100の間隔100cより大きくなる。これらの間隔100c、104cは実焦点の長さ寸法に相当するので、電子線18が背面向磁束の偏向磁場によって偏向された場合には実焦点の長さ寸法104cは偏向前の実焦点の長さ寸法100cより大きくなる。その結果、背面向磁束の偏向磁場による偏向後のX線主放射方向から見た実効焦点の長さ寸法104dも偏向前の実効焦点の長さ寸法100dよりも大きくなり、X線撮影時の解像度の低下を引き起こす原因となる。
以上に鑑み、本発明では、X線管の陰極からの電子線を偏向磁場を用いて偏向した場合に、実焦点の寸法に変化がなく、耐負荷性や解像度の低下がなく、X線管装置の外部への磁場漏洩を低減させたX線管装置およびそれを用いたX線装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のX線管装置では、電子を放出する電子発生源と、電子発生源から放出された電子を細いビーム状の電子線に集束する集束電極とを有する陰極と、陰極と対向して配置され、その対向面上に電子線が衝突してX線を放射するX線源(以下、実焦点という)が形成されるターゲットを有する陽極と、陰極と陽極とを真空気密に封入する外囲器とを具備するX線管と、X線管の外囲器の周辺部に配設されて、陰極からの電子線を偏向するための偏向磁場を、X線管の陰極と陽極の間の空間に形成する偏向磁場発生手段と、X線管と偏向磁場発生手段を内包するX線管容器とを具備するX線管装置において、偏向磁場発生手段は、前記偏向磁場の磁場強度および向きに関わらず、前記実焦点をX線主放射方向から見た寸法(以下、実効焦点寸法という)を実質的に一定値に維持する手段を備えたものである(請求項1)。
また、本発明のX線管装置では、偏向磁場発生手段がX線管の陰極と陽極との間の電子線が走行する空間(以下、偏向磁場空間という)に形成する偏向磁場の磁場強度は、X線管の中心軸(以下、管軸と略称する)と直交し、X線主放射方向と平行な方向において、距離と共にほぼ単調に増加または減少するものである(請求項2)。
また、本発明のX線管装置では、電子を放出する電子発生源と、電子発生源から放出された電子を細いビーム状の電子線に集束する集束電極とを有する陰極と、陰極と対向して配置され、その対向面上に電子線が衝突してX線を放射する実焦点が形成されるターゲットを有する陽極と、陰極および陽極を真空気密に封入する外囲器とを具備するX線管と、X線管の外囲器の周辺部に配置されて、陰極からの電子線を偏向するための偏向磁場をX線管の偏向磁場空間に形成する偏向磁場発生手段と、X線管と偏向磁場発生手段を内包するX線管容器とを具備するX線管装置において、偏向磁場発生手段は1個以上の電磁石を備え、この電磁石は偏向磁場が作られる間隙(ギャップ)を持つ鉄芯と、鉄芯に巻かれた巻線とを有し、この電磁石はその鉄芯の間隙内にX線管の偏向磁場空間を内包するように配設されている。
また、本発明のX線管装置では、電磁石の鉄芯の間隙を作る両側の端面は、その両端面間の距離がX線主放射方向においてほぼ単調に増加または減少するように形成されている。また、電磁石の鉄芯の両端面のうち少なくとも一方の端面はX線主放射方向において傾斜する面である。
また、本発明のX線管装置では、偏向磁場発生手段は2個以上の電磁石を有し、隣接する電磁石は鉄芯の端面がX線主放射方向にほぼ平行にかつ近接して並ぶように配列され、鉄芯の間隙に発生する偏向磁場のX線主放射方向の磁場強度に差がつくように励磁され、偏向磁場発生手段全体として偏向磁場のX線主放射方向の磁場強度がほぼ単調に増加または減少するようにしたものである。
また、本発明のX線管装置では、前記偏向磁場発生手段は2個のほぼ同じ励磁能力を有する電磁石を有し、2個の電磁石の鉄芯の端面がX線主放射方向にほぼ平行にかつ近接して並ぶように配列され、2個の電磁石の巻線に流す励磁電流に差を設けたものである。
また、本発明のX線装置は、X線管装置と、X線検出手段と、X線制御手段と、X線画像形成手段とを具備するX線装置において、X線管装置は本発明のX線管装置であり、X線検出手段がX線管装置の実焦点の位置の移動を検出する焦点位置移動検出手段を、X線制御手段がX線管装置の偏向磁場発生手段を制御する偏向磁場制御手段をそれぞれ具備し、焦点位置移動検出手段からの焦点位置移動情報および実効焦点寸法の情報に基づき、偏向磁場制御手段が偏向磁場発生手段によって形成される偏向磁場の磁場強度を調整するものである(請求項3)。
また、本発明のX線装置では、偏向磁場発生手段は鉄芯と巻線を有する電磁石であり、偏向磁場制御手段は電磁石に励磁電流を供給する電磁石電源と、電磁石電源を制御する電磁石電源制御部を具備する。
本発明のX線管装置では、X線管の外囲器の周辺部に配設された偏向磁場発生手段によって、X線管内の陰極と陽極間の偏向磁場空間内に陰極からの電子線を偏向する偏向磁場を形成して、電子線を偏向して実焦点をX線主放射方向から見た実効焦点寸法がほぼ一定値に、かつ実効焦点の位置がほぼ一定の位置に維持されるようにしているので、使用中に焦点位置が移動してX線画像にアーチファクトが生じてしまうという問題や、焦点寸法が大きくなってX線画像の画質が低下するという問題や、焦点寸法が小さくなってX線管の耐負荷性が低下するという問題などが除かれ、高性能を維持することができる(請求項1)。
また、本発明のX線管装置では、X線管内の偏向磁場空間内に偏向磁場発生手段によってX線主放射方向と平行な方向において磁場強度がほぼ単調に増加または減少する偏向磁場を発生することができるので、実効焦点の管軸方向における移動と、実効焦点の長さ寸法の増減が可能となる。通常、磁場強度が単調増加する偏向磁場では実効焦点の長さ寸法は減少し、単調減少する偏向磁場では実効焦点の長さ寸法は増加する。上記の組合せにより、実効焦点の移動の補正および実効焦点の長さ寸法(実焦点の長さ寸法)の補正を行い、X線画像の画質の改善およびX線管の耐負荷性の改善を図ることができる(請求項2)。
また、本発明のX線管装置では、X線管内の偏向磁場空間に偏向磁場を発生する偏向磁場発生手段は、偏向磁場が作られる間隙を持つ鉄芯と巻線を有する電磁石を備え、その鉄芯の間隙内に偏向磁場空間が内包されているので、電磁石の発生する磁束の広がりは鉄芯内と、鉄芯の間隙とその周辺部に集中することになり、従来品における鉄芯のない大径の巻線のみの偏向磁場発生手段の場合と比べ、磁束の広がりは格段に縮小される。その結果、X線CT装置のスキャナに搭載して回転したときに、偏向磁場発生手段によって発生した磁束によってスキャナ本体の構成材に渦電流を発生させてしまうというような問題も回避される。また、上記の電磁石は鉄芯に巻線を巻いて、鉄芯の間隙内に偏向磁場を作るための磁束を発生させているので、偏向磁場発生時の磁場発生効率は従来の巻線のみの電磁石の場合と比べて格段に改善され、巻線からの放熱も大幅に低減される。
また、本発明のX線管装置では、偏向磁場発生手段の電磁石の鉄芯の間隙を作る両端面間の間隔がX線主放射方向において変化し、ほぼ単調に増加または減少するように形成されているので、鉄芯の間隙に内包される偏向磁場空間のX線主放射方向における磁場強度も、ほぼ単調に減少または増加する(間隔が大きい所では磁場強度は低く、間隔が小さい所では磁場強度は高くなる)。その結果、両端面間の間隔がほぼ単調に増加する場合には実効焦点の長さ寸法を大きくすることができ、間隔がほぼ単調に減少する場合には実効焦点の長さ寸法を小さくすることができる。また、電磁石の鉄芯の両端面または一方の端面をX線主放射方向において傾斜面としたときには、鉄芯の端面の形状は単純となり、端面の傾斜角度を変えることにより、間隙の間隔の変化の割合や磁場強度の変化の割合などを容易にかつ色々と変えることができる。同時に、端面の形状が単純なので加工も容易になり、加工費の低減に寄与する。
また、本発明のX線管装置では、偏向磁場発生手段は偏向磁場発生能力の異なる電磁石を2個以上有し、電磁石の鉄芯の端面がX線主放射方向にほぼ平行にかつ近接して並ぶように配列され、それらの電磁石によってX線管内の偏向磁場空間に形成される偏向磁場の磁場強度はX線主放射方向においてほぼ単調に増加または減少するので、前者の場合には実効焦点の長さ寸法を小さくすることができ、後者の場合には実効焦点の長さ寸法を大きくすることができる。両者を必要に応じて使い分けることにより、実効焦点の移動の補正とともに実効焦点の長さ寸法の補正を行うことができる。
また、本発明のX線管装置では、偏向磁場発生手段は2個のほぼ同じ仕様の電磁石を有し、2個の電磁石はその鉄芯の端面がX線主放射方向にほぼ平行にかつ近接して並ぶように配列され、2個の電磁石の巻線に流す励磁電流に差を設けているので、2個の電磁石によってX線管内の偏向磁場空間に形成される偏向磁場の磁場強度はX線主放射方向においてほぼ単調に増加または減少するものとなる。その結果として、2個の電磁石の巻線の励磁電流を制御することにより、実効焦点の移動の補正や実効焦点の長さ寸法の補正を行うことができる。
また、本発明のX線装置では、本発明のX線管装置と、X線検出手段と、X線制御手段と、X線画像形成手段を具備し、X線検出手段が実焦点の位置の移動を検出する焦点移動検出手段を、X線制御手段がX線管装置の偏向磁場発生手段を制御する偏向磁場制御手段をそれぞれ具備し、焦点移動検出手段からの焦点位置移動情報および実効焦点寸法の情報に基づき、偏向磁場制御手段がX線管内の偏向磁場の磁場強度を調整できるので、X線装置の使用中にX線管の焦点位置の移動や実効焦点寸法の変化が起こったときにはそれらの補正を容易に行うことができ、X線管装置の高性能を維持することができる(請求項3)。
また、本発明のX線装置では、偏向磁場発生手段は鉄芯と巻線を有する電磁石であり、偏向磁場制御手段は電磁石に励磁電流を供給する電磁石電源と、電磁石電源を制御する電磁石電源制御部を具備しているので、焦点移動検出手段からの焦点位置移動情報および実効焦点寸法の情報に基づいて、電磁石電源制御部によって電磁石電源から電磁石の巻線に供給される励磁電流を調整することにより、X線管内の偏向磁場空間に発生する偏向磁場の磁場強度を適正化して、焦点位置の移動の補正や実効焦点寸法の補正を行うことができる。
以下、本発明の実施例を添付図面により説明する。本発明に係るX線管装置およびそれを用いたX線装置は、従来品に対してX線管の陰極から放出された電子線を偏向磁場発生手段にて偏向する技術を改良したものであり、偏向磁場発生手段とその制御手段が相違することが主な特徴点であるので、以下の説明ではそれらの部分を重点的に説明する。図1は、本発明に係るX線管装置の第1の実施例のX線管とその周辺部の構造図、図2は本実施例のX線管装置でのX線管の電子線の偏向状況を説明するための図、図3と図4は本発明に係るX線管装置を適用するX線装置の一実施例の外観図と概略構成図、図5は本実施例のX線管装置に含まれる偏向磁場発生手段の制御について説明するための図である。
図1において、図1(a)は本発明に係るX線管装置の第1の実施例に内装されるX線管とその周辺部に配置される偏向磁場発生手段を示したものであり、図1(b)は図1(a)のA視図を示したものである。本実施例のX線管装置は、従来のX線管装置と同様に、X線管の他に、X線管を内包しX線の遮蔽をするX線管容器と、X線管をX線管容器の内壁などに支持するX線管支持体と、X線管容器内に充填されてX線管などに印加される高電圧を絶縁しX線管などから放出される熱を冷却する絶縁油と、X線管の陽極(回転陽極)を回転駆動するステータと、X線管に高電圧やフィラメント加熱電圧などを供給するためのケーブルレセプタクルと、X線を外部に取り出すためのX線放射窓などを備えている。これらの構成要素は従来のX線管装置とほぼ同様な構造と機能を有するものであるので、詳細な説明は省くことにする。以下のX線管装置の実施例においても同様である。
図1(a)において、X線管10は回転陽極X線管で、陰極12と、回転陽極14と、外囲器16とから構成されている。陰極12は電子を放出するフィラメント20と、フィラメント20を内包し、電子を細いビーム状の電子線18に集束するための集束溝を有する集束電極22と、集束電極22を固定、支持する陰極支持体24と、陰極支持体24を絶縁支持し、外囲器16に結合されるステム26などから構成される。回転陽極14はタングステンまたはタングステン合金などから成る円盤状のターゲット28と、ターゲット28を支持する略円筒状のロータ30と、ロータ30を回転自在に支持する軸受(図示せず、ロータ30内に含まれる)と、軸受を支持する固定部32などから構成される。外囲器16は通常ガラスまたはセラミックなどの絶縁物から成り、陰極12と回転陽極14を対向させて絶縁支持し、真空気密に内包する。外囲器16の材料としては一部に金属材料が用いられる場合もあるが、本発明では陰極12からの電子線18を偏向するための磁場を陰極12とターゲット28との間の空間に外囲器16の外側から形成させることになるので、外囲器16の少なくとも中央部については非磁性の金属材料を使用する必要がある。また、陰極12からの電子線18はターゲット28の円盤の傾斜面28aに衝突し、X線34を発生し、このX線34はX線管装置のX線管放射窓から外部に取り出されて、X線診断などに利用される。ターゲット28の傾斜面28a(図2(a))の電子線18が衝突した部分にX線源36が形成されるが、このX線源36は通常焦点(実焦点)と呼ばれる。ここでX線34が外部に放射される範囲のほぼ中心軸となる方向で、X線管の中心軸と直交する方向は通常X線主放射方向35と呼ばれ、図示ではX線34の矢印に相当する。また、実焦点36をX線主放射方向35から見たものが実効焦点と呼ばれる。
図1(a)において、X線管10の周辺部に電磁石40が配置されている。この電磁石40はX線管10の陰極12の集束電極22と回転陽極14のターゲット28との間の空間(以下、偏向磁場空間という)37に陰極12からの電子線18を偏向するための磁場を形成するための偏向磁場発生手段である。図1(a)のX線管10の陰極側から見たA視図を図1(b)に示す。図1(a)、(b)において、電磁石40は鉄芯42と巻線44などから構成される。鉄芯42は大略コの字形の棒状体で、鉄や珪素鋼板などの磁性体から成る。鉄芯42の棒状体の断面は通常円形または四角形に形成されているが、他の形状であってもよい。鉄芯42の棒状体の両方の端面42a、42bはほぼ対向し、両端面42a、42b間の間隙(ギャップ)46に偏向磁場が形成される。鉄芯42の棒状体のほぼ中央部は巻線部42cで、この巻線部42cに巻線44が巻かれる。巻線44は絶縁エナメルなどを被覆した銅線を数十ターンから百数十ターン巻いたものである。この巻線44には磁場発生時に数A(アンペア)の励磁電流が流れる。
電磁石40は通常接地電位またはそれに近い電位に保持されるため、その鉄芯42および巻線44は絶縁のためX線管10の外囲器16から少し離して配置され、X線管容器の内壁などに支持体を介して支持される。電磁石40の巻線44への電流はステータの附勢電流と同様にX線管容器の壁面を通して外部のX線装置のX線制御部から導入される。
本実施例では、鉄芯42の棒状体の両端面42a、42bを傾斜面などとし、X線主放射方向35と平行な方向において場所の変化とともに両端面42a、42b間の距離が変化するようにしている。図1(b)の例では、両端面42a、42bを傾斜面とし、両端面42a、42b間の距離はX線管の中心軸(以下、管軸と略称する)48に近い方で狭く、管軸48から遠い方で広くなっている。他の例としては、端面42a、42bの傾斜面を逆勾配とし、両端面42a、42b間の距離を管軸48に近い方で広く、管軸から遠い方で狭くしてもよい。このように鉄芯42の棒状体の端面42a、42bを形成することにより、両端面42a、42b間のギャップ46に発生する偏向磁場は、管軸48を中心軸とする座標系の半径方向において磁場強度が半径距離に従って変化することととなり、上記の前者の場合には、磁場強度は半径距離とともに減少し、後者の場合には、半径距離とともに増加することになる。
次に、図2を用いて、本実施例のX線管装置でのX線管の電子線の偏向状況について説明する。図2には、簡単のためX線管の陰極の集束電極と回転陽極のターゲットとの対向部分を拡大して示している。図2において、図2(a)はX線管の電子線の偏向状況を、図2(b)は電子線が走行する偏向磁場空間の管軸48を中心軸とする半径方向の磁場強度分布の一例を示す。図2(a)には、比較のため、従来品のほぼ均一な磁場強度の偏向磁場によって偏向した場合の電子線の偏向状況についても示した。先ず、図2(b)において、実線Aは本実施例の偏向磁場、破線Bは従来品の偏向磁場を示す。横軸は回転陽極の中心軸(管軸48に相当)からの半径距離で、縦軸は磁場強度を示す。従来品の偏向磁場(B)が半径方向でほぼ一様な磁場強度分布であったのに対し、本実施例の偏向磁場(A)は管軸48に近い側で磁場強度が高く、半径が大きくなるとともに減少し、管軸48から遠い側で磁場強度が低くなっている。
次に、図2(a)には、X線管の陰極の集束電極22と回転陽極のターゲット28との対向部分が拡大して示してある。陰極の集束電極22とターゲット28の円盤の傾斜面28aが対向し、集束電極22に内包されるフィラメントなどの電子発生源から放出された電子線18はターゲット28に向けて走行し、ターゲット28の傾斜面28a上の実焦点36に衝突し、実焦点36からX線を放射する。偏向磁場は集束電極22とターゲット28の傾斜面28aとの間に形成される。偏向磁場の磁束の向きは紙面の背面側から前面側に向かい、この磁束によって電子線18は矢印50で示す管軸48に向かう電磁力を受けて管軸48側に偏向する。図2(a)に示した電子線は図2(b)の偏向磁場を用いて管軸48を中心軸として半径方向に偏向したもので、実線52は本実施例によるもの、破線54は従来品のものである。本実施例の偏向磁場で偏向された電子線52は実線の内側輪郭線(以下、内側電子線という)52aと外側輪郭線(以下、外側電子線という)52bを有し、従来品の偏向磁場で偏向された電子線54は破線の内側電子線54aと外側電子線54bを有する。本実施例のものと従来品の偏向磁場の磁場強度を比較すると、本実施例のものは管軸48に近い電子線の内側の部分では磁場強度が従来品より高く、管軸48から遠い電子線の外側の部分では磁場強度が従来品より低くなっているので、本実施例の電子線52では、内側電子線52aは従来品の内側電子線54aより大きく管軸48側に偏向され、外側電子線52bは従来品の外側電子線54bより小さく管軸48側に偏向されることになる。その結果、本実施例の内側電子線52aと外側電子線52bの間隔に相当する実焦点の長さ寸法52cは、従来品の内側電子線54aと外側電子線54bの間隔に相当する実焦点の長さ寸法54cよりも大きくなるので、実焦点面積が従来より増加し、X線管としての耐負荷性が改善される。また、X線主放射方向から見た実効焦点の長さ寸法についても、本実施例の長さ寸法52dは従来品の長さ寸法52dより長くなっており、偏向前(偏向磁場を全くかけていない状態)の長さ寸法とほぼ同じ寸法になっている。
本実施例のX線管装置において、電磁石40の鉄芯42の端面42a、42bの傾斜面を図1(b)とは逆の勾配にしたときは、上述の如く、両端面42a、42b間の距離が管軸48に近い方で広く、管軸48から遠い方で狭くなり、その結果磁場強度は管軸48に近い方で低く、管軸48から遠い方で高くなるため、従来品の均一な磁場強度の偏向磁場の場合と比較して、内側電子線は管軸48側により小さく偏向され、外側電子線は管軸48側により大きく偏向されることになるため、この偏向により、内側電子線と外側電子線との間隔、すなわち実焦点の長さ寸法は従来品のものより小さくなる。従って、上記の偏向磁場は、実焦点の長さ寸法を小さくして、X線画像の解像度を向上しようとする場合などに適用できる有効な手段である。また、本実施例では、電磁石40の鉄芯42の端面42a、42bを傾斜面としているので、その形状は単純であり、その傾斜面の傾斜角度を変えることにより、ギャップ46の間隔の変化の割合や磁場強度の変化の割合などを容易にかつ色々と変えることができる。同時に、端面42a、42bの形状が単純なので加工も容易になる。
図2(a)においては、矢印50の向きの電磁力を発生させて、電子線18を管軸48側に偏向させたが、電磁力40の巻線44に流す励磁電流の向きを、逆にすることにより、電磁力の向きを矢印50の向きとは逆にし、電子線18を管軸48から離れる方向に偏向することができる。この場合の電子線の偏向を均一な磁場強度の偏向磁場で偏向した従来品の場合と比較すると、内側電子線は管軸48から遠い側により大きく偏向され、外側電子線は管軸48から遠い側により小さく偏向されることになるため、内側電子線と外側電子線との間隔、すなわち実焦点の長さ寸法は均一な磁場強度の偏向磁場で偏向した従来品より小さくすることができる。また、電磁石40の鉄芯42の端面42a、42bの傾斜面が図1(b)とは逆勾配の場合で、巻線44に逆方向の励磁電流を流した場合には、内側電子線と外側電子線との間隔、すなわち実焦点の長さ寸法は均一な磁場強度の偏向磁場で偏向した従来品より大きくすることができる。また、上記のいずれの場合も、巻線の励磁電流の向きを変える前のものに対し、実焦点の位置はターゲット28の外側に移動し、その結果実効焦点は管軸48方向において陽極側に移動する。
また、本実施例のX線管装置においては、図1に示す如く、偏向磁場発生手段である電磁石40として、鉄芯42に巻線44を巻いたもので構成しているため、巻線44によって作られる磁束は鉄芯42に集中され、その端面42a、42bにおいて周りの空間に発散し、集束されることになるため、この磁束はX線管の陰極12の集束電極22と回転陽極14のターゲット28との間の偏向磁場空間の近傍に集まることになり、従来品の巻線コイルだけの電磁石の場合に比べ、磁束の発散は格段に少なくなり、偏向磁場発生時の磁場発生効率も格段に改善される。その結果、従来品に比べX線管装置の外部への磁束の漏洩は格段に低減され、更に電磁石40の巻線44からの放熱も大幅に低減される。
本実施例のX線管装置では、内装するX線管を回転陽極X線管として説明したが、X線管はこれに限定されず、固定陽極X線管であってもよい。また、偏向磁場発生手段としての電磁石の鉄芯の端面は傾斜面として説明したが、この端面の役割はギャップ46内の偏向磁場空間37に管軸48と直交するX線主放射方向と平行な方向において、磁場強度が距離と共にほぼ単調に変化する。すなわち増加または減少する偏向磁場を形成することにあるので、全体としては略傾斜している階段状のものや角面状のものや凹面状のものや凸面状のものなどであってもよい。また、図示の例では、鉄芯の両方の端面を傾斜面としたが、一方の端面のみを傾斜面とし、他方の端面は棒状体の軸線と直交する平面などにしてもよい。また、鉄芯の棒状体の断面は一様ではなく、端面の近傍で面積が大きくなってもよい。
次に、本実施例のX線管装置を搭載したX線装置の実施例について説明する。図3は本実施例のX線管装置を搭載したX線CT装置の要部の外観図、図4はその概略構成を示すブロック図、図5は本実施例のX線管装置の電磁石の制御について説明するための図である。図3には、本実施例のX線管装置を搭載したX線CT装置のガントリーと患者テーブルの外観図が示してある。図3において、X線CT装置は患者66のX線減衰データを収集するガントリ60と、患者66を載置する患者テーブル65と、これらを制御し、駆動する制御部(図4参照)と、上記のX線減衰データから患者66のX線画像を作る画像再構成部(図4参照)などから構成される。ガントリ60は略円板状をしていて、患者66の周りを回転するスキャナ61と、スキャナ61を回転自在に支持する略長方形状の支持台62とから成る。スキャナ61は中心部に患者66を収容する開口67を有し、その開口67を挟んでX線管装置63と線量計64が対向して支持されている。患者テーブル65には患者66が載置され、検査時に患者66の被検部がスキャナ61の開口部67に挿入される。
図4において、X線CT装置70は、ガントリ60と患者テーブル65の他に、ガントリ60を駆動し、スキャナ61の回転を制御するガントリ駆動部71と、X線管装置63にX線管電圧やフィラメント加熱電圧などを供給し、X線放射を制御するX線制御部72と、線量計64で計測したX線量データを収集するX線量データ収集部73と、患者テーブル65を駆動し患者66の検査時の被検部66aの位置決めをするテーブル駆動部74と、X線量データ収集部73で収集したX線量データに基づいて患者66の被検部66aのX線画像を再構成する画像再構成部75と、操作者がキーボードなどでガントリ60を操作するための指示や操作のためのパラメータなどを入力する操作卓76と、操作卓76からの指示やパラメータに基づいて、ガントリ駆動部71、X線制御部72、X線量データ収集部73、テーブル駆動部74、画像再構成部75などに制御のための信号や情報などを供給するコンピュータ(CPUと略称する)77と、画像再構成部75で再構成したX線画像データなどを蓄積しておくデータ記憶部78と、画像再構成部75で再構成したX線画像などを表示するモニター装置79などから構成される。
図3および図4において、ガントリ60のスキャナ61に、X線管装置63と線量計64が、開口67を間に挟んで対向して配置される。ここで、X線管装置63からは幅の狭い扇状のX線80が放射され、線量計64では上記の扇状のX線80を検出できるように多数個の検出素子81が扇状に配列されている。患者66の被検部66aの検査時には、患者テーブル65に載置された患者66の被検部66aがスキャナ61の開口67に挿入され、スキャナ61の中心軸82の周りをスキャナ61と共にX線管装置63と線量計64が回転し、X線管装置63からX線80が放射され、患者66の被検部66aを透過したX線が線量計64の検出素子81によって計測され、検出素子81によって計測されたX線量データがX線量データ収集部73で収集される。画像再構成部75ではX線データ収集部73で収集したスキャナ61の1回転分のX線量データに基づいて患者66の被検部66aのX線画像を再構成する。ここで再構成された患者66の被検部66aのX線画像はモニター装置79に表示される。また、このX線画像の画像データはデータ記憶部78に蓄積される。上記においては、スキャナ61の1回転分の動作について説明したが、スキャナ61を連続的に回転し、同時に患者テーブル65を連続的に移動して患者66の被検部66aを連続的に移動することにより、患者66の予め指定された範囲の被検部66aについての複数枚のX線画像を再構成することも可能である。
次に、図5および図4を用いて、本実施例のX線管装置に含まれる偏向磁場発生手段の制御について説明する。図5に示したものは、X線管の焦点位置の移動を焦点位置センサにて検知して、その検知結果に基づいて偏向磁場発生手段の動作を制御し、焦点位置の移動を補正するものである。図5において、X線管に偏向磁場を付与する偏向磁場発生手段である電磁石40はX線管装置63内に収容されており、X線制御部72内の電磁石電源85から電源の供給を受ける。更に、この電磁石電源85は同じくX線制御部72内の電磁石電源制御部86によって電圧(または電流)の極性や電圧値(または電流値)などが制御される。電磁石電源制御部86には線量計64に含まれる焦点位置センサ87からX線管の焦点位置の移動量のデータが入力される。焦点位置センサ87は通常図4において線量計64の中央から最も離れた端部に配置されており、焦点位置の移動によるX線80の線量分布の変化を計測する方式のものが用いられている。
X線管の焦点位置の移動の補正の操作としては、図4および図5において、先ず、線量計64の焦点位置センサ87によってX線管の焦点位置の移動、すなわち移動方向と移動量を計測する。移動方向としては、X線管の陽極側か、陰極側かである。例えば、X線管の回転陽極のターゲットの温度上昇による焦点移動では、陰極側へ約0.5mm程度の移動データが計測されることになる。次に、焦点位置センサ87の計測データが電磁石電源制御部86に入力され、この計測データに基づいて電磁石電源85が制御される。電磁石電源制御部86では、電磁石の巻線に流す電流(励磁電流)の流れる方向(電圧の極性)と電流値を制御することにより、X線管内に発生させる偏向磁場の磁束の流れる方向と磁場強度を制御する。このため、巻線の励磁電流の流れる方向は焦点位置の移動方向によって、巻線の励磁電流の電流値は焦点位置の移動量によってそれぞれ決定される。次に、電磁石電源制御部86の制御によって電磁石電源85が作動することにより、X線管装置63内の電磁石40の巻線に励磁電流が流れ、X線管内に偏向磁場が形成され、陰極からの電子線が所望の偏向を受け、焦点位置の移動が補正される。このとき、実焦点の寸法については電磁石の作る偏向磁場の適正な磁場強度分布によって自動的に補正されることになる。
上記の図5の例では、電磁石電源制御部86への入力を焦点位置センサ87のみとしているが、電磁石電源制御部86への入力はこれに限定されず、他の入力を入れてよいことは言うまでもない。例えば、X線管の陰極からの電子線の偏向量がX線管電圧の電圧値によって大きく変化するような場合には、X線管電圧の電圧値を入力して、電磁石の励磁電流を制御することが可能である。
次に、図6を用いて、本発明に係るX線管装置の第2の実施例について説明する。図6は、本発明に係るX線管装置の第2の実施例のX線管とその周辺部の構造図を示したものである。本実施例のX線管装置の他の部分の構造は第1の実施例のX線管装置のものと同様であり、従来のX線管装置とほぼ同様な構造をしている。図6において、図6(a)はX線管装置に内装されるX線管とその周辺部に配置される偏向磁場発生手段を示したものであり、図6(b)は図6(a)のB視図である。
図6(a)において、X線管10は第1の実施例のものと同じ構造をしている。偏向磁場発生手段は2個の電磁石、すなわちX線管10の外囲器16に近接して配置される第1の電磁石88と、第1の電磁石88の外側に配置される第2の電磁石89とから構成される。第1の電磁石88は鉄芯90と巻線91とから構成され、第2の電磁石89は鉄芯92と巻線93とから構成されている。鉄芯90、92と巻線91、93は第1の実施例とほぼ同じ構造をしているが、鉄芯90、92の端面90a、90b、92a、92bは傾斜面ではなく、対向する平行面である。また、2個の電磁石88、89の鉄芯90、92の端面90a、92a、端面90b、92bはほぼ密着して配置される。このとき、鉄芯90の端面90a、90bは管軸48に近い側に、鉄芯92の端面92a、92bは管軸48から遠い側に、かつ全ての端面がX線主放射方向35にほぼ平行になるように配置され、鉄芯90、92の端面90a、90b、92a、92bからの磁束で形成される偏向磁場の中心がX線管の陰極からの電子線の走行路とほぼ一致するように配置される。鉄芯90、92の巻線部90c、92cは絶縁や放熱を考慮して少し離して配置される。電磁石88、89の巻線91、93の巻回数は通常等しい回数となる。
偏向磁場発生手段の動作時には、第1の電磁石88と第2の電磁石89の巻線91と巻線93には異なる電流値の励磁電流を流すことにより、電磁石88、89の鉄芯90、92のギャップ46には、管軸48を中心軸とする半径方向で磁場強度の異なる偏向磁場が形成される。例えば、巻線91の電流値を巻線93の電流値より大きくした場合には、偏向磁場の管軸48に近い側の磁場強度が高く、管軸48から遠い側の磁場強度が低くなる。また、逆に巻線91の電流値を巻線93の電流値より小さくし場合には、偏向磁場の管軸48に近い側の磁場強度が低く、管軸48から遠い側の磁場強度が高くなる。このように、2個の電磁石88、89の巻線91、93に流す電流値を変えることにより、第1の実施例の場合と同様に、X線管の陰極からの電子線を偏向する偏向磁場について、管軸48を中心軸とする半径方向で磁場強度がほぼ傾斜状または階段状に変化するような磁場分布の偏向磁場を形成することができるので、第1の実施例と同様に、X線管の焦点位置の移動の補正を行うことができる。
また、本実施例においても、電磁石88、89の巻線91、93に流す励磁電流の向き(電圧の極性)を変えることができるので、第1の実施例の場合と同様に、巻線91、93の励磁電流の向きを変えることによって、X線管10の電子線18を管軸48に近い側に偏向したり、管軸48から離れる側に偏向したりすることができる。また、図示の例では、偏向磁場発生手段として2個の電磁石を用いたものを示して、電磁石の数はこれに限定されず、3個以上にしてもよい。
また、本実施例のX線管装置を使用するX線装置においては、図5において、X線制御部72に2個の電磁石電源を設け、X線管装置の第1の電磁石88および第2の電磁石89と接続し、第1の電磁石88の巻線91に流す励磁電流と第2の電磁石89の巻線93に流す励磁電流とを電磁石電源制御部86によって制御する構成となる。
本発明に係るX線管装置の第1の実施例のX線管とその周辺部の構造図。 本実施例のX線管装置でのX線管の電子線の偏向状況を説明するための図。 本発明に係るX線装置の一実施例の外観図。 本発明に係るX線装置の一実施例の概略構成図。 本実施例のX線管装置に含まれる偏向磁場発生手段の制御について説明するための図。 本発明に係るX線管装置の第2の実施例のX線管の周辺部の構造図。 X線管の電子線をほぼ均一な偏向磁場で偏向した場合の実焦点の長さ寸法の変化を説明するための図。
符号の説明
10・・・X線管
12・・・陰極
14・・・回転陽極
16・・・外囲器
18、52、54・・・電子線
22・・・集束電極
28・・・ターゲット
28a・・・傾斜面
34、80・・・X線
35・・・X線主放射方向
36・・・X線源(実焦点)
37・・・偏向磁場空間
40、88、89・・・電磁石(偏向磁場発生手段)
42、90、92・・・鉄芯
42a、42b、90a、90b、92a、92b・・・端面
42c、90c、92c・・・巻線部
44、91、93・・・巻線
46・・・間隙(ギャップ)
48・・・X線管の中心軸(管軸)
50・・・矢印
52a、54a・・・内側輪郭線(内側電子線)
52b、54b・・・外側輪郭線(外側電子線)
52c、54c・・・実焦点の長さ寸法
52d、54d・・・実効焦点の長さ寸法
60・・・ガントリ
61・・・スキャナ
63・・・X線管装置
64・・・線量計
67・・・開口
70・・・X線CT装置
72・・・X線制御部
73・・・X線量データ収集部
76・・・操作卓
77・・・コンピュータ(CPU)
81・・・検出素子
85・・・電磁石電源
86・・・電磁石電源制御部
87・・・焦点位置センサ
88・・・第1の電磁石
89・・・第2の電磁石

Claims (3)

  1. 電子を放出する電子発生源と、電子発生源から放出された電子を細いビーム状の電子線に集束する集束電極とを有する陰極と、陰極と対向して配置され、その対向面上に電子線が衝突してX線を放射するX線源(以下、実焦点という)が形成されるターゲットを有する陽極と、陰極および陽極を真空気密に封入する外囲器とを具備するX線管と、X線管の外囲器の周辺部に配設されて、陰極からの電子線を偏向するための偏向磁場を、X線管の陰極と陽極の間の空間に形成する偏向磁場発生手段と、X線管と偏向磁場発生手段を内包するX線管容器とを具備するX線管装置において、
    前記偏向磁場発生手段は、前記偏向磁場の磁場強度および向きに関わらず、前記実焦点をX線主放射方向から見た寸法(以下、実効焦点寸法という)を実質的に一定値に維持する手段を備えたことを特徴とするX線管装置。
  2. 請求項1記載のX線管装置において、前記偏向磁場発生手段がX線管の陰極と陽極との間の電子線が走行する空間に形成する偏向磁場の磁場強度は、X線管の中心軸と直交し、X線主放射方向と平行な方向において、距離と共にほぼ単調に増加または減少することを特徴とするX線管装置。
  3. X線管装置と、X線検出手段と、X線制御手段と、X線画像形成手段とを具備するX線装置において、前記X線管装置は請求項1および2記載のX線管装置であり、前記X線検出手段が前記X線管装置の実焦点の位置の移動を検出する焦点位置移動検出手段を、前記X線制御手段が前記X線管装置の偏向磁場発生手段を制御する偏向磁場制御手段をそれぞれ具備し、前記焦点位置移動検出手段からの焦点位置移動情報および実効焦点寸法の情報に基づき、前記偏向磁場制御手段が前記偏向磁場発生手段によって形成される偏向磁場の磁場強度を調整することを特徴とするX線装置。
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