JP2008156782A - ポリアリーレンスルフィド酸化物からなる紙 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィド酸化物からなる紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008156782A JP2008156782A JP2006347296A JP2006347296A JP2008156782A JP 2008156782 A JP2008156782 A JP 2008156782A JP 2006347296 A JP2006347296 A JP 2006347296A JP 2006347296 A JP2006347296 A JP 2006347296A JP 2008156782 A JP2008156782 A JP 2008156782A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- paper
- ppso
- strength
- dielectric breakdown
- density
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Paper (AREA)
- Organic Insulating Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】ポリアリーレンスルフィド酸化物(PPSO)で構成される絶縁破壊の強さが10kV/mm以上かつ密度0.50g/cm3以上の紙。
【効果】各種ケーブルや電線の被覆、プリント回路基板、モーターや変圧器などで使われる電気絶縁紙として利用することができる。また高い電気絶縁性を有することから電気絶縁紙が使用されている各種機器類の絶縁層のコンパクト化を可能にし、その性能向上に寄与する。
【選択図】なし
Description
下記一般式(1)
上述のような絶縁破壊の強さに優れ、密度が高い紙を得る上で重要な技術は予め酸化処理したPPSOを抄紙して、プレス前の通気度が1.0cc/cm2/sec以下である緻密なPPSOの紙を得た後に高温、高圧下でプレスを行なうことである。通気度が1.0cc/cm2/sec以下の紙を用いることで繊維間のわずかな空隙をプレスによる圧着でつぶすことが可能となり絶縁破壊の強さが向上する。また、高温高圧下でのプレスにより紙の紙面方向および厚み方向に存在する空隙が潰れるため高密度化が達成される。
A.融点
サンプル10mgを示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)で窒素下、昇温速度10℃/minで昇温し、観察される主吸熱ピークがあらわれる温度を測定することにより行った。
B.粘度
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、ズリ速度1000sec−1での見かけ粘度を測定した。
C.通気度
JIS−L−1906(2000年改正)フラジール型法に準じて、1サンプルにつき10cm角にカットした紙片8枚を使い23℃、相対湿度50%下でテクステスト社製の通気性試験機FX3300で試験圧力125Paで試験片を通過する空気量(cc/cm2/sec)の測定を有効数字2桁で行い、得られた8つの値の平均値を有効数字2桁で求め、通気度(cc/cm2/sec)として得た。なお、平均値が0.05(cc/cm2/sec)未満となる場合、通気度の値は0.05(cc/cm2/sec)未満とした。
D.厚み
JIS−L−1906(2000年改正)の試験法に準じて荷重10kPaで、23℃、相対湿度50%下で10cm角の紙片各1枚について紙面の角4点と中央部1点の計5箇所の厚みを0.001(mm)のオーダーまで測定した。5箇所で測定した結果の平均の値を求め、0.1μmのオーダーを四捨五入した値を厚みL(μm)とした。同一のサンプルに関して10cm角の紙片8枚から得られる厚みL(μm)の8つの値をさらに平均したものを求め、0.1μmのオーダーを四捨五入した値を平均厚みLmean(μm)とした。
E.坪量、密度
1サンプルにつき10cm角にカットした紙片8枚の合計重量(g)を23℃、相対湿度50%で測定し、紙面の面積である0.08m2で除して、有効数字3桁で坪量(g/m2)を算出した。また、この坪量の値を上記D.項で測定した平均厚みLmeanをcm単位にした値で除して有効数字2桁で密度(g/cm3)を算出した。
F. 絶縁破壊の強さ
1サンプルにつき10cm角にカットした紙片8枚のうち任意の5枚を使用し、JIS−K−6911(2006年改正)の試験方法に準じて、電極として上部φ5mm球状電極、下部φ10mm円板電極を使用して23℃、相対湿度50%の大気中にて、電圧上昇速度0.25kV/secにて測定を行い、絶縁破壊電圧の値を0.1kVのオーダーまで得た。得られた絶縁破壊電圧の値を各々の紙の厚みLの値をmm単位にした値で割って得られた5つの値I(kV/mm)を平均した値Imeanを有効数字2桁で求め、絶縁破壊の強さ(kV/mm)とした。
G.形態観察
抄紙に使ったPPSOと基準目盛りを走査型電子顕微鏡(ニコンESEM−2700)で150倍、400倍、3千倍、1万倍に拡大してPPSOの全体的な形状を把握し、粉状であれば粒径、繊維状であれば直径、フィブリル状物であればひげ状に伸びた部分の直径とアスペクト比を確認した。
H.引張強度
23℃、相対湿度50%の雰囲気下でオリエンテック社製テンシロンUCT−100を用いて、試料幅15mm、初期長20mm、引張速度20mm/minで最大点荷重の値を測定し、5回の測定の平均値を有効数字2桁で求め、引張強度(N/15mm)とした。
[参考例1]
(PPSの合成)
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩25モル、酢酸ナトリウム2.5モルおよびN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)を仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水を留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン25.3モルならびにNMPを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱されNMP中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥してPPS樹脂を得た。該PPS樹脂は融点282℃、温度320℃での粘度200Pa・sであった。
[参考例2]
(フィブリル状PPSOの作成)
参考例1で得られたPPS樹脂を融点が252℃、温度320℃での溶融粘度100Pa・sのポリエチレンテレフタレートを40:60(重量比)の割合で300℃の2軸混練機で混練しアロイポリマーを得た。このアロイポリマーを既存の単成分紡糸機を用い320℃の温度で紡糸を行った。このとき、吐出量35g/分、チムニーは温度25℃、風速25m/分、収束剤として一般的な油剤を塗布し、紡糸速度1000m/分で引き取り、350.7dtex36フィラメントのPPSアロイ未延伸糸を得た。さらにこの未延伸糸を第1ホットローラー温度が90℃、第2ホットローラー温度が150℃のローラー間で3.5倍で延伸して100dtex36フィラメントのPPSアロイ延伸糸を得た。この延伸糸は強度3.8cN/dtex、伸度40%であった。
[参考例3]
(繊維状PPSOの作成)
参考例1で得られたPPS樹脂のみを使って公知の紡糸機を用い、参考例2と同様な条件で吐出量を変更し溶融紡糸して1dtexのPPS延伸糸を得た。このPPS延伸糸を5mm長にカットして参考例2と同様に酸化反応させ、繊維状のPPSOを得た。得られた繊維をDSCで測定したところ、実質的に融点を持たず耐熱性良好であった。
[参考例4]
(粉状PPSOの作成)
参考例1で得られたPPS樹脂3.8gにNMP330gを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で10分間溶解した。その後400rpmで攪拌しながら10℃/分で急速冷却し、180℃到達時点で水98gを投入し、引き続き60℃まで冷却した。冷却後には非常に細かい粒子が分散した液体が得られた。この分散液を遠心分離して粒子を沈殿させ、沈殿を70℃の温水中で30分間攪拌して洗浄し、また遠心分離により沈殿する洗浄操作を5回繰り返した。洗浄後の沈殿を乾燥させたところ、粉状のPPSが得られた。この粉状PPSを参考例2と同様に酸化反応させて粉状のPPSOを得た。このサンプルの形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、直径数100nmの球状に近い微粒子であった。得られた粉状のPPSOをDSCで測定したところ、実質的に融点を持たず耐熱性良好であった。
参考例2で作成した含水状態の叩解繊維155gと第一工業製薬製のカチオン系分散剤(シャロールDC−303P:分子量30、000)123gを1リットルの水と共にブレンダー(オスター社「オスターブレンダーOB−1」)にて撹拌速度10300rpmで30分間撹拌して分散液を得た。
参考例2で作成した含水状態の叩解繊維77.5gと参考例3で作成した繊維状PPSO7.75gを使って実施例1と同様にして分散液を得て抄紙し、フィブリル状PPSO50重量%と繊維状PPSO50重量%からなる紙を得た。この紙の通気度の値を表1に示す。
参考例2で作成した含水状態の叩解繊維15.5gと参考例3で作成した繊維状PPS14.0gを使って実施例1と同様にして分散液を得て抄紙し、フィブリル状PPSO10重量%と繊維状PPSO90重量%からなる紙を得た。この紙の通気度の値を表1に示す。
参考例2で作成した含水状態の叩解繊維77.5gと参考例3で作成した繊維状PPSO7.02g、参考例4で作成した粉状PPSO0.78gを使って実施例1と同様にして分散液を得て抄紙し、フィブリル状PPSO50重量%、繊維状PPSO45重量%、粉状PPSO5重量%からなる紙を得た。この紙の通気度の値を表1に示す。
実施例3で得られた繊維状PPSO15.5gを使って実施例1と同様にして分散液を得て抄紙し、繊維状PPSO100重量%からなる紙を得た。この紙の通気度は表1に示すとおり、実施例1〜4に比べて非常に大きかった。
参考例1で得られたPPS樹脂と融点が252℃、温度320℃での溶融粘度100Pa・sのポリエチレンテレフタレートを30:70の割合で300℃の2軸混練機で混練しアロイポリマーを得た。このアロイポリマーを既存の単成分紡糸機を用い320℃の温度で紡糸を行った。このとき、吐出量35g/分、チムニーは温度25℃、風速25m/分、収束剤として一般的な油剤を塗布し、紡糸速度1000m/分で引き取り、350.7dtex36フィラメントのPPSアロイ未延伸糸を得た。さらにこの未延伸糸を第1ホットローラー温度が90℃、第2ホットローラー温度が150℃のローラー間で3.5倍で延伸して100dtex36フィラメントのPPSアロイ延伸糸を得た。この延伸糸を5mm長さにカットした後、温度98℃、濃度10%の水酸化ナトリウム水溶液に3時間浸しポリエチレンテレフタレートを溶出除去しPPSのナノファイバーを得た。
比較例2と同様にして、得たPPSOナノファイバーの分散液15.5リットルを使用して抄紙し、PPSOナノファイバーからなる紙を得た。
Claims (1)
- ポリアリーレンスルフィド酸化物で構成される絶縁破壊の強さが10kV/mm以上、かつ密度0.50g/cm3以上の紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006347296A JP2008156782A (ja) | 2006-12-25 | 2006-12-25 | ポリアリーレンスルフィド酸化物からなる紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006347296A JP2008156782A (ja) | 2006-12-25 | 2006-12-25 | ポリアリーレンスルフィド酸化物からなる紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008156782A true JP2008156782A (ja) | 2008-07-10 |
Family
ID=39658010
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006347296A Pending JP2008156782A (ja) | 2006-12-25 | 2006-12-25 | ポリアリーレンスルフィド酸化物からなる紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008156782A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63152499A (ja) * | 1986-12-10 | 1988-06-24 | 東レ株式会社 | 特殊紙状シ−ト |
JPH02264064A (ja) * | 1989-04-04 | 1990-10-26 | Toray Ind Inc | しわの無いシート状物の製法 |
JPH03891A (ja) * | 1989-05-26 | 1991-01-07 | Toray Ind Inc | ポリフェニレンスルフィド繊維からなる紙状材とその製造方法 |
JPH0397994A (ja) * | 1989-09-05 | 1991-04-23 | Teijin Ltd | 耐熱紙 |
JPH08209583A (ja) * | 1994-06-07 | 1996-08-13 | Kuraray Co Ltd | 芳香族ポリエステルからなる紙及びその製造方法 |
JP2006225807A (ja) * | 2005-02-18 | 2006-08-31 | Toray Ind Inc | パルプおよびその製造方法ならびにペーパー、電気絶縁材料 |
-
2006
- 2006-12-25 JP JP2006347296A patent/JP2008156782A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63152499A (ja) * | 1986-12-10 | 1988-06-24 | 東レ株式会社 | 特殊紙状シ−ト |
JPH02264064A (ja) * | 1989-04-04 | 1990-10-26 | Toray Ind Inc | しわの無いシート状物の製法 |
JPH03891A (ja) * | 1989-05-26 | 1991-01-07 | Toray Ind Inc | ポリフェニレンスルフィド繊維からなる紙状材とその製造方法 |
JPH0397994A (ja) * | 1989-09-05 | 1991-04-23 | Teijin Ltd | 耐熱紙 |
JPH08209583A (ja) * | 1994-06-07 | 1996-08-13 | Kuraray Co Ltd | 芳香族ポリエステルからなる紙及びその製造方法 |
JP2006225807A (ja) * | 2005-02-18 | 2006-08-31 | Toray Ind Inc | パルプおよびその製造方法ならびにペーパー、電気絶縁材料 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2008542557A (ja) | 導電性アラミド紙 | |
JP2005299069A (ja) | 合成紙およびその製造方法 | |
JP5144767B2 (ja) | ジアミノジフェニルスルホンから誘導されたフロックを含有する紙 | |
JP2023518231A (ja) | エーロゲル粉末とアラミドポリマーフィブリルとを含む紙 | |
CN104894922B (zh) | 包含m‑POD沉析纤维的纤维纸及其制备方法 | |
JP4342065B2 (ja) | フィブリル状物及びその製造方法 | |
TW201624499A (zh) | 絕緣紙 | |
JP4677919B2 (ja) | ポリフェニレンスルフィド・ナノファイバーから成るトウおよび短繊維束およびパルプおよび液体分散体および紙 | |
WO2016190163A1 (ja) | アラミド紙、及びその製造方法 | |
JP2009133033A (ja) | 合成繊維紙、電気絶縁紙および合成繊維紙の製造方法 | |
JP2008156782A (ja) | ポリアリーレンスルフィド酸化物からなる紙 | |
JP2009174090A (ja) | ポリフェニレンスルフィドからなる紙及びその製造方法 | |
JP4665579B2 (ja) | ポリフェニレンスルフィドを含むポリマーアロイ繊維から成るトウおよび短繊維束およびパルプおよび液体分散体および紙 | |
JP6405583B2 (ja) | 絶縁紙 | |
JP4701870B2 (ja) | ペーパー | |
JP4710344B2 (ja) | 電気絶縁材料 | |
WO2016188351A1 (zh) | 包含pod的纤维纸及制备其的方法 | |
JP3380267B2 (ja) | 耐熱性薄葉紙の製造方法 | |
TW201320107A (zh) | 芳香族聚醯胺-聚烯烴積層體 | |
JP2009079317A (ja) | ポリアリーレンスルフィド酸化物からなる紙及びその製造方法 | |
JPH06108400A (ja) | 電気絶縁シート | |
JP2009114601A (ja) | ポリアリーレンスルフィド酸化物紙及びその製造方法 | |
JPS5911685B2 (ja) | パルプ状物質の製造方法 | |
JP7176410B2 (ja) | メタアラミドとポリフェニレンサルファイドとを含む湿式不織布の製造方法 | |
JP2009013545A (ja) | ポリフェニレンスルフィド紙及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091028 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110707 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110719 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110913 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20111018 |