JP2008155011A - 密度計測装置およびその方法 - Google Patents

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Shigeo Tanaka
茂雄 田中
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Abstract

【課題】生体情報として生体内部の密度を光により計測できる小型でかつ安価の密度計測装置を提供する。
【解決手段】光の強度を変化させて測定対象の内部に光を照射する光照射部20と、照射された光の前記測定対象の内部からの反射光を受光する受光部30と、照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化傾向を算出する変化傾向算出部201と、前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する密度特定部202とを備えることを特徴とする密度計測装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、光を利用して、非侵襲に生体内部の密度を計測する密度計測装置およびその方法に関するものである。
生体の内部を測定するには様々な手法がある。従来、X線診断装置、X線CT装置などのX線を用いた計測方法や超音波エコーなどの超音波を用いた計測方法は、現在、医療診断装置として確立されており有用であるが、装置が高価で大型である。さらに、X線を用いた計測方法は、被測定対象である人体に有害であり、被爆させてしまう問題がある。一方、光を用いた計測方法は、被爆の問題がなく波長を選択することにより計測対象である化合物を選択できるという利点を有している。
光を利用し生体情報を計測する計測装置として、血中グルコース等の血液成分濃度や生体酸素モニタなどの生体成分濃度を推定する計測装置や、脳や筋肉におけるヘモグロビン・ミオグロビンの経時変化を計測する計測装置や、骨組織や骨密度などの生体内部の組織あるいは密度を計測する計測装置などが提案されている。
従来の光を利用し生体情報を計測する計測装置は、光プローブを生体皮膚表面に押し当て経皮で生体内部に光を照射し、透過または反射してきた光が再び皮膚を通過して生体外に出射したものを受光し、それに基づいて種々の生体情報を計算する。また、受光した光より、例えば、計測位置や深さ、濃度、密度などの生体情報を解析する。この解析手法には、強度が時間的に変化する光源を用い、光が到達する時間の違いから深さなどの情報を得る手法(時間分解法)などがある。時間分解法は、光信号の時間応答を分割して深さなどの情報と対応させるため、時間幅の狭い光源と時間応答の早い光検出器が必要となる(例えば、特許文献1参照)。
下記特許文献1記載の計測装置では、光プローブとしてレーザ光を用いたパルスレーザシステムを用い、骨組織にパルスレーザ光を照射して時間分解法による計測によって骨組織内の光散乱係数および光吸収係数を求める。それにより、より精度良く骨構造変化を解析することを実現している。
特開平09−70404号公報
しかしながら、従来の計測装置では、高価で大型であるという問題がある。
上記特許文献1記載のように、時間幅の狭い光源と時間応答の早い光検出器としてパルスレーザ光を実現するパルスレーザシステムなどの装置が必要となる。そして、このようなシステムを構成する装置は、多くのシステム構成要素を必要とするので、どうしても装置が大掛かりになり、高額になってしまう。
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたもので、生体情報として生体内部の密度を光により計測できる小型でかつ安価の密度計測装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の密度計測装置は生体密度を計測する密度計測装置であって、光の強度を変化させて測定対象の内部に光を照射する光照射手段と、照射された光の前記測定対象の内部からの反射光を受光する受光手段と、照射された光の強度に対
する受光した反射光の強度の変化傾向を算出する変化傾向算出手段と、前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する密度特定手段とを備えることを特徴とする。
この構成により、光照射手段は照射される光の強度を変化させるだけでよいので、光照射手段を構成する装置として、時短パルスや多波長の発光源を有する装置などの多くのシステム構成要素を必要とする特殊な装置構成を必要としない。また、従来、例えば皮膚組織の測定場所によっての厚みの変化や、使用する光源の特定などの影響などの、バックグランドの影響を除去するために光源などをキャブリレーションする必要があったが、本発明では、変化傾向を評価することにより、バックグランドの影響を除去することができるので、光源などをキャブリレーションするための装置構成を必要としない。それにより、小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。
また、前記変化傾向算出手段は、照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化率から変化傾向を算出してもよい。このとき、前記密度計測装置は、さらに、照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化率とから得られる変化傾向の曲線の変曲点を算出する変曲点算出手段とを備え、前記密度特定手段は、前記変曲点算出手段の算出した変曲点と前記変化傾向算出手段の算出した変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定してもよい。
この構成により、照射される光の強度と、その際検出される反射光の強度変化率との関係から得られる曲線の傾き、例えば、照射光強度と受光した反射光強度の対数比などで、測定対象の密度を評価することが可能になる。それにより、測定対象までに被測定対象ではない介在する領域がある場合でも、その影響を除いて生体内部の密度を評価できる。それにより、時短パルスや多波長の発光源を有する装置などの多くのシステム構成要素を必要とする特殊な装置構成を必要でないため、小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。
また、前記光照射手段は、測定対象との距離を変化させることで、測定対象の表面に照射される光の強度を変化させてもよい。
この構成により、照射される光の強度の変化を、光照射手段と測定対象との距離を変化させて行う。ところで、例えば、光照射手段の光の強度そのものを変化させた場合、半導体の非線形性が出てしまうことがあり正確な測定を阻害する要因となる場合がある。ここでは、その要因を回避でき、かつ同様の効果を得ることができる。
このとき、前記密度計測装置は、さらに、当該光照射手段と測定対象との間に挿入された参照散乱媒体を備えてもよい。
この構成により、光照射手段と測定対象との間に挿入されている参照散乱媒体の厚さを変化させることで、光照射手段から測定対象の表面に照射される照射光の強度を変化することができる。それにより、光照射手段と測定対象とのそのものの位置を移動させる必要がなくなるだけでなく、参照散乱媒体が既知の光散乱特性を有する場合、既知の光散乱特性を利用することで、例えば、光照射手段と測定対象となる骨との間に介在する皮膚組織に影響されずに測定対象となる骨の密度計測が可能となる。
また、前記変化傾向算出手段は、前記光照射手段と前記測定対象との距離に対する受光した反射光の強度との変化率から前記変化傾向を算出してもよい。
この構成により、光照射手段および測定対象の距離と測定対象の表面に照射される光の強度およびその反射光の強度の変化率との関係から得られる曲線の傾きで、測定対象の密度を評価することが可能になる。それにより、測定対象までに被測定対象ではない介在する領域がある場合でも、その影響を除いて生体内部の密度を評価できる。
また、前記密度特定手段は、さらに、前記光照射手段と前記測定対象との距離に対する前記変化傾向の積分に基づき、前記測定対象の密度を特定してもよい。
この構成により、光照射手段および測定対象の距離と測定対象の表面に照射される光の強度およびその反射光の強度の変化率との関係から得られる曲線を積分することで、測定対象までに被測定対象ではない介在する領域がある場合に、その介在する領域の影響を除去することができる。それにより、測定対象の密度を評価することが可能になる。
また、前記光照射手段より照射される光は、近赤外線光であってもよい。
これにより、照射される光に、生体の透過性が良い近赤外光を用いることで、測定対象である生体の密度を非侵襲的に評価することが可能になる。すなわち、生体情報として生体内部の密度を光により計測できる。
また、前記光照射手段は、発光ダイオードで構成され、前記受光手段は、フォトダイオードで構成されてもよい。
これにより、発光ダイオードおよびフォトダイオードは小型でかつ安価で手に入る構成要素であるので、小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。
また、前記測定対象は、骨であり、骨密度を計測することであってもよい。
これにより、骨密度を評価することができる。
また、前記光照射手段により照射される光の光軸と、前記受光手段における受光する光の光軸とは、同軸上に配置されてもよい。
これにより、照射される光が受光手段に届くまでの光の最短路長が短くなるので、照射される光の強度が弱くとも、受光手段に届きやすくなり、微弱な照射される光に対する検出感度があがる。それにより、より浅い部分の情報が正確になり、得られる生体密度計測値が正確になるので、精度のよい密度計測装置を実現することができる。
なお、本発明は、装置として実現するだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
本発明によれば、生体情報として生体内部の密度を光により計測できる小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態における密度計測装置について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
照射される光の強度を変化させることにより観察される反射光の強度の変化の傾向から、生体密度を評価する装置およびその方法(これを、強度分解法と呼ぶ。)について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における密度計測装置の一例を概略的に示すブロック図である。
密度計測装置1000は、光の強度を変化させ測定対象10に光を照射する光照射部20と、反射または散乱された光を受光する受光部30と、光照射部20の照射する光の強度を変化させる制御を行う制御部200と、制御部200からの光照射部20の照射する光の強度と受光部30からの受光した光の強度とに基づいて変化傾向を算出する変化傾向算出部201と、変化傾向算出部201で算出した変化傾向と予め用意されている参照データ203とに基づいて生体密度を特定する密度特定部202と、密度特定部202で計測された生体密度を表示する表示部204とから構成されている。
図2は、本発明の第1の実施の形態における測定対象10を計測する際の測定対象10と光照射部20と受光部30とについて模式的に示した図である。図2は、光照射部20から照射される光の強度を図2(a)および図2(b)、図2(c)の順に強くした場合に、測定対象10に照射された光の領域40が拡がりながら測定対象10の内部深くまで達し、それに応じて、測定対象10内部で反射または散乱し受光部30に受光される光が多くなることを示している。
ここで、一例として、測定対象10は骨であり、照射部20は発光ダイオード、受光部30はフォトダイオードである。また、照射部20の発光ダイオードは、例えば、生体の透過性が良い750〜2500nmの波長範囲の近赤外光を用いるとする。以下、生体密度として骨密度を評価する場合を説明する。
図2において、照射部20である発光ダイオードは、近赤外光の強度を変化させて測定対象10である骨に照射される。受光部30であるフォトダイオードは、測定対象10である骨の内部で反射・散乱した照射光の一部で、受光部30であるフォトダイオードまで到達した光を検出する。受光部30のフォトダイオードで検出される光の強度は、照射光強度変化に伴い変化する。また、受光部30のフォトダイオードで検出される光の強度は、骨密度に依存する光吸収・拡散特性を反映しているため、受光部30で検出したデータから骨密度を評価する。
図3は、本発明の第1の実施の形態における密度計測装置の生体密度の計測をする際の手順を示したフローチャートである。
まず、光照射部20を、測定対象10に押し当て、制御部200にて制御することにより光の強度を変化させて光照射部20を発光させる(S101)。
次に、光照射部20より測定対象10に照射され、測定対象10の内部で反射または散乱し、受光部30であるフォトダイオードまで到達した光を受光部30が受光する(S102)。
次に、変化傾向算出部201は、制御部200からの光照射部20の光の強度と受光部30からの受光した強度とに基づいて変化傾向を算出する(S103)。
次に、密度特定部202は、変化傾向算出部201で算出した変化傾向に基づいて生体密度を計測する(S104)。
次に、表示部204は、密度特定部202で計測された生体密度を表示する。
続いて、本発明の第1の実施の形態における密度計測装置1000の生体密度計測方法についての原理を以下に説明する。
図2において、照射部20である発光ダイオードからの照射光強度と受光部30であるフォトダイオードで検出される反射・散乱光強度は、ランバートベールの法則に従うため次の(数1)で示す関係となる。ここで、ランバートベールの法則とは、濃度と光の減衰の関係を表す法則である。したがって、濃度が透過率の対数すなわち吸光度に比例する関係の式で表すことができる。
ここで、I0は照射光強度、Iは反射・散乱光強度、μtは反射における減衰係数、Lは代表光路長である。
図4は、照射光強度I0と反射・散乱光強度Iの関係を示す図である。図4(a)は、(数1)式を概念的に示す図であり、図4(b)は(数1)式の減衰係数μtが変化した場合における照射光強度―反射・散乱光強度曲線(以下、I0−I曲線と記載。)の傾きの変化を模式的に示す図である。
図4(a)に示すように、(数1)式において、照射光強度I0が増加した場合、反射
・散乱光強度Iも増加し、その増加の仕方は減衰係数μtと代表光路長Lにより規定され
る。また、代表光路長Lは照射光強度I0の関数とみなせ、照射光強度I0が増加すると増加する。すなわち、照射光強度I0が増加すると照射光はより深部まで光が到達する。
光照射部20における照射光の強度を変化させた照射光強度I0と受光部30で計測される反射・散乱光強度Iとから、図4(b)に示すI0−I曲線を得る。ここで、横軸は、強度を変化させた照射光強度I0を示し、縦軸は、計測した反射・散乱光強度Iを示す。このI0−I曲線の傾きは生体の密度状態、例えば骨の密度状態を反映している。つまり、減衰係数μtが大きい場合とは生体内部の密度が低い状態、ここでは骨密度が低い状態を示すので、この場合にはI0−I曲線の傾きが小さくなる。逆に、減衰係数μtが小さい場合とは生体内部の密度が高い場合、ここでは骨密度が高い状態を示すので、この場合にはI0−I曲線の傾きが大きくなる。
以上より、I0−I曲線、すなわち、照射光強度―反射・散乱光強度曲線の傾きを調べることにより生体内部の密度状態、例えば骨密度を評価することができる。
(実施例)
実際に、牛大腿骨から採取した海綿骨チップをゼラチンに混ぜた模擬骨組織を測定対象10として計測した結果を以下に示す。用意した測定対象10の模擬骨の組織の空間密度が、20および90,240,340 mg/cmとなるように、ゼラチンと海綿骨チップを混ぜた。作製した測定対象10の模擬骨サンプルの上部を厚さ6mmのゼラチンで覆い、模擬皮膚層とした。使用した照射部20である近赤外光の発光ダイオードはピーク波長850nmであり、受光部30であるフォトダイオードはゲルマニウム・フォトダイオードを使用した。
図5(a)は、ゼラチン模擬骨試料に対するI0−I曲線およびI0−I曲線の傾きと骨密度の関係を示す図である。ここで、横軸は、強度を変化させた照射光強度I0を示し、縦軸は、計測した反射・散乱光強度Iを示す。
図5(a)は、測定対象10である各模擬骨の組織サンプルに対するI0−I曲線である。なお、この実験では、簡易的に照射光強度I0を照射部20である近赤外光の発光ダイオードへの印加電圧とし、また反射・散乱光強度Iを受光部30であるフォトダイオードでの検出電圧としている。反射・散乱光強度Iは、照射光強度I0が増加すると、増加
する傾向を示した。また、反射・散乱光強度Iは、海綿骨チップ密度が増加すると増加する傾向を示した。
図5(b)は、図3(a)において海綿骨チップ密度の違いをより反映している強い発光強度領域(光照射部20である近赤外光の発光ダイオード印加電圧4〜5V)でのI0−I曲線の傾き(近似直線から算出)と海綿骨チップ密度との関係を示す図である。ここで、横軸は骨密度を示し、縦軸は、I0−I曲線の傾きを示す。図5(b)より、両者、すなわち、I0−I曲線の傾きと海綿骨チップ密度との関係は、強い正の相関(r2=0.948)を示しているのがわかる。この結果から、I0−I曲線の傾きを用いて、骨密度を評価することが可能であるのがわかる。
なお、上述では、光照射部20として近赤外光の発光ダイオードを一例に説明しているが、波長も光学装置もそれに限定されない。また、同様に、受光部30として、フォトダイオードを一例に説明しているが、それに限定されない。また、測定対象10として、骨を一例に説明しているが、それに限定されない。
なお、光照射部20と受光部30とはより近接して配置するのが好ましく、光照射部20と受光部30とが同軸上に配置するのはさらに好ましい。また、光照射部20と受光部30とは、それぞれ一つずつからなってもよく、一対の装置として構成されていても良い。
なお、上述した強度分解法、すなわち、照射光の強度を連続的に変化させることにより観察される反射光強度の変化から、生体組織の密度を評価できる方法であるならば、本発明の範囲であり、上述した実施例に限定されない。
以上より、照射光の強度を変化させることにより観察される反射光強度の変化からI0−I曲線、すなわち、照射光強度―反射・散乱光強度曲線の傾きを調べることにより生体内部の密度状態、例えば骨密度を評価することができる。
以上より、本発明の第1の実施の形態によれば、生体密度を計測する際には、光照射部20は照射する光の強度を変化させるだけでよいので、生体密度計測装置の構成要素として、時短パルスなどの多くのシステム構成要素を必要とする特殊な装置を必要としないので、上述の一例のように、近赤外光の発光ダイオード、フォトダイオードで構成されるように小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。さらに、光を用いて生体密度を計測するので、人体に被爆する危険性もなく、非侵襲で生体密度を計測できる。
(第2の実施の形態)
実際に、生体密度を計測する際に、例えば皮膚のような介在組織を介して測定するが、第1の実施の形態の生体密度計測では、皮膚のような介在組織の影響は、無視できる程度とみなしていた。第2の実施の形態では、例えば皮膚のような介在組織の影響を除去し、生体内部の密度を評価する方法(以下、空間強度分解法と呼ぶ。)および装置について、以下に説明する。
例えば、骨密度を測定する際に、皮膚のような組織層が存在するような場合、その影響がデータに影響することを説明する。
図6は、I0−I曲線の傾きにおける皮膚層の影響を示す図である。図6は、図5で用いた模擬骨の組織サンプルにおいて、同一の海綿骨チップ密度(240mg/cm3)で、模擬皮膚層(ゼラチン層)の厚さを変えた場合の、反射・散乱光強度分布の傾きの違いを調べた結果である。なお、反射・散乱光強度分布の傾きは、上述と同様に照射部20である近赤外光の発光ダイオードの発光強度が4〜5Vの範囲において、調べた結果の傾きである。図6より、模擬皮膚層(ゼラチン層)の厚さが増加すると、傾きが減少する傾向が確認された。例えば、模擬皮膚層の厚さが4mmから2倍の8mmとなった場合、傾きは約18%減少することが示された。実際のヒトにおいて想定している測定部である遠位尺骨部や踝での皮膚層の厚さの個人差は、小さいものと考えられるが、より精度良く測定するために、骨を覆う上層組織層の影響を除去する必要がある。
図7は、本発明の第2の実施の形態における密度計測装置の一例を概略的に示すブロック図である。
密度計測装置1000は、光の強度を変化させ測定対象10に光を照射する光照射部20と、反射または散乱された照射光を受光する受光部30と、光照射部20の光の強度を変化させる制御を行う制御部200と、制御部200からの光照射部20の光の強度と受光部30からの受光した強度とに基づいて変化傾向を算出する変化傾向算出部201と、変化傾向算出部201で算出した変化傾向から変曲点を算出する変曲点算出部205と、変曲点算出部205で算出した変曲点と、変化傾向算出部201で算出した変化傾向と予め用意されている参照データ203とに基づいて生体密度を特定する密度特定部202と、密度特定部202で計測された生体密度を表示する表示部204とから構成されている。
図8は、本発明の第2の実施の形態おける測定対象10を計測する際の測定対象10と光照射部20と受光部30とについて模式的に示した図である。図8は、図8(a)および図8(b)、図8(c)の順に照射部20の照射光の強度が増加し、それに伴い、介在組織部11に照射された光の領域40が介在組織部11から介在組織部11および測定対象10へ拡がりながら測定対象10の深部まで達し、それに応じて、生体組織である測定対象10で反射・散乱した光から生体組織である測定対象10と介在組織部11とで反射・散乱した光が受光部30に受光される光が多くなることを示す。
ここで、一例として、測定対象10は骨であり、介在組織部11は皮膚である。また、照射部20は発光ダイオード、受光部30はフォトダイオードである。また、照射部20の発光ダイオードは、例えば、生体の透過性が良い750〜2500nmの波長範囲の近赤外光を用いるとする。以下、生体内部の密度として骨密度を評価する場合を説明する。
図8より、照射部20である発光ダイオードは、近赤外光の強度を変化させて測定対象10である骨に照射される。受光部30であるフォトダイオードは、介在組織部11である皮膚層を介し測定対象10である骨層に到達し、そこで反射・散乱した照射光の一部で、受光部30であるフォトダイオードまで到達した光を検出される。受光部30のフォトダイオードで検出される光の強度は、照射光強度変化に伴い変化する。また、受光部30のフォトダイオードで検出される光の強度は、骨密度に依存する光吸収・拡散特性を反映している。ただし、受光部30のフォトダイオードで検出される光の強度は、皮膚層の厚さや光散乱特性の影響を受けているので除去する必要がある。
図9は、本発明の第2の実施の形態おける密度計測装置1000の生体密度の計測をする際の手順を示したフローチャートである。
まず、光照射部20を、測定対象10に介在する介在組織部11に押し当て、制御部200にて制御することにより光の強度を変化させて光照射部20を発光させる(S101)。
次に、光照射部20より測定対象10に照射され、測定対象10と介在組織部11との内部で反射または散乱し、受光部30であるフォトダイオードまで到達した光を受光部30が受光する(S102)。
次に、変化傾向算出部201は、制御部200からの光照射部20の光の強度と受光部30からの受光した強度とに基づいて変化傾向を算出する(S103)。
次に、変曲点算出部205は、変化傾向算出部201で算出した変化傾向から変曲点を算出する(S1031)。
次に、密度特定部202は、変曲点算出部205で算出した変曲点と、変化傾向算出部201で算出した変化傾向に基づいて皮膚層の厚さや光散乱特性の影響を除去した生体密度を計測する(S104)。
次に、表示部204は、密度特定部202で計測された生体密度を表示する。
続いて、本発明の第2の実施の形態おける密度計測装置1000の生体密度計測方法についての原理を以下に説明する。
図10は、皮膚層と骨層の二層モデルの場合における空間強度分解法の原理を示す模式図である。空間強度分解法、すなわち、例えば皮膚のような介在組織の影響を除去し、生体内部の密度を評価する方法についての原理を説明する。図10に示されるように、まず、皮膚層と骨層の二層モデルを考え、そこでの光の挙動の定式化をランバートベールの法則に基づいて試みる。ここで、厚さLskinとして表されている皮膚層は、図8における介在組織部11がモデル化されたものである。また、光到達深度Lbone(I0)で表されている骨層は、図8における測定対象10がモデル化されたものである。
はじめに、介在組織部11の皮膚層の表面より照射部20である発光ダイオードにより近赤外光が照射光強度I0で照射される。照射光強度I0を増加させると介在組織部11の皮膚層内での光の到達距離が増加し、ある照射光強度I0で介在組織部11である皮膚層の厚さLskinまで光が到達する。このとき、介在組織部11の皮膚層上に設置した受光部30であるフォトダイオードから検出される反射・散乱光強度Iskin(以下、Iskinと記載。)はランバートベールの法則より、次の(数2)式で示される関係式となる。
ここで、μt skinは、介在組織部11である皮膚層における光減衰係数である。(数2)式は、ある照射光強度I0で介在組織部11の皮膚層を往復した光が反射・散乱光強度Iskinとして介在組織部11の皮膚層上に設置した受光部30であるフォトダイオードで検出されることを表す。代表光路長が2Lskinであるのは、介在組織部11である皮膚層を往復した距離が2Lskinであるからである。
また、同様に、介在組織部11である皮膚層から測定対象10である骨層へ照射される光の強度I0 bone(以下、I0 boneと記載。)は、次の(数3)式で示される関係式となる。
ここで(数3)式は、ある照射光強度I0で介在組織部11の皮膚層を通過し骨層に到達した光が、骨層へ入射される光の強度I0 boneとなることを表す。代表光路長がLskinであるのは、介在組織部11である皮膚層を通過した距離がLskinであるからである。
また、皮膚層−骨層境界面すなわち、介在組織部11である皮膚層と測定対象10である骨との境界面での測定対象10である骨層を光の入射点とみなした場合に観察される反射・散乱光強度Ibone(以下、Iboneと記載。)は、次に示される(数4)式で表せる。
ここで、μt boneは、測定対象10の骨層の光減衰係数であり測定対象10の骨密度を反映している。(数4)式は、ある入射光強度I0 boneで測定対象10である骨層を往復した光が、介在組織部11である皮膚層に入射される反射・散乱光強度Iboneとなることを表す。代表光路長が2Lbone(I0)であるのは、測定対象10の骨層を往復した距離が2Lbone(I0)であるからである。また、測定対象10の骨層内における代表光路長Lboneは照射光強度I0に依存する。測定対象10である骨層から介在組織部11である皮膚層に入射されるIboneの強度を持つ反射・散乱光は、介在組織部11である皮膚層を通過して、最終的には強度Iskin+boneで介在組織部11である皮膚層上にある受光部30であるフォトダイオードにより検出される。ここでIskin+boneは、次の(数5)式で示される関係式となる。
ここで(数5)式は、ある入射光強度Iboneで介在組織部11の皮膚層を通過した光が、反射・散乱光強度Iskin+bone(以下、Iskin+boneと記載。)として介在組織部11の皮膚層上に設置した受光部30であるフォトダイオードで検出されることを表す。代表光路長がLskinであるのは、介在組織部11である皮膚層を通過した距離がLskinであるからである。
さらに、(数5)式は、上述した(数3)式、(数4)式より次の(数6)式のように表せる。
ここで、入射光強度I0と反射・散乱光強度Iの比に注目する。測定対象10の骨層の領域に限定した場合、(数3)式、(数4)式より次の(数7)式のような関係が成り立つ。
(数7)式より、測定対象10の骨層の領域の入射光強度I0 boneと反射・散乱光強度Iboneの比の対数(以下、ln(Ibone/I0 bone)と記載。)は、骨密度を反映している骨層の光減衰係数μt boneと相関のある値をとることがわかる。すなわち、ln(Ibone/I0 bone)により骨密度を評価することができるのがわかる。
しかしながら、骨層における代表光路長Lboneが入射光強度I0の関数であるため、
ln(Ibone/I0 bone)は入射光強I0により変化する。そのため、どの入射光強度I0を使ったかで骨密度の評価が変わってくる。
本発明の第2の実施の形態では、照射光強度I0を連続的に変化させることで照射光強度I0に対するln(Ibone/I0 bone)の変化が得られる。このように求められたln(I/I0)−I0曲線の傾きは、照射光強度I0の大きさに影響されない骨密度評価パラメタとなり得る。
以上から、ln(Ibone/I0 bone)のI0 boneに対する変化を求めれば骨密度を評価することができるのがわかる。しかし、IboneとI0 boneは、皮膚下の生体内部の領域での値のため直接知ることはできない。
ところで、(数2)式、(数6)式より次の(数8)式で示す関係が成り立つ。
(数8)式の右辺と(数7)式の右辺とを比べると等しくなっている。すなわち、ln(Iskin+bone/Iskin)は、ln(Ibone/I0 bone)と同じ値となることがわかる。したがって、計測値であるIskinとIskin+boneを利用することでln(Ibone/I0 bone)を求めることができるのがわかる。
ここで、Iskin+boneは受光部30であるフォトダイオードにより計測されるが、Iskinは、計測からは直接では求められない。
図11は、図10における皮膚層のみのモデルおよび皮膚層と骨層の二層モデルおよび骨層のみのモデルのln(I/I0)−I0を概念的に示す図である。ここで、ln(I/I0)−I0は、照射光強度I0に対する照射光強度I0と反射・散乱光強度Iの比の対数との関係を示す(以下、照射光強度I0に対する照射光強度I0と反射・散乱光強度Iの比の対数との関係ln(I/I0)−I0と記載する。添え字がある場合、入射光の場合も同様の表記とする。)。図11において、縦軸は照射光強度I0と反射・散乱光強度Iの比の対数ln(I/I0)であり、横軸は、照射光強度I0である。ただし、代表光路長LboneおよびLskinは照射光強度I0の関数であるため、正確にプロットすると曲線となるが、ln(I/I0)−I0を概念的に説明するために、代表光路長LboneおよびLskinをI0の線形関数として直線のようにプロットしている。
図11より、図10における皮膚層のみのモデルと骨層のみのモデルとのln(I/I0)−I0は近似直線となり、皮膚層と骨層の二層モデルのln(I/I0)−I0において変曲点が現れる。皮膚層と骨層との二層モデルの場合、変曲点までの照射光強度I0が、皮膚層のみのモデルのln(I/I0)−I0に従い、変曲点より大きい照射光強度I0では、骨層のみのモデルのln(I/I0)−I0と同じ傾きで従うことがわかる。これは、上述したように、ln(Iskin+bone/Iskin)は、ln(Ibone/I0 bone)と同じ値となることからわかる。
したがって、Iskinは、図11に示すようにln(I/I0)−I0曲線の変曲点から知ることができる。すわなち、皮膚層と骨層との二層モデルで示される変曲点において、受光部30であるフォトダイオードにより検出された反射・散乱光強度がIskinである。
以上より、ln(I/I0)−I0曲線の変化傾向を利用することで、骨の上層組織である皮膚の影響を除いて、骨密度の評価を行うことができるのがわかる。なお、この手法を空間強度分解法と呼んでいる。
(実施例)
次に、上述した空間強度分解法により、皮膚のような介在組織の影響を除去し生体内部の密度の評価を行えるか試料モデルを用いて検証実験を行った。
図12は、空間強度分解法の検証実験システムの構成を示す図である。図12(a)は、検証実験システム全体を示す。検証実験システムは、コンピュータ60と、インターフェース・ボード70と、BNCコネクタボックス80と、発光ダイオード21用電流駆動器90と、フォトダイオード31用電源およびアンプ100と、計測部300と、発光ダイオード用電源110とから構成される。計測部300は、一対の発光ダイオード(LED)21(1550nm/Epitex/Inc./InGaAsP NIR LED、L1550−35)とフォトダイオード(PD)31(Judson社、J16−5SP−R03M−SC)から構成されている。それぞれはコンピュータ60と接続され、発光と受光が制御される。発光ダイオード21とフォトダイオード31はそれぞれの信号調節器、すなわち発光ダイオード21用電流駆動器90と、フォトダイオード31用電源およびアンプ100および16bitインターフェース・ボード70(National Instruments、DAQCard−6036E)を介してラップトップ型コンピュータ60(1、Dell Inspiron 2200)と接続している。ここで、発光ダイオード(LED)21は、図7における照射部20に相当し、フォトダイオード(PD)31は、図7における受光部30に相当する。発光ダイオード21用電流駆動器90と発光ダイオード用電源110とは、図7における制御部200に相当する。コンピュータ60には、図7における変化傾向算出部201および変曲点算出部205および密度特定部202と、参照データ203と表示部204とを含んだものに相当する。
図12(b)は発光ダイオード用電流駆動回路図を示す。発光ダイオード用電流駆動回路は、発光ダイオード21用電流駆動器90に含まれており、発光ダイオード用電流駆動回路により、発光ダイオード21は、弱い光から強い光まで広いレンジで発光することができる。
なお、発光ダイオード21の発光制御およびフォトダイオード31の検出信号の取得と処理などはVisual Basicで作成したプログラムにより行った。
図13は、本検証実験における発光ダイオード21とフォトダイオード31との関係を示した図である。図13(a)は、本検証実験における、発光ダイオード(LED)21とフォトダイオード(PD)31との位置関係を示す図であり、図13(b)は、発光ダイオード21に印加した電流(Input Current to LED)と、フォトダイオード31で検出される発光ダイオードの発光強度(PD output)との関係を示す図である。図13(a)で模式的に示したように、本実験では、発光ダイオード21とフォトダイオード31を約30mmの間隔をおいて向かい合わせに配置させた状態とした。そして、線形に発光ダイオード21への電流を増加させ、その際にフォトダイオード31で検出される発光ダイオード21の発光強度(V)をI0とした。その結果、図13(b)に示すように、発光ダイオード21への入力電流と発光強度との関係は非線形な関係であった。
図14は、本検証実験において空間強度分解法を検証するために使用した試料モデルを示した図である。試料は、第一層としてグルコマンナン・ゲルを、第二層としてポリウレタン・スポンジより構成される二層からなる実験モデルである。水分を含むグルコマンナン・ゲルは皮膚層を、またポリウレタン・スポンジは骨層を模擬している。実験では、第一層のグルコマンナン・ゲルが6mmの場合と14mmとの場合を比較し、さらに第二層のポリウレタン・スポンジは、光反射・散乱特性を変化させるために白、灰色、黒の三種類の色のものを用いている。
ここで、光反射・散乱特性を変化させるために用いた白、灰色、黒の三種類の色は、骨密度が違っている場合に相当する。図14(a)は、第一層のグルコマンナン・ゲルが6mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は白の場合(以下、White(6mm)と呼ぶ。)を示し、図14(b)は、第一層のグルコマンナン・ゲルが14mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は白の場合(以下、White(14mm)と呼ぶ。)を示す。また、図14(c)は、第一層のグルコマンナン・ゲルが6mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は灰色の場合(以下、Gray(6mm)と呼ぶ。)を示し、図14(d)は、第一層のグルコマンナン・ゲルが14mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は灰色の場合(以下、Gray(14mm)と呼ぶ。)を示す。さらに、図14(e)は、第一層のグルコマンナン・ゲルが6mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は黒の場合(以下、Black(6mm)と呼ぶ。)を示し、図14(f)は、第一層のグルコマンナン・ゲルが14mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は黒の場合(以下、Black(14mm)と呼ぶ。)を示す。
計測は、発光ダイオード21とフォトダイオード31で構成される計測部300を第一層表面に手で押し当てることにより行った。一つの条件に5回の測定を行い、その平均を採用した。
図15は、発光ダイオード21とフォトダイオード31とで構成される計測部300における計測結果を示す図である。横軸は、照射光強度Iであり、縦軸は、反射・散乱光強度Iもしくは、照射光強度I0と反射・散乱光強度Iの対数の比ln(I/I0)である。図15(a)は、計測結果における各試料のI0−I曲線を示す図である。図14で示す全ての試料において、照射光強度I0が増加すると反射・散乱光強度Iが増加した。その傾向は特にWhite(6mm)の試料、すなわち第一層のグルコマンナン・ゲルが6mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は白の場合の試料において最も顕著に現れており、Black(14mm)の試料、すなわち、第一層のグルコマンナン・ゲルが14mmと第二層のポリウレタン・スポンジの色は黒の場合の試料では増加傾向が最も弱かった。いずれの試料においても、第一層のグルコマンナン・ゲルが薄い場合には反射・散乱光強度Iの増加傾向がより強く現れた。図15(b)は、計測結果における各試料のln(I/I0)−I0曲線を示す図である。I0−I曲線の場合と同様に、各試料を比べると違いが見られるものの、I0がおよそ1〜20付近までは、各試料での曲線の傾向は一致していた。したがって、図12で上述したように、このI0領域では、反射・散乱光が第一層のグルコマンナン・ゲルからのものであると判断できる。
図16は、図14の各試料におけるln(I/I0)−I0曲線における変曲点の抽出を示した図である。まず、低照射光強度領域における線形部(対数曲線で近似)を決定し、その直線上から外れ始める点を変曲点とした。そして、決定した変曲点における反射・散乱光強度IをIskinとした。このように決定したIskinを用いて、ln(Iskin+bone/Iskin)−Iskin曲線を描くと図17のようになる。
図17は、各試料について図16で求めたIskinを起点としてln(Iskin+bone/Iskin)−Iskin曲線を両対数曲線で描いた図である。ここで、sponge layer
とは第二層のポリウレタン・スポンジ層を示した領域であり、bottom surfaceとは、試料を評価する際に用いた試料の下にある実験テーブルを示した領域である。
図17に示されるように、曲線の変化の仕方は第二層のポリウレタン・スポンジの違いにより異なるものの、同じ第二層のポリウレタン・スポンジを持つ試料同士を比較した場合第一層のグルコマンナン・ゲルの厚さが異なっても同じ傾向となっていることがわかる。第二層のポリウレタン・スポンジを反映していると考えられる低Iskin領域の変化傾向を比較したものが図18である。ここでは、低Iskin領域を対数関数で近似し、その係数を変化傾向のパラメタとして採用している。
図18より、ln(Iskin+bone/Iskin)−Iskin曲線を用いることにより第一層の
グルコマンナン・ゲルの厚さの違いの影響を受けずに第二層のポリウレタン・スポンジの密度特性を評価することが可能であることがわかる。すなわち、骨密度を測定する際に、皮膚のような介在組織の影響を除去し、骨密度を評価することが可能であることがわかる。
なお、照射部20として近赤外光の発光ダイオードを一例に説明しているが、例えば、光ファイバでもよく、密度計測装置としては実施例に限定されない。同様に、受光部30として、フォトダイオードを一例に説明しているが、それに限定されない。また、測定対象10として、骨を、介在組織部11として皮膚を一例に説明しているが、それに限定されない。
なお、照射部20と受光部30とはより近接して配置するのが好ましく、照射部20と受光部30とが同軸上に配置するのはさらに好ましい。また、照射部20と受光部30とは、それぞれ一つずつからなってもよく、一対の装置として構成されていても良い。
また、上述した空間強度分解法、すなわち、照射光の強度を変化させることにより観察される反射光強度から演算して得られるln(I/I0)−I0曲線の変化傾向を利用することで、介在組織の影響を除いて生体内部の密度を評価できる方法であるならば、本発明の範囲であり、上述した本実施の形態に限定されない。例えば、乳がんの検診や脳密度検診などの応用が考えられるが、測定対象10はそれには限定されない。
以上のように、皮膚のような組織層が存在する場合でもその影響を受けずに骨密度を評価できるので、光を用いて骨密度ひいては生体内部の密度を非侵襲的に評価できる。そのため、従来の生体内部を計測する方法と比べると、照射部20および受光部30は、例えば発光ダイオードとフォトダイオードが一つずつでかつ同一箇所へ設置するような小型かつ安価な装置にて密度計測装置を構成することができる。したがって、装置の小型化および低価格化が可能になる。また、照射光強度の変化の傾向(傾き)を取るので、照射部20は、1波長からなる発光源でも、バックグラウンド変化の影響を受けない。
それにより、近赤外光の発光ダイオード、フォトダイオードからなる小型でかつ安価な装置を密度計測装置の構成に用いることができる。したがって、光を用いることにより人体に被爆する危険性もなく、生体情報として生体内部の密度を非侵襲に計測できるだけでなく、小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。
さらに、一般的には、測定対象物が光散乱特性を持つ場合、照射光強度と平均光路長は単純な比例関係ではないため、どの程度影響するかは予測不可能であり、光源における照射光強度の違いが計測値に影響を与えるため、固定した照射光強度を用いる従来法では、常に照射光強度の校正が必要であった。しかし、本発明では原理上、照射光強度の校正が必要ない。
また、さらに、空間強度分解法を用いると、従来、フォトダイオード・アレイを用いる方法、またはパルスレーザ光を用いる時間分解法など、いずれもより多くのシステム構成要素または比較的高額な構成要素を必要としたのに対し、強度分解法を利用した空間強度分解法では、少要素且つ低コストで実現することができる。すなわち、生体情報として生体内部の密度を、光により計測できる小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。
(第3の実施の形態)
本発明における生体密度計測では、光を骨へ照射し、その際に計測される反射散乱光強度の大きさを利用して骨密度の非侵襲的評価を行う。しかしながら、実用的な計測精度を得るためには、骨を覆う皮膚層による光減衰分を補償する方法を確立する必要がある。第2の実施の形態では、空間強度分解法、すなわち、照射光の強度を変化させることにより観察される反射光強度から演算して得られるln(I/I0)−I0曲線の変化傾向を利用することで、介在組織である皮膚の影響を除いて生体内部の密度を評価する方法を説明した。第3の実施例では、光源位置を連続的に変化させることにより観察される反射光強度の変化から、皮膚のような組織層が存在する場合でもその影響を受けずに骨密度を評価できる方法(以下、光源移動法と呼ぶ。)について説明する。
図19は、本発明の第3の実施の形態における密度計測装置の一例を概略的に示すブロック図である。
密度計測装置4000は、測定対象10との距離を変化させ、測定対象10の表面に照射される光の強度を変化させて測定対象10に光を照射する光照射部20と、反射または散乱された光を受光する受光部30と、光照射部20と測定対象10との距離を変化させる制御を行う制御部400と、光照射部20の照射する光の強度と受光部30からの受光した光の強度とに基づいて変化傾向を算出する変化傾向算出部401と、変化傾向算出部401で算出した変化傾向と予め用意されている参照データ403とに基づいて生体密度を特定する密度特定部402と、密度特定部402で計測された生体密度を表示する表示部204とから構成されている。
図20は、測定対象10を計測する際における、光照射部20より参照散乱媒体12に照射される光強度I0と、受光部30が受光する反射光または散乱光Iとについて模式的に示した図である。図20は、図20(a)、図20(b)および図20(c)の順に照射部20から介在組織部11に照射される照射光の強度を増加させることで、測定対象10および介在組織部11への光侵入深度を増加させていることを示している。
ここで、被測定対象物である測定対象10および介在組織部11と光照射部20との間に、所定の光散乱特性を有する参照散乱媒体12が挿入されている。介在組織部11と光照射部20との間に挿入されている参照散乱媒体12の厚さを変化させることで、照射部20から介在組織部11の表面に照射される照射光の強度を変化することができる。例えば、参照散乱媒体12の厚さを薄くすることで、照射部20から介在組織部11の表面に照射される照射光の強度を増加させることができる。
次に、第3の実施の形態における密度計測装置4000の生体密度の計測をする際の手順について説明する。
密度計測装置4000の生体密度の計測をする際の手順は、図3に示されるフローチャートで説明できる。
まず、光照射部20を発光させる(S101)。そして、光照射部20と測定対象10および介在組織部11との間に挿入される参照散乱媒体12の厚さを変化させて、照射部20から介在組織部11の表面に照射される照射光の強度を変化する。言い換えると、制御部400で、光照射部20と測定対象10との距離を変化させて、照射部20から介在組織部11に照射される照射光の強度を変化させる。
次に、光照射部20より参照散乱媒体12を介して介在組織部11の表面に照射された光は、測定対象10と介在組織部11との内部で反射または散乱する。受光部30は、反射または散乱した光で受光部30まで到達した光を受光する(S102)。
次に、変化傾向算出部401は、光照射部20より参照散乱媒体12に照射された光強度I0と受光部30で受光した光の強度Iと、参照散乱媒体12の厚さ、すなわち光照射部20と介在組織部11との距離に基づいて変化傾向を算出する(S103)。
次に、密度特定部202は、変化傾向算出部401で算出した変化傾向に基づいて生体密度を計測する(S104)。
次に、表示部204は、密度特定部402で計測された生体密度を表示する。
以上のようにして、密度計測装置4000の生体密度の計測をすることができる。
続いて、密度計測装置4000の生体密度計測方法についての原理を説明する。
図21は、皮膚層と骨層との二層モデルに参照散乱媒体を加えた三層モデルの場合における光源移動法の原理を示す模式図である。ここでは、光源移動法の原理、すなわち光源を、参照散乱媒体12を介して移動させることで入射光強度(I0)を変化させ、その際得られる反射・散乱光強度(I)とIoとの関係を利用することで、皮膚のような介在組織に影響されない生体内部の密度を評価する方法の原理を説明する。
図21において、Lskinは、皮膚層の厚さ、すなわち介在組織部11の厚さがモデル化されており皮膚層での光路長に相当する。Lboneは、骨層の厚さ、すなわち測定対象10の厚さがモデル化されており骨層での光路長に相当する。また、Lrefは、参照散乱媒体12の厚さ、すなわち参照散乱媒体12の厚さがモデル化されており参照散乱媒体12での光路長に相当する。なお、皮膚層である介在組織部11の厚さは一定としている。
μr skinは、介在組織部11である皮膚層における光減衰係数である。μr boneは、測定対象10である骨層における光減衰係数である。また、μr refは、参照散乱媒体12である参照散乱媒体における光減衰係数である。
図21では、図20で示したように、皮膚層である介在組織部11と光照射部20との間にある参照散乱媒体12の厚さを変化させることで、照射部20と介在組織部11との距離を変化させ、照射部20から介在組織部11の表面に照射される照射光の強度を変化させる。そのため、光路長Lrefは可変であり、骨層への光侵入深度を示す光路長Lboneは、参照散乱媒体12の厚さ、すなわち光照射部20と介在組織部11の表面との距離に伴って、照射部20から介在組織部11の表面に照射される照射光の強度が変化する。また、皮膚層である介在組織部11の厚さは一定であるので、光路長Lskinは一定である。
図21で示す皮膚層と骨層と参照散乱媒体との三層モデルにおいて、ランバートベールの法則に基づいて光の挙動の定式化を試みる。
得られる反射・散乱光強度(I)は、図10における(数6)式と同様に、ランバートベールの法則に基づいて、次の(数9)式の関係式で表せる。
(数9)式により、入射光強度I0と反射・散乱光強度Iの比は、次の(数10)の関係式で示される。
(数10)式により、光照射部20から参照散乱媒体12に照射される光強度I0に相当する入射光強度I0と反射・散乱光強度Iの比の対数は、図10で上述したように骨密度を反映している。
ここで、皮膚層の光路長Lskinは上述したように一定である。(数10)式における皮膚層に関する項は次の(数11)式のように表せる。
また、図20より、照射部20と介在組織部11との距離を短くすること、すなわち参照散乱媒体12の厚さを薄くすることで、照射部20から介在組織部11に照射される照射光の強度が増加でき、測定対象10への光侵入深度を増加させることができる。図21で、上述の内容を言い換えると、参照散乱媒体12での光路長Lrefを短くすることで、骨層での光路長Lboneが長くすることができる。
そこで、上述の相関関係から、参照散乱媒体12での光路長変化(移動量)と骨層での光路長変化とが等しいとすると、その関係は次の(数12)式で示される。
以上、(数9)式と(数10)式と(数11)式と(数12)式とにより、次の(数13)式の関係を導くことができる。
ここで、(数13)式の、μr refは既知の定数である。したがって、光路長Lrefに対する照射光強度I0と反射・散乱光強度Iの比の対数との関係を示すln(I/I0)−Lref曲線の傾きより、μr boneを評価することができる。
図22は、図21における皮膚層と骨層とに参照散乱媒体12を加えた三層モデルのln(I/I0)−Lrefを概念的に示す図である。
光源移動法では、光照射部20は、光散乱特性を有する参照散乱媒体12を介して、計測対象物である測定対象10(骨層)および介在組織部11(皮膚層)へ光を照射し、受光部30でその反射・散乱光強度を検出する。参照散乱媒体12の厚さ、すなわち光照射部20から計測対象物である介在組織部11(皮膚層)までの距離を変化させることで、計測対象物である測定対象10(骨層)への光侵入深度を変えることができる。
まず、光照射部20と計測対象物である介在組織部11(皮膚層)との距離が十分離れている場合、光は測定対象物である介在組織部11(皮膚層)に届かないため、得られる反射・散乱光強度は参照散乱媒体12の光学特性のみを反映した値となる(図22の(a)の領域)。
次に、光照射部20と計測対象物である介在組織部11(皮膚層)との距離が接近した場合には、光は、測定対象物である介在組織部11(皮膚層)に届く。光が測定対象物である介在組織部11(皮膚層)を通過する際、光は測定対象物である介在組織部11(皮膚層)により減衰するため、得られる反射・散乱光強度は弱められる(図22の(b)の領域)。
次に、光照射部20と計測対象物である介在組織部11(皮膚層)との距離がさらに接近した場合には、光は、測定対象物である測定対象10(骨層)に届く。光が測定対象物である測定対象10(骨層)へ到達すると骨層による反射・散乱のために得られる反射・散乱光強度(検出光)強度は強まる(図22の(c)の領域)。
最終的に、光照射部20と計測対象物である介在組織部11(皮膚層)との距離がさらに接近し、光源が計測対象物である介在組織部11(皮膚層)と接触すると、得られる反射・散乱光強度は計測対象物である介在組織部11(皮膚層)と測定対象10(骨層)の光学特性のみにより決定される値となる。それにより、図22の(c)の領域における反射・散乱光強度変化(In(I/Io)−Lref曲線の傾き)は、介在組織部11(皮膚層)の状態に依存せずに一定となる。
したがって、この値(傾き)を用いることで介在組織部11(皮膚層)に影響されない骨密度評価を行うことができる。
(実施例)
次に、図21および図22で説明した光源移動法の原理をモンテカルロ・シミュレーションにより確認した。ここで、モンテカルロ・シミュレーションとは、乱数を用いる数値シミュレーションである。
図23は、光源移動法を介在組織部11(皮膚層)がない場合(骨のみ)に適用した場合のシミュレーション結果を示す図である。骨のみの一層組織モデルに対し光源移動法を適用した例であり、ここでは、骨の条件(散乱係数)が変化している。図23に示すように、骨の散乱係数の変化によってIn(I/Io)−Lref曲線の傾きが変わる。したがって、In(I/Io)−Lref曲線の傾きから骨の散乱係数(骨密度と関係するパラメタ)が予測できる。
図24は、光源移動法を介在組織部11(皮膚層)がある場合に適用した場合のシミュレーション結果を示す図である。皮膚と骨の二層組織モデルに対し光源移動法を適用した例であり、ここでは、骨の条件(散乱係数)は一定としている。図24が示すように、皮膚条件(厚さ)が変化してもIn(I/Io)−Lref曲線の傾きは変わらない。
図25は、さまざまな骨の条件(散乱係数)において、介在組織部11(皮膚層)がない場合と介在組織部11(皮膚層)がある場合のIn(I/Io)−Lref曲線の傾きを比較した図である。図25に示すように、どの骨の条件(散乱係数)においても、両者は良好に一致する。
図26は、さまざまな皮膚条件(厚さ)におけるIn(I/Io)− Lref曲線の傾きと骨の散乱係数との関係を示す図である。図25に示すように、両者は、指数関数で良好に近似できる。このことから、In(I/Io)−Lref曲線の傾きは、皮膚に影響されない骨密度評価パラメタと成り得ると言える。したがって、In(I/Io)−Lref曲線の傾きから骨の散乱係数(骨密度)が予測できることが確認できる。
次に、モンテカルロ・シミュレーションにより、骨密度を予測する関係式の構築を試みた。
図27は、骨密度を予測する関係式を構築するために用いた図である。モンテカルロ・シミュレーションにより構築された骨密度を予測する関係式は、図27から次の(数14)式のように表すことができる。
したがって、(数14)式を用いることで、In(I/Io)−Lref曲線の傾きから骨の散乱係数(骨密度)を予測することができる。
なお、骨の散乱係数(骨密度)の予測方法について、皮膚による減衰分を加味することで予測する方法がある。以下、それを変形例として説明する。
図28は、図21における皮膚層と骨層とに参照散乱媒体12を加えた三層モデルにおいて、光源距離の変化に伴う拡散反射光強度の変化を概念的に示す図である。図28(a)、図28(b)および図28(c)は、縦軸を拡散反射率として、図22(a)、図22(b)および図22(c)と同様の内容を示しているので説明を割愛する。
なお、点線で示した曲線は、皮膚層なしの場合であり、図22(a)の領域と同様の内容について縦軸を拡散反射率として示している。すなわち、皮膚層なしの場合の拡散反射率は、指数関数的に変化し、参照散乱媒体12の光特性に依存する。
図29は、光源移動法をさまざまな条件(厚さ)における拡散反射率と参照散乱媒体12の厚さとの関係のシミュレーション結果を示す図である。縦軸を拡散反射率に、横軸を参照散乱媒体12の厚さにとしている。ここで、図28と比較すると、図29の光源接触時の拡散反射率は骨密度を反映しているが、皮膚による減衰分が含まれることがわかる。すなわち、図29中のΣΔ(I/Io)で示される面積の大きさが皮膚影響の大きさを示している。
図30は、皮膚影響の除去し、骨密度予測するためのシミュレーション結果を示す図である。図30(a)は、ΣΔ(I/Io)と光源接触時拡散反射率の皮膚による減衰量との関係を示すシミュレーション結果を示す図である。図30(b)は予測された光源接触時の拡散反射率と光源接触時の拡散反射率との関係を示すシミュレーション結果を示す図である。
図30により、ΣΔ(I/Io)より光源接触時拡散反射率の皮膚による減衰量を知ることができる。したがって、皮膚による減衰分を加算することで、骨のみの光源接触時拡散反射率を知ることができ、骨密度を予測することができる。
次に、モンテカルロ・シミュレーションにより構築された骨密度を予測する関係式を検証するための検証実験システムを簡潔ではあるが、下記に説明する。
図31は、光源移動法の検証実験システムの構成を示す図である。
図31は、検証実験システム全体を示す。検証実験システムは、コンピュータ60と、AD/DAインターフェース・ボード71と、レーザダイオード用電源420と、レーザダイオード421と、ビームスプリッタ422と、光源移動機構部423と、凸レンズ424と、レーザダイオード421用の電源およびアンプ432とから構成される。
ここで、図20との対応について説明する。制御部400は、光源移動機構部423に相当し、光照射部20はレーザダイオード421に相当する。変化傾向算出部401、参照データ403、密度特定部402および表示部204はコンピュータ60に含まれる。
なお、図32は、光源移動法の検証実験システムの構成についての現物の写真である。
図31および図32に示した光源移動法の検証実験システムにより、上述した光源移動法の検証実験を行うことができる。
以上、本発明の実施の形態の密度計測装置およびその方法によれば、照射光強度I0を連続的に変化させ、その際検出される反射・散乱光強度を解析することで、骨密度ないし生体内の密度を非侵襲的に評価できる。具体的には、(1)強度分解法、すなわち、I0−I曲線の傾きから骨密度ひいては生体内部の密度を評価する方法、(2)空間強度分解法、すなわちln(I/I0)−I0曲線の変化傾向を利用することで上層組織の影響なしに骨密度ひいては生体内部の密度を評価する方法、あるいは、(3)光源移動法、すなわち、光源位置を連続的に変化させることにより観察される反射光強度の変化から、皮膚のような組織層が存在する場合でもその影響を受けずに骨密度を評価できる方法によって、光を用いて骨密度ひいては生体内部の密度を非侵襲的に評価できる。したがって、小型でかつ安価な装置を密度計測装置の構成に用いることができる。
それにより、光を用いることにより人体に被爆する危険性もなく、生体情報として生体内部の密度を非侵襲に計測できるだけでなく、小型でかつ安価の密度計測装置を実現することができる。
以上、本発明の密度計測装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
本発明は、生体内部の密度を計測する密度計測装置および計測方法に利用でき、特に骨密度の計測や乳がんのしこりを検出する密度計測装置およびその計測方法に利用することができる。
本発明の第1の実施の形態における密度計測装置の一例を概略的に示す図である。 本発明の第1の実施の形態における測定対象と光照射部と受光部とについて模式的に示した図である。 本発明の第1の実施の形態における密度計測装置の生体密度の計測をする際の手順を示したフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における密度計測装置の照射光強度I0と反射・散乱光強度Iの関係を示す図である。 本発明の第1の実施の形態におけるゼラチン模擬骨試料に対するI0−I曲線およびI−I曲線の傾きと骨密度の関係を示す図である。 本発明の第2の実施の形態におけるゼラチン模擬骨試料のI0−I曲線の傾きへの皮膚層の影響を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における密度計測装置の一例を概略的に示す図である。 本発明の第2の実施の形態における測定対象10を計測する際の測定対象10と光照射部20と受光部30とについて模式的に示した図である。 本発明の第2の実施の形態における密度計測装置の生体密度の計測をする際の手順を示したフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態における皮膚と骨とからなる二層モデルの場合の空間強度分解法の原理を説明するための模式図である。 皮膚層のみおよび皮膚層と骨層との二層および骨層のみからなる場合のln(I/I)−Iを概念的に示す図である。 本発明の第2の実施の形態における空間分解法の検証実験システムの構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における検証実験の発光ダイオードおよびフォトダイオードの関係を示した図である。 本発明の第2の実施の形態における検証実験に用いた試料モデルを示した図である。 本発明の第2の実施の形態における検証実験システムの発光ダイオードとフォトダイオードで構成される計測部における計測結果を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における検証実験に用いた各試料のln(I/I0)−I0曲線の変曲点の抽出を示した図である。 本発明の第2の実施の形態における各試料について求めた変曲点での反射・散乱光強度を起点としてln(Iskin+bone/Iskin)−Iskin曲線を両対数曲線で描いた図である。 本発明の第2の実施の形態における実験に用いた各試料のポリウレタン・スポンジ層を反映している低Iskin領域の変化傾向を比較した図である。 本発明の第3の実施の形態における密度計測装置の一例を概略的に示すブロック図である。 測定対象10を計測する際における、光照射部20より参照散乱媒体12に照射される光強度I0と、受光部30が受光する反射光または散乱光Iとについて模式的に示した図である。 皮膚層と骨層との二層モデルに参照散乱媒体を加えた三層モデルの場合における光源移動法の原理を示す模式図である。 皮膚層と骨層とに参照散乱媒体12を加えた三層モデルのln(I/I0)−Lrefを概念的に示す図である。 光源移動法を介在組織部11(皮膚層)がない場合(骨のみ)に適用した場合のシミュレーション結果を示す図である。 光源移動法を介在組織部11(皮膚層)がある場合に適用した場合のシミュレーション結果を示す図である。 さまざまな骨の条件(散乱係数)において、介在組織部11(皮膚層)がない場合と介在組織部11(皮膚層)がある場合のIn(I/Io)−Lref曲線の傾きを比較した図である。 さまざまな皮膚条件(厚さ)におけるIn(I/Io)−Lref曲線の傾きと骨の散乱係数との関係を示す図である。 骨密度を予測する関係式を構築するために用いた図である。 皮膚層と骨層とに参照散乱媒体12を加えた三層モデルにおいて、光源距離の変化に伴う拡散反射光強度の変化を概念的に示す図である。 光源移動法をさまざまな条件(厚さ)における拡散反射率と参照散乱媒体12の厚さとの関係のシミュレーション結果を示す図である。 皮膚影響の除去し、骨密度予測するためのシミュレーション結果を示す図である。 光源移動法の検証実験システムの構成を示す図である。 光源移動法の検証実験システムの構成についての現物の写真である。
符号の説明
10 測定対象
11 介在組織部
12 参照散乱媒体
20 照射部
21 発光ダイオード
30 受光部
31 フォトダイオード
60 コンピュータ
70 インターフェース・ボード
71 AD/DAインターフェース・ボード
80 BNCコネクタボックス
90 発光ダイオード用電流駆動器
100 フォトダイオード用電源およびアンプ
110 発光ダイオード用電源
200、400 制御部
201、401 変化傾向算出部
202、402 密度特定部
203、403 参照データ
204 表示部
205 変曲点算出部
300 計測部
420 レーザダイオード用電源
421 レーザダイオード
422 ビームスプリッタ
423 光源移動機構部
424 凸レンズ
431 フォトダイオード
432 レーザダイオード用電源およびアンプ
1000、4000 密度計測装置

Claims (15)

  1. 生体密度を計測する密度計測装置であって、
    光の強度を変化させて測定対象の内部に光を照射する光照射手段と、
    照射された光の前記測定対象の内部からの反射光を受光する受光手段と、
    照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化傾向を算出する変化傾向算出手段と、
    前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する密度特定手段と
    を備えることを特徴とする密度計測装置。
  2. 前記変化傾向算出手段は、照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化率から得られる変化傾向を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の密度計測装置。
  3. 前記密度計測装置は、さらに、
    照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化率とから前記変化傾向の曲線の変曲点を算出する変曲点算出手段とを備え、
    前記密度特定手段は、前記変曲点算出手段の算出した変曲点と前記変化傾向算出手段の算出した変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の密度計測装置。
  4. 前記光照射手段は、測定対象との距離を変化させることで、測定対象の表面に照射される光の強度を変化させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の密度計測装置。
  5. 前記密度計測装置は、さらに、当該光照射手段と測定対象との間に挿入された参照散乱媒体を備える
    ことを特徴とする請求項4に記載の密度計測装置。
  6. 前記変化傾向算出手段は、前記光照射手段と前記測定対象との距離に対する受光した反射光の強度との変化率から前記変化傾向を算出する
    ことを特徴とする請求項5に記載の密度計測装置。
  7. 前記密度特定手段は、さらに、前記光照射手段と前記測定対象との距離に対する前記変化傾向の積分に基づき、前記測定対象の密度を特定する
    ことを特徴とする請求項6に記載の密度計測装置。
  8. 前記光照射手段より照射される光は、近赤外線光である
    ことを特徴とする請求項1に記載の密度計測装置。
  9. 前記光照射手段は、発光ダイオードで構成され、
    前記受光手段は、フォトダイオードで構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の密度計測装置。
  10. 前記測定対象は、骨であり、骨密度を計測する
    ことを特徴とする請求項9に記載の密度計測装置。
  11. 前記光照射手段により照射される光の光軸と、
    前記受光手段における受光する光の光軸とは、
    同軸上に配置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の密度計測装置。
  12. 生体密度を計測する方法であって、
    光の強度を変化させて測定対象の内部に光を照射する光照射ステップと、
    照射された光の前記測定対象の内部からの反射光を受光する受光ステップと、
    照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化傾向を算出する変化傾向算出ステップと、
    前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する密度特定ステップと
    を備えることを特徴とする生体密度計測方法。
  13. 生体密度を計測する方法であって、
    光の強度を変化させて測定対象の内部に光を照射する光照射ステップと、
    照射された光の前記測定対象の内部からの反射光を受光する受光ステップと、
    照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化率から得られる変化傾向を算出する変化傾向算出ステップと、
    前記変化傾向の曲線の変曲点を算出する変曲点算出ステップと、
    前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する密度特定ステップと、
    算出した前記変曲点と算出した前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する前記密度特定ステップと
    を備えることを特徴とする生体密度計測方法。
  14. 生体密度の計測を実現するためのプログラムであって、
    光の強度を変化させて測定対象の内部に光を照射する光照射ステップと、
    照射された光の前記測定対象の内部からの反射光を受光する受光ステップと、
    照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化傾向を算出する変化傾向算出ステップと、
    前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する密度特定ステップと
    をコンピュータによって実現するための生体密度計測のプログラム。
  15. 生体密度の計測を実現するためのプログラムであって、
    光の強度を変化させて測定対象の内部に光を照射する光照射ステップと、
    照射された光の前記測定対象の内部からの反射光を受光する受光ステップと、
    照射された光の強度に対する受光した反射光の強度の変化率から得られる変化傾向を算出する変化傾向算出ステップと、
    前記変化傾向の曲線の変曲点を算出する変曲点算出ステップと、
    前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する密度特定ステップと、
    算出した前記変曲点と算出した前記変化傾向に基づき前記測定対象の密度を特定する前記密度特定ステップと
    をコンピュータによって実現するための生体密度計測のプログラム。
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