JP2008152896A - 磁気記録媒体の製造方法、磁気記録再生装置、及び研磨スラリー - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス基板などのディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した場合でも、微細なテクスチャ条痕を形成することを可能とした磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】ディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施した後に、このテクスチャ加工が施されたディスク基板1の表面上に、少なくとも非磁性下地層、磁性層、及び保護層を順次積層する磁気記録媒体の製造方法であって、前記テクスチャ加工を施す際に、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含む研磨スラリーSを用いる。
【選択図】図2
【解決手段】ディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施した後に、このテクスチャ加工が施されたディスク基板1の表面上に、少なくとも非磁性下地層、磁性層、及び保護層を順次積層する磁気記録媒体の製造方法であって、前記テクスチャ加工を施す際に、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含む研磨スラリーSを用いる。
【選択図】図2
Description
本発明は、ハードディスク装置等に用いられる磁気記録媒体の製造方法、磁気記録再生装置、及び研磨スラリーに関する。
近年、磁気記録再生装置の1種であるハ−ドディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)では、高記録密度化の要求によって、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間の距離が益々狭くなっている。このため、磁気記録媒体の表面はできるだけ平坦化する必要がある。しかしながら、磁気記録媒体の表面を平坦化していくと、回転する磁気記録媒体上を走行するヘッドスライダが媒体表面に吸着するといった問題が生じてしまう。これを防ぐため、HDD用の磁気記録媒体では、ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施し、このディスク基板の表面に円周方向に沿ったテクスチャ条痕(微細な凹凸)を形成し、媒体表面を適度な表面粗さとすることが行われている。
また、最近では、表面に微細なテクスチャ条痕が存在するディスク基板上に磁性層を形成すると、テクスチャ条痕が存在しないディスク基板上に磁性層を形成した場合と比較し、電磁変換特性が向上することが知られている。これは、ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施すことによって、このディスク基板の表面上に形成される下地層及び磁性層の結晶配向性が向上するためである。これにより、磁性層の磁気異方性を高め、熱揺らぎ耐性などの磁気特性を向上させることができる。
テクスチャ加工は、ディスク基板を回転させながら、このディスク基板の表面に研磨スラリーを供給し、走行する研磨テープをディスク基板の表面に押し付けることによって行われる(例えば、特許文献1,2を参照)。また、研磨スラリーとして、分散媒にダイヤモンド砥粒などを分散させたものが用いられている。
ディスク基板については、従来よりアルミニウム基板が用いられている。このアルミニウム基板は、通常は表面を硬化するためNiPなどの硬質膜を設け、この硬質膜の表面にテクスチャ加工を施したものが用いられている。また、最近では、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどのガラス基板が用いられてきている。このガラス基板は、硬度が高いためヘッドスラップが生じにくく、しかも表面平滑性が高いためグライドハイト特性の点でも有利である。
しかしながら、ガラス基板は、その硬度が高いために、上述したNiPを成膜したアルミニウム基板のようにテクスチャ加工によって微細なテクスチャ条痕を形成することが困難である。したがって、このようなガラス基板を使用した磁気記録媒体においても、電磁変換特性の向上、並びにヘッドの浮上特性を良好に保つことができるテクスチャ加工への要望が大きくなっている。
特開2004−178777号公報
特開2004−259417号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ガラス基板などのディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した場合でも、微細なテクスチャ条痕を形成し、その上に形成される磁性層の磁気異方性を高め、熱揺らぎ耐性などの磁気特性を向上させることによって、良好な電磁変換特性を得ると共に、ヘッドの浮上特性を良好に保つことを可能とした磁気記録媒体の製造方法、並びに、そのような方法を用いて作製された磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置、そのようなテクスチャ加工を施す際に用いられる研磨スラリーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
(1) ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した後に、このテクスチャ加工が施されたディスク基板の表面上に、少なくとも非磁性下地層、磁性層、及び保護層を順次積層して形成する磁気記録媒体の製造方法であって、前記テクスチャ加工を施す際に、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含む研磨スラリーを用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 前記テクスチャ加工は、前記ディスク基板を回転させながら、前記ディスク基板の表面に前記研磨スラリーを供給し、走行する研磨テープを前記ディスク基板の表面に押し付けることにより行うことを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記砥粒の平均粒径が0.05〜0.20μmであることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4) 前記砥粒の濃度が0.001〜0.05質量%であることを特徴とする前項(1)〜(3)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5) 前記テクスチャ加工により線密度が30000本/mm以上のテクスチャ条痕を形成することを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(6) 前記ディスク基板の表面平均粗さRaが1.5〜7.0Åの範囲とすることを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(7) 前記ディスク基板が結晶化ガラスからなることを特徴とする前項(1)〜(6)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(8) 前記ディスク基板の表面と前記非磁性下地層との間に配向調整層を形成することを特徴とする前項(1)〜(7)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(9) 磁気記録媒体と、この磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が、前項(1)〜(8)の何れか一項に記載の方法を用いて作製されたものであることを特徴とする磁気記録再生装置。
(10) ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施す際に用いられる研磨スラリーであって、少なくとも、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含むことを特徴とする研磨スラリー。
(1) ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した後に、このテクスチャ加工が施されたディスク基板の表面上に、少なくとも非磁性下地層、磁性層、及び保護層を順次積層して形成する磁気記録媒体の製造方法であって、前記テクスチャ加工を施す際に、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含む研磨スラリーを用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 前記テクスチャ加工は、前記ディスク基板を回転させながら、前記ディスク基板の表面に前記研磨スラリーを供給し、走行する研磨テープを前記ディスク基板の表面に押し付けることにより行うことを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記砥粒の平均粒径が0.05〜0.20μmであることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4) 前記砥粒の濃度が0.001〜0.05質量%であることを特徴とする前項(1)〜(3)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5) 前記テクスチャ加工により線密度が30000本/mm以上のテクスチャ条痕を形成することを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(6) 前記ディスク基板の表面平均粗さRaが1.5〜7.0Åの範囲とすることを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(7) 前記ディスク基板が結晶化ガラスからなることを特徴とする前項(1)〜(6)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(8) 前記ディスク基板の表面と前記非磁性下地層との間に配向調整層を形成することを特徴とする前項(1)〜(7)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(9) 磁気記録媒体と、この磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が、前項(1)〜(8)の何れか一項に記載の方法を用いて作製されたものであることを特徴とする磁気記録再生装置。
(10) ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施す際に用いられる研磨スラリーであって、少なくとも、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含むことを特徴とする研磨スラリー。
以上のように、本発明によれば、ガラス基板などのディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した場合でも、微細なテクスチャ条痕を形成し、その上に形成される磁性層の磁気異方性を高め、熱揺らぎ耐性などの磁気特性を向上させることが可能である。したがって、本発明を用いて作製された磁気記録媒体を磁気記録再生装置に使用した場合には、良好な電磁変換特性が得られると共に、ヘッドの浮上特性を良好に保つことが可能である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(磁気記録媒体の製造方法)
図1は、本発明を適用して作製される磁気記録媒体の一例を示す断面図である。
この磁気記録媒体は、図1に示すように、テクスチャ加工が施されたディスク基板1の表面上に、配向調整層2、非磁性下地層3、磁性層4、及び保護層5を順次積層して形成したものである。
(磁気記録媒体の製造方法)
図1は、本発明を適用して作製される磁気記録媒体の一例を示す断面図である。
この磁気記録媒体は、図1に示すように、テクスチャ加工が施されたディスク基板1の表面上に、配向調整層2、非磁性下地層3、磁性層4、及び保護層5を順次積層して形成したものである。
この磁気記録媒体を製造する際には、先ず、ディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施し、ディスク基板1の円周方向に沿ったテクスチャ条痕を形成する。
図2は、ディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施す工程を説明するための図であり、(a)は、その装置の一例を示す側面図であり、(b)は、その装置の一例を示す平面図である。
図2は、ディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施す工程を説明するための図であり、(a)は、その装置の一例を示す側面図であり、(b)は、その装置の一例を示す平面図である。
このテクスチャ加工は、図2(a),(b)に示すように、ディスク基板1をスピンドル101に固定し、このスピンドル101によりディスク基板1を回転させる。そして、この回転するディスク基板1の表面にノズル102を通じて研磨スラリーSを供給し、供給ロール103と巻取ロール104との間で走行する研磨テープ105をディスク基板1の表面に押圧ローラ106を介して押し付けることによって行う。これにより、ディスク基板1の表面に微細なテクスチャ条痕を形成することができる。なお、図2(a),(b)示す装置では、このディスク基板1の両面に同時にテクスチャ加工を施すことが可能となっている。
本発明は、上記テクスチャ加工を施す際に、少なくとも、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなるダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリーSを用いている。これにより、本発明では、ガラス基板などのディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施す場合であっても、このディスク基板1の表面に微細なテクスチャ条痕を形成することができる。
具体的に、ディスク基板1には、例えばアモルファスガラスや結晶化ガラスなどのガラス基板を用いることができる。アモルファスガラスとしては、例えば汎用のソーダライムガラスや、アルミノほう珪酸ガラス、アルミノシリケートガラスなどを用いることできる。結晶化ガラスとしては、例えばリチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。なお、本発明は、このようなガラス基板以外にも、表面にNiP等の硬質膜を設けたアルミニウム基板などにも、表面に微細なテクスチャ条痕を形成することができる。
上記ガラスからなるディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施す際は、スピンドル101によるディスク基板1の回転速度を、50〜2000rpmの範囲とすることが好ましく、200〜800rpmの範囲とすることがより好ましい。ディスク基板1の回転速度が50rpm未満になると、ディスク基板1の表面にテクスチャ条痕を形成するのに非常に長い時間がかかることになる。一方、ディスク基板1の回転速度が2000rpmを超えると、ノズル102から供給される研磨スラリーSがディスク基板1の表面に留まらず、周囲に飛散してしまうため好ましくない。
ノズル102から供給される研磨スラリーSの流量は、10〜100ml/分であることが好ましい。この研磨スラリーSは、ディスク基板1の表面に連続的に供給しても、間隔をあけて供給しても、あるいは不連続的に供給してもよい。また、研磨スラリーSは、ディスク基板1の表面に供給する以外にも、研磨テープ5の表面に供給したり、ディスク基板1と研磨テープ5との間に供給したりすることも可能である。
研磨テープ105としては、例えば不織布テープや、織布テープ、発泡ポリウレタン製テープなどを用いることができる。このうち、不織布製テープとしては、例えばTX139T(Texwipe社製)を挙げることができる。織布テープとしては、例えばトレーシー(東レ社製)、WO600(カネボウ社製)を挙げることができる。また、不織布テープは、スクラッチ等の発生を抑えてディスク基板1の表面平均粗さRaを極めて小さくすることができるため好ましい。さらに、不織布テープの繊維径は0.04デニール以下とすることが好ましく、この範囲にすることで、ディスク基板1の表面平均粗さRaを小さくし、且つ、線密度が緻密で均一なテクスチャ条痕を形成することができる。
研磨テープ105は、ディスク基板1の回転方向と同一方向又は逆方向に走行させることができる。このとき、研磨テープ105の走行速度は、10〜150mm/分とすることが好ましく、30〜100mm/分とすることがより好ましい。この範囲とすることで、スクラッチ等の発生や研磨スラリーS中の砥粒がディスク基板1の表面に突き刺さったり、埋めこまれたりすることなどを抑えることができる。
また、研磨テープ105は、走行させると同時にディスク基板1の半径方向に揺動させることができる。その際の揺動速度は、0.1〜20回/秒とすることが好ましく、0.5〜10回/秒とすることがより好ましい。この範囲であると、充分な研削量が得られ、且つスクラッチ等の発生を抑えた研削状態が均一な表面を得ることができる。
押圧ローラ106による研磨テープ105の押し付け圧力は、0.5×9.8×104〜1.5×9.8×104Paが好ましく、0.8×9.8×104〜1.2×9.8×104Paとすることがより好ましい。この範囲であると、スクラッチ等の発生を抑えて、線密度が緻密で均一なテクスチャ条痕を形成することができる。
なお、上述したテクスチャ加工を施した後には、供給ロール103と巻取ロール104との間で走行するクリーニングテープ(図示せず。)をディスク基板1の表面に押圧ローラ106を介して押し付けるクリーニング工程を行うことが好ましい。クリーニングテープとしては、例えば植毛テープや、不織布テープ、発泡ポリウレタン製テープ等を用いることができる。これにより、ディスク基板1の表面から上記テクスチャ加工による残渣を取り除くことができる。
研磨スラリーSに含まれるダイヤモンド砥粒は、数nmレベルの凝集体で存在するクラスターダイヤを高温高圧で焼結し、これを再粉砕した二次粒子を分級してなるものである。このダイヤモンド砥粒は、このような加工によって強度が増し切れ刃も多くなるため、研削性を高めることが可能である。
本発明の研磨スラリーSは、このようなダイヤモンド砥粒を、有機溶剤、脂肪酸(又はそれらの金属塩)、界面活性剤、又は添加剤の何れか1種又は2種以上と共に、水やアルコールなどの分散媒に分散させてなる。
ダイヤモンド砥粒の平均粒径は、0.05〜0.20μmであることが好ましく、0.08〜0.12μmであることがより好ましい。この範囲であると、ディスク基板1の表面平均粗さRaの小さい、なお且つ、線密度が緻密で均一なテクスチャ条痕を形成することができる。
ダイヤモンド砥粒の濃度は、0.001〜0.05質量%であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.015質量%であることがより好ましい。この範囲であると、ディスク基板1の表面平均粗さRaの小さい、なお且つ、線密度が緻密で均一なテクスチャ条痕を形成することができる。
有機溶剤としては、一般式RO(CnH2nO)mH(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、mは1〜3の整数を示し、nは2又は3の整数を示す。)で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテルや、炭素数2〜5の多価アルコール及びこれらの重合物などを挙げることができる。また、有機溶媒の含有量は1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。
脂肪酸としては、炭素数10〜22の飽和脂肪酸、又はモノ(mono−)、ジ(di−)、トリ(tri−)の何れかの不飽和脂肪酸等を挙げることができる。また、それらの金属塩としては、Na、Al、Ba、Cd、Ca、Co、Fe、Li、Mg、Mn、Ni、Pd、Zn、Srの中から選ばれる何れかの飽和脂肪酸又はそれらの金属塩を挙げることができる。また、脂肪酸(又はそれらの金属塩)の含有量は、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤(アニオン系界面活性剤)や、陽イオン性界面活性剤(カチオン系界面活性剤)、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤などを挙げることができる。また、界面活性剤の添加量は、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。
その他の添加剤としては、分散剤や、防食剤、防腐剤、消泡剤等を挙げることができる。これら添加剤の添加量は、0.05〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明では、上記研磨スラリーSを用いてテキスチャ加工を施したディスク基板1の表面に、表面平均粗さRaの小さい、なお且つ、線密度が緻密で均一なテクスチャ条痕を形成することができる。
具体的に、ディスク基板1の表面平均粗さRaが2.5〜8.0Åの範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.5〜7.0Åの範囲であり、最も好ましくは3.0〜6.0Åの範囲である。ディスク基板1の表面平均粗さRaが2.5Å未満であると、ディスク基板1の表面が過度に平滑になり磁性層4の磁気異方性を高める効果が薄れてしまう。一方、ディスク基板1の表面平均粗さRaが8.0Åを越えると、媒体表面の平滑性が低くなりグライドハイト特性が低下し、記録再生時においてヘッドのフライングハイトを低くするのが難しくなる。
また、ディスク基板1の表面には、上記テクスチャ加工により線密度が30000本/mm以上のテクスチャ条痕を形成することが好ましく、50000本/mm以上とすることがより好ましい。
ここで、テクスチャ条痕は、ディスク基板1の半径方向に測定したものであり、この半径方向の断面において、山と谷との間の高低の距離が0.02nm〜20nmの範囲内(より好ましくは、0.05nm〜10nmの範囲内)の微細な凹凸のことである。
このテクスチャ条痕の線密度を30000本/mm以上とすることで、例えば保磁力などの磁気的特性の向上、並びに、例えばSNR(Signal to Noise Ratio)やPW50などの電磁変換特性の向上が可能である。
なお、線密度の上限は、70000本/mmとする。線密度が70000本/mmを超えると、テクスチャ条痕の線間隔が140Å未満となってしまい、非磁性下地層2の粒径の方が大きくなり、磁気記録媒体の磁気異方性を低下させることになる。
本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法では、上記ディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施した後に、このディスク基板1の表面上に、配向調整層2、非磁性下地層3、磁性層4及び保護膜5を、この順で積層して形成する。
配向調整層2は、直上に形成される非磁性下地層3の結晶配向性を整え、さらにはその上に形成される磁性層4の結晶配向性を調整し、磁性層4の円周方向の磁気異方性を向上させるためのものである。また、配向調整層2は、結晶配向性を調整するだけでなく、非磁性下地層3及び磁性層4中の結晶粒を微細化する結晶粒微細化膜としても機能する。
配向調整層2には、例えばCo、Ni、Feの中から選ばれる何れか1種類以上の成分と、W、Mo、Ta、Nbの中から選ばれる何れか1種類以上の成分とから構成される合金層を用いることができる。この合金層の組成は特に限定されるものではないが、Co、Ni及びFeの合計含有率が25at%〜70at%の範囲のものが好ましい。Co、Ni及びFeの合計含有率が25at%未満では、非磁性下地層3の結晶配向が十分ではなく保持力を低下させる。Co、Ni及びFeの合計含有率が70at%超えると、配向調整層2が磁化を持ってしまい好ましくない。また、W、Mo、Ta及びNbの合計含有率が30at%〜75at%の範囲のものが好ましい。Mo、Ta及びNbの合計含有率が30at%未満では、磁性層4の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。Mo、Ta及びNbの合計含有率が75at%を超えると、非磁性下地層3の結晶配向が十分ではなく保持力を低下させる。
また、配向調整層2は、Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金の中から選択される少なくとも1つの合金層を用いることが好ましい。これらの合金層の組成範囲はFe7W6構造を25%以上含有することが磁性膜の円周方向の磁気異方性をより向上させるために効果がある。すなわち、CoW系合金のWの組成範囲は30at%〜85at%が好ましい。CoMo系合金のMoの組成範囲は30at%〜85at%が好ましい。CoTa系合金のTaの組成範囲は38at%〜65at%が好ましい。CoNb系合金のNbの組成範囲は37at%〜86at%が好ましい。NiTa系合金のTaの組成範囲は38at%〜63at%が好ましい。NiNb系合金のNbの組成範囲は31at%〜86at%が好ましい。Fe−W系合金のWの組成範囲は37at%〜86at%が好ましい。Fe−Mo系合金のMoの組成範囲は35at%〜85at%が好ましい。Fe−Nb系合金のNbの組成範囲は40at%〜86at%が好ましい。
Co−W系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co−Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金はそれぞれ単独でも特性は発揮するし、これらのいくつかが組み合わさった合金でも同様の特性を発現する。例えば、Co−W−Mo系合金、Co−Ni−Nb系合金、Co−W−Mo−Ta系合金などでも同様の特性を発現する。
配向調整層2の膜厚は、10オングストローム〜300オングストロームの範囲内であるとことが好ましい。配向調整層2の膜厚が10オングストローム未満では、非磁性下地層3の結晶配向が十分ではなく保持力を低下させる。配向調整層2の膜厚が300オングストロームを超えると、磁性層4の円周方向の磁気異方性が低下してしまう。さらに、配向調整層2の膜厚は、20オングストローム〜100オングストロームの範囲内である方がより好ましく、磁性膜の円周方向の磁気異方性を更に上げることが可能である。
また、配向調整層2には、補助的効果を有する元素を添加してもよい。添加元素としては、例えばTi,V,Cr,Mn,Zr,Hf,Ru,B,Al,Si,Pなどを挙げることができる。添加元素の合計含有率は、20at%以下であることが好ましい。合計含有率が20at%を超えると、上述した配向調整層2の効果が低下してしまう。合計含有量の下限は、0.1at%であり、含有量が0.1at%未満では、添加元素の効果が無くなる。
非磁性下地層3は、Cr層、又は、CrとTi、Mo、Al、Ta、W、Ni、B、SiおよびVから選ばれる1種もしくは2種類以上とからなるCr合金層を用いることが好ましい。Cr層では、格子定数が小さいので、Cr−Mo,Cr−W,Cr−V、Cr−Ti系合金などのように、Mo,W,V、Tiなどを添加してCrの格子定数を広げ、磁性層4のCo合金と格子定数がマッチングするようにすることが、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。また、Cr層又はCr合金層にBを添加することは、結晶微細化に効果があり、磁気記録媒体のSNR特性向上の点から好ましい。
非磁性下地層3のCr層又はCr合金層の結晶配向は、(100)面を優先配向面とすることが好ましい。その結果、非磁性下地層3の上に形成した磁性層4のCo合金の結晶配向がより強く(11・0)を示すので、例えば保持力(Hc)などの磁気的特性の向上、並びに例えばSNRなどの記録再生特性の向上が可能である。
なお、結晶面表記の中の「・」は、結晶面を表すミラ−ブラベ−指数の省略形を示す。すなわち、結晶面を表わすのにCoのような六方晶系では、通常(hkil)と4つの指数で表わすが、この中で「i」に関してはi=−(h+k)と定義されており、この「i」の部分を省略した形式では、(hk・l)と表記する。
磁性層4は、直下の非磁性下地層3の例えば(100)面と充分に良く格子がマッチングするCoを主原料としたCo合金であって、hcp構造である材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金を挙げることができる。
このうち、Co−Cr−Pt系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲とすることが、SNR向上の点から好ましい。Co−Cr−Pt−B系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲とすることが、SNR向上の点から好ましい。Co−Cr−Pt−B−Ta系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲、Bの含有量は1at%〜20at%の範囲、Taの含有量は1at%〜4at%の範囲とすることが、SNR向上の点から好ましい。Co−Cr−Pt−B−Cu系合金の場合、Crの含有量は10at%〜25at%の範囲、Ptの含有量は8at%〜16at%の範囲、Bの含有量は2at%〜20at%の範囲、Cuの含有量は1at%〜4at%の範囲とすることが、SNR向上の点から好ましい。
磁性層4の膜厚は、15nm以上であれば熱揺らぎの観点から問題ないが、高記録密度への要求から40nm以下とすることが好ましい。膜厚が40nmを越えると、磁性層4の結晶粒径が増大してしまい、良好な記録再生特性が得られなくなる。また、磁性層4は、多層構造としてもよく、その場合、上記の中から選ばれる何れかを組み合わせることができる。多層構造とした場合、非磁性下地層3の直上は、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金、Co−Cr−Pt−B系合金の何れかとすることが、SNR特性の改善の点から好ましい。最上層は、Co−Cr−Pt−B−Cu系合金又はCo−Cr−Pt−B系合金とすることが、SNR特性の改善の点から好ましい。
また、非磁性下地層3と磁性層4との間には、Co合金のエピタキシャル成長を助長する目的として、非磁性中間層を設けることができる。これにより、例えば保磁力などの磁気的特性の向上、並びに例えばSNRなどの記録再生特性の向上の効果が得られる。この非磁性中間層は、CoやCrを含むものとすることができる。具体的に、Co−Cr系合金としたとき、Crの含有量は25at%〜45at%の範囲とすることがSNR向上の点から好ましい。また、非磁性中間層の膜厚は、0.5nm〜3nmの範囲とすることがSNR向上の点から好ましい。
また、非磁性下地層3と磁性層4との間には、磁気記録媒体の熱減磁を改善するために、反強磁性結合層を設けることもできる。反強磁性結合層は、安定化層と非磁性結合層から形成される。安定化層には、磁性を有したCo−Ru系合金、Co−Cr系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Pt−B系合金、Co−Cr−Ta系合金などを用いることができる。非磁性結合層には、Ruを用いることが好ましい。Ruの膜厚は0.8nm前後であると、反強磁性結合強度が極大値になるので好ましい。
磁性層4にBを含む場合には、非磁性下地層3と磁性層4との境界付近において、B濃度が1at%以上の領域におけるCr濃度は40at%以下とすることが好ましい。これにより、CrとBとが高濃度で共存するのを防ぎ、CrとBとの共有結合性化合物の生成を極力抑え、その結果、磁性層4中の配向の低下を防ぐことができる。
保護層5は、従来の公知の材料、例えば、カ−ボンやSiCの単体、又はそれらを主成分とした材料を用いることができる。保護層5の膜厚は、1nm〜10nmの範囲内であることが、高記録密度状態で使用した場合の磁気的スペ−シングの低減又は耐久性の向上の点から好ましい。磁気的スペーシングとは、ヘッドのリードライト素子と磁性層4との距離を表す。磁気的スペーシングが狭くなるほど、電磁変換特性は向上する。なお、保護層5は、ヘッドのリードライト素子と磁性層4の間に存在するので、磁気的スペーシングを広げる要因となる。また、保護膜5上には、例えばパ−フルオロポリエ−テルのフッ素系潤滑剤などからなる潤滑層を設けることが好ましい。
以上のように、本発明を適用して作製される磁気記録媒体では、ガラス基板などのディスク基板1の表面にテクスチャ加工を施した場合でも、微細なテクスチャ条痕を形成することが可能なことから、その上に形成される磁性層4の磁気異方性を高め、熱揺らぎ耐性などの磁気特性を向上させることが可能である。
(磁気記録再生装置)
図3は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例を示す断面図である。
この磁気記録再生装置は、上記図1に示す構成の磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を回転駆動させる媒体駆動部11と、磁気記録媒体10に対する情報の記録再生動作を行う磁気ヘッド12と、この磁気ヘッド12を磁気記録媒体10に対して相対運動させるヘッド駆動部13と、記録再生信号処理系14とを備えている。記録再生信号処理系14は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド12に送ったり、磁気ヘッド12からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。磁気ヘッド12には、再生素子として異方性磁気抵抗効果(AMR)を利用したMR(magnetoresistance)素子や、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを高記録密度に適したヘッドとして用いることができる。
図3は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例を示す断面図である。
この磁気記録再生装置は、上記図1に示す構成の磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を回転駆動させる媒体駆動部11と、磁気記録媒体10に対する情報の記録再生動作を行う磁気ヘッド12と、この磁気ヘッド12を磁気記録媒体10に対して相対運動させるヘッド駆動部13と、記録再生信号処理系14とを備えている。記録再生信号処理系14は、外部から入力されたデ−タを処理して記録信号を磁気ヘッド12に送ったり、磁気ヘッド12からの再生信号を処理してデ−タを外部に送ることができるようになっている。磁気ヘッド12には、再生素子として異方性磁気抵抗効果(AMR)を利用したMR(magnetoresistance)素子や、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを高記録密度に適したヘッドとして用いることができる。
本発明の磁気記録再生装置では、上記ガラス基板1の表面にテクスチャー加工を施して製造した磁気記録媒体10を用いているので、安価で高記録密度な磁気記録再生装置とすることができる。また、本発明の磁気記録再生装置では、平均粗さが小さく、微小うねりも小さい磁気記録媒体10を用いているので、電磁変換特性の向上が可能であるのに加えて、スペーシングロスを低減させるため、ヘッドを低浮上状態で使用しても、エラー特性が良好である磁気記録再生装置とすることができる。したがって、本発明では、上記ガラス基板1の表面にテクスチャー加工を施して製造した磁気記録媒体10を用いることによって、高記録密度に適した磁気記録再生装置を得ることが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例)
実施例では、ディスク基板として、KMG社製の結晶化ガラスを使用した。ディスク基板のサイズは、外径48mm、内径12mm、板厚0.508mmである。そして、このディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した。テクスチャ加工の条件は以下の通りである。すなわち、スラリーに含まれる砥粒については、クラスターダイヤを焼結し粉砕してなる粒径0.12μm、濃度0.025質量%のクラスターダイヤの二次粒子を用いた。クーラントには、ネオス社製SG1を用いた。スラリーは、50ml/分で加工が開始される前に2秒間滴下した。研磨テープにはポリエステル製の織物布を使用した。研磨テープの送りは75mm/分とした。ディスク基板の回転数は600rpmとした。ディスク基板の揺動は120回/分とした。テープの押し付け力は2.0kgf(19.6N)とした。加工時間は10秒とした。
実施例では、ディスク基板として、KMG社製の結晶化ガラスを使用した。ディスク基板のサイズは、外径48mm、内径12mm、板厚0.508mmである。そして、このディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した。テクスチャ加工の条件は以下の通りである。すなわち、スラリーに含まれる砥粒については、クラスターダイヤを焼結し粉砕してなる粒径0.12μm、濃度0.025質量%のクラスターダイヤの二次粒子を用いた。クーラントには、ネオス社製SG1を用いた。スラリーは、50ml/分で加工が開始される前に2秒間滴下した。研磨テープにはポリエステル製の織物布を使用した。研磨テープの送りは75mm/分とした。ディスク基板の回転数は600rpmとした。ディスク基板の揺動は120回/分とした。テープの押し付け力は2.0kgf(19.6N)とした。加工時間は10秒とした。
そして、このテクスチャ加工が施されたディスク基板の表面を、ディジタル・インストゥルメント(Degital Instrument)社製(米国)のAFM(Atomic Force Microscope)で測定したところ、表1に示すように、平均粗さRaが5.1オングストローム、線密度が30300本/mmのテクスチャ条痕を有するディスク基板が得られた。
なお、具体的な測定条件については、スキャン幅を1μm、スキャンレートを1Hz、測定数を256、モードをタッピングモードとした。先ず、試料となるディスク基板の半径方向にプローブを走査し、AFMのスキャン画像を得た。次に、Flatten Orderの次数を2として平滑化処理のひとつであるPlane FitAuto処理を、Scan画像に対してX軸とY軸とに実施し、画像の平滑化補正を行った。次に、平滑化補正済みの画像に対して、約0.5μm×約0.5μmのボックスを設定してその範囲の線密度を算出した。線密度はX軸中心線とY軸中心線の両方に沿ったゼロ交差点の総数を1mm当りに換算して算出する。すなわち、線密度は半径方向1mm当りのテクスチャ条痕の山と谷の数となる。そして、試料面内の各箇所を測定し、その測定値の平均値及び標準偏差を求め、その平均値をもってテクスチャ条痕の線密度とした。なお、測定箇所の個数は、平均値及び標準偏差を求めるのに必要な個数、例えば測定数を10点とすることができる。また、そのうちの最大値と最小値を除いた8点で平均値及び標準偏差を求めると、測定異常値を除くことができるので、測定精度の向上を図ることができる。
次に、このディスク基板を十分に洗浄し乾燥した後、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社(日本)製C3010)内にセットした。真空到達度を2×10−7Torr(2.7×10−5Pa)まで排気した後、配向調整層として、Co―W合金(Co:45at%、W:55at%)からなるタ−ゲットも用いて常温にて1nm積層した。その後、基板を250℃に加熱した。加熱後、酸素暴露を0.05Paで5秒間実施した。次に、非磁性下地層として、Cr−Ti―B合金(Cr:83at%、Ti:15at%、B:2at%)からなるタ−ゲットを用いて8nm積層した。次に、非磁性中間層として、Co―Cr合金(Co:65at%、Cr:35at%)からなるタ−ゲットを用いて2nm積層した。次に、磁性層として、Co−Cr−Pt−B合金(Co:60at%、Cr:22at%、Pt:12at%、B:6at%)からなるタ−ゲットを用いてCoCrPtB合金層を20nmの膜厚で積層した。次に、保護層として、カ−ボンを5nmの膜厚で積層した。なお、成膜時のAr圧は3mTorr(0.4Pa)とした。最後に、パ−フルオロポリエ−テルをディップ法で塗布し膜厚20nmの潤滑層を形成した。以上のようにして、実施例の磁気記録媒体を作製した。
(比較例)
比較例では、スラリーに含まれる砥粒として、粒径0.12μm、濃度0.025質量%の単結晶ダイヤ(非クラスターダイヤ)を用いた以外は、実施例と同様の条件でディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した。そして、このテクスチャ加工が施されたディスク基板の表面を、DegitalInstrument社製のAFMで測定したところ、表1に示すように、平均粗さRaが3.2オングストローム、線密度が23000本/mmのテクスチャ条痕を有するディスク基板が得られた。そして、このディスク基板を用いて、実施例と同様の条件で磁気記録媒体を作製した。
比較例では、スラリーに含まれる砥粒として、粒径0.12μm、濃度0.025質量%の単結晶ダイヤ(非クラスターダイヤ)を用いた以外は、実施例と同様の条件でディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した。そして、このテクスチャ加工が施されたディスク基板の表面を、DegitalInstrument社製のAFMで測定したところ、表1に示すように、平均粗さRaが3.2オングストローム、線密度が23000本/mmのテクスチャ条痕を有するディスク基板が得られた。そして、このディスク基板を用いて、実施例と同様の条件で磁気記録媒体を作製した。
以上のように作製された実施例及び比較例の磁気記録媒体について、浮上特性について調べた。浮上特性の測定については以下の通りである。すなわち、米国Guzik社製の測定装置を用い、150kFCIでの出力をS、900kFCIでの出力をNとし、SNR=20log(S/N)で測定した。
磁気記録媒体を4200rpmで回転させ、その上の半径15mmの位置に、TDK社製のMRヘッドを浮上させた状態で雰囲気を1.0atm〜0.3atmに徐々に減圧する。ヘッドの浮上力は徐々に低下し、ヘッドが磁気記録媒体上にタッチダウンする気圧(大気圧を1atmとした場合の気圧)をタッチダウン特性(TD)とする。タッチダウンした状態で、雰囲気を徐々に増圧し、ヘッドがテイクオフする圧力をテイクオフ特性(TO)とする。なお、TDとTOは、その差が小さいほどよい。さらに、TDとTOは、その値が小さいほど好ましい。
以下、浮上特性の測定した測定結果を表1に示す。なお、表1中のIDは、基板の内周部分、MDは、基板の中周部分、ODは、基板の外周部分での測定結果である。
以下、浮上特性の測定した測定結果を表1に示す。なお、表1中のIDは、基板の内周部分、MDは、基板の中周部分、ODは、基板の外周部分での測定結果である。
表1に示す測定結果から、実施例のように本発明のクラスターダイヤを用いた場合には、比較例のように単結晶ダイヤを用いた場合よりも、表面平均粗さRaが高いことから、ディスク基板の表面に対する加工性が高いことがわかる。
また、実施例のように本発明のクラスターダイヤを用いた場合には、比較例のように単結晶ダイヤを用いた場合よりも、TDとTOの差が小さいことから、ヘッドを低浮上状態で使用することが可能である。
また、実施例のように本発明のクラスターダイヤを用いた場合には、比較例のように単結晶ダイヤを用いた場合よりも、SNRが高いことから、良好な電磁変換特性を得ることが可能である。
また、実施例のように本発明のクラスターダイヤを用いた場合には、比較例のように単結晶ダイヤを用いた場合よりも、TDとTOの差が小さいことから、ヘッドを低浮上状態で使用することが可能である。
また、実施例のように本発明のクラスターダイヤを用いた場合には、比較例のように単結晶ダイヤを用いた場合よりも、SNRが高いことから、良好な電磁変換特性を得ることが可能である。
1…ディスク基板 2…配向調整層 3…非磁性下地層 4…磁性層 5…保護層 10…磁気記録媒体 11…媒体駆動部 12…磁気ヘッド 13…ヘッド駆動部 14…記録再生信号系 101…スピンドル 102…ノズル 103…供給ロール 104…巻取ロール 105…研磨テープ 106…押圧ローラ
Claims (10)
- ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施した後に、このテクスチャ加工が施されたディスク基板の表面上に、少なくとも非磁性下地層、磁性層、及び保護層を順次積層して形成する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記テクスチャ加工を施す際に、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含む研磨スラリーを用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記テクスチャ加工は、前記ディスク基板を回転させながら、前記ディスク基板の表面に前記研磨スラリーを供給し、走行する研磨テープを前記ディスク基板の表面に押し付けることにより行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記砥粒の平均粒径が0.05〜0.20μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記砥粒の濃度が0.001〜0.05質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記テクスチャ加工により線密度が30000本/mm以上のテクスチャ条痕を形成することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記ディスク基板の表面平均粗さRaが1.5〜7.0Åの範囲とすることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記ディスク基板が結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記ディスク基板の表面と前記非磁性下地層との間に配向調整層を形成することを特徴とする請求項1〜7に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 磁気記録媒体と、この磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、
前記磁気記録媒体が、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法を用いて作製されたものであることを特徴とする磁気記録再生装置。 - ディスク基板の表面にテクスチャ加工を施す際に用いられる研磨スラリーであって、
少なくとも、クラスターダイヤを焼結し、粉砕してなる砥粒を含むことを特徴とする研磨スラリー。
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