リクエスト信号に対する応答信号(IDコード信号)が車両側のセキュリティ装置で受信されないことの原因を考えたとき、第1の原因として、携帯機がリクエスト信号を受信できない状況下に置かれており、よってリクエスト信号を受信できていない携帯機からはIDコード信号が送信されず、結果としてIDコード信号が車両側のセキュリティ装置で受信されないことが考えられる。そして、このような場合には、特許文献1の電子キーシステムのように、リクエスト信号の強度を増せば、それが携帯機で受信され易くなり、よって携帯機からIDコード信号が送信されるとともに、それが車両側のセキュリティ装置で受信されるようになるから、双方向通信が途絶えるようなことがない。
しかしながら、第2の原因として、携帯機でリクエスト信号が受信されて同携帯機からIDコード信号が送信されるも、それが車両側のセキュリティ装置に達する前にノイズにより妨害され、結果としてIDコード信号が車両側のセキュリティ装置で受信されないことが考えられる。そして、このような場合には、特許文献1の電子キーシステムのように、リクエスト信号の強度を増したとしても、それが携帯機で受信されて同携帯機からIDコード信号が送信されるといった同じことが繰り返されるに過ぎず、これが再びノイズにより妨害されれば、またしてもIDコード信号が車両側のセキュリティ装置で受信されないことになる。
つまり、携帯機からのIDコード信号が車両側のセキュリティ装置に達する前にノイズにより妨害されるような場合を想定したとき、特許文献1の電子キーシステムのように、リクエスト信号の強度を増したとしても、IDコード信号が車両側のセキュリティ装置で受信されないことに変わりはなく、双方向通信が途絶えてしまうといった不具合を解消できるには至らない。むしろ、特許文献1の電子キーシステムでは、リクエスト信号が携帯機で受信できている場合でも、リクエスト信号が携帯機で受信できていない場合と同様に、リクエスト信号の強度を増しているといった無駄が生じている。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、双方向通信が続行される確率を高めるに際して、無駄をなくすることが可能な通信端末装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、当該通信端末装置との間での双方向通信が成立したものと肯定判断するまで繰り返し第1の信号を送信するとともに、その第1の信号に対する応答信号である第2の信号を受信したとき、当該通信端末装置との間での双方向通信が成立したものと肯定判断する外部通信端末装置との間での双方向通信が可能な通信端末装置において、第1の信号を受信したとき、その第1の信号に対する応答信号である第2の信号を送信するとともに、その第2の信号が最初の第2の信号であるとき、その最初の第2の信号を基準出力レベルで送信し、最初の第2の信号を送信した後、第1の信号を受信したとき、基準出力レベルよりも高い出力レベルで第2の信号を送信することをその要旨としている。
同構成によると、通信端末装置と外部通信端末装置との間での双方向通信が行われるに際して、まず外部通信端末装置から第1の信号が送信されるとともに、それが通信端末装置で受信されたとき、同通信端末装置から第1の信号に対する応答信号である第2の信号が送信される。そして、この第2の信号が外部通信端末装置で受信されたとき、同外部通信端末装置により、通信端末装置と外部通信端末装置との間での双方向通信が成立したものと肯定判断される。尚、外部通信端末装置は、第1の信号を送信したにも拘わらず、それに対する応答信号である第2の信号を受信できないとき、再び第1の信号を送信する。つまり、外部通信端末装置は、第2の信号を受信するまで繰り返し第1の信号を送信する。
ここで、通信端末装置から第2の信号が送信された後、第1の信号が通信端末装置で受信されたということは、実際には第1の信号が通信端末装置で受信されて同通信端末装置から第2の信号が送信された状況にあるにも拘わらず、そのことが外部通信端末装置で未だ肯定判断されていないことの表れである。例えば、第2の信号が外部通信端末装置に達する前にノイズにより妨害されるような場合がこれに該当する。そこで、本構成にあって通信端末装置は、このようなとき、第2の信号の出力レベルを上げてそれを送信することで、第2の信号がノイズの影響を受けようともそれに打ち勝つことができるようにするとともに、それにより第2の信号が外部通信端末装置で受信されるようになる確率を高めている。従って、双方向通信が途絶えてしまう確率を低減できるから、双方向通信が続行される確率を高めることができる。
特に、本構成では、自装置(通信端末装置)が第2の信号を送信したにも拘わらず、それが相手装置(外部通信端末装置)で受信されていないことを裏付ける事実、つまり第2の信号が相手装置(外部通信端末装置)で受信されていれば送信されてくる筈のない信号(第1の信号)を受信したことを根拠として、第2の信号の出力レベルを上げるようにしている。従って、第2の信号の出力レベルを上げるべき時期を見計らった上でそれを実行しているのであるから、無駄をなくすることができる。
このように本構成によれば、双方向通信が続行される確率を高めるに際して、無駄をなくすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信端末装置において、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルで第2の信号を送信する回数の上限を高出力送信上限回数と規定するとともに、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルで第2の信号を送信した回数が前記高出力送信上限回数に達するまでの期間内に第1の信号を受信したとき、前記基準出力レベルよりも高いレベルで第2の信号を送信し、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルで第2の信号を送信した回数が前記高出力送信上限回数に達した後の段階で第1の信号を受信したとき、前記基準出力レベルで第2の信号を送信することをその要旨としている。
同構成によると、第2の信号が外部通信端末装置で受信されていないことを裏付ける事実があるからと言って、回数に上限を設けることなく、第1の信号を受信する度に、出力レベルの高い第2の信号を送信するとなると、それに必要な消費電力が増大するから、通信端末装置は、それを防止するようにしている。即ち、通信端末装置は、出力レベルの高い第2の信号を送信する回数に上限を設けるとともに、その上限に達した後の段階で第1の信号を受信したとき、第2の信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルで第2の信号を送信するようにしている。従って、必要以上に多くの回数に亘って高い出力レベルで第2の信号が送信されることによる電力の浪費を防止できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の通信端末装置において、最初の第2の信号を送信してから所定の時間が経過するまでの期間を高出力送信実行期間と規定するとともに、前記高出力送信実行期間内に第1の信号を受信したとき、前記基準出力レベルよりも高いレベルで第2の信号を送信し、前記高出力送信実行期間が過ぎた段階で第1の信号を受信したとき、前記基準出力レベルで第2の信号を送信することをその要旨としている。
同構成によると、第2の信号が外部通信端末装置で受信されていないことを裏付ける事実があるからと言って、時間に上限を設けることなく、第1の信号を受信する度に、出力レベルの高い第2の信号を送信するとなると、それに必要な消費電力が増大するから、通信端末装置は、それを防止するようにしている。即ち、通信端末装置は、出力レベルの高い第2の信号を送信する時間に上限を設けるとともに、その上限に達した後の段階で第1の信号を受信したとき、第2の信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルで第2の信号を送信するようにしている。従って、必要以上に長い時間に亘って高い出力レベルで第2の信号が送信されることによる電力の浪費を防止できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の通信端末装置において、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルであって、第2の信号を送信するに際して許される最大の出力レベルを許容最大出力レベルと規定するとともに、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルであって、前記基準出力レベルと前記許容最大出力レベルとの間に属する出力レベルを低いものから高いものへ順に向かうように段階的に設定し、最初の第2の信号を送信した後、第1の信号を受信したとき、段階的に設定した出力レベルのうち最も低いものを2回目の第2の信号の出力レベルとして選択してその出力レベルで2回目の第2の信号を送信し、2回目の第2の信号を送信した後、第1の信号を受信する度に、前回の第2の信号の出力レベルよりも1つ上位の段階のものを選択してその出力レベルで3回目以降の第2の信号を送信し、第2の信号を送信することと第1の信号を受信することとを繰り返した結果、段階的に設定した出力レベルのうち最上位の段階のものを選択してその出力レベルで第2の信号を送信した後、第1の信号を受信したとき、前記基準出力レベルで第2の信号を送信することをその要旨としている。
同構成によると、通信端末装置は、最初の第2の信号を送信した後、第1の信号を受信したとき、それに対する応答信号として、基準出力レベルよりも高い出力レベルの第2の信号(2回目の第2の信号)を送信する。そして、この2回目の第2の信号を送信した後、第1の信号を受信したとき、それに対する応答信号として、2回目の第2の信号の出力レベルよりもさらに高い出力レベルの第2の信号(3回目の第2の信号)を送信する。この例のように、いわば段階的に第2の信号の出力レベルを上げてゆくことで、ノイズレベルに応じた出力レベル、つまりノイズに打ち勝つに事足りるが高過ぎない出力レベルの第2の信号がやがて外部通信端末装置で受信されるようになる。
また、段階的に設定した出力レベルのうち最上位の段階の出力レベルで第2の信号を送信するも、第1の信号を受信した場合、もはやそれを超える出力レベルで第2の信号を送信することができず、よってこの場合、第2の信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルで第2の信号を送信するようにしている。
従って、必要以上に高い出力レベルで第2の信号が送信されることによる電力の浪費を防止できる。尚、許容最大出力レベルは、例えば電波法等の法規に依存することとなる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の通信端末装置において、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルであって、第2の信号を送信するに際して許される最大の出力レベルを許容最大出力レベルと規定するとともに、最初の第2の信号を送信した後、第1の信号を受信したとき、前記許容最大出力レベルで第2の信号を送信し、前記許容最大出力レベルで第2の信号を送信した後、第1の信号を受信したとき、前記基準出力レベルで第2の信号を送信することをその要旨としている。
同構成によると、最初の第2の信号を送信するも第1の信号を受信したということは、第2の信号が外部通信端末装置で受信されていないことに他ならないから、通信端末装置は、そのような事実を根拠として、許容最大出力レベルで第2の信号を送信するようにし、つまりはノイズに打ち勝つに事足りるであろう出力レベルの第2の信号を早い段階で送信するようにしている。従って、双方向通信が続行される確率が高まる状況をいち早く作り出すことができる。
また、許容最大出力レベルで第2の信号を送信するも、第1の信号を受信した場合、もはやそれを超える出力レベルで第2の信号を送信することができず、よってこの場合、第2の信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルで第2の信号を送信するようにしている。従って、無意味とは言わないまでも許容最大出力レベルで第2の信号が送信され続けられることによる電力の浪費を防止できる。尚、許容最大出力レベルは、例えば電波法等の法規に依存することとなる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の通信端末装置において、第2の信号に対する応答信号である第3の信号を受信したとき、その第3の信号に対する応答信号である第4の信号を送信するとともに、同第4の信号を送信するに際して、第3の信号を受信する直前に送信した第2の信号の出力レベルと同等以上の出力レベルで第4の信号を送信することをその要旨としている。
同構成によると、通信端末装置と外部通信端末装置との間での双方向通信が行われるに際して、第1の信号及び第2の信号のやりとりが完了されると、外部通信端末装置から第3の信号が送信されるとともに、それが通信端末装置で受信されたとき、同通信端末装置から第3の信号に対する応答信号である第4の信号が送信される。このとき、通信端末装置は、第3の信号を受信する直前に送信した第2の信号の出力レベルと同等以上の出力レベルで第4の信号を送信することとしている。ここに、第3の信号が送信されてきたということは、第2の信号が外部通信端末装置で受信されたことの証であるから、この第2の信号の出力レベルと同等以上の出力レベルで第4の信号を送信すれば、それが仮にノイズの影響を受けようとも、同第4の信号は外部通信端末装置で受信される筈である。要は、双方向通信が続行される確率を高めることができる。
尚、本構成を採用するに際して、第3の信号を受信する直前に送信した第2の信号の出力レベルと同じ出力レベルで第4の信号を送信する構成を採用したとき、前記第2の信号の出力レベルと同等以上の出力レベルのうち、最も低い出力レベルで第4の信号が出力されるから、この場合、消費電力を抑制できる。
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
本発明によれば、双方向通信が続行される確率を高めるに際して、無駄をなくすることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態の自動車には、電子キーシステム1が適用されている。電子キーシステム1は、車両ユーザが所持する電子キー2と、車両側に設けられるセキュリティ装置3とを備えるとともに、電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が可能である。尚、前記電子キー2は、その所持態様から携帯機と称されている。
電子キー2は、無線通信による受信機能及び無線通信による送信機能を有するとともに、受信アンテナ21、受信回路22、マイコン23、送信回路24、送信アンテナ25を備えている。尚、電子キー2は、通信端末装置に相当する。
受信アンテナ21は、セキュリティ装置3から送信されてくる信号(WAKE信号やリクエスト信号)を受信するための媒体である。受信回路22は、受信アンテナ21により受信された信号(WAKE信号やリクエスト信号)を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号をマイコン23に出力する。
マイコン23は、不揮発性のメモリ23aを備えるとともに、そのメモリ23aには、電子キー2毎に個別に設定されたIDコード(電子キー2のIDコード)が記憶されている。マイコン23は、受信回路22からWAKE信号に関する受信信号が入力されたとき、WAKE信号に対する応答信号であるACK信号を生成するとともに、そのACK信号を送信回路24に出力する。また、マイコン23は、受信回路22からリクエスト信号に関する受信信号が入力されたとき、リクエスト信号に応答するために、電子キー2のIDコードを含む信号(IDコード信号)を生成するとともに、そのIDコード信号を送信回路24に出力する。
送信回路24は、マイコン23から入力された信号(ACK信号やIDコード信号)を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調する。送信アンテナ25は、送信回路24により変調された信号(ACK信号やIDコード信号)を送信するための媒体である。
セキュリティ装置3は、無線通信による送信機能及び無線通信による受信機能を有するとともに、送信回路31、送信アンテナ32、受信アンテナ33、受信回路34、照合装置35を備えている。尚、セキュリティ装置3は、外部通信端末装置に相当する。
送信回路31は、照合装置35から入力される信号(WAKE信号やリクエスト信号)を所定周波数(本実施形態では134KHz)の電波に変調する。送信アンテナ32は、送信回路31により変調された信号(WAKE信号やリクエスト信号)を送信するための媒体である。
ここで、送信アンテナ32からの信号(WAKE信号やリクエスト信号)は、車外においてドアアウトサイドハンドルを中心とした半径約1mの領域内に及ぶように送信される。図2には、その領域が車外の所定領域A32として2点鎖線で示されている。そして、この車外の所定領域A32内において、電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が可能となっている。
つまり、車外の所定領域A32内にWAKE信号が送信されている状態で、その車外の所定領域A32内に電子キー2が持ち込まれたとき、電子キー2によりWAKE信号が受信されて同電子キー2からACK信号が送信されるようになっている。また、車外の所定領域A32内にリクエスト信号が送信されている状態で、その車外の所定領域A32内に電子キー2が持ち込まれたとき、電子キー2によりリクエスト信号が受信されて同電子キー2からIDコード信号が送信されるようになっている。
図1に戻って、受信アンテナ33は、WAKE信号に対する応答信号として電子キー2から送信されてくるACK信号や、リクエスト信号に対する応答信号として電子キー2から送信されてくるIDコード信号を受信するための媒体である。受信回路34は、受信アンテナ33により受信された信号(ACK信号やIDコード信号)を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号を照合装置35に出力する。
照合装置35は、不揮発性のメモリ35aを備えるとともに、そのメモリ35aには、セキュリティ装置3が搭載されている自動車に適合する電子キー2(=正規の電子キー2)のIDコードと同一のIDコード(基準IDコード)が記憶されている。照合装置35は、セキュリティ装置3との間での双方向通信の対象となる電子キー(これは正規の電子キー2とは限らない。)が車外の所定領域A32内に存在しているかどうかを監視するため、ドアがロックされている状態において、送信回路31にWAKE信号を出力する。つまり、この場合、照合装置35は、通信対象キー存在有無監視制御を実行する。その結果、送信アンテナ32からWAKE信号が送信される。
照合装置35は、通信対象キー存在有無監視制御を実行したことに伴って、受信回路34からACK信号に関する受信信号が入力されたとき、セキュリティ装置3との間での双方向通信の対象となる電子キー(これは正規の電子キー2とは限らない。)が車外の所定領域A32内に存在している旨を認識する。別の言い方をすると、照合装置35は、受信回路34からACK信号に関する受信信号が入力されたとき、電子キー(これは正規の電子キー2とは限らない。)との間での双方向通信が成立したものと肯定判断する。尚、WAKE信号は、電子キー(これは正規の電子キー2とは限らない。)とセキュリティ装置3との間での双方向通信を確立するためのトリガ信号に相当する。
そして、照合装置35は、上記のように受信回路34からACK信号に関する受信信号が入力されたとき、車外の所定領域A32内に存在している電子キーが正規の電子キー2であるか否かを調べるため、その電子キーに対して自キーのIDコードを送信するよう要求する信号、つまりリクエスト信号を送信回路31に出力する。つまり、この場合、照合装置35は、IDコード要求制御を実行する。その結果、送信アンテナ32からリクエスト信号が送信される。
照合装置35は、IDコード要求制御を実行したことに伴って、受信回路34からIDコード信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、照合装置35は、IDコード照合を実行する。そして、照合装置35は、IDコード照合により両IDコードが一致したとき、正規の電子キー2が利用された旨を認識するとともに、この場合、電子キー2の所持者による乗車を許容するために、ドア制御装置40にドアアンロック許可信号を出力する。その結果、このようにドアのアンロック(解錠)が許可されている状態で電子キー2の所持者がドアアウトサイドハンドルに触れると、ドア制御装置40によりドアがアンロック(解錠)されるとともに、これにより電子キー2の所持者による乗車が許容されることとなる。
ところで、照合装置35は、WAKE信号の送信に関する前記通信対象キー存在有無監視制御を実行してから所定の待機期間(本実施形態では約0.3秒間)が経過しても、それに対する応答信号であるACK信号に関する受信信号が受信回路34から入力されないとき、再びWAKE信号を送信回路31に出力する。つまり、照合装置35は、受信回路34からACK信号に関する受信信号が入力されるまで繰り返しWAKE信号を出力する。別の言い方をすると、照合装置35は、電子キー(これは正規の電子キー2とは限らない。)との間での双方向通信が成立したものと肯定判断するまで繰り返しWAKE信号を出力する。
尚、本実施形態においてセキュリティ装置3から送信されるWAKE信号は、第1の信号に相当するとともに、そのWAKE信号に対する応答信号として電子キー2から送信されるACK信号は、第2の信号に相当する。また、前記ACK信号に対する応答信号としてセキュリティ装置3から送信されるリクエスト信号は、第3の信号に相当するとともに、そのリクエスト信号に対する応答信号として電子キー2から送信されるIDコード信号は、第4の信号に相当する。
次に、電子キーシステム1の作用について説明する。尚、ここでは、本実施形態の特徴点を理解し易くするため、本実施形態の構成を採用しない場合の動作を図3(a)に示すとともに、本実施形態の構成を採用した場合の動作を図3(b)に示し、それらを比較するようにした。
まず、本実施形態の構成を採用しない場合の動作を図3(a)を用いて説明する。
電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が行われるに際して、まずセキュリティ装置3からWAKE信号が送信されるとともに、それが電子キー2で受信されたとき、同電子キー2からWAKE信号に対する応答信号であるACK信号(=最初のACK信号)が送信される。尚、この最初のACK信号は、基準出力レベルで送信される。
そして、この最初のACK信号がセキュリティ装置3に達する前にノイズにより妨害されたとき、セキュリティ装置3は、この最初のACK信号を受信できないことになる。従って、この場合、セキュリティ装置3からACK信号に対する応答信号であるリクエスト信号は送信されないから、電子キー2でリクエスト信号が受信されないこととなる。
こうしたときセキュリティ装置3は、つまりACK信号を受信していないセキュリティ装置3は、電子キー2との間での双方向通信が成立したものと肯定判断していない訳であるから、再びWAKE信号を送信する。そして、このWAKE信号が電子キー2で受信されたとき、同電子キー2からWAKE信号に対する応答信号であるACK信号(=2回目のACK信号)が送信される。尚、この2回目のACK信号は、最初のACK信号と同じ出力レベル、つまり基準出力レベルで送信される。
そして、依然としてノイズが発生している状況が続いているとなると、この2回目のACK信号がセキュリティ装置3に達する前に該ノイズにより妨害されたとき、セキュリティ装置3は、またしてもACK信号(=2回目のACK信号)を受信できないことになる。従って、この場合にも、セキュリティ装置3からACK信号に対する応答信号であるリクエスト信号は送信されないから、電子キー2でリクエスト信号が受信されないこととなる。
こうしたときセキュリティ装置3は、つまりACK信号を受信していないセキュリティ装置3は、電子キー2との間での双方向通信が成立したものと未だ肯定判断していない訳であるから、再びWAKE信号を送信する。そして、このWAKE信号が電子キー2で受信されたとき、同電子キー2からWAKE信号に対する応答信号であるACK信号(=3回目のACK信号)が送信される。尚、この3回目のACK信号は、最初のACK信号や2回目のACK信号と同じ出力レベル、つまり基準出力レベルで送信される。
そして、依然としてノイズが発生している状況が続いているとなると、この3回目のACK信号がセキュリティ装置3に達する前に該ノイズにより妨害されたとき、セキュリティ装置3は、またしてもACK信号(=3回目のACK信号)を受信できないことになる。従って、この場合にも、セキュリティ装置3からACK信号に対する応答信号であるリクエスト信号は送信されないから、電子キー2でリクエスト信号が受信されないこととなる。
その結果、このように基準出力レベルのACK信号を妨害するようなノイズが発生している状況下に電子キー2やセキュリティ装置3が置かれ続けられているとき、セキュリティ装置3は、いつまで経っても、電子キー2との間での双方向通信が成立したものと肯定判断できないことになるから、この場合、通信不成立となってしまう。
次いで、本実施形態の構成を採用した場合の動作を図3(b)を用いて説明する。
電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が行われるに際して、まずセキュリティ装置3からWAKE信号が送信されるとともに、それが電子キー2で受信されたとき、同電子キー2からWAKE信号に対する応答信号であるACK信号(=最初のACK信号)が送信される。尚、この最初のACK信号は、基準出力レベルで送信される。
そして、この最初のACK信号がセキュリティ装置3に達する前にノイズにより妨害されたとき、セキュリティ装置3は、この最初のACK信号を受信できないことになる。従って、この場合、セキュリティ装置3からACK信号に対する応答信号であるリクエスト信号は送信されないから、電子キー2でリクエスト信号が受信されないこととなる。
こうしたときセキュリティ装置3は、つまりACK信号を受信していないセキュリティ装置3は、電子キー2との間での双方向通信が成立したものと肯定判断していない訳であるから、再びWAKE信号を送信する。そして、このWAKE信号が電子キー2で受信されたとき、同電子キー2からWAKE信号に対する応答信号であるACK信号(=2回目のACK信号)が送信されるのであるが、ここに本実施形態にあってこの2回目のACK信号は、最初のACK信号と同じ出力レベル(=基準出力レベル)ではなく、それよりも高い出力レベルで送信される。つまり、本実施形態において電子キー2は、最初のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、基準出力レベルよりも高い出力レベルでACK信号を送信する(=本実施形態の特徴点1)。
そして、依然としてノイズが発生している状況が続いているとなると、この2回目のACK信号がセキュリティ装置3に達する前に該ノイズにより影響を受けるのであるが、ここに本実施形態にあってこの2回目のACK信号は、出力レベルが高められていることから、ノイズに打ち勝つこととなり、よってこの2回目のACK信号は、セキュリティ装置3で受信されるようになる(=上記特徴点1による効果)。従って、この場合、セキュリティ装置3は、電子キー2との間での双方向通信が成立したものと肯定判断することとなり、よってセキュリティ装置3は、ACK信号に対する応答信号であるリクエスト信号を送信する。
そして、このリクエスト信号が電子キー2で受信されたとき、同電子キー2からリクエスト信号に対する応答信号であるIDコード信号が送信されるのであるが、ここに本実施形態にあってこのIDコード信号は、リクエスト信号を受信する直前に送信したACK信号(この場合、2回目のACK信号)の出力レベルと同じ出力レベルで送信される。つまり、本実施形態において電子キー2は、ACK信号に対する応答信号であるリクエスト信号を受信したとき、そのリクエスト信号に対する応答信号であるIDコード信号を送信するとともに、同IDコード信号を送信するに際して、リクエスト信号を受信する直前に送信したACK信号の出力レベルと同じ出力レベルでIDコード信号を送信する(=本実施形態の特徴点2)。
そして、依然としてノイズが発生している状況が続いているとなると、このIDコード信号がセキュリティ装置3に達する前に該ノイズにより影響を受けるのであるが、ここに本実施形態にあってこのIDコード信号は、予め出力レベルが高められていることから、ノイズに打ち勝つこととなり、よってこのIDコード信号は、セキュリティ装置3で受信されるようになる(=上記特徴点2による効果)。
その結果、このように基準出力レベルのACK信号やIDコード信号を妨害するようなノイズが発生している状況下に電子キー2やセキュリティ装置3が置かれ続けられていようとも、本実施形態では、電子キー2からの信号(ACK信号やIDコード信号)の出力レベルが高められてそれが送信されるようになっているので、双方向通信が続行されることとなる。つまり、本実施形態の構成を採用した場合、それを採用しない場合とは異なり、通信を成立させることができるのである。
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)電子キー2からACK信号が送信された後、WAKE信号が電子キー2で受信されたということは、実際にはWAKE信号が電子キー2で受信されて同電子キー2からACK信号が送信された状況にあるにも拘わらず、そのことがセキュリティ装置3で未だ肯定判断されていないことの表れである。例えば、ACK信号がセキュリティ装置3に達する前にノイズにより妨害されるような場合がこれに該当する。そこで、本実施形態にあって電子キー2は、このようなとき、ACK信号の出力レベルを上げてそれを送信することで、ACK信号がノイズの影響を受けようともそれに打ち勝つことができるようにするとともに、それによりACK信号がセキュリティ装置3で受信されるようになる確率を高めている。従って、双方向通信が途絶えてしまう確率を低減できるから、双方向通信が続行される確率を高めることができる。
(2)本実施形態では、自装置(電子キー2)がACK信号を送信したにも拘わらず、それが相手装置(セキュリティ装置3)で受信されていないことを裏付ける事実、つまりACK信号が相手装置(セキュリティ装置3)で受信されていれば送信されてくる筈のない信号(WAKE信号)を受信したことを根拠として、ACK信号の出力レベルを上げるようにしている。従って、ACK信号の出力レベルを上げるべき時期を見計らった上でそれを実行しているのであるから、無駄をなくすることができる。
(3)上記(1)及び(2)から、本実施形態によれば、双方向通信が続行される確率を高めるに際して、無駄をなくすることができる。
(4)電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が行われるに際して、WAKE信号及びACK信号のやりとりが完了されると、セキュリティ装置3からリクエスト信号が送信されるとともに、それが電子キー2で受信されたとき、同電子キー2からリクエスト信号に対する応答信号であるIDコード信号が送信される。このとき、電子キー2は、リクエスト信号を受信する直前に送信したACK信号の出力レベルと同じ出力レベルでIDコード信号を送信することとしている。ここに、リクエスト信号が送信されてきたということは、ACK信号がセキュリティ装置3で受信されたことの証であるから、このACK信号の出力レベルと同じ出力レベルでIDコード信号を送信すれば、それが仮にノイズの影響を受けようとも、同IDコード信号はセキュリティ装置3で受信される筈である。要は、双方向通信が続行される確率を高めることができる。
尚、リクエスト信号を受信する直前に送信したACK信号の出力レベルと同じ出力レベルでなくとも、前記ACK信号の出力レベルと同等以上の出力レベルであれば、そのようなIDコード信号はセキュリティ装置3で受信される筈である。ここに、本実施形態では、前記ACK信号の出力レベルと同等以上の出力レベルのうち、最も低い出力レベルでIDコード信号が出力されるから、消費電力を抑制できる。
(5)セキュリティ装置3に依存することなく、電子キー2自身の判断でもってノイズに打ち勝つことができる。
(6)セキュリティ装置3から送信される信号(WAKE信号やリクエスト信号)は、周波数が134KHzであり、電子キー2から送信される信号(ACK信号やIDコード信号)は、周波数が300MHzである。このため、電子キーシステム1が適用されている自動車の外部環境において、300MHzに近い周波数帯の電波による無線通信が比較的盛んに行われている今の世の現状を考えると、134KHzのWAKE信号やリクエスト信号よりも、300MHzのACK信号やIDコード信号の方がノイズによる影響を受けやすい。こういったことによる不具合を解消する意味で、本実施形態の如くACK信号やIDコード信号の出力レベルを上げることで双方向通信が円滑に行われるようにすることは非常に有益であると言える。
(7)上記(6)を換言すれば、電子キー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が続行される確率を高めるに際して、特許文献1の如くセキュリティ装置3からの信号(周波数134KHz)の出力レベルを上げるようにすることと、本実施形態の如く電子キー2からの信号(周波数300MHz)の出力レベルを上げるようにすることとでは、その有効性に差があり、本実施形態の方が今の世の現状に見合っていると言える。さらに言えば、そういった点は特許文献1に記載乃至示唆されておらず、よって本実施形態の思想は、特許文献1に基づいて容易に想到されるものではない。
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・電子キー2にあって、2回目のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信した場合を想定する。この場合、最初のACK信号よりも出力レベルの高い2回目のACK信号をも打ち負かしてしまうようなノイズが発生していることになるから、これに打ち勝つに事足りる出力レベルのACK信号を送信する必要がある。そこで、このような場合に対処するために、2回目のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、2回目のACK信号の出力レベルよりも高い出力レベルでACK信号を送信するような構成を採用してもよい。そうすれば、双方向通信が続行される確率を高めることができる。
例えば、最初のACK信号の出力レベル(基準出力レベル)をL1、2回目のACK信号の出力レベルをL2、3回目のACK信号の出力レベルをL3、・・・・・、N回目のACK信号の出力レベルをLNとしたとき、L1<L2<L3<・・・・・<LNなる大小関係が成り立つようにすればよい。
・基準出力レベルよりも高い出力レベルでACK信号を送信する回数の上限を高出力送信上限回数と規定する。そして、電子キー2にあって、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルでACK信号を送信した回数が前記高出力送信上限回数に達するまでの期間内にWAKE信号を受信したとき、前記基準出力レベルよりも高いレベルでACK信号を送信する。そして、電子キー2にあって、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルでACK信号を送信した回数が前記高出力送信上限回数に達した後の段階でWAKE信号を受信したとき、前記基準出力レベルでACK信号を送信する。こういった構成を採用してもよい。
同構成によると、ACK信号がセキュリティ装置3で受信されていないことを裏付ける事実があるからと言って、回数に上限を設けることなく、WAKE信号を受信する度に、出力レベルの高いACK信号を送信するとなると、それに必要な消費電力が増大するから、電子キー2は、それを防止するようにしている。即ち、電子キー2は、出力レベルの高いACK信号を送信する回数に上限を設けるとともに、その上限に達した後の段階でWAKE信号を受信したとき、ACK信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルでACK信号を送信するようにしている。従って、必要以上に多くの回数に亘って高い出力レベルでACK信号が送信されることによる電力の浪費を防止できる。
例えば、L1<L2<L3の大小関係にある上記別例の出力レベルL1〜L3を援用するとともに、高出力送信上限回数を3回と規定する。この場合、最初のACK信号を出力レベルL1(基準出力レベル)で送信するとともに、2回目のACK信号を出力レベルL2で送信し、3回目のACK信号を出力レベルL3で送信し、4回目のACK信号を出力レベルL1(基準出力レベル)で送信すればよい。
・最初のACK信号を送信してから所定の時間が経過するまでの期間を高出力送信実行期間と規定する。そして、電子キー2にあって、前記高出力送信実行期間内にWAKE信号を受信したとき、前記基準出力レベルよりも高いレベルでACK信号を送信する。そして、電子キー2にあって、前記高出力送信実行期間が過ぎた段階でWAKE信号を受信したとき、前記基準出力レベルでACK信号を送信する。こういった構成を採用してもよい。
同構成によると、ACK信号がセキュリティ装置3で受信されていないことを裏付ける事実があるからと言って、時間に上限を設けることなく、WAKE信号を受信する度に、出力レベルの高いACK信号を送信するとなると、それに必要な消費電力が増大するから、電子キー2は、それを防止するようにしている。即ち、電子キー2は、出力レベルの高いACK信号を送信する時間に上限を設けるとともに、その上限に達した後の段階でWAKE信号を受信したとき、ACK信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルでACK信号を送信するようにしている。従って、必要以上に長い時間に亘って高い出力レベルでACK信号が送信されることによる電力の浪費を防止できる。
・最初のACK信号の出力レベル(基準出力レベル)よりも高い出力レベルであって、ACK信号を送信するに際して許される最大の出力レベルを許容最大出力レベルと規定する。そして、電子キー2にあって、前記基準出力レベルよりも高い出力レベルであって、前記基準出力レベルと前記許容最大出力レベルとの間に属する出力レベルを低いものから高いものへ順に向かうように段階的に設定する。
そして、電子キー2にあって、最初のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、段階的に設定した出力レベルのうち最も低いものを2回目のACK信号の出力レベルとして選択してその出力レベルで2回目のACK信号を送信する。そして、電子キー2にあって、2回目のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信する度に、前回のACK信号の出力レベルよりも1つ上位の段階のものを選択してその出力レベルで3回目以降のACK信号を送信する。そして、電子キー2にあって、ACK信号を送信することとWAKE信号を受信することとを繰り返した結果、段階的に設定した出力レベルのうち最上位の段階のものを選択してその出力レベルでACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、前記基準出力レベルでACK信号を送信する。こういった構成を採用してもよい。
同構成によると、電子キー2は、最初のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、それに対する応答信号として、基準出力レベルよりも高い出力レベルのACK信号(2回目のACK信号)を送信する。そして、この2回目のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、それに対する応答信号として、2回目のACK信号の出力レベルよりもさらに高い出力レベルのACK信号(3回目のACK信号)を送信する。この例のように、いわば段階的にACK信号の出力レベルを上げてゆくことで、ノイズレベルに応じた出力レベル、つまりノイズに打ち勝つに事足りるが高過ぎない出力レベルのACK信号がやがてセキュリティ装置3で受信されるようになる。
また、段階的に設定した出力レベルのうち最上位の段階の出力レベルでACK信号を送信するも、WAKE信号を受信した場合、もはやそれを超える出力レベルでACK信号を送信することができず、よってこの場合、ACK信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルでACK信号を送信するようにしている。
従って、必要以上に高い出力レベルでACK信号が送信されることによる電力の浪費を防止できる。尚、許容最大出力レベルは、例えば電波法等の法規に依存することとなる。
・最初のACK信号の出力レベル(基準出力レベル)よりも高い出力レベルであって、ACK信号を送信するに際して許される最大の出力レベルを許容最大出力レベルと規定する。そして、電子キー2にあって、最初のACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、前記許容最大出力レベルでACK信号を送信する。そして、電子キー2にあって、前記許容最大出力レベルでACK信号を送信した後、WAKE信号を受信したとき、前記基準出力レベルでACK信号を送信する。こういった構成を採用してもよい。
同構成によると、最初のACK信号を送信するもWAKE信号を受信したということは、ACK信号がセキュリティ装置3で受信されていないことに他ならないから、電子キー2は、そのような事実を根拠として、許容最大出力レベルでACK信号を送信するようにし、つまりはノイズに打ち勝つに事足りるであろう出力レベルのACK信号を早い段階で送信するようにしている。従って、双方向通信が続行される確率が高まる状況をいち早く作り出すことができる。
また、許容最大出力レベルでACK信号を送信するも、WAKE信号を受信した場合、もはやそれを超える出力レベルでACK信号を送信することができず、よってこの場合、ACK信号の出力レベルを基準出力レベルに戻してその出力レベルでACK信号を送信するようにしている。従って、無意味とは言わないまでも許容最大出力レベルでACK信号が送信され続けられることによる電力の浪費を防止できる。尚、許容最大出力レベルは、例えば電波法等の法規に依存することとなる。
例えば、最初のACK信号の出力レベル(基準出力レベル)をL1、許容最大出力レベルをLMAXとしたとき、最初のACK信号を出力レベルL1(基準出力レベル)で送信するとともに、2回目のACK信号を出力レベルLMAXで送信し、3回目のACK信号を出力レベルL1(基準出力レベル)で送信すればよい。
・電子キー2にあって、WAKE信号を1回受信する度に、ACK信号を1回送信することを前提とするとともに、WAKE信号を受信したとき、同じ出力レベルのACK信号を複数回(例えば2回)に亘って送信し、それでもWAKE信号を受信したとき、先のACK信号の出力レベルよりも高い出力レベルでACK信号を送信するような構成を採用してもよい。
例えば、電子キー2にあって、最初のACK信号を出力レベルL1(基準出力レベル)で送信するとともに、2回目のACK信号を出力レベルL1(基準出力レベル)で送信し、3回目のACK信号を出力レベルL1よりも大きな出力レベルL2で送信すればよい。このように構成すれば、最初のACK信号を妨害するようなノイズが、2回目のACK信号の送信時には既に消滅されているような場合を想定したとき、ACK信号を送信するのに必要な消費電力を低減できる。
或いは、電子キー2にあって、最初のACK信号を出力レベルL1(基準出力レベル)で送信するとともに、2回目のACK信号を出力レベルL1よりも大きな出力レベルL2で送信し、3回目のACK信号を出力レベルL2で送信し、4回目のACK信号を出力レベルL2よりも大きな出力レベルL3で送信すればよい。このように構成すれば、最初のACK信号や2回目のACK信号を妨害するようなノイズが、3回目のACK信号の送信時には既に消滅されているような場合を想定したとき、ACK信号を送信するのに必要な消費電力を低減できる。
・前記実施形態では、IDコード信号を送信するに際して、リクエスト信号を受信する直前に送信したACK信号の出力レベルと同じ出力レベルでIDコード信号を送信する構成を採用したが、前記ACK信号の出力レベルと同じ出力レベルでなくとも、前記ACK信号の出力レベルと同等以上の出力レベルでIDコード信号を送信する構成を採用してもよい。つまり、リクエスト信号を受信する直前に送信したACK信号の出力レベルよりも高い出力レベルでIDコード信号を送信する構成を採用してもよい。このように構成すると、IDコード信号がセキュリティ装置3で受信される確率を高めることができる。尚、IDコード信号の出力レベルの上限は、例えば電波法等の法規に依存することとなる。