JP2008140703A - 電池用組成物およびそれを含む膜 - Google Patents

電池用組成物およびそれを含む膜 Download PDF

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Abstract

【課題】Ptの溶出を有効に抑制・防止でき、さらに電極触媒活性に優れた電極体を提供する。
【解決手段】本発明は、含窒素6員環を含む化合物および非電解質材料を含み、かつ前記含窒素6員環を含む化合物は、プラチナ、ニッケル、コバルト、パラジウム、およびイリジウムからなる群から形成された少なくとも一つの金属と配位する電池用組成物に関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池に使用される電池用組成物、特に固体高分子型燃料電池に使用される電池用組成物およびそれを含む膜に関する。
エネルギー変換効率が高く、NOx、SOx等を発生しないクリーンな発電技術である燃料電池は、エコロジーブームに感化された近年、特に注目を集めている。一方で、燃料電池の実用化および普及に向けて克服すべき課題は種々山積している。なかでも、現在のPEFCでは電極触媒として活性に優れた白金系触媒を用いるが、量産化を前提とした場合、白金の資源供給量の問題があるため、活性に優れ、かつ高効率の触媒開発が必要とされる。さらに、触媒に用いられる貴金属や炭素、フッ素系樹脂など通常は化学的に安定と考えられている材料が、長時間では化学変化を起こし、性能の劣化を引き起こす。実際の劣化は劣化因子が複雑に影響しあい、解析には多大な努力が払われている。かかる問題を解決する方法には例えば以下のような従来例が存在する。
特許文献1には、600℃以上800℃未満の温度で加熱することにより規則性構造を有する白金−ニッケル−コバルト3元合金粒子を含んでなる白金合金を利用した電極触媒について記載している。さらに、前記規則性構造は、(100)又は(001)及び(110)又は(100)のピークが(111)又は(101)の主回折ピークより低回折角2θ側に現れることにより確認し(特許文献1 表1、図1)、面心立方晶系規則構造または面心正方晶系規則構造を有する前記白金合金は、比較的高温で使用しても性能劣化が殆どなく長期間に亘って高活性を維持することができることについても記載している。
特開平6−176766号公報
しかし、上記の特許文献1の合金触媒を実際に使用すると規則合金化していても第2成分以下の金属成分が多量に溶出し、経時的に触媒金属組成が大幅に変化し、実使用条件においては高い溶出耐性を長期間維持できない上、溶出金属が電解質やカーボン担体の劣化を促進する傾向が見られている。
また、カソード触媒、特にPt表面の一部にビピリジン(bpy)を予め吸着させることによりPtの溶出を大幅に抑制することが可能であることが見出されているが、起動停止時の高電位時のbpy酸化劣化あるいは経時的にbpyが徐々にPt表面から脱着し、生成水とともに燃料電池系外に排出されることにより、bpyによるPt溶出抑制効果が得られなくなることがわかった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、Ptの溶出を有効に抑制・防止でき、さらに電極触媒活性に優れた電極体を提供することを目的とする。
本発明によれば、触媒成分と配位する電池用組成物であるため、触媒成分の表面の特に活性の高い酸化されやすい部位へ優先的に配位しやすいため、Ptの酸化体形成を抑制し、Ptの溶出を抑制・防止することができる。
また、本発明の電池用組成物をガス拡散層、または電極触媒層とガス拡散層との間に配置することで、電極触媒層の液水をブリッジとして断続的に含窒素6員環を含む化合物が触媒層にリリースすることができ、さらには触媒層の含窒素6員環を含む化合物の保持性を高める働きもある。したがって、触媒成分の溶出耐性の高い電極触媒を提供することができる。
すなわち、上記目的は、含窒素6員環を含む化合物および非電解質材料を含み、かつ前記含窒素6員環を含む化合物は、プラチナ、ニッケル、コバルト、パラジウム、およびイリジウムからなる群から形成された少なくとも一つの金属と配位する電池用組成物を提供することにより達成される。
本発明の第一は、含窒素6員環を含む化合物および非電解質材料を含み、かつ前記含窒素6員環を含む化合物は、プラチナ、ニッケル、コバルト、パラジウム、およびイリジウムからなる群から形成された少なくとも一つの金属と配位する電池用組成物である。
これらの電池用組成物を、例えば燃料電池に用いた場合、前記電池用組成物は、Ptなどの触媒成分の表面の特に活性の高い酸化されやすい部位(触媒成分のへりの部分、角の部分)へ優先的に配位しやすいため、Ptの酸化体形成を抑制し、Ptの溶出を抑制することができる。
より詳説すると、一般的に、代表的な触媒成分であるPtの粒子は、十四面体構造のような多面体構造をしており、多面体のへりの部分や角の部分は、酸素還元活性をほとんど示さないが、面上の原子に比べてもへりの部分や角の部分のPt原子の表面自由エネルギーが大きいため酸化されやすく溶出の起点になりやすいと考えられている。
そのため、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を有する電池用組成物を燃料電池に予め配置させることにより、例えば多面体構造を有するPtのへりの部分、角の部分に含窒素6員環を含む化合物が配位することができる。そして、この配位子の存在により、溶出の起点になりやすいへりの部分や角の部分のPt原子を酸化などの化学反応から保護することができ、Ptの溶出を抑制・防止することができると考えられる。
なお、上記燃料電池は、高分子電解質膜の片面にアノード電極触媒層が配置され、他方の面にカソード電極触媒層が配置され、さらに前記アノード電極触媒層または前記カソードデ電極触媒層の少なくとも片面にガス拡散層として本発明の電池用組成物を用いて形成された膜を少なくとも一つ積層させてなる膜−電極接合体を含むものである。
また、Pt溶出抑制メカニズムは詳細には判明していないが、Ptの溶出はPt酸化物種の生成やその還元に伴ってPt溶解種が生成することにより起こっていると考えられる。
以下、Pt溶出のメカニズムを示すが、仮にPt溶出のメカニズムが間違っていたとしても、現在において、Pt溶出のメカニズムが明確になっていないため本発明の権利範囲を妨げるものではない。
Figure 2008140703
本発明に係る含窒素6員環を含む化合物は、前記化合物を電池に用いた場合、電極反応に対して触媒効果を示さず、かつ金属配位能を有する含窒素6員環構造を含む化合物であれば公知のものでも好ましく利用することができる。より具体的には、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物は、ピリジン誘導体が好ましい。また、前記ピリジン誘導体としては、ビピリジン類、ターピリジン類、およびフェナントロリン類からなる群から選択された少なくとも一つであることが好ましい。
これは、多環構造を有する化合物(特に、多環芳香族化合物)が形成するブリッジ構造が白金などの金属の触媒機能サイトを確保することとなることと、前述の白金の溶解メカニズムにより白金の溶出を抑制することができるためと推測できる。さらに、多環芳香族化合物の構造から起因される立体的効果、すなわち多面体構造を有するPtなどの触媒成分のへりの部分、角の部分の原子は、面上の原子と比べて自由度が大きく、比較的大きい多環芳香族化合物が触媒成分に接近した際の立体的な阻害要因が少ないため、選択的に触媒成分のへりの部分、角の部分へ優先的に配位しやすく、かつ配位子が安定するものと考えられる。
本発明に係るビピリジン類、ターピリジン類、およびフェナントロリン類の具体例としては、2,2’−ビピリジン、2,6−ジ(2−ピジジル)ピリジン、1,10−フェナントロリン、4,7−ビフェニル−1,10−フェナントロリン、1,7−フェナントロリン、バソクプロイン、バソクプロインスルホン酸などが挙げられ、なかでも、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物は、2,2’−ビピリジンが特に好ましい。
また、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物は、非電解質の質量に対して、0.001〜50質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。0.001質量%未満だと、含窒素6員環を含む化合物の貯蔵量が少ないため長期に触媒溶出防止効果が得られず、50質量%超だと含窒素6員環を含む化合物の量が多すぎてガス拡散層電子導電性が低下することに加えて細孔が埋まってしまうためガス拡散性も低下するため発電性能が顕著に低下する。
本発明に係る含窒素6員環を含む化合物が、触媒表面上に金属配位能を有する窒素原子を介して共存することで、Ptの酸化を抑制するためPt溶出を抑制・防止できていると考えられる。Pt溶出は、この活性の高い部位で生じるPt酸化物種形成を起点として始まると考えれば、これらの芳香族化合物が活性の高い部位へ選択的に吸着することで白金の酸化体形成を抑制し、結果として白金の溶出を抑制しているものと考えている。
さらに、本発明に係る電池用組成物を、従来の膜−電極接合体などに用いた場合、従来の膜−電極接合体の形態を変えることなく、そのままの状態で適用できるといった簡便な手法で効果を発揮し、かつ安価な対応策でPt溶出量を抑制できる。また、極わずかな吸着量で効果を発揮できるため、吸着剤の触媒金属への吸着に伴う、触媒性能の低下を抑制することができる。
そして、電極触媒へ有機物を配位することとなるため、初期の触媒電極特性は未処理のものと比べると若干低下することが認められるが、耐久性が向上するため、電池寿命を延ばすことができる。
また、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物の触媒成分に対する吸着率は、触媒成分の原子100個あたり20〜70個が好ましく、30〜60個がより好ましい。
本発明に係る非電解質材料は、カーボンペーパ、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどが挙げられる。
また、本発明に係る電池用組成物は、上記の非電解質材料と、上記の含窒素6員環を含む化合物とを含み、必要に応じて、その他、添加剤、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、水、撥水剤、バインダーなどを含んでもよく、例えば上記撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系樹脂が好ましい。
尚、「バインダー」とは接着の役割を有する物質をいい、本発明に係る実施例では、バインダーの役割および撥水性の役割を兼ね備えたフッ素系樹脂を使用しているが、必ずしもこれに限定されず、バインダーおよび撥水材料を個々独立した物質で混合して使用しても良い。
また、上記添加剤としては、例えばバインダーとしてフッ素系樹脂を用いた場合、撥水性が高くなりすぎることがあり、これを適宜調節するために親水性物質を添加剤として混合させることも出来る。このような添加剤としては使用環境において耐久性を有する親水性の物質なら使用可能であり、酸化スズ、アルミナ、シリカなどの金属酸化物微粉末〜などが挙げられる。
本発明に係る電池用組成物において、必要に応じて使用される添加剤、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、水、撥水剤、バインダーの量は、諸条件によって適宜選択されるものであるが、電池用組成物の全体の質量に対して0.01〜30質量%が好ましい。
本発明に係る含窒素6員環を含む化合物および非電解質材料を含み、かつ前記含窒素6員環を含む化合物は、プラチナ、ニッケル、コバルト、パラジウム、およびイリジウムからなる群から形成された少なくとも一つの金属と配位する電池用組成物(以下、単に電池用組成物とも称する)は、粒状、棒状、膜状、板状にすることで電池(特に燃料電池)に用いることができるが、上記電池用組成物を膜にすることが特に好ましい。なお、本発明に係る電池用組成物を含む粒子、棒、膜または板状体を電池(特に燃料電池)に用いる場合、電極(触媒)層に隣接するように設けられることが好ましく、さらには、電極(触媒)層とガス拡散層との間に本発明に係る電池用組成物を含む粒子、棒、膜または板状体を設けることが好ましい。または本発明に係る電池用組成物を含む膜自体を、ガス拡散層として電極(触媒)層に隣接するように設けられることが好ましい。
本発明に係る電池用組成物を含む膜は、非電解質材料と、含窒素6員環を含む化合物とを含むが、電解質(または、イオン導電性物質とも称する)を含まず、また、電極(触媒)層と隣接するように設けることが好ましいため、例えば燃料電池に使用した場合、電解質の存在する領域が、高電位化(1.2Vを超える電位)したとしても、非電解質である本発明に係る電池用組成物を含む膜自体は、高電位化しない。そのため、高電位化による本発明に係る含窒素6員環を含む化合物自体の酸化の劣化が少ない。
さらに、本発明に係る電池用組成物を含む膜は、電極(触媒)層と隣接するように設ける、または、ガス拡散層として用いることが好ましいため、電極触媒層中の液水(特にカソード電極側の生成水)をブリッジとして、本発明に係る電池用組成物を含む膜から含窒素6員環を含む化合物がリリースされる。また、燃料電池においては、カソード電極側で生成される水などは、ガス拡散層などを通って外部に排出されるが、この際に、本発明に係る電池用組成物を含む膜表面における、含窒素6員環を含む化合物の吸着部が、外部に流出されようとする含窒素6員環を含む化合物を捕捉して含窒素6員環を含む化合物の流出を押さえ、白金などの触媒成分の溶出を長期間にわたって抑制・防止することができると考えられる。
また、本発明に係る電池用組成物を含む膜、粒子、棒、または板状体を電池(特に燃料電池)に用いる場合、カソード電極側またはアノード電極側の少なくとも一方の電極側の外側に設けることが好ましく、カソード電極側設けることがより好ましく、また両側に設けても良い。
本発明に係る電池用組成物を含む膜の厚さは(ガス拡散層とは別に用いる場合)、1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
また、本発明に係る電池用組成物を含む膜をガス拡散層として用いる場合の、前記膜の厚さは、0.05〜1mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。
本発明に係るガス拡散層(以下GDLと称する)に用いられる材料としては、上記の非電解質と同様の材料であることが好ましく、カーボンペーパ、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状材料が提案されている。GDLが優れた電子伝導性を有していると、発電反応により生じた電子の効率的な運搬が達成され、燃料電池の性能が向上する。またGDLが優れた撥水性を有していると、生成した水が効率的に排出される。
高い撥水性を確保するために、GDLを構成する材料を撥水処理する技術も提案されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中にカーボンペーパなどのGDLを構成する材料を含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させる。場合によっては、親水化処理がGDLを構成する材料に施されてもよい。
その他に、カーボンペーパ、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状GDL上に、カーボン粒子およびバインダーを配置して、両者をガス拡散層として使用してもよく、カーボン粒子およびバインダーからなるフィルム自体をガス拡散層として使用してもよい。この結果、フィルム自体に均一に撥水材料、カーボン粒子が形成されているため、上記の塗布に比較して撥水効率の上昇がみられる。
前記撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系樹脂が好ましい。
尚、「バインダー」とは接着の役割を有する物質をいい、本発明に係る実施例では、バインダーの役割および撥水性の役割を兼ね備えたフッ素系樹脂を使用しているが、必ずしもこれに限定されず、バインダーおよび撥水材料を個々独立した物質で混合して使用しても良い。
なお、上記撥水材料は、本発明の含窒素6員環を含む化合物に対して、1〜1×10質量倍あればよい。
本発明に係る電池用組成物を含む膜は、イオン導電性物質を含まず、前記金属と配位する前記含窒素6員環を含む化合物を単位面積あたり0.1 nmol/cm 〜 10 μmol/cm含有することが好ましい。
金属配位能を有する含窒素6員環を含む化合物の適用量は、膜−電極接合体(MEA)の電極性能に大きな影響を与えない範囲で適用されることが好ましい。その適用状態としては、白金電極面積に対して20%〜70%、さらに好ましくは、30%〜60%であり、上述の理由により、前記含窒素6員環構造を含む化合物によって吸着されていることで効果を発揮できる。
本発明に係る含窒素6員環を含む化合物の適用量としては、ガス拡散層の単位面積あたり、0.1 nmol/cm 〜 10 μmol/cmの範囲で適用されることが好ましく、さらに好ましくは1nmol/cm 〜 1 μmol/cm、特に好ましくは10 nmol/cm 〜 0.1 μmol/cmである。
0.1 nmol/cm未満だと含窒素6員環を含む化合物の貯蔵量が少ないため長期に触媒溶出防止効果が得られず、10 μmol/cm超だと含窒素6員環を含む化合物の量が多すぎてガス拡散層電子導電性が低下することに加えて細孔が埋まってしまうためガス拡散性も低下するため発電性能が顕著に低下する。
本発明に係る電池用組成物を含む膜を、例えば燃料電池に用いた場合、上記含窒素6員環を含む化合物を膜−電極接合体内に十分量貯留できるため、長期間高い電極性能を維持可能な膜−電極接合体を得ることが出来る。
本発明に係る電池用組成物を含む膜の製造方法は、公知の溶媒に本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を、溶解、または分散させた溶液に、本発明に係る非電解質材料を含浸する方法、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を、公知の溶媒に溶解または分散させた溶液をスプレーで非電解質材料に吹きつける方法、公知の溶媒に本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を、溶解、または分散させた溶液を非電解質材料に直接塗布する方法などが挙げられる。
また、上記の公知の溶媒は、主にアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)であるが、含窒素6員環を含む化合物を溶解または分散させやすくする目的でアセトン、水、ピリジン、へキサンなどのその他有機溶媒を含んでいても良い。上記の溶液の濃度は、溶媒に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
上記の公知の溶媒に本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を、溶解、または分散させた溶液を非電解質材料に直接塗布する方法は、複数回塗布してもよく、塗布後、乾燥し、再度塗布する工程を複数回行なってもよい。さらに、前記溶液を非電解質材料に直接塗布する際、片面に塗布してもよく、両面に塗布してもよい。
本発明に係る電池用組成物を含む膜を形成させる場合において、上記の含浸する法を採用する際の含浸時間は特に限定されず、非電解質材料の大きさなどに合わせて適宜選択されるものであるが、例えば、0℃〜50℃の条件で溶液に4〜48時間程度含浸させるとよい。
また、上記含浸する方法、やスプレーで吹き付ける方法の後に必要に応じて、乾燥、再度の含浸、再度のスプレー噴射などしてもよい。
本発明に係る膜−電極接合体は、高分子電解質膜の片面にアノード電極触媒層が配置され、他方の面にカソード電極触媒層が配置され、さらに前記アノード電極触媒層または前記カソード電極触媒層の少なくとも片面に本発明に係るガス拡散層を少なくとも一つ積層させてなる膜−電極接合体において、前記電極触媒層と接する第一ガス拡散層は、電極触媒層と接する面の親水性が反対面よりも同等あるいは高いことが好ましい。
本発明の含窒素6員環を含む化合物は、わずかに水溶性を有し、ガス拡散層から電極触媒層への供給は電極触媒層とガス拡散層境界に滞留する液水をブリッジとして供給される。本発明の含窒素6員環を含む化合物を、電極触媒層中に含有していてもよく、予め含有していなくてもよく、いずれの場合であっても、アノード電極触媒層またはカソード電極触媒層と接するガス拡散層から当該化合物が供給されるためPt溶出抑制効果が得られる。
なお、本発明の含窒素6員環を含む化合物を電極触媒層に添加しても良いが、添加しないほうがより好ましい。また、上記の本発明に係るガス拡散層は、少なくとも一つ積層させてもよいため、一層でも複数層でもよい。
また、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物をガス拡散層から電極触媒層に供給することができるので、電極触媒材料の溶出を大幅に抑制できる長期間高い電極性能を維持可能な膜−電極接合体を得ることが出来る。
なお、上記の電極触媒層と接する面の親水性が反対面よりも同等あるいは高い第一ガス拡散層の製造方法としては、例えば上述と同様に、公知の溶媒に本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を、溶解、または分散させた溶液をガス拡散層の片面に直接塗布する方法や、前述のガス拡散層に記載している撥水性材料をガス拡散層の片面に塗布する方法など挙げられる。
本発明に係る含窒素6員環を含む化合物は、水に溶けにくいため疎水性物質であるため、ガス拡散層の片面に当該含窒素6員環を含む化合物を塗布することで、電極触媒層と接する面とその反対面とで親水性の差異が生じると考えられる。なお、撥水性材料の塗布も同様の理由である。
上記の公知の溶媒は、主にアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)であるが、含窒素6員環を含む化合物を溶解または分散させやすくする目的でアセトン、水、ピリジン、へキサンなどのその他有機溶媒を含んでいても良い。上記の溶液の濃度は、溶媒に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
上記の公知の溶媒に本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を、溶解、または分散させた溶液をガス拡散層の片面に直接塗布する方法は、複数回塗布してもよく、塗布後、乾燥し、再度塗布する工程を複数回行なってもよい。
また、上記の撥水性材料をガス拡散層の片面に塗布する方法に使用する際の溶液は、上記の公知の溶媒に対して1〜50質量%溶解、または分散すればよい。
本発明に係る膜−電極接合体において、第一ガス拡散層にさらに第二ガス拡散層が積層され、かつ前記第一ガス拡散層と接する第二ガス拡散層は、第一ガス拡散層よりも同等あるいは高い疎水性を有することが好ましい。
したがって、本発明に係る膜−電極接合体において、本発明の含窒素6員環を含む化合物の量は、ガス拡散層から外側に向かって増大するように調節すればよく、例えば、本発明の含窒素6員環を含む化合物を含む溶液の濃度が高いもので製造したガス拡散層(たとえば第二ガス拡散層)と、本発明の含窒素6員環を含む化合物を含む溶液の濃度が低いもので製造したガス拡散層(たとえば第一ガス拡散層)と、を第一ガス拡散層−第二ガス拡散層の順に積層させることで本発明に係る好ましい膜−電極接合体を製造することができる。
本発明に係る電極触媒層は、触媒成分が担持された導電性材料と、電解質(イオン導電性物質とも称する)とを含むものである。以下、本発明に係る触媒成分、導電性材料、イオン導電性物質、について説明した後、本発明に係る高分子電解質について説明する。
なお、本発明に係るガス拡散層は上記で説明してあるためここでは省略する。
本発明に係る電極触媒に用いられる触媒成分として、カソード触媒では、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、アノード触媒に用いられる触媒成分もまた、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、金(Au)、銀(Ag)、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。
また、各電極触媒反応に対して電極触媒活性に優れるとともに含窒素6員環を含む化合物の吸着による溶出抑制効果が得られる触媒種としてはPt、Pd、Ir、Rh、Auが特に好ましい。これらの触媒金属は金属単独あるいは合金あるいは他の貴金属や卑金属、金属組成物を混合した状態などで使用することが出来る。Pd、Ir、Rh、AuはPtと同様にそれ自体の酸化還元過程において溶解種が生成することにより溶出が起こると考えられ、Ptと同様の溶出抑制効果が得られる。
なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。
合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、カソード電極触媒(層)に用いられる触媒成分及びアノード電極触媒(層)に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、カソード電極触媒(層)及びアノード電極触媒(層)用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、カソード電極触媒(層)及びアノード電極触媒(層)用の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、電極触媒に用いられる触媒成分の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って酸素還元活性が低下する現象が見られる。従って、本発明に係る触媒成分の平均粒子径は、1〜20nmであることが好ましく、2〜15nmであることがより好ましく、4〜10nmであることがさらに好ましい。平均粒子径が1nm以上であれば、比表面積が大き過ぎず高い質量活性もえられ、十分なPtの溶出耐性も得られる。20nm以下であれば、溶出耐性も得られ、比表面積も小さすぎず十分な質量活性が得られると考えられる。
本発明に係る触媒成分の平均粒子径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡像から代表サンプルについて数〜数10視野中に観察される粒子の粒径を測定する方法が挙げられる。なお、この測定方法では観察するサンプルや視野によって平均粒子径に有意差が生じる。より簡易的にはX線回折プロファイルからある特定の反射ピークの半値幅から求められる結晶子径を触媒成分の平均粒子径として用いることも出来る。
本発明の触媒成分の平均粒子径は透過型電子顕微鏡像の任意の8視野中に観察される導電性材料の1次粒子の粒径をすべて測定し(総計N>120)、その粒径の中央値を触媒成分の平均粒子径とする条件で行なった。
本発明に係る導電性材料の1次粒子径は、走査型や透過型などの電子顕微鏡、X線回折法を用いた公知な方法を用いることにより測定することが可能である。例えば、TEMにより撮影した画像から算出した導電性材料の1次粒子径に対する触媒成分との平均粒子径の比については好ましくは1〜50、さらに好ましくは1.5〜15、より好ましくは2〜10である。
導電性材料の1次粒子径と触媒成分との平均粒子径の比が、1〜50であれば、担体の1次粒子径に対して触媒成分粒子の方が大きすぎないため、触媒成分粒子の凝集が起こりにくく高分散担持が維持しやすい。このため、使用Pt量に対して十分な電極性能を得られることになる。また導電性材料の1次粒子径と触媒成分との平均粒子径の比が50いかであれば、担体比表面積が小さくなり過ぎず、触媒成分が担持される面積が十分に存在する。このため、上記と同様に担持触媒成分粒子の凝集が起こりにくくなり、使用Pt量に対して十分な電極性能を得られる。
前記導電性材料に触媒成分が担持された電極触媒において、触媒成分の担持量は、導電性材料に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%とするのがよい。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
Ptの溶出をより抑制するためには触媒成分担持量をある一定の範囲にしたほうがよい。20質量%以上であれば、触媒層が厚くなり過ぎず、かつ高い電極性能も得られる。また、70質量%以下ではPtの溶出はより抑制され、かつ、触媒成分は高分散になるため触媒成分量に対して得られる性能が十分になる。
本発明に係る導電性材料は、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであれば本発明に使用することができ、主成分が導電性材料であるのが好ましい。本発明に係る導電性材料に導電性材料を用いることで、電気抵抗ロス、物質拡散ロスの少ない高性能アノード極を得ることが出来る。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。また、かようなカーボン材料として、より具体的には、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック、ブラックパール、黒鉛化アセチレンブラック、黒鉛化バルカン、黒鉛化ケッチェンブラック、黒鉛化カーボン、黒鉛化ブラックパール、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、及びカーボンフィブリルから選ばれる少なくとも一種を主成分として含むものなどが挙げられる。
なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
また、前記導電性材料の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒(層)の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、1次粒子径が2〜100nm、好ましくは10〜80nm、より好ましくは20〜50nm程度とするのがよい。
本発明に係る導電性材料1次粒子径が2nm以上であれば、触媒成分粒子径に対して小さすぎることなく、高分散担持を維持することが容易になり、100nm以下だと担体として十分な比表面積が得られるため触媒成分の凝集が生じることなく十分な電極性能が得られる。
なお、本明細書において「1次粒子」とは、導電性材料、例えば上記のカーボンブラックなどの炭素材は、一般的に複数凝集しているが、その個々の粒子をいい、凝集体を構成する個々の粒子をいう。
また、本発明に係る導電性材料の空孔率は、5〜80体積%が好ましく、10〜70体積%がより好ましい。
本発明に係る導電性材料の1次粒子径は本発明に係る導電性材料の1次粒子径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡像の任意の8視野中に観察される導電性材料の1次粒子の粒径をすべて測定し(総計N>60)、その粒径の中央値を1次粒子径とする条件で行なった。しかし、この測定方法に限らず公知の方法で1次粒子径を算出することができる。
本発明に係る導電性材料は85質量%〜100質量%の炭素により構成される粉末または多孔質構造体であることが好ましく、90質量%〜100質量%がより好ましく、95質量%〜100質量%がさらに好ましい。
導電性材料における炭素の割合が、85質量%〜100質量%だと十分な比表面積と電子導電性を両立可能で高性能な電極を得ることが可能になる。
触媒成分を担持する炭素より構成される材料は十分な電子導電性を有し、かつ触媒成分を容易に高分散させることが必要であることから、炭素質の材料が好適に用いられる。炭素以外に含まれる元素としては例えば撥水性を付与するためのフッ素や珪素などのほかに導電性材料の耐腐食性を向上させるためのホウ素や表面官能基に含まれる水素、酸素や窒素のほかに不純金属分などが挙げられる。
本発明に係る導電性材料への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。
例えば含浸法により導電性材料表面に触媒成分を担持させるには、導電性材料を、触媒成分を含む溶液(以下、触媒溶液とも称する)に添加する段階と、前記導電性材料表面に前記触媒溶液を含浸させる段階と、により前記導電性材料に触媒成分を担持させる触媒成分担持工程を含む方法が用いられる。これにより、導電性材料表面に触媒成分を高分散担持することができ、十分な初期性能と優れた耐久性を有する電極触媒を得ることができる。
なお、触媒成分を含む溶液とは、導電性材料に担持させる触媒成分の元素を含む溶液のことであり、前記触媒成分としては、高い触媒活性を示すことから、上記の本発明に係る電極触媒(層)に用いられる触媒成分と同様の元素が挙げられる。
本発明に係る電極触媒層における電解質であるイオン導電性材料は、特に限定されず公知のものを用いることができるが、高分子電解質膜に用いられたものと同様の材料が挙げられ、少なくとも高いプロトン伝導性を有する材料であればよい。本発明のカソード触媒(層)/アノード触媒(層)(以下、単に「触媒(層)」とも称する)には、電極触媒の他に、高分子電解質が含まれる。この際使用できる高分子電解質は、高分子骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、高分子骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別される。
前記フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系高分子、パーフルオロカーボンホスホン酸系高分子、トリフルオロスチレンスルホン酸系高分子、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系高分子、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子などが好適な一例として挙げられる。
前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
高分子電解質は、耐熱性、化学的安定性などに優れることから、フッ素原子を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
また、導電性材料への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。
尚、本発明に係る電極を膜−電極接合体(MEA)として用いる場合において、高分子電解質膜と電極層とで用いる高分子電解質は、異なってもよいが、膜と電極の接触抵抗などを考慮すると同じものを用いるのが好ましい。また、本発明に係る電極触媒を膜−電極接合体(MEA)として用いる場合の電極触媒層の厚さは、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜20μm程度とするのがよい。
前記高分子電解質は、接着の役割をする高分子として電極触媒を被覆しているのが好ましい。これにより、電極の構造を安定に維持できるとともに、電極反応が進行する三相界面を十分に確保して、高い触媒活性を得ることができる。電極中に含まれる前記イオン導電性材料の含有量は、特に限定されないが、触媒成分の全量に対して20〜60質量%とするのがよい。
本発明の膜−電極接合体に用いられる高分子電解質膜としては、特に限定されず、電極触媒層に用いたものと同様の高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のNafion(デュポン社登録商標)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベース高分子とする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記高分子電解質膜に用いられる高分子電解質と、各電極触媒層に用いられる高分子電解質とは、同じであっても異なっていてもよいが、各電極触媒層と高分子電解質膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。
前記高分子電解質膜の厚みとしては、得られる膜電極接合体の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは10〜75μm、より好ましくは15〜70μm、特に好ましくは20〜60μmである。製膜時の強度や膜電極接合体作動時の耐久性の観点から10μm以上であることが好ましく、膜電極接合体作動時の出力特性の観点から75μm以下であることが好ましい。
また、上記高分子電解質膜としては、上記したようなフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂による膜に加えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などから形成された多孔質状の薄膜に、リン酸やイオン性液体等の電解質成分を含浸したものを使用してもよい。
本発明に係る膜−電極接合体は、前記ガス拡散層がカソード電極触媒上に形成され、かつカソード電極触媒層側のガス供給口近傍における含窒素6員環構造を持つ化合物の含有量は、ガス排出口近傍の含窒素6員環構造を持つ化合物の含有量より少ないことが好ましい。
EFCカソードにおいてのガス入口部とガス出口部は劣化の進行度合いが異なり、Pt溶出に関しても同様である。カソードにおいてはガス出口側の方が生成水の影響により排出ガス中水分含量が多く、より加湿過多な傾向にある。水が多いことはPtの溶出を促進する効果がある。その上、出口側の劣化速度の速さは電位が入口側よりも出口側のほうがある特定の条件でかなり高くなっていることを示唆しており、高電位化により出口側の芳香族化合物が酸化劣化しやすいと考えられる。ガス出口側に該芳香族化合物をより多く仕込むことにより、溶出抑制効果をより長期間得ることが出来る。
なお、本明細書における「ガス供給口」とはアノードおよびカソードともに、電極への反応ガスの入口である。
本明細書における「ガス供給口部位」とは、電極平面内におけるガス供給口直下の点(1点とは限らない)をすべて含み、かつその電極の幾何面積の25%の領域を占め、かつその形状はアスペクト比が最小となるような長方形(アスペクト比1ならば正方形)の部分の領域とする。
次に、以下、本発明の膜電極接合体の製造方法の好ましい態様を説明して、上記の膜電極接合体を説明する。なお、以下の態様は、本発明の好ましい態様を示したものであり、本発明の膜電極接合体の製造方法が下記方法に限定されるものではない。
本発明の電極触媒は、上記に詳説しているが、例えばカーボンブラックなどの導電性担体に、白金などの触媒成分イオン水溶液に加えて、ホモジナイザなどで分散させた後還元担持させる。次いで、加熱および乾燥さ成分を担持した導電性材料を得た後、乾燥して作製する。その後、導電性担体に触媒成分を担持させた電極触媒、ならびにナフィオンなどのイオン伝導性物質を、を必要に応じて水またはアルコールなどの溶剤に添加して、触媒スラリーを調整する。
本発明の触媒スラリーを転写用台紙上に塗布・乾燥して、電極触媒層を形成する。この際、転写用台紙としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、ポリエステルシートなどの公知のシートが使用できる。なお、転写用台紙は、使用する触媒スラリー(特にインク中のカーボン等の導電性担体)の種類に応じて適宜選択される。また、上記工程において、電極触媒層の厚みは、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)の触媒作用が十分発揮できる厚みであれば特に制限されず、従来と同様の厚みが使用できる。具体的には、電極触媒層の厚みは、0.1〜50μm、より好ましくは1〜20μmである。
転写用台紙上への触媒スラリーは、特に制限されず、スクリーン印刷法、沈積法、あるいはスプレー法などの公知の方法が同様にして適用できる。また、塗布された電極触媒層乾燥条件もまた、電極触媒層から極性溶剤を完全に除去できる条件であれば特に制限されない。具体的には、触媒スラリーの塗布層(電極触媒層)を真空乾燥機内にて、室温〜100℃、より好ましくは50〜80℃で、30〜60分間、乾燥する。この際、触媒層の厚みが十分でない場合には、所望の厚みになるまで、上記塗布・乾燥工程を繰り返す。次に下記の工程に進む。
すなわち、このようにして作製された固体高分子電解質膜を挟持した後、当該積層についてホットプレスを行なう。この際、ホットプレス条件は、電極触媒層及び固体高分子電解質膜が十分密接に接合できる条件であれば特に制限されないが、110〜150℃、より好ましくは120〜140℃で、電極面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行なうのが好ましい。これにより固体高分子電解質膜および電極触媒層との接合性を高めることができる。
ホットプレスを行なった後、転写用台紙を剥がすことにより、電極触媒層および固体高分子電解質膜の複合体(いわゆるCCM)を得ることができる。
以下に説明するが、本発明に係る膜−電極接合体を用いた燃料電池の作成方法については、電極触媒層および固体高分子電解質膜の複合体の両側に、本発明に係る含窒素6員環を含む化合物を有する一対のガス拡散層、または本発明に係る電池用組成物を含む膜を設ける必要がある。なお、本発明に係る電池用組成物を含む膜、含窒素6員環を含む化合物を有するガス拡散層の製造方法は、上述と同様である。
このガス拡散層の作製は、含窒素6員環を含む化合物と、エタノールなどの公知の溶媒と、カーボンペーパまたはカーボン不織布またはカーボンクロスとを、必要に応じてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させた後、ガス拡散層を作製する。
また、本発明に係る電池用組成物を含む膜の作製は、含窒素6員環を含む化合物と、エタノールなどの公知の溶媒とを含む溶液にカーボンペーパまたはカーボン不織布またはカーボンクロスを含浸、または当該溶液をカーボンペーパまたはカーボン不織布またはカーボンクロスに塗布した後、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させた後、本発明に係る電池用組成物を含む膜を作製する。
そして、上記に作製したガス拡散層を複数枚、必要により本発明に係る電池用組成物を含む膜を複数枚用いて電極触媒層および固体高分子電解質膜を含む電極を挟持することにより膜−電極接合体を作製する。
本発明の触媒スラリーにおいて、電極触媒は、所望の作用、即ち、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒する作用を十分発揮できる量であればいずれの量で、使用されてもよい。電極触媒が、触媒スラリー中、5〜75質量%、より好ましくは10〜60質量%となるような量で存在することが好ましい。
本発明の触媒スラリーには、電極触媒、イオン伝導性高分子、及び溶剤に加えて、必要があればポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体といった撥水性高分子、増粘剤などが含まれてもよい。これにより、得られる電極触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。
増粘剤の使用は、触媒スラリーなどが転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、(EG(エチレングリコール)、PVA(ポリビニルアルコール))などが挙げられる。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒スラリーの全質量に対して、好ましくは0〜10質量%である。さらに、本発明で使用される触媒スラリーを構成する溶剤としては、特に制限されず、触媒層を形成するのに使用される通常の溶剤が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールが使用できる。
本発明で使用される溶剤の量は、電解質を完全に溶解できる量であれば特に制限されないが、電解質が、溶剤中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%の濃度になるような量である。この際、電解質の濃度が20質量%以下であれば、電解質を完全には溶解し、コロイドが形成される可能性が低い。また、0.1質量%以上であると、含まれる電界質量が適量であるため、電解質高分子の分子鎖がよく絡まりあう。このため、形成される電極触媒層の機械的強度が優れる。また、触媒スラリーにおいて、電極触媒および固体高分子電解質などを合わせた固形分の濃度は、触媒スラリー中、5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%程度とするのがよい。
本発明の触媒スラリーは、カソード側電極触媒層またはアノード側電極触媒層のいずれか一方のみに使用されてもあるいは双方に使用されてもよいが、カソード側は特に出力変動による生成水量の変化により乾湿の変化を受けて、初期状態における電極触媒層の多孔構造が崩れ、空隙率が低下して、電極触媒層への反応ガス供給量が低下する危険性が高いため、少なくともアノード側電極触媒層に使用されることが好ましい。
本発明に係るガス拡散層は、上記方法において、転写用台紙を剥がし、得られた接合体をさらにガス拡散層で挟持することによって、電極触媒層と固体高分子電解質膜との接合後にさらに各電極触媒層に接合することが好ましい。または、電極触媒層を予めガス拡散層表面上に形成して電極触媒層−ガス拡散層接合体を製造した後、上記したのと同様にして、この電極触媒層−ガス拡散層接合体で固体高分子電解質膜をホットプレスにより挟持・接合することもまた好ましい。
前記のホットプレス方法以外に、ガス拡散層上に逐次塗布により電極触媒層−高分子電解質膜−電極触媒層−(本発明に係る電池用組成物を含む膜)−ガス拡散層を積層する方法を用いても良い。
第2の発明は、本発明に係る膜−電極接合体を用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池である。
本発明に係る膜−電極接合体は、上記のPtなどの触媒成分の溶出を長期間防ぐことができるため、本発明の固体高分子型燃料電池はPt溶出を大幅に抑制できるため、長期間高い発電性能を維持可能な固体高分子型燃料電池を得ることが出来る。
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、固体高分子電解質型燃料電池が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動/停止や出力変動が頻繁に発生する自動車用途で特に好適に使用できる。
前記高分子電解質型燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されることによるカーボン担体の腐食、および、運転時に高い出力電圧が取り出されることにより高分子電解質の劣化が生じやすい自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的には膜電極接合体をセパレータで挟持した構造を有する。
前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
また、各触媒層に供給されるガスが外部にリークするのを防止するために、ガスケット層上の触媒層が形成されていない部位にさらにガスシール部が設けられてもよい。前記ガスシール部を構成する材料としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスシール部の厚さとしては、2mm〜50μm、望ましくは1mm〜100μm程度とすればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。また、当該実施例において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
(電極触媒層の作製)
電極触媒層の作製については以下のように行った。
Pt担持カーボン粉末(田中貴金属製:TEC10E50E)の重量に対して5倍量の精製水を加えた後、0.5倍量のイソプロピルアルコールを加え、さらにはNafionの重量が0.8倍量になるようにNafion溶液(Aldrich社製5wt.%Nafion含有)を加えた。混合スラリーを超音波ホモジナイザでよく分散させ、それに続いて減圧脱泡操作を加えることによって触媒インクを作製した。これをbpy担持カーボンペーパ(実施例)およびbpy非担持カーボンペーパ(比較例)の片面にスクリーン印刷法によって所定量の触媒インクを印刷し、60℃で24時間乾燥させることにより電極層を作製した。
(bpy含有電極触媒層の作製)
上記と同様な作製方法においてインク作製時に加えるイソプロピルアルコールに予めbpyを溶解させておいたことのみ異なる作製方法により電極触媒層を作製した。電極触媒層に含まれるbpyは白金の実面積あたり0.8nmol/cm−Ptであった。
(bpy担持ガス拡散層の作製)
bpy担持ガス拡散層の作製については以下のように行った。
カーボンペーパ(東レ製TGP−H−060)を2,2’−ビピリジン(和光純薬工業株式会社,bpyとも称する。)のエタノール溶液(0.1M/L)に浸漬し、室温で24時間撹拌させた後にカーボンペーパを取り出し、減圧乾燥機で溶媒を揮発させることにより、bpyを担持したカーボンペーパを調製した。このbpy担持カーボンペーパは定量分析の結果、bpy含有量は0.05μmol/cmであった。
(MEAの作製)
MEA(膜―電極接合体)の作製については触媒を塗布した面を電解質膜に合わせて120℃、1.2MPaで10分間ホットプレスを行うことによりMEAを作製した。すべてについてアノード触媒としては比較例1触媒を用いた。比較例、実施例ともに使用したMEAはPt使用量を見かけの電極面積1cmあたりアノードでは0.3mg、カソードでは0.5mgとし、電極面積は25cmとした。また、電解質膜としてNafion112(厚さ:約50μm)を用いた。
実施例1(MEA構成)
電極触媒層:bpyなし
カーボンペーパ:bpyあり。
実施例2(MEA構成)
電極触媒層:bpyあり
カーボンペーパ:bpyあり。
比較例1(MEA構成)
電極触媒層:bpyなし
カーボンペーパ:bpyなし。
比較例2(MEA構成)
電極触媒層:bpyあり
カーボンペーパ:bpyなし。
(単セル評価)
作製したMEAを用いて燃料電池単セルを構成し、発電負荷変動を模擬した電位サイクル印加試験を以下のような方法で行った。
燃料電池単セルのアノード側には水素を供給し、カソード側には窒素を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、燃料電池本体の温度は70℃に設定し、ガスはいずれも露点70℃に加湿して水素流量は500 ml/min、窒素流量は100 ml/minとした。この状態でカソードの電位を電位範囲0.95Vから0.60Vの矩形波を1サイクル10秒の間隔で印加し、5000サイクル印加前後のPtの電気化学的有効表面積(ECA)を比較した。電位サイクル印加によりPtの溶出と再析出が繰り返し起こることにより印加電位サイクル数が増えるほどPt平均粒径が増大する。このことから、PtのECA減少率が大きいものほどPt溶出耐性が低く、電極性能の劣化速度が速いと言える。カソードのECAの測定はサイクリックボルタンメトリにより水素吸着波面積から見積もった。
図1は、その結果を示すグラフであって、実験当初、実施例および比較例セルは同じ電極触媒を使っているにも関わらず、bpyを含有しているセルのECA値がbpyを全く含有していないセル(比較例1)に比べ20〜30%程度低い値を示していることがわかる。これは電極触媒層中のbpyあるいは予め電極触媒層中にbpyを含有しないセルでもカーボンペーパ中のbpyが触媒層にまで達し、bpyがPtの表面の一部に吸着していることを示しているといえる。
電位サイクルの印加により、比較例に比べ実施例の方がECAの低下率が小さく、実施例触媒を用いた方が長期にPtの活性な反応サイトを維持することが可能であることがわかり、これはbpyの吸着が長期に維持されることにより、Pt溶出耐性を著しく改善することが可能であり、これにより電極性能を長く保つことが出来ることがわかった。bpyを含有している比較例1セルでもPt溶出抑制効果が見られたものの、実施例セルに比べると長期に効果が得られにくいことがわかった。この理由の詳細は不明であるが、何らかの理由により、吸着bpyがセル中の液水とともに系外に排出され、Pt溶出抑制効果が徐々に失われていくのに対し、カーボンペーパにbpyが貯留されていれば、ロス分を補う効果があると推測される。
比較例および実施例セルに対する電位サイクル試験におけるECA値のサイクル数依存性を示す図である。

Claims (12)

  1. 含窒素6員環を含む化合物および非電解質材料を含み、かつ前記含窒素6員環を含む化合物は、プラチナ、ニッケル、コバルト、パラジウム、およびイリジウムからなる群から形成された少なくとも一つの金属と配位する電池用組成物。
  2. 前記含窒素6員環を含む化合物は、ピリジン誘導体である、請求項1に記載の電池用組成物。
  3. 前記ピリジン誘導体は、ビピリジン類、ターピリジン類、およびフェナントロリン類からなる群から選択された少なくとも一つである、請求項2に記載の電池用組成物。
  4. 前記ビピリジン類は、2,2’−ビピリジンである、請求項3に記載の電池用組成物。
  5. 請求項1〜4に記載の組成物を用いて形成される膜。
  6. 請求項5に記載の膜は、ガス拡散層である、請求項5に記載の膜。
  7. 請求項5または6に記載の膜は、イオン導電性物質を含まず、前記金属と配位する前記含窒素6員環を含む化合物を単位面積あたり0.1 nmol/cm 〜 10 μmol/cm含有することを特徴とする、請求項5または6のいずれかに記載の膜。
  8. 高分子電解質膜の片面にアノード電極触媒層が配置され、他方の面にカソード電極触媒層が配置され、さらに前記アノード電極触媒層または前記カソード電極触媒層の少なくとも片面にガス拡散層として請求項5〜7のいずれかの膜を少なくとも一つ積層させてなる膜−電極接合体において、
    前記電極触媒層と接する第一ガス拡散層は、電極触媒層と接する面の親水性が反対面よりも同等あるいは高いことを特徴とする、膜−電極接合体。
  9. 第一ガス拡散層にさらに第二ガス拡散層が積層され、かつ前記第一ガス拡散層と接する第二ガス拡散層は、第一ガス拡散層よりも同等あるいは高い疎水性を有することを特徴とする、請求項8に記載の膜−電極接合体。
  10. 前記ガス拡散層がカソード電極触媒上に形成され、かつカソード電極触媒層側のガス供給口部位における含窒素6員環構造を持つ化合物の含有量は、ガス排出口部位の含窒素6員環構造を持つ化合物の含有量より少ないことを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の膜−電極接合体。
  11. 前記電極触媒層に含まれる触媒成分は、Pt、Pd、Ir、Rh、およびAuからなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の膜−電極接合体。
  12. 請求項8〜11に記載の膜−電極接合体を含む固体高分子型燃料電池。
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