JP2008138738A - ディスクブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】 低速での走行途中で軽いブレーキ操作を行うような場合に発生し易い「低速微圧鳴き」を抑えることができるようにする。
【解決手段】 摩擦パッド16の裏金17を、ディスク1の径方向内側に位置し左,右の耳部17A,17A間を帯状に延びて連結した帯状板部17Bと、この帯状板部17Bからディスク1の径方向外側に向けて突出し、ディスク1の周方向に略扇形状をなして延びた扇状板部17Cとにより単一の平板体として形成する。そして、摩擦パッド16のライニング18を、左,右の耳部17A間を結ぶ前記帯状板部17Bよりもディスク1の径方向外側となる位置で扇状板部17C側に配設する。これにより、摩擦材からなるライニング18は、裏金17の扇状板部17Cを広い面積をもって覆う構成としている。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えば車両等に制動力を与えるのに好適に用いられるディスクブレーキに関する。
一般に、車両のブレーキペダル等を踏込み操作したときにマスタシリンダからブレーキ液圧が供給されることにより、車両に制動力を付与する構成としたディスクブレーキは知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
この種の従来技術によるディスクブレーキは、ディスクの周方向に離間して該ディスクの外周を跨ぐ一対の腕部を有し車両の非回転部分に取付けられる取付部材と、該取付部材の各腕部にスライドピン等を介して摺動可能に支持され該各腕部間で前記ディスクの両側を跨ぐようになったキャリパと、前記ディスクの両面側に位置して前記取付部材の各腕部間に移動可能に取付けられ、前記キャリパによってディスクの両面に押圧されるインナ側とアウタ側の摩擦パッド等とにより構成されている。
ここで、車両のブレーキ操作時には、例えばキャリパのインナ側に設けたピストンが外部からの液圧供給によってディスク側に摺動変位し、これにより、インナ側の摩擦パッドをディスクに押圧する。そして、このときにキャリパは、ディスクからの反力を受けてインナ側に変位し、アウタ側の摩擦パッドをディスクに押圧することにより、ディスクに制動力を与えるものである。
また、前記取付部材の腕部と摩擦パッドとの間には、ディスクの径方向外側に向けて摩擦パッドを弾性的に付勢するパッドスプリングが設けられ、取付部材の各腕部間に移動可能に取付けられた摩擦パッドの挙動を、パッドスプリングによって安定した状態に保つ構成としている。
特開平6−330966号公報 特開平6−294426号公報
ところで、上述した従来技術によるディスクブレーキでは、通常走行の途中で行うブレーキ操作に対してほぼ十分な対策、改善がなされており、所謂キーキー音のようなブレーキ鳴きを良好に抑えることができ、比較的高周波側でのブレーキ鳴きについては、ほぼ問題は解決できているものである。
しかし、低速での走行途中で軽いブレーキ操作を行うような場合に、所謂「低速微圧鳴き」と呼ばれる現象が、ある状況下で発生しており、車両の運転者等に不快感を与えるという問題が生じている。
この「低速微圧鳴き」と呼ばれる現象については、その発生メカニズムが必ずしも十分には解明されていない。例えば、その一因として、摩擦パッドがディスクの表面に押圧されたときの制動トルクに伴う当接面圧により、摩擦パッドの回転モーメントの方向が不安定となって、「偶力抜け」と呼ばれるような現象が生じ、これによって摩擦パッドを取付部材のトクル受部側で拘束できずに鳴きが発生するということが考えられる。
即ち、従来技術のディスクブレーキでは、取付部材の腕部に設けたパッドガイド部またはトルク受部に対し、摩擦パッドのライニングがディスクの径方向内側から外側にわたって延在しているため、摩擦パッドがディスクに押圧されたときの当接面圧により、摩擦パッドの挙動(回転モーメントの方向)が不安定になり易く、摩擦パッドの耳部等が取付部材のトルク受部に拘束される前の状態で、「低速微圧鳴き」の現象が発生しているものである。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、車両が低速で走行している途中で軽いブレーキ操作を行うような場合に発生し易い「低速微圧鳴き」を抑えることができ、車両の運転者等に不快感を与える等の問題を解消できるようにしたディスクブレーキを提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明は、車両の非回転部分に取付けられディスクの周方向で対向する位置にパッドガイド部が設けられた取付部材と、該取付部材に移動可能に支持され前記ディスクの軸方向に変位するキャリパと、前記取付部材の各パッドガイド部に移動可能に取付けられ前記キャリパによりディスクに押圧される摩擦パッドとを備え、該摩擦パッドは、前記ディスクの周方向に延び、その両端側に前記取付部材のパッドガイド部に嵌合する耳部がそれぞれ設けられた裏金と、該裏金の前記ディスク対向面側に設けられたライニングとからなるディスクブレーキに適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記摩擦パッドのライニングを、前記各耳部間を結ぶ仮想の直線よりも前記ディスクの径方向外側となる位置に配設する構成としたことにある。
また、請求項2の発明によると、前記取付部材の各パッドガイド部はコ字形状の切欠き凹部として形成し、該切欠き凹部の底部側には、前記摩擦パッドからの制動トルクを受承するトルク受部を設け、前記摩擦パッドのライニングは、該トルク受部の位置よりも前記ディスクの径方向外側に配設する構成としている。
さらに、請求項3の発明によると、前記摩擦パッドの裏金は、前記ディスクの径方向内側に位置し前記各耳部間を帯状に延びて連結した帯状板部と、該帯状板部からディスクの径方向外側に向けて突出し前記ディスクの周方向に略扇形状をなして延びた扇状板部とにより単一の平板体として形成し、前記ライニングは該扇状板部にのみ設ける構成としている。
上述の如く、請求項1に記載の発明は、摩擦パッドのライニングを、裏金のディスク対向面側で各耳部間を結ぶ仮想の直線よりもディスクの径方向外側となる位置に配設する構成としているので、車両のブレーキ操作(制動操作)に伴ってライニングがディスク表面に押圧されるときに、摩擦パッドは、取付部材のパッドガイド部に嵌合した裏金の耳部よりも径方向の外側となる位置でディスクの回転方向に沿った回転モーメントを受けるようになり、これ以外の方向での回転モーメントを小さく抑えることができる。
このため、車両が低速で走行している途中で軽いブレーキ操作を行うような場合でも、摩擦パッドのライニングがディスク表面に押圧されたときのパッド挙動を安定させることができ、例えば取付部材のパッドガイド部側で摩擦パッドの耳部側を制動初期から拘束することができる。これにより、ブレーキ鳴きの改善を図り、所謂「低速微圧鳴き」を良好に抑えることができ、車両の運転者等に不快感を与えるのを防ぐことができる。
また、請求項2に記載の発明は、取付部材の各パッドガイド部をコ字形状の切欠き凹部として形成し、該切欠き凹部の底部側にトルク受部を設けると共に、摩擦パッドのライニングは、該トルク受部の位置よりもディスクの径方向外側に配設する構成としているので、取付部材のパッドガイド部とトルク受部とにより制動初期の段階から摩擦パッドの耳部側を拘束することができ、摩擦パッドの挙動を安定させることができる。
さらに、請求項3に記載の発明は、摩擦パッドの裏金を、帯状板部と扇状板部とにより単一の平板体として形成しているので、ディスクの径方向内側に位置する帯状板部から径方向外側に突出した扇状板部を、ディスクの周方向で略扇形状に延びる幅広板状体として形成できる。これにより、ライニングは前記扇状板部の表面をほぼ全面にわたって覆うように広い面積をもって配設することができ、ディスクに対し十分な制動力を付与するための広いライニング面を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態によるディスクブレーキを、例えば4輪自動車等の車両に適用する場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は車両の車輪と共に回転するディスクで、該ディスク1は、例えば図6、図7に示すように回転中心Oを有し、この回転中心Oに対し半径Rの回転円板として形成されるものである。
2は車両の非回転部分に固定して取付けられる取付部材で、該取付部材2は、例えば図5にも示すように細長い略四角形の枠状体からなり、高い剛性をもった一体物(鋳造品)として一体成形されるものである。そして、取付部材2は、後述の一側枠板3、他側枠板5および左,右の継枠板6,6とにより構成されている。
3は取付部材2の一側枠板で、該一側枠板3は、例えば図6に示す如く後述の摩擦パッド16よりもディスク1の径方向内側となる位置でディスク1の周方向に延びた取付板部3Aと、該取付板部3Aの長さ方向両側からディスク1の径方向外側に向けて突出した左,右一対の突出板部3B,3Bとにより構成されている。そして、一側枠板3の取付板部3Aと各突出板部3Bとは、図5に示す如くディスク1の一側(インナ側)に位置し、該ディスク1の一側面に沿ってほぼ平行に延びるものである。
また、一側枠板3の各突出板部3Bは、図6に示すように後述するインナ側の摩擦パッド16をディスク1の周方向両側から挟む位置に配設されている。そして、突出板部3Bの突出端側には、後述の継枠板6が一体形成され、後述のパッドガイド部3Dと継枠板6との間は、ほぼ水平な面からなる平坦面部3Cとなっている。
ここで、取付板部3Aの長さ方向両側には、図6、図7に示す如く後述のパッドガイド部3D、ピン嵌合穴4Aよりもディスク1の径方向内側となる位置に左,右一対のねじ穴3A1 ,3A1 が形成されている。そして、これらのねじ穴3A1 には、固定ボルト(図示せず)が螺着され、取付部材2の取付板部3Aは、この固定ボルトにより車両の非回転部分となるナックル部(図示せず)等に固定状態で取付けられるものである。
また、左,右の突出板部3B,3Bには、平坦面部3Cよりもディスク1の径方向内側となる位置にインナ側のパッドガイド部3D,3Dが設けられ、該パッドガイド部3Dは、図6、図7に示すようにコ字形状の切欠き凹部として形成されている。そして、このパッドガイド部3D内には、後述する摩擦パッド16(裏金17)の耳部17Aがパッドスプリング19を介してそれぞれ摺動可能に挿嵌されるものである。
また、各パッドガイド部3Dの底部側はそれぞれインナ側のトルク受部3Eを構成し、これらのインナ側のトルク受部3Eは、摩擦パッド16からの制動トルクを後述のパッドスプリング19を介して受承するものである。
4,4は取付部材2(一側枠板3)の突出板部3B,3Bに一体形成されたピンガイド用の筒状突部で、該各筒状突部4は、図5に示すように一側枠板3の各突出板部3Bからディスク1の軸方向外側に向けて突出する段付き筒状体として形成され、その内周側が突出板部3Bの板厚方向(ディスク1の軸方向)に延びる有底のピン嵌合穴4Aとなっている。そして、該ピン嵌合穴4A内には、後述のスライドピン13が摺動可能に挿嵌されるものである。
ここで、これらのピン嵌合穴4Aは、その全長が図2に示すようにディスク1よりもインナ側となる位置に配置され、左,右のトルク受部3E,3Eに対しては、例えば図6中に点線で示すようにディスク1の周方向で隣接した位置に配置されている。
5は取付部材2の他側枠板で、該他側枠板5は、図5に示すようにディスク1を挟んで一側枠板3と対向する位置に配置されている。そして、他側枠板5は、ディスク1のアウタ側(他側)で後述の継枠板6,6間を一体的に連結するようにディスク1の他側面に沿ってほぼ平行に延びている。ここで、他側枠板5は、図1に示す如く弓形状をなして左,右方向(ディスク1の周方向)に延びた細長い棒状の連結ビーム部5Aと、該連結ビーム部5Aの長さ方向両側からディスク1の径方向外側に向けて突出した左,右一対の突出板部5B,5Bとにより構成されている。
そして、他側枠板5の連結ビーム部5Aは、図1に示すように後述の摩擦パッド16よりもディスク1の径方向内側となる位置でディスク1の周方向に延び、左,右の突出板部5B,5B間を剛性をもって一体的に連結するものである。また、他側枠板5の各突出板部5Bには、前述した一側枠板3の突出板部3Bとほぼ同様に、それぞれ平坦面部5C、アウタ側のパッドガイド部5Dおよびアウタ側のトルク受部5E等が形成されている。
6,6はディスク1の外周を跨ぐようにディスク1の軸方向に延びた左,右一対の継枠板で、該継枠板6,6は、図5、図6に示すようにディスク1の外周を跨ぐ位置に配設され、ディスク1の両面に沿って互い平行に延びる一側枠板3と他側枠板5とを、その長さ方向(ディスク1の周方向)両側で一体的に連結するものである。
ここで、各継枠板6は、図6に示すようにディスク1の外周に沿って僅かに湾曲した薄肉の板体として形成され、その板厚tは、従来技術で述べた腕部の厚さに比較して1/2以下の厚さ(例えば、t=5〜10mm程度)に設定されている。これにより、ディスク1の半径R(外径寸法)は現行品等に比較して、例えば8〜15mm程度大きくすることが可能となり、ディスク1の熱容量を増大できるものである。
7は取付部材2に移動可能に支持されたキャリパで、該キャリパ7は、図1〜図4に示す如くディスク1の外周側を跨いで軸方向に延びるブリッジ部8と、該ブリッジ部8の一側に一体形成され、ディスク1のインナ側に配設されるインナ脚部としてのシリンダ部9と、ブリッジ部8の他側に一体形成され、ディスク1のアウタ側に配設されるアウタ脚部10とにより構成され、このアウタ脚部10は、図1に示すように二又状をなす爪部10A,10Aを有している。
そして、キャリパ7には、シリンダ部9の左,右両側から略L字状に突出してディスク1の周方向に延びる一対の取付部11,11が一体に設けられ、該各取付部11には、図2に示す如く後述のスライドピン13が締結ボルト14により固着して取付けられている。また、キャリパ7のシリンダ部9には、図4に示すようにシリンダボア9Aが形成され、該シリンダボア9A内には、ピストン12が摺動可能に挿嵌されている。
13,13はキャリパ7の各取付部11に設けられたスライドピンで、該各スライドピン13は、図2に示す如く基端側が締結ボルト14,14を介してシリンダ部9側の各取付部11に固着され、先端側が取付部材2のピン嵌合穴4A内に摺動可能に挿嵌されている。これにより、キャリパ7は、スライドピン13を介して取付部材2により摺動可能に支持されるものである。
15,15は各スライドピン13を外側から保護する保護ブーツで、該各保護ブーツ15は、例えば弾性樹脂材料等を用いて蛇腹状に形成され、取付部材2の筒状突部4とスライドピン13との間に取付けられている。そして、保護ブーツ15は、スライドピン13の基端側周囲を覆うことにより、スライドピン13とピン嵌合穴4Aとの間に雨水や塵埃等の異物が浸入するのを防ぐものである。
16,16はディスク1の両側に配置されたインナ側,アウタ側の摩擦パッドで、該各摩擦パッド16は、図4、図6、図7等に示す如く横長の略扇形に形成された裏金17と、後述のライニング18とにより構成されている。そして、各裏金17の長さ方向両端側には、図6、図7に示す如くインナ側のパッドガイド部3D(図1に示す如くアウタ側のパッドガイド部5D)に対応してそれぞれ凸形状をなす耳部17A,17Aが突設されている。
ここで、摩擦パッド16の裏金17は、図7に例示するようにディスク1の径方向内側に位置し耳部17Aにほぼ対応する幅寸法で各耳部17A間を帯状に延びて連結した帯状板部17Bと、該帯状板部17Bからディスク1の径方向外側に向けて突出し、ディスク1の周方向に長手方向を有する長方形の一長辺を円弧状に突設させた略扇形状をなして延びた扇状板部17Cとにより単一の平板体として形成されている。
18は裏金17と共に摩擦パッド16を構成するライニングを示し、該ライニング18は、裏金17の表面側に重ね合せるように固着して設けられた摩擦材により構成されている。そして、ライニング18は、図7中に示す如く左,右の耳部17A間を結ぶ仮想線からなる直線A−Aよりもディスク1の径方向外側となる位置に配設されている。
即ち、ライニング18は、左,右の耳部17A間を結ぶ帯状板部17Bよりもディスク1の径方向外側となる位置に配設され、扇状板部17Cの表面側を広い面積をもって覆うように設けられている。これによって、摩擦パッド16のライニング18は、ディスク1に制動力を付与する上で必要、かつ十分な広いライニング面(面積)を確保できるものである。
ここで、インナ側の摩擦パッド16は、裏金17の各耳部17Aが図6、図7に示すように後述のパッドスプリング19を介してインナ側のパッドガイド部3Dに摺動可能に挿嵌されている。また、アウタ側の摩擦パッド16は、裏金17の各耳部17Aが図1に示すように後述のパッドスプリング19を介してアウタ側のパッドガイド部5Dに摺動可能に挿嵌されている。
そして、各摩擦パッド16は、図4に示すようにディスク1の両面側に対向配置され、車両のブレーキ操作に伴ってピストン12がブレーキ液圧で押動されることにより、キャリパ7の爪部10Aとピストン12との間でディスク1を両面から挟むように押圧され、これによって、ディスク1に制動力を付与するものである。
この場合、キャリパ7により各摩擦パッド16をディスク1に押圧したときの制動トルクは、摩擦パッド16(裏金17)の耳部17Aから取付部材2のトルク受部3E,5Eに伝えられ、取付部材2の突出板部3B,5B等でディスク1からの回転トルク(制動トルク)を受承するものである。
19,19はディスク1の周方向に離間して取付部材2のパッドガイド部3D,5D側に取付けられた左,右一対のパッドスプリングで、該各パッドスプリング19は、取付部材2の各パッドガイド部3D,5Dと共にインナ側,アウタ側の摩擦パッド16を裏金17の各耳部17Aを介してディスク1の軸方向に摺動可能に案内するものである。
そして、パッドスプリング19は、裏金17の扇状板部17Cに下側から当接するパッド付勢部19Aを有し、該パッド付勢部19Aは、ディスク1の径方向外側に向けて摩擦パッド16を弾性的に付勢する。これにより、パッドスプリング19は、ディスク1の軸方向に向けた摩擦パッド16の動き(摺動変位)を安定させ、円滑化するものである。
本実施の形態によるディスクブレーキは、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、車両のブレーキ操作に伴ってマスタシリンダ(図示せず)からのブレーキ液圧をキャリパ7のシリンダ部9(図4に示すシリンダボア9A)内に供給すると、シリンダ部9内のピストン12は、このときのブレーキ液圧によってディスク1の軸方向に摺動変位し、インナ側(シリンダ部9側)の摩擦パッド16をディスク1の一側面に向けて押圧する。
そして、このときにキャリパ7全体は、ピストン12による押圧反力でスライドピン13がピン嵌合穴4Aに対して図2中の矢示B方向に相対変位するように、取付部材2に対しディスク1の軸方向(矢示B方向)に摺動変位し、これによって、アウタ脚部10の各爪部10Aがアウタ側の摩擦パッド16をディスク1の他側面に向けて押圧する。
このため、ディスク1はインナ側の摩擦パッド16とアウタ側の摩擦パッド16とにより両面側から強く挟持され、例えば走行中の車両に制動力を付与するものである。また、ブレーキ操作を解除したときには、ディスク1の両面から各摩擦パッド16が離間して、前記車両に対する制動力を解除することになる。
また、車両に制動力を付与するため、インナ側,アウタ側の摩擦パッド16をディスク1の両面に押圧したときには、ディスク1からの回転トルク(制動トルク)が各摩擦パッド16の耳部17A等を介して取付部材2のトルク受部3E,5Eに付加されると共に、キャリパ7のシリンダ部9、アウタ脚部10にも付加される。
そして、車両の非回転部分に固定された取付部材2は、ディスク1のインナ側,アウタ側でトルク受部3E,5Eが受承する制動トルクを、取付部材2全体で安定して支えることができる。また、キャリパ7のシリンダ部9側に付加される制動トルクは、取付部材2の一側枠板3に設けた筒状突部4のピン嵌合穴4Aとスライドピン13との間で受承されるので、キャリパ7のシリンダ部9等が制動トルクの影響で変形するのを、ピン嵌合穴4A内に挿嵌されたスライドピン13等によって抑えることができる。
また、取付部材2と摩擦パッド16との間に設けた左,右のパッドスプリング19は、パッド付勢部19A等により摩擦パッド16の裏金17をディスク1の径方向外側に向けて弾性的に付勢し続け、これによって、取付部材2の各パッドガイド部3D,5D間に各耳部17Aが移動可能に取付けられた摩擦パッド16の挙動を、パッドスプリング19によって安定した状態に保つことができる。
ところで、現行品のディスクブレーキにあっては、車両が低速で走行している途中で軽いブレーキ操作を行うような場合に、所謂「低速微圧鳴き」と呼ばれる現象が、ある状況下で発生しており、車両の運転者等に不快感を与えるという問題が生じている。
そこで、本実施の形態では、摩擦パッド16の裏金17を、図7に例示するようにディスク1の径方向内側に位置し各耳部17A間を帯状に延びて連結した帯状板部17Bと、該帯状板部17Bからディスク1の径方向外側に向けて突出しディスク1の周方向に略扇形状をなして延びた扇状板部17Cとにより単一の平板体として形成している。
そして、摩擦パッド16のライニング18を、左,右の耳部17A間を結ぶ帯状板部17B(例えば、図7中に示す仮想の直線A−A)よりもディスク1の径方向外側となる位置に配設し、裏金17の扇状板部17Cを摩擦材からなるライニング18で広い面積をもって覆う構成としている。
これにより、車両のブレーキ操作(制動操作)に伴って摩擦パッド16のライニング18がディスク1の表面に押圧されたときに、例えばインナ側の摩擦パッド16は、取付部材2のパッドガイド部3Dに嵌合した裏金17の各耳部17Aよりも径方向の外側となる位置でディスク1の回転方向(例えば、図7中の矢示C方向)に沿った回転モーメントを受けるようになり、これ以外の方向での回転モーメントを小さく抑えることができる。なお、この点はインナ側の摩擦パッド16に限らず、アウタ側の摩擦パッド16についても同様である。
この場合、制動状態でのライニング18に作用する回転モーメントについて検討すると、図7中に示すディスク1の回転中心Oとパッドガイド部3Dの外縁角部(トルク受部3Eの外縁)とを結ぶ線分20において、その中点Nを中心とする半径R1 の仮想円21が、回転モーメントの方向を決める基準となることが知られている(例えば、前述した特許文献2参照)。
即ち、このような仮想円21の外側に位置するライニング18の外領域18Aでは、ディスク1の回転方向である図7中の矢示C方向に沿った回転モーメントが作用する。一方、仮想円21の内側に位置するライニング18の内領域18B(図7中に斜線を付して示す内領域18B)では、例えば線分20の中点Nを中心とした矢示D方向(ディスク1の回転方向とは逆向き)に沿った回転モーメントが作用すると考えられる。
そして、本実施の形態で採用した摩擦パッド16は、前述の如き構成により、ライニング18の外領域18Aが、内領域18Bよりも十分に大きな面積(ディスク1との接触面積)を有しているので、摩擦パッド16は、矢示C方向に沿った回転モーメントの影響を大きく受けるようになり、例えば矢示D方向に沿った回転モーメントの影響を小さく抑えることができる。
特に、本実施の形態では、キャリパ7のシリンダ部9(ピストン12)とアウタ脚部10(爪部10A)との間で、ディスク1を図4に示す如く外周側から上掴みする構造の所謂フィスト型キャリパを採用している。このため、摩擦パッド16のライニング18がディスク1に押圧されたときの当接面圧を、ディスク1の内周側よりも外周側で一層高めることができ、摩擦パッド16には矢示C方向に沿って回転モーメントの影響を効果的に与えることができる。
そして、取付部材2と摩擦パッド16との間に取付けたパッドスプリング19(特に、ディスク1の回転方向入り口側に位置するパッドスプリング19)は、パッド付勢部19Aにより摩擦パッド16の裏金17をディスク1の径方向外側に向けて弾性的に付勢しているので、摩擦パッド16(裏金17)の耳部17Aを取付部材2のパッドガイド部3D内に安定した拘束状態に保つことができ、摩擦パッド16がディスク1の径方向で内,外にガタ付くような挙動を抑えることができる。
これに対し、前述した半径R1 の仮想円21を基準としたライニング18の内領域18B(図7中に斜線で示す領域)が、外領域18Aと同等またはこれ以上に大きな面積を有している場合(従来技術のディスクブレーキ)では、例えば矢示D方向に沿った回転モーメントの影響を大きく受けるようになり、摩擦パッド全体がディスクの径方向でガタ付くような挙動が生じ易くなるものである。
かくして、本実施の形態によれば、摩擦パッド16を前述の如き構成とし、ライニング18の外領域18Aは内領域18Bよりも十分に大きな面積を有しているので、摩擦パッド16のライニング18がディスク1の表面に押圧されたときのパッド挙動を安定させることができ、取付部材2の各パッドガイド部3D,5D側で摩擦パッド16の耳部17A側を制動初期から安定した拘束状態に保つことができる。
従って、ブレーキ鳴きの改善を図ることができ、車両が低速で走行している途中で軽いブレーキ操作を行うような場合でも、所謂「低速微圧鳴き」が発生するのを良好に抑えることができる。これにより、低速走行時でのブレーキ操作を良好に行うことができ、車両の運転者等に不快感を与える等の問題を解消することができる。
また、本実施の形態で採用した取付部材2は、ディスク1の両面に沿って互いに平行に延びる一側枠板3、他側枠板5と、該一側枠板3、他側枠板5の長さ方向両端側をディスク1の外周を跨いで連結した左,右の継枠板6,6とから、高い剛性をもった細長い略四角形の枠状体(図5参照)として一体成形している。このため、取付部材2を小型、軽量化しつつ、頑丈な構造に形成することができ、ディスク1のインナ側,アウタ側でトルク受部3E,5Eが受承する制動トルクを、取付部材2全体で安定して支えることができる。
しかも、ディスク1のインナ側では、一側枠板3の突出板部3Bに設けたトルク受部3Eとピン嵌合穴4Aとを、図6に示すようにディスク1の周方向で互いに隣接する位置に配置している。このため、前記制動トルクに伴って取付部材2の一側枠板3(突出板部3B)等に作用する曲げモーメントが大きくなるのを抑えることができ、取付部材2全体の曲げ変形を小さく抑えるように低減することができる。
なお、前記実施の形態では、キャリパ7側に設けたスライドピン13を取付部材2のピン嵌合穴4A内に摺動可能に挿嵌する構成としたディスクブレーキを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば取付部材側にスライドピンを固定して設け、該スライドピンが挿嵌されるピン嵌合穴をキャリパ側に設ける構成としたディスクブレーキにも適用できるものである。
また、前記実施の形態では、キャリパ7のシリンダ部9に単一のシリンダボア9A(ピストン12)を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2〜3個以上のピストンをキャリパに設ける構成としたディスクブレーキにも適用できるものである。
本発明の実施の形態によるディスクブレーキを示す正面図である。 図1のディスクブレーキを上方からみた一部破断の平面図である。 ディスクブレーキを図1とは反対側からみた背面図である。 ディスクブレーキを図1中の矢示IV−IV方向から拡大してみた断面図である。 図1中の取付部材を単体として上方からみた平面図である。 キャリパを取外した状態で取付部材とインナ側の摩擦パッドを図2中の矢示VI−VI方向からみた断面図である。 取付部材とインナ側の摩擦パッドを示す図6中の部分拡大図である。
符号の説明
1 ディスク
2 取付部材
3 一側枠板
3A 取付板部
3B,5B 突出板部
3D インナ側のパッドガイド部
3E インナ側のトルク受部
4 筒状突部
4A ピン嵌合穴
5 他側枠板
5A 連結ビーム部
5D アウタ側のパッドガイド部
5E アウタ側のトルク受部
6 継枠板(ディスクの外周側を跨ぐ部分)
7 キャリパ
8 ブリッジ部
9 シリンダ部(インナ脚部)
10 アウタ脚部
11 取付部
12 ピストン
13 スライドピン
14 締結ボルト
16 摩擦パッド
17 裏金
17A 耳部
17B 帯状板部
17C 扇状板部
18 ライニング
19 パッドスプリング

Claims (3)

  1. 車両の非回転部分に取付けられディスクの周方向で対向する位置にパッドガイド部が設けられた取付部材と、該取付部材に移動可能に支持され前記ディスクの軸方向に変位するキャリパと、前記取付部材の各パッドガイド部に移動可能に取付けられ前記キャリパによりディスクに押圧される摩擦パッドとを備え、
    該摩擦パッドは、前記ディスクの周方向に延び、その両端側に前記取付部材のパッドガイド部に嵌合する耳部がそれぞれ設けられた裏金と、該裏金の前記ディスク対向面側に設けられたライニングとからなるディスクブレーキにおいて、
    前記摩擦パッドのライニングは、前記各耳部間を結ぶ仮想の直線よりも前記ディスクの径方向外側となる位置に配設する構成としたことを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 前記取付部材の各パッドガイド部はコ字形状の切欠き凹部として形成し、該切欠き凹部の底部側には、前記摩擦パッドからの制動トルクを受承するトルク受部を設け、前記摩擦パッドのライニングは、該トルク受部の位置よりも前記ディスクの径方向外側に配設する構成としてなる請求項1に記載のディスクブレーキ。
  3. 前記摩擦パッドの裏金は、前記ディスクの径方向内側に位置し前記各耳部間を帯状に延びて連結した帯状板部と、該帯状板部からディスクの径方向外側に向けて突出し前記ディスクの周方向に略扇形状をなして延びた扇状板部とにより単一の平板体として形成し、前記ライニングは該扇状板部にのみ設ける構成としてなる請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
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