JP2008138015A - セルロースアシレート組成物、セルロースアシレートフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレート組成物、セルロースアシレートフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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豊尚 大屋
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Abstract

【課題】簡便な工程によって面内のレターデーション(Re)及び厚み方向のレターデーション(Rth)の値を幅広い範囲で制御できるセルロースアシレートフィルム、並びにこれを用いた光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物とセルロースアシレートとを含有するセルロースアシレート組成物。
Figure 2008138015

〔式中、X,Yは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有する。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースアシレートフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置に関し、さらに詳しくは、面内レタデ−ション(Re)の値、および厚み方向のレターデーション(Rth)の値を幅広い範囲で自由に制御できるセルロースアシレートフィルム、並びにこれを用いた光学補償シート、偏光板および液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置の普及に伴い、表示性能や耐久性に対する要求がより高くなり、応答速度の向上や、表示画像に対して斜め方向から観察した場合のコントラストやカラーバランスといった視野角をより広範囲で補償することが課題となっている。これらの課題を解決すべく、VA(Vertical Alignment)方式、OCB(Optical Compensated Bend)方式、あるいはIPS(In-Plane Switching)方式の表示素子が開発され、それぞれの液晶方式に応じた、様々なレターデーション発現性を有する光学フィルム材料が要求されている。とりわけ、位相差フィルムは、面内のレターデーション(Re)および、厚み方向のレターデーション(Rth)の値を多様な液晶方式それぞれに応じて制御することが求められている。このような要求に応じてレターデーション値を制御した光学フィルムが検討されている。例えば特許文献1には、アセチル基およびプロピオニル基を有する脂肪酸セルロースエステルを用いた光学フィルムが開示されている。上記光学フィルムは延伸を行うことによりRe及びRthの発現範囲を拡大できる。しかし、上記のセルロースエステルでは、複屈折の発現の限界は限定され、多様化した液晶方式に応じた十分な複屈折性の発現には至っていない。
セルロースアシレートフィルム上にポリアミド、ポリイミドなどのポリマー溶液を展開した後、延伸または収縮処理を施して配向させることにより、フィルム全体としての複屈折性を増加させた光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は、セルロースアシレートフィルムの複屈折性を制御する方法として有用ではあるが、セルロースアシレートを製膜した後に、塗布を行う必要があり、工程が複雑であるという課題がある。
更に、セルロースエステルに脂肪族−芳香族コポリエステルをブレンドした混合物ならびにフィルムが、物理的特性、機械強度などを改善する手段として開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この特許文献3に開示されたポリエステルは、セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度を低下させる傾向があり、光学フィルム用としての応用を考えた場合には、用途によっては好ましくない性質を与える場合があった。
特開2001−188128号公報 特開2006−206826号公報 特開2003−128768号公報
上記問題点に鑑み、本発明は、簡便な工程によって面内のレターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)の値を幅広い範囲で制御できるセルロースアシレートフィルム、並びにこれを用いた光学補償シート、偏光板および液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、下記手段により達成された。
[1]下記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物とセルロースアシレートとを含有することを特徴とするセルロースアシレート組成物。
Figure 2008138015
〔一般式(1)中、Xは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。Yは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。〕
[2]前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表される構造を含むことを特徴とする[1]項に記載のセルロースアシレート組成物。
Figure 2008138015
〔一般式(2)中、R1は独立に置換基を表し、置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表し、nは正の整数を表す。〕
[3]前記一般式(1)におけるXが単環式または縮合多環式の脂肪族基であることを特徴とする[1]又は[2]項に記載のセルロースアシレート組成物。
[4]前記一般式(1)におけるXがシクロヘキサン環であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物。
[5]前記セルロースアシレートが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物。
[6]前記の一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物とセルロースアシレートとの質量比が0.001:1〜1:1であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物。
[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物を含有することを特徴とするセルロースアシレートドープ組成物。
[8][1]〜[6]のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物からなる光学フィルムであって、面内のレターデーション(Re)及び厚さ方向のレターデーション(Rth)が下記数式(I)及び(II)で表されることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
数式(I): 0nm≦Re(590)≦200nm
数式(II): 0nm≦Rth(590)≦400nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
[9][8]項に記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする位相差フィルム。
[10]偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、[8]項に記載のセルロースアシレートフィルムまたは[9]項に記載の位相差フィルムであることを特徴とする偏光板。
[11][8]項に記載のセルロースアシレートフィルムまたは[9]項に記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有することを特徴とする光学補償シート。
[12][8]項に記載のセルロースアシレートフィルムまたは[9]項に記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
[13][8]項に記載のセルロースアシレートフィルム、[9]項に記載の位相差フィルム、[10]項に記載の偏光板、[11]項に記載の光学補償シート、および[12]項に記載の反射防止フィルムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする液晶表示装置。
[14][7]項に記載のドープ組成物を用いて調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
本発明のセルロースアシレート組成物は、フィルムの形態にしたときに、面内のレターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)の値を幅広い範囲で制御することができる。
本発明のセルロースアシレートドープ組成物を用いれば、面内のレターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)の値を幅広い範囲で制御できるセルロースアシレートフィルムを形成することができる。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、例えば、偏光板保護膜、偏光板、液晶表示装置などに好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のセルロースアシレート組成物は、セルロースアシレートと前記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物とを含有することを特徴とする。後述するように、本発明のセルロースアシレート組成物は粒子状、溶液、フィルムなど様々な形態を取ることができ、その形態につき特に限定されない。
まず、本発明のセルロースアシレート組成物に好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に説明する。
<セルロースアシレート>
(基本的な構造)
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によってエステル化した重合体(ポリマー)である。本発明において置換度とは、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースの水酸基が置換されている割合(例えば、100%のエステル化は置換度=1と表す)の合計を意味する。なお、天然のセルロース原料は由来とする生物や精製方法に対応してグルコース以外の構成糖(例えば、キシロース、マンノースなど)の重合体(ヘミセルロース)や、リグニンなどのセルロース以外の成分を含有する場合があるが、本発明においては、これらを含有するセルロース原料を原料として製造された高分子についても、セルロースアシレートと総称する。
(置換度)
本発明に用いられるセルロースアシレートは、下記式(1)〜(3)を満足することが好ましい。すなわち、下記式(1)〜(3)において、下記の置換度A及び置換度Bがそれぞれ下記の式(2)又は(3)に規定された範囲内のものであり、かつ、当該置換度A及びBの合計が下記式(1)に規定された範囲内にあることが好ましい。
式(1): 2.0≦A+B≦3
式(2): 0≦A≦3
式(3): 0≦B≦3
(式中、Aはセルロースの水酸基を構成する水素原子に対するアセチル基の置換度を表し、Bはセルロースの水酸基を構成する水素原子に対する炭素数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
なお、セルロース化合物において複数類の前記脂肪族アシル基が置換されている場合には、Bは置換されている前記脂肪族アシル基の合計の置換度を表す。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、下記式(4)〜(6)を満足することがより好ましい。すなわち、下記式(4)〜(6)において、下記の置換度A及び置換度Bがそれぞれ下記の式(5)又は(6)に規定された範囲内のものであり、かつ、当該置換度A及びBの合計が下記式(4)に規定された範囲内にあることがより好ましい。
式(4): 2.5≦A+B≦3
式(5): 0.3≦A≦3
式(6): 0≦B≦2.5
本発明に用いられるセルロースアシレートは、下記式(7)〜(9)を満足することがさらに好ましい。すなわち、下記式(7)〜(9)において、下記の置換度A及び置換度Bがそれぞれ下記の式(8)又は(9)に規定された範囲内のものであり、かつ、当該置換度A及びBの合計が下記式(7)に規定された範囲内にあることがさらに好ましい。
式(7): 2.6≦A+B≦2.99
式(8): 0.5≦A≦2.99
式(9): 0≦B≦2.4
本発明に用いられるセルロースアシレートは、下記式(10)〜(12)を満足することが特に好ましい。すなわち、下記式(10)〜(12)において、下記の置換度A及び置換度Bがそれぞれ下記の式(11)又は(12)に規定された範囲内のものであり、かつ、当該置換度A及びBの合計が下記式(10)に規定された範囲内にあることが特に好ましい。
式(10): 2.7≦A+B≦2.98
式(11): 0.7≦A≦2.98
式(12): 0≦B≦2.3
A+Bが1.5未満の場合は、セルロースアシレートが親水的過ぎることにより、セルロースアシレートフィルムの湿度依存性が悪化して好ましくない。A+Bは2.0以上であれば用途によっては良好な性質を発現するが、本発明のセルロースアシレート組成物が光学フィルムである場合は、2.5以上が好ましく、2.6以上がさらに好ましく、2.7以上であることが特に好ましい。
Aは0以上3以下であれば任意の値を取ることができるが、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましい光学特性を発現するために0.3以上が好ましく、0.5以上がさらに好ましく、0.7以上が特に好ましい。上限については、コスト、フィルムの面状等の特性の観点から、2.99以下が好ましく、2.98以下がさらに好ましい。
Bは0以上3以下であれば任意の値を取ることができるが、本発明のセルロースアシレートフィルムが、好ましい光学特性、力学物性ならびに製膜適性を発現するためには2.5以下が好ましく、2.4以下がさらに好ましく、2.3以下が特に好ましい。
(置換度がBで表される置換基)
本発明における置換度がBで表される置換基は炭素数3〜22のアシル基であり、好ましくは炭素数3〜12であり、さらに好ましくは炭素数3〜6であり、特に好ましくは、炭素数3ないし4である。炭素数が22を超える場合は、製造適性が低下するほか、高分子のガラス転移温度がフィルム用途として用いるときに適切ではない場合がある。
好ましい置換基の例としては、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、イソブチリル基、ピバロイル基などを挙げることができる。さらに好ましくは、プロピオニル基、ブチリル基、ヘキサノイル基であり、特に好ましくはプロピオニル基、ブチリル基である。
(具体例)
本発明のセルロースアシレートの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートヘプタノエート、セルロースアセテートヘキサノエート、セルロースアセテートペンタノエートを挙げることができる。更に好ましくは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートヘプタノエート、セルロースアセテートヘキサノエートを挙げることができる。本発明のセルロースアシレートの特に好ましい例は、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートである。
[セルロースアシレートの製造方法]
本発明のセルロース化合物の一般的な合成方法については、特開平6−329561号公報、特開平5−240848号公報、Macromol.Chem.Phys.,1996年,197巻,953-964頁、Macromol.Chem.Phys.,2002年,203巻,961-967頁、Org.Biomol.Chem.,2004年,2巻,402-407頁、前述の非特許文献1、2などに詳細に記載されており、本発明においても適宜適用することができる。
(原料および前処理)
セルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。セルロース原料としては、α−セルロース含量が92質量%〜99.9質量%の高純度のものを用いることが好ましい。
セルロース原料がシート状や塊状である場合は、あらかじめ解砕しておくことが好ましく、セルロースの形態は綿状、羽毛状、あるいは粉末状になるまで解砕が進行していることが好ましい。
(活性化工程)
本発明において、セルロース原料はエステル化に先立って、活性化剤と接触させる前処理(活性化)を行うことが好ましい。活性化剤としては、カルボン酸(好ましくは酢酸、プロピオン酸、酪酸、特に好ましくは酢酸)を使用することが好ましい。添加方法としては噴霧、滴下、浸漬などの任意の方法から選択することができ、活性化はいかなる温度ならびに時間を要して行ってもよい。また、活性化剤には、水や、後述の触媒を含んでいても良い。活性化処理の詳細については、特開2006−45500号公報にも記載されている。
(アシル化工程)
本発明のセルロースアシレートを製造する際には、セルロースを触媒の存在化でアシル化することが好ましい。具体的には、セルロースにカルボン酸の酸無水物を加え、ブレンステッド酸またはルイス酸を触媒として反応させることで、セルロースの水酸基をアシル化することが好ましい。触媒としては、硫酸を好ましく用いることができる。
6位置換度の大きいセルロースアシレートの合成については、特開平11−5851号、特開2002−212338号、および特開2002−338601号公報などに記載がある。
(酸無水物)
カルボン酸の酸無水物としては、好ましくはカルボン酸としての炭素数が2〜7の酸の無水物であり、例えば、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、2−メチルプロピオン酸無水物、吉草酸無水物、3−メチル酪酸無水物、2−メチル酪酸無水物、2,2−ジメチルプロピオン酸無水物(ピバル酸無水物)、ヘキサン酸無水物、2−メチル吉草酸無水物、3−メチル吉草酸無水物、4−メチル吉草酸無水物、2,2−ジメチル酪酸無水物、2,3−ジメチル酪酸無水物、3,3−ジメチル酪酸無水物、シクロペンタンカルボン酸無水物、ヘプタン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、安息香酸無水物などを挙げることができ、より好ましくは無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物などの無水物であり、特に好ましくは無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物である。
セルロース混合アシレートを得る方法としては、これらの酸無水物を併用して使用することが好ましく行われる。その混合比は目的とする混合エステルの置換比に応じて決定することが好ましい。酸無水物は、セルロースに対して、通常は過剰当量添加する。すなわち、セルロースの水酸基に対して1.1〜50当量添加することが好ましく、1.2〜30当量添加することがより好ましく、1.3〜10当量添加することが特に好ましい。
また、混合アシル化の方法としては、2種のカルボン酸無水物を混合または逐次添加により反応させる方法、2種のカルボン酸の混合酸無水物(例えば、酢酸・酪酸混合酸無水物)を用いる方法、カルボン酸と別のカルボン酸との酸無水物(例えば、酢酸と酪酸無水物)を原料として反応系内で混合酸無水物(例えば、酢酸・酪酸混合酸無水物)を合成してセルロースと反応させる方法なども用いることができる。更には、全置換度が3に満たないセルロースアシレート(例えば、置換度2.4のセルロースアセテートなど)と酸無水物、酸ハライドなどとを、塩基触媒(例えば、ピリジン、トリエチルアミンなど)あるいは酸触媒(例えば、硫酸、過塩素酸など)、必要により溶媒の存在下で反応させることにより得ることもできる。この方法は、酸無水物の反応性が低い炭素数6以上のアシル基を導入するときに特に有用である。
(触媒)
本発明におけるセルロースアシレートの製造に用いるアシル化の触媒には、ブレンステッド酸またはルイス酸を使用することが好ましい。ブレンステッド酸およびルイス酸の定義については、例えば、「理化学辞典」第五版(2000年)に記載されている。好ましいブレンステッド酸の例としては、硫酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などを挙げることができる。好ましいルイス酸の例としては、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化アンチモン、塩化マグネシウムなどを挙げることができる。
前記触媒としては、硫酸または過塩素酸がより好ましく、硫酸が特に好ましい。硫酸と他の触媒を組み合わせて用いることも好ましい。触媒の好ましい添加量は、セルロースに対して0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。
(溶媒)
アシル化を行う際には、粘度、反応速度、攪拌性、アシル置換比などを調整する目的で、溶媒を添加してもよい。このような溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、カルボン酸、アセトン、エチルメチルケトン、トルエン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどを用いることもできるが、好ましくはカルボン酸であり、例えば、炭素数2〜7のカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロピオン酸、吉草酸、3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2,2−ジメチルプロピオン酸(ピバル酸)、ヘキサン酸、2−メチル吉草酸、3−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸、2,2−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、シクロペンタンカルボン酸)などを挙げることができ、さらに好ましくは、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを挙げることができる。これらの溶媒は混合して用いてもよい。
(アシル化の条件)
アシル化を行う際には、酸無水物と触媒、さらに、必要に応じて溶媒を混合してからセルロースと混合してもよく、またこれらを別々に逐次セルロースと混合してもよいが、通常は、酸無水物と触媒との混合物、または、酸無水物と触媒と溶媒との混合物をアシル化剤として調製してからセルロースと反応させることが好ましい。アシル化の際の反応熱による反応容器内の温度上昇を抑制するために、アシル化剤は予め冷却しておくことが好ましい。冷却温度としては、−50℃〜20℃が好ましく、−35℃〜10℃がより好ましく、−25℃〜5℃が特に好ましい。アシル化剤は液状で添加しても、凍結させて結晶、フレーク、またはブロック状の固体として添加してもよい。
アシル化剤はさらに、セルロースに対して一度に添加してもよいし、分割して添加してもよい。また、アシル化剤に対してセルロースを一度に添加してもよいし、分割して添加してもよい。アシル化剤を分割して添加する場合は、同一組成のアシル化剤を用いても、複数の組成の異なるアシル化剤を用いてもよい。好ましい例としては、1)酸無水物と溶媒の混合物をまず添加し、次いで、触媒を添加する、2)酸無水物、溶媒と触媒の一部の混合物をまず添加し、次いで、触媒の残りと溶媒の混合物を添加する、3)酸無水物と溶媒の混合物をまず添加し、次いで、触媒と溶媒の混合物を添加する、4)溶媒をまず添加し、酸無水物と触媒との混合物あるいは酸無水物と触媒と溶媒との混合物を添加する、などの方法を挙げることができる。
セルロースのアシル化は発熱反応であるが、本発明におけるセルロースアシレートを製造する方法においては、アシル化の際の最高到達温度が50℃以下であることが好ましい。反応温度が50℃以下であれば、解重合が進行して本発明の用途に適した重合度のセルロースアシレートを得難くなるなどの不都合が生じないため好ましい。アシル化の際の最高到達温度は、好ましくは45℃以下であり、より好ましくは40℃以下であり、さらに好ましくは35℃以下であり、特に好ましくは30℃以下である。反応温度は温度調節装置を用いて制御してもよいし、アシル化剤の初期温度で制御してもよい。また、反応容器を減圧して、反応系中の液体成分の気化熱で反応温度を制御することもできる。さらに、アシル化の際の発熱は反応初期が大きいため、反応初期には冷却し、その後は加熱するなどの制御を行うこともできる。アシル化の終点は、光線透過率、溶液粘度、反応系の温度変化、反応物の有機溶媒に対する溶解性、偏光顕微鏡観察などの手段により決定することができる。
反応の最低温度は−50℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましく、−20℃以上が特に好ましい。好ましいアシル化時間は0.5時間〜24時間であり、1時間〜12時間がより好ましく、1.5時間〜6時間が特に好ましい。0.5時間では通常の反応条件では反応が十分に進行せず、24時間を越えると、工業的な製造のために好ましくない。
(反応停止剤)
本発明に用いられるセルロースアシレートを製造する方法においては、アシル化反応の後に、反応停止剤を加えることが好ましい。
前記反応停止剤としては、酸無水物を分解するものであればいかなるものでもよく、好ましい例として、水、アルコール(例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)またはこれらを含有する組成物などを挙げることができる。また、反応停止剤には、後述の中和剤を含んでいてもよい。反応停止剤の添加に際しては、反応装置の冷却能力を超える大きな発熱が生じて、セルロースアシレートの重合度を低下させる原因となったり、セルロースアシレートが望まない形態で沈殿したりする場合があるなどの不都合を避けるため、水やアルコールを直接添加するよりも、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸と水との混合物を添加することが好ましく、カルボン酸としては酢酸が特に好ましい。カルボン酸と水との組成比は任意の割合で用いることができるが、水の含有量が5質量%〜80質量%、さらには10質量%〜60質量%、特には15質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。
前記反応停止剤は、アシル化の反応容器に添加しても、反応停止剤の容器に反応物を添加してもよい。反応停止剤は3分間〜3時間かけて添加することが好ましい。反応停止剤の添加時間が3分間以上であれば、発熱が大きくなりすぎて重合度低下の原因となったり、酸無水物の加水分解が不十分になったり、セルロースアシレートの安定性を低下させたりするなどの不都合が生じないので好ましい。また反応停止剤の添加時間が3時間以下であれば、工業的な生産性の低下などの問題も生じないので好ましい。反応停止剤の添加時間として、好ましくは4分間〜2時間であり、より好ましくは5分間〜1時間であり、特に好ましくは10分間〜45分間である。反応停止剤を添加する際には反応容器を冷却しても冷却しなくてもよいが、解重合を抑制する目的から、反応容器を冷却して温度上昇を抑制することが好ましい。また、反応停止剤を冷却しておくことも好ましい。
(中和剤)
アシル化の反応停止工程あるいはアシル化の反応停止工程後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解、カルボン酸及びエステル化触媒の一部または全部の中和、残留硫酸根量と残留金属量の調整などのために、中和剤またはその溶液を添加してもよい。
中和剤の好ましい例としては、アンモニウム、有機4級アンモニウム(例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジイソプロピルジエチルアンモニウムなど)、アルカリ金属(好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、さらに好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、特に好ましくは、ナトリウム、カリウム)、2族の元素(好ましくは、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、特に好ましくは、カルシウム、マグネシウム)、3〜12族の金属(例えば、鉄、クロム、ニッケル、銅、鉛、亜鉛、モリブデン、ニオブ、チタンなど)または13〜15族の元素(例えば、アルミニウム、スズ、アンチモンなど)の、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、フタル酸水素塩、クエン酸塩、酒石酸塩など)、リン酸塩、水酸化物又は酸化物などを挙げることができる。これら中和剤は混合して用いても良く、混合塩(例えば、酢酸プロピオン酸マグネシウム、酒石酸カリウムナトリウムなど)を形成していても良い。また、これらの中和剤のアニオンが2価以上の場合は、水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素マグネシウムなど)を形成していても良い。
中和剤としてさらに好ましくは、アンモニウム、アルカリ金属、2族元素または13族元素の、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩、水酸化物または酸化物などであり、特に好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムの、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩または水酸化物である。
中和剤の溶媒としては、水、アルコール(例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、ケトン(例えば、アセトン、エチルメチルケトンなど)、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒、および、これらの混合溶媒を好ましい例として挙げることができる。
(部分加水分解)
このようにして得られたセルロースアシレートは、アシル置換度がほぼ3に近いものであるが、所望の置換度のものを得る目的で、少量の触媒(一般には、残存する硫酸などのアシル化触媒)と水との存在下で、20〜90℃に数分間〜数日間保つことによりエステル結合を部分的に加水分解し、セルロースアシレートのアシル置換度を所望の程度まで減少させること(いわゆる熟成)が一般的に行われる。部分加水分解の過程でセルロースの硫酸エステルも加水分解されることから、加水分解の条件を調節することにより、セルロースに結合した硫酸エステルの量を削減することができる。
(部分加水分解の停止)
所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を、上述のような中和剤またはその溶液を用いて完全に中和し、部分加水分解を停止させることが好ましい。
触媒として硫酸を用いた場合は、反応混合物に添加する中和剤の量は、硫酸根(遊離の硫酸、セルロースの結合硫酸)に対して過剰当量であることが好ましい。本発明においては、中和剤を分割して添加することもできるが、部分加水分解(熟成)の完了後に、中和剤の量を硫酸根に対して過剰当量になるように添加することが好ましい。セルロースに結合した硫酸(セルロースサルフェート)は1価の酸であるが、遊離した硫酸に換算して中和剤の当量を計算する。これにより、中和剤の当量は添加した硫酸の量から求めることが可能となる。中和剤の好ましい添加量は、硫酸根に対して好ましくは1.2〜50当量であり、さらに好ましくは1.3〜20当量であり、特に好ましくは、1.5〜10当量である。
反応溶液に対して溶解性が低い塩を生成する中和剤(例えば、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなど)を添加することにより、溶液中あるいはセルロースに結合した触媒(例えば、硫酸エステル)を効果的に除去することも好ましい。
(後加熱工程)
上記部分加水分解の停止後の反応混合物を、さらに30℃〜100℃に少なくとも1時間保持すること(後加熱工程)が好ましい。本工程を実施することにより、セルロースアシレートの結合硫酸量を低下させ、熱安定性の良好なセルロースアシレートを得ることができる。
後加熱工程において、保持する温度は好ましくは40℃〜100℃であり、さらに好ましくは50℃〜90℃であり、特に好ましくは60℃〜80℃である。温度が30℃未満であると、結合硫酸量を低減する効果が十分ではなく、100℃を超えると、操作性や安全性の点で困難になる。また、後加熱工程において保持する時間は好ましくは1時間〜100時間であり、さらに好ましくは2時間〜100時間であり、特に好ましくは2時間〜50時間である。1時間未満であると、結合硫酸量を低減する効果が十分ではなく、100時間を超えると、工業的生産性の点で問題となることがある。後加熱工程においては、反応混合物は攪拌することが好ましい。また、中和剤を後加熱工程中に追加添加してもよい。
(再沈殿)
このようにして得られたセルロースアシレート溶液を、水もしくはカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸など)水溶液のような貧溶媒中に混合するか、セルロースアシレート溶液中に、貧溶媒を混合することにより、セルロースアシレートを再沈殿させ、洗浄および安定化処理により目的のセルロースアシレートを得ることができる。再沈殿は連続的に行っても、一定量ずつバッチ式で行ってもよい。セルロースアシレート溶液の濃度および貧溶媒の組成をセルロースアシレートの置換様式あるいは重合度により調整することで、再沈殿したセルロースアシレートの形態や分子量分布を制御することも好ましい。
また、本発明以外の製造方法によるセルロースアシレートの精製、本発明の製造方法によるセルロースアシレートの精製効果の向上、分子量分布や見かけ密度の調節などの目的から、一旦再沈殿させたセルロースアシレートをその良溶媒(例えば、酢酸やアセトンなど)に再度溶解し、上述の濾過を実施して、これに貧溶媒(例えば、水、カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸)など)を作用させることにより再沈殿を行う操作を、必要に応じて1回ないし複数回行っても良い。また、このときに用いる溶媒および貧溶媒は、あらかじめ濾過を行って、含有される微小異物を除去することが好ましい。
(洗浄)
生成したセルロースアシレートは洗浄処理することが好ましい。洗浄溶媒はセルロースアシレートの溶解性が低く、かつ、不純物を除去することができるものであればいかなるものでもよいが、通常は水または温水等の洗浄水が用いられる。洗浄水の温度は、好ましくは20℃〜100℃であり、さらに好ましくは30℃〜95℃であり、特に好ましくは40℃〜95℃である。洗浄時の温度は、一定であっても任意の温度範囲で変化させても良いが、本発明においては、セルロースアシレートを、好ましくは40℃〜95℃、さらに好ましくは50℃〜95℃、特に好ましくは60℃〜90℃において、好ましくは1時間〜100時間、さらに好ましくは2時間〜50時間、特に好ましくは3時間〜10時間洗浄する工程を含むことが好ましい。上記の40℃〜95℃での洗浄と、これ以外の温度範囲での洗浄を組み合わせても良い。
洗浄処理はろ過と洗浄液との交換を繰り返すいわゆるバッチ式で行ってもよいし、連続洗浄装置を用いて行ってもよい。再沈殿および洗浄の工程で発生した廃液を再沈殿工程の貧溶媒として再利用したり、蒸留などの手段によりカルボン酸などの溶媒を回収して再利用することも好ましい。
洗浄の進行はいかなる手段で追跡を行ってよいが、水素イオン濃度、イオンクロマトグラフィー、電気伝導度、ICP、元素分析、原子吸光スペクトルなどの方法を好ましい例として挙げることができる。
このような処理により、セルロースアシレート中の触媒(硫酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩化亜鉛など)、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物など)、中和剤と触媒との反応物、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、中和剤とカルボン酸との反応物などを除去することができ、このことはセルロースアシレートの安定性を高めるために有効である。
(安定化)
温水処理による洗浄後のセルロースアシレートは、安定性をさらに向上させたり、カルボン酸臭を低下させるために、弱アルカリ(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物など)の水溶液などで処理することも好ましい。このときに用いる安定化剤の溶液は濾過を行って、含有される微小異物を除去することが好ましい。
残存不純物の量は、使用する水の金属含有量(洗浄水などに使用する水に微量成分として含有される金属イオンの量)、洗浄液の量、洗浄の温度、時間、攪拌方法、洗浄容器の形態、安定化剤の組成や濃度により制御できる。本発明においては、残留硫酸根量(硫黄原子の含有量として)が50〜500ppmになるようにアシル化、部分加水分解、中和および洗浄の条件を設定することが好ましい。部分加水分解、中和および洗浄の条件により残留アルカリ金属量ならびに2族元素量についても調節することができる。
本発明においては、下記式(A)で定義されるセルロースアシレート中に含有される残留硫酸根量のモル含量(S)と、アルカリ金属(カリウム、ナトリウムなど)ならびに2属の元素(マグネシウム、カルシウムなど)のモル含量(M)との比(M/S)が0.5以上2以下であることが好ましい。
式(A): M/S=(アルカリ金属のモル含量/2 + アルカリ土類金属のモル含量)/硫黄のモル含量
セルロースアシレートがこれらの関係を満足すれば、熱安定性を良好にすることができる。
(乾燥)
本発明においてセルロースアシレートの含水率を好ましい量に調整するためには、セルロースアシレートを乾燥することが好ましい。乾燥の方法については、目的とする含水率が得られるのであれば特に限定されないが、加熱、送風、減圧、攪拌などの手段を単独または組み合わせで用いることで効率的に行うことが好ましい。乾燥温度として好ましくは0〜200℃であり、さらに好ましくは40〜180℃であり、特に好ましくは50〜160℃である。本発明におけるセルロースアシレートは、その含水率が2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.7質量%以下であることが特に好ましい。
(重合度)
本発明で用いられるセルロースアシレートの重合度は、GPC法による数平均重合度が好ましくは80〜1000、より好ましくは100〜850、さらに好ましくは120〜650であり、特に好ましくは130〜450である。このとき、GPC法による数平均重合度とは、数平均分子量を繰り返し単位の平均分子量で除すことで求めることができる。
平均重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布測定の他に、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)などの方法によっても測定できる。これらについては、さらに特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
本発明においては、セルロースアシレートの重量平均重合度/数平均重合度が1.0〜5であることが好ましく、1.3〜4であることがさらに好ましく、1.5〜3.5であることが特に好ましい。
また、本発明で用いられるセルロースアシレートの数平均分子量の範囲は、15000〜300000が好ましく、20000〜250000がより好ましく、25000〜200000がさらに好ましく、30000〜150000が特に好ましい。
本発明において置換基の平均置換度は、1H−NMRあるいは13C−NMRにより決定することができる。
本発明においては異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合あるいは層を分けて用いてもよい。
(形態)
本発明のセルロースアシレート組成物は粒子状、粉末状、繊維状、塊状、溶液、溶融物、フィルムなど種々の形状を取ることができる。
フィルム製造の原料としては粒子状または粉末状であることが好ましいことから、乾燥後のセルロースアシレート組成物は、粒子サイズの均一化や取り扱い性の改善のために、粉砕や篩がけを行ってもよい。セルロースアシレート組成物が粒子状であるとき、使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子サイズを有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子サイズを有することが好ましい。セルロースアシレート組成物粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。また、本発明のセルロースアシレート組成物は、見かけ密度が好ましくは0.5〜1.3g/cm3、さらに好ましくは0.7〜1.2g/cm3、特に好ましくは0.8〜1.15g/cm3である。見かけ密度の測定法に関しては、JIS K−7365に規定されている。
本発明のセルロースアシレート組成物は安息角が10〜70度であることが好ましく、15〜60度であることがさらに好ましく、20〜50度であることが特に好ましい。
<一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物>
次に、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物について説明する。
Figure 2008138015
〔一般式(1)中、Xは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。Yは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。〕
一般式(1)中、Xは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。
本発明のセルロースアシレート組成物の透明性、並びに一般式(1)で表される化合物の溶解性の観点から、前記Xは、単環式または縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表すことが好ましい。
前記Xとして、より好ましくは、単環式または縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜20である4価の連結基である。さらに好ましくは、単環式脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が5〜12である4価の連結基、または縮合多環式脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が5〜16である4価の連結基である。特に好ましくは、単環式脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が5〜9である4価の連結基である。
前記Xに含まれる単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基としては、好ましくは、ベンゼン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ビシクロ[2.2.2]、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン、トリフルオロメチルベンゼン、ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビフェニル、ジメチルベンゼン、ビス〔3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ベンゼン、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ナフタレン、ジフェニルメタン、ジフェニルスルホン、2,2−ジフェニルプロパン、2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2',5,5'−テトラキス(トリフルオロメチル)ビフェニル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
前記Xの具体例をテトラカルボン酸の形で挙げると、置換あるいは無置換の、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸またはビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸などが挙げられる。また、樹脂やフィルムが高温にさらされた際の熱安定性の観点から、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、またはビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸が好ましく、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、またはビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸がさらに好ましく、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸が特に好ましい。
その他のテトラカルボン酸類をカルボン酸構造として例示すると次のものが例として挙げられる。すなわち、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジフェニルピロメリット酸、ジメチルピロメリット酸、ビス〔3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピロメリット酸、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、2,3',3,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラカルボキシナフタレン、1,4,5,8−テトラカルボキシナフタレン、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルメタン、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル、2,2',5,5'−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシベンゾフェノン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ジフルオロピロメリット酸、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
すなわちXの具体例としては、上記の例示したテトラカルボン酸から4つのカルボキシ基を取り去った4価の基が挙げられる。
一般式(1)中、Yは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。すなわち、前記Yは、炭素原子数が4〜30であり且つ単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を含有する2価の連結基、または炭素原子数が4〜30であり且つ単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有する2価の連結基を表す。
前記Yとして好ましくは、芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が6〜28である2価の連結基、あるいは単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜20である2価の連結基である。さらに好ましくは、芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が7〜28である2価の連結基、単環式脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜12である2価の連結基、あるいは縮合多環式脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が7〜20である2価の連結基である。特に好ましくは、芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が12〜28である2価の連結基である。
前記単環式もしくは縮合多環式芳香族基の環構造の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、ピラジン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環などが挙げられ、中でもベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。また、前記単環式もしくは縮合多環式脂肪族基の環構造の例としては、シクロブタン環、シクロヘキサン環、ビシクロヘプタン環、ビシクロオクタン環、アダマンタン環、ジアマンタン環、モルホリン環などが挙げられる。
Yは前記の環構造1つから構成されていてもよいし、複数の環構造を有するものでもよい。前記Yが複数の環構造を有する場合、該複数の環構造は単結合で結合されていてもよいし、環を連結する基(カルボニルやメチレン、エーテルなど)で連結されていてもよい。
前記Yに含まれる単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基としては、好ましくは、ベンゼン、ビフェニル、トルエン、ジトリフルオロメチルベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3'−ジメチルビフェニル、3,3'−ジメトキシビフェニル、3,3'−ジフルオロビフェニル、2,2−ビス〔4−フェノキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−フェノキシフェニル〕ヘキサフロオロプロパン、4,4'−ジフェノキシビフェニル、ビス〔4−フェノキシフェニル〕スルフォン、ジフェニルエーテル、ビス〔4−フェノキシフェニル〕エーテル、1,4−ジフェノキシベンゼン、1,3−ジフェノキシベンゼン、2,2−ジフェニルプロパン、2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
複屈折性を向上させる観点から、前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表される構造を含むことが好ましい。
Figure 2008138015
一般式(2)中、R1は独立に置換基を表す。置換基の種類は特に制限されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が好ましく、より好ましくは塩素原子、臭素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基である。一般式(2)中にR1が複数個ある場合は、各R1が表す置換基は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数の置換基は互いに結合して環を形成してもよい。置換基同士が結合して環を形成する場合には5〜6員環が好ましく、より好ましくは6員環の場合である。
pは0〜4の整数を表し、好ましくは2〜4の整数である。
nは正の整数を表し、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。nが2または3の場合、n個のフェニレン基の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一の場合が好ましい。
フェニレン基における主鎖との連結位は、1,3位、または1,4位であることが好ましく、より好ましくは1,4位である。pが1〜4の場合、主鎖との連結位とR1の置換位置との関係は特に制限されない。
前記一般式(2)で表されるYの具体例をジアミンの形態で挙げると、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジアミノビフェニル、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノ−ビフェニル等であり、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
また、一般式(2)で表される繰り返し単位以外のY成分の具体例をジアミンの形態で挙げると、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフロオロプロパン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフォン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフォン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらを一般式(2)で表される繰り返し単位と組み合わせて用いてもよい。
すなわちYの具体例としては、上記の例示したジアミンから2つのアミノ基を取り去った2価の基が挙げられる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物(ポリイミド)は、例えば、Xを含むテトラカルボン酸類とYを含むジアミン類とから得ることができる。テトラカルボン酸類とジアミン類とからポリイミドを得る方法としては、高温の有機極性溶媒中でテトラカルボン酸無水物とジアミンとを重合させ、ポリイミドを生成させる1段重合法と、低温でまずテトラカルボン酸無水物とジアミンとからポリアミド酸を合成し、ドープを製膜後、高温でイミド化する2段重合法とがある。
前記1段重合法における重合温度は通常100〜250℃、好ましくは150〜200℃であり、重合時間は通常0.5時間〜20時間、好ましくは1〜15時間である。重合後の溶液をそのままガラス板や金属板などの基板上に塗布し、溶媒を蒸発させることによってポリイミドを製造することができる。また、必要に応じて重合溶液をメタノール、水などの貧溶媒に再沈した後、固形物を良溶媒に溶解させ、その溶液をガラス板や金属板などの基板上に塗布し、溶媒を蒸発させることによっても製造することができる。また、イミド化が不十分な場合には塗布製膜した後、ポリマーのガラス転移温度付近まで加熱することによってイミド化を行い、製造することができる。2段重合法の場合はポリアミド酸合成を0〜120℃、好ましくは15〜120℃、さらに好ましくは20℃〜110℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは1〜70時間で行い。重合後の溶液をそのままガラス板や金属板などの基板上に塗布し、200℃〜350℃に加熱して、イミド化させることによってポリイミドを製造することができる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、上述の1段重合法で合成することが好ましい。前記反応は、使用するテトラカルボン酸無水物とジアミン類との種類にもよるが、重合の際の溶質濃度は5〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましく、10〜40質量%であることが特に好ましい。
また、重合温度や重合時間や溶質濃度を調節しても、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物が高分子量で得られない場合、添加剤を加えて重合してもよい。
前記添加剤としては触媒(例としてはトリエチルアミンやピリジンが挙げられる)、共沸剤(例としてはトルエンやキシレンが挙げられる)および縮合剤、脱水剤(例として亜リン酸トリフェニルや無水酢酸が挙げられる)などを用いる。本発明における前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物は、添加剤の中でも亜リン酸トリフェニルとピリジンとを用いて製造されることが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物としてポリイミドを合成する場合、これを高分子量化するためには、酸二無水物やジアミンの昇華精製、再結晶精製が必要だが、亜リン酸トリフェニルとピリジンとを用いると、未精製のモノマーを用いても簡便に高分子量のポリイミドを得ることができる。添加剤の濃度はモノマーに対して、0.5〜70mol%であることが好ましく、1〜50mol%であることがさらに好ましく、5〜30mol%であることが特に好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を重合する場合に用いられる溶剤(有機溶媒)は、ジアミン類とテトラカルボン酸類、および生じたポリアミド酸やポリイミド等を溶解可能な溶剤であればいかなる溶剤であってもよい。そのような溶剤の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、p−クロロフェノール、m−クレゾール等が挙げられる。また、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物がアセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等の低沸点溶剤に溶解可能であれば、製膜の際の乾燥時間を短縮でき、製造適性を向上できる。溶剤は、単独または2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物としてポリイミドおよびポリイミド前駆体(「ポリイミド前駆体」とは、加熱または化学的作用により閉環してイミド環を形成し、ポリイミドを生成し得る有機化合物をいう。)を合成する際に、分子量の調整や着色防止のためにジカルボン酸類やモノアミンを併用することができ、特にジカルボン酸無水物を添加することが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の分子量は、重量平均分子量で2000〜50万であることが好ましく、2000〜30万であることがより好ましく、3000〜20万であることが特に好ましい。前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の分子量が2000以上あれば、化合物の泣き出し故障を起こしにくいため好ましい。一方、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の分子量が50万以下であれば、合成上分子量を制御しやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすいため好ましい。前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の分子量は溶液の粘度を目安とすることができる。
前記高分子化合物が、複数種の前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む共重合体である場合、ブロック共重合体、ランダム共重合体またはグラフト共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
以下に前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の好ましい具体例(例示化合物P−1〜P−19)を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例示化合物中、「a」及び「b」は各構造単位の任意のモル比率を表し、当該例示化合物はブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。
Figure 2008138015
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<セルロースアシレートドープ組成物>
本発明のセルロースアシレートドープ組成物は、前記の一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物とセルロースアシレートとを含有する。本発明のセルロースアシレートドープ組成物においては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物とセルロースアシレートとの質量比が、0.001:1〜1:1であることが好ましい。更に好ましくは0.005:1〜0.4:1であり、特に好ましくは0.01:1〜0.3:1である。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物がセルロースアシレートに対して0.001:1以上の質量比で含まれていれば、本発明の効果を十分に発現できるために好ましい。また、該高分子化合物がセルロースアシレートに対して1:1以下の質量比で含まれていれば、相溶性が良好で、ドープ組成物の相分離、フィルムの白化、泣き出し、面状悪化のような故障が起こりにくいために好ましい。
(ドープ溶媒)
本発明のセルロースアシレートドープ組成物の溶媒としては、セルロースアシレートならびに前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の溶解性が高いものであれば、いかなるものでも良い。
好ましい例としては、カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、ケトン(アセトン、エチルメチルケトン、エチルイソブチルケトンなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなど)、ハロゲン系溶剤(ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなど)を挙げることができる。また、再沈殿に用いる好ましい貧溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、炭化水素系溶剤(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエンなど)を挙げることができる。また、これらを含有する混合物、あるいは貧溶媒との混合物も用いることができる。
溶媒として更に好ましくは、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、ケトン(アセトン、エチルメチルケトン、エチルイソブチルケトンなど)であり、特に好ましくは、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸など)、ケトン(アセトンなど)である。貧溶媒として更に好ましくは、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど)であり、特に好ましくは、水、アルコール(メタノールなど)である。
本発明のセルロースアシレートドープ組成物において、溶媒を除く成分の好ましい含有量は、組成物中1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、8〜28質量%が特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートドープ組成物を調製する際の、セルロースアシレートならびに前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の溶解順序には特に制限はなく、いかなる方法を用いてもよい。例えば、セルロースアシレートと同時に溶解してもよい。また、逐次、セルロースアシレートの溶液に前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を添加して溶解したり、あるいは前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の溶液にセルロースアシレートを添加して溶解したりしてもよい。また、セルロースアシレート溶液と、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物との溶液をそれぞれ調製した後に、両者を混合してもよい。
(ドープ濾過)
本発明のドープ組成物は、セルロースアシレート中の未反応物、難溶解性塩、その他の異物などを更に除去または削減することを目的として、ろ過を行っても良い。ろ過に用いるフィルタの保留粒子径は、好ましくは1μm以上30μm以下であり、更に好ましくは1μm以上20μm以下であり、特に好ましくは2μm以上20μm以下である。フィルタの保留粒子径が0.1μmより小さいと、ろ過圧の上昇が著しく、工業的な生産が実質的に困難である。また、保留粒子径が40μmより大きいと、微小異物の除去が十分にできず、光学フィルムとしての性能が不十分になる。また、濾過は2回以上繰り返すことが好ましく、保留粒子径の異なるフィルタを組み合わせて用いても良い。保留粒子径はJIS P 3801で規定された方法により求めることができる。
フィルタの材質は溶媒によって悪影響を受けないものであれば特に限定されないが、好ましい例としては、セルロース系フィルタ、金属フィルタ、セラミック焼結フィルタ、ポリテトラフルオロエチレンフィルタ(PTFEフィルタ)、ポリエーテルサルホンフィルタ、ポリプロピレンフィルタ、ポリエチレンフィルタ、ガラス繊維性フィルタなどを挙げることができ、これらを組み合わせて使用してもよい。
フィルタの材質として、電荷的捕捉機能を有するフィルタもまた、好ましく用いることができる。電荷的捕捉機能を有するフィルタとは、電気的に荷電異物を捕捉除去する機能を有するフィルタであり、通常、濾材に電荷を付与したものが用いられる。このようなフィルタの例としては、特表平4−504379号公報、特開2000−212226号公報などに記載されたものを選択することができる。
また、濾過助剤として、セライト、層状粘土鉱物(好ましくは、タルク、マイカ、カオリナイト、更に好ましくはタルク)などをセルロースアシレート溶液に混合し、これを濾過するいわゆるケーク濾過を行う方法も好ましく用いることができる。
ろ過圧や取り扱い性の制御の目的から、ろ過に先立って適切な溶媒で希釈することも好ましい。
濾過は加圧濾過、減圧濾過、常圧濾過などから選択することができるが、加圧濾過を行うことが好ましい。
(異物の量)
本発明のセルロースアシレートドープ組成物中に含有される粒子サイズが40μm以上である異物の含有量は、0.1個/g以下であることが好ましく、0.05個/g以下であることが更に好ましく、0.01個以下であることが特に好ましい。
異物の含有量は、顕微鏡、光散乱式微粒子検出器を用いて測定することができる。異物の形状は、通常、針状または粒状であるが、それに限定されない。本発明において異物の定量は、未反応セルロースのみならず、外部から混入した不純物のほか、ゲル化物、副反応物など、セルロースアシレートに相溶化しないものの全てを含む。
[添加剤]
本発明のセルロースアシレート組成物には、上記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物の他にも、種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤等)を含有させることができる。
上記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物および他の添加剤の添加時期は、ドープ作製工程の何れにおいて添加してもよく、また、ドープ調製工程の最後に調製工程としてこれらの添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤は、固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば、20℃以下の紫外線吸収剤と20℃以上の紫外線吸収剤を混合して用いたり、同様に可塑剤を混合して用いたりすることができる。具体的には、特開2001−151901号公報に記載の方法を採用できる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾエート化合物、シアノアクリレート化合物、ニッケル錯塩等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、サリチル酸エステル化合物である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。
これら例示した紫外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが特に好ましい。
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。特に好ましい紫外線吸収剤は、上述のベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不用な着色が少ないことから、好ましい。
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載の化合物も用いることができる。
本発明のセルロースアシレートドープ組成物における紫外線吸収剤の含有量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。含有量が0.001質量%以上であれば含有効果が十分に発揮されうるので好ましく、含有量が5質量%以下であればフィルム表面への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できるので好ましい。
また紫外線吸収剤は、セルロースアシレート溶解時に同時に含有させてもよいし、溶解後のドープに含有させてもよい。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
(劣化防止剤)
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止するために添加してもよい。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物を用いることができる。
(可塑剤)
可塑剤としては、リン酸エステルおよび/またはカルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が好ましい。また、カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
(剥離促進剤)
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が好ましい例として挙げられる。
(赤外吸収剤)
赤外吸収剤としては、例えば特開2001−194522号公報に記載のものが好ましい。
(染料)
本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmがさらに好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
(マット剤微粒子)
本発明のセルロースアシレートドープ組成物には、マット剤として微粒子を含有させてもよい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、ケイ素を含むものが、濁度が低くなる点でより好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子サイズが0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子サイズは0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.1μmが最も好ましい。
なお、本明細書において、1次/2次粒子サイズは、フィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとする。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとする。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)社製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化ケイ素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子サイズの小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化ケイ素微粒子の分散性がよく、二酸化ケイ素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化ケイ素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化ケイ素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましく、15〜20質量%がさらに好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の含有量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
(溶解工程)
セルロース化合物(例えば、セルロースアシレート)の溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよく、さらには冷却溶解法または高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。例えば、セルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、22頁〜25頁、2001年3月15日発行、発明協会)にて詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
セルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。セルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることが好ましい。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、商品名、島津製作所社製)で550nmの吸光度を測定する。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出する。
(流延、乾燥、巻き取り工程)
次に、セルロース化合物(例えば、セルロースアシレート)の溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、例えば、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を広く採用することができる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば、回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。セルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、25頁〜30頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
(延伸処理)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーション値を調整することが好ましい。特に、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている、製造したフィルムを延伸する方法を用いることができる。
フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸は、縦又は横だけの一軸延伸でもよく、同時又は逐次2軸延伸でもよい。フィルムは、0.1〜500%の延伸を行うことが好ましく、1〜200%の延伸を行うことがより好ましく、1〜100%の延伸を行うことがさらに好ましい。
上記偏光板を斜めから見たときの光漏れを抑制するためには、偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸を平行に配置する必要がある。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光膜の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、前記ロールフィルム状の偏光膜とロールフィルム状のセルロースアシレートフィルムからなる保護膜を連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の保護膜の面内遅相軸は、フィルムの幅方向に平行であることが必要となる。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶媒を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶媒量が2〜30質量%で好ましく延伸することができる。
乾燥後得られる、本発明のセルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なり、5〜500μmの範囲であることが好ましく、20〜300μmの範囲であることがより好ましく、30〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。また、光学用、特にVA液晶表示装置用としては、40〜110μmであることが好ましい。フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
以上のようにして得られた、セルロースアシレートフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
[レターデーション]
まず、本発明における各レターデーションについて説明する。本明細書において、Re、Rth(単位;nm)は次の方法にしたがって求めたものである。まず、フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、プリズムカップラー(MODEL2010 Prism Coupler、商品名、Metricon製)を用い、25℃、相対湿度60%において、532nmの固体レーザーを用いて下記式(a)で表される平均屈折率(n)を求める。
式(a): n=(nTE×2+nTM)/3
[式中、nTEはフィルム平面方向の偏光で測定した屈折率であり、nTMはフィルム面法線方向の偏光で測定した屈折率である。]
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(商品名、王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが一軸または二軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRにおいて算出される。
上記において、λに関する記載が特になく、Re、Rthとのみ記載されている場合は、波長590nmの光を用いて測定した値のことを表す。また、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRにより算出される。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率及び入力された膜厚値を基に、以下の式(b)及び式(c)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008138015
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式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタ−デーション値を表す。また、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
測定されるフィルムが一軸や二軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRにより算出される。
これら平均屈折率と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRにおいてnx、ny、nzが算出される。この算出されたnx、ny、nzによりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
フィルムの幅方向のRe(590)値のばらつきは、±5nmであることが好ましく、±3nmであることがより好ましい。また幅方向のRth(590)値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることがより好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも、幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
Re(λ)値、Rth(λ)値は、それぞれ、以下の数式(I)及び(II)を満たすことが、液晶表示装置、特にVAモード、OCBモード液晶表示装置の視野角を広くするために好ましい。また特にセルロースアシレートフィルムが、偏光板の液晶セル側の保護膜に用いられる場合に好ましい。
数式(I): 0nm≦Re(590)≦200nm
数式(II): 0nm≦Rth(590)≦400nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
さらに、以下の数式(I−a)及び(II−a)を満たすことがより好ましい。
数式(I−a): 30nm≦Re(590)≦150nm
数式(II−a): 30nm≦Rth(590)≦300nm
本発明のセルロースアシレートフィルムをVAモード、OCBモードに使用する場合、セルの両側に1枚ずつ合計2枚使用する形態(2枚型)と、セルの上下のいずれか一方の側にのみ使用する形態(1枚型)の2通りがある。
2枚型の場合、Re(590)は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth(590)については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re(590)は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth(590)については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
[ヘイズ]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、例えば、ヘイズ計(1001DP型、商品名、日本電色工業(株)社製)を用いて測定した値が0.1以上0.8以下であることが好ましく、0.1以上0.7以下であることがより好ましく、0.1以上0.60以下であることが特に好ましい。前記範囲にヘイズを制御することにより、光学補償シートとして液晶表示装置に組み込んだ際に高コントラスの画像が得られる。
[光弾性係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板保護フィルム、または位相差板として使用されることが好ましい。偏光板保護フィルム、または位相差板として使用した場合には、吸湿による伸張、収縮による応力により複屈折(Re,Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、その範囲は、5×10-7(cm2/kgf)〜30×10-7(cm2/kgf)が好ましく、6×10-7(cm2/kgf)〜25×10-7(cm2/kgf)がより好ましく、7×10-7(cm2/kgf)〜20×10-7(cm2/kgf)であることが特に好ましい。
[表面処理]
未延伸、または、延伸後のセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000keV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液に浸漬してもよく、鹸化液を塗布してもよい。浸漬法の場合は、NaOHやKOH等のpH10〜14の水溶液を20℃〜80℃に加温した槽を0.1分〜10分通過させたあと、中和、水洗、乾燥することで達成できる。
塗布方法の場合、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を用いることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがより好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がより好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗または酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。これらの鹸化方法は、具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
機能層との接着のため下塗り層を設けることも好ましい。この層は上記表面処理をした後、塗設してもよく、表面処理なしで塗設してもよい。下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁に記載されている。
これらの表面処理、下塗り工程は、製膜工程の最後に組み込むこともでき、単独で実施することもでき、後述の機能層付与工程の中で実施することもできる。
<機能層との組み合わせ>
本発明のセルロースアシレートフィルムに、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光膜の付与(偏光板の形成)、光学補償層の付与(光学補償シートの形成)、反射防止層の付与(反射防止フィルムの形成)である。
[偏光膜]
(偏光膜の素材)
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素または二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素または二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。
偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素またはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例えば、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)58頁に記載の化合物が挙げられる。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーまたは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。バインダーには、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。
なかでも水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。
ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載されている。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、2種以上を併用してもよい。
バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋性の官能基を有するポリマー、モノマーをバインダー中に混合してもよく、バインダーポリマー自身に架橋性官能基を付与してもよい。架橋は、光、熱またはpH変化により行うことができ、架橋構造をもったバインダーを形成することができる。架橋剤については、米国再発行特許第23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
架橋反応が終了後でも、未反応の架橋剤は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。このようにすることで、耐候性が向上する。
(偏光膜の延伸)
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がより好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸により実施することができる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸により実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。ここでいう延伸倍率は(延伸後の偏光膜の長さ/延伸前の偏光膜の長さ)を表す。延伸はMD方向に平行に行ってもよく(平行延伸)、斜め方向に行ってもよい(斜め延伸)。これらの延伸は、1回で行っても、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。より好ましいのが斜め方向に10度から80度の傾きを付けて延伸する斜め延伸である。
(イ)平行延伸法
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は通常1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後の質量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、通常15〜50℃、好ましくは17〜40℃の浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくして行うことができる。前記作用効果の点より好ましい延伸倍率(延伸後/初期状態の長さ比:以下同じ)は1.2〜3.5倍、より好ましくは1.5〜3.0倍である。この後、50℃〜90℃において乾燥させて偏光膜を得る。
(ロ)斜め延伸法
斜め延伸法は、特開2002−86554号公報に記載されているように、傾斜め方向に張り出したテンターを用いて延伸することにより実施することができる。この延伸は空気中で行うため、事前に含水させて延伸しやすくすることが必用である。好ましい含水率は5%〜100%、より好ましくは10%〜100%である。
延伸時の温度は40℃〜90℃が好ましく、より好ましくは50℃〜80℃である。相対湿度は50%〜100%が好ましく、より好ましくは70%〜100%、特に好ましくは80%〜100%である。長手方向の進行速度は、1m/分以上が好ましく、より好ましくは3m/分以上である。
延伸の終了後、好ましくは50℃〜100℃、より好ましくは60℃〜90℃で、好ましくは0.5分〜10分、より好ましくは1分〜5分乾燥する。
このようにして得られる偏光膜の吸収軸は10°〜80°が好ましく、より好ましくは30°〜60°であり、特に好ましくは実質的に45°(40°〜50°)である。
(貼り合せ)
上記鹸化後のセルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光膜を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、セルロースアシレートフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が45°になるように行うのが好ましい。
貼り合わせの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
このようにして得た偏光板の光線透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがより好ましく、40〜50%の範囲にあることが特に好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがより好ましく、99〜100%の範囲にあることが特に好ましい。
さらに、このようにして得た偏光板はλ/4板と積層し、円偏光板を作成することができる。この場合λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸を45度になるように積層する。この時、λ/4板は特に限定されないが、より好ましくは低波長ほどレターデーションが小さくなるような波長依存性を有するものがより好ましい。さらには長手方向に対し20度〜70度傾いた吸収軸を有する偏光膜、および液晶性化合物からなる光学異方性層からなるλ/4板を用いることが好ましい。
[光学補償層の付与(光学補償シートの作成)]
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、セルロースアシレートフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
(配向膜)
上記表面処理したセルロースアシレートフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、または液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーまたは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例としては、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ基、ジアルコキシ基、モノアルコキシ基)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、または液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載のもの等が挙げられる。配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]に記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。が発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行ってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがより好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方性層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、通常20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましい。乾燥時間は通常1分〜36時間にすることができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、通常pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上または上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、液晶表示装置を製造する際に行う液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムまたはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
工業的に実施する場合、搬送している偏光膜のついたフィルムに対し、回転するラビングロールを接触させることで達成するが、ラビングロールの真円度、円筒度、振れ(偏芯)はいずれも30μm以下であることが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90°が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360°以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。フィルムの搬送速度は1〜100m/minが好ましい。ラビング角は0〜60°の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50°が好ましい。45°が特に好ましい。
このようにして得た配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
(光学異方性層)
次に、配向膜の上に光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、または架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
1)棒状液晶性分子
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基あるいはカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報の段落番号[0064]〜[0086]に記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
2)円盤状液晶性分子
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.,71巻,111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.,122巻,141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻,82頁(1990)に記載されている。
トルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.,96巻,70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体、およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.,116巻,2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載されている。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことができる。例えば、特開2000−155216号公報の段落番号[0151]〜[0168]に記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)と偏光膜の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、または増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
偏光膜側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子または配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)方向は、一般に円盤状液晶性分子または円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
(光学異方性層の他の組成物)
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、または配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基を有する液晶化合物に対して共重合性を示すものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1質量%〜50質量%の範囲にあり、5質量%〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]に記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースアシレートを挙げることができる。セルロースアシレートの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]に記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1質量%〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1質量%〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70℃〜170℃がより好ましい。
(光学異方性層の形成)
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
(液晶性分子の配向状態の固定)
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2,367,661号、同2,367,670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2,448,828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2,722,512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3,046,127号、同2,951,758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3,549,367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4,239,850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4,212,970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがより好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることが特に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
(偏光膜との組み合わせ)
この光学補償シートと偏光膜を組み合わせることも好ましい。具体的には、上記のような光学異方性層用塗布液を偏光膜の表面に塗布することにより光学異方性層を形成する。その結果、偏光膜と光学異方性層との間にポリマーフィルムを使用することなく、偏光膜の寸度変化にともなう応力(歪み×断面積×弾性率)が小さい薄い偏光板が作成される。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を大型の液晶表示装置に取り付けると、光漏れなどの問題を生じることなく、表示品位の高い画像を表示することができる。
偏光膜と光学補償層の傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45°である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
[反射防止層の付与(反射防止フィルムの作製)]
反射防止フィルムは、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を透明支持体上に設けてなる。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜の形成方法として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法等が挙げられる。
一方、生産性が高い反射防止フィルムとして、無機粒子をマトリックスに分散した分散物を塗布することにより薄膜を積層した反射防止フィルムも各種提案されている。塗布による反射防止フィルムとして、表面に微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した層を最上層に形成した反射防止フィルムも挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは上記いずれの方式で製造する反射防止フィルムにも適用できるが、塗布による方式(塗布型)で製造する反射防止フィルムに適用することが特に好ましい。
(塗布型反射防止フィルムの層構成)
透明支持体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)を順に形成した層構成からなる反射防止フィルムは、屈折率が以下の関係を満足するように設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間には、ハードコート層を設けてもよい。さらには、中屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなるものであってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載されているものが挙げられる。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等に記載されるもの)等が挙げられる。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが特に好ましい。
(高屈折率層および中屈折率層)
反射防止フィルムの高い屈折率を有する層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなる。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上の無機化合物が挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするためには、粒子表面を表面処理剤で処理する技術(例えば、特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報に記載されるシランカップリング剤で処理する技術や、特開2001−310432号公報等に記載されるアニオン性化合物あるいは有機金属カップリング剤で処理する技術)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とする技術(例えば、特開2001−166104等に記載される技術)、特定の分散剤を併用する技術(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1号明細書、特開2002−2776069号公報等に記載される技術)等を利用することができる。マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
さらに、ラジカル重合性および/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上有する多官能性化合物を含有する組成物、加水分解性基を有する有機金属化合物およびその部分縮合体の組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。これらの組成物に用いる化合物として、例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載される硬化性膜を挙げることができる。
高屈折率層の屈折率は、一般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる層である。低屈折率層の屈折率は一般に1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
低屈折率層は、耐擦傷性や防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させるためには表面に滑り性を付与することが有効であり、具体的には従来公知のシリコーン化合物や含フッ素化合物を導入した薄膜層の形成法を適用することができる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性または重合性の官能基を含む化合物であることが好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基または重合性官能基を有し、膜中で橋かけ構造を形成しているものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(商品名、チッソ(株)製)等)、両末端にシラノール基を有するポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素および/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤や増感剤等を含有する最外層形成用の塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基を有するシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応させて硬化したゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報等に記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ(パーフルオロアルキルエーテル)基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報に記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成してもよい。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましく、60〜120nmであることが特に好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設けることができる。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成することが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基を有する有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物であることが好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したものと同様のものが挙げられる。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等に記載されるものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層の説明で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒子サイズ0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが特に好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等に記載される技術を用いることができる。
(その他の層)
上記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(塗布方法)
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号明細書)により、塗布により形成することができる。
(アンチグレア機能)
反射防止フィルムは、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止フィルムの表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止フィルムがアンチグレア機能を有する場合、反射防止フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
反射防止フィルムの表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層またはハードコート層)に比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等に記載)等が挙げられる。
<液晶表示装置>
本発明のセルロースアシレートフィルム、該セルロースアシレートフィルムを用いた偏光板、位相差フィルムおよび光学フィルムは、それぞれ液晶表示装置に好ましく組み込むことができる。液晶表示装置としては、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In-Plane Switching)型、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)型、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)型、OCB(Optically Compensatory Bend)型、STN(Super Twisted Nematic)型、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型、VA(Vertically Aligned)型およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)型の表示装置が挙げられる。また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。以下に各液晶モードについて説明する。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.36(1997)p.1068)の記載に従って作製することができる。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報の記載に従って作製することができる。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのRe値を0〜150nmとし、Rth値を70〜400nmとすることが好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であってもよい。
(IPS型液晶表示装置、ECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードまたはECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置またはECB型液晶表示装置の光学補償シート、または偏光板の保護膜としても好適に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーション値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置、HAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション値の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.38(1999)p.2837)の記載に従って作製することができる。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest-Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開WO98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報の記載に従って作製することができる。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開WO00/65384号パンフレットの記載に従って作製することができる。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089(1998))の記載に従って作製することができる。
(TNモード液晶表示装置)
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4,583,825号、同5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensated Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
本発明によれば、光学フィルムとして好適に用いることができる、複屈折性の大きなセルロースアシレートを得ることができる。さらに、該セルロースアシレートを用いた光学フィルムを使用することで、高品位な位相差フィルム、偏光板、光学補償シート、反射防止フィルム並びに液晶表示装置を得ることができる。したがって本発明は、産業上の利用可能性が高い有用な発明である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1
(例示化合物P−15の調製)
温度計、攪拌器、窒素導入管を備えた反応容器に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル32.0質量部を入れ、N−メチル−2−ピロリドン300質量部に溶解した後、15℃で1,2,4,5−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物22.4質量部を徐々に添加した。30℃で1時間、次いで70℃で1時間、さらに100℃で1時間反応させたところ、透明な溶液が得られた。次に添加剤として亜リン酸トリフェニルを6.2質量部、ピリジン1.6質量部を徐々に滴下したのち、100℃で0.5時間攪拌、130℃で0.5時間、150℃で0.5時間、170℃で5時間攪拌した。その後溶液を放冷し、放冷後、メタノール2000質量部と水2000質量部の混合溶液に再沈し、ろ過、洗浄を繰り返して精製することにより、上述の例示化合物P−15を得た。
他の一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物についても同様にして調製した。
実施例1
[セルロースアセテートドープ組成物試料1〜31の作製]
下記の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を混合し、セルロースアセテートドープ組成物試料1〜31をそれぞれ調製した。
<セルロースアセテートドープ組成物>
セルロースアシレート (表1に記載の種類と量)
ジクロロメタン 782質量部
メタノール 68質量部
一般式(1)で表される繰り返し単位を
含む高分子化合物 (表1に記載の種類と量)
Figure 2008138015
表1中、DSAcはセルロースアシレートにおけるアセチル基の置換度を、DSPrはセルロースアシレートにおけるプロピオニル基の置換度を、DSBuはセルロースアシレートにおけるブチリル基の置換度をそれぞれ表す。
実施例2
[セルロースアシレートフィルム試料101〜131の作製]
実施例1で調製したセルロースアシレートドープ組成物試料1〜31をそれぞれ、バンド流延機を用いて流延した。流延後に積極的な延伸を行わず、フィルムの厚さがすべて80μmになるように調整して、未延伸セルロースアシレートフィルム試料101〜131を作製した。
[セルロースアシレートフィルム試料201〜231の作製]
実施例1で調製したセルロースアシレートドープ組成物試料1〜31をそれぞれ、バンド流延機を用いて流延した。流延後、残留溶剤量が15質量%のフィルムを、テンターを用いて15%の延伸倍率で横延伸し、フィルムの厚さがすべて80μmになるように調整して、延伸セルロースアシレートフィルム試料201〜231を作製した。
[評価]
(光線透過率の測定)
セルロースアシレートフィルム試料101〜131及び201〜231について、各セルロースアシレートフィルムを25℃60%RHにて24時間調湿後、透明度測定器(AKA光電管比色計:KOTAKI製作所製)を用い、615nmの可視光を用いて光線透過率の測定を行った。
これらの試料はいずれも、光線透過率が90%以上で、透明性に優れる良好なものであることがわかった。
(レターデーションの測定)
上記で得られた各フィルム試料の一部(120mm×120mm)を取り出し、25℃、相対湿度60%に調整した条件にフィルムを2時間置いた後、本明細書の[レターデーション]の項で述べた手順によりRe及びRthを測定した。具体的には、KOBRA 21ADH(商品名、王子計測機器(株)製)を用いて、波長590nmの光をフィルム法線方向に入射させてRe及びRthを測定した。結果を表2及び3に示す。
Figure 2008138015
Figure 2008138015
表2及び3の結果から明らかなように、すべての試料が前記数式(I)及び(II)を満たすが、本発明の試料102〜120、122〜125、127〜131、202〜220、222〜225及び227〜231はいずれも、比較例の試料101、121、126、201、221及び226に比べて、大きなRe及び/又はRthを発現することが分かった。特に、延伸を行った本発明の試料202〜220、222〜225及び227〜231はいずれも、延伸を行った比較例の試料201、221及び226に比べて、大きなRe及び/又はRthを発現することが分かった。
また、前記一般式(1)で表される繰り返し単位中のYとして、前記一般式(2)で表される構造を含む例示化合物P−15を含有する試料103及び203と、前記一般式(2)で表される構造を含まない例示化合物P−19を含有する試料131及び231とを比較すると、前記一般式(2)で表される構造を含む例示化合物P−15を含有する試料103及び203の方が、さらに高い大きなRe及び/又はRthを発現することがわかった。
実施例3
[偏光板の作製と評価]
(1)セルロースアシレートフィルムの鹸化
上述の本発明の未延伸セルロースアシレートフィルムと、それを延伸した延伸セルロースアシレートフィルムのそれぞれについて、下記の方法で鹸化を行なった。
1.5mol/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液を鹸化液として用いた。これを60℃に調温し、セルロースアシレートフィルムを2分間浸漬した。この後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗浴を通した。
(2)偏光膜の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み20μmの偏光膜を作製した。
(3)貼り合わせと評価
このようにして得た偏光膜と、上記鹸化処理した未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムのうちから2枚選び、これらで上記偏光膜を挟んだ後、ポリビニルアルコール(PVA)(PVA−117H、商品名、(株)クラレ製)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とセルロースアシレートフィルムとの長手方向が90°となるように張り合わせた。このうち未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムを特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置に25℃・相対湿度60%下で取り付け、これを25℃・相対湿度10%の中に持ち込んだ。本発明のセルロースアシレートフィルムを使用したものは、いずれも色調変化が小さく、表示むらの少ない良好な性能が得られた。
また、特開2002−86554号公報の実施例1に従い、テンターを用い延伸軸が斜め45°となるように延伸した偏光板についても同様に、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いて作製したものは、上記同様に良好な結果が得られた。
実施例4
[光学補償シートの作製と評価]
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、上述の鹸化済みの本発明の延伸セルロースアシレートフィルムを使用し、これを、特開2002−62431号公報の実施例9に記載のベンド配向液晶セルに25℃・相対湿度60%下で取り付け、これを25℃・相対湿度10%の中に持ち込んだ。本発明のセルロースアシレートフィルムを使用したものは漏れならびにコントラストの変化の小さい良好な表示性能が得られた。
さらに特開平7−333433号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムに代えて、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムに変更し光学補償シートを作製した。この場合も同様に、良好な光学補償シートを作製できた。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板、位相差偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置に用いたところ、光漏れの極めて少ない良好な液晶表示装置を得た。
実施例5
[低反射フィルム及び液晶表示装置の作製と評価]
発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の実施例47に従い、上述の延伸セルロースアシレートフィルムを用いて低反射フィルムを作製したところ、本発明のセルロースアシレートフィルムを使用したものは、良好な光学性能が得られた。
さらに上記低反射フィルムを、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置液晶表示装置の最表層に貼り評価を行ったところ、漏れの極めて少ない良好な液晶表示装置を得た。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物とセルロースアシレートとを含有することを特徴とするセルロースアシレート組成物。
    Figure 2008138015
    〔一般式(1)中、Xは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。Yは単環式または縮合多環式の脂肪族基または芳香族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表される構造を含むことを特徴とする請求項1記載のセルロースアシレート組成物。
    Figure 2008138015
    〔一般式(2)中、R1は独立に置換基を表し、置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表し、nは正の整数を表す。〕
  3. 前記一般式(1)におけるXが単環式または縮合多環式の脂肪族基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースアシレート組成物。
  4. 前記一般式(1)におけるXがシクロヘキサン環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物。
  5. 前記セルロースアシレートが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物。
  6. 前記の一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物とセルロースアシレートとの質量比が0.001:1〜1:1であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物を含有することを特徴とするセルロースアシレートドープ組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースアシレート組成物からなる光学フィルムであって、面内のレターデーション(Re)及び厚さ方向のレターデーション(Rth)が下記数式(I)及び(II)で表されることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    数式(I): 0nm≦Re(590)≦200nm
    数式(II): 0nm≦Rth(590)≦400nm
    (式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
  9. 請求項8記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする位相差フィルム。
  10. 偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、請求項8記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項9記載の位相差フィルムであることを特徴とする偏光板。
  11. 請求項8記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項9記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有することを特徴とする光学補償シート。
  12. 請求項8記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項9記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
  13. 請求項8記載のセルロースアシレートフィルム、請求項9記載の位相差フィルム、請求項10記載の偏光板、請求項11記載の光学補償シート、および請求項12記載の反射防止フィルムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする液晶表示装置。
  14. 請求項7記載のドープ組成物を用いて調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
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