JP2008137327A - フッ素樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボイドや粒界に起因する機械的強度やシール性の低下がなく、耐屈曲性に優れたフッ素樹脂成形体を得る。
【解決手段】フッ素樹脂混合物を予備成形する工程(1)と焼成する工程(2)とを含み、上記フッ素樹脂混合物は、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕粉末と溶融加工性含フッ素樹脂粉末との混合物であり、上記PTFE粉末が懸濁重合から得られるものであり、上記溶融加工性含フッ素樹脂粉末の含有量が10質量%未満であるものであることを特徴とするフッ素樹脂成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素樹脂成形体及びその製造方法に関する。
耐屈曲性や耐薬品性に優れたフッ素樹脂成形体として、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕と溶融加工性含フッ素樹脂との混合物を成形したものが提案されている。
PTFEと溶融加工性含フッ素樹脂との混合物からなるフッ素樹脂成形体として、例えば、PTFEとテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔PFA〕とを混在させた複合合成樹脂を成形したボールシート(例えば、特許文献1)、PTFEと溶融加工性含フッ素樹脂とからなる多孔成形体(例えば、特許文献2)が挙げられる。
しかしながら、PTFEを含む含フッ素樹脂成形体には、成形や塗布の際に生じる微小な空隙(ボイド)や粒界が存在し、(1)成形体に屈曲や引張を与えると、この微小な空隙や粒界が破断起点となり機械的物性が低下する、(2)この微小な空隙や粒界が薬液やガスの成形体内部への浸透口となりシール性が低下する等、の問題があった。
微小な空隙や粒界を低減させる方法として、例えば、
・2重量%以上、12重量%未満の熱溶融性フッ素樹脂を含有するPTFEを水性ディスパージョンとして塗布し焼き付けてなる厚み10〜20μmの塗膜(例えば、特許文献3)
・平均粒子径1〜15μmのPFA20〜97重量%と、平均粒子径1μm以下のPTFE3〜80重量%を含有するフッ素樹脂混合物により形成された厚み0.1〜50μmの定着ローラ外面のフッ素樹脂層(例えば、特許文献4)
が提案されている。
しかしながら、これらの方法は、PTFEを含む塗膜を作成する方法であって、PTFEを含む含フッ素樹脂成形体について、微小な空隙や粒界を低減させる方法ではない。含フッ素樹脂成形体における微小な空隙や粒界を低減する方法を教示する文献はない。
特開昭61−127976号公報 国際公開第2005/19302号パンフレット 特開平5−39451号公報(請求項1、〔0060〕) 特開平10−142990号公報(請求項1、〔0019〕)
本発明の目的は、上記現状に鑑み、ボイドや粒界に起因する機械的強度やシール性の低下がなく、耐屈曲性に優れたフッ素樹脂成形体を得ることにある。
本発明は、フッ素樹脂混合物を予備成形する工程(1)と焼成する工程(2)とを含み、上記フッ素樹脂混合物は、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕粉末と溶融加工性含フッ素樹脂粉末との混合物であり、上記PTFE粉末が懸濁重合から得られるものであり、上記溶融加工性含フッ素樹脂粉末の含有量が10質量%未満であるものであることを特徴とするフッ素樹脂成形体の製造方法である。
本発明は、上記フッ素樹脂成形体の製造方法から得られることを特徴とするフッ素樹脂成形体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のフッ素樹脂成形体の製造方法は、PTFEとして懸濁重合から得られる平均粒径が小さいものを採用し、上述したような特定の割合で溶融加工性含フッ素樹脂粉末を含有するフッ素樹脂混合物を使用することにより、得られる成形体において、(1)空隙や粒界の発生を低減するとともに、これらのサイズを小さくさせ、更に、(2)成形時に生じた空隙や粒界が溶融加工性含フッ素樹脂により埋められるので、空隙や粒界の存在に伴う機械的強度やバリア性の低下を防止すると推測される。
このため、本製造方法から得られるフッ素樹脂成形体は、破断強度や耐屈曲性等の機械的強度に優れ、薬液やガスに対するバリア性が高く、ダイヤフラム弁体、ベロース等のシール用製品及び絶縁フィルムや離型フィルム、ラッピング用フィルムとして好適に使用することができる。
従来より、微小な空隙や粒界を低減させたフッ素樹脂の塗膜の作成方法として、PTFEに溶融加工性含フッ素樹脂を特定割合で含有させる方法が提案されていた。しかしながら、この従来法は、あくまで塗膜の作成方法であって、PTFEを含有する水性分散液から塗膜を得るものであり、膜厚が大きい塗膜では、ピンホールが発生する等、空隙や粒界を低減させることは困難であると考えられていた。以上に対し、本発明のフッ素樹脂成形体の製造方法は、特定のPTFE粉末を用いるものであり、厚みが大きいシートや成形体であっても、空隙や粒界に伴う機械的強度等の物性低下を防止することができる。
本発明におけるフッ素樹脂混合物は、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕粉末と溶融加工性含フッ素樹脂粉末との混合物であるものである。
本発明におけるPTFEは、テトラフルオロエチレン〔TFE〕の単独重合体のみならず、変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕をも含む概念である。
上記PTFEは、耐クリープ性等の機械的強度の点で、変性PTFEであることが好ましい。
上記変性PTFEとは、TFEと、TFE以外の微量単量体との共重合体であって、非溶融加工性であるものを意味する。
上記微量単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等のフルオロオレフィン;フルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
上記フルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、例えば、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。
上記PAVEとしては、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられる。
上記フルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、熱的安定性の点で、PPVE、PEVE又はPMVEであることが好ましく、PPVEであることがより好ましい。
上記変性PTFEにおいて、上記微量単量体は1種であってもよいし2種以上であってもよい。
上記変性PTFEにおいて、上記微量単量体に由来する微量単量体単位の全単量体単位に占める含有率は、通常2モル%以下の範囲である。
本明細書において、「全単量体単位に占める微量単量体単位の含有率(モル%)」とは、上記「全単量体単位」が由来する単量体、即ち、変性PTFEを構成することとなった単量体全量に占める、上記微量単量体単位が由来する微量単量体のモル分率(モル%)を意味する。
本明細書において、上記微量単量体単位は、赤外分光分析を行うことにより得られる値である。
本発明におけるPTFEは、TFE、及び、所望により微量単量体を重合することにより得ることができる。
上記PTFEは、平均粒径が小さいPTFEを調製できる点で、懸濁重合により得られるものが好ましい。なお、平均粒径が小さいPTFEは、ボイドが少ない成形体を得る点で好ましい。
上記懸濁重合は、例えば、重合温度を0〜100℃に設定して、水性媒体の存在下にて行うことが好ましい。
上記懸濁重合において、乳化剤等を使用することもできる。重合開始剤として市販で使用される種々の開始剤を用いることができるが、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等を使用することが好ましい。
上記乳化剤及び上記重合開始剤の使用量は、使用する単量体等の種類、所望の組成等に応じて適宜設定することができる。
懸濁重合により得られるPTFEの粉末は、モールディングパウダーと称されることがある。
本発明におけるPTFE粉末は、重合後に得られる重合反応液から乾燥して得た粉末そのものであってもよいし、該粉末を適宜粉砕してなる微粉末であってもよい。
上記乾燥及び粉砕の各工程は、国際公開第93/16126号パンフレットに記載の方法等、公知の方法で行うことができる。
上記PTFE粉末は、得られるPTFE成形体におけるボイドを減少することができる点で、平均粒径が小さいことが好ましい。
上記PTFE粉末は、平均粒径が100μm以下であることが好ましい。上記平均粒径は、より好ましい上限が50μm、更に好ましい上限が40μm、特に好ましい上限が30μmであり、これらの範囲内であれば、3μm以上であってよい。
本発明において、樹脂粉末の平均粒径は、粒子径分布測定装置HELOS&RODOS(SYMPATEC社製)を用いて、乾式レーザー法により測定したものである。
上記溶融加工性フッ素樹脂は、溶融流動性を有するフッ素樹脂である。
上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕共重合体〔PFA〕、TFE/HFP共重合体〔FEP〕、ビニリデンフルオライド〔VdF〕/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体、テトラフルオロエチレン〔TFE〕/VdF共重合体、TFE/プロピレン〔Pr〕共重合体、VdF/PAVE共重合体、TFE/エチレン〔Et〕/PAVE共重合体、TFE/Pr/PAVE共重合体、TFE/VdF/HFP共重合体、TFE/VdF/HFP/クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、TFE/Et/HFP/PAVE共重合体、TFE/Pr/HFP/PAVE共重合体が挙げられるが、なかでも、FEP、PFAが好ましく、PFAがより好ましい。
本発明において、上記PFAは、熱的安定性の点で、PAVEとしてPPVE、PEVE又はPMVEを重合させたものが好ましく、PPVEであることがより好ましい。
本発明において、上記PFAはPAVE含有量が1〜3モル%であることが好ましい。
本明細書において、上記PAVE含有量は、赤外分光分析を行うことにより得られる値である。
本発明における溶融加工性含フッ素樹脂は、MFRが1.5(g/10分)以上であるものが好ましい。
上記MFRは、より好ましい下限が5.0(g/10分)であり、更に好ましい下限が10(g/10分)であり、上記範囲内であれば、60(g/10分)以下であってもよい。
本明細書において、上記MFRは、ASTM D 1238−98に準拠したメルトインデックステスター(KAYENESS社製、Series4000)を用いて、約6gの溶融加工性含フッ素樹脂を372℃の温度下に荷重5kgにて測定したものである。
本発明において、溶融加工性含フッ素樹脂は、機械的強度やシール性の低下を防止する点で、平均粒径が60μm以下であることが好ましい。
上記溶融加工性含フッ素樹脂の平均粒径は、より好ましい上限が45μmであり、より好ましい下限が5μmである。
上記溶融加工性含フッ素樹脂は、平均粒径が60μmを超えると、得られる成形体において該溶融加工性含フッ素樹脂自体が透明斑となり外観を損なうことがある。
上記溶融加工性含フッ素樹脂粉末は、従来公知の方法により重合を行った後、得られた含フッ素重合体を乾燥することにより調製することができる。
上記重合や乾燥における各条件は、所望の組成や用いる単量体やその量に応じて適宜設定することができる。
本発明における溶融加工性含フッ素樹脂粉末は、重合後に得られる重合反応液から乾燥して得た粉末そのものであってもよいし、該粉末を適宜粉砕してなる微粉末であってもよい。
上記粉砕は、例えば、ジェットミル等の気流衝突式粉砕機、ピンミル、ハンマーミル等の衝撃式粉砕機を用いて行うことができる。
上記溶融加工性含フッ素樹脂粉末は、加工性の点で、分級したものであってもよい。上記分級は、各種分級機を用いて行うことができる。
本発明において、上記溶融加工性含フッ素樹脂粉末は、末端基をフッ素化したものであってもよく、完全に末端フッ素化を行ったものであってもよい。
上記フッ素化は、従来公知の方法で行うことができ、フッ素化の程度も任意に調整することができる。
本発明におけるフッ素樹脂混合物は、上記溶融加工性含フッ素樹脂粉末の含有量が10質量%未満であるものである。
上記溶融加工性含フッ素樹脂粉末の含有量は、好ましい上限が6質量%であり、より好ましい上限が4質量%であり、また、2質量%以上であることが好ましい。
上記含有量が10質量%以上であると、得られる成形体において上記溶融加工性含フッ素樹脂に起因する透明斑の個数が増大し、外観を損なう。
本発明のフッ素樹脂成形体の製造方法は、フッ素樹脂混合物を予備成形する工程(1)と焼成する工程(2)とを含むものである。
上記工程(1)における予備成形としては、例えば、金型に樹脂粉末を入れ圧縮して予備成形体(プレフォーム)を形成する「狭義の圧縮成形」が挙げられる。
本発明において、上記PTFE粉末は、PTFE粉末のみからなるものであってもよいが、PTFE粉末の性質を損なわない範囲で、顔料、着色剤、帯電防止剤等の添加剤を配合したものであってもよい。
上記圧縮成形は、0.1〜100MPaの加圧下で行うことが好ましい。上記圧力は、より好ましい下限が1MPa、より好ましい上限が80MPaである。
上記工程(2)は、上述の方法から得られた予備成形体を焼成炉に入れ、一定速度で室温から焼成温度まで昇温させた後、該焼成温度を維持して行ってもよいし、上記予備成形体を予め後述の焼成温度に調温した焼成炉内に入れることにより行ってもよい。
上記工程(2)は、予備成形体の厚み、焼成時間等にもよるが、345〜400℃の温度にて加熱することにより行うことが好ましい。
上記焼成温度は、より好ましい下限が360℃、より好ましい上限が390℃である。
上記フッ素樹脂成形体の製造方法から得られるフッ素樹脂成形体もまた、本発明の一つである。
上記フッ素樹脂成形体は、上述のフッ素樹脂成形体の製造方法を行うことにより得られるものであるので、(i)空隙や粒界が少なく、これらのサイズが小さいことに加え、(ii)成形時に生じた空隙や粒界が溶融加工性含フッ素樹脂により埋められた構造を有するので、空隙や粒界の存在に伴う機械的強度やバリア性の低下が殆どない。ゆえに、上記フッ素樹脂成形体は、破断強度や耐屈曲性等の機械的強度に優れ、薬液やガスに対するバリア性が高く、ダイヤフラム弁体、ベロース等のシール用製品及び絶縁フィルムや離型フィルム、ラッピング用フィルムとして好適に使用することができる。
本発明のフッ素樹脂成形体は、上述のように、成形時に生じた空隙や粒界が溶融加工性含フッ素樹脂により埋められた構造を有する。この空隙や粒界を埋めた溶融加工性含フッ素樹脂の存在は、上記フッ素樹脂成形体における透明斑として確認することができる。一方、溶融加工性含フッ素樹脂が埋められなかった空隙や粒界は、上記フッ素樹脂成形体における白斑として確認することができる。
本発明のフッ素樹脂成形体は、更に、空隙や粒界の数自体が少ない。上記フッ素樹脂成形体において、粒径20μm以上の空隙数は、9×10−2cmあたり、好ましくは5個以下である。
上記空隙数は、上記フッ素樹脂成形体から厚み100μm×断面積9cmのシートを5枚切削し、各シートについて拡大鏡(倍率10倍)を用いて粒径20μm以上の白斑と透明斑との合計数を計測し、1枚あたりの平均値として求めたものである。
本発明のフッ素樹脂成形体は、機械的特性、特に耐屈曲性及び耐クリープ性に優れているので、例えば、ベロース、ダイヤフラム、ホース、ピストンリング、バタフライバブル等の耐屈曲性が求められる成形体;ボールバブルシート、ダイヤフラム、パッキン、ガスケット、ピストンリング、ベロース、ダイヤフラム、バタフライバブル等の耐クリープ性が求められる成形体;とすることができる。また、空隙や粒界が少ないことを利用して、電気絶縁用フィルムや離型フィルム、ラッピング用フィルム等、種々の用途に適用することができる。
本発明のフッ素樹脂成形体の製造方法は、上記構成よりなるものであるので、空隙や粒界に起因する機械的特性やシール性の低下が殆どない成形体を得ることができる。このため、本製造方法から得られるフッ素樹脂成形体は、機械的特性、特に耐屈曲性及び耐クリープ性に優れており、ベロース、ダイヤフラム等の耐屈曲性が求められる成形体や、絶縁フィルム、離型フィルム、ラッピング用フィルム等として好適に使用することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例に限定されるものではない。
なお、下記合成例から得られたテトラフルオロエチレン〔PTFE〕粉末に関するパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕含有量、結晶化熱、見掛密度及び平均粒径は、以下の方法に従い測定した。
(1)PPVE含有量
特性吸収1040〜890cm−1の間において赤外分光分析を行うことにより測定した。
(2)粉砕粉末の平均粒径
粒子径分布測定装置HELOS&RODOS(SYMPATEC社製)を用いて、乾式レーザー法により測定した。
合成例
炭酸アンモニウム3.3gを純水(水性媒体)54.8Lに溶かした溶液を170L容のオートクレーブに仕込み、イカリ型撹拌翼で攪拌速度110r.p.m.で撹拌し、脱気した後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕を0.5kg/cm(ゲージ圧)まで仕込む。この操作を3回繰り返したのちパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕85gをTFEと合わせて圧入し、反応系の温度を50℃に上昇させた後、TFEを反応系内圧が8kg/cmになるまで圧入する。続いて、過硫酸アンモニウム水溶液(濃度約0.36質量%)0.2Lを加えて重合を開始した。上記重合は、反応系内圧が8kg/cmに維持されるようTFEを連続的に圧入して行い、水性媒体の22.5質量%のTFEが消費された時点で、オートクレーブからTFE及びPPVEを放出して、反応を終了させた。上記重合の終了後、室温にまで冷却し、乾燥させて、PPVE含有量0.062質量%の変性PTFE粉末を得た。
得られた変性PTFE粉末を取り出し、エアジェットミルにて平均粒径が20μmになるまで粉砕し、変性PTFE粉末1を得た。
実施例1
合成例1から得られた変性PTFE粉末1(294g)と平均粒径15μmのテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〔PFA〕(ネオフロンPFA ACシリーズ、ダイキン工業社製)6gとをポリエチレン袋に入れて予備混合した後、更に、予備混合した粉末を4L食品ミキサーに入れ、2分後毎に蓋を開けて側面に付着した粉末を掻き落としながら、12分間混合した。
得られたフッ素樹脂混合粉末を、25℃にてプレコンした後、金型内径50φ、金型長さ500mmの圧縮成形用金型に投入し、室温にて29.4MPaに加圧したまま保持時間5分(ラム速度0.2mm/分)で予備成形して金型から取り出し、得られた予備成形体を更に50℃/時間の速度にて370℃に昇温した後、370℃にて焼成し、電気炉で50℃/時間の速度にて室温にまで降温して、フッ素樹脂成形体を得た。
得られたフッ素樹脂成形体から厚み100μm×面積9cmのシートを5枚切削し、各シートについて拡大鏡(倍率10倍)を用いて粒径20μm以上の白斑及び透明斑を計測した。白斑数及び透明斑数は、それぞれシート1枚あたりの平均値とした。
実施例2〜4
PFA粉末を平均粒径30μmに調製し、混合するPTFE粉末とPFA粉末の各量を表1に示した量に変更する以外は、実施例1と同様の方法でフッ素樹脂成形体を作成し、白斑及び透明斑を計測した。
比較例1
PFA粉末を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法でフッ素樹脂成形体を作成し、白斑及び透明斑を計測した。
比較例2
PFA粉末を平均粒径65μmに調製し、混合するPTFE粉末とPFA粉末の各量を表1に示した量に変更する以外は、実施例1と同様の方法でフッ素樹脂成形体を作成し、白斑及び透明斑を計測した。
比較例3
PFA粉末を平均粒径105μmに調製し、混合するPTFE粉末とPFA粉末の各量を表1に示した量に変更する以外は、実施例1と同様の方法でフッ素樹脂成形体を作成し、白斑及び透明斑を計測した。
比較例4〜5
PFA粉末を平均粒径50μmに調製し、混合するPTFE粉末とPFA粉末の各量を表1に示した量に変更する以外は、実施例1と同様の方法でフッ素樹脂成形体を作成し、白斑及び透明斑を計測した。
各実施例及び比較例の結果を表1に示す。
Figure 2008137327
各実施例のフッ素樹脂成形体は、白斑及び透明斑の合計数が少ないことから、空隙や粒界の発生が少ないといえる。また、各実施例より、PFAの含有量が高いほど透明斑の数が増え、空隙や粒界がより多くPFAにより埋められることが分かった。一方、PFAを含有させなかった比較例1の成形体は、白斑数が多く、透明斑がないこと、またPFAが10質量%以上である比較例2〜5の各成形体は、白斑及び透明斑の合計数が多い上に、透明斑の数が多く外観を損なうことが確認された。
本発明のフッ素樹脂成形体の製造方法は、上記構成よりなるものであるので、空隙や粒界に起因する機械的特性やシール性の低下が殆どない成形体を得ることができる。このため、本製造方法から得られるPTFE成形体は、機械的特性、特に耐屈曲性及び耐クリープ性に優れており、ベロース、ダイヤフラム等の耐屈曲性が求められる成形体や、絶縁フィルム、離型フィルム、ラッピング用フィルム等として好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. フッ素樹脂混合物を予備成形する工程(1)と焼成する工程(2)とを含み、
    前記フッ素樹脂混合物は、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕粉末と溶融加工性含フッ素樹脂粉末との混合物であり、前記PTFE粉末が懸濁重合によって得られるものであり、前記溶融加工性含フッ素樹脂粉末の含有量が10質量%未満であるものである
    ことを特徴とするフッ素樹脂成形体の製造方法。
  2. 溶融加工性含フッ素樹脂粉末は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〔PFA〕粉末、又は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕粉末である請求項1記載のフッ素樹脂成形体の製造方法。
  3. PTFE粉末は平均粒径が100μm以下である請求項1記載のフッ素樹脂成形体の製造方法。
  4. PTFE粉末は変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕からなるものである請求項1、2又は3記載のフッ素樹脂成形体の製造方法。
  5. 溶融加工性含フッ素樹脂粉末は、平均粒径が60μm以下である請求項1、2、3又は4記載のフッ素樹脂成形体の製造方法。
  6. 溶融加工性含フッ素樹脂粉末は、MFRが1.5(g/10分)以上である請求項1、2、3、4又は5記載のフッ素樹脂成形体の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載のフッ素樹脂成形体の製造方法から得られる
    ことを特徴とするフッ素樹脂成形体。
  8. 粒径20μm以上の空隙が9×10−2cmあたり5個以下である請求項7記載のフッ素樹脂成形体。
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