JP2008132912A - 軽合金鋳造製車両用ホイール - Google Patents

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Abstract

【課題】鍛造品より量産に適する鋳造品であり、装着したタイヤの空気圧力低下が起こり難い車両用ホイールを提供する。
【解決手段】鋳造法によって車両用ホイールの形状に成形してホイール成形品を得た後に、そのホイール成形品のリムのビードシート間の表面に閉空間26を形成し、その閉空間に比重が2以上で径がφ5mm以上の球状体又は多面体を少なくとも含む加工材25を投入し、その加工材を投入した閉空間が形成されたホイール成形品を、リムのビードシート間の表面91aを水平にして上下方向に揺動をさせ、加工材をホイール成形品のリムのビードシート間の表面に衝突をさせることにより、リムのビードシート間の表面に、連続して形成された径が10〜2500μmであり深さが50μm以下であるディンプルと、リムのビードシート間の表層14に、厚さが500〜5000μmの硬化層を有する表面層加工処理層とを形成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、装着したタイヤの空気圧力低下が生じ難い、軽合金鋳造製の車両用ホイールに関する。
近年、地球環境問題の1つである地球温暖化を防止するために、自動車の燃費改善は重要な課題と認識されている。そこで、自動車の燃費を改善するために、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金を採用した車両用ホイールが広く普及するようになった。軽合金製の車両用ホイールとしては、高い強度を有する鍛造品が知られるが、その鍛造品に比べ量産性に優れ材料歩留まりが高いという長所を有することから、多くの製品は、鋳造工程を経て作製される鋳造品である。
ところが、鋳造品である軽合金製の車両用ホイールでは、鋳造欠陥の発生により、鍛造品に比すると、装着したタイヤの空気圧力低下(空気漏れ)の問題が生じ易いという改善すべき点がある。尚、車両用ホイールの空気漏れ防止という観点より改善を提案している先行文献として、特許文献1が挙げられる。
特開昭62−15025号公報
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鍛造品より量産に適する鋳造品であり、装着したタイヤの空気圧力低下が起こり難い車両用ホイールを提供することにある。研究が重ねられた結果、以下に示す車両用ホイールによって、上記目的が達成されることが見出された。
即ち、本発明によれば、リムとディスクとを有する車両用ホイールであって、リムのビードシート間の表面に、連続して形成されたディンプルを有するとともに、リムのビードシート間の表層に、厚さが500〜5000μmの硬化層を有する軽合金鋳造製車両用ホイールが提供される。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、軽合金材料を用い鋳造法によって車両用ホイールの形状に成形してホイール成形品を得た後に、そのホイール成形品のリムのビードシート間の表面に閉空間を形成し、その閉空間に比重が2以上で径がφ5mm以上の球状体又は多面体を少なくとも含む加工材を投入し、その加工材を投入した閉空間が形成されたホイール成形品を、リムのビードシート間の表面を水平にして上下方向に揺動をさせ、加工材をホイール成形品のリムのビードシート間の表面に衝突をさせる、という工程を経て製造されたものであることが好ましい。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールにおいて、連続して形成されたディンプルの径が10〜2500μmであり深さが50μm以下であることが好ましい。ディンプルは、一定の円形状ではなく、不定形状であってもよく、その場合の径とはディンプルの輪郭線に内接する最大の幾何学的に正しい円の直径をいう。又、加工材の比重は2〜10であることが好ましく、5〜10であることがより好ましい。
リムのビードシートとは、タイヤのビードが接する部分であり、インナーリム側とアウターリム側にそれぞれ備わる。リムのビードシート間とは、リムのうち、2つのビードシートを含み、それらの間の部分を指す。本明細書において、2つのビードシートを含むビードシート間の部分を、ビードシート間部ともいう。リムのビードシート間には、一般に、リムの窪んだ部分であるウェル、ビードシートの内側の凸部であるハンプ等のリムの殆どの部分が含まれるが、ビードシートの外側に位置するフランジは含まれない。本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールにおいて、ビードシート間部の表層に形成された硬化層の厚さは、より厚いほうが好ましいが、少なくとも500〜1000μmであればよい。後述する耐圧性の向上、空気圧力低下という問題を解消し得るからである。
本明細書において、表層とは、表面を除き、表面側の近傍の(軽合金鋳造製車両用ホイール)の実体部分を指す。即ち、本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールでは、硬化層は、表面側から500〜5000μmの厚さで形成されており、表層の一部又は全部が硬化層になっている。本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、軽合金材料を用い鋳造法によって車両用ホイールの形状に成形してホイール成形品を得た後に、そのホイール成形品のリムのビードシート間の表面に閉空間を形成し、その閉空間に比重が2以上で径がφ5mm以上の球状体又は多面体を少なくとも含む加工材を投入し、その加工材を投入した閉空間が形成されたホイール成形品を、リムのビードシート間の表面を水平にして上下方向に揺動をさせ、加工材をホイール成形品のリムのビードシート間の表面に衝突をさせる、という工程を経て製造されることによって、表層において、金属結晶中の格子配列に線状の乱れが起き、格子欠陥(転位)が発生し、表層が加工硬化されて、硬化層が形成されるのである。尚、本明細書において、加工材をホイール成形品のリムのビードシート間の表面に衝突をさせる処理を、表面層加工処理という。表面層とは、表面と表層の両方を含む概念である。本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールでは、主に表層の気孔が潰れているのであるが、表面に現われた気孔も滑らかに修復されているので、表面層加工処理と表現する。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールにおいては、マイクロビッカース硬さで100HV以上であることが好ましい。即ち、本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、100HV以上の硬さを発現し得るものである。より好ましい硬さは、マイクロビッカース硬さで105HV以上である。
ディンプルは、本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールが、軽合金材料を用い鋳造法によって車両用ホイールの形状に成形してホイール成形品を得た後に、そのホイール成形品のリムのビードシート間の表面に閉空間を形成し、その閉空間に比重が2以上で径がφ5mm以上の球状体又は多面体を少なくとも含む加工材を投入し、その加工材を投入した閉空間が形成されたホイール成形品を、リムのビードシート間の表面を水平にして上下方向に揺動をさせ、加工材をホイール成形品のリムのビードシート間の表面に衝突をさせる、という工程を経て製造されることで、リムのビードシート間の表面に形成することが出来る。
本明細書において、軽合金鋳造製とは軽合金材料を用い鋳造法によって作製されたものを意味し、軽合金とは、鋳造用のアルミニウム合金、マグネシウム合金等を指し、アルミニウム合金としては、日本工業規格(JIS)に基づくAC4C、AC4CH、AC4B、AC4D、AC2A、AC2B、AC3A等を例示することが出来る。マグネシウム合金としては、AZ91、AM60等を例示することが出来る。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、リムのビードシート間の表層に硬化層が形成され、その硬化層によって硬化され、耐圧性が向上しているので、鋳造欠陥によるタイヤの空気圧力低下という問題が起こり難い。
従来の鋳造品である車両用ホイールでは、リムのビードシート間において鋳造欠陥が生じることによって空気漏れが起きるという問題を抱えていた。特に、リムを成形する側に湯口がある金型で鋳造成形される場合には、押湯部分に近いリムのビードシート間において、溶湯の凝固の遅れに起因して鋳造欠陥が生じ易く、ときには鋳造欠陥である気孔の連通が生じて、気孔がリムを貫通してしまい、タイヤの空気が漏れるという問題が起こり得た。そして、このような問題に対しては、車両用ホイールに水没式の耐圧試験を施し、空気漏れ箇所を目視によって検査し、空気漏れ部分に対して、1箇所当たり10〜20秒のショットピーニング処理を行っていた。その結果、検査及び修復工程に時間を要し、生産性低下を招来していた。
本発明では、表層において硬化層が形成され、そこでは気孔が潰れ、気孔の連通は遮断されていることから、空気が漏れる、あるいは抜ける、という問題は、一切、生じない。即ち、本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、量産に適する鋳造品であって、硬度に優れ、タイヤの空気圧力の低下が起こらないものであり、従来の鋳造品の短所を改善したもの、ということが出来る。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、リムのビードシート間の表層において500〜5000μmの厚い硬化層が形成され、その硬化層によって硬化されているところに、従来にない特徴を備えている。硬度が向上した、厚い硬化層の形成によって、鋳造欠陥(気孔発生)による初期の空気漏れが防止されるとともに、亀裂の発生が起き難いことから、長期にわたり空気漏れの発生が防止される。
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
図7及び図8は、本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールの一の実施形態を示す図である。図7は(軽合金鋳造製)車両用ホイールの斜視図であり、図8は図7におけるCC断面を示す断面図である。図7及び図8に示される車両用ホイール22は、インナーリム(フランジ)92及びアウターリム(フランジ)93を含むリムと、スポークタイプのディスク94と、を有しており、リムのインナーリム92とアウターリム93との間であって、その外面側(タイヤが装着される側)に、2つのビードシート95a,95bと、その間のウェル96と、を備えている。そして、本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールである車両用ホイール22は、リムの2つのビードシート95a,95bを含みそれらの間(ビードシート間部91と呼ぶ)の表層に、厚さが500〜5000μmの硬化層が形成されており、その硬化層の形成によって、鋳造欠陥である気孔の連通が遮断されるとともに、表層のマイクロビッカース硬さが100HV以上になっているものである。
この車両用ホイール22は、(例えば)AC4CHアルミニウム合金材料(日本工業規格)を主原料として用いて、(例えば)低圧鋳造法によって、車両用ホイールの形状に成形され、更に、成形されて得られたホイール成形品(車両用ホイール22の前駆体)を得た後に、そのホイール成形品のビードシート間部の表面に閉空間を形成し、その閉空間に比重が2以上で径がφ5mm以上の球状体又は多面体を少なくとも含む加工材を投入し、その加工材を投入した閉空間が形成されたホイール成形品を、ビードシート間部の表面を水平にして上下方向に揺動をさせ、加工材をホイール成形品のビードシート間部の表面に衝突をさせる、という特定の工程を経て製造されたものである。製造に際しては、ショットピーニング処理に使用されるショット材より大きな加工材が使用され、これがホイール成形品の表面に衝突をすることによって、ショットピーニング処理の場合より表層の深くまで硬化層が形成される。併せて、リム(の断面)を貫通する鋳造欠陥が潰されており、空気漏れの防止が図られている。
図5は、鋳造法で成形されたホイール成形品の段階における、ビードシート間部の表面及び表層を表した部分断面図である。尚、ホイール成形品は、車両用ホイール22の前駆体であるから、ホイール成形品についての説明においても、各部分の符号として車両用ホイール22と同じものを付すこととする。
図5には、鋳造欠陥が存在する様子が示されており、この図5に示されるように、車両用ホイール22は、鋳造法によって成形された後、機械加工が施され、ビードシート間部91の表面91aは平坦になっているが、ビードシート間部91の表層14を含む表面91aの近傍には、気孔11が存在していることが多い。そして、ときに、図5に示されるように、表面91aに現われた気孔11と、表層14及び更なるリムの内部に存在する複数の気孔11が連通して、リムを貫通してしまい、タイヤの空気漏れの原因となる場合がある。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、鋳造法によって成形されたホイール成形品に対し、加工材をビードシート間部の表面に衝突をさせる、という表面層加工処理が施されて得られたものであるから、このような問題は解消されている。図6は、ビードシート間部91に表面層加工処理を行い、ホイール成形品から車両用ホイール22を得る様子を表した部分断面図であり、表面層加工処理の作用を説明するための図である。リムのビードシート間部91の内側(タイヤが装着される側とは反対側)に表面層加工処理を施す場合には、そこ(ビードシート間部91の内側)に袋状の容器21を取り付けて固定して閉空間26を形成し、その閉空間26に加工材25を投入する。図8には、車両用ホイール22に対してであるが、リムのビードシート間部91の内側(タイヤが装着される側とは反対側)に、袋状の容器21が取り付けられて閉空間26が形成され、その閉空間26に加工材25が収容されている様子が描かれている。車両用ホイール22の前駆体であるホイール成形品に対しても、このように、袋状の容器21を取り付け、閉空間26を形成し、加工材25を投入すればよい。この状態で、ビードシート間部91の表面91aが水平になるようにして、ホイール成形品を上下方向に揺動をさせれば、加工材25は、容器21と、ビードシート間部91の表面91aと、で形成された閉空間26の中で往復運動して、ビードシート間部91の表面91aに衝突をする。そうすると、ホイール成形品に生じていた気孔11は潰され、気孔11の連通が遮断される(図6を参照)とともに、表層14には硬化層が形成され、硬化される。これを、リムのビードシート間部91の必要な部分(例えば押湯部分に近い部分)、又はリムの全て(全周)に施せばよい。
図1は、本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールの一の実施形態を示す図であり、上記した車両用ホイール22のビードシート間部91における、表面91aからの断面深さ方向距離と、マイクロビッカース硬さと、の関係を示すグラフである。
図1に示されるように、表面から1.0mm(1000μm)までの表層では、それより深い部分より硬くなっている。特に、表面から0.5mm(500μm)までの表層では、マイクロビッカース硬さで100HV以上であり、表面から1.0mm(1000μm)を超えた深い部分のマイクロビッカース硬さ(概ね90〜95HV)に比して、10%程度、硬さが向上している。更に、表面近傍の表層では、マイクロビッカース硬さで105HV以上となっている。これらは、加工材25を、ビードシート間部91の表面91aに衝突をさせるという表面層加工処理を施した結果として得られたものであり、このことから、表層14において、鋳造欠陥が潰され、硬い硬化層が形成されたものと推認される。尚、本発明におけるマイクロビッカース硬さは、日本工業規格により、荷重は25gとして、測定した値である。
表面層加工処理を施すのに用いる加工材25は、比重が2以上で径がφ5mm以上の球状体又は多面体が少なくとも含まれるものである。径がφ5mm未満の場合には、ビードシート間部91の表面91aに現われた気孔11を潰す作用が小さくなる(非効率になる)。又、表層14に存在する気孔11を潰し(封孔し)難くなり、気孔11が潰れる表層14の範囲が狭くなり、その結果、空気漏れを防止する効果も小さくなる。加工材25に含まれる球状体又は多面体の径の範囲は、好ましくはφ5mm以上φ20mm以下であり、更には、加工材25は、径がφ5mm以上φ20mm以下の球状体又は多面体が、加工材全体の70体積%以上を占めるものであることが好ましい。
加工材25としては、例えば金属球又はセラミック球を含むものが好ましく採用される。金属球又はセラミック球を単独で用いてもよく混合して用いてもよい。金属球として鋼球、ステンレス球が例示され、セラミック球としてジルコニア球、アルミナ球が例示される。比重、硬度、コストの観点より、より好ましい金属球は鋼球であり、より好ましいセラミック球はジルコニア球である。
加工材25の投入量は、閉空間26を形成する容器21の容積に対し、体積比で概ね5%以上30%以下であることが好ましい。加工材25が、容器21と、ビードシート間部91の表面91aと、で形成された閉空間26の中で、自由に動き、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の衝突回数が確保されることを担保するためである。5体積%未満では、加工材25は閉空間26の中で自由に動くもの、加工材25が少なすぎる結果、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の衝突回数及び加圧力が確保されずに、ビードシート間部91の表層14に存在する気孔11に対して、均一に封孔処理が施せないおそれがあり、好ましくない。30体積%より多いと、加工材25が閉空間26の中で自由に動く範囲が限定され、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の衝突回数及び加圧力が確保されずに、同じくビードシート間部91の表層14に存在する気孔11の封孔処理が均一に施せないおそれがあり、好ましくない。
次に、表面層加工処理を行う際の揺動条件について説明する。本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールを得るための、好ましい揺動条件は、以下の通りである。
上下方向の揺動における振動数は、概ね3Hz以上30Hz以下であることが好ましい。より好ましい振動数は5Hz以上20Hz以下であり、特に好ましい振動数は8Hz以上15Hz以下である。加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の単位時間あたりの衝突回数を確保するためである。振動数が3Hz未満では、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の衝突回数が確保されず、ビードシート間部91の表層14に存在する気孔11の潰し漏れが生じて、好ましくない。又、加工材25の数にもよるが、振動数が30Hzより多くても、気孔11を潰す効果は小さく、振動数を上げるために費やすエネルギー対効果は低下するため、好ましくない。尚、本明細書において、振動数とは時間あたり繰り返される揺動の回数を指し、単位はヘルツ(Hz)である。
又、上下方向に揺動をさせる場合の揺れ幅は、概ね10mm以上120mm以下であることが好ましい。より好ましい揺れ幅は20mm以上100mm以下であり、特に好ましい揺れ幅は30mm以上80mm以下である。閉空間26の中での加工材25の移動範囲を適切に設定することを通して、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の単位時間あたりの衝突回数を確保するためである。揺れ幅が10mm未満では、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の衝突回数が確保されず、気孔11の潰し残しが発生し、好ましくない。又、揺れ幅が120mmより大きくても、加工材25がビードシート間部91の表面91aに接している時間が長くなるだけで、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の衝突回数は増加せず、気孔11を潰す効果は大きくはない。尚、閉空間26は、その鉛直方向の長さ(閉空間高さ)が30〜200mmとなるように形成することが望ましい。
更には、上下方向に揺動をさせる場合の延べ揺動時間は、概ね10秒以上3分以下であることが好ましい。より好ましい揺動時間は20秒以上2分以下である。加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の延べ衝突回数を確保するためである。延べ揺動時間が10秒未満では、加工材25と、ビードシート間部91の表面91aと、の延べ衝突回数が確保されず、気孔11の潰し漏れが起こり、好ましくない。又、延べ揺動時間が3分より多くても、気孔11を潰す効果は小さく、時間対効果は向上しないため、好ましくない。
次に、車両用ホイール22を得るために表面層加工処理を行うに際し使用される揺動装置について説明する。図2は、揺動装置の一例を示す上面図であり、図3は、図2におけるA矢視図(正面図)であり、図4は、図2のB矢視図(右側面図)であって、錘24を除いて、揺動機構(後述する)を視た図である。このような揺動装置2を用いて、リムのビードシート間部91の内側(タイヤが装着される側とは反対側)に袋状の容器21を取り付けて閉空間26を形成し、その閉空間26に加工材25を投入した、車両用ホイール22の前駆体であるホイール成形品(被揺動体という)を、図8に示される態様・方向のまま、揺動板42の上に固定し、図3及び図8における上下方向に、揺動させることが可能である。
図2〜図4に示される揺動装置2では、揺動にかかる動力は、原動機36により与えられる。原動機36で生じた回転運動が、伝導部材であるベルト35により回転軸40に伝わり、これを回転させ、その回転軸40の回転運動は、それに備わるクランク38によって往復運動に変換される。そして、クランク38とコンロッド41を介し接続される揺動板42が、直線運動案内器として設けられた4つのリニア軸受43a,43b,43c,43dに沿って、上下方向(鉛直方向)に、直線状の往復運動を行い、この揺動板42の往復運動によって、揺動板42の上に固定された被揺動体は、上下方向に揺動をする。回転軸40に備わるもう1つのクランク39には、カウンターウエイト32が取り付けられており、揺動板42の往復運動及び被揺動体の揺動にともなって発生する悪振動を打ち消し抑制する。
揺動装置2では、原動機36、回転軸40(クランク38,39)、コンロッド41、揺動板42、リニア軸受け43a,43b,43c,43d(直線運動案内器)、及びカウンターウエイト32を有する揺動機構は、台板33を介して基台53の上に載置されている。即ち、揺動機構は、台板33の上にまとめて載置され、更に、その台板33が、基台53の上に載置されている。そして、基台53の下には、防振のために4つの空気ばね31が備わり、基台53の上には、空気ばね31の真上に2つの錘24が備わっている。揺動装置2では、1つの錘24は、2つの空気ばね31と対応して設けられている。
台板33には2つの軸受45が取り付けられ、回転軸40は、この2つの軸受45により、台板33と平行に、回転自在に取り付けられる。そして、回転軸40は、ベルト35を介して原動機36(の回転軸)と接続される。具体的には、原動機36(の回転軸)に設けられたプーリー37と、回転軸40に設けられたプーリー34と、をベルト35で接続して、原動機36で生じた回転運動を、回転軸40へ伝達する。インバータによる原動機36の回転制御と併せて、これらプーリー34,37の径等を変更することによって、回転軸40の回転数を制御することが出来る。そして、この回転数の制御によって、揺動板42の往復運動(即ち被揺動体の揺動)にかかる揺動数(振動数)を制御することが可能である。
被揺動体が載せられ固定される揺動板42は、使い勝手がよく応用性に優れた平板として構成されており、4つのリニア軸受43a,43b,43c,43dに、移動自在に取り付けられている。リニア軸受は直線運動案内器の1つであり、往復運動を行う揺動板の案内に、例えば玉やころを用いた軸受である。
回転軸40には、2つのクランク38,39が180°反対方向を向いて備わっている。そして、クランク38はコンロッド41を介して揺動板42と接続され、一方、クランク39にはカウンターウエイト32が取り付けられている。このようなクランク38,39の態様により、原動機36の与えた回転運動は、クランク38に接続された揺動板42の、上下方向の往復運動に変換され、揺動板42に固定された被揺動体が、悪振動を抑えつつ、上下方向に揺動をする。そうすると、その揺動によって被揺動体において、加工材25が、ビードシート間部91の表面91aに衝突をし、そのビードシート間部91の表層14に存在する気孔11の封孔処理がなされる。
尚、揺動装置2は、鋼板を加工し市販の各部材と組み合わせて作製することが出来るが、作製にあたっては、揺動条件及び処理対象である車両用ホイールの仕様に合わせて、各構成要素のサイズや材料や機械的強度(例えば回転軸の径や材料等)が適正になるように決定することが好ましい。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールは、あらゆる車両の足回り部品として利用することが出来る。特に、低燃費が求められる自動車のホイールとして好適に利用される。
本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールの一の実施形態を示す図であり、ビードシート間部における表面からの断面深さ方向距離と、マイクロビッカース硬さと、の関係を示すグラフである。 本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールを得るための表面層加工処理を行う際に使用される揺動装置の一例を示す上面図である。 図2に示される揺動装置のA矢視図である。 図2に示される揺動装置の(錘を除いて視た)B矢視図である。 鋳造後のホイール成形品のビードシート間部の表面及び表層の一部を表した断面図である。 本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールを得るために、ホイール成形品に表面層加工処理を行う様子を表した部分断面図である。 本発明に係る軽合金鋳造製車両用ホイールの一の実施形態を示す斜視図である。 図7におけるCC断面を示す断面図である。
符号の説明
2 揺動装置、11 気孔、14 表層、21 容器、22 (軽合金鋳造製)車両用ホイール、24 錘、25 加工材、26 閉空間、31 空気ばね、32 カウンターウエイト、33 台板、34,37 プーリー、35 ベルト、36 原動機、38,39 クランク、40 回転軸、41 コンロッド、42 揺動板、43a,43b,43c,43d リニア軸受、45 軸受、53 基台、91 ビードシート間部、91a (車両用ホイールのビードシート間部の)表面、92 インナーリム(フランジ)、93 アウターリム(フランジ)、94 ディスク、95a,95b ビードシート。

Claims (2)

  1. リムとディスクとを有する車両用ホイールであって、
    前記リムのビードシート間の表面に、連続して形成されたディンプルを有するとともに、前記リムのビードシート間の表層に、厚さが500〜5000μmの硬化層を有する軽合金鋳造製車両用ホイール。
  2. 軽合金材料を用い鋳造法によって車両用ホイールの形状に成形してホイール成形品を得た後に、そのホイール成形品のリムのビードシート間の表面に閉空間を形成し、その閉空間に比重が2以上で径がφ5mm以上の球状体又は多面体を少なくとも含む加工材を投入し、その加工材を投入した前記閉空間が形成された前記ホイール成形品を、リムのビードシート間の表面を水平にして上下方向に揺動をさせ、前記加工材を前記ホイール成形品のリムのビードシート間の表面に衝突をさせる、という工程を経て製造された請求項1に記載の軽合金鋳造製車両用ホイール。
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