JP2008132501A - レーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法 - Google Patents

レーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、改質領域を形成するためのレーザ光の集光位置が分散されることを抑制することにより、改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギの発生を抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができるレーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によるレーザ加工方法は、複数の部材が貼り付けられたマザー基材を分割することで、マザー基材が分割された基材上に部材が貼り付けられた基材体を形成するレーザ加工方法であって、マザー基材の面上であって部材の周囲の空間に、少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有する液体を供給する液体供給工程と、レーザ照射装置から射出したレーザ光をマザー基材の内部に集光して改質領域を形成し、マザー基材とレーザ照射装置とを相対移動させることで、改質領域を連ねた改質層を形成する改質層形成工程と、を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、レーザ光を用いて加工対象物を加工するレーザ加工装置、レーザ加工方法、及びレーザ加工装置又はレーザ加工方法を用いた電気光学装置の製造方法に関する。
従来から、基板又はウェハなどの加工対象物を任意の切断線に沿って切断する技術として、加工対象物の内部に多光子吸収による改質領域を、切断予定ラインに沿って形成し、当該改質領域を利用して切断する技術が知られている。この技術は、切断屑が生じ難いので、微細な加工に適している。特許文献1には、レーザ加工装置を用いてパルスレーザ光を加工対象物に照射し、改質させる部分に当該パルスレーザ光を集光させることによって、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法が開示されている。このレーザ加工方法によれば、わずかな力を加えるだけで、改質領域を起点にして加工対象物を切断することができる。
特許文献2には、加工対象物の厚さが加工対象物の厚さ方向の改質領域の幅に比べて大きい場合に、一つの切断予定ラインに対して、加工対象物の厚さ方向における集光点の位置を変えながら複数回の改質領域形成工程を実行することで、改質領域を加工対象物の厚さ方向に積層して、加工対象物の平面方向の改質領域の面積を増すことなく、厚さ方向全域にわたる改質領域を形成する方法が開示されている。
これらのレーザ加工方法は、切断屑が生じ難いので、切断屑による加工対象物の損傷を防止する手段を講ずる必要が殆どないため、最終製品に近い状態での分割にも好適に用いることができる。大判のウェハ上で、分割すれば略最終製品となる状態まで工程を進めた状態での分割は、例えば、多数の表示パネル基板が区画形成され、各表示パネル基板の区画毎に対向基板が貼り付けられたマザー基板を、個別の表示パネルに分割する場合などである。
特開2002−192367号公報 特開2002−205180号公報
しかしながら、加工対象物に貼り付けられた小基板の周囲において加工対象物にレーザ光を照射する場合に、略一点に集光されるように射出されたレーザ光の中で、空気中を進んで加工対象物に達するレーザ光と、空気中と小基板の中とを進んで加工対象物に達するレーザ光とで、集光位置が異なるという課題があった。詳細には、図11に示したように、集光レンズの対物レンズ501から射出されたレーザ光は、空気中を進んで集光点F50に集光される。しかし、集光される光束の最外周の部分の光束である光束520は、小基板511に小基板511の上面から入射される際と、小基板511の側面から射出される際とで、共に、進行方向が図11の下側に屈折させられる。このため、光束の最外周部分の光は集光点F55の辺りに集光される。このように、通過した経路によって集光される位置が異なり、対物レンズ501から射出されたレーザ光が集光される位置は、集光点F50から集光点F55にかけて分散される。
集光位置が分散した状態においても、改質領域を形成できる充分なエネルギを加工対象物に印加するためには、集光位置が分散されることで改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギも含めた、大きなエネルギを供給する必要があった。即ち、加工のために要するエネルギが増大するという課題があった。特許文献2に開示された加工方法のように加工対象物の厚さ方向における集光位置を変えると、集光位置の分散のしかたも変わるため、加工対象物の厚さ方向における全ての位置に改質領域を形成できる充分なエネルギを加工対象物に印加するためには、さらに大きなエネルギを供給する必要があるという課題もあった。
本発明は、上記課題を解決するものであり、集光位置が分散されることを抑制することにより、改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギの発生を抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができるレーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法を実現することを目的とする。
本発明によるレーザ加工方法は、複数の部材が貼り付けられたマザー基材を分割することで、マザー基材が分割された基材上に複数の部材のそれぞれの部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するレーザ加工方法であって、マザー基材の面上であって部材の周囲の空間に、少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有する液体を供給する液体供給工程と、レーザ照射装置から射出したレーザ光をマザー基材の内部に集光して改質領域を形成し、マザー基材とレーザ照射装置とをマザー基材の平面方向に相対移動させることで、改質領域を連続的に、又は離間して連ねた改質層を形成する改質層形成工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係るレーザ加工方法によれば、マザー基材上の部材の周囲の空間に、少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有する液体が供給された状態で、改質層形成工程が実施される。基材上に部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するためには、改質層形成工程において、マザー基材における部材が貼り付けられた間の部分に改質層を形成する。大気中において、レーザ照射装置から射出されてマザー基材に入射するレーザ光は、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する可能性がある。大気と部材を構成する材料とでは屈折率が異なることにより、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられることから、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とで、集光される位置が異なる。
本発明に係るレーザ加工方法によれば、マザー基材の面上であって部材の周囲の空間に液体が供給されていることから、マザー基材に入射するレーザ光は、大気中と液体の中とを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する。液体は少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有するため、レーザ光が大気中から液体に入射する部分では、大気中のみを進む場合より、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられる状態に近い状態で屈折させられる。これにより、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられることに起因する集光位置のずれを抑制することができる。集光位置のずれが抑制されることにより、レーザ光のエネルギがより狭い範囲に集中されてエネルギの集中度合いが向上することから、集中度合いが低いために改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギの発生を抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができる。
本発明において、レーザ加工方法は、両面が平坦な板状の形状を有し、複数の部材、及び液体が供給されたマザー基材の面上であって部材の周囲の空間を覆う、カバー部材を設置するカバー部材設置工程を、さらに有することが好ましい。
このレーザ加工方法によれば、マザー基材の面上であって部材の周囲の空間に供給された液体の表面が、当該部分を覆ったカバー部材の面に接触する。これにより、液体の表面がカバー部材の面に倣って平坦なることから、レーザ光が入射する液体の面を略均一な平坦面にすることができる。
本発明において、レーザ加工方法は、カバー部材が、液体又は部材の屈折率に略等しい屈折率を有する材料で形成されていることが好ましい。
このレーザ加工方法によれば、カバー部材の屈折率と、液体又は部材の屈折率との差が殆どなくなる。これにより、カバー部材と、液体又は部材との境界における、屈折率が異なることによって発生するレーザ光の屈折が殆ど発生しなくなることから、レーザ光がカバー部材を透過することが集光位置のずれに及ぼす影響を、殆どなくすることができる。
本発明によるレーザ加工方法は、複数の部材が貼り付けられたマザー基材を分割して、マザー基材が分割された基材上に複数の部材のそれぞれの部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するレーザ加工方法であって、レーザ照射装置のレーザ光射出口とマザー基材との間に、少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率である液体を満たした状態を維持しつつ、レーザ照射装置から射出したレーザ光をマザー基材の内部に集光して改質領域を形成し、マザー基材とレーザ照射装置とをマザー基材の平面方向に相対移動させることで、改質領域を連続的に、又は離間して連ねた改質層を形成する改質層形成工程を有することを特徴とする。
本発明に係るレーザ加工方法によれば、レーザ光射出口とマザー基材との間に、少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率である液体を満たした状態で、改質層形成工程が実施される。基材上に部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するためには、改質層形成工程において、マザー基材における部材が貼り付けられた間の部分に改質層を形成する。大気中において、レーザ照射装置から射出されてマザー基材に入射するレーザ光は、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する可能性がある。大気と部材を構成する材料とでは屈折率が異なることにより、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられることから、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とで、集光位置が異なる。
本発明に係るレーザ加工方法によれば、レーザ光射出口とマザー基材との間に液体が供給されていることから、マザー基材に入射するレーザ光は、液体の中とを進んでマザー基材に入射する部分と、液体中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する。液体の中のみを進むレーザ光は、殆ど直進する。液体中及び部材の中を進むレーザ光は、液体は少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有するため、レーザ光が液体中から部材に入射する部分では、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられるより小さい屈折角で屈折させられる。これにより、レーザ光が部材に入射する部分で屈折させられることに起因する集光位置のずれを抑制することができる。集光位置のずれが抑制されることにより、レーザ光のエネルギがより狭い範囲に集中されてエネルギの集中度合いが向上することから、集中度合いが低いために改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギの発生を抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができる。
本発明において、レーザ加工方法は、液体を堰き止めることにより、液体がマザー基材の面上であって部材の周囲の空間、又はレーザ光射出口とマザー基材との間に在る状態を維持することが好ましい。
このレーザ加工方法によれば、液体を堰き止めることにより、液体が流出することを抑制することができることから、液体がマザー基材の面上であって部材の周囲の空間に在る状態、又はレーザ光射出口とマザー基材との間に在る状態を、液体を堰き止めない場合に比べて、より確実に維持することができる。
本発明において、レーザ加工方法は、液体を堰き止めるための堰堤を、マザー基材の上に形成することが好ましい。
このレーザ加工方法によれば、マザー基材の上に形成された堰堤によって液体を堰き止めることにより、液体が流出することを抑制することができることから、液体がマザー基材の面上であって部材の周囲の空間に在る状態、又はレーザ光射出口とマザー基材との間に在る状態を、堰堤を形成しない場合に比べて、より確実に維持することができる。
本発明において、レーザ加工方法は、液体を堰き止めるための堰堤を、マザー基材を載置するためのステージの上に形成することが好ましい。
このレーザ加工方法によれば、マザー基材を載置するためのステージの上に形成された堰堤によって液体を堰き止めることにより、液体が流出することを抑制することができることから、液体がマザー基材の面上であって部材の周囲の空間に在る状態、又はレーザ光射出口とマザー基材との間に在る状態を、堰堤を形成しない場合に比べて、より確実に維持することができる。
本発明において、レーザ加工方法は、マザー基材の周縁部を、液体に対して撥液性に処理する撥液化工程をさらに有することが好ましい。
このレーザ加工方法によれば、撥液性に処理された部分を液体が乗り越えることは困難であるため、撥液性に処理されたマザー基材の周縁部によって液体を堰き止めることができる。液体を堰き止めることにより、液体が流出することが抑制されることから、液体がマザー基材の面上であって部材の周囲の空間に在る状態、又はレーザ光射出口とマザー基材との間に在る状態を、周縁部を撥液性に処理しない場合に比べて、より確実に維持することができる。
本発明において、レーザ加工方法は、マザー基材が、電気光学装置を構成するメイン基板が区画形成されたマザー基板であり、部材が、電気光学装置を構成する対向基板であってもよい。
本発明によるレーザ加工装置は、複数の部材が貼り付けられたマザー基材を分割して、マザー基材が分割された基材上に複数の部材のそれぞれの部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するためのレーザ加工装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、レーザ光を集光してマザー基材に照射することで、レーザ光をマザー基材の内部の一点の近傍に集光する光学素子と、マザー基材を載置するための載置面を有するステージと、光学素子とステージとを、載置面に平行な方向で相対移動させる移動装置と、液体供給装置と、を備え、当該液体供給装置によって、ステージ上に載置されたマザー基材上のマザー基材の面上であって部材の周囲の空間に、少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有する液体を供給することを特徴とする。
本発明に係るレーザ加工装置によれば、液体供給装置によって、マザー基材上の部材の周囲の空間に、少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有する液体を供給して、マザー基材の面上であって部材の周囲に液体が供給された状態で、改質層形成工程を実施できる。基材上に部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するためには、改質層形成工程において、マザー基材における部材が貼り付けられた間の部分に改質層を形成する。大気中において、レーザ照射装置から射出されてマザー基材に入射するレーザ光は、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する可能性がある。大気と部材を構成する材料とでは屈折率が異なることにより、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられることから、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とで、集光位置が異なる。
本発明に係るレーザ加工装置によれば、液体供給装置によって、マザー基材の面上であって部材の周囲の空間に液体を供給できることから、マザー基材に入射するレーザ光は、大気中と液体の中とを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する。液体は少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有するため、レーザ光が大気中から液体に入射する部分では、大気中のみを進む場合より、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられる状態に近い状態で屈折させられる。これにより、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられることに起因する集光位置のずれを抑制することができる。集光位置のずれが抑制されることにより、レーザ光のエネルギがより狭い範囲に集中されてエネルギの集中度合いが向上することから、集中度合いが低いために改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギの発生を抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができる。
本発明において、レーザ加工装置は、両面が平坦な板状の形状を有し、複数の部材、及び液体が供給されたマザー基材の面上であって部材の周囲の空間を覆うカバー部材を設置するカバー部材設置装置をさらに備えることが好ましい。
このレーザ加工装置によれば、カバー部材設置装置によって、カバー部材を設置することにより、部材及び液体が供給されたマザー基材の面上であって部材の周囲の空間を、カバー部材をもって覆うことができる。部材の周囲の空間に供給された液体の表面が、当該部分を覆ったカバー部材の面に接触する。これにより、液体の表面がカバー部材の面に倣って平坦になることから、レーザ光が入射する液体の面を略均一な平坦面にすることができる。
本発明において、レーザ加工装置は、カバー部材が、液体又は部材の屈折率に略等しい屈折率を有する材料で形成されていることが好ましい。
このレーザ加工装置によれば、カバー部材の屈折率と、液体又は部材の屈折率との差が殆どなくなる。これにより、カバー部材と、液体又は部材との境界における、屈折率が異なることによって発生するレーザ光の屈折が殆ど発生しなくなることから、レーザ光がカバー部材を透過することが集光位置のずれに及ぼす影響を、殆どなくすることができる。
本発明において、レーザ加工装置は、液体供給装置によって、光学素子のレーザ光射出口とマザー基材との間に、液体を満たした状態を維持するように、液体を供給することが好ましい。
このレーザ加工装置によれば、液体供給装置によって、光学素子のレーザ光射出口とマザー基材との間に、液体を満たした状態を維持して、改質層形成工程を実施することができる。基材上に部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するためには、改質層形成工程において、マザー基材における部材が貼り付けられた間の部分に改質層を形成する。大気中において、レーザ照射装置から射出されてマザー基材に入射するレーザ光は、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する可能性がある。大気と部材を構成する材料とでは屈折率が異なることにより、レーザ光が大気中から部材に入射する部分で屈折させられることから、大気中のみを進んでマザー基材に入射する部分と、大気中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とで、集光位置が異なる。
本発明に係るレーザ加工装置によれば、レーザ光射出口とマザー基材との間に液体が供給されていることから、マザー基材に入射するレーザ光は、液体の中とを進んでマザー基材に入射する部分と、液体の中及び部材の中を進んでマザー基材に入射する部分とが存在する。液体の中のみを進むレーザ光は、殆ど直進する。液体の中及び部材の中を進むレーザ光は、液体は少なくとも大気の屈折率より部材の屈折率に近い屈折率を有するため、レーザ光が液体から部材に入射する部分では、レーザ光が大気から部材に入射する部分で屈折させられるより小さい屈折角で屈折させられる。これにより、レーザ光が部材に入射する部分で屈折させられることに起因する集光位置のずれを抑制することができる。集光位置のずれが抑制されることにより、レーザ光のエネルギがより狭い範囲に集中されてエネルギの集中度合いが向上することから、集中度合いが低いために改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギの発生を抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができる。
本発明において、レーザ加工装置は、液体を堰き止めるための堰堤を、さらに備えることが好ましい。
このレーザ加工装置によれば、レーザ加工装置に形成された堰堤によって液体を堰き止めることにより、液体が流出することを抑制することができることから、液体がマザー基材の面上であって部材の周囲の空間に在る状態、又はレーザ光射出口とマザー基材との間に在る状態を、堰堤を形成しない場合に比べて、より確実に維持することができる。
本発明において、レーザ加工装置は、ステージの周縁部が、液体に対して撥液性に処理されていることが好ましい。
このレーザ加工装置によれば、撥液性に処理された部分を液体が乗り越えることは困難であるため、撥液性に処理されたステージの周縁部によって液体を堰き止めることができる。液体を堰き止めることにより、ステージ上から液体が流出することが抑制されることから、液体がマザー基材の面上であって部材の周囲の空間に在る状態、又はレーザ光射出口とマザー基材との間に在る状態を、周縁部を撥液性に処理しない場合に比べて、より確実に維持することができる。
本発明において、レーザ加工装置は、マザー基材が、電気光学装置を構成するメイン基板が区画形成されたマザー基板であり、部材が、電気光学装置を構成する対向基板であってもよい。
本発明による電気光学装置の製造方法は、上記したレーザ加工方法を用いて、複数の電気光学装置が区画形成されたマザー電気光学装置基板を個別の電気光学装置に分割することを特徴とする。
本発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、レーザ光の集中度合いが低いことに起因して、マザー電気光学装置基板を個別の電気光学装置に分割するための改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギが発生することを抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができるレーザ加工方法を用いてマザー電気光学装置基板を分割する。これにより、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができることから、少ないエネルギ消費でマザー電気光学装置基板を分割して、少ないエネルギ消費で電気光学装置を製造することができる。
本発明による電気光学装置の製造方法は、上記したレーザ加工装置を用いて、複数の電気光学装置が区画形成されたマザー電気光学装置基板を個別の電気光学装置に分割することを特徴とする。
本発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、レーザ光の集中度合いが低いことに起因して、マザー電気光学装置基板を個別の電気光学装置に分割するための改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギが発生することを抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができるレーザ加工装置を用いてマザー電気光学装置基板を分割する。これにより、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができることから、少ないエネルギ消費でマザー電気光学装置基板を分割して、少ないエネルギ消費で電気光学装置を製造することができる。
以下、本発明に係るレーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法の一実施形態について図面を参照して、説明する。本発明の実施形態は、電気光学装置の一例である液晶表示装置を構成する液晶表示パネルを製造する工程において、液晶表示パネルが区画形成されたマザー基板を切断して、個別の液晶表示パネルに分割する工程で用いられるレーザ加工方法及びレーザ加工装置を例に説明する。
(第一の実施形態)
<液晶表示パネルの構成>
最初に、液晶表示パネルについて説明する。図1は、液晶表示パネルの構造を示す模式図である。図1(a)は、液晶表示パネルについて、各構成要素とともに対向基板側から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)にA−Aで示した断面における断面形状を示す概略断面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
図1(a)及び(b)に示すように、液晶表示パネル10は、TFT(Thin Film Transistor)素子3を有する素子基板1と、対向電極6を有する対向基板2と、シール材4によって接着された素子基板1と対向基板2との隙間に充填された液晶5とを備えている。素子基板1の外形は対向基板2より一回り大きく、額縁状に張り出した状態となっている。
素子基板1は、厚さおよそ1.2mmの石英ガラス基板を用いており、その表面には画素を構成する画素電極(図示省略)と、3端子のうちの一つが画素電極に接続されたTFT素子3が形成されている。TFT素子3の残りの2端子は、画素電極を囲んで互いに絶縁状態で格子状に配置されたデータ線(図示省略)と走査線(図示省略)とに接続されている。データ線は、Y軸方向に引き出されて端子部16においてデータ線駆動回路部9aに接続されている。走査線は、X軸方向に引き出され、左右の額縁領域に形成された2つの走査線駆動回路部9bに個々に接続されている。各データ線駆動回路部9a及び走査線駆動回路部9bの入力側配線は、端子部16に沿って配列した実装端子11にそれぞれ接続されている。端子部16とは反対側の額縁領域には、2つの走査線駆動回路部9bを繋ぐ配線12が設けられている。
対向基板2は、厚みおよそ1.0mmの透明な石英ガラス基板を用いており、共通電極としての対向電極6が設けられている。対向電極6は、対向基板2の四隅に設けられた上下導通部14を介して素子基板1側に設けられた配線と導通しており、当該配線も端子部16に設けられた実装端子11に接続されている。
液晶5に面する素子基板1の表面及び対向基板2の表面には、それぞれ配向膜7、配向膜8が形成されている。
液晶表示パネル10は、外部駆動回路と電気的に繋がる中継基板が実装端子11に接続される。そして、外部駆動回路からの入力信号が各データ線駆動回路部9a及び走査線駆動回路部9bに入力されることにより、TFT素子3が画素電極毎にスイッチングされ、画素電極と対向電極6との間に駆動電圧が印加されて表示が行われる。
なお、図1では図示省略したが、液晶表示パネル10の表裏面には、それぞれ入出射する光を偏光する偏光板が設けられる。
<液晶表示パネルのマザー基板>
次に、液晶表示パネル10を区画形成したマザー基板10Aについて、図2を参照して説明する。図2は、液晶表示パネルが区画形成されたマザー基板を示す概略図である。図2(a)はマザー基板の概略平面図、図2(b)は、図2(a)にB−Bで示した断面における断面形状を示す概略断面図である。なお、図2(b)においては、シール材4は図示省略している。マザー素子基板1Aなどの厚さに対するシール材4や液晶5などの厚さは非常に小さいが、上述した図1(b)においては液晶5などを明示するために厚く表記している。
図2(a)及び図2(b)に示すように、マザー基板10Aは、1つの液晶表示パネル10に相当する素子基板1が、ウェハ状のマザー素子基板1Aに複数区画形成されている。そして、対向基板2が個々に、マザー基板10A上の区画形成された素子基板1と対応する位置に接着されている。1つの液晶表示パネル10は、区画領域Dx,Dyに沿った切断予定位置を切断して、マザー基板10Aから取り出される。この場合、マザー素子基板1Aは、厚み1.2mm、直径12インチの石英ガラス基板である。マザー基板10A上には、200個分の液晶表示パネル10が区画形成されている。対向基板2が、部材に相当し、マザー素子基板1Aが、マザー基材に相当し、素子基板1が、基材に相当し、液晶表示パネル10が、基材体に相当する。
<レーザ加工装置>
次に、本実施形態で用いるレーザ加工装置について説明する。図3は、レーザ加工装置の構成を示す模式図である。
図3に示すように、レーザ加工装置100は、レーザ光源21と、ダイクロイックミラー22と、集光レンズ23と、Z軸スライド機構24と、撮像装置29と、給水ポンプ39と、ステージ20と、回動機構25と、X軸スライド機構27と、Y軸スライド機構26と、機台28と、を備えている。
レーザ光源21は、例えばイットリウム−アルミニウム−ガーネットにネオジウムをドープした結晶をレーザ媒質として用いる、いわゆるNd:YAGレーザである。レーザ光源21の励起方式は、例えばLD励起である。石英ガラスからなるマザー素子基板1Aに改質層を形成するためには、レーザ光は、Nd:YAG−THG(第3高調波)を発振させて用いる。
レーザ光源21から射出されたレーザ光は、ダイクロイックミラー22で反射され、集光レンズ23によって加工対象物Wの内部に集光される。加工対象物Wは、集光レンズ23によってレーザ光が集光される集光位置が加工対象物Wの内部に位置するように、ステージ20に載置される。集光レンズ23はZ軸スライド機構24から延びたスライドアーム24aによって支持されており、Z軸スライド機構24は、ステージ20に載置された加工対象物Wに対して集光レンズ23を相対的に移動させてレーザ光の集光の位置を加工対象物Wの厚み方向(図3のZ軸方向)で移動させる。撮像装置29は、ダイクロイックミラー22を挟んで集光レンズ23と反対側に位置しており、加工対象物Wの像などを撮影する。
給水ポンプ39には給水ノズル39aが連接されており、給水ポンプ39から送出された水が、給水ノズル39aから吐出される。給水ノズル39aは、Z軸スライド機構24から延びたスライドアーム24bによって支持されており、Z軸スライド機構24は、給水ノズル39aを集光レンズ23と一緒に移動させる。給水ノズル39aは、集光レンズ23に対して、給水ノズル39aから吐出される水が、集光レンズ23の光軸の周辺に供給されるような位置に固定されている。
機台28は、レーザ加工装置100を構成する各機構などを支持する枠体である。X軸スライド機構27を構成するX軸スライド台27bが機台28に固定されており、X軸スライド機構27を構成するX軸スライダ27aが、X軸方向に摺動自在且つ固定可能にX軸スライド台27bと係合している。Y軸スライド機構26を構成するY軸スライド台26bがX軸スライダ27aに固定されており、Y軸スライド機構26を構成するY軸スライダ26aが、Y軸方向に摺動自在且つ固定可能にY軸スライド台26bと係合している。回動機構25を構成する回動機構台25bがY軸スライダ26aに固定されており、回動機構25を構成する回動テーブル25aが、Z軸回りに回動自在且つ固定可能に回動機構台25bと係合している。X軸スライダ27a、Y軸スライダ26a、回動テーブル25aは、それぞれX軸スライド台27b、Y軸スライド台26b、回動機構台25bとの間に構成されたサーボモータ(図示省略)によって駆動される。
ステージ20は、回動テーブル25aに固定されており、加工対象物Wを載置するために用いられる。ステージ20に載置された加工対象物Wは、ステージ20に構成された例えば吸引装置で吸引されて、ステージ20に固定される。ステージ20に固定された加工対象物Wは、回動機構25によって、Z軸回りに回動可能であり、集光レンズ23に対するX軸とY軸とに平行な方向(平面方向)の姿勢が調整される。さらに、ステージ20に固定された加工対象物Wは、X軸スライド機構27と、Y軸スライド機構26とによって、X軸とY軸とに平行な平面方向に移動され、加工対象物Wの任意の部位が集光レンズ23に対向する位置に移動される。X軸スライド機構27とY軸スライド機構26とが、走移動装置に相当する。ステージ20に載置され固定された加工対象物Wの厚さ方向がZ軸方向となる。
レーザ加工装置100は、上記各構成を制御する制御部としてのメインコンピュータ30を備えている。メインコンピュータ30は、CPUや各種メモリーの他に撮像装置29が撮像した画像情報を処理する画像処理部34を有している。撮像装置29は、同軸落射型光源とCCD(固体撮像素子)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光レンズ23を透過して焦点を結ぶ。
メインコンピュータ30には、レーザ制御部31と、レンズ制御部32と、ステージ制御部33と、入力部35と、表示部36と、給水制御部38と、が接続されている。入力部35は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力するために用いられ、表示部36は、レーザ加工時の各種情報を表示するために用いられる。レーザ制御部31は、レーザ光源21の出力やパルス幅、パルス周期を制御する。レンズ制御部32は、Z軸スライド機構24を駆動して集光レンズ23のZ軸方向の位置を制御する。ステージ制御部33は、回動機構25と、X軸スライド機構27と、Y軸スライド機構26とを駆動するサーボモータ(図示省略)を制御する。給水制御部38は、給水ポンプ39を制御して、給水ノズル39aから水を吐出させることにより、集光レンズ23の光軸の周辺に、水を供給する。給水制御部38と、給水ポンプ39と、給水ノズル39aとが、液体供給装置に相当する。
集光レンズ23をZ軸方向に移動させるZ軸スライド機構24には、移動距離を検出可能な位置センサが内蔵されており、レンズ制御部32は、この位置センサの出力を検出して集光レンズ23のZ軸方向の位置を制御可能となっている。従って、加工対象物Wの表面から任意の位置に集光レンズ23の集光位置を合わせることが可能である。
<改質領域の形成>
ここで、多光子吸収による改質領域の形成について説明する。加工対象物Wが当てられた光に対して透過性を有する材料からなっていても、当該材料の吸収のバンドギャップEgよりも光子のエネルギhνが非常に大きいと吸収が生じる。この吸収を多光子吸収と言う。多光子吸収を加工対象物Wの内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギが熱エネルギに転化することで、加工対象物Wの内部に微小クラックが形成される。或は、レーザ光のパルス幅を極めて短くして、多光子吸収を加工対象物Wの内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギが熱エネルギに転化せずに、イオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起されて屈折率変化領域が形成される。本実施形態では、これらの微小クラックが形成された領域や屈折率変化領域を、改質領域40(図5参照)と呼ぶ。
パルスレーザ光によって改質領域40を形成する場合、1パルスのレーザ光で1個の改質領域40を形成する。集光位置を加工対象物Wの平面方向に移動させながら当該改質領域40を形成することで、加工対象物Wの平面方向に連続して、又は若干の間隔を隔てて並ぶ、改質領域40の列を形成する。この改質領域40の列を、以降、改質層42(図5又は図6参照)と表記する。集光位置を加工対象物Wの厚さ方向に移動して、形成されている改質層42と加工対象物Wの平面方向で重なる位置に新たな改質層42を形成することで、改質層42が積層して改質領域40が面状に並んだ改質帯44(図5又は図6参照)を形成する。
<液晶表示パネルの分離>
次に、マザー基板10Aを、レーザ加工装置100を用いたレーザスクライブ方法によって切断して個々の液晶表示パネル10に分離する工程について、図4乃至図6を参照して説明する。上述したように、マザー基板10Aは、マザー素子基板1Aに1つの液晶表示パネル10に相当する素子基板1が複数区画形成されており、個々に区画形成された素子基板1に対向基板2が接着されている。マザー素子基板1A上に形成された素子基板1の境界に改質帯を形成し、改質帯近傍に弱い曲げ力又は引張り力を加えることで、改質帯44の部分で切り離して、液晶表示パネル10を分離する。
図4は、マザー基板を、レーザスクライブ方法によって切断して個々の液晶表示パネルに分離する工程を示すフローチャートである。図5は、マザー素子基板に改質帯を形成する工程を示すマザー素子基板の模式断面図であり、図6は、マザー基板を改質帯が形成された部分で分断する様子を示す模式図である。なお、図5及び図6においては、マザー素子基板1Aと対向基板2以外のシール材4などは図示省略している。
図4に示したステップS1では、改質帯44を形成する準備段階として、マザー基板10Aをステージ20にセットする。最初に、マザー基板10Aをステージ20に固定し、次に、回動機構25によってステージ20をZ軸回りに回動させて、マザー素子基板1Aに区画形成された素子基板1の境界の一方の延在方向を、図3の例えばY軸方向と一致させる。
次に、ステップS2では、上述した給水制御部38が、給水ポンプ39を制御して、給水ノズル39aから水60を吐出させることにより、マザー基板10Aの上に水60を供給する。供給された水60は、対向基板2の周囲にも供給されて、図5(a)に示すように、対向基板2の間の隙間に水60が満たされる。水60が、液体供給装置によって供給される液体に相当する。
次に、ステップS3では、カバーガラス61を、対向基板2及び対向基板2の周囲の空間を覆うことができるように、マザー基板10A上にセットする。カバーガラス61は、対向基板2と同じ、透明な石英ガラスで形成されている。水60を充分供給した状態でカバーガラス61をセットすることで、図5(b)に示したように、マザー素子基板1Aと対向基板2とカバーガラス61とに囲まれた領域が水60によって満たされた状態となる。なお、石英ガラスの屈折率は約1.45であり、水の屈折率は約1.33であり、大気の屈折率は約1.00029である。カバーガラス61が、カバー部材に相当する。カバーガラス61のセットは、マザー基板10Aをステージ20上にセットする基板供給装置と同様のカバー部材設置装置を用いて実行する。或は、手作業で実行してもよい。
次に、ステップS4では、X軸スライド機構27によって、ステージ20に固定されたマザー基板10AをX軸方向に移動して、素子基板1の延在方向をY軸方向と一致させた境界の一つを集光レンズ23の光軸上にセットする。
次に、ステップS5では、集光レンズ23の光軸上にセットされた境界に沿って改質領域40を形成する。図5(c)に示したように、集光レンズ23の対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、大気中からカバーガラス61に入射する入射点61a又は入射点61bにおいて、大気の屈折率とカバーガラス61の屈折率との差に応じた角度で屈折させられる。
カバーガラス61から対向基板2に入射する入射点62aにおいては、カバーガラス61と対向基板2とは同じ材質であり屈折率が同じであることから、レーザ光は直進する。カバーガラス61から水60に入射する入射点62bにおいては、カバーガラス61と水60との屈折率の差に応じた角度で、レーザ光は屈折させられる。カバーガラス61と水60との屈折率の差は、カバーガラス61と大気との屈折率の差より小さいため、入射点62bにおける屈折角は、水60が在ることで、水60が無く、大気が在る場合より小さくなる。カバーガラス61から水60を透過するレーザ光の集光位置は、水60がない場合に、カバーガラス61から大気中を透過するレーザ光の集光位置より、カバーガラス61から対向基板2を透過するレーザ光の集光位置に近くなる。
レーザ光は、対向基板2から水60に入射する入射点63aにおいても、対向基板2と水60との屈折率の差に応じた角度で屈折させられる。対向基板2と水60との屈折率の差は、対向基板2と大気との屈折率の差に比べて小さいため、レーザ光が対向基板2から水60に入射する場合の屈折角は、レーザ光が対向基板2から大気中に入射する場合の屈折角に比べて、小さい。従って、対向基板2から水60に入射する入射点63aにおいて屈折させられたレーザ光の集光位置は、水60が無い場合に対向基板2から入射点63aにおいて大気中に入射するレーザ光の集光位置より、入射点62bにおいて水60又は大気中に入射して直進したレーザ光の集光位置に近くなる。
従って、対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、光軸方向に僅かに広がった集光点F56に集光される。集光点F56の光軸方向の広がりは、水60が存在することで、僅かに広がるだけであって、水60が存在せず、大気が存在する場合に比べて、小さくなる。集光点F56の光軸方向の広がりが小さいことから、エネルギは改質領域40を形成するのに充分な程度には集中されて、集光点F56の周辺に改質領域40が形成される。
マザー素子基板1Aの断面の略全面に改質帯44を形成するために、最初に、図5(d)に示したように、レーザ光を、マザー素子基板1Aのレーザ光の入射面の反対側の面の近傍に集光することで改質領域40を形成する。改質領域40の形成と並行して、Y軸スライド機構26によってマザー素子基板1Aを矢印aの方向に移動することで、改質領域40が連続した、又は連なった改質層42を形成する。上述したように、レーザ光の光源であるレーザ光源21は、LD励起のNd:YAGレーザである。本実施形態では、波長355nmの第3高調波を用いる。波長355nmのレーザ光による改質領域40は、微小なクラックが形成された微小クラック形成領域となる。
1層の改質層42の形成が終了したところで、集光位置をマザー素子基板1Aの厚さ方向に移動して、その位置において同様に改質層42を形成することで、マザー素子基板1Aの厚さ方向に改質層42を積層する。最後に、図5(e)に示したように、レーザ光を、マザー素子基板1Aのレーザ光の入射面の近傍に集光して改質領域40を形成すると共に、マザー素子基板1Aを矢印aの方向に移動することで、入射面の近傍に改質層42を形成して、図5(f)に示したように、マザー素子基板1Aの断面の略全面に改質帯44を形成する。
次に、図4のステップS6では、マザー素子基板1Aの断面の略全面にわたって改質帯44が形成されたか否かを判定する。改質帯44の形成が完了していなかった場合(ステップS6でNO)には、ステップS5に戻り、ステップS5及びステップS6を繰返して、改質層42を積層して改質帯44を形成する。改質帯44の形成が完了していた場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に進み、素子基板1の全ての境界において、改質帯44が形成されたか否か、即ち、形成するべき全ての改質帯44の形成が完了したか否かを判定する。
全ての改質帯44の形成が完了していなかった場合(ステップS7でNO)には、ステップS4に戻り、ステップS4からステップS7を繰返して、改質帯44を形成する。全ての改質帯44の形成が完了していた場合(ステップS7でYES)には、ステップS8に進む。
ステップS8では、マザー基板10Aをステージ20から取り外す。このとき、カバーガラス61も、マザー基板10Aから取り外す。
次に、ステップS9では、マザー基板10Aを個々の液晶表示パネル10に分離する。図6は、マザー基板を改質帯が形成された部分で分断する様子を示す模式図である。改質帯44を挟んだ両側を互いに分離するように力を加えることで、改質帯44の部分が分断される。例えば、図6(a)に示すように、改質帯44が形成された直線上に押圧治具50を押し当ててマザー素子基板1Aの改質帯44が形成された近傍に応力をかける。応力をかけられたマザー素子基板1Aが、改質帯44をきっかけにして、図6(b)に示すように、改質帯44が形成された面で分断されることで、マザー基板10Aは個々の液晶表示パネル10に分離される。
以下に、第一の実施形態の効果を記載する。第一の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)カバーガラス61と水60との屈折率の差は、カバーガラス61と大気との屈折率の差より小さい。このため、対向基板2の周囲に、屈折率が大気より対向基板2に近い水60を充填することにより、カバーガラス61から水60を透過するレーザ光の集光位置は、カバーガラス61から大気中を透過する場合のレーザ光の集光位置より、カバーガラス61から対向基板2を透過するレーザ光の集光位置に近くなる。従って、対向基板2を透過するレーザ光の集光位置と対向基板2を透過しないレーザ光の集光位置との差を小さくすることができる。
(2)対向基板2と水60との屈折率の差は、対向基板2と大気との屈折率の差に比べて小さいため、レーザ光が対向基板2から水60に入射する場合の屈折角は、レーザ光が対向基板2から大気中に入射する場合の屈折角に比べて、小さい。従って、対向基板2から水60に入射する入射点63aにおいて屈折させられたレーザ光の集光位置は、水60が無い場合に対向基板2から入射点63aにおいて大気中に入射するレーザ光の集光位置より、入射点62bにおいて水60又は大気中に入射して直進したレーザ光の集光位置に近くなる。従って、対向基板2の周囲に、屈折率が大気より対向基板2に近い水60を充填することにより、対向基板2を透過するレーザ光の集光位置と対向基板2を透過しないレーザ光の集光位置との差を小さくすることができる。
(3)平坦な面を有するカバーガラス61設けることで、カバーガラス61に接する水60の表面を平坦にすることにより、平坦でない面にレーザ光が入射することでレーザ光の方向がばらついて集光される位置が広がることを抑制することができる。
(第二の実施形態)
次に、本発明に係るレーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法の第二の実施形態について説明する。本実施形態のレーザ加工装置は、第一の実施形態で説明したレーザ加工装置100と実質的に同一のものである。第一の実施形態とは異なる液体供給装置の構成及び動作についてのみ説明する。
<液体供給装置の構成>
最初に、本実施形態で用いるレーザ加工装置の液体供給装置の構成について説明する。図7は、液体供給装置の構成及び液体供給装置から水が供給された状態を示す模式図である。
図7に示すように、液体供給装置は、複数の給水ノズル69aを備えている。図7では省略して、給水ノズル69aを2個のみ記載しているが、6個の給水ノズル69aがその先端を集光レンズ231の射出口の周辺に向けて、Z軸スライド機構24(図3参照)に固定されている。集光レンズ231は、第一の実施形態で説明した集光レンズ23と同様に、Z軸スライド機構24にスライドアーム24aを介して固定されている。レーザ光源から射出されたレーザ光は、ダイクロイックミラー22で反射され、集光レンズ231によって、マザー素子基板1Aなどの加工対象物の内部に集光される。6個の給水ノズル69aは、それぞれ図7では図示省略した給水ポンプに接続されている。レーザ光を照射して改質領域40を形成することで改質層42を形成する場合には、当該形成工程が実行される間は、集光レンズ231の対物レンズ23aとマザー基板10Aとの間を水60で満たすように、6個の給水ノズル69aから水60の供給を連続して実行する。
<集光位置>
次に、本実施形態の液体供給装置位置を有するレーザ加工装置における、レーザ光の集光位置について説明する。対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、水60の中だけを進んでマザー素子基板1Aに入射すると、集光点F65に集光する。対物レンズ23aから射出されて対向基板2の間を進むレーザ光は、水60の中だけを進んでマザー素子基板1Aに入射するため、対物レンズ23aからマザー素子基板1Aに直進して、集光点F65に集光する。対物レンズ23aから射出されたレーザ光の光束の最外周の光は、入射点64aにおいて水60から対向基板2に入射し、入射点64bにおいて対向基板2から水60に入射して、集光点F66に集光する。対向基板2を通過する光路長によって集光位置が異なり、対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、集光点F65から集光点F66の間に集光する。
水60から対向基板2に入射する入射点64aにおいては、水60と対向基板2との屈折率の差に応じた角度で、レーザ光は屈折させられる。水60と対向基板2との屈折率の差は、大気と対向基板2との屈折率の差より小さいため、入射点64aにおける屈折角は、水60が在ることで、水60が無く、大気が在る場合より小さくなる。対向基板2から水60に入射する入射点64bにおいては、対向基板2と水60との屈折率の差に応じた角度で屈折させられる。対向基板2と水60との屈折率の差は、対向基板2と大気との屈折率の差に比べて小さいため、レーザ光が対向基板2から水60に入射する場合の屈折角は、レーザ光が対向基板2から大気中に入射する場合の屈折角に比べて、小さくなる。従って、集光点F66の位置は、水60が無い場合に対向基板2を通過してマザー素子基板1Aに入射するレーザ光が集光する位置より、集光点F65に近くなる。レーザ光が集光する集光点F65から集光点F66の間距が小さいことから、エネルギは改質領域40を形成するのに充分な程度には集中されて、集光点F65から集光点F66の周辺に改質領域40が形成される。
以下に、第二の実施形態の効果を記載する。第二の実施形態によれば、上述した第一の実施形態の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(1)対物レンズ23aとマザー基板10Aとの間は水60で満たされており、対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、水60から対向基板2に入射する。対向基板2と水60との屈折率の差は、対向基板2と大気との屈折率の差に比べて小さいため、レーザ光が水60から対向基板2に入射する場合の屈折角は、レーザ光が大気中から対向基板2に入射する場合の屈折角に比べて、小さくなる。これにより、当該屈折の影響による集光位置のずれを抑制することができる。
(2)対物レンズ23aとマザー基板10Aとの間は水60で満たされており、対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、大気中から水60に入射することなく、マザー基板10Aに入射する。大気中から水60に入射することがないことにより、大気中から水60に入射する際に屈折されることがないことから、当該屈折の影響による集光位置のずれを抑制することができる。
(第三の実施形態)
次に、本発明に係るレーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法の第三の実施形態について説明する。本実施形態のレーザ加工装置は、第一又は第二の実施形態で説明したレーザ加工装置100と実質的に同一のものである。第一又は第二の実施形態とは異なるステージの構成についてのみ説明する。
<ステージの構成>
最初に、本実施形態で用いるレーザ加工装置のステージ80の構成について、図8を参照して説明する。図8は、ステージ及び排水装置の構成を示す模式図である。図8(a)は、ステージの平面図及び排水装置の構成を示す模式図であり、図8(b)は、ステージの断面図である。
図8に示すように、ステージ80は、マザー基板10Aなどの加工対象物を載置して吸着固定する、加工対象物保持装置であって、図示省略した負圧装置に連通する吸引穴と吸引穴に連通する吸引溝82が、加工対象物を載置する載置面83に形成されている。ステージ80上に載置されたマザー基板10Aは、負圧装置と吸引穴と吸引溝82とによって、ステージ80に吸着させて固定することが可能である。
載置面83の周縁には、載置面83から突出した堰堤部81が、載置面83の全周を囲むように、形成されている。第一又は第二の実施形態で説明した液体供給装置の給水ノズル39a又は給水ノズル69aから水60を供給することで、図8(b)に示すように、堰堤部81の内側において、マザー基板10Aなどの加工対象物が水60に浸された状態を維持することができる。堰堤部81が、堰堤に相当する。
載置面83には、また、吸引溝82を囲む位置に排水溝86が形成されており、排水溝86の底部には、排水ポンプ89に連通する排水孔84が、4個所形成されている。排水ポンプ89は、排水制御部88によって制御されることにより、排水孔84を介して排水孔84に溜まった液体を吸引する。
以下に、第三の実施形態の効果を記載する。第三の実施形態によれば、上述した第一又は第二の実施形態の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(1)載置面83から突出して載置面83の全周を囲む堰堤部81によって、載置面83の上に液体が溜まった状態を維持することができる。液体供給装置から供給された水60を載置面83の上に保持することにより、第一又は第二の実施形態で説明した、対向基板2の周囲に水60が満たされた状態、又は対物レンズ23aとマザー基板10Aとの間が水60で満たされた状態を容易に実現することができる。
(2)排水溝86、排水孔84、排水ポンプ89、及び排水制御部88によって、載置面83の上に溜まった液体を容易に排出することができる。
(第四の実施形態)
次に、本発明に係るレーザ加工装置、レーザ加工方法、及び電気光学装置の製造方法の第四の実施形態について説明する。本実施形態のレーザ加工装置は、第一又は第二の実施形態で説明したレーザ加工装置100と実質的に同一のものである。第一又は第二の実施形態とは異なる加工対象物の一例である液晶表示パネルのマザー基板90Aの構成についてのみ説明する。
<液晶表示パネルのマザー基板>
マザー基板90Aは、第一の実施形態で説明した液晶表示パネル10を区画形成したマザー基板である。マザー基板90Aについて、図9を参照して説明する。図9は、液晶表示パネルが区画形成されたマザー基板を示す概略図である。図9(a)はマザー基板の概略平面図、図9(b)は、図9(a)にC−Cで示した断面における断面形状を示す概略断面図である。なお、図9(b)においては、シール材4(図1参照)は図示省略している。
図9(a)及び図9(b)に示すように、マザー基板90Aは、1つの液晶表示パネル10に相当する素子基板1が、ウェハ状のマザー素子基板91Aに複数区画形成されている。そして、対向基板2が個々に、マザー基板90A上の区画形成された素子基板1と対応する位置に接着されている。1つの液晶表示パネル10は、区画領域Dx,Dyに沿った切断予定位置を切断して、マザー基板90Aから取り出される。
マザー素子基板91Aの周縁には、マザー素子基板91Aの面から突出した堰堤部92が、マザー素子基板91Aの全周を囲むように、形成されている。マザー素子基板91Aがステージ20(図3参照)に載置された状態で、第一又は第二の実施形態で説明した液体供給装置の給水ノズル39a又は給水ノズル69aから水60を供給することで、図9(b)に示すように、堰堤部92の内側において、マザー基板10Aなどの加工対象物が水60に浸された状態を維持することができる。マザー素子基板91Aが、マザー基材に相当し、堰堤部92が、堰堤に相当する。
以下に、第四の実施形態の効果を記載する。第四の実施形態によれば、上述した第一又は第二の実施形態の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(1)マザー素子基板91Aの面から突出してマザー素子基板91Aの全周を囲む堰堤部92によって、マザー素子基板91Aの面の上に液体が溜まった状態を維持することができる。液体供給装置から供給された水60をマザー素子基板91Aの面の上に保持することにより、第一又は第二の実施形態で説明した、対向基板2の周囲に水60が満たされた状態、又は対物レンズ23aとマザー基板10A(マザー基板90A)との間が水60で満たされた状態を容易に実現することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、前記実施形態に限らない。本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
(変形例1)前記第一の実施形態においては、カバーガラス61を、対向基板2及び対向基板2の周囲の隙間を覆うことができるように、マザー基板10A上にセットした状態で改質帯44を形成する工程を実施していたが、カバーガラス61を用いることは必須ではない。図10に示したように、カバーガラス61を用いることなく、対向基板2の周囲の空間を水60で満たすだけであってもよい。
図10は、対向基板の周囲の空間を水で満たした状態でのレーザ光の集光位置を示す模式図である。図10に示したように、対物レンズ23aから射出されて、対向基板2も透過したレーザ光の最外周の光は、集光点F67に集光され、対向基板2を透過しない光は、集光点F68に集光される。対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、集光点F67から集光点F68の範囲に集光される。
対物レンズ23aから射出されたレーザ光は、大気中から対向基板2に入射する入射点67aにおいて、大気と対向基板2の屈折率の差に応じた角度で屈折させられる。大気中から水60に入射する入射点68aにおいては、レーザ光は、大気と水60との屈折率の差に応じた角度で、屈折させられる。水60の屈折率の方が、大気の屈折率よりも、対向基板2の屈折率に近いため、入射点68aにおける屈折角は、水60が無い状態でレーザ光が直進する場合より、入射点67aにおける屈折角に近くなる。
レーザ光は、対向基板2から水60に入射する入射点67bにおいても、対向基板2と水60との屈折率の差に応じた角度で屈折させられる。対向基板2と水60との屈折率の差は、対向基板2と大気との屈折率の差に比べて小さいため、レーザ光が対向基板2から水60に入射する場合の屈折角は、レーザ光が対向基板2から大気中に入射する場合の屈折角に比べて、小さい。従って、対向基板2から水60に入射する入射点67bにおいて屈折させられたレーザ光の集光位置は、水60が無い場合に対向基板2から入射点67bにおいて大気中に入射するレーザ光の集光位置より、入射点68aにおいて水60に入射した、又は大気中を直進して、さらに直進したレーザ光の集光位置に近くなる。
従って、対向基板2を透過するために入射点67a及び入射点67bにおいて発生する屈折の影響を小さくすることにより、集光点F67が集光点F68から離れる量を小さくすることで、レーザ光が集光する集光点F67から集光点F68の範囲を小さくすることができる。これにより、レーザ光のエネルギがより狭い範囲に集中されてエネルギの集中度合いが向上することから、集中度合いが低いために改質領域の形成に寄与しない無駄なエネルギの発生を抑制することで、加工のために要するエネルギの増加を抑制することができる。
(変形例2)前記第四の実施形態においては、水60を堰き止めるために、マザー素子基板91Aの周縁に堰堤部92を形成したが、液体を堰き止めるためにマザー素子基板91Aなどのウェハにおいて堰堤を設けることは必須ではない。ウェハの周縁部の全周を水などの液体に対して撥液性となるようにに処理してもよい。
撥液性部分は液体に濡れ難いため、液体は撥液性部分を乗り越え難い。従って、撥液性部分に囲まれた中の液体は撥液性部分の外に溢れ難いことから、ウェハの全周を囲む撥液性部分によって、ウェハの面の上に液体が溜まった状態を維持することができる。液体供給装置から供給された液体をウェハの面の上に保持することにより、第一又は第二の実施形態で説明した、対向基板2の周囲に水60が満たされた状態、又は対物レンズ23aとマザー基板10A(ウェハ)との間が水60で満たされた状態のような状態を容易に実現することができる。
(変形例3)前記実施形態においては、対向基板2の周囲、又は対物レンズ23aとマザー基板10Aとの間を、水60で満たす例について説明したが、対向基板2の周囲、又は対物レンズ23aとマザー基板10Aとの間を満たす液体は、水に限らない。大気の屈折率と比べて、液体の屈折率の方が対向基板2の屈折率に近ければ、前記実施形態で説明した効果を得ることができる。なお、液体の屈折率が対向基板2の屈折率に等しい場合には、レーザ光が対向基板2を通過することの影響を殆どなくすることができる。従って、液体の屈折率は、対向基板2の屈折率により近いことが好ましい。
(変形例4)前記実施形態においては、集光レンズ23に対してステージ20をZ軸に直交する方向に移動することで、集光レンズ23とマザー基板10Aとを相対移動させていたが、ステージ20側を移動させることは必須ではない。集光レンズ23側を移動することで、集光レンズ23とマザー基板10Aとの相対移動を実行してもよい。
(変形例5)前記実施形態においては、改質領域を形成する各走査の走査方向が同一方向であったが、各走査の走査方向が同一方向であることは必須ではない。積層する改質層毎に走査方向を変えてもよい。往復両方向の走査で改質層を形成することにより、各走査の走査方向が単一方向である場合に比べて、改質帯を形成する時間を短縮することができる。
(変形例6)前記実施形態においては、加工対象物の基板は石英ガラス基板であったが、本発明は、半導体などのシリコン基板や、水晶から成る水晶基板や、パイレックス(登録商標)やネオセラム(登録商標)やOA−10から成る基板にも適用することができる。
(変形例7)前記実施形態においては、レーザ光源21は、イットリウム−アルミニウム−ガーネットにネオジウムをドープした結晶をレーザ媒質として用いるNd:YAGレーザであったが、レーザ光源は他のレーザ媒質を用いるレーザ光源であってもよい。例えば、他のYAGレーザやYLFレーザやYVO4レーザなどを用いることができる。Nd:YAGレーザも、第3高調波以外にも、Nd:YAG基本波などを用いることができる。なお、レーザ媒質や発振させるレーザ光は、加工する材質に合わせて適切なものを選択することが好ましい。
(変形例8)前記実施形態においては、電気光学装置としての液晶表示装置の液晶表示パネルについて説明したが、本発明は、液晶表示装置以外の電気光学装置の製造にも適用できる。例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスの製造にも本発明の適用が可能である。
(変形例9)前記実施形態においては、改質領域を互いに略連接するように連ねて形成された改質層を例にして説明したが、改質層を構成する改質領域が略連接することは必須ではない。小さい応力をかけて分割できれば、改質領域を互いに間隔を隔てて連ねる構成であってもよい。間隔を隔てることで、改質領域を略連接させる構成に比べて相対移動速度を速くして、改質層を形成する際の加工速度を速くすることができる。一方、前記実施形態のように改質領域を互いに略連接するように連ねた構成の改質領域は、間隔を隔てる構成に比べて分割され易くなる。
(変形例10)前記実施形態においては、改質層を互いに間隔を隔てて積層する構成の改質帯を例に説明したが、改質層が間隔を隔てて積層することは必須ではない。小さい応力をかけて分割できれば、改質層を互いに間隔を隔てて積層する構成であっても、改質層を互いに略連接するように積層してもよい。改質層を互いに略連接するように積層することで、間隔を隔てる構成に比べて分割され易くなる。一方、前記実施形態のように間隔を隔てることで、改質層を略連接させる構成に比べて改質帯の形成に要する時間を短縮することができる。
(変形例11)前記実施形態においては、マザー基板10Aに対する集光位置のZ軸方向の位置調整は、Z軸スライド機構24によって集光レンズ23又は集光レンズ231を移動することでおこなっていたが、集光レンズ23又は集光レンズ231を移動することは必須ではない。マザー基板10Aに対する集光位置のZ軸方向の位置調整は、ステージ20をZ軸方向に移動して調整してもよい。レーザ光源21や集光レンズ23を含むレーザ光照射装置が調整装置を持たなくてすみ、レーザ光照射装置が調整装置を持つ場合に比べてレーザ光照射装置全体を軽量小型にすることができる。
(変形例12)前記第三の実施形態においては、水60を堰き止めるために、ステージ80の載置面83の周縁に堰堤部81を形成したが、液体を堰き止めるために堰堤を設けることは必須ではない。ステージの周縁部の全周を水などの液体に対して撥液性となるようにに処理してもよい。
撥液性部分は液体に濡れ難いため、液体は撥液性部分を乗り越え難い。従って、撥液性部分に囲まれた中の液体は撥液性部分の外に溢れ難いことから、ステージの全周を囲む撥液性部分によって、ステージの載置面の上に液体が溜まった状態を維持することができる。液体供給装置から供給された液体を載置面の上に保持することにより、第一又は第二の実施形態で説明した、対向基板2の周囲に水60が満たされた状態、又は対物レンズ23aとマザー基板10Aとの間が水60で満たされた状態のような状態を容易に実現することができる。
液晶表示パネルの構造を示す模式図。 液晶表示パネルが区画形成されたマザー基板を示す概略図。 本発明のレーザ加工装置の構成を示す模式図。 マザー基板を、レーザスクライブ方法によって切断して個々の液晶表示パネルに分離する工程を示すフローチャート。 マザー素子基板に改質帯を形成する工程を示すマザー素子基板の模式断面図。 マザー基板を改質帯が形成された部分で分断する様子を示す模式図。 第二の実施形態における、液体供給装置の構成及び液体供給装置から水が供給された状態を示す模式図。 第三の実施形態における、ステージ及び排水装置の構成を示す模式図。 第四の実施形態における、液晶表示パネルが区画形成されたマザー基板を示す概略図。 変形例における、対向基板の周囲の空間を水で満たした状態でのレーザ光の集光位置を示す模式図。 従来のレーザ加工方法又はレーザ加工装置による、レーザ光の集光位置を示す模式図。
符号の説明
1…素子基板、1A,91A…マザー素子基板、2…対向基板、10…液晶表示パネル、10A,90A…マザー基板、20…ステージ、21…レーザ光源、23,231…集光レンズ、23a…対物レンズ、24…Z軸スライド機構、25…回動機構、26…Y軸スライド機構、27…X軸スライド機構、30…メインコンピュータ、31…レーザ制御部、38…給水制御部、39…給水ポンプ、39a,69a…給水ノズル、40…改質領域、42…改質層、44…改質帯、F56,F65,F66,F67,F68…集光点、60…水、61…カバーガラス、61a,62a,62b,63a,64a,64b,67a,67b,68a…入射点、80…ステージ、81…堰堤部、83…載置面、92…堰堤部、100…レーザ加工装置、W…加工対象物。

Claims (18)

  1. 複数の部材が貼り付けられたマザー基材を分割することで、前記マザー基材が分割された基材上に前記複数の部材のそれぞれの部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するレーザ加工方法であって、
    前記マザー基材の面上であって前記部材の周囲の空間に、少なくとも大気の屈折率より前記部材の屈折率に近い屈折率を有する液体を供給する液体供給工程と、
    レーザ照射装置から射出したレーザ光を前記マザー基材の内部に集光して改質領域を形成し、前記マザー基材と前記レーザ照射装置とを前記マザー基材の平面方向に相対移動させることで、前記改質領域を連続的に、又は離間して連ねた改質層を形成する改質層形成工程と、を有することを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 両面が平坦な板状の形状を有し、前記複数の部材、及び前記液体が供給された前記マザー基材の面上であって前記部材の周囲の空間を覆う、カバー部材を設置するカバー部材設置工程を、さらに有することを特徴とする、請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記カバー部材は、前記液体又は前記部材の屈折率に略等しい屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. 複数の部材が貼り付けられたマザー基材を分割して、前記マザー基材が分割された基材上に前記複数の部材のそれぞれの部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するレーザ加工方法であって、
    レーザ照射装置のレーザ光射出口と前記マザー基材との間に、少なくとも大気の屈折率より前記部材の屈折率に近い屈折率である液体を満たした状態を維持しつつ、前記レーザ照射装置から射出したレーザ光を前記マザー基材の内部に集光して改質領域を形成し、前記マザー基材と前記レーザ照射装置とを前記マザー基材の平面方向に相対移動させることで、前記改質領域を連続的に、又は離間して連ねた改質層を形成する改質層形成工程を有することを特徴とするレーザ加工方法。
  5. 前記液体を堰き止めることにより、前記液体が前記マザー基材の面上であって前記部材の周囲の空間、又は前記レーザ光射出口と前記マザー基材との間に在る状態を維持することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。
  6. 前記液体を堰き止めるための堰堤を、前記マザー基材の上に形成することを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工方法。
  7. 前記液体を堰き止めるための堰堤を、前記マザー基材を載置するためのステージの上に形成することを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工方法。
  8. 前記マザー基材の周縁部を、前記液体に対して撥液性に処理する撥液化工程をさらに有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。
  9. 前記マザー基材が、電気光学装置を構成するメイン基板が区画形成されたマザー基板であり、前記部材が、前記電気光学装置を構成する対向基板であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。
  10. 複数の部材が貼り付けられたマザー基材を分割して、前記マザー基材が分割された基材上に前記複数の部材のそれぞれの部材が個別に貼り付けられた基材体を形成するためのレーザ加工装置であって、
    レーザ光を射出するレーザ光源と、
    前記レーザ光を集光して前記マザー基材に照射することで、前記レーザ光を前記マザー基材の内部の一点の近傍に集光する光学素子と、
    前記マザー基材を載置するための載置面を有するステージと、
    前記光学素子と前記ステージとを、前記載置面に平行な方向で相対移動させる移動装置と、
    液体供給装置と、を備え、
    当該液体供給装置によって、前記ステージ上に載置された前記マザー基材上の前記マザー基材の面上であって前記部材の周囲の空間に、少なくとも大気の屈折率より前記部材の屈折率に近い屈折率を有する液体を供給することを特徴とするレーザ加工装置。
  11. 両面が平坦な板状の形状を有し、前記複数の部材、及び前記液体が供給された前記マザー基材の面上であって前記部材の周囲の空間を覆うカバー部材を設置するカバー部材設置装置をさらに備えることを特徴とする、請求項10に記載のレーザ加工装置。
  12. 前記カバー部材は、前記液体又は前記部材の屈折率に略等しい屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする、請求項11に記載のレーザ加工装置。
  13. 前記液体供給装置によって、前記光学素子のレーザ光射出口と前記マザー基材との間に、前記液体を満たした状態を維持するように、前記液体を供給することを特徴とする、請求項10に記載のレーザ加工装置。
  14. 前記液体を堰き止めるための堰堤を、さらに備えることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  15. 前記ステージの周縁部が、前記液体に対して撥液性に処理されていることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  16. 前記マザー基材が、電気光学装置を構成するメイン基板が区画形成されたマザー基板であり、前記部材が、前記電気光学装置を構成する対向基板であることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  17. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレーザ加工方法を用いて、複数の電気光学装置が区画形成されたマザー電気光学装置基板を個別の前記電気光学装置に分割することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  18. 請求項10乃至15のいずれか一項に記載のレーザ加工装置を用いて、複数の電気光学装置が区画形成されたマザー電気光学装置基板を個別の前記電気光学装置に分割することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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