JP2008128097A - オイルポンプの駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの回転数が変動する場合であっても、オイルポンプを安定して駆動することができるオイルポンプの駆動装置を提供する。
【解決手段】オイルポンプ17の駆動軸18,19とエンジン1の出力軸21との間でトルクを伝達する第1トルク伝達系統18と、駆動軸18,19とフライホイール52の回転軸53との間でトルクを伝達する第2トルク伝達系統19とを備え、オイルポンプ17をエンジン1の動力により駆動するとともにフライホイール52の慣性力により駆動可能なオイルポンプの駆動装置において、第1トルク伝達系統18と出力軸21との間に、出力軸21の回転数よりも駆動軸18,19の回転数が低い場合に係合し、出力軸21の回転数よりも駆動軸18,19の回転数が高い場合に空転するワンウェイクラッチ22が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】オイルポンプ17の駆動軸18,19とエンジン1の出力軸21との間でトルクを伝達する第1トルク伝達系統18と、駆動軸18,19とフライホイール52の回転軸53との間でトルクを伝達する第2トルク伝達系統19とを備え、オイルポンプ17をエンジン1の動力により駆動するとともにフライホイール52の慣性力により駆動可能なオイルポンプの駆動装置において、第1トルク伝達系統18と出力軸21との間に、出力軸21の回転数よりも駆動軸18,19の回転数が低い場合に係合し、出力軸21の回転数よりも駆動軸18,19の回転数が高い場合に空転するワンウェイクラッチ22が設けられている。
【選択図】図1
Description
この発明は、オイルポンプを、エンジンの動力により駆動するとともに、フライホイールの慣性力を利用して駆動することができるオイルポンプの駆動装置に関するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのエンジンを動力源として使用する場合、一般に、そのエンジンの出力側には変速機が設けられる。例えば、車両に搭載されたエンジンの変速機として、車両の走行状態に基づいて制御される自動変速機が広く普及している。この自動変速機には、有段式の変速機や変速比が連続的(無段階)に変化する無段変速機が含まれるが、これらいずれの自動変速機であっても変速比の制御のために油圧が広く使用されている。例えば有段式の自動変速機であれば、エンジンの出力を変速機構に伝達するための入力クラッチや、変速段を設定するためのクラッチあるいはブレーキが、油圧サーボ機構によって係合および解放されるように構成されている。また、無段変速機であれば、その変速機構に対して動力を入力する入力クラッチを油圧によって係合するように構成され、また特に、ベルト式の無段変速機であれば、プーリに対するベルトの巻き掛かり径を変化させるため、あるいはベルトに対するプーリの挟圧力(狭持力)を設定するために、ベルトが巻き掛かるプーリの溝幅を変化させる変速機構を油圧によって動作させるように構成されている。
そして、エンジンに備えられた自動変速機を制御する油圧を発生させるためにオイルポンプが設けられている。従来、そのオイルポンプは、エンジンにより駆動するように構成されるのが一般的であるが、その場合、エンジンの停止に伴ってオイルポンプも駆動を停止するため、例えば、エコランシステムが搭載された車両において、エコラン制御実行中のエンジン自動停止時あるいはエンジン再始動時などの場合に、自動変速機を制御するのに必要な油圧を得られなくなる可能性がある。そこで、エンジンが回転している際の回転エネルギ(慣性力)をフライホイールに蓄積し、エンジンの停止時に、そのフライホイールに蓄積された回転エネルギを利用してオイルポンプを駆動させることが考えられる。
例えば、特許文献1には、エネルギ回生制御を可能にすることを目的として、フライホイールを利用した発明が記載されている。この特許文献1に記載された油圧装置および発電設備に関する発明は、所要量の慣性モーメントを内在または付加により具備した第1の油圧ポンプモータと、その第1の油圧ポンプモータにより発生された油動力によって駆動される第2の油圧ポンプモータと、その第2の油圧ポンプモータの回転軸に接続されたフライホイールと、第2の油圧ポンプモータの流出ポートから第1の油圧ポンプモータの流入ポートに接続された油路とが備えられた構成となっている。そして、その構成によれば、第1の油圧ポンプモータで発生した油動力により第2の油圧ポンプモータを回転駆動させ、フライホイールにエネルギを蓄積することができる。そしてフライホイールに蓄積されたエネルギにより、第1の油圧ポンプモータの始動や加速を補助することができる、とされている。
また、特許文献2には、車両の走行時における運動エネルギを蓄積し、かつ蓄積されている運動エネルギを車輪に伝達するフライホイールを備えた挙動制御装置により車速を調整する車両の制御装置に関する発明が記載されている。
上記の特許文献1および特許文献2に記載されている発明のように、運動エネルギを蓄積することのできるフライホイールを利用することで、エンジンの停止時であってもオイルポンプを駆動させることができる。しかしながら、エンジン運転時の運動(回転)エネルギをフライホイールに蓄積させる場合、エンジン回転数が減少することに伴い、フライホイールに蓄積されるエネルギも減少し、その結果、オイルポンプを駆動するのに必要なエネルギが不足して、オイルポンプを安定して駆動することができなくなってしまうおそれがあった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エンジンの回転数が変動する場合であっても、オイルポンプを安定して駆動することができるオイルポンプの駆動装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、オイルポンプの駆動軸とエンジンの出力軸との間でトルクを伝達する第1トルク伝達系統と、前記駆動軸とフライホイールの回転軸との間でトルクを伝達する第2トルク伝達系統とを備え、前記オイルポンプを前記エンジンの動力により駆動するとともに前記フライホイールの慣性力により駆動可能なオイルポンプの駆動装置において、前記第1トルク伝達系統と前記出力軸との間に、前記出力軸の回転数よりも前記駆動軸の回転数が低い場合に係合し、前記出力軸の回転数よりも前記駆動軸の回転数が高い場合に空転するワンウェイクラッチが設けられていることを特徴とする装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、始動時に前記エンジンをクランキングするとともに、前記オイルポンプを駆動可能なスタータモータを有するエンジン始動機構を更に備え、前記エンジン始動機構が、前記エンジンをクランキングせずに前記オイルポンプを駆動する第1の作動状態と、前記エンジンをクランキングし、かつ前記オイルポンプを駆動する第2の作動状態と、前記エンジンおよび前記オイルポンプのいずれも駆動しない第3の作動状態とを選択的に切り換えるように構成されていることを特徴とする装置である。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記エンジン始動機構が、前記エンジンを始動するべく設定されるエンジン始動モードが開始され、かつ未だ前記エンジンが停止している場合に、前記エンジン始動モードの開始から所定時間経過するまでは前記第1の作動状態を選択し、前記所定時間が経過した後に前記第2の作動状態を選択することを特徴とする装置である。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記エンジン始動機構が、前記エンジン始動モードが開始され、かつ前記第2の作動状態が選択された場合に、前記エンジン始動モードの開始から所定時間経過した後に前記第3の作動状態を選択することを特徴とする装置である。
そして、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記オイルポンプの駆動装置が、前記エンジンと、前記オイルポンプから供給される油圧により変速動作が制御されるベルト式無段変速機とが搭載された車両の前記オイルポンプを駆動する装置であることを特徴とするものである。
したがって、請求項1の発明によれば、エンジンが所定の回転数以上で運転されている場合は、エンジンが出力する動力によりオイルポンプが駆動されるとともに、そのエンジンが出力する動力の運動(回転)エネルギが、フライホイールに慣性力として蓄積される。そして、エンジンの回転数が低下もしくはエンジンが停止することなどにより、エンジンの出力軸の回転数がオイルポンプの駆動軸の回転数を下回った場合には、エンジンの出力軸とオイルポンプの駆動軸との間に設けられたワンウェイクラッチが空転することで、エンジンの出力軸とオイルポンプの駆動軸との間の動力伝達系統が遮断され、オイルポンプがフライホイールに蓄積された慣性力により駆動される。そのため、エンジンの回転数が高い状態でフライホイールに蓄積された運動エネルギを、エンジンの回転数が低下もしくはエンジンが停止した場合に、オイルポンプを駆動するためのエネルギとして効果的に使用することができ、エンジンの回転数が変動する場合であってもオイルポンプを安定して駆動することができる。
また、請求項2の発明によれば、停止しているエンジンを始動する際には、そのエンジンをクランキングして始動させるエンジン始動機構のスタータモータの動力により、オイルポンプが駆動される。その場合、エンジン始動機構は、その作動状態が、エンジンをクランキングせずにオイルポンプのみを駆動する第1の作動状態と、エンジンおよびオイルポンプを同時に駆動(もしくはクランキング)する第2の作動状態と、エンジンおよびオイルポンプのいずれも駆動(もしくはクランキング)しない第3の作動状態との3つの作動状態に適宜切り換えられて運転される。そのため、エンジンの運転状態に応じてエンジン始動機構を作動させて、エンジンのクランキングおよびオイルポンプの駆動を適切に行うことができる。例えば、エンジンの始動時に、油温が低くオイルの粘性が高い状態のときに、エンジン始動機構を第1の作動状態に設定し、予めオイルポンプのみを駆動させておき、その後、エンジン始動機構を第2の作動状態に切り換えて設定してオイルポンプを駆動しつつエンジンをクランキングして始動させることで、エンジン始動時のいわゆる油圧の立ち上がり遅れを回避し、油圧を必要とする装置各部に、速やかにかつ適切に油圧を供給することができる。
さらに、請求項3の発明によれば、エンジンが停止している状態で、エンジンを始動させるための指令(制御信号)が出力されるエンジン始動モードが開始された場合、そのエンジン始動モードの開始から所定時間の間、すなわち油温が低くオイルの粘性が高い状態の間は、エンジン始動機構が第1の作動状態に設定され、その間オイルポンプのみが駆動される。そしてエンジン始動モードの開始から所定時間経過した時点、すなわちオイルポンプが駆動され油圧が上昇するとともに油温が所定温度まで上昇した時点で、エンジン始動機構が第2の作動状態に切り換えられて設定され、オイルポンプが駆動されるとともに、エンジンがクランキングされてエンジンの始動が行われる。そのため、エンジン始動時のいわゆる油圧の立ち上がり遅れを回避し、油圧を必要とする装置各部に、速やかにかつ適切に油圧を供給することができる。
また、請求項4の発明によれば、エンジン始動モードの開始後に所定時間が経過し、エンジン始動機構が第2の作動状態に切り換えられて設定された場合、その後さらに所定の時間が経過した時点で、エンジン始動機構が第3の作動状態、すなわちエンジンのクランキングを停止するとともに、エンジン始動機構の動力源によるオイルポンプの駆動を停止する状態に切り換えられて設定される。そのため、エンジンの始動が完了したと判断できる所定の時間が経過した場合に、エンジンのクランキングを停止し、スタータモータによりオイルポンプを駆動していた状態からエンジンの動力によりオイルポンプを駆動する状態に切り換えることができる。
そして、請求項5の発明によれば、エンジンが所定の回転数以上で運転されている場合は、エンジンが出力する動力によりベルト式無段変速機を制御するための油圧を供給するオイルポンプが駆動されるとともに、そのエンジンが出力する動力の運動(回転)エネルギが、フライホイールに慣性力として蓄積される。そして、エンジンの回転数が低下もしくはエンジンが停止することなどにより、エンジンの出力軸の回転数がオイルポンプの駆動軸の回転数を下回った場合には、エンジンの出力軸とオイルポンプの駆動軸との間に設けられたワンウェイクラッチが空転することで、エンジンの出力軸とオイルポンプの駆動軸との間の動力伝達系統が遮断され、オイルポンプがフライホイールに蓄積された慣性力により駆動される。そのため、エンジンの回転数が高い状態でフライホイールに蓄積された運動エネルギを、エンジンの回転数が低下もしくはエンジンが停止した場合に、オイルポンプを駆動するためのエネルギとして効果的に使用することができ、エンジンの回転数が変動する場合であってもオイルポンプを安定して駆動させ、油圧を必要とするベルト式無段変速機の各部に安定して油圧を供給することができる。
また、エンジンを始動する場合には、エンジン始動機構によりエンジンがクランキングされるとともに、そのエンジン始動機構のスタータモータによりオイルポンプが駆動される。その場合、エンジン始動機構は、その作動状態が、エンジンをクランキングせずにオイルポンプのみを駆動する第1の作動状態と、エンジンおよびオイルポンプを同時に駆動(もしくはクランキング)する第2の作動状態と、エンジンおよびオイルポンプのいずれも駆動(もしくはクランキング)しない第3の作動状態との3つの作動状態に適宜切り換えられて運転される。そのため、エンジン始動時のいわゆる油圧の立ち上がり遅れを回避し、油圧を必要とするベルト式無段変速機の各部に速やかにかつ適切に油圧を供給することができ、エンジン始動時の油圧の立ち上がり遅れに起因するベルト式無段変速機のベルト滑りを防止もしくは抑制することができる。
(第1の構成例)
つぎに、この発明を図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、この発明におけるオイルポンプの駆動装置の第1の構成例を適用したFF車(フロントエンジンフロントドライブ;エンジン前置き前輪駆動車)のスケルトン図である。図1において、1は車両の動力源としてのエンジンであり、このエンジン1としては内燃機関、具体的にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどが用いられる。そして、エンジン1のクランクシャフト2が車両の幅方向に配置されている。なお、以下の説明においては、エンジン1として便宜上、ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。
つぎに、この発明を図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、この発明におけるオイルポンプの駆動装置の第1の構成例を適用したFF車(フロントエンジンフロントドライブ;エンジン前置き前輪駆動車)のスケルトン図である。図1において、1は車両の動力源としてのエンジンであり、このエンジン1としては内燃機関、具体的にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどが用いられる。そして、エンジン1のクランクシャフト2が車両の幅方向に配置されている。なお、以下の説明においては、エンジン1として便宜上、ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。
エンジン1の出力側には、変速機3が設けられている。この変速機3は、具体的にはベルト式の無段変速機3であり、内部中空のケーシング4を有し、そのケーシング4の内部には、トルクコンバータ5と、前後進切り換え機構6と、ベルト式無段変速機構7と、最終減速機(言い換えれば差動装置)8とが設けられている。
トルクコンバータ5の構成について説明する。ケーシング4の内部には、クランクシャフト2と同一の軸線(図示せず)を中心として回転可能なインプットシャフト9が設けられており、インプットシャフト9におけるエンジン1側(図1の左側)の端部には、トルクコンバータ5のタービンランナ10が取り付けられている。
一方、クランクシャフト2の後端(図1の右側)には、エンジン1のフライホイール11を介して、トルクコンバータ5のフロントカバー12が連結されており、フロントカバー12には、トルクコンバータ5のポンプインペラ13が接続されている。これらタービンランナ10とポンプインペラ13とは対向して配置され、タービンランナ10およびポンプインペラ13の内側にはステータ14が設けられている。また、インプットシャフト9におけるフロントカバー12側(図1の左側)の端部には、ダンパ機構15を介してロックアップクラッチ16が設けられている。そして、上記のように構成されたフロントカバー12およびポンプインペラ13などにより形成されたケーシング(図示せず)内に、作動流体としてのオイルが供給されている。
上記構成により、エンジン1の動力(トルク)がクランクシャフト2からフロントカバー12に伝達される。この時、ロックアップクラッチ16が解放されている場合は、ポンプインペラ13のトルクが流体によりタービンランナ10に伝達され、ついでインプットシャフト9に伝達される。なお、ポンプインペラ13からタービンランナ10に伝達されるトルクは、ステータ14により増幅される。これに対して、ロックアップクラッチ16が係合されている場合は、フロントカバー12のトルクが機械的にインプットシャフト9に伝達される。
ケーシング4の内部におけるトルクコンバータ5のエンジン1と反対側(図1の右側)で、インプットシャフト9と平行な軸線上に、ベルト式無段変速機3の各部に圧油を供給するために必要な油圧を発生させるオイルポンプ17が設けられている。このオイルポンプ17は、例えばギヤポンプやベーンポンプあるいはトロコイドポンプなどの公知の構成のものであって、オイルポンプ17のロータ軸(図示せず)とそれぞれ互いに一体回転する駆動軸18,19を回転駆動させることにより、オイルを吸入し、圧油として吐出するように構成されている。そして、それら駆動軸18,19が、オイルポンプ17をその軸線方向に貫通して前後両方向(図1の左右両方向)にそれぞれ突出した構成となっている。すなわち、オイルポンプ17は、その軸線方向でトルクコンバータ5側(図1の左側)に第1駆動軸18が突出して配置され、その軸線方向でベルト式無段変速機構7側(図1の右側)に第2駆動軸19が突出して配置された構成となっている。
オイルポンプ17の第1駆動軸18に、エンジン1の動力をオイルポンプ17へ伝達するチェーン伝動機構20の出力軸21が、ワンウェイクラッチ22を介して連結されている。具体的には、このチェーン伝動機構20は、トルクコンバータ5と前後進切り換え機構6との間に配置されていて、ポンプインペラ13のケーシングの外側で、インプットシャフト9の外周側に、ポンプインペラ13と一体回転する中空軸状のハブ23が形成されていて、このハブ23に一体的に形成もしくは固定されたスプロケット24と、出力軸21のトルクコンバータ5側(図1の左側)の端部に一体的に形成もしくは固定されたスプロケット25と、これらスプロケット24,25に巻き掛けられたローラチェーン26とから構成されている。
ワンウェイクラッチ22は、チェーン伝動機構20の出力軸21の回転数がオイルポンプ17の第1駆動軸18の回転数よりも高い場合に係合状態となり、出力軸21の回転数が第1駆動軸18の回転数よりも低い場合に解放状態となるように、すなわち空転するように構成されている。このような構成により、エンジン1の動力(トルク)が直接ポンプインペラ13およびチェーン伝動機構20を介して出力軸21へ伝達され、その出力軸21の回転数がオイルポンプ17の第1駆動軸18の回転数よりも高い場合に、出力軸21へ伝達されたエンジン1のトルクがワンウェイクラッチ22を介して第1駆動軸18へ伝達される。すなわち、エンジン1の動力によりオイルポンプ17を駆動することができる。なお、この発明による装置においては、このオイルポンプ17は、上記のようにエンジン1の動力によって駆動される以外に、エンジン1とは異なる他の駆動源によっても駆動することができるように構成されている。その具体的な構成については後述する。
ベルト式無段変速機構7は、インプットシャフト9と同心状に配置された駆動側シャフト(プライマリシャフト)27と、そのプライマリシャフト27と相互に平行に配置された従動側シャフト(セカンダリシャフト)28とを有している。プライマリシャフト27には駆動側プーリ(プライマリプーリ)29が設けられており、セカンダリシャフト28側には従動側プーリ(セカンダリプーリ)30が設けられている。プライマリプーリ29は、プライマリシャフト27に固定された固定シーブ31と、プライマリシャフト27の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ32とを有している。また、この可動シーブ32をプライマリシャフト27の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ32と固定シーブ31とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ33が設けられている。この油圧アクチュエータ33は、プライマリシャフト27の軸線方向に動作するピストン(図示せず)およびリターンスプリング(図示せず)などを備えた公知のものである。
一方、セカンダリプーリ30は、セカンダリシャフト28に固定された固定シーブ34と、セカンダリシャフト28の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ35とを有している。また、この可動シーブ35をセカンダリシャフト28の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ35と固定シーブ34とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ36が設けられている。この油圧アクチュエータ36は、セカンダリシャフト28の軸線方向に動作するピストン(図示せず)およびリターンスプリング(図示せず)などを備えた公知のものである。さらに、プライマリプーリ29およびセカンダリプーリ30に対してベルト37が巻き掛けられている。
上記のように構成されたベルト式無段変速機構7においては、油圧アクチュエータ33に作用する油圧を制御することにより、固定シーブ31と可動シーブ32との間の溝幅が調整される。その結果、プライマリプーリ29におけるベルト37の巻き掛け半径が変化し、ベルト式無段変速機構7の入力回転数と出力回転数との比、すなわち変速比が無段階(連続的)に制御される。この変速にともない、油圧アクチュエータ36に作用する油圧を制御することにより、ベルト37に対する挟圧力(言い換えればベルト37の張力)が制御される。油圧アクチュエータ33,36に作用する油圧は装置の元圧であるライン圧を所定の値に制御したものである。
前後進切り換え機構6は、インプットシャフト9とベルト式無段変速機構7との間の動力伝達経路に設けられている。この前後進切り換え機構6はダブルピニオン形式の遊星歯車機構38を有している。この遊星歯車機構38は、インプットシャフト9のベルト式無段変速機構7側の端部(図1の右側)に設けられたサンギヤ39と、このサンギヤ39の外周側に、サンギヤ39と同心状に配置されたリングギヤ40と、サンギヤ39に噛み合わされたピニオンギヤ41と、このピニオンギヤ41およびリングギヤ40に噛み合わされたピニオンギヤ42と、これらピニオンギヤ41,42を、サンギヤ39の周囲を一体的に公転可能な状態で保持したキャリヤ43とを有している。そして、このキャリヤ43とプライマリシャフト27とが連結されている。また、キャリヤ43とインプットシャフト9との間の動力伝達経路を接続・遮断するクラッチCLが設けられている。さらに、ケーシング4側には、リングギヤ40の回転・固定を制御するブレーキBRが設けられている。
ベルト式無段変速機構7と最終減速機8との間の動力伝達経路には、セカンダリシャフト28と相互に平行なインターミディエイトシャフト44が設けられている。インターミディエイトシャフト44にはカウンタドリブンギヤ45とファイナルドライブギヤ46とが形成されている。セカンダリシャフト28にはカウンタドライブギヤ47が形成され、そのカウンタドライブギヤ47とカウンタドリブンギヤ45とが噛み合わされている。
そして、最終減速機8はリングギヤ48を有し、そのリングギヤ48とファイナルドライブギヤ46とが噛み合わされている。また、リングギヤ48はデフケース(図示せず)の外周に形成され、このデフケースの内部には複数のピニオンギヤ(図示せず)が取り付けられている。このピニオンギヤには2つのサイドギヤ(図示せず)が噛み合わされている。2つのサイドギヤには別個にフロントドライブシャフト49が接続され、各フロントドライブシャフト49には、駆動輪(前輪)50が接続されている。
前述したように、この発明におけるオイルポンプ17は、通常はエンジン1の動力によって駆動される。したがって、エンジン1が停止している場合は、そのエンジン1の動力によりオイルポンプ17を駆動することができない。例えば、最近では、排ガスの削減や燃費の向上のために、車両の停止時に所定の条件が成立した場合に、内燃機関を自動的に停止するいわゆるエコランシステムが開発されているが、この種のシステムを採用している車両において、上記のようにエンジン1の停止と同時にオイルポンプ17の駆動が停止すると、油圧が発生されなくなり、ベルト式無段変速機3に対する油圧の供給が停止する。その結果、走行途中での一時的な停車時にエンジン1が自動停止すると同時に、ベルト式無段変速機3がいわゆるニュートラル状態になってしまい、再発進時に、クラッチCLやブレーキBRの係合・解放状態が切り替わったり、またニュートラル状態から所定の変速比の設定状態に急激に変化することにより、出力トルクが急激に増大し、ショックが派生するなどの可能性がある。
そこで、この発明におけるオイルポンプの駆動装置は、エンジン1の回転数が変動する場合であっても、オイルポンプ17を安定して駆動することができるように構成されている。すなわち、エンジン1の運転が停止されたり、あるいはエンジン1の回転数が低下するなどして、エンジン1の回転数が変動する場合に、エンジン1が定常運転されていた際に蓄えたエネルギを利用してオイルポンプ17を駆動することで、ベルト式無段変速機3に対して必要な油圧を安定して供給することが可能なオイルポンプ駆動装置51が設けられている。
具体的には、このオイルポンプ駆動装置51は、エンジン1の動力によりオイルポンプ17を駆動するために、前述したように、エンジン1の動力(トルク)を直接出力軸21へ伝達するチェーン伝動機構20と、チェーン伝動機構20の出力軸21の回転数がオイルポンプ17の第1駆動軸18の回転数よりも高い場合に係合するワンウェイクラッチ22とが設けられていて、さらに、エンジン1のトルクによる運動(回転)エネルギを慣性力(慣性トルク)として蓄積することができるフライホイール52が設けられている。
すなわち、オイルポンプ17およびワンウェイクラッチ22と同一軸線上に、フライホイール52が配置されていて、そのフライホイール52の回転軸53と、オイルポンプ17の第2駆動軸19とが一体回転可能に連結されている。言い換えると、オイルポンプ17とフライホイール52とが、第2駆動軸19および回転軸53を介して、トルク伝達可能に直結されている。すなわち、この図1に示す第1の構成例においては、第1駆動軸18により構成される動力伝達系統が、この発明における第1トルク伝達系統に相当し、第2駆動軸19により構成される動力伝達系統が、この発明における第2トルク伝達系統に相当している。
上記の構成により、出力軸21の回転数が第1駆動軸18の回転数よりも大きく、出力軸21と第1駆動軸18との間に設けられているワンウェイクラッチ22が係合し、エンジン1の動力によりオイルポンプ17が駆動される場合に、オイルポンプ17とともにフライホイール52が駆動されることで、エンジン1の動力すなわち回転エネルギが、フライホイール52にその慣性トルクとして蓄えられる。
また、出力軸21の回転数が第1駆動軸18の回転数よりも小さく、出力軸21と第1駆動軸18との間に設けられているワンウェイクラッチ22が空転し、エンジン1とオイルポンプ17との動力伝達経路が遮断された場合であって、フライホイール52が慣性トルクを有している場合には、そのフライホイール52の慣性トルクによりオイルポンプ17が駆動される。
したがって、エンジン1が所定の回転数以上で安定して運転されている定常運転状態のときに、そのエンジン1が出力する動力によりオイルポンプ17を駆動するとともに、その動力による回転エネルギを、フライホイール52の慣性トルクとして蓄積することができる。そして、エンジン1の回転数が低下もしくはエンジン1が停止した場合に、定常運転状態でフライホイール52に蓄積された慣性トルクを利用してオイルポンプ17を駆動することができる。そのため、エンジン1の回転数が変動する場合であっても、オイルポンプ1を安定して駆動させ、油圧を必要とするベルト式無段変速機3の各部に安定して油圧を供給することができる。
(第2の構成例)
図2は、この発明におけるオイルポンプの駆動装置の第2の構成例を適用したFF車のスケルトン図である。この第2の構成例は、前述の図1で示した第1の構成例で説明したオイルポンプ駆動装置51に対して、エンジン1を始動させるための機構を付加した構成例である。したがって、図2において、前述の図1の構成と同様の部分には、図1に付した符号と同様の符号を付してその説明を省略する。
図2は、この発明におけるオイルポンプの駆動装置の第2の構成例を適用したFF車のスケルトン図である。この第2の構成例は、前述の図1で示した第1の構成例で説明したオイルポンプ駆動装置51に対して、エンジン1を始動させるための機構を付加した構成例である。したがって、図2において、前述の図1の構成と同様の部分には、図1に付した符号と同様の符号を付してその説明を省略する。
一般に、エンジン1を始動する際に、油温が低くオイルの粘性が高くなっている状態では、オイルの粘性抵抗が大きくなる。そのため、エンジン1の始動と同時にオイルポンプ17が駆動されたとしても、ベルト式無段変速機3の各部で必要とされる圧力まで油圧を上昇させる、いわゆる油圧の立ち上がりに時間が掛かり、油圧を必要とする装置各部に適正な油圧を迅速に供給できない場合があった。そこで、この発明におけるオイルポンプの駆動装置は、エンジン1の始動時に、エンジン1をクランキングするとともに、オイルポンプ17を駆動することができ、さらに、エンジン1のクランキングの有無およびオイルポンプ17の駆動・非駆動の組み合わせによる、エンジン1およびオイルポンプ17の作動状態を、適宜に選択的に切り換えることにより、エンジン始動時に装置各部に必要な適正な油圧を確保し、エンジン1を始動することができるように構成されている。
すなわち、図2において、エンジン1を始動する際にエンジン1をクランキングするスタータモータ62を駆動源として備え、そのスタータモータ62によりオイルポンプ17を駆動することができ、さらに、エンジン1およびオイルポンプ17の作動状態を、エンジン1の始動の状況あるいは運転状態に応じて適宜に切り換えることが可能なエンジン始動機構61が設けられている。
具体的には、エンジン始動機構61は、オイルポンプ17と同一軸線上で、オイルポンプ17のチェーン伝動機構20と反対側(図2の右側)に、スタータモータ62が配置されている。このスタータモータ62は、バッテリ(図示せず)から電力が供給されることにより駆動されて動力(トルク)を出力する電動モータ部(図示せず)と、電圧が印加されることにより起動し、スタータモータ62のロータ(図示せず)と一体回転するとともに軸線方向に移動可能なモータ出力軸63をその軸線方向に動作させるマグネットスイッチ部(図示せず)とを主体に構成されている。
より具体的には、上記のスタータモータ62のマグネットスイッチ部は、モータ出力軸63を、その延長軸線上でオイルポンプ17の方向(図1の左方向)に、印加される電圧の大小に応じて2段階に突出させられるように構成されている。すなわち、マグネットスイッチ部に所定の電圧値よりも低い低電圧VLが印加された場合は、モータ出力軸63を前記オイルポンプ17の方向の1段目の位置PVLに突出させ、マグネットスイッチ部に所定の電圧値よりも高い高電圧VHが印加された場合には、モータ出力軸63を1段目の位置PVLよりもさらに前記オイルポンプ17の方向に突出した2段目の位置PVHに突出させることができる構成となっている。
また、モータ出力軸63とオイルポンプ17の第2駆動軸19とが、モータ出力軸63が1段目の位置PVLに突出させられた場合に係合する第1クラッチ64を介して連結されている。すなわち、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に低電圧VLを印加することにより、この第1クラッチ64を係合させ、モータ出力軸63と第2駆動軸19とを動力伝達可能な状態に連結することができる構成となっている。したがって、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に低電圧VLが印加されるようにスタータモータ62に供給する電力を制御することで、スタータモータ62が出力するトルクによりオイルポンプ17のみを駆動することができる。すなわち、エンジン1が停止している状態で、スタータモータ62のトルクにより、エンジン1をクランキングせずにオイルポンプ17だけを駆動することができる。なお、この場合、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に高電圧VHが印加される場合と比較して、スタータモータ62に供給される電力量は少なくなり、スタータモータ62が出力するトルクも小さくなるが、オイルポンプ17を駆動するのに必要なトルクは、エンジン1をクランキングするのに必要なトルクに対して十分に小さいため、スタータモータ62が出力するトルクが小さくとも、オイルポンプ17を駆動することが可能である。
さらに、モータ出力軸63と、出力軸21に対して動力を伝達する伝動機構65とが、モータ出力軸63が2段目の位置PVHに突出させられた場合に係合する第2クラッチ66を介して連結されている。具体的には、伝動機構65は、出力軸21およびスプロケット25に一体的に形成もしくは固定された歯車67と、その歯車67と噛み合わされた歯車68と、その歯車68が一方(図2の左側)の端部に固定されたシャフト69と、そのシャフト69の他方(図2の右側)の端部に固定された歯車70とから構成されている。
一方、第2クラッチ66は、上記の伝動機構65の歯車70と、モータ出力軸63が2段目の位置PVHに突出させられた場合に歯車70と噛み合わされる歯車71とから構成されている。したがって、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に高電圧VHを印加することで、この第2クラッチ66を係合させ、すなわち歯車70と歯車71とを噛み合わせ、モータ出力軸63と出力軸21とを動力伝達可能な状態に連結することができる構成となっている。したがって、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に高電圧VHが印加されるようにスタータモータ62に供給する電力を制御することで、スタータモータ62が出力するトルクによりエンジン1をクランキングすることができる。
また、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に高電圧VHを印加して、スタータモータ62によりエンジン1をクランキングする際に、オイルポンプ17の第1駆動軸18の回転数がスタータモータ62のトルクにより駆動されている出力軸21の回転数よりも低い場合は、そのスタータモータ62のトルクにより、エンジン1をクランキングしつつ、オイルポンプ17を駆動することができる。
そして、第2駆動軸19のオイルポンプ17と第1クラッチ64との間には、第2駆動軸19に歯車72が一体的に形成もしくは固定されていて、その歯車72に、フライホイール73の回転軸74に一体的に形成もしくは固定された歯車75が噛み合わされるように、フライホイール73が配置されている。すなわち、この図2に示す第2の構成例においては、第1駆動軸18により構成される動力伝達系統が、この発明における第1トルク伝達系統に相当し、第2駆動軸19および歯車72と歯車75とによる歯車対により構成される動力伝達系統が、この発明における第2トルク伝達系統に相当している。
したがって、上記のように構成されるエンジン始動機構61は、スタータモータ62に供給する電力およびその電圧を制御することにより、エンジン1およびオイルポンプ17の作動状態を、3つの状態に区分して設定することができる。具体的には、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に低電圧VLが印加されるようにスタータモータ62に供給する電力を制御することで、エンジン1をクランキングせずにオイルポンプ17だけを駆動する第1の作動状態を設定することができる。また、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に高電圧VHが印加されるようにスタータモータ62に供給する電力を制御することで、エンジン1をクランキングし、かつオイルポンプ17を駆動する第2の作動状態を設定することができる。そして、スタータモータ62に供給する電力を“0”にすること、すなわちスタータモータ62に電力が供給されないように制御することで、エンジン1およびオイルポンプ17のいずれも駆動(クランキング)しない第3の作動状態を設定することができる。
上記の構成により出力軸21の回転数が第1駆動軸18の回転数よりも大きく、出力軸21と第1駆動軸18との間に設けられているワンウェイクラッチ22が係合し、エンジン1もしくはスタータモータ62の動力によりオイルポンプ17が駆動される場合に、オイルポンプ17とともにフライホイール73が駆動されることで、エンジン1もしくはスタータモータ62の動力による回転エネルギが、フライホイール73にその慣性トルクとして蓄えられる。
また、出力軸21の回転数が第1駆動軸18の回転数よりも小さく、出力軸21と第1駆動軸18との間に設けられているワンウェイクラッチ22が空転し、エンジン1およびスタータモータ62とオイルポンプ17との動力伝達経路が遮断された場合であって、フライホイール73が慣性トルクを有している場合には、そのフライホイール73の慣性トルクによりオイルポンプ17が駆動される。
したがって、エンジン1が所定の回転数以上で安定して運転されている定常運転状態のときに、そのエンジン1もしくはスタータモータ62が出力する動力によりオイルポンプ17を駆動するとともに、その動力による回転エネルギをフライホイール73の慣性トルクとして蓄積することができる。そして、エンジン1の回転数が低下もしくはエンジン1が停止した場合に、定常運転状態のときにフライホイール73に蓄積された慣性トルクを利用してオイルポンプ17を駆動することができる。そのため、エンジン1の回転数が変動する場合であっても、オイルポンプ1を安定して駆動させ、油圧を必要とするベルト式無段変速機3の各部に安定して油圧を供給することができる。
そしてさらに、エンジン1を始動する場合、具体的には、エンジンが停止している状態で、エンジンを始動させるための指令もしくは制御信号が出力されるエンジン始動モードが開始された場合に、そのエンジン始動モードの開始から所定時間T1が経過するまでの間、すなわち油温が低くオイルの粘性が高い状態であると判断される間は、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に低電圧VLが印加されるようにスタータモータ62に供給する電力を制御することで、エンジン始動機構61が第1の作動状態に設定され、その間オイルポンプ17のみが駆動される。
また、エンジン始動モードの開始から所定時間T1が経過した時点、すなわちオイルポンプが駆動され油圧が上昇するとともに油温が所定温度まで上昇したと判断された時点で、スタータモータ62のマグネットスイッチ部に高電圧VHが印加されるようにスタータモータ62に供給する電力を制御することで、エンジン始動機構61が第2の作動状態に切り換えられて設定され、オイルポンプ17が駆動されるとともに、エンジン1がクランキングされてエンジン1の始動が開始される。
そして、エンジン始動モードの開始から所定時間T1よりも長い所定時間T2が経過した時点、すなわちエンジン1のクランキングの開始から所定時間が経過してエンジン1の始動が完了したと判断された時点で、スタータモータ62に電力が供給されないように制御することで、スタータモータ62によるエンジン1のクランキングを停止し、スタータモータ62によりオイルポンプ17を駆動していた状態から、エンジン1の動力もしくはフライホイール73の慣性トルクによりオイルポンプ17を駆動する状態に切り換えることができる。
したがって、エンジン1の始動時に、油温が低くオイルの粘性が高い状態の場合に、エンジン始動機構61を第1の作動状態に設定し、予めオイルポンプ17のみを駆動させておき、その後、エンジン始動機構61を第2の作動状態に切り換えて設定してオイルポンプ17を駆動しつつエンジン1をクランキングして始動させることで、エンジン始動時のいわゆる油圧の立ち上がり遅れを回避し、油圧を必要とするベルト式無段変速機3の各部に、速やかにかつ適切に油圧を供給することができる。
ベルト式無段変速機3において、エンジン1の始動時に油圧の立ち上がりが遅くなると、前後進切り換え機構6のクラッチCLあるいはブレーキBRでの摩擦抵抗によるトルクが、ベルト式無段変速機構7に伝達されることで、ベルト滑りが発生する可能性がある。そこで、上記のように、エンジン始動機構61を制御・作動させて、エンジン1始動時の油圧の立ち上がり遅れを回避することで、エンジン1始動時のベルト式無段変速機3でのベルト滑りの発生を防止することができる。またその結果、クラッチCLあるいはブレーキBRのクラッチパック(隙間)を小さくすることができ、それらクラッチCLおよびブレーキBRのクラッチパックの管理を容易にし、係合・解放制御時の制御性を向上させることができる。ひいては、ベルト式無段変速機3の小型・軽量化、およびコスト低減を図ることができる。
なお、この発明は、上記の具体例に限定されないのであって、上記の具体例では、この発明を適用したエンジン始動機構が、エンジンの出力側に設けられたベルト式無段変速機を制御するための油圧を発生させるオイルポンプを駆動する例を示しているが、ベルト式無段変速機以外に、他の方式の無段変速機、あるいは有段の自動変速機など、油圧を必要とする他の形式の変速機、さらには油圧を必要とする変速機以外の他の産業機械・装置であってもよい。
そして、上記の具体例では、この発明を適用したエンジン始動機構が、FF方式の車両に搭載されている例を示しているが、FR方式あるいはその他の方式の車両、あるいは四輪駆動車両、さらには車両以外の他の産業機械・装置に搭載することも可能である。
1…エンジン、 2…クランクシャフト、 3…ベルト式無段変速機、 17…オイルポンプ、 18…第1駆動軸(第1トルク伝達系統)、 19…第2駆動軸(第2トルク伝達系統)、 20…チェーン伝動機構、 21…出力軸、 22…ワンウェイクラッチ、 51…オイルポンプ駆動装置、 52,73…フライホイール、 53,74…回転軸、 61…エンジン始動機構、 62…スタータモータ、 64…第1クラッチ、 66…第2クラッチ、 72,75…歯車。
Claims (5)
- オイルポンプの駆動軸とエンジンの出力軸との間でトルクを伝達する第1トルク伝達系統と、前記駆動軸とフライホイールの回転軸との間でトルクを伝達する第2トルク伝達系統とを備え、前記オイルポンプを前記エンジンの動力により駆動するとともに前記フライホイールの慣性力により駆動可能なオイルポンプの駆動装置において、
前記第1トルク伝達系統と前記出力軸との間に、前記出力軸の回転数よりも前記駆動軸の回転数が低い場合に係合し、前記出力軸の回転数よりも前記駆動軸の回転数が高い場合に空転するワンウェイクラッチが設けられていることを特徴とするオイルポンプの駆動装置。 - 始動時に前記エンジンをクランキングするとともに、前記オイルポンプを駆動可能なスタータモータを有するエンジン始動機構を更に備え、
前記エンジン始動機構は、前記エンジンをクランキングせずに前記オイルポンプを駆動する第1の作動状態と、前記エンジンをクランキングし、かつ前記オイルポンプを駆動する第2の作動状態と、前記エンジンおよび前記オイルポンプのいずれも駆動しない第3の作動状態とを選択的に切り換えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプの駆動装置。 - 前記エンジン始動機構は、前記エンジンを始動するべく設定されるエンジン始動モードが開始され、かつ未だ前記エンジンが停止している場合に、前記エンジン始動モードの開始から所定時間経過するまでは前記第1の作動状態を選択し、前記所定時間が経過した後に前記第2の作動状態を選択することを特徴とする請求項2に記載のオイルポンプの駆動装置。
- 前記エンジン始動機構は、前記エンジン始動モードが開始され、かつ前記第2の作動状態が選択された場合に、前記エンジン始動モードの開始から所定時間経過した後に前記第3の作動状態を選択することを特徴とする請求項3に記載のオイルポンプの駆動装置。
- 前記オイルポンプの駆動装置は、前記エンジンと、前記オイルポンプから供給される油圧により変速動作が制御されるベルト式無段変速機とが搭載された車両の前記オイルポンプを駆動する装置であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のオイルポンプの駆動装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010208602A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Honda Motor Co Ltd | ハイブリッド型車両用パワーユニットにおける潤滑構造 |
JP2011157987A (ja) * | 2010-01-29 | 2011-08-18 | Jtekt Corp | 油圧制御装置 |
JP2012508667A (ja) * | 2008-11-17 | 2012-04-12 | ロスマン,アラン | 車両の車台として蓄圧器を有するハイブリッド油圧駆動システム |
WO2016147784A1 (ja) * | 2015-03-17 | 2016-09-22 | ジヤトコ株式会社 | 車両制御装置、及びその制御方法 |
CN111810393A (zh) * | 2020-07-29 | 2020-10-23 | 安徽江淮汽车集团股份有限公司 | 用于车辆启停的机械油泵控制***及方法 |
-
2006
- 2006-11-21 JP JP2006314124A patent/JP2008128097A/ja active Pending
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