JP2008111212A - 感温変色性織物 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度によって色が可逆的に変化する感温変色性織物であって、優れた風合いと奇抜に見えない上品な色の変化を生じる織物を提供する。
【解決手段】経糸が普通糸からなり、緯糸が感温変色糸と当該感温変色糸より細い普通糸からなり、前記感温変色糸1〜2本と前記緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して緯糸列が構成され、前記感温染色糸が織り地表面にボカシ柄で現れるよう製織された織物。特に表面に現れる感温変色糸の割合が、織り地表面の20〜40%であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は温度によって色が可逆的に変化する感温変色性織物に関する。より詳しくは、色の変化が穏やかな感温変色性織物に関する。
従来、温度によって色が可逆的に変化する繊維は種々開発されており、これを利用した織布や不織布も存在する。これらの感温変色性繊維や布はその特性から、人形の髪の毛や衣装、ぬいぐるみの生地などとして用いられており、また乳児や病人の体温の変化を見るなど、健康状態の管理への活用も提案されている(特許文献1〜3)。
特開平9−76394号公報 特開2004−169252号公報 特開2004−114401号公報
しかし、上記感温変色性の製品は、玩具や装飾品として用いる場合は、いかに鋭敏に変色して意外性に富むかが重要であり、また、介護用品等として用いる場合も、いかに看護者に分かりやすく明確に変色するかに重点がおかれている。したがって、従来知られている感温変色性の布は、イベントなどで周囲の人間を驚かすための衣装やグッズに用いるには適していても、お洒落のために着る衣類や小物等に用いるには適していない。
また、感温変色糸を用いて織物を構成した場合、感温変色糸が通常の糸と比べて硬いため布地が硬くなり、風合いに劣るという問題も存在する。特に衣服に用いる場合は色合いだけでなく風合いや着心地も重要となる。
したがって本発明は、優れた風合いと奇抜に見えない上品な色の変化を生じる感温変色性織物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記問題点、すなわち、感温変色糸のみで織物を構成した場合、色の変化が鋭敏で奇抜な印象を与えるという問題および布地が硬くなり風合いが悪くなるという問題を解決するために試行錯誤を繰り返した結果、感温変色糸と感温変色糸以外の糸(以下、普通糸と呼ぶ)を併用し、その織り組織を下記の通りとすることにより、上記課題を解決することに成功した。
すなわち本発明は、経糸が普通糸からなり、緯糸が感温変色糸と当該感温変色糸より細い普通糸からなり、前記感温変色糸1〜2本と前記緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して緯糸列が構成され、前記感温染色糸が織り地表面にボカシ柄で現れるよう製織された織物である。
経糸を普通糸のみとし、緯糸を感温変色糸と当該感温変色糸より細い普通糸で構成し、感温変色糸1〜2本と緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して緯糸列を構成することにより、風合いに優れた織物となった。さらに、感温染色糸が織り地表面に均等に現れず、ボカシ柄で現れる構成とすることにより、色の変化や変色箇所の輪郭が直接的に出過ぎず、ぼんやりと曖昧に変色させることに成功した。
上記織物において、表面に現れる感温変色糸の割合が織り地表面の20〜40%(特に好ましくは20〜30%)であれば、色の変化がより自然であり好ましい。
また前記緯糸列は、200〜350デニールの感温変色糸1本と、100〜150デニールの緯糸用普通糸2〜3本(特に好ましくは2本)とを交互に配置して構成されることがより好ましい。
また前記感温変色糸が、10℃〜25℃の範囲の温度を境に変色する2種類の感温変色糸からなり、一方の感温変色糸が高温時に寒色系の色を示し低温時に暖色系の色を示す糸(A)であり、他方の感温変色糸が高温時に淡色系の色を示し低温時に濃色系の色を示す糸(B)であって、AとBとを2:1〜3:1の本数比で交互に用いることにより、高温時には涼しげに、低温時には暖かい感じに見えるとともに、高温時においても低温時においてもより深みのある色合いとなる。
本発明の感温変色性織物によれば、色の変化がゆっくりとぼかし風に起こるため、奇抜に見えることがなく、衣服や布製小物に加工した場合、色が変化するという意外性と優美で上品な印象を保つという、一見相反するように思える要求を同時に満たすことができる。そのため、和服等を始めとする衣類や和装用小物等に用いるのに非常に適している。
本発明において普通糸とは、感温変色糸以外の糸を意味し、絹、綿、麻等の天然繊維からなる糸であってもよく、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維からなる糸であってもよい。
後染めを行う場合は、感温変色糸とは染色性の異なる糸が好ましい。より好ましくは天然繊維からなる糸であり、特に好ましくは絹糸である。
本発明の感温変色糸には、公知の感温変色糸を用いることができる。例えば、特開2001−3225号公報に記載の 感温変色性物質をマイクロカプセルに内包してなる感温変色性粒状物を含有する塩化ビニリデン系樹脂組成物を溶融紡糸して得られる感温変色性繊維、特開2002−138322号公報に記載の ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系樹脂に熱可塑性樹脂がブレンドされた基体樹脂に、熱変色性顔料を分散状態に溶融ブレンドして形成された感温変色性繊維、特開2001−32131号公報等に記載の アクリロニトリル系重合体に対し、平均粒子径0.5〜30μmの熱変色性顔料の0.5〜40重量%が分散状態に含有されて繊維形態に構成されてなることを特徴とする感温変色性アクリル系合成繊維等からなる感温変色糸を挙げることができる。
市販品では、例えば旭化成ライフ&リビング株式会社からSaranArt(登録商標)TCとして販売されている感温変色糸を用いることができる。
本発明の感温変色性織物は、日常的な条件の下で色合いが変化することが好ましいため、織物に用いる感温変色糸は、10℃〜25℃の間に変色温度(色が変化する境の温度あるいは温度域)を有することが好ましく、15℃〜22℃の間に変色温度を有することがより好ましい。
感温変色糸の太さは100〜350デニールが好ましく、より好ましくは200〜350デニールである。糸が太すぎると、織物が硬くなるとともに変色が明確すぎる傾向がある。糸が細すぎると、強度が不足するため製織が困難となる。
緯糸用普通糸の太さは、感温変色糸より細ければよい。感温変色糸より緯糸用普通糸が太い場合は感温変色糸の色が視認しにくくなる。好ましい緯糸用普通糸の太さは80〜200デニールであり、より好ましくは100〜150デニール、特に好ましくは110〜130デニールである。
また、経糸用普通糸の太さは40〜100デニールが好ましく、50〜80デニールがより好ましい。
本発明において、緯糸列は感温変色糸1〜2本と緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して構成される。感温変色糸の割合が上記範囲より低い場合は色の変化が視認しにくく、上記範囲より高い場合は布地が硬く風合いに劣る。
ここで、感温変色糸1〜2本と緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して緯糸列が構成されるとは、感温変色糸と緯糸用普通糸が上記範囲内のいずれかの本数で交互に配置されていることを意味し、それぞれの本数は一定であっても変動してもよい。例えば、織物の緯糸列全体が、感温変色糸1本/普通糸2本の繰り返しのみで構成されても良く、あるいは感温変色糸1本/普通糸2本/感温変色糸2本/普通糸3本を一パターンとして繰り返されてもよく、あるいは感温変色糸1本/普通糸2本の繰り返しを基本とし、変則的に異なる本数が含まれるようにしてもよい。
また、必ずしも織物の全てが上記構成をとる必要はなく、感温変色効果を意図する部分が実質的に上記構成をとればよい。例えば織物の織り始めは、緯糸を普通糸のみとし、途中で感温変色糸を加えて上記範囲で交互に製織してもよい。
また、このように普通糸のみで製織する箇所を設ける場合、先染めした普通糸を用いて、高温時の織物の色と低温時の織物の色をそれぞれ表しておけば、織物がいずれか一方の色に変色している場合も他方の変色の色合いが分かって便利である。
なお、感温変色効果を意図する部分(感温変色箇所)が実質的に上記構成をとればよいとは、感温変色箇所の9割以上の緯糸列が上記範囲内であればよいことを意味し、例えば上記配列の繰り返しの中に普通糸4本や感温変色糸3本の箇所が点在していてもよい。
また、本発明の織物に用いる感温変色糸および普通糸は、一種類であっても複数種類であってもよい。例えば異なる色に変色する2種以上の感温変色糸を用いることができる。
また普通糸として、天然繊維の糸と合成繊維の糸を併用してもよく、あるいは同じ組成で、太さの異なる糸を用いてもよい。
本発明において、感温染色糸が織り地表面にボカシ柄で現れるよう製織されているとは、織り地表面に感温変色糸からなる柄が形成されており、この柄は縁部分になるほど感温変色糸の浮き数がいわばグラデーション状に減っていくよう構成されていることを意味する。言い換えれば、柄の縁がぼやけるように製織されている。すなわち、意匠紙に織物の組織図を描いた場合、感温変色糸からなる柄の部分は、柄の中から縁にかけて感温変色糸の密度が段階的に高〜低に推移していき、普通糸のなかに柄の縁がとけ込んでいくようになっている。
本発明の織物は、上記のごとくボカシ柄が現れる織り方であれば、織り組織の種類はなんでもよい。例えば、綾織り組織や朱子織り組織を基本とした変化組織であってもよく、多層織物であってもよい。好ましい一例として、綸子を挙げることができる。
好ましいボカシ柄の例として、例えば、たなびく雲、霞、流水等を模した柄、朽木調の柄など流動的な柄を挙げることができる。
本発明において寒色系の色とは、涼しげな感じを与える色を意味し、たとえば、水色や紺、紫等の青系統の色が挙げられる。
また、暖色系の色とは、暖かい感じを与える色を意味し、たとえば、赤、橙、黄、赤紫などの色が挙げられる。
また、濃色系の色とは、可視光吸収効果の高い色を意味し、たとえば、灰色、紺色、青色、紅色、濃緑色などが挙げられる。
また、淡色系の色とは、可視光吸収効果の低い色を意味し、たとえば白、ベージュ色、淡い黄色などの色が挙げられる。
以下、実施例において本発明をより具体的に説明する。なお、実施例における感温変色糸としては、旭化成ライフ&リビング株式会社の感温変色サラン(登録商標)繊維、SaranArt(登録商標)TCのTCSシリーズを用いた。変色温度(色が変化する境の温度)は約20℃である。
[風合いの検討1]
織物の風合いを改善するため、多数の織物を製織し、感温変色糸の割合とその配し方を検討した。代表的な実験データを以下に示す。
(A)経糸および緯糸に、321デニールの感温変色糸(綜合繊度321デニール 107.8デニール/本×撚合数3)のみを用いて平織りの織物を製織した。
(B)緯糸に321デニール(綜合繊度321デニール 107.8デニール/本×撚合数3)の感温変色糸を用い、経糸に62デニール(綜合繊度62デニール 31デニール/本×撚合数2)の絹糸を用いて平織りの織物を製織した。
(C)経糸に絹糸を用い、緯糸に感温変色糸と普通糸を併用して平織りの織物を構成した。経糸用の絹糸には62デニール(綜合繊度62デニール 31デニール/本×撚合数2)の絹糸を用い、緯糸の感温変色糸には321デニール(綜合繊度321デニール 107.8デニール/本×撚合数3)の感温変色糸を用い、緯糸用の絹糸には126デニール(綜合繊度126デニール 21デニール/本×撚合数6)の絹糸を用いた。
(C−I)感温変色糸2本と緯糸用絹糸1本を交互に配して緯糸列を構成した。
(C−II)感温変色糸1本と緯糸用絹糸1本を交互に配して緯糸列を構成した。
(C−III)感温変色糸1本と緯糸用絹糸2本を交互に配して緯糸列を構成した。
[結果]
(A)感温変色糸は普通糸と比べて重く硬いため、経糸と緯糸の両方に感温変色糸を用いると、得られる織物自体が重く硬くなり、風合いが悪かった。さらに、感温変色糸は、伸縮率が大きいため、生地幅および生地丈が変動するという問題もあった。特に、経糸を感温変色糸とすると生地丈が縮むため、量産には不適当であった。
(B)Aに比べて風合いが改善されたものの、まだ風合いが悪かった。
(C−I)風合いがよくなった。
(C−II)C−Iよりさらに風合いがよくなった。
(C−III)C−IIよりさらに風合いがよくなった。
[風合いの検討2]
実施例1の(C)と同様、経糸は普通糸とし、緯糸に感温変色糸と普通糸を併用し、その太さの関係や割合、緯糸の配列方法等を種々検討した。
緯糸用普通糸を感温変色糸より太い糸で構成した場合は、感温変色糸の色が視認しにくくなるという問題が生じた。また、織物自体が厚くなり皺になりやすいという問題、重くなり衣服用とすると着心地が悪くなるという問題も生じた。さらに、柄の表現が難しくなるという問題、後染めの際、普通糸の染め色が強く表面に現れるため、染上がりの全体の色の変化の濃度調整がより難しくなるという問題も生じた。
一方、感温変色糸を3本以上、あるいは緯糸用普通糸を4本以上続けて配列した場合は段差が生じるため、織物表面に凹凸が出現した。また、感温変色糸1本に対して緯糸用普通糸を4本以上用いると色の変化が視認しにくくなり、緯糸用普通糸1本に対して感温変色糸を3本以上用いると織物が重く硬くなり、風合いが悪くなった。
[結論]
緯糸に感温変色糸と当該感温変色糸より細い普通糸を用い、感温変色糸1〜2本と緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して緯糸列を構成した場合、風合いがよくなることが分かった。
実施例1〜2により、風合いを改善するという問題は解決されたものの、依然として、色の変化や変色箇所の輪郭が明確すぎるという問題が残った。
具体的には、織物全体の変色具合、すなわち環境温度を低温(変色温度より低い温度)から高温(変色温度より高い温度)、あるいは逆に高温から低温に移して、織物全体の色の変化を見たとき、織物の色の変化が迅速且つ明確で奇抜な印象を与えるという問題が残った。
また、織物の部分的な変色具合、すなわち環境温度低温時に高温の物を、あるいは環境温度高温時に低温の物を織物に押し当てた際、その箇所が押し当てた物の形にくっきりと素早く変色するという問題が残った。
[変色具合の検討]
変色具合を改善し、色がゆっくり移ろうように変化し、且つ、一部に温度の異なるものが接触した場合も、変色の境目や輪郭がくっきりと現れず、変色が緩やかに起こるような織物とするため、種々の織り組織にて多種類の織物を製織し、変色具合を検討した。
すなわち、実施例1および2の結果を踏まえて、経糸が普通糸からなり、緯糸が感温変色糸と当該感温変色糸より細い普通糸からなり、感温変色糸1〜2本と緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して緯糸列が構成された織物について、多種類の織物を製織した。
それらの織物について、環境温度を高→低に変化させたときの織物全体の色の変化(全体的変化)、および、それらの織物を変色温度より低温の環境においた上で、指を開いた状態の手の平を押し当てた場合の、手形の現れ具合(部分的変化)を評価した。
(A)無地柄[平織り・畝織り・斜子など、感温変色糸と普通糸が規則的に現れる柄]
全体的変化:表面に現れる感温変色糸の割合が少ないほど変色が穏やかになったが、いずれも鋭敏であった。
部分的変化:表面に現れる感温変色糸の割合が少ないほど薄くなったが、いずれも手の輪郭が明確に現れた。
(B)図柄[山道斜文・破れ斜文調の柄など、普通糸を背景として感温変色糸からなる絵柄を構成したもの]
全体的変化:いずれも図柄の部分だけが鋭敏に変色し、奇抜な印象を与えた。
部分的変化:手形が途切れるため全輪郭が現れることはないが、いずれも図柄部分での変色箇所と非変色箇所の境目が明確であった。
(C)飛び柄[砂子柄等、感温変色糸が不均一に現れるもの]
全体的変化:感温変色糸の浮き数を調節することにより変色の濃淡を調節することはできたが、色の変化がゆっくりに見えるという効果は得られなかった。
部分的変化:無地柄に比べて手形の変色が薄くなりぼやけた印象となったが、なお手形が認識できた。感温変色糸の浮き数をより少なくしたが、変色時の色は薄くなるものの手形は現れ、浮き数をさらに少なくすると、変色自体が視認できなくなった。
(D)ボカシ柄
全体的変化:ぼんやりと緩やかに変色した。色の変化がゆっくりに見えた。
部分的変化:手形は認識できなかった。また、変色がゆっくりと生じた。
[結論]
環境温度が変色温度をまたいで変化したときには、織物全体がぼんやりと移ろうように上品に変色し、環境温度と異なる温度域の物を織物に押し当てた際には、その物の輪郭が明確に現れず、ぼやけたように現れる柄を模索して試作を繰り返した結果、感温変色糸が織り地表面の全ての箇所に定量的に現れないよう、感温変色糸の浮き数の密度を場所により異ならせて感温変色糸による柄を構成し、さらに、柄の縁が直線をなさず、柄の縁部分にかけて感温変色糸の浮き数がグラデーション状に減っていくように製織することにより、所望の変色が達成できた。すなわち、感温変色糸が織り地表面にボカシ柄で現れるよう製織することにより、理想的な変色が達成できた。
ボカシ柄としては、たなびく雲、霞、流水等を模した流動的な柄が特に好ましかった。さらに、織り地表面に現れる感温変色糸の割合を検討した結果、織り地表面の20〜40%(特に20〜30%)の範囲とした際に、変色が特に上品となり好ましかった。
[織物の色合いの検討]
非変色時(高温時および低温時)の織物の色合いに深みを持たせるために、異なる種類の感温変色糸を用いて織物を製織し、低温時・高温時における色合いを検討した。
高温時には涼しげに見え、低温時には暖かく見えることを目的として、10℃〜25℃の範囲内に変色温度を有し、高温時には寒色系の色を示し低温時には暖色系の色を示す糸を用いて織物を構成したが、単一の感温変色糸を用いた場合、感温変色糸の色が強く現れて、色合いが単調に見える傾向があった。
織物地の色合いに深みを持たせるため、複数の感温変色糸を用いてその色の組み合わせを検討した結果、高温時に寒色系の色を示し低温時に暖色系の色を示す糸(A)を基本とし、それとは別の、高温時に淡色系の色を示し低温時に濃色系の色を示す糸(B)を併用し、さらにA:B=2:1〜3:1の本数比で交互に用いた場合に、織物の色合いに深みが加わり、陰影のある上品な色合いが達成できた。
具体的な例を挙げると、感温変色糸としてSaranArt(登録商標)TCを用いた場合、前記Aとして高温時に濃い水色、低温時に明るい赤紫色を示すTCS2010を用い、前記Bとして高温時に白色、低温時に紅色を示すTCS2012を用い、Aを3本、Bを1本の順に交互に用いた場合、深みのある優れた色合いを達成することができた。あるいはBとして、前記TCS2012の代わりに、高温時に白色、低温時に灰色を示すTCS2070を用いて同様に製織した場合にも優れた色合いを達成することができた。
以下、本発明の好ましい例を具体的に説明する。
感温変色糸として、高温時に濃い水色、低温時に明るい赤紫色を示すTCS2010(感温糸aと称する)と、高温時に白色、低温時に紅色を示すTCS2012(感温糸bと称する)の2種類を用いた。いずれも321デニール(綜合繊度321デニール 107.8デニール/本×撚合数3)のものを用いた。
緯糸用普通糸としては、126デニール(綜合繊度126デニール 21デニール/本×撚合数6)の絹白糸を用いた。
経糸用普通糸としては、62デニール(綜合繊度62デニール 31デニール/本×撚合数2)の絹白糸用いた。
幅約一尺(約37.8cm)あたり経糸を3840本使用した。
緯糸列は、感温変色糸1本と緯糸用絹糸2本とを交互に配置して構成し、さらに感温変色糸として感温糸a3本と感温糸b1本を交互に用いた。すなわち、
絹/絹/感温糸a/絹/絹/感温糸a/絹/絹/感温糸a/絹/絹/感温糸b
を一パターンとし、このパターンを繰り返して緯糸列を構成した。
緯糸の密度は一寸(約3.78cm)に150本とした(すなわち一寸中に上記パターンを12.5回繰り返した。一寸中感温変色糸50本、緯糸用絹糸100本)。
また、織り組織は綸子とし、織り地表面に現れる感温変色糸の柄は、図1に示すボカシ柄(あかね雲)とした。
得られた織物は柔らかく肌触りもよく、着物として仕立てるのに十分足りるほど優れた風合いを示した。また、ボカシ柄により意匠的にも上品なイメージを醸し出した。織物の色は約20℃を境として、高温時には淡い水色を示し、低温時には淡い紅色を示し、いずれも、ややくすんだような深みのある上品な色合いとなった。さらに、この織物をさまざまな色に後染めしたが、後染め後にも、同様にややくすんだ上品な色合いとなった。
織物を低温状態におき、手の平を押し当てた際の変色を確認した。押し当てた箇所がぼんやり変色したが、手形と認識できる形は現れなかった。また変色はゆっくりと浮かび上がるような優しいイメージで生じた。
織物を低温状態から高温状態、あるいはその逆に移して、織物全体の色の変化を確認した。変色はゆっくりと移ろうようにおこり、優美なイメージが保たれた。
さらに、感温変色糸の太さを214デニール(綜合繊度214デニール 107.8デニール/本×撚合数2)として、上記と同様の織物を製織した場合、生地がよりしなやかになり、風合いにより優れ、色加減もより微妙な織物を得ることができた。織物の全体的変化・部分的変化はどちらも上記と同様非常に望ましいものであった。
本発明にかかる織物のボカシ柄の一実例を示す図である。

Claims (4)

  1. 経糸が普通糸からなり、緯糸が感温変色糸と当該感温変色糸より細い普通糸からなり、前記感温変色糸1〜2本と前記緯糸用普通糸1〜3本とを交互に配置して緯糸列が構成され、前記感温染色糸が織り地表面にボカシ柄で現れるよう製織された織物。
  2. 表面に現れる感温変色糸の割合が、織り地表面の20〜40%である、請求項1に記載の織物。
  3. 前記緯糸列が、200〜350デニールの感温変色糸1本と、100〜150デニールの緯糸用普通糸2〜3本とを交互に配置して構成される、請求項1または2に記載の織物。
  4. 前記感温変色糸が、10℃〜25℃の範囲の温度を境に変色する2種類の感温変色糸からなり、一方の感温変色糸は高温時に寒色系の色を示し低温時に暖色系の色を示す糸であり、他方の感温変色糸は高温時に淡色系の色を示し低温時に濃色系の色を示す糸であって、前記一方の糸と他方の糸を2:1〜3:1の本数比で交互に用いたことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の織物。
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