JP2008106324A - 重ね抵抗溶接用高強度鋼板及び重ね溶接継手 - Google Patents

重ね抵抗溶接用高強度鋼板及び重ね溶接継手 Download PDF

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Abstract

【課題】ナゲット割れ感受性が低く、ナゲット内破断が発生しにくい重ね抵抗溶接用高強度鋼板及び重ね溶接継手を提供する。
【解決手段】引張強さが340MPa以上で、板厚tが0.5〜10mmの冷延鋼板又は熱延鋼板からなる鋼素材2の片面又は両面に、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、厚さがt/50以上かつt/5未満である鉄めっき層3a,3bを形成して、高強度鋼板1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、スポット溶接等による重ね抵抗溶接に好適な高強度鋼板及びこの高強度鋼板を溶接した重ね溶接継手に関し、特に、重ね合わせ面にめっき層又はクラッド層が設けられた重ね抵抗溶接用高強度鋼板及び重ね溶接継手に関する。
自動車車体の加工組立工程においては、通常、乗用車1台あたり3000〜5000点という多数のスポット溶接がなされている。従来、このような自動車用途には、表面に亜鉛又は亜鉛合金等からなるめっき層を形成しためっき鋼板が使用されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。例えば、特許文献1には、スポット溶接性を向上させるために、鋼板の表面に、亜鉛めっき層、鉄めっき層又は鉄亜鉛合金めっき層、アルカリ金属等を含む酸化防止層をこの順に形成した合金化亜鉛めっき鋼板が開示されている。また、特許文献2には、溶融亜鉛めっき及び合金化処理が困難な高Si添加高張力鋼板に対して、予備Feめっきを施してから、溶融亜鉛めっき及びその合金化処理を行う際に、予備Feめっきの目付け量、溶融亜鉛めっきの目付け量及び鋼中のSi含有量との関係を規定することにより、めっき又は塗装の密着性向上を図った高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されている。
更に特許文献3には、亜鉛めっき層上にFe−Ni−O系皮膜を金属換算で合計10〜1500mg/m形成し、更にこのFe−Ni−O系皮膜中のFe及びNiの総含有量に対するFe含有量の比を規定することにより、スポット溶接性向上を図った積層鋼板が開示されている。更にまた、特許文献4には、めっき層の耐剥離性及び摺動特性を向上させるため、最表面のFe含有率が最も高くなるようにめっき層中のFe濃度を傾斜させると共に、めっき表面に微細な凹凸を形成すること等により、このFe含有率が高い相を島状に存在させた合金化溶融めっき鋼板が開示されている。
一方、特許文献5には、引張り強度が1000MPaを超える超高強度鋼板の耐遅れ破壊特性を向上されるため、鋼素材の表面に厚さが1μm以上で、α相からなるFeめっき層を形成することが開示されている。
特開平4−191356号公報 特開平5−279829号公報 特開平9−254305号公報 特開2005−256041号公報 特開平7−173646号公報
しかしながら、前述の従来の技術には、以下に示す問題点がある。鋼板が高強度化するに伴い、スポット溶接部の強度が問題となっており、前述した特許文献1〜4に記載されているような亜鉛めっきを表面に施した高張力鋼板を、スポット溶接により重ね抵抗溶接した場合、引張せん断強さに関しては比較的問題が少ないが、十字引張試験を行うと、極端に強度が低下したり、ナゲット内に破断が生じやすいという問題点がある。
また、特許文献5に記載されているようなα相からなるFeめっき層が形成された高張力鋼板は、水素脆化による遅れ破壊を防止することを目的としたものであるため、前述したようなスポット溶接により形成した継手における溶接部の割れ感受性改善については何ら検討がなされていない。
本発明は、上述した問題点に鑑みてさなれたものであって、ナゲット割れ感受性が低く、ナゲット内破断が発生しにくい重ね抵抗溶接用高強度鋼板及び重ね溶接継手を提供することを目的とする。
本発明に係る重ね抵抗溶接用高強度鋼板は、引張強さが340MPa以上で、板厚tが0.5〜10mmの冷延鋼板又は熱延鋼板からなる鋼素材と、前記鋼素材の片面又は両面に設けられた鉄めっき層とからなり、重ね抵抗溶接に適用される高強度鋼板であって、前記鉄めっき層は、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、厚さがt/50以上かつt/5未満であることを特徴とする。
本発明に係る他の重ね抵抗溶接用高強度鋼板は、引張強さが340MPa以上で、板厚tが0.5〜10mmの冷延鋼板又は熱延鋼板からなる鋼素材と、前記鋼素材の片面又は両面に設けられた鉄クラッド層とからなり、重ね抵抗溶接に適用される高強度鋼板であって、前記鉄クラッド層は、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、厚さがt/50以上かつt/5未満であることを特徴とする。
これらの重ね抵抗溶接用高強度鋼板の前記鋼素材は、下記数式1で表される炭素当量Ceqが0.28以上であることが好ましい。なお、下記数式1における[C]はC含有量(質量%)、[Si]はSi含有量(質量%)、[Mn]はMn含有量(質量%)、[P]はP含有量(質量%)、[S]はS含有量(質量%)、[Al]はAl含有量(質量%)である。
Figure 2008106324
また、これらの重ね抵抗溶接用高強度鋼板における前記鉄めっき層又は前記鉄クラッド層は、上記数式1で表される炭素当量Ceqが0.20以下であることが好ましい。
本発明に係る重ね溶接継手は、前述した重ね抵抗溶接用高強度鋼板を、鉄めっき層又は鉄クラッド層が設けられている面を重ね合わせ面として、重ね抵抗溶接した重ね溶接継手であって、コロナボンドからナゲット径dnの1/5までの領域のナゲット組成は、C含有量(質量%)を[C]、Si含有量(質量%)を[Si]、Mn含有量(質量%)を[Mn]、P含有量(質量%)を[P]、S含有量(質量%)を[S]、Al含有量(質量%)を[Al]としたとき、上記数式1で表される炭素当量Ceqが0.24以下となっていることを特徴とする。
この重ね溶接継手は、スポット溶接されたものであってもよい。
本発明によれば、鋼素材の表面に炭素当量が低い鉄めっき層を設けているため、重ね抵抗溶接時にこの鉄めっき層によりコロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量が希釈され、ナゲット割れ感受性を低減し、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、鋼組成における質量%は、単に%と記載する。
先ず、本発明の第1の実施形態に係る抵抗溶接用高強度鋼板(以下、単に高強度鋼板ともいう。)について説明する。図1は本実施形態の高強度鋼板の構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の高強度鋼板1は、板厚tが0.5〜10mmで、引張強さが340MPa以上の高張力鋼板からなる鋼素材2の表面に、厚さが鋼素材2の板厚tの1/50以上でかつ1/5未満である鉄めっき層3a,3bが形成された鉄めっき鋼板である。この高強度鋼板1の鉄めっき層3a,3bは、含有する各成分のうち、Cを0.1%以下、Siを1.4%以下、Mnを2.0%以下、Pを0.15%以下、Sを0.03%以下、Alを0.1%以下に規制した軟鋼からなり、そのマイクロビッカース硬さ(MHv)は例えば130以下である。
なお、本実施形態の高強度鋼板1における鋼素材2は、冷延鋼板又は熱延鋼板のどちらでもよい。また、図1においては、鋼素材2の両面に鉄めっき層3a,3bを形成したものを示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、鉄めっき層は鋼素材2の少なくとも一方の面に形成されていればよい。
以下、本実施形態の高強度鋼板の鉄めっき層に関する数値限定理由について説明する。
組成:C含有量0.1%以下,Si含有量1.4%以下,Mn含有量2.0%以下,P含有量0.15%以下,S含有量0.03%以下,Al含有量0.1%以下
鉄めっき層に含まれる各成分のうち、C含有量が0.1%を超えるか、Si含有量が1.4%を超えるか、Mn含有量が2.0%を超えるか、P含有量が0.15%を超えるか、S含有量が0.03%を超えるか、又はAl含有量が0.1%を超えると、スポット溶接で重ね抵抗溶接した場合にナゲット割れ感受性が高くなる。その結果、継手の十字引張り試験においてナゲット内破断が発生する。よって、C含有量は0.1%以下、Si含有量は1.4%以下、Mn含有量は2.0%以下、P含有量は0.15%以下、S含有量は0.03%以下、Al含有量は0.1%以下に規制する。なお、これらの成分の含有量は0%でもよい。また、鉄めっき層は、上記各成分以外に、例えば、Ti:1.0%以下、Nb:0.3%以下、Cr:3.0%以下、Mo:0.5%以下、V:0.3%以下、W:0.3%以下、Zr:0.3%以下、B:0.02%以下を含有していてもよい。なお、鉄めっき層における上記以外の成分、即ち残部は、Fe及び不可避的不純物である。
厚さ:t/50以上かつt/5未満
鉄めっき層の厚さが鋼素材の板厚tの1/50未満の場合、鉄めっき層を設けた効果が得られず、スポット溶接で重ね抵抗溶接した場合にナゲット割れ感受性が高くなる。その結果、継手の十字引張り試験においてナゲット内破断が発生する。一方、鉄めっき層の厚さが鋼素材の板厚tの1/5以上になると、高強度鋼板の総厚に対して、鋼素材よりも低強度の鉄めっき層が占める割合が大きくなるため、継手全体としての強度が低下する。よって、鉄めっき層の厚さはt/50以上かつt/5未満とする。
また、本実施形態の高強度鋼板においては、鋼素材2として、下記数式2で表される炭素当量Ceqが例えば0.28以上の鋼材を使用することができる。本発明は、このように通常のスポット溶接を行うとナゲット割れ感受性が大きくなる鋼材に適用することで、著しい効果を得ることができるものであり、そのナゲット割れ感受性をより低減し、ナゲット内破断の発生を抑制する効果を著しく向上させることができる。なお、下記数式2における[C]はC含有量(%)、[Si]はSi含有量(%)、[Mn]はMn含有量(%)、[P]はP含有量(%)、[S]はS含有量(%)、[Al]はAl含有量(%)である。
Figure 2008106324
更に、本実施形態の高強度鋼板における鉄めっき層3a,3bは、上記数式2で表される炭素当量Ceqを0.20以下に規制することが望ましい。これにより、重ね抵抗溶接した際に、鉄めっき層3a,3bにより鋼素材2が希釈されるため、コロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量Ceqを0.24以下に低減することができる。その結果、接合部におけるナゲット割れ感受性をより低くし、ナゲット内破断の発生を抑制する効果を大幅に向上させることができる。
次に、本実施形態の高強度鋼板の製造方法について説明する。本実施形態の高強度鋼板は、板厚tが0.5〜10mmで、引張強さが340MPa以上の高張力鋼板からなる鋼素材2の片面又は両面に、電気めっき法等の公知のめっき方法により、厚さがt/50以上かつt/5未満の鉄めっき層3a,3bを形成することにより製造することができる。例えば、電気めっき法により鉄めっき層3a,3bを形成する場合は、硫酸第一鉄及び硫酸アンモニウムを含有する硫酸浴中に鋼素材2を浸漬して、所定の電流密度で通電し、鋼素材2の表面に鉄をめっきする。その際、鉄めっき層3a,3bの厚さがt/50以上かつt/5未満の範囲内となるように、電流密度又は通電時間を調整する。
本実施形態の高強度鋼板においては、鋼素材の表面に炭素当量Ceqが低い軟鋼からなる鉄めっき層を設けると共に、その厚さを適正化しているため、重ね抵抗溶接した際に、この鉄めっき層により鋼素材が希釈され、コロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量Ceqを低減することができる。その結果、接合部におけるナゲット割れ感受性を低減し、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。本実施形態は、特に、鋼素材の炭素当量Ceqが0.28以上である場合に有効であり、更に、鉄めっき層の炭素当量Ceqを0.20以下とすることにより、溶接継手のコロナボンド近傍のナゲット内組成の炭素当量Ceqを0.24以下にまで低減することができ、前述した効果をより高めることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る高強度鋼板について説明する。本実施形態の高強度鋼板は、板厚tが0.5〜10mmで、引張強さが340MPa以上の高張力鋼板からなる鋼素材の少なくとも一方の面に、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、厚さがt/50以上でかつt/5未満である鉄クラッド層を設けたものである。この鉄クラッド層の引張り強さは、例えば440MPa以下である。
以下、本実施形態の高強度鋼板の鉄クラッド層の厚さの数値限定理由について説明する。なお、鉄クラッド層の組成についての数値限定理由は、前述した第1の実施形態の高強度鋼板における鉄めっき層の理由と同様である。
厚さ:t/50以上かつt/5未満
鉄クラッド層の厚さが鋼素材の板厚tの1/50未満の場合、鉄クラッド層を設けた効果が得られず、スポット溶接で重ね抵抗溶接した場合にナゲット割れ感受性が高くなる。その結果、継手の十字引張り試験においてナゲット内破断が発生する。一方、鉄クラッド層の厚さが鋼素材の板厚tの1/5以上になると、高強度鋼板の総厚に対して、鋼素材よりも低強度の鉄クラッド層が占める割合が大きくなるため、継手全体としての強度が低下する。よって、鉄めっき層の厚さはt/50以上かつt/5未満とする。
また、本実施形態の高強度鋼板は、鋼素材として、上記数式2で表される炭素当量Ceqが例えば0.28以上の鋼材を使用することができ、これにより、このような鋼材のナゲット割れ感受性をより低減し、ナゲット内破断発生の抑制効果を向上させることができる。更に、鉄クラッド層は、上記数式2で表される炭素当量Ceqを0.20以下に規制することが望ましく、これにより、重ね抵抗溶接した際に、鉄クラッド層により鋼素材が希釈され、コロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量を低減することができる。その結果、接合部におけるナゲット割れ感受性をより低くし、ナゲット内破断の発生を抑制する効果を大幅に向上させることができる。
次に、本実施形態の高強度鋼板の製造方法について説明する。本実施形態の高強度鋼板は、高張力鋼板からなる鋼素材の片面又は両面に、圧延又は爆着等の公知の方法で所定の厚さの鉄板をクラッドすることにより製造することができる。その際、鋼素材の板厚が0.5〜10mm、クラッド層の厚さが30〜100μmとなるように、加工前の鋼素材及び鉄板の厚さ、及びクラッド条件を設定する。
本実施形態の高強度鋼板においては、鋼素材の表面に炭素当量Ceqが低い軟鋼からなり、厚さを適正化した鉄クラッド層を設けているため、重ね抵抗溶接した際に、この鉄クラッド層により鋼素材が希釈され、コロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量Ceqを低減することができる。その結果、接合部におけるナゲット割れ感受性を低減し、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。
この構成は、鋼素材の炭素当量Ceqが0.28以上である場合に特に有効であり、更に、鉄クラッド層の炭素当量Ceqを0.20以下とすることにより、溶接継手のコロナボンド近傍のナゲット内組成の炭素当量Ceqを0.24以下に低減することができ、これにより、前述した効果をより向上させることができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る重ね溶接継手について説明する。図2は本実施形態の重ね継手の構成を示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の重ね継手11は、前述した第1の実施形態の高強度鋼板1を重ね合わせて、スポット溶接等による重ね抵抗溶接したものである。そして、重ね継手11におけるナゲット13は、コロナボンド12からナゲット径dnの1/5までの領域13aで、上記数式2で表される炭素当量Ceqが0.24以下となる組成になっている。なお、図2においては、鋼素材2の両面に鉄めっき層3a,3bが設けられたものを示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、片面にのみ鉄めっき層が設けられた高強度鋼板を使用する場合は、鉄めっき層が設けられている面を重ね合わせ面として、重ね抵抗溶接されていればよい。
次に、本実施形態の重ね溶接継手のナゲット組成における数値限定理由について説明する。コロナボンドからdn/5までの領域13aのナゲット組成の炭素当量Ceqが0.24を超えると、ナゲット内の硬さが増すと共に、結晶粒界にP及びS等の金属介在物が偏析するため、ナゲット割れ感受性が高くなり、十字引張り試験においてナゲット内破断が発生する。よって、コロナボンド12からdn/5までの領域13aのナゲット組成における炭素当量Ceqは0.24以下とする。これにより、ナゲット割れ感受性をより低減し、ナゲット内破断の発生の抑制効果を向上させることができる。
次に、本実施形態の重ね溶接継手の製造方法、即ち、前述した第1の実施形態の高強度鋼板を使用して重ね溶接する方法について説明する。本実施形態の重ね溶接継手を製造する際は、先ず、図2に示すように、2枚の高強度鋼板1を鉄めっき層が設けられている面同士を重ね合わせた後、その重ね合わせ部の両側に1対の電極14を配置して加圧し、溶接電流を流すスポット溶接等の方法でその重ね合わせ部分を抵抗溶接する。
本実施形態の重ね溶接継手においては、表面に鋼素材の表面に、炭素当量Ceqが例えば0.20以下と低い組成で、適正化された厚さの鉄めっき層3a,3bが設けられた高強度鋼板1を使用することにより、重ね抵抗溶接した際に、鋼素材中の炭素当量Ceqが鉄めっき層3a,3bにより希釈され、コロナボンド12近傍のナゲット13内組成における炭素当量Ceqが0.24以下になるようにしている。これにより、接合部におけるナゲット割れ感受性を低減して、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。
次に、本発明の第4の実施形態の重ね溶接継手について説明する。本実施形態の重ね継手は、前述した第2の実施形態の高強度鋼板、即ち、鋼素材の表面に鉄クラッド層が設けられた高強度鋼板を使用している以外は、前述の第3の実施形態の重ね溶接継手と同様である。
本実施形態の重ね溶接継手は、鋼素材の表面に、炭素当量Ceqが例えば0.20以下と低い軟鋼からなり、厚さを適正化した鉄クラッド層が設けられた高強度鋼板を使用し、重ね抵抗溶接した際に、鉄クラッド層により鋼素材の炭素当量Ceqが希釈され、コロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量Ceqが0.24以下になるようにしているため、前述の第3の実施形態の重ね溶接継手と同様に、接合部におけるナゲット割れ感受性を低減し、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。
なお、前述の第3及び第4の実施形態の重ね溶接継手においては、同種の高強度鋼板同士を溶接しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、被接合材(母材)の一方が前述した第1又は第2の実施形態の高強度鋼板であればよく、例えば第1又は第2の実施形態の高強度鋼板と異種材との接合であっても、ナゲット割れ感受性を低減し、ナゲット内破断の発生を抑制するという本発明の効果は得られる。
以下、本発明の実施例及び本発明の範囲から外れる比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、先ず、下記表1に示す鋼素材の表面に、下記表2に示す組成の鉄めっき層又は鉄クラッド層を設けて、母材(被接合材)となる鉄めっき鋼板及び鉄クラッド鋼板を作製した。なお、下記表1及び表2に示す鋼組成の残部は、Fe及び不可避的不純物である。また、下記表1及び表2におけるT−Alは固溶アルミニウム、並びにアルミニウムの酸化物及び窒化物等の析出物を含めたアルミニウムの総含有量であり、下記表2におけるT−Tiは固溶チタン、並びにチタンの酸化物及び窒化物等の析出物を含めた総チタンの総含有量である。更に、下記表1及び表2においては、本発明の範囲から外れるものに下線を付して示している。
Figure 2008106324
Figure 2008106324
次に、上述した方法で作製した鉄めっき鋼板又は鉄クラッド鋼板を、めっき層又はクラッド層が設けられている面を重ね合わせ面として重ね抵抗溶接し、実施例1,5及び比較例2,3,6,7の重ね溶接継手を作製した。また、比較のために、めっき層及びクラッド層を設けていない鋼素材を、重ね抵抗溶接して比較例4,8の重ね溶接継手とした。その際の溶接条件は、直径が16mmのCF形のCr−Cu合金電極を使用し、下記表3に示す溶接電流で、実施例1及び比較例2〜4の継手は、電極先端の直径を4.5mm、加圧力を2.8kN、通電時間を10サイクルとし、実施例5及び比較例6〜8の継手は、電極先端の直径を7.5mm、加圧力を10.0kN、通電時間を25サイクルとした。そして、実施例及び比較例の各溶接継手について、そのナゲット径、コロナボンドからナゲット径dnの1/5までの領域のナゲット組成における炭素当量Ceqを測定すると共に、JIS Z 3137に基づいて十字引張り試験を行い、その破断形態を強さを調べて評価した。その結果を下記表3にまとめて示す。なお、下記表3に示す十字引張り試験結果の破断形態において、P/Bは母材部プラグ破断を示し、P/Nはナゲット内プラグ破断を示す。
Figure 2008106324
上記表3に示すように、めっき層又はクラッド層の組成が本発明の範囲から外れている比較例No.2,6の継手、及びめっき層又はクラッド層の厚さが本発明の範囲から外れているNo.3,7の継手は、十字引張り試験の結果、ナゲット内破断が発生した。また、めっき層又はクラッド層を設けていない鋼素材同士を溶接した比較例No.4,8の継手も同様に、十字引張り試験の結果、ナゲット内破断が発生した。これに対して、本発明の範囲内で作製した鋼板を溶接した実施例No.1,5の継手は、十字引張り試験の結果、母材部プラグ破断となり、ナゲット内破断は発生しなかった。
本発明の第1の実施形態に係る高強度鋼板の構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る重ね溶接継手の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 高強度鋼板
2 鋼素材
3a,3b 鉄めっき層
11 重ね溶接継手
12 コロナボンド
13 ナゲット
13a コロナボンド12からdn/5までの領域
14 電極

Claims (6)

  1. 引張強さが340MPa以上で、板厚tが0.5〜10mmの冷延鋼板又は熱延鋼板からなる鋼素材と、前記鋼素材の片面又は両面に設けられた鉄めっき層とからなり、重ね抵抗溶接に適用される高強度鋼板であって、
    前記鉄めっき層は、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、厚さがt/50以上かつt/5未満であることを特徴とする重ね抵抗溶接用高強度鋼板。
  2. 引張強さが340MPa以上で、板厚tが0.5〜10mmの冷延鋼板又は熱延鋼板からなる鋼素材と、前記鋼素材の片面又は両面に設けられた鉄クラッド層とからなり、重ね抵抗溶接に適用される高強度鋼板であって、
    前記鉄クラッド層は、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、厚さがt/50以上かつt/5未満であることを特徴とする重ね抵抗溶接用高強度鋼板。
  3. 前記鋼素材は、C含有量(質量%)を[C]、Si含有量(質量%)を[Si]、Mn含有量(質量%)を[Mn]、P含有量(質量%)を[P]、S含有量(質量%)を[S]、Al含有量(質量%)を[Al]としたとき、下記数式で表される炭素当量Ceqが0.28以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重ね抵抗溶接用高強度鋼板。
    Figure 2008106324
  4. 前記鉄めっき層又は前記鉄クラッド層は、C含有量(質量%)を[C]、Si含有量(質量%)を[Si]、Mn含有量(質量%)を[Mn]、P含有量(質量%)を[P]、S含有量(質量%)を[S]、Al含有量(質量%)を[Al]としたとき、下記数式で表される炭素当量Ceqが0.20以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の重ね抵抗溶接方法。
    Figure 2008106324
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の重ね抵抗溶接用高強度鋼板を、鉄めっき層又は鉄クラッド層が設けられている面を重ね合わせ面として、重ね抵抗溶接した重ね溶接継手であって、
    コロナボンドからナゲット径dnの1/5までの領域のナゲット組成は、C含有量(質量%)を[C]、Si含有量(質量%)を[Si]、Mn含有量(質量%)を[Mn]、P含有量(質量%)を[P]、S含有量(質量%)を[S]、Al含有量(質量%)を[Al]としたとき、下記数式で表される炭素当量Ceqが0.24以下となっていることを特徴とする重ね溶接継手。
    Figure 2008106324
  6. スポット溶接されたものであることを特徴とする請求項5に記載の重ね溶接継手。
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