JP2008103156A - 燃料電池システム及び燃料電池の含水量制御方法 - Google Patents

燃料電池システム及び燃料電池の含水量制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度検出に異常があった場合でも燃料電池の停止時における含水量を次回の燃料電池始動に悪影響を与えない燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池(100)のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部(54)、測定された燃料電池のインピーダンスが、予め設定された目標値となるように掃気処理する掃気処理制御部(55)を備える。掃気処理制御部(55)は、燃料電池(100)の温度検出に異常があると判定された場合に、正常時に設定する値(ZA)よりも大きなインピーダンス(ZB)を制御目標値として設定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、燃料電池システム及び燃料電池の含水量制御方法に係り、特に燃料電池の温度検出に異常があった場合でも燃料電池の含水量を次回のシステム始動が可能な範囲にする燃料電池システム及び燃料電池の含水量制御方法に関する。
燃料電池は発電のための電気化学反応により水分を生成するものである。燃料電池システムの停止時における燃料電池の含水量が多すぎると、低温時に凍結して燃料ガスの拡散を阻害する。逆に燃料電池の含水量が少なすぎると、燃料電池の内部インピーダンスが高くなり過ぎて適切な含水量に戻るまでの間、燃料電池の出力が低下してしまう。このため、システム停止時における燃料電池の含水量は所定の範囲に制御されていることが好ましい。
従来、料電池の含水量を制御する方法として、例えば、特開2002−246053号公報には、燃料電池の残留水分量に基づいて、制御開始時には燃料電池の出力電流を大きくして水分蒸発速度を向上させ、残留水分量の変化に応じて出力電流を小さくしていくようにした発明が記載されている(特許文献1、落0051)。燃料電池の温度が上限温度Tmax〜下限温度Tminの範囲に維持されるように、温度制御をしている(段落0047〜0048)。この発明によれば、高温による電解質破壊を防止する一方で、残留水分の蒸発量が少な過ぎないように温度制御しながら、電流を一定に制御した場合に比較して、残留水分量と蒸発速度の向上を両立させ、短時間で効率よく残留水分を除去できていた(段落0051)。
一方、燃料電池の含水量は、燃料電池の含水量が燃料電池の内部インピーダンスと相関関係があることから、インピーダンスを測定することにより推定する方法が用いられていた。例えば、特開2003−86220号公報には、燃料電池の出力信号に正弦波信号を印加して燃料電池のインピーダンスを計測することで、燃料電池の内部水分量不足時に増加する抵抗成分R1と、内部水分量過剰時に増加する抵抗成分R2とから燃料電池の水分状態を推定する燃料電池システムが記載されている(特許文献2)。
特開2002−246053号公報 特開2003−86220号公報
上記のように、燃料電池の温度は、燃料電池の電解質膜の破壊防止や蒸発量制御に用いられるだけでなく、インピーダンスに基づいて含水量を正確に推定する上でも必須の要素である。実際には、燃料電池におけるインピーダンスは温度に対して変化するという温度特性があることも判っている。温度を検出することなく正確な含水量制御はできないのである。
しかしながら、システムの安全対策として、温度センサ等の温度検出手段に異常を生じた場合のことを考慮しなければならない。温度センサに異常が検出されても電解質膜を破壊しない程度の温度で運転することは可能であるが、燃料電池の温度が正確に把握されないとインピーダンスの演算値が温度に応じて補正されず、不正確な含水量が推定されてしまう。またインピーダンス測定によらず燃料電池の温度変化に基づいて掃気処理を実施するシステムの場合には、掃気処理の時間や空気量が全く制御できなくなる可能性もあった。
例えば、もしも含水量が適切な範囲より多いと、次回の始動時に燃料電池の電解質膜におけるガス交換を過剰な水分が阻害し、燃料電池の始動ができなくなる可能性があった。また寒冷地では停止時において残留水分が凍結し電解質膜を破壊する可能性もあった。逆に含水量が適切な範囲より少ないと、燃料電池のインピーダンスが正常運転時に比べて高くなりすぎて出力電圧を下げる結果、パワー不足となってしまう可能性があった。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、温度検出に異常があった場合でも燃料電池の停止時における含水量を次回の燃料電池始動に悪影響を与えないように制御可能な燃料電池システム及び含水量制御方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、燃料電池の含水量を制御する燃料電池システムにおいて、燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、該燃料電池の運転時における含水量を該燃料電池の停止時の含水量目標範囲に維持するように掃気処理することを特徴とする。
また、本発明の含水量制御方法は、燃料電池の含水量を制御する含水量制御方法において、燃料電池の温度検出に異常があるか否かを判定するステップと、該燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、該燃料電池の運転時における含水量を該燃料電池の停止時の含水量目標範囲に維持するように掃気処理するステップと、を備えたことを特徴とする。
燃料電池の温度検出に異常がある場合に適切に含水量を制御してシステムを停止しないと、次回にシステム起動不可能となったり出力不足となったりする。この点、本発明によれば、燃料電池の温度検出に異常があるか否かが判定され、異常があると判定された場合には、燃料電池の停止時の含水量として適当な含水量目標範囲に含水量が制御される。このため、次回に含水量が多すぎて起動不可能となることを防止し、また、含水量が少なすぎて燃料電池の出力不足となることを抑制可能である。
ここで、「含水量目標範囲」とは、燃料電池システムの停止時に燃料電池内部に残留している水分量として、次回の始動時に水分量が多すぎてガス交換を妨げ始動不能になる水分量より少なく、かつ、水分量が少なすぎて始動時の燃料電池の出力電力が小さくなりすぎる水分量より多い範囲をいう。当該含水量目標範囲は、システム毎に定まる固有の値であり実験等により設定可能である。
例えば本発明の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、測定された該燃料電池のインピーダンスが、予め設定された目標値となるように掃気処理する掃気処理制御部と、を備え、該掃気処理制御部は、前記燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、正常時に設定する値よりも大きなインピーダンスを該目標値として設定することは好ましい。
同様に本発明の含水量制御方法において、該燃料電池のインピーダンスを測定するステップと、測定された該燃料電池のインピーダンスが、予め設定された目標値となるように掃気処理するステップと、該燃料電池の温度検出に異常があるか否かを判定するステップと、該燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、正常時に設定する値よりも大きなインピーダンスを該目標値として設定するステップと、を備えていることは好ましい。
燃料電池システムでは、測定されたインピーダンスに基づいて燃料電池の含水量が推定され含水量が制御される。この含水量は、インピーダンスの測定値がインピーダンスの目標値に収束するように制御される。本発明によれば、温度検出に異常があると判断された場合には、正常時に設定する値よりも大きいインピーダンスが含水量制御の目標値として設定される。正常時に設定される値よりも大きなインピーダンスを目標値に設定することで、正常時よりも含水量が少ない状態で燃料電池が運転されることになる。つまり、この含水量は、停止時の含水量目標範囲に入っている。よって、燃料電池をこの含水量のまま、または、僅かな掃気処理の後に停止させたとしても、正常時よりも乾燥された状態の残留水分量となるので次回のシステム始動時に始動が不能となることを防止可能である。ここで、「正常時に設定する値よりも大きなインピーダンス」は、停止時の含水量としてシステム起動が可能な程度のインピーダンスということになる。
具体的には、設定される前記目標値は、前記燃料電池の停止時におけるインピーダンス目標値であることが挙げられる。「燃料電池の停止時におけるインピーダンス」は、次回のシステム始動時に確実に起動でき、出力不足とならない値に選ばれている。本発明では、この燃料電池の停止時におけるインピーダンスとなるよう運転制御されるので、燃料電池の運転時における含水量がシステム停止時の含水量、すなわち、システム始動性と出力低下防止の可能性の双方の観点から最適値に含水量が維持されている。よって、この含水量のまま、または、僅かな掃気処理の後に燃料電池システムを停止させたとしても、次回のシステム始動時の確実性が確保でき、かつ、通常どおりの出力を確保可能である。
なお、ここでインピーダンスを停止時における目標値に設定することで運転時の燃料電池の出力は低下するが、この程度の影響は、次回にシステムが始動できないことに比べればシステム異常時の対策として許容できるものである。
ここで、前記燃料電池の停止時において測定された前記燃料電池のインピーダンスが前記燃料電池の停止時のインピーダンス目標値以上となった場合に、前記掃気処理を停止するようにすることができる。また前記燃料電池の停止時において測定された前記燃料電池のインピーダンスが前記燃料電池の停止時のインピーダンス目標値以上となった場合に前記掃気処理を停止するステップを備えるようにできる。
本発明によれば、運転時における燃料電池のインピーダンス目標値が、既に燃料電池の停止時におけるインピーダンス目標値に維持されているので、燃料電池の停止時の掃気処理に入って初めてのインピーダンス測定でこの条件に合致しシステムが停止する。しかしながら、本発明では、既に停止時のインピーダンスに対応させて含水量が制御されているので、掃気処理が直ぐに停止されたとしても、次回のシステム起動に影響を及ぼさない含水量のままシステムを停止できる。
本発明によれば、本発明によれば、燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合には、燃料電池の停止時の含水量として適当な含水量目標範囲に含水量が制御される。このため、次回に含水量が多すぎて起動不可能となることを防止し、また、含水量が少なすぎて燃料電池の出力不足となることを抑制可能である。
次に本発明を実施するための好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態は、電気自動車に搭載するハイブリッド燃料電池システムに本発明を適用したものである。以下の実施形態は本発明の適用形態の単なる例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
(構造の説明)
図1は、本発明の実施形態1に係る燃料電池システムの電気系における全体構成を示す構成図を示す。
図1に示す燃料電池システムの電気系は、燃料電池100、燃料電池100にアノードガスである水素ガスを供給するアノードガス供給系1、燃料電池100にカソードガスである空気を供給するカソードガス供給系2、燃料電池100を冷却する冷却系3、インピーダンスの被測定対象となる電力系4、及び本発明に係る含水量制御方法を実行する制御部5から構成されている。
燃料電池100は、セル(単セル)を複数積層したスタック構造を備えている。各セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ばれる発電体からなる。MEAは高分子電解質膜をアノード極及びカソード極の二つの電極で挟み込んだ構造をしている。アノード極は燃料極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成され、カソード極は空気極用触媒層を多孔質支持層上に設けて構成される。その他、燃料電池の形態として、リン酸型、溶融炭酸塩型等を用いることが可能である。単セル間は、水素ガスまたは空気、及び冷却水の流路を有するセパレータによって互いに分離されている。
燃料電池100は水の電気分解の逆反応を起こすものであり、アノード(陰極)極側にはアノードガス供給系1からアノードガス(燃料ガス)である水素ガスが供給される。カソード(陽極)極側にはカソードガス供給系2からカソードガス(酸化ガス)である空気が供給される。アノード極側では式(1)のような反応を、カソード極側では式(2)のような反応を生じさせて電子を循環させ電流を流すものである。
2 → 2H++2e- …(1)
2H++2e-+(1/2)O2 → H2O …(2)
アノードガス供給系1としては、水素ガス供給源としての水素タンク10、アノードガス供給路11、アノードオフガス排出路12を備える。その他、図示しないが、水素ガスを流通させるための水素ポンプ、水素ガスの管理制御のために必要な元弁や調圧弁、各種遮断弁、逆止弁、エジェクタ、気液分離器等を備えていてもよい。
水素タンク10には高圧の水素ガスが充填されている。水素供給源としては高圧水素タンクの他に、水素吸蔵合金を用いた水素タンク、改質ガスによる水素供給機構、液体水素タンク、液化燃料タンク等種々のものを適用可能である。アノードガス供給路11は、高圧の水素ガスを供給する配管であり、途中に図示しない調圧弁(レギュレータ)等を備えていてもよい。アノードガス供給路11から供給された水素ガスは、燃料電池100内において、マニホールド経由で各単セルのアノード極側に供給され、MEAのアノードにおいて電気化学反応を生じてからアノードオフガス(水素オフガス)として排出される。アノードオフガス排出路12は、燃料電池100から排出されたアノードオフガスを排出する経路であり、循環経路を形成していてもよい。循環経路を形成させるには、図示しない逆止弁やエジェクタを介して、再びアノードガス供給路11にアノードオフガスを戻すように構成される。
カソードガス供給系2は、コンプレッサ20、カソードガス供給路21、カソードオフガス排出路22を備える。その他、図示しないが、カソードガスである空気の湿度を制御するための加湿器、カソードオフガス(空気オフガス)を除去する気液分離器、アノードオフガスをカソードオフガスと混合するための希釈器、消音器等を備えていてもよい。
コンプレッサ20は、制御部5からのコンプレッサ制御信号CCOMPに基づいた回転数で回転することによりエアクリーナ等から取り入れられた空気を圧縮し、燃料電池100のカソード極側に供給するものである。コンプレッサ20の回転数を変更することにより、空気量や空気圧を制御可能になっている。カソードガス供給路21から供給された空気は、燃料電池100内において、水素ガスと同じくマニホールド経由で各単セルのカソード極側に供給され、MEAのカソードにおいて電気化学反応を生じてからカソードオフガスとして排出される。燃料電池100から排出されたカソードオフガスは、アノードオフガスと希釈されてから排出される。
冷却系3は、図示しないが、冷却液を循環経路内で循環させる冷却液ポンプ、ラジエータ、ファン、各種弁等を備えている。特に冷却液の燃料電池100からの出口には、温度センサ31が設けられており、冷却液の温度を検出して温度検出信号Stとして制御部5に出力可能になっている。冷却液は、燃料電池100のセパレータに設けられた流路を流れてMEAで発生する熱を奪う媒体であり、冷却液の温度は燃料電池100の内部温度に等しい。なお、温度センサ31は、冷却液の燃料電池100からの出口に設ける他、燃料電池スタックの内部に設けておいてもよい。
電力系4は、バッテリ40、DC−DCコンバータ41、トラクションインバータ42、トラクションモータ43、補機インバータ44、高圧補機45、バッテリコンピュータ46、電流センサ47、電圧センサ48、逆流防止ダイオード49等を備えている。
バッテリ40は、充放電可能な二次電池である。バッテリとしては、ニッケルー水素電池等、様々な種類の二次電池を用いることができる。二次電池の代わりに、充放電が可能な蓄電装置、例えばキャパシタを用いることが可能である。バッテリ40は、一定電圧で発電するバッテリーユニットを複数積層し直列接続することによって高電圧を出力可能とすることができる。
バッテリコンピュータ46は、バッテリ40の出力端子に設けられており、制御部5と通信可能になっている。バッテリコンピュータ46は、バッテリ40の充電状態を監視し、バッテリが過充電や過放電に至らない適正な充電範囲内に維持するとともに、万が一バッテが過充電や過放電等の状態になったら充電状態信号SSOCを制御部5に通知するようになっている。
DC−DCコンバータ41は、一次側と二次側との間で電圧の昇圧/降圧をして電力を流通させるものである。例えば、一次側のバッテリ40の出力電圧を、二次側の燃料電池100の出力電圧にまで昇圧して、トラクションモータ43や高圧補機45等の負荷装置に電力を供給する。逆に、二次側において燃料電池100の余剰電力や負荷装置からの回生電力を、降圧して一次側のバッテリ40に充電するために通過させる。
特にDC−DCコンバータ41は、制御部5からのコンバータ制御信号CCONVに基づいて燃料電池側の電力線電圧を制御可能になっている。このコンバータ制御信号CCONVは、DC−DCコンバータ41の出力電圧を、所定の目標電圧を中心に所定の振幅で正弦波振動させるための重畳信号を含んでいる。この重畳信号は、好ましくは高低二種類の周波数成分を含むように構成されている。燃料電池は、電解質膜の保湿量等の内部状態に応じて、インピーダンスの周波数特性が変化するものであるため、最低二つの異なる周波数におけるインピーダンスを測定することにより、電解質膜の残存水分量を検出するためである。例えば、300Hz前後の周波数を高周波交流信号、10Hz以下の周波数を低周波交流信号とすることで、燃料電池内部の含水量を推定可能となる。
トラクションインバータ42は直流電流を三相交流に変換し、トラクションモータ43に供給するものである。トラクションモータ43は例えば三相モータであり、当該燃料電池システムが搭載される自動車の主動力源である。
補機インバータ44は、高圧補機45を駆動するための直流−交流変換手段である。高圧補機45は、コンプレッサ20、水素ポンプ、冷却系のモータ類等の燃料電池システムの運転に必要な各種モータ類である。
電流センサ47は、DC−DCコンバータ41の二次側の電流を検出し、電流検出信号Siとして制御部5へ供給することが可能になっている。電圧センサ48は、二次側の電圧を検出し、電圧検出信号Seとして制御部5へ供給することが可能になっている。
制御部5は、CPU(中央処理装置)、RAM、ROM、インターフェース回路等を汎用コンピュータとしての構成を備えている。制御部5は、内蔵ROM等に格納されているソフトウェアプログラムを順次実行することにより、主としてアノードガス供給系1、カソードガス供給系2、冷却系3、電力系4を含む燃料電池システム全体を制御する他、当該燃料電池システムにおいて本発明の含水量制御方法を実行させることが可能になっている。
制御部5は、機能ブロックとして、目標電圧決定部51、重畳信号生成部52、コンバータ制御信号生成部53、インピーダンス測定部54、掃気処理制御部55、及びインピーダンス目標値記憶部56を備えている。
目標電圧決定部51は、出力目標電圧、すなわち正弦波を重畳する前の基準電圧となる二次側電圧(例えば300V)を決定し、コンバータ制御信号生成部53に出力する。
重畳信号生成部52は、電力系に重畳すべきインピーダンス計測のための正弦波信号である重畳信号の周波数(例えば、300Hz、10Hz)及び振幅(例えば2V)を決定し、これをコンバータ制御信号生成部53に出力する。
コンバータ制御信号生成部53は、目標電圧決定部51から供給された出力目標電圧に対して重畳信号生成部52から供給された重畳信号を重畳した場合にコンバータ41に指令すべき二次側電圧値を連続的に生成し、コンバータ制御信号CCONVとしてDC−DCコンバータ41に出力する。DC−DCコンバータ41がこのコンバータ制御信号CCONVとの指令に従って二次側の電力線電圧を連続的に変化させることによって、DC−DCコンバータ41の二次側には正弦波信号が重畳される。
インピーダンス測定部54は、図示しないが、デジタルフィルタ手段、FFT処理手段、インピーダンス解析手段、及び判断手段等を備え、重畳された正弦波信号に基づいて燃料電池100の現時点のインピーダンスを測定可能になっている。
具体的には、デジタルフィルタ手段は、バンドパスフィルタとして動作し、電流検出信号Si及び電圧検出信号Seのそれぞれを入力し、DC−DCコンバータ41によって電力線に重畳された周波数成分のみを通過させる。FFT処理手段は濾過された周波数成分に対しFFTまたはDFT演算を行い、測定周波数成分における電流検出信号Siや電圧検出信号Seをそれぞれ実部と虚部(ai+jbi、ae+jbe)に分離する。インピーダンス解析手段は、変換された電圧検出信号と電流検出信号とに基づいてインピーダンスX(aX+jbX)を算出し、複素平面上での原点からの距離(実効値)r(=√((aX)2+(bX)2)と位相角θ(=tan―1(b/a))とを求め、印加された駆動信号の周波数におけるインピーダンスを求める。判断手段は、インピーダンス解析手段において求められた実効値と位相角、または、二つの異なる周波数f1及びf2における複素平面における実部と虚部(aXf1、bXf1)(aXf2、bXf2)を記憶させ、複素平面における二つの点に基づき幾何学的な計算により、複素平面におけるインピーダンス曲線を求め、周波数がゼロとした場合の抵抗値を電解質膜の抵抗とし、周波数が無限大とした場合の抵抗値を活性化過電圧と拡散過電圧の抵抗換算値として算出する。
なお、インピーダンスの測定方法に限定はない。例えば、上記のような幾何演算の代わりに、重畳信号の周波数を変化させながらそれぞれについてインピーダンスを求め記憶させてインピーダンス曲線を直接求めるように構成してもよい。
掃気処理制御部55は、本発明に係り、コンプレッサ20の回転数を決定し、コンプレッサ20に対しての指令信号であるコンプレッサ制御信号CCOMPを出力するようになっている。コンプレッサ20が指令された回転数で駆動されると、カソードガス供給路21から空気が供給され、MEAからの水分蒸発が促進される。特に、燃料電池100の発電が停止された後は、発電に伴う電気化学反応により新たな水分が生成されることがないので、比較的短時間に燃料電池100の含水量を減少させることが可能である。
インピーダンス目標値記憶部56は、燃料電池100の運転モード(通常運転モード、停止モード等)に応じて掃気処理制御部55に設定するインピーダンスの目標値を記憶している。
掃気処理制御部55は、インピーダンス目標値記憶部56に記憶されたインピーダンス目標値を運転モードに応じて読み出し、インピーダンス測定部54にて測定されたインピーダンスが目標値に近づくように制御内容を定めて、コンプレッサ20へコンプレッサ制御信号CCOMPを出力する。インピーダンス目標値記憶部56は、インピーダンス測定値がインピーダンス目標値へ収束するようにフィードバック制御を行うように構成されている。
特に本発明では、掃気処理制御部55は、温度センサ31からの温度検出信号Stを入力しており、温度検出信号Stの示す値から温度センサ31に異常が生じていないかを判定するようになっている。そして温度センサに異常が検出された場合には、この掃気処理制御部55に設定するインピーダンスの目標値を変更することによりシステムの次回起動性能を確保するように動作する。以下、詳しく説明する。
(動作の説明)
次に、図2及び図3のフローチャートに基づいて、本実施形態の掃気処理を説明する。
図2は燃料電池100が通常運転モードにある場合の処理を示し、図3は燃料電池100が停止モードに入る場合の処理を示している。いずれの処理ルーチンも燃料電池システムが動作している間に定期的に読み出されて実行されるものである。
ステップS1において、制御部5の掃気処理制御部55は、掃気処理のタイミングであるかを検査し、掃気処理のタイミングではない場合には(NO)他の処理に移行する。掃気処理のタイミングである場合(S1:YES)、掃気処理制御部55は、ステップS2に移行し、温度センサ31からの温度検出信号Stを検出する。
次いでステップS3に移行し、掃気処理制御部55は、温度検出に異常が無いか否かを判定する。ここで、本実施形態では、温度センサ31は検出した温度に対応したアナログ値をデジタル値に変換して所定のビット数の値として温度検出信号Stを出力するものとする。この場合、例えば、温度検出信号Stが8ビットデータで構成される場合、温度に対応させて0〜255(FFh)の数値が入力される。温度検出が異常であるか否かは、例えば、このデジタルデータが通常取り得る値の範囲であるか否かを判定することにより行える。例えば温度センサ31が機能していない場合、出力バッファの回路構成に応じて255(FFh)や0(0h)が入力されることになる。このような値が入力されたら、掃気処理制御部55は、温度検出が異常であるものと判定することができる。
なお、温度検出が異常であるか否かは、温度検出信号の値を直接判定すること以外にも種々の方法で判断することができる。例えば、温度検出信号Stから把握される温度変化の履歴を記憶しておき、燃料電池100の運転状態の変化に応じて妥当な変化をしているか否かで判断することもできる。燃料電池100の温度は始動時から上昇し、高負荷時には多くの発電をするため高温になり低負荷時には温度が下がる。また冷却系3の冷却液循環をさせている場合には燃料電池100の温度は低下し、冷却液の循環を停止させると温度は上昇する。このように燃料電池100の動作状態と内部温度の変化とは相関関係があるため、温度検出信号Stから把握される温度は、このような相関関係から当然予想される内部温度の変化を示すはずである。もしも、燃料電池100の動作状態の変化に応じて検出温度が変化しないようなら、温度センサ31に異常が生じたと判断することができる。
ステップS3において温度検出が正常であると判定された場合(YES)、ステップS4に移行し、掃気処理制御部55は、運転時インピーダンス目標値ZAをインピーダンス目標値記憶部56から読み出して、フィードバック制御のためのインピーダンス目標値Zとして設定する。この運転時インピーダンス目標値ZAは、燃料電池の含水量が、通常の運転時に維持される燃料電池内部の含水量(以下「運転時含水量目標値QA」という。)である場合に測定されるインピーダンスに対応している。
ステップS5において、インピーダンス測定部54は重畳信号生成部52により重畳された正弦波の周波数成分から現時点のインピーダンスXを測定する。具体的には、電圧センサ48によって検出された燃料電池100の出力電圧(FC電圧)Vf及び電流センサ47によって検出された燃料電池100の出力電流(FC電流)Ifを、所定のサンプリングレートでサンプリングし、燃料電池100のインピーダンスXを出力する。
そして、ステップS6に移行し、掃気処理制御部55は、測定されたインピーダンスXとインピーダンス目標値Zとを比較し、両者の差を解消するように、掃気処理が実行される。すなわち、掃気処理制御部55は、インピーダンス目標値Zを基準値、測定されたインピーダンス測定値Xを帰還値としたフィードバック制御を実行する。
例えば、掃気処理制御部55は、インピーダンス測定値Xがインピーダンス目標値Zよりも小さい、つまり現時点の含水量が運転時含水量目標値QAよりも多いと判断されたら、コンプレッサ20の回転数を上昇させるようなコンプレッサ制御信号CCOMPを出力する。また、例えば、掃気処理制御部55は、インピーダンス測定値Xがインピーダンス目標値Zよりも大きい、つまり現時点の含水量が運転時含水量目標値QAよりも少ないと判断されたら、コンプレッサ20の回転数を低下させるか、または、コンプレッサの回転を停止させるようなコンプレッサ制御信号CCOMPを出力する。これらの処理により、運転時における燃料電池100の含水量が運転時含水量目標値QAに収斂していくように帰還制御される。
一方、ステップS3において温度検出が正常ではないと判定された場合(NO)、ステップS8に移行し、掃気処理制御部55は、停止時インピーダンス目標値ZBをインピーダンス目標値記憶部56から読み出して、フィードバック制御のためのインピーダンス目標値Zとして設定する。この停止時インピーダンス目標値ZBは、燃料電池を停止させる場合に残留させておくべき水分量(以下「停止時含水量目標値QB」という。)となった場合に測定されるインピーダンスに対応している。
そして、ステップS5において、インピーダンス測定部54は重畳信号生成部52により重畳された正弦波の周波数成分から現時点のインピーダンスXを測定し、ステップS6に移行し、掃気処理制御部55は、測定されたインピーダンスXとインピーダンス目標値Zとを比較し、両者の差を解消するように、フィードバック制御が実行される。
例えば、掃気処理制御部55は、インピーダンス測定値Xがインピーダンス目標値Zよりも小さい、つまり現時点の含水量が停止時含水量目標値QBよりも多いと判断されたら、コンプレッサ20の回転数を上昇させるようなコンプレッサ制御信号CCOMPを出力する。また、例えば、掃気処理制御部55は、インピーダンス測定値Xがインピーダンス目標値Zよりも大きい、つまり現時点の含水量が停止時含水量目標値QBよりも少ないと判断されたら、コンプレッサ20の回転数を低下させるか、または、コンプレッサの回転を停止させるようなコンプレッサ制御信号CCOMPを出力する。これらの処理により、運転時における燃料電池100の含水量が停止時含水量目標値QBに収斂していくように帰還制御される。
ここで、燃料電池の運転時における含水量設定の意味について説明する。
図4は、燃料電池の電解質膜における含水量収支をインピーダンスとの関係で示した動作特性図である。図4において、横軸方向は含水量収支に対応しており、左側に行くほど含水量が多く、電解質膜が湿潤状態であることを示す(以下「WETサイド」ともいう。)。右側に行くほど含水量が少なく、電解質膜が乾燥状態であることを示す(以下「DRYサイド」ともいう。)。また図4において、縦軸方向は含水量に対応して測定されるインピーダンスを示している。
燃料電池の含水量と測定されるインピーダンスは相関関係がある。図4では、この相関関係が掃気処理制御線として示されている。燃料電池の動作に対応して含水量が変動すると、その含水量に対応して掃気処理制御線上で特定されるインピーダンスが測定されることになる。燃料電池の含水量制御はこの掃気処理制御線上で行われる。
ここで掃気処理制御部55は、含水量目標値を定めそれに対応するインピーダンス目標値を基準として設定し、測定されるインピーダンスがこのインピーダンス目標値に収斂するように制御される。例えば、運転時において適正な含水量目標値QAに対応して上記運転時インピーダンスZAはが設定され、掃気処理制御線上に正常時動作点XAが設定されている。通常の運転時には、この正常時動作点XAを中心に電解質膜の含水量が含水量目標値QAとなるようにフィードバック制御される。この場合の電解質膜の含水量目標値は、WETサイドにもDRYサイドにも偏らない、発電効率も良好な範囲で設定される。
ここで、本発明では温度検出に異常があると判定されると、掃気処理制御部55は停止時インピーダンス目標値ZBを目標値として設定し直す。停止時インピーダンス目標値ZBは運転時インピーダンス目標値ZAに比べて高いので、この場合に動作点は掃気処理制御線上を移動した温度センサ異常時動作点XBになる。つまり温度検出が異常な場合には、含水量収支から見て乾燥状態、つまりDRYサイドで運転制御されることになるのである。
このように制御する理由は、次回のシステム始動時における始動の確実性を上げ、始動に掛かる時間を短縮するためである。温度検出が異常な場合に運転時に正常時動作点XAにおいて制御しておき、システム停止モードに入ってから通常の掃気処理・システム完全停止処理を行うと、掃気処理が不十分になる可能性がある。つまり、正常時には、掃気処理制御部55は、システム停止処理に入ると燃料電池の温度を検出しながら掃気時間を演算し、適正な停止時含水量(ここではQB)になってから完全停止させる。ところが、温度検出が異常となっていると温度検出に基づく掃気処理が行えないが故に、掃気処理が不十分になる可能性がある。掃気処理が不十分であると、システムを完全に停止させたときに残留する水分量が停止時における標準的な含水量目標値QBよりも多すぎることになる。このようにシステム完全停止時に含水量が多すぎると、寒冷地では残留した水分が凍結し電解質膜等を破壊することがある。また次回のシステム始動時に、多すぎる水分量故にガス交換を妨げ、始動にまで時間がかかり、場合によっては始動ができない可能性があるのである。
確かに、温度検出に異常があると判定された場合に最適な運転時インピーダンス目標値ZAからDRYサイドで運転すると、電解質膜の抵抗値が増える結果、発電電圧が下がって効率が若干落ちる。しかしながら、温度検出ができない状態というのは部品の交換等を要する故障状態であるから、このような状態では燃料電池の発電効率を多少犠牲にしても次回のシステム始動を確実にするよう制御することの方が好ましいのである。
なお、図4では、温度検出が異常な場合に含水量収支が停止時含水量目標値QBと等しくなるように制御していたが、これに限定されるものではない。正常時に設定される運転時インピーダンス目標値ZAより大きい値を新たなインピーダンス目標値として設定しておけば、その値に応じてDRYサイドに動作点がシフトして制御されるので、次回のシステム始動時の確実性が向上するからである。よって、燃料電池システムが許容できるシステム始動時の燃料電池(電解質膜)の含水量に応じて、温度検出が異常な場合に設定するインピーダンス目標値を適宜変更して用いることが可能である。運転時における含水量が停止時含水量目標値QBに制御されていれば、掃気処理が殆どなされずシステムが完全停止した場合でも次回のシステム始動の確実性が担保される。このため、本実施形態では、確実性を重視して設定するインピーダンス目標値を停止時インピーダンス目標値ZBとしているのである。
図3に基づいてシステム停止モードにおける掃気処理を説明する。
図3のステップS10において、掃気処理制御部55は、燃料電池の停止モードに入ったか否かを判定する。燃料電池の停止モードでない場合には(S10:NO)、運転モードであるためこの処理ルーチンから復帰する。
一方、燃料電池が停止モードに入ったと判定された場合(S10:YES)、ステップS11において、掃気処理部55は、予め設定しておいた、または、後述のステップS17で更新する掃気終了時間Tに達したかを判定する。
掃気終了時間Tに達していない場合(S11:NO)、ステップS12に移行し、掃気処理制御部55は、コンプレッサ制御信号CCOMPを出力し所定の回転数でコンプレッサ20を回転させる。システム停止モードの開始直後であれば、掃気処理を開始させることになる。
一方、ステップS11において、掃気処理時間Tに達していたら(YES)、ステップS13に移行し、インピーダンス測定部54はインピーダンスXを測定する。測定されたインピーダンスXは掃気処理制御部55に入力される。
ステップS14において、掃気処理制御部55は測定されたインピーダンスXが停止時インピーダンス目標値ZB以上であるか否かを判定する。インピーダンスXが停止時インピーダンス目標値ZB以上である場合には、ステップS15に移行し、掃気処理制御部55は掃気処理を終了させる。一方、インピーダンスXが停止時インピーダンス目標値ZBより小さい場合には、まだ含水量が停止時含水量目標値QBに達していないことを意味するので、さらに掃気処理を継続する必要がある。そのため、掃気処理制御部55はステップS16において、温度検出信号Stに基づき燃料電池の温度Tを計測し、ステップS17において、燃料電池の温度Tの変化から掃気終了時間Tの推測演算を実行し、必要に応じて更新処理を行う。
以上のシステム停止処理は、測定されるインピーダンスXが停止時インピーダンス目標値ZB以上であるか否かに応じて掃気処理を終了させるための標準的な流れである。ここで、本発明では、温度検出に異常と判断されシステム停止モードに入った時から既に停止時インピーダンス目標値ZBに向かって制御され、燃料電池内部の含水量は停止時含水量目標値QBと同じかそれ以上に維持されている。このため、当然測定されるインピーダンスXは停止時インピーダンス目標値ZB以上の値となるはずである。よって、温度検出が異常と判断された場合には、ステップS13→S14→S15の流れで、このシステム停止処理に入って最初のインピーダンス計測時に掃気処理が終了するように制御されることになる。
図5及び図6に基づいて、正常時のシステム停止シーケンスと温度検出異常時のシステム停止シーケンスとを比較する。
図5は、温度検出に異常が無い正常時におけるシステム停止シーケンスを示すタイミングチャートである。
システム停止モードは掃気開始時間T0以降となる。図5に示すように、正常時における運転中(掃気開始時間T0前)は燃料電池のインピーダンスは運転時インピーダンス目標値ZAに基づいており、含水量は運転時含水量目標値QAに制御されている。
時刻T0において掃気処理が開始すると、燃料電池100の発電は停止し、燃料電池の温度が低下を始める。そして掃気処理によって電解質膜から水分が蒸発し、運転時願水目標値QAに維持制御されていた含水量も下がり始める。次いで燃料電池温度に基づき演算された掃気終了時間Tの付近でインピーダンスが測定される。そのインピーダンスはほぼ停止時インピーダンス目標値ZBと等しくなっており、その時の含水量は停止時含水量目標値QBになっている。もしも測定されるインピーダンスXが停止時インピーダンス目標値ZBに達していない場合には、掃気が不十分なので、当該目標値に達するまで掃気処理が継続される。これらの処理が正常な場合のシステム停止シーケンスである。
これに対し、図6は、温度検出に異常があると判定された場合のシステム停止シーケンスを示すタイミングチャートである。
図6に示すように、正常に燃料電池システムが稼働しているところで、時刻T1において温度検出が異常であると判定されたものとする。正常時には掃気処理のためのインピーダンスが運転時インピーダンス目標値ZAに設定され、運転時含水量目標値QAの周辺で含水量が制御されていたところ、図2のフローチャート、ステップS8の処理によって制御基準となるインピーダンス目標値が時刻T1で停止時インピーダンス目標値ZBに変更される。それに連れて測定されるインピーダンスも上昇し、停止時インピーダンス目標値ZBに向けて収束していく。これと同時に、掃気処理のためのコンプレッサ20の駆動量が上昇するよう制御される。掃気のための空気量が増大する結果、電解質膜の含水量は低下し停止時含水量目標値QBに向けて制御される。すなわち燃料電池100はDRYサイドで運転が継続される。
この状態において、時刻T0にシステム停止シーケンスに入ると、既にインピーダンスはインピーダンス目標値ZBの付近で制御されているため、直ぐに測定されるインピーダンスが停止時インピーダンス目標値ZB以上となる。つまり、図3のステップS14の判断条件に合致することになり(YES)、時刻TXにおいて掃気処理が終了し、システムの完全停止となる。
このように、本発明を適用すると、燃料電池システムが温度検出に異常がある場合に停止時含水量目標値QBに向けて制御されるようになるので、実際のシステム停止シーケンスに入ると短時間でシステム停止となるのである。
以上、本実施形態によれば、燃料電池100の温度検出に異常があるか否かが判定され、異常があると判定された場合には、燃料電池100の停止時の含水量として適当な含水量目標範囲に含水量が制御される。具体的には、燃料電池の停止時におけるインピーダンス目標値ZBに制御される。このため、燃料電池の運転時における含水量がシステム停止時の含水量目標値QB、すなわち、システム始動性と出力低下防止の可能性の双方の観点から最適値に含水量が維持されることになる。よって、この含水量のまま、または、僅かな掃気処理の後に燃料電池システムを停止させたとしても、次回のシステム始動時の確実性が確保でき、かつ、通常どおりの出力を確保可能となる。
また本実施形態によれば、制御目標インピーダンスを停止時インピーダンス目標値ZBに設定するので、運転時の燃料電池の出力は低下するが、この程度の影響は、次回にシステムが始動できないことに比べればシステム異常時の対策として許容できる範囲で制御される。
また本実施形態によれば、燃料電池100の停止時において測定された測定されるインピーダンスXが停止時インピーダンス目標値ZB以上となった場合に、掃気処理が停止される。つまり、運転時における燃料電池のインピーダンスが、既に燃料電池の停止時インピーダンス目標値ZBに維持制御されているので、燃料電池の停止時の掃気処理に入って初めてのインピーダンス測定でこの条件に合致しシステムが停止する。しかしながら、本実施形態では、既に停止時のインピーダンスに対応させて含水量が制御されているので、掃気処理が直ぐに停止されたとしても、次回のシステム起動に影響を及ぼさない含水量のままシステムを停止できる。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態以外にも種々に変更して適用することが可能である。
例えば、上記実施形態では、インピーダンスを含水量制御のための目標値として設定していたがこれに限定されない。本実施形態では、インピーダンスが燃料電池の含水量に相関関係があるため制御パラメータとして採用したのであり、含水量に関連する他のパラメータを目標値として設定して含水量を制御してもよい。また含水量自体を直接目標値として設定可能に構成されていれば、含水量目標値QBをシステムに設定してもよい。
また、上記実施形態では、温度検出が異常な場合に停止時含水量目標値となるよう運転時の含水量を制御していたが、これに限定されない。正常時の運転時に設定する運転時含水量目標値QAよりも少ない含水量となるように制御すれば、次回のシステム始動の確実性は、相対的に上昇していくのであるから、停止時含水量目標値以外にも、次回のシステム始動を可能とするような含水量を目標値として設定することができる。
また、上記実施形態で説明した燃料電池システムは、移動体に適するものであるが、移動体としては、車両、船舶、航空機等に適用可能である。また、定置型のハイブリッド燃料電池システムにおいて本発明を適用しても無論よい。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの全体構成図 本発明の実施形態に係るインピーダンス目標値設定のフローチャート 本発明の実施形態のシステム停止シーケンスのフローチャート 燃料電池(電解質膜)の含水量収支と設定・測定インピーダンスとの関係図 正常時における運転〜停止時までの含水量等の変化タイミングチャート 温度検出異常時における運転〜停止時までの含水量等の変化タイミングチャート
符号の説明
1…アノードガス供給系、2…カソードガス供給系、3…冷却系、4…電力系、5…制御部、10…水素タンク、11…アノードガス供給路、12…アノードオフガス排出路、20…コンプレッサ、21…カソードガス供給路、22…カソードオフガス排出路、3…38…温度センサ、39…圧力センサ、40…バッテリ、41…コンバータ、42…トラクションインバータ、43…トラクションモータ、44…補機インバータ、45…高圧補機、46…バッテリコンピュータ、47…電流センサ、48…電圧センサ、49…逆流防止ダイオード、100…燃料電池、51…目標電圧決定部、52…重畳信号生成部、53…コンバータ制御信号生成部、54…インピーダンス測定部、55…掃気処理制御部、CCOMP…コンプレッサ制御信号、CCONV…コンバータ制御信号、Se…電圧検出信号、Si…電流検出信号、Ss…シフトポジション信号、ST…温度検出信号、SSOC…検出信号、X…インピーダンス、ZA…運転時インピーダンス目標値、ZB…停止時インピーダンス目標値、QA…運転時含水量目標値、QB…停止時含水量目標値

Claims (7)

  1. 燃料電池の含水量を制御する燃料電池システムにおいて、
    燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、該燃料電池の運転時における含水量を該燃料電池の停止時の含水量目標範囲に維持するように掃気処理すること
    を特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    測定された該燃料電池のインピーダンスが、予め設定された目標値となるように掃気処理する掃気処理制御部と、を備え、
    該掃気処理制御部は、前記燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、正常時に設定する値よりも大きなインピーダンスを該目標値として設定する、
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 設定される前記目標値は、前記燃料電池の停止時におけるインピーダンス目標値である、
    請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池の停止時において測定された前記燃料電池のインピーダンスが前記燃料電池の停止時のインピーダンス目標値以上となった場合に、前記掃気処理を停止する、
    請求項2または3に記載の燃料電池システム。
  5. 燃料電池の含水量を制御する含水量制御方法において、
    燃料電池の温度検出に異常があるか否かを判定するステップと、
    該燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、該燃料電池の運転時における含水量を該燃料電池の停止時の含水量目標範囲に維持するように掃気処理するステップと、を備えたことを特徴とする燃料電池の含水量制御方法。
  6. 燃料電池の含水量を制御する含水量制御方法において、
    該燃料電池のインピーダンスを測定するステップと、
    測定された該燃料電池のインピーダンスが、予め設定された目標値となるように掃気処理するステップと、
    該燃料電池の温度検出に異常があるか否かを判定するステップと、
    該燃料電池の温度検出に異常があると判定された場合に、正常時に設定する値よりも大きなインピーダンスを該目標値として設定するステップと、
    を備えたことを特徴とする燃料電池の含水量制御方法。
  7. 前記燃料電池の停止時において測定された前記燃料電池のインピーダンスが前記燃料電池の停止時のインピーダンス目標値以上となった場合に前記掃気処理を停止するステップ
    をさらに備える、請求項6に記載の燃料電池の含水量制御方法。
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