JP2008088397A - 蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光体の着色が抑制され、反射率特性が良好であり、十分な発光輝度を得ることが可能な蛍光体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】この蛍光体は、下記一般式(1);
(Y1−xLn ・・・(1)
[一般式(1)中、LnはTb、Eu、Tm、Ce及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。また、xは0.01≦x≦0.2の条件を満たす数値を示す。]で表される。結晶子サイズは60nm以上であり、かつ波長800nmの光に対する反射率から波長400nmの光に対する反射率を引いた値は10%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体及びその製造方法に関する。
大画面のテレビジョンとして、価格的に優位なCRT方式の投写型ディスプレイ(PRT)が広く用いられている。これは、赤、緑及び青のモノクロームCRT(陰極線管)3個を用い、画像をスクリーン上に拡大投影する方式のディスプレイである。このディスプレイに用いられる陰極線管の蛍光面には蛍光体が含有されており、この蛍光体に25〜30kVの高電圧電子線を印加することで励起し、発光させる。
ところで、近年のディスプレイ薄型化に伴い、フィールドエミッションディスプレイ(FED)が注目されている。FEDの駆動原理は、上記の陰極線管(CRT)と同様であり、蛍光面に10kV以下の電子線を印加することによって蛍光体を励起し、発光させる。
ここで、PRT及びFEDにおいて十分な発光輝度を得るためには、電子線の電流密度を高くする必要がある。特に、FEDではPRTに比べて電子線の電圧が低い。このため、FEDにおいて十分な発光輝度を得るためには、PRTにおける電子線の電流密度よりも高い電流密度が必要となる。その結果、PRT及びFEDにおいては、駆動時に蛍光体粒子の温度が上昇し、300℃以上の高温になることもある。
したがって、PRT及びFEDにおいて十分な発光輝度を得るためには、蛍光体粒子の熱安定性が重要となる。PRTやFED等に用いられる蛍光体の材料のうち、熱安定性の高い材料としては、例えばY3、Gd等の希土類酸化物が知られている。希土類酸化物からなる蛍光体については、例えば非特許文献1に記載されている。
また、上記希土類酸化物からなる蛍光体は、一般的に以下のような固相法を用いて製造される(例えば、非特許文献2参照)。まず、蛍光体の原料となる複数の金属酸化物粉末を混合して得られる混合物をるつぼなどの容器に入れた後、当該混合物を高温で長時間加熱することにより固相反応を進行させる。次に、反応後に得られた固体をボールミル等で微粉砕した後、分級して蛍光体を得る。この固相法による製造方法は、蛍光体の製造方法として一般的である。
また、最近では、ゾル・ゲル法を用いた蛍光体の製造方法(例えば、特許文献1参照)及び高温プラズマを用いた蛍光体の製造方法(例えば、特許文献2参照)も検討されてきている。
特開2005−75863号公報 特許第3585967号公報 D.K.Williams et al.,J.Phys.Chem.B、1998年、102号、916頁 蛍光体同学会編、「蛍光体ハンドブック」、オーム社出版、166頁
しかしながら、非特許文献2に記載されているような一般的な固相法では、高温・長時間の加熱を行っても、融点が2410℃と非常に高いY原料粉末と、Tb(融点2300℃)粉末及びEu(融点2290℃)粉末などの発光中心となる原料粉末とが十分に反応しない。この結果、蛍光体の結晶性すなわち結晶子サイズと、反射率特性とが不十分となるため、十分な発光輝度が得られない。
また、上記特許文献1に示されるゾル・ゲル法では、蛍光体の結晶子サイズが不十分であるため、十分に高い発光輝度が得られない。さらに、ゾル・ゲル法により製造された蛍光体の平均粒径は通常300nm以下と小さい。この蛍光体をFEDに用いた場合、十分な発光輝度は得られない。
また、上記特許文献2に示される高温プラズマを用いた方法では、蛍光体の加熱温度が2500℃〜6500℃と高いので、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が多くなる。その結果、蛍光体粒子が着色し、反射率特性が不十分となるため、十分な発光輝度が得られない。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、蛍光体の着色が抑制され、反射率特性が良好であり、十分な発光輝度を得ることが可能な蛍光体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の蛍光体は、下記一般式(1);
(Y1−xLn ・・・(1)
[一般式(1)中、LnはTb、Eu、Tm、Ce及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。また、xは0.01≦x≦0.2の条件を満たす数値を示す。]
で表され、結晶子サイズが60nm以上であり、かつ波長800nmの光に対する反射率から波長400nmの光に対する反射率を引いた値が10%以下である。
本発明の蛍光体によれば、蛍光体の着色が抑制され、反射率特性が良好であり、十分な発光輝度を得ることができる。この理由は例えば以下のように考えられるが、以下の理由に限定されない。
結晶子サイズが60nm未満であると、蛍光体の結晶性が悪化するため、発光輝度が低下する。また、波長800nmの光に対する反射率から波長400nmの光に対する反射率を引いた値が10%を超えると、蛍光体が着色すると共に蛍光体の反射率特性に問題が生じる。すなわち、紫外線および電子線などで蛍光体を励起することによって生じる可視光発光を、蛍光体自身が再吸収する割合が大きくなり、発光輝度が低下する。
また、平均粒径が2μm以上であることが好ましい。
平均粒径が2μm未満であると、蛍光体の粒子1個あたりの発光輝度が低下する傾向にある。すなわち、蛍光体の粒子1個あたりに含まれる発光中心の数、つまり一般式(1)中のLnの数が少なくなり、発光輝度が低下する傾向にある。
本発明の蛍光体の製造方法は、金属元素を含む溶液を原料として蛍光体の前駆体を作製する工程と、前記前駆体を、大気中又は不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の温度で、30分以上12時間以下焼成することによって焼成体を得る第1焼成工程と、前記焼成体を、不活性ガス雰囲気中又は還元ガス雰囲気中、前記第1焼成工程の温度よりも低くかつ1000〜1500℃の温度で、30分以上8時間以下焼成する第2焼成工程とを含む。
本発明の蛍光体の製造方法によれば、蛍光体の着色が抑制され、反射率特性が良好であり、十分な発光輝度を得ることが可能な蛍光体を製造することができる。本発明の蛍光体の製造方法を用いて本発明の蛍光体を製造することもできる。
第1焼成工程において、1500℃未満で前駆体を焼成すると、結晶子サイズが60nm未満となることにより、発光輝度が低下する。一方、2000℃超で前駆体を焼成すると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、第2焼成工程において蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。
また、第1焼成工程において、焼成時間を30分未満とすると、結晶子サイズが60nm未満となることにより、発光輝度が低下する。一方、焼成時間を12時間超とすると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、第2焼成工程において蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。
第2焼成工程において、1000℃未満で焼成体を焼成すると、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。一方、1500℃超で焼成体を焼成すると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。
また、第2焼成工程において、焼成時間を30分未満とすると、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。一方、焼成時間を8時間超とすると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。
本発明によれば、蛍光体の着色が抑制され、反射率特性が良好であり、十分な発光輝度を得ることが可能な蛍光体及びその製造方法が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
<蛍光体>
本実施形態に係る蛍光体は、下記一般式(1)で表される。
(Y1−xLn ・・・(1)
上記一般式(1)中、LnはTb、Eu、Tm、Ce及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。また、xは0.01≦x≦0.2の条件を満たす数値を示す。
本実施形態に係る蛍光体では、結晶子サイズが60nm以上である。結晶子サイズは70nm以下であることが好ましく、65nm以下であることが特に好ましい。
結晶子サイズが60nm未満であると、蛍光体の結晶性が悪化するため、特に電子線又は紫外線によって蛍光体が励起されたときの発光輝度が低下する。結晶子サイズが70nmを超えると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の割合が高くなるので、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる傾向にある。そのため、特に電子線又は紫外線によって蛍光体が励起されたときの発光輝度が低下する傾向にある。
また、波長800nmの光に対する反射率R800から波長400nmの光に対する反射率R400を引いた値(以下、「特定の反射率差」という。R800−R400)が10%以下である。特定の反射率差は、4%以上であることが好ましく、5%以上であることが特に好ましい。
特定の反射率差が10%を超えると、蛍光体が着色する。この場合、特に電子線又は紫外線によって蛍光体が励起されたときの発光を蛍光体自身が吸収する割合が高くなる。その結果、発光輝度が低下する。さらに、蛍光体の反射率特性に問題が生じる。なお、波長400nmの光に対する反射率R400は、波長800nmの光に対する反射率R800に比べて小さくなる。特定の反射率差が4%未満であると、蛍光体に含まれる発光中心の数、すなわち一般式(1)中のLnの数が少なくなる傾向にある。その結果、特に電子線又は紫外線によって蛍光体が励起されたときの発光輝度が低下する傾向にある。
結晶子サイズは例えば以下のように測定される。まず、例えばRigaku製、Geigerflex RAD−IIAなどのX線回折測定装置を用いて、蛍光体のX線回折パターンを測定する。このとき、正確な回折パターンを得るために、測定する回折角度2θは20〜80°であることが好ましい。同様に、測定する回折角度間隔は0.05°以下であることが好ましい。測定する時間は、得られるX線回折パターンの最大ピークの回折強度が3000以上になるように設定することが好ましい。
以上の測定で得られたX線回折パターンのうち、2θ=29.15°付近に見られる最大ピークの半値幅を求める。その半値幅β(単位:radian)を下記式(2)に代入することによって、結晶子サイズd(単位:nm)を求めることができる。λ(単位:nm)は使用したX線の波長である。θ(単位:°)は最大ピークの回折角度2θの2分の1である。
d=(0.9λ/βcosθ) ・・・(2)
また、波長y[nm]の光に対する反射率(yは例えば400又は800)は例えば以下のように測定される。まず、例えば日本分光株式会社製、V−570などの紫外−可視−近赤外領域分光光度計を用いて、波長300nm〜800nmの光に対する蛍光体の反射率を測定する。このとき、正確な反射率を測定するために、測定前のベースライン補正は、波長300nm〜800nmの反射率が97%以上の白色試料、例えば、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム及びスペクトラロン等を用いて行うことが好ましい。次に、測定したデータのうち、波長800nmの反射率R800と波長400nmの反射率R400とを選択し、その差(R800−R400)を算出する。このようにして特定の反射率差が算出される。
本実施形態の蛍光体は蛍光体粒子群であり、その平均粒径が2μm以上であることが好ましい。平均粒径は10μm以下であることが好ましい。
平均粒径が2μm未満であると、蛍光体の粒子1個あたりの発光輝度が低下する傾向にある。平均粒径が10μmを超えると、PRT等の実用の際、蛍光体粒子群を膜状に形成した場合の膜表面積が小さくなり、その結果特に電子線又は紫外線によって蛍光体が励起されたときの発光輝度が低下する傾向にある。
蛍光体の平均粒径は、例えば次のように算出される。まず、走査型電子顕微鏡により1500倍の蛍光体粒子像を観察して、複数個の蛍光体粒子をランダムに選択する。このとき、正確を期するために200個以上の蛍光体粒子を選択することが好ましい。次いで、それぞれの蛍光体粒子について最大の径(長径)及び最小の径(短径)を測定する。さらに、長径及び短径の積の平方根を算出して、それを蛍光体粒子の粒径とする。求められたそれぞれの蛍光体粒子の粒径を、測定した蛍光体粒子の個数で割ったものを蛍光体(蛍光体粒子群)の平均粒径として定義する。
上述の構成を有する本実施形態の蛍光体では、蛍光体の着色が抑制され、反射率特性が良好であり、十分な発光輝度を得ることができる。本実施形態の蛍光体は、例えば陰極線管(CRT)、蛍光ランプ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等に用いられる。
<蛍光体の製造方法>
本実施形態の蛍光体の製造方法では、まず、金属元素を含む溶液を原料として蛍光体の前駆体を作製する(前駆体作製工程)。続いて、得られた前駆体を、大気中又は不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の温度で、30分以上12時間以下焼成することによって焼成体を得る(第1焼成工程)。さらに、焼成体を、不活性ガス雰囲気中又は還元ガス雰囲気中、第1焼成工程の温度よりも低くかつ1000〜1500℃の温度で、30分以上8時間以下焼成する(第2焼成工程)。第1焼成工程の焼成温度は、1600〜1700℃であることが好ましい。第2焼成工程の焼成温度は、1200〜1400℃であることが好ましい。
金属元素を含む溶液としては、例えば、Yと、Tb、Eu、Tm、Ce及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む溶液が挙げられる。不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等が挙げられる。また、還元ガスとしては、例えば、窒素と水素との混合ガス、一酸化炭素等が挙げられる。以下、本実施形態の蛍光体の製造方法について更に詳細に説明する。
(前駆体作製工程)
金属元素を含む溶液を原料として蛍光体の前駆体の粒子を作製する方法としては、例えば、ゾル・ゲル法や噴霧熱分解法等が挙げられる。ここで、前駆体の粒子を作製する際には、その平均粒径が所望の範囲となるように調整することが好ましい。なお、固相法では金属酸化物粉末を原料とするため、本実施形態の蛍光体の粒子を得るためには、ゾル・ゲル法、噴霧熱分解法等で作製した前駆体を焼成する場合よりも高温・長時間の反応を必要とする。そのため、固相法を用いて蛍光体を製造すると、上記一般式(1)におけるLnの酸化及び結晶構造中の欠陥生成が進行する。その結果、ゾル・ゲル法、噴霧熱分解法等を用いて蛍光体を製造する場合に比べて発光輝度が低くなる。以下、ゾル・ゲル法及び噴霧熱分解法について説明する。
<ゾル・ゲル法>
ゾル・ゲル法では、上記一般式(1)中の金属元素を含有する水溶液、すなわち、Y及びLnの元素をそれぞれ含有する水溶液を、所望の化学組成(目的とする上記一般式(1)で表される蛍光体の化学組成)に合わせて混合する。
なお、上記一般式(1)中のY及びLnで表記される金属元素を含有する水溶液としては、これら金属元素の硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物等を水溶液にしたものが好適に用いられる。また、より十分な発光輝度を得るためには、これらの水溶液中における全金属元素中のY及びLnの純度は99.9原子%以上であることが好ましい。
次に、上述した各金属元素を含有する溶液を攪拌混合して原料溶液を調製する。得られた原料溶液を、それと同容量のアルカリ水溶液中に滴下し、上記一般式(1)で表される蛍光体の前駆体を作製する。このときに用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等が挙げられるが、金属元素を含まないアンモニア水溶液を用いることが好ましい。またこのとき、平均粒径が2μm以上の蛍光体粒子を得るために、蛍光体の前駆体の平均粒径が2μm以上になるように調整することが好ましい。
<噴霧熱分解法>
次に、噴霧熱分解法では、得ようとする蛍光体を構成する金属元素を含有する水溶液、すなわち、Y及びLnの元素をそれぞれ含有する水溶液を、所望の化学組成(目的とする上記一般式(1)で表される蛍光体の化学組成)に合わせて混合する。また、上記一般式(1)中のY及びLnで表記される金属元素を含有する水溶液としては、これら金属元素の硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物などを水溶液としたものが好適に用いられる。
また、より十分な発光輝度を得るためには、これらの水溶液中における全金属元素中のY及びLnの純度は99.9原子%以上であることが好ましい。次に、上述した各金属元素を含有する溶液を攪拌混合して原料溶液を調製する。次いで、得られた原料溶液の液滴を形成し、キャリアーガスを用いた噴霧によりその液滴を熱分解炉内に導入する噴霧熱分解法を用いて、上記一般式(1)で表される蛍光体の前駆体を作製する。
ここで、原料溶液の液滴を形成する方法としては、2流体ノズルを利用する方法、超音波を利用する方法などが挙げられるが、生成する液滴の径及び収量を好適なものにする観点から、2流体ノズルを利用する方法が好ましい。
2流体ノズルは公知のものを用いることができ、例えば、図1に模式的に示す2流体ノズル10を用いることができる。図1は、2流体ノズルの構成を模式的に示す図である。2流体ノズル10は、円筒状の本体部15と、本体部15の端面に設けられた円錐台状の液滴噴出部14と、本体部15の側面から突出して設けられた円筒状のガス導入部13とを備えている。
本体部15は、その軸方向に円筒状の中空部16を有している。液滴噴出部14は、本体部15の中空部16に接続された円筒状の中空部146を、底面から先端に向かって備えている。中空部16の液滴噴出部14とは反対側の端部は溶液導入口12である。溶液導入口12から金属元素を含む原料溶液が2流体ノズル10内に流れ込む。
ガス導入部13は、その軸方向に円筒状の中空部136を有している。中空部136の本体部15とは反対側の端部はガス導入口132である。ガス導入口132からキャリアーガスが2流体ノズル10に流れ込む。中空部16と中空部136とは、本体部15内で導通している。中空部16と中空部136との接続部18では、原料溶液とキャリアーガスとが互いに接触する。
接続部18で接触した原料溶液及びキャリアーガスは、混合により液滴を形成しながら、中空部16を液滴噴出部14に向かって流れる。液滴噴出部14の中空部146に到達した原料溶液とキャリアーガスとの混合物(一部又は大部分は液滴を形成している)は、液滴噴出部14の液滴噴出口142から噴出し、液滴が噴霧される。
2流体ノズルに流通させる原料溶液の流通速度及びキャリアーガスの流通速度は、原料溶液の濃度などに合わせて調整することができる。本実施形態の蛍光体をより効率的に得るためには、形成した液滴の熱分解炉内での滞留時間が1秒以上10分間以下になるように設定することが好ましい。滞留時間は30秒以上8分間以下であることがより好ましく、1分間以上3分間以下であることがさらに好ましい。
また、平均粒径が2μm以上の蛍光体を得るために、2流体ノズルから生成する液滴の平均粒径は5μm以上であることが好ましく、7〜20μmであることがより好ましく、10〜15μmであることが特に好ましい。なお、液滴の平均粒径は、落下する液滴にレーザー光線を照射したときの、レーザーの回折角度から液滴の径を算出する方法により測定することができる。
また、液滴を熱分解炉内に導入する際に2流体ノズルに流通させるキャリアーガスの種類としては、空気及び窒素などが挙げられるが、特に制限はない。熱分解炉内の温度は、2流体ノズルに流通させる原料溶液の流通速度や流量及びキャリアーガスの流通速度や流量、並びに液滴の熱分解炉内での滞留時間に合わせて調整することができる。本実施形態の蛍光体をより効率的に得るためには、熱分解炉内での温度を460℃以上950℃以下に設定することが好ましい。
(第1及び第2焼成工程)
続いて、得られた前駆体を、株式会社広築製の超高速昇温電気炉HLF−2030型や、株式会社モトヤマ製のNLA−2025D型等の電気炉を用いて焼成することにより、本実施形態の蛍光体が製造される。
ここで、前駆体の焼成は、大気中又は不活性ガス雰囲気中1500℃〜2000℃での一次焼成を行った後、不活性ガス雰囲気中又は還元ガス雰囲気中1000℃〜1500℃での二次焼成を行う2段階の工程で規定される(第1及び第2焼成工程)。1段階の工程のみでは、得られる蛍光体の結晶子サイズ及び特定の反射率差が所定の条件を満たさなくなるため、電子線又は紫外線で励起したときの発光輝度が低下する。
以上説明した本実施形態の製造方法によれば、蛍光体の着色が抑制され、反射率特性が良好であり、十分な発光輝度を得ることが可能な蛍光体を製造することができる。
第1焼成工程において、1500℃未満で前駆体を焼成すると、結晶子サイズが60nm未満となることにより、電子線又は紫外線で蛍光体を励起したときの発光輝度が低下する。一方、2000℃超で前駆体を焼成すると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、第2焼成工程において蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。また、特定の反射率差が10%を超えるため、電子線又は紫外線で励起したときの発光輝度が低下する。
また、第1焼成工程において、焼成時間を30分未満とすると、結晶子サイズが60nm未満となることにより、電子線又は紫外線で蛍光体を励起したときの発光輝度が低下する。一方、焼成時間を12時間超とすると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、第2焼成工程において蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。また、特定の反射率差が10%を超えるため、電子線又は紫外線で励起したときの発光輝度が低下する。
第2焼成工程において、1000℃未満で焼成体を焼成すると、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。また、特定の反射率差が10%を超えるため、電子線又は紫外線で励起したときの発光輝度が低下する。一方、1500℃超で焼成体を焼成すると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。また、特定の反射率差が10%を超えるため、電子線又は紫外線で励起したときの発光輝度が低下する。
また、第2焼成工程において、焼成時間を30分未満とすると、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。また、特定の反射率差が10%を超えるため、電子線又は紫外線で励起したときの発光輝度が低下する。一方、焼成時間を8時間超とすると、蛍光体の結晶構造中の酸素欠陥等の欠陥の割合が高くなるので、蛍光体の着色を十分に除去することができなくなる。また、特定の反射率差が10%を超えるため、電子線又は紫外線で励起したときの発光輝度が低下する。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、噴霧熱分解法により、(Y0.95Tb0.05からなる蛍光体の前駆体を製造した。
具体的には、始めに、0.5mol/l硝酸イットリウム水溶液(信越化学工業株式会社製、純度99.99%の水溶液)及び0.1mol/l硝酸テルビウム水溶液(信越化学工業株式会社製、純度99.9%の水溶液)を、作製する蛍光体の化学組成にあわせた比率で混合して混合溶液を得た。その混合溶液1000mlを1200〜1300rpmで5分間攪拌することにより、熱分解炉内に液滴として導入する原料溶液を調製した。
次に、図1に示したものと同様の2流体ノズルを用いて上記原料溶液から液滴(平均粒径14μm)を形成し、その液滴を620℃の熱分解炉内に噴霧により導入した。このとき、原料溶液の流通速度(流量)は1000ml/hr、キャリアーガスである空気の流通速度(流量)は15000ml/minとした。液滴の炉内滞留時間を、キャリアーガス流通速度及び炉内容積(31400cm)から算出したところ、2分間であった。このようにして蛍光体の前駆体を製造した。得られた前駆体は、クリーム色の粉末状であった。
次に、上記蛍光体の前駆体をアルミナ製の容器に入れ、株式会社広築製の超高速昇温電気炉(HLF−2030)を用いて、窒素気流5000ml/min中、1600℃で5時間焼成して焼成体を得た(第1焼成工程)。その後、焼成体を、株式会社モトヤマ製の雰囲気式高速昇温電気炉(NLA−2025D)を用いて、0.5%の窒素バランス水素すなわち窒素及び水素の混合ガス気流5000ml/min中、1300℃で5時間焼成して、実施例1の蛍光体を得た(第2焼成工程)。なお、焼成温度は、JIS−Bダブルタイプの熱電対によって確認し、株式会社チノー製のデジタルプログラム調節計(KP1130B005)で制御した。
(実施例2)
第1焼成工程の焼成温度を1650℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の蛍光体を得た。
(実施例3)
第1焼成工程の焼成温度を1700℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の蛍光体を得た。
(比較例1)
以下のように、固相反応法により(Y0.95Tb0.05からなる蛍光体を製造したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の蛍光体を得た。
まず、酸化イットリウム粉末(信越化学工業株式会社製、純度99.99%)及び酸化テルビウム粉末(信越化学工業株式会社製、純度99.99%)を、作製する蛍光体の化学組成にあわせた比率で混合し、混合粉末を500g作製した。混合にはメノウ乳鉢を用い、30分間混合した。
次いで、上記混合粉末をアルミナ製の容器に入れて、当該混合粉末を、株式会社広築製の超高速昇温電気炉(HLF−2030)を用いて、窒素気流5000ml/min中、1600℃で12時間焼成して、焼成体を得た。その後、焼成体を、株式会社モトヤマ製の雰囲気式高速昇温電気炉(NLA−2025D)を用いて、0.5%の窒素バランス水素気流5000ml/min中、1300℃で5時間焼成した。なお、焼成温度は、JIS−Bダブルタイプの熱電対によって確認し、株式会社チノー製のデジタルプログラム調節計(KP1130B005)で制御した。
さらに、焼成して得られた蛍光体の焼結体を、フリッチュ・ジャパン製ボールミル(P−5)を用いて微粉砕した。微粉砕後の粉末を水中に分散させた後静置し、上澄みを除去する沈降分級によって比較例1の蛍光体を得た。
(物性測定結果)
実施例1〜3及び比較例1で得られた蛍光体の物性測定を行った。まず、Rigaku製、Geigerflex RAD−IIAを用いてX線回折測定を行った。得られたX線回折パターンを用いて、上記式(2)により結晶子サイズ(nm)を算出した。また、日本分光株式会社製、V−570を用いて波長300nm〜800nmの光に対する蛍光体の反射率を測定して、波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)を算出した。さらに、走査型電子顕微鏡により1500倍の蛍光体粒子像を観察して、平均粒径(μm)を算出した。測定結果を表1に示す。
Figure 2008088397
表1に示されるように、実施例1〜3の蛍光体では、結晶子サイズは60nm以上であり、かつ波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)は10%以下である。一方、比較例1の蛍光体では、結晶子サイズが60nm未満であり、かつ(R800−R800)が10%を超えている。
(発光特性評価)
次に、実施例1〜3及び比較例1の蛍光体の発光特性を比較した。なお、発光特性は、(a)1.4kVの低電圧電子線、(b)25kVの高電圧電子線、及び(c)304nm紫外線をそれぞれ用いて蛍光体を励起した時の発光強度で評価した。なお、発光輝度は、比較例1の蛍光体を用いた場合の発光輝度を100(基準)とした相対輝度として評価した。
(a)1.4kVの低電圧電子線
始めに、3cm×2cmのITO(インジウム−スズ酸化物)基板上に蛍光体を次の手順で沈降塗布し、蛍光膜を形成した。まず、蛍光体0.1gをイオン交換水120mlの入った200mlビーカーに加えて15分間超音波分散させ、蛍光体分散水溶液を作製した。次いで、その蛍光体分散水溶液をITO基板と150mlのイオン交換水とが入った300mlビーカーに加え、1日静置して蛍光体をITO基板上に堆積させた。
蛍光体を堆積させた後のITO基板を水中から取り出し、室温で1日静置した後、真空中、240℃で2時間乾燥させ、ITO基板表面に蛍光膜を形成した。なお、蛍光体の塗布量は、ITO基板表面1cm当たり3.2mgであった。
このようにして得られた蛍光膜に、セテック株式会社製の電子線照射装置を用いて1.4kV、300μAの電子線を照射した。このとき蛍光体の発光輝度をコニカミノルタホールディングス株式会社製の輝度計(LS−110)を用いて測定した。結果を表2に示す。
(b)25kVの高電圧電子線
始めに、3cm×2cmのニッケルメッキした銅基板上に蛍光体を次の手順で沈降塗布し、蛍光膜を形成した。まず、蛍光体0.075gを12.5質量%水ガラス水溶液20mlの入った50mlビーカーに加えて10分間超音波分散させ、蛍光体分散水溶液を作製した。次いで、その蛍光体分散水溶液を、ニッケルメッキした銅基板と0.05質量%酢酸バリウム水溶液25mlとが入った100mlビーカーに加え、1日静置して蛍光体をニッケルメッキした銅基板上に堆積させた。
蛍光体を堆積させた後のニッケルメッキした銅基板を水中から取り出し、室温で1日静置した後、真空中、100℃で2時間乾燥させ、銅基板表面に蛍光膜を形成した。なお、蛍光体の塗布量は、銅基板表面1cmあたり2.4mgであった。
このようにして得られた蛍光膜に、株式会社T&TS製の電子線照射装置を用いて25kV、100μAの電子線を照射した。このとき蛍光体の発光輝度を浜松ホトニクス株式会社製のシリコンフォトセル(S1133)、及び横河電機株式会社製のデジタルボルトメータ(7555)を用いて測定した。結果を表2に示す。
(c)304nm紫外線
始めに、1cm×2cmのX線回折測定用のガラスプレート上に蛍光体を敷き詰めた後、2cm×1cm×4.5cmの石英ガラス製のセル内に固定し、測定用セルとした。
以上の手順で得られた測定用セルを、株式会社日立製作所製の分光蛍光光度計(F−4500)にセットした後、304nmの紫外線を測定用セルに照射した。これにより、蛍光体の発光輝度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2008088397
表2に示されるように、実施例1〜3の蛍光体と比較例1の蛍光体とを比較すると、実施例1〜3の蛍光体では、(a)〜(c)のいずれの評価方法を用いた場合でも、13〜30%の輝度改善効果が得られた。これは、比較例1の蛍光体では、結晶子サイズが60nm未満であり、かつ波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)が10%を超えたためであると推察される。
(実施例4)
まず、ゾル・ゲル法により、(Y0.95Tb0.05からなる蛍光体の前駆体を製造した。
具体的には、始めに、0.5mol/l硝酸イットリウム水溶液(信越化学工業株式会社製、純度99.99%の水溶液)及び0.1mol/l硝酸テルビウム水溶液(信越化学工業株式会社製、純度99.9%の水溶液)を、作製する蛍光体の化学組成にあわせた比率で混合して混合溶液を得た。その混合溶液100mlを200〜300rpmで3分間攪拌することにより、原料溶液を調製した。
この原料溶液100mlを、4質量%に希釈したアンモニア水溶液(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)100ml中に10分間かけて滴下し、蛍光体の前駆体を製造した。得られた前駆体は、白色の粉末状であった。
次に、上記蛍光体の前駆体をアルミナ製の容器に入れ、株式会社広築製の超高速昇温電気炉(HLF−2030)を用いて、窒素気流5000ml/min中、1600℃で5時間焼成して焼成体を得た(第1焼成工程)。その後、焼成体を、株式会社モトヤマ製の雰囲気式高速昇温電気炉(NLA−2025D)を用いて、0.5%の窒素バランス水素気流5000ml/min中、1300℃で5時間焼成して、実施例4の蛍光体を得た(第2焼成工程)。なお、焼成温度は、JIS−Bダブルタイプの熱電対によって確認し、株式会社チノー製のデジタルプログラム調節計(KP1130B005)で制御した。
(実施例5)
第1焼成工程の焼成時間を8時間としたこと以外は実施例4と同様にして、実施例5の蛍光体を得た。
(実施例6)
第1焼成工程の焼成時間を10時間としたこと以外は実施例4と同様にして、実施例6の蛍光体を得た。
(比較例2)
グリシンをゲル化剤として使用するゾル・ゲル法により、(Y0.95Tb0.05からなる蛍光体の前駆体を製造した。
具体的には、始めに、0.1792gの硝酸イットリウム水和物(関東化学株式会社製、純度99.99%)、0.0123gの硝酸テルビウム水和物(関東化学株式会社製、純度99.95%)及び0.0413gのグリシン(関東化学株式会社製、純度99.0%)を超純水に加えて5.0gの混合物を得た。
次に、上記混合物を80℃で30分加熱して溶解させた後、株式会社広築製の超高速昇温電気炉(HLF−2030)を用いて、窒素気流5000ml/min中、1000℃で1時間焼成することによって比較例2の蛍光体を得た。なお、焼成温度は、JIS−Bダブルタイプの熱電対によって確認し、株式会社チノー製のデジタルプログラム調節計(KP1130B005)で制御した。
(物性測定結果)
実施例4〜6及び比較例2で得られた蛍光体について、実施例1〜3及び比較例1で得られた蛍光体と同様に、物性測定を行った。測定結果を表3に示す。
Figure 2008088397
表3に示されるように、実施例4〜6の蛍光体では、結晶子サイズは60nm以上であり、かつ波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)は10%以下である。一方、比較例1の蛍光体では、結晶子サイズが60nm未満であり、かつ波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)が10%を超えている。
(発光特性評価)
次に、実施例1〜3及び比較例1と同様に、実施例4〜6及び比較例2の蛍光体の発光特性を比較した。(a)1.4kVの低電圧電子線、(b)25kVの高電圧電子線、及び(c)304nm紫外線をそれぞれ用いて発光輝度を測定した。結果を表4に示す。なお、発光輝度は、比較例2の蛍光体を用いた場合の発光輝度を100(基準)とした相対輝度として評価した。
Figure 2008088397
表4に示されるように、実施例4〜6の蛍光体と比較例2の蛍光体とを比較すると、実施例4〜6の蛍光体では(a)〜(c)のいずれの評価方法を用いた場合でも、24〜32%の輝度改善効果が得られた。これは、比較例2の蛍光体では、結晶子サイズが60nm未満であり、かつ波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)が10%を超えたためであると推察される。
(比較例3)
実施例4と同様にして、ゾル・ゲル法により蛍光体の前駆体を製造した。得られた蛍光体の前駆体を、高温プラズマ中で処理する方法により、(Y0.95Tb0.05からなる蛍光体を製造した。
具体的には、上記蛍光体の前駆体を、アルゴン52l/min及び酸素27l/minの混合気体を使用して発生させた外径40mmの高温プラズマ(平均温度3800℃)中に、15g/minの速度で供給し、比較例3の蛍光体を得た。
(物性測定結果)
比較例3で得られた蛍光体について、実施例1〜3及び比較例1で得られた蛍光体と同様に、物性測定を行った。測定結果を表5に示す。
Figure 2008088397
表5に示されるように、比較例3の蛍光体では、結晶子サイズは60nm以上であるが、波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)が10%を超えている。
(発光特性評価)
次に、実施例1〜3及び比較例1と同様に、比較例3の蛍光体の発光特性を比較した。(a)1.4kVの低電圧電子線、(b)25kVの高電圧電子線、及び(c)304nm紫外線をそれぞれ用いて発光輝度を測定した。結果を表6に示す。なお、発光輝度は、比較例1の蛍光体を用いた場合の発光輝度を100(基準)とした相対輝度として評価した。
Figure 2008088397
表6に示されるように、比較例3と比較例1の蛍光体とを比較すると、比較例3の蛍光体では実施例1〜6の蛍光体において得られた輝度改善効果が得られなかった。これは、比較例3の蛍光体では、結晶子サイズが60nm以上であるものの、波長800nmの光に対する反射率(R800)と波長400nmの光に対する反射率(R400)との差(R800−R800)が10%を超えたためであると推察される。
上記に示した結果から、実施例1〜6の蛍光体では、比較例1〜3の蛍光体と比較して、電子線又は紫外線を照射した場合に、十分に高い発光輝度が得られることが確認された。
2流体ノズルの構成を模式的に示す図である。
符号の説明
10…2流体ノズル、12…溶液導入口、13…ガス導入部、14…液滴噴出部、15…本体部、16,136,146…中空部、18…接続部、132…ガス導入口、142…液滴噴出口。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1);
    (Y1−xLn ・・・(1)
    [一般式(1)中、LnはTb、Eu、Tm、Ce及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。また、xは0.01≦x≦0.2の条件を満たす数値を示す。]
    で表され、
    結晶子サイズが60nm以上であり、かつ
    波長800nmの光に対する反射率から波長400nmの光に対する反射率を引いた値が10%以下である、蛍光体。
  2. 平均粒径が2μm以上である、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 金属元素を含む溶液を原料として蛍光体の前駆体を作製する工程と、
    前記前駆体を、大気中又は不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の温度で、30分以上12時間以下焼成することによって焼成体を得る第1焼成工程と、
    前記焼成体を、不活性ガス雰囲気中又は還元ガス雰囲気中、前記第1焼成工程の温度よりも低くかつ1000〜1500℃の温度で、30分以上8時間以下焼成する第2焼成工程と、
    を含む、蛍光体の製造方法。
  4. 請求項3に記載の蛍光体の製造方法により得られる請求項1又は2に記載の蛍光体。
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