JP2008075568A - 回転斜板式ピストンポンプのバレル - Google Patents

Abstract

【課題】バレルのシリンダポートに生じるエロージョンを有効に防止することができる技術を提供しようとする。
【解決手段】各シリンダポート2のポート口2aの油路21のうち、回転後方側の壁面を、回転方向に向けて傾斜させた。
【選択図】図１

Description

この発明は、回転斜板式ピストンポンプのバレルに関する。

図３は回転斜板式ピストンポンプのバレル（シリンダブロック）3を示している。図示のように、バレル3には、その回転位置に応じて、バルブプレート5の吸込または吐出ポート50に連通するシリンダポート4が放射状に形成されている。

バレル3は回転しながら、各シリンダポート4が、バルブプレート5の吐出ポート50に連通するときそこから油を吸い込み、吸込みポート（図示なし）に連通するときそこへ油を吐出する。
特開２００１−１１５９４７号（図２）

したがって、各シリンダポート4ではバレル3本体の回転に伴いながら、油の吸い込みと吐出とを交互に繰り返していくことになるが、吸い込みと吐出の転換時には圧力の急激な変化が生じ、油が逆流したり、乱流が生じたりする。これらの際、高圧高流速の油がシリンダポート4の回転後方側壁面に衝突してしまい、壁にエロージョンが発生してしまうという問題があった。図４に、エロージョン発生箇所をＡ部として示すが、このＡ部が回転後方側壁面である（本願において以下同じ）。

このような問題に対し、従来は図３及び４に示すように、バルブプレート5の吐出ポート50の油路に傾きを設けることも行われているが（特許文献としては特開２００１−１１５９４７号）、完全な整流とはならず、そこで図３に示すように、整流用コンジット51を付加することで、シリンダポート4のエロージョンを防止していた。

しかし、コンジット51は細く複雑な形状となるため、その加工が煩雑で手間がかかり、コストもかかっていた。また、コンジット51からの流速によっては、図５に示すように、異なる壁面に油が集中して衝突し（図中Ｂ部）、そこにエロージョンが発生するという問題もあった。

この発明は、以上のような従来技術の問題に鑑み創案されたもので、バレルのシリンダポートに生じるエロージョンを有効に防止することのできる技術を提供しようとするものである。

このため、この発明に係る回転斜板式ピストンポンプのバレルは、各シリンダポートのポート口の油路のうち、回転後方側の壁面を、回転方向に向けて傾斜させたことを特徴とする。

従来はバレルのシリンダポートに生じるエロージョン対策として、バルブプレートに改良を施していたが、本発明では、バレル自体の構造に改良を施すことで、エロージョンを防止しようとするものである。

本発明においては、従来と同様、バレルが回転して、そのポート口がバルブプレートの吐出ポート口と徐々に重なっていき、吐出ポートからの油がシリンダポートのポート口に吸い込まれていく。バレルは回転しているので、吐出ポートからの油は、シリンダポートの回転後方側の壁面に向かうことになる。このとき本発明では、シリンダポートのポート口油路のうち回転後方側の壁面を回転方向に向けて傾斜させているので、吐出ポートから流れ込む油は、その傾斜に沿ってポートの奥に流れ込んでいくことになり、油は回転後方側の壁面に対しては緩やかに当たっていくことになる。このため、従来回転後方側の壁面に生じていたエロージョンが効果的に防止できることになる。

また、シリンダポートに流れ込む油が傾斜に沿った流れとなるため、乱流や逆流が起こりにくく、整流された流れとなって、自吸性が向上する。

以上のように、この発明によれば、バレルのシリンダポートに改良を加えることで、エロージョンが有効に防止でき、このため、バルブプレートにコンジットを設ける必要がない。このため、エロージョン対策の加工が容易となり、コストも低廉で済む。しかも、本発明のバレルでは、整流も良好となって、油の自吸性も向上するという顕著な効果が得られる。

この発明の具体的な一形態例を図面を用いて説明する。なお、以下の形態例はあくまで本発明の一例であって、本発明がその形態例に限定されないことは当然である。

図１は、回転斜板式ピストンポンプのバレル（シリンダブロック）1を示し、(a)はバレル端面を示している。図示において、2aは各シリンダポート2のポート口であり、また同図(a)中の矢印はバレル回転方向を示している。また、同図(b)に示すように、バレル1端面の対向面側には、バルブプレート5が配置される。50は該バルブプレート5の吐出ポートである。

本形態例の特徴は、前記各ポート口2aの油路21にあり、図１(b)に示すように、ポート2奥側の本体油路20に対して、ポート口2aの油路21全体が回転方向に向けて傾斜している。

本形態例における油の流れは、次のようになる。バレル1が回転して、各ポート口2aがバルブプレート5の吐出ポート50と重なっていく。このとき、吐出ポート50からの油が各ポート口2aから油路21に流入していくが、各ポート口2aの油路21は回転方向に向けて傾斜しているので、流入する油はその傾斜に沿って流れていく。油の流れがより多くなる回転後方側にも、その傾斜に沿って奥に流れ込んでいくことになり、壁への衝突も緩やかとなる。このような油の緩やかな流入により、従来回転後方側の壁面に生じていたエロージョンは発生しにくい構造となっている。

以上の形態例では、シリンダポート2のポート口2aの油路21全体が傾斜している形態であったが、エロージョンの発生箇所は、油路21のうち回転後方側が顕著なため、その側の壁面のみ回転方向に向けて傾斜させるようにしても良い。図２は、その一例を示しており、前記形態例と異なり、油路21のうち回転方向前方側は傾斜させていない。ポート口2aが狭くなっても問題がないバレル1の場合に有効な形態となる。

この発明は、回転斜板式ピストンポンプに適用可能である。

本発明の具体的形態例を示し、(a)はバレル端面図、(b)は(a)中のＸ−Ｘ断面図である。 本発明の他の形態例を示し、(a)はバレル端面図、(b)は(a)中のＹ−Ｙ断面図である。 従来のバレル及びバルブプレートを示す説明図であり、(a)はバレルの斜視図、(b)は(a)中のＺ−Ｚ断面図である。 従来構造におけるエロージョン発生箇所を示す断面図である。 図４と同様に、従来構造におけるエロージョン発生箇所を示す断面図である。

符号の説明

1 バレル（シリンダブロック）
2 シリンダポート
2a ポート口
20 ポート本体油路
21 ポート口油路
5 バルブプレート

Claims (1)

1. 各シリンダポートのポート口の油路のうち、回転後方側の壁面を、回転方向に向けて傾斜させたことを特徴とする 回転斜板式ピストンポンプのバレル。

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