以下、添付図面に従って本発明に係るレンズ制御システムを実施するための最良の形態について詳説する。
図1は、本発明が適用されるレンズ制御システムの構成を示したブロック図である。同図のレンズ制御システムは、例えば放送用テレビカメラのカメラ本体(カメラヘッド)50にマウントによって装着される撮影レンズ(光学系)と、撮影レンズを制御する制御系とから構成されている。また、同図に示すレンズ制御システムでは、撮影レンズと撮影レンズの制御系の多くの構成部品が一体化されたレンズ装置1として構成されている。但し、レンズ制御システムを構成する装置の形態はどのようなものでもよい。
撮影レンズは、被写体像を結像する光学系に関する構成部であり、鏡胴内に支持された各種光学部品により構成されている。鏡胴内には、固定された各種のレンズ群の他に、光軸方向に移動可能なレンズ群として、同図に示すフォーカスレンズ(群)FLやズームレンズ(群)ZLが配置されている。フォーカスレンズFLが移動すると、ピント位置(被写体距離)が変わり、ズームレンズZLが移動すると、像倍率(焦点距離)が変わる。また、撮影レンズには像の明るさを変更するために開閉駆動される同図に示す絞りIが配置されている。
撮影レンズを制御する制御系は、CPU10、アンプFA、ZA、IA、モータFM、ZM、IM、ポテンショメータFP、ZP、IP、フォーカスデマンド18、ズームデマンド20、AF回路30、パソコン80等から構成されている。また、撮影レンズが装着されるカメラ本体50に搭載されたカメラ回路52も撮影レンズの絞りIの制御等に関する制御系として作用する。
CPU10は、システム全体を統括制御しており、CPU10からD/A変換器12を介して各アンプFA、ZA、IAに駆動信号が出力されると、各モータFM、ZM、IMがその駆動信号の値(電圧)に応じた回転速度で駆動される。各モータFM、ZM、IMは、上記撮影レンズのフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、絞りIに連結しており、各モータFM、ZM、IMが駆動されることによりフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、絞りIが駆動される。
各モータFM、ZM、IMの出力軸にはそれらの回転位置に応じた電圧信号を出力するポテンショメータFP、ZP、IPが連結されており、各ポテンショメータFP、ZP、IPからの電圧信号は、フォーカスレンズFLの位置、ズームレンズZLの位置、絞りIの位置(開口量)を示す信号としてA/D変換器14を介してCPU10に与えられる。従って、CPU10から各アンプFA、ZA、IAに与えられる駆動信号によってフォーカスレンズFL、ズームレンズZL、絞りIの位置又は動作速度が所望の状態に制御されるようになっている。
同図において、フォーカスデマンド18やズームデマンド20は、撮影レンズのフォーカス(フォーカスレンズFL)やズーム(ズームレンズZL)の目標となる位置や移動速度をマニュアル操作で指定するマニュアル操作部材を備えたコントローラである。これらのフォーカスデマンド18やズームデマンド20は、シリアルコミュニケーションインターフェース(SCI)16を通じてCPU10とシリアル通信により接続されている。
本実施の形態のレンズ制御システムでは、フォーカスレンズ群FLの制御(フォーカス制御)として、マニュアルフォーカス(MF)と、オートフォーカス(AF)の制御とが切り替えられるようになっており、例えば、フォーカスデマンド18には、AFのオン/オフを切り替えてAFとMFとを切り替えるオン/オフスイッチが設けられている。尚、オン/オフスイッチをオンとした場合にAFの制御となり、オフとした場合にMFの制御となる。
MF制御時では、フォーカスデマンド18からのフォーカス指令信号に従ってフォーカス制御が行われる。MF制御時にフォーカスデマンド18のマニュアル操作部材を操作すると、例えば、その操作部材の位置に対応したフォーカスの目標位置を指定するフォーカス指令信号がCPU10に与えられる。CPU10は、フォーカスの位置がそのフォーカス指令信号により指定された目標位置となるようにアンプFAに出力する駆動信号によりモータFMを制御してフォーカスレンズFLの位置を制御する。
また、フォーカスデマンド18にはAFに関する操作を行うための操作部材(AF制御に関する処理内容を設定、変更する操作部材)も設けられている。例えば、撮影範囲内においてAFによるピント合わせの対象とする範囲、即ち、AFエリアの範囲(位置や大きさ等)を変更する操作部材や、AFをオン/オフする上記オン/オフスイッチ、AF制御時におけるフォーカスの移動速度を可変する操作部材等が設けられている。尚、AF制御に関しては後述する。
ズームレンズZLの制御(ズーム制御)は、ズームデマンド20から与えられるズーム指令信号に従って行われる。ズームデマンド20のマニュアル操作部材を操作すると、例えば、その操作部材の位置に対応したズームの目標の移動速度を指定するズーム指令信号がCPU10に与えられる。CPU10は、ズームの移動速度がそのズーム指令信号により指定された目標の移動速度となるようにアンプZAに出力する駆動信号によりモータZMを制御してズームレンズZLの移動速度を制御する。
一方、絞りIの制御(絞り制御)は、カメラ本体50のカメラ回路52から与えられる絞り指令信号に従って行われる。本レンズシステムの撮影レンズがマウントにより装着されるカメラ本体50からは、絞りIの目標位置を指定する絞り指令信号が出力され、図示しない信号ラインによりA/D変換器14を介してCPU10に与えられるようになっている。絞り指令信号は、例えば、目標とする絞り値(FNo.)に対応した電圧値を絞りIの目標位置(開口量)として示す電圧信号である。CPU10は、絞りIの位置がカメラ回路52から与えられた絞り指令信号により指定された目標のFNo.に対応した位置となるようにアンプIAに出力する駆動信号によりモータIMを駆動して絞りIの位置を制御する。
同図においてAF回路30は、画像(被写体像)のコントストを示す焦点評価値を検出する回路であり、フォーカス制御においてAF制御を実行する場合等に使用される。
AF制御時において、CPU10は、AF回路30から得られる焦点評価値の情報に基づいて撮影レンズが合焦状態となるようにアンプFAに出力する駆動信号によりモータFMを制御してフォーカスレンズFLを制御する。
本実施の形態のレンズ制御システムでは、いわゆる光路長差方式のAFが採用されており、AF回路30は、一対のAF用CCD32A、32B、A/D変換器34、ゲート回路36、ハイパスフィルタ(HPF)38、加算回路40A、40B等から構成される。
一対のAF用CCD32A、32Bは、カメラ本体50に搭載された撮像素子(例えばCCD)とは別に設けられている。カメラ本体50のCCDは、記録又は再生用の本来の映像を撮影するためのCCD(以下、映像用CCDという)であるのに対し、AF用CCD32A、32BはAF用又はピント情報表示用に設けられたCCDであり、例えば、図2のように構成された撮影レンズに設置される。
ここで図2を用いて撮影レンズ(撮影光学系)の全体構成の概略と共にAF用CCD32A、32Bの配置について説明する。撮影レンズ60の光軸Oには、上記フォーカスレンズ(群)FL、上記ズームレンズ(群)ZL、上記絞りI、前側リレーレンズRA及び後側リレーレンズRBからなるリレーレンズ(リレー光学系)等が順に配置されている。撮影レンズ60に入射した被写体光はこれらのレンズ群を通過してカメラ本体50に入射する。カメラ本体50には、撮影レンズ60から入射した被写体光を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の波長に分解する色分解光学系68と、色分解された各色の被写体光の像を撮像するR、G、Bごとの映像用CCDが配置されている。尚、光学的に等価な光路長の位置に配置されたR、G、Bの映像用CCDを同図に示すように1つの映像用CCD70で表す。映像用CCD70の撮像面に入射した被写体光は、映像用CCD70によって光電変換されてカメラ本体50内の所定の信号処理回路によって記録又は再生用の映像信号が生成される。
一方、撮影レンズ60のリレー光学系の前側リレーレンズRAと後側リレーレンズRBとの間には、ハーフミラー62が配置されている。このハーフミラー62によって、撮影レンズ60の光路が2つに分割される。撮影レンズ60に入射した被写体光のうち、ハーフミラー62を透過した被写体光は、上述のように光軸Oの光路に沿ってカメラ本体50へと導かれる。ハーフミラー62で反射した被写体光は、上記光軸Oに略垂直な光軸O′の光路(AF用光路)へと導かれる。尚、ハーフミラー62に入射した被写体光に対して、例えば約50%の光量の被写体光がハーフミラー62を透過する。但し、ハーフミラー62として、任意の透過率と反射率の特性を有するものを使用することができる。
AF用光路には、上記後側リレーレンズRBと同等のリレーレンズRB′と、2つのプリズム64A、64Bから構成される光分割光学系64と、上記AF用CCD32A、32Bが配置されている。ハーフミラー62で反射してAF用光路へと導かれた被写体光は、リレーレンズRB′を通過した後、光分割光学系64に入射する。光分割光学系に入射した被写体光は、第1プリズム64Aと第2プリズム64Bとが接合する部分のハーフミラー面Mで光量が等価な2つの被写体光に分割される。ハーフミラー面Mで反射した被写体光は、一方のAF用CCD32Aの撮像面に入射し、ハーフミラー面Mを透過した被写体光は他方のAF用CCD32Bの撮像面に入射する。
図3は、カメラ本体50の映像用CCD70とAF用CCD32A、32Bとを同一の光軸上に表した図である。同図に示すように、一方のAF用CCD32Aに入射する被写体光の光路長は、他方のAF用CCD32Bに入射する被写体光の光路長よりも短く設定され、映像用CCD70の撮像面に入射する被写体光の光路長は、その中間の長さとなるように設定されている。すなわち、一対のAF用CCD32A、32B(の撮像面)は、それぞれ映像用CCD70の撮像面に対して前後等距離dの位置となるように配置されている。
このように撮影レンズ60に配置された一対のAF用CCD32A、32Bによって、撮影レンズ60に入射した被写体光を映像用CCD70の撮像面に対して前後の等距離の位置にそれぞれ撮像面を配置した場合と等価な映像信号が取得されるようになっている。尚、AF用CCD32A、32Bはカラー映像を撮像するものである必要はなく、本実施の形態ではAF用CCD32A、32Bから白黒の映像信号(輝度信号)が取得されるものとする。
図1のAF回路30において、各AF用CCD32A、32Bによって得られた映像信号は、A/D変換器34によりデジタル信号に変換された後、ゲート回路36に入力される。ゲート回路36では、撮影範囲(画面)内に設定された所定のAFエリアに対応する範囲内の映像信号が抽出される。これによって抽出されたAFエリア内の映像信号は続いてハイパスフィルタ(HPF)38に入力され、HPF38により高域周波数成分の信号のみが抽出される。尚、ゲート回路36においてAFエリアの範囲は、CPU10からの与えられる指示信号によって指示された範囲に設定されるようになっている。
HPF38によって抽出された高域周波数成分の信号は、AF用CCD32Aから得られたものは加算回路40Aによって、AF用CCD32Bから得られたものは加算回路40Bによって1フィールド分ずつ積算され、その積算値が1フィールドごとにAF回路30から出力される。
このようにして各加算回路40A、40Bから得られる積算値は、それぞれAF用CCD32A、32Bで撮像された被写体画像のコントラストの高さを評価する値を示す。本明細書ではこの積算値を焦点評価値というものとする。また、AF用CCD32Aの映像信号から得られた焦点評価値をchAの焦点評価値、AF用CCD32Bの映像信号から得られた焦点評価値をchBの焦点評価値というものとする。
CPU10は、このようして得られたchAとchBの焦点評価値に基づいて映像用CCD70に対する撮影レンズ60のピント状態を検出する。ピント状態の検出は、次のような原理で行われる。図4は、横軸に撮影レンズ60のフォーカスレンズFLの位置(フォーカス位置)、縦軸に焦点評価値をとり、ある被写体を撮影した際のフォーカス位置と焦点評価値との関係を例示した図である。図中実線で示す曲線A、Bは、それぞれAF用CCD32A、32Bから得られるchAとchBの焦点評価値をフォーカス位置に対して示している。一方、図中点線で示す曲線Cは、映像用CCD70から得られた映像信号により焦点評価値を求めたと仮定した場合の焦点評価値をフォーカス位置に対して示している。
同図において、ピント状態が合焦となるのは、曲線Cで示す映像用CCD70の焦点評価値が最大(極大)となるときのフォーカス位置F0にフォーカスが設定された場合である。もし、撮影レンズ60のフォーカスがその合焦位置F0よりも至近側のフォーカス位置F1に設定されている場合には、chAの焦点評価値は、フォーカス位置F1に対応する曲線Aの値VA1となり、chBの焦点評価値は、フォーカス位置F1に対応する曲線Bの値VB1となる。この場合、図から分かるようにchAの焦点評価値VA1の方が、chBの焦点評価値VB1よりも大きくなる。このことから、chAの焦点評価値VA1の方が、chBの焦点評価値VB1よりも大きい場合には、フォーカスが合焦位置F0よりも至近側に設定されている状態、すなわち、前ピンの状態であることが分かる。
一方、撮影レンズ60のフォーカスが合焦位置F0よりも無限遠側のフォーカス位置F2に設定されている場合には、chAの焦点評価値は、フォーカス位置F2に対応する曲線Aの値VA2となり、chBの焦点評価値は、フォーカス位置F2に対応する曲線Bの値VB2となる。この場合、chAの焦点評価値VA2の方が、chBの焦点評価値VB2よりも小さくなる。このことから、chAの焦点評価値VA2の方が、chBの焦点評価値VB2よりも小さい場合には、フォーカスが合焦位置F0よりも無限遠側に設定されている状態、すなわち、後ピンの状態であることが分かる。
これに対して、撮影レンズ60のフォーカスがフォーカス位置F0、即ち、合焦位置に設定されている場合には、chAの焦点評価値は、フォーカス位置F0に対応する曲線Aの値VA0となり、chBの焦点評価値は、フォーカス位置F0に対応する曲線Bの値VB0となる。この場合、chAの焦点評価値VA0とchBの焦点評価値VB0は等しくなる。このことから、chAの焦点評価値VA0とchBの焦点評価値VB0とが等しい場合にはフォーカスが合焦位置F0に設定されている状態、すなわち、合焦状態であることが分かる。
このようにchAとchBの焦点評価値によって、撮影レンズの現在のピント状態が映像用CCD70に対して前ピン、後ピン、合焦のいずれの状態であるかを検出することができる。
図1におけるCPU10は、AF制御時において、上記のようにしてchAとchBの焦点評価値に基づいて映像用CCD70に対する撮影レンズ60のピント状態を逐次検出しながら、合焦状態となるようにフォーカスレンズFLを制御する。例えば、ピント状態が前ピンの場合にはフォーカスレンズFLを無限遠方向に移動させ、ピント状態が後ピンの場合にはフォーカスレンズFLを至近方向に移動させる。そして、ピント状態が合焦の場合には、フォーカスレンズFLを停止させる。これによって、撮影レンズのピント状態が合焦となる位置にフォーカスレンズFLが移動して停止する。このように光路長差を有する複数のAF用CCDを用いて自動ピント調整を行うAFの方式を光路長差方式と称している。
尚、CPU10において、単にピント状態を検出するだけでなく、chAとchBの焦点評価値の差や比等からピントずれの程度も検出し、CPU10においてフォーカスレンズFLを移動させる際の速度(フォーカスの移動速度)に反映させることも可能である。また、全般的なフォーカスの移動速度は、例えばフォーカスデマンド18に設けられた操作部材等によって調整可能である。
続いて、上記のようにAF機能を搭載したレンズ装置1に対するパソコン80を用いたAFに関する操作(AF制御に関するレンズ装置1での処理内容を設定、変更する操作)について説明する。図1に示すように上記レンズ装置1は、所定のコネクタにパソコン80をケーブル等で接続するができるようになっており、そのパソコン80での操作によってレンズ装置1の各種操作、制御を行うことができるようになっている。レンズ装置1のCPU10とパソコン80(パソコン80のCPU)との間は、例えば、RS232Cインターフェース82によってシリアル通信可能に接続される。パソコン80では所定のソフトウェアのプログラムを実行することによって、パソコン80のモニタ画面上にレンズ装置1の操作を行うためのレンズ操作画面が表示される。操作者は、キーボードやマウス等の入力装置を用いて、レンズ操作画面での各種操作を行うと、その操作に応じた制御を実行させるための指令信号(コマンド)が、パソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信され、その指令信号に従った制御をCPU10が実行するようになっている。
図5は、パソコン80のモニタ画面に表示されるレンズ操作画面100を例示した図である。同図のレンズ操作画面100は、主にAFに関する操作を行うためのものであり、画面左側半分にAFに関する操作を行うためのAF用操作画面が表示され、画面右側半分に絞り、ズーム、フォーカス、エクステンダーの各々に関する操作を行うための操作画面が表示されるようになっている。尚、エクステンダーは、図1、2では省略したが、光路上に所定の変換レンズを挿脱することによって撮影倍率を所定倍(例えば2倍)に変換する光学系である。また、撮影倍率を約0.8倍にする変換レンズを光路上に挿脱することによって撮影映像の画面のアスペクト比を16:9と4:3とで切り替える際の画角変化に対処するレシオコンバータとしての機能も備えている。レンズ装置1のCPU10では、そのエクステンダーにおける変換レンズの光路上への挿脱に関する制御も行なっている。
図5のレンズ操作画面100において、画面左上にはAFエリアの位置を操作するためのAFエリア操作部102が表示されている。外側の枠104は、撮影範囲(撮影映像の全画面範囲)に相当し、その枠104内の枠106はAFエリアの範囲に相当している。そのAFエリアの範囲を示す枠106の内側を例えばマウスでドラッグ操作すると、その操作に従って枠106の位置が枠104内で移動する。そして、その撮影範囲を示す枠104内での枠106の範囲(位置)に対応して撮影範囲内でのAFエリアの範囲を指示する指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信される。レンズ装置1のCPU10は、指令信号によって指示された範囲が実際に設定されるAFエリアの範囲となるようにAF回路30のゲート回路36にそのAFエリアの範囲(信号を抽出する範囲)を指示する。これによってAFエリアの位置がレンズ操作画面100のAFエリア操作部102での操作にしたがって変更される。レンズ装置1において設定されているAFエリアの範囲は、カメラ本体50のカメラ回路52にも送信され、映像用CCDにより撮影されている映像が表示されるビューファインダ54にそのAFエリアの範囲がその輪郭を示すAF枠等によって表示されるようになっている。
また、AFエリアの範囲は、撮影範囲の画面上に設定されたX−Y座標値(横軸をX、縦軸をYとする)によって表され、AFエリア操作部102の下部には、AFエリア操作部102によって指示されたAFエリアの範囲と、レンズ装置1において実際に設定されているAFエリアの範囲とが座標値X1、Y1、X2、Y2によって示されるようになっている。座標値(X1、Y1)がAFエリアの範囲の左上隅のX−Y座標値を示し、座標値(X2、Y2)が右下隅のX−Y座標値を示している。また、AFエリア操作部102によって指示されているAFエリアの範囲のそれらの座標値が「Ctrl Data」と表示された項目に対応する位置に表示され、レンズ装置1において実際に設定されている現在のAFエリアの範囲を示すそれらの座標値が「Pos Data」と表示された項目に対応する位置に表示されている。レンズ装置1において実際に設定されている現在のAFエリアの範囲の情報は、逐次レンズ装置1からパソコン80に送られるようになっている。
尚、AFエリア操作部102においてもレンズ装置1において実際に設定されている現在のAFエリアの範囲を示す枠を、操作者が操作する枠106とは別に表示するようにしてもよい。また、レンズ装置1において実際に設定されている現在のAFエリアの範囲は、AFエリア操作部102によって指示されたAFエリアの範囲と本来一致するため、これに関する情報を表示することは必ずしも必要ではない。
また、AFエリアの大きさや形状(縦横比)は規定の値としてもよいが、AFエリアの位置と同様にAFエリア操作部102での操作によって任意に変更できるようにしてもよい。例えば、枠106の枠部分をマウスでドラッグすると、その操作に応じて枠106の大きさや縦横比が変更され、それに応じて実際のAFエリアの大きさや縦横比も変更されるようにしてもよい。また、撮影範囲に相当する枠104内において、実際に撮影されている映像を表示させるようにすることもできる。例えば、図1におけるAF用CCD32A(又は32B)、又は、カメラ本体50からパソコン80に映像信号を伝送すれば、その映像信号によって現在撮影中の映像を枠104の範囲に表示させるようにすることができる。
また、枠104の上部のリセットボタン108をマウス等で押下操作(クリック操作)すると、AFエリアの範囲(枠106)が規定の状態(撮影範囲の中央位置の所定の大きさ及び形状)にリセットされるようになっている。
また、AFエリア操作部102の外側の枠104内の右下には、現在のピント状態が例えば“○”、“+”、“−”の記号のうちいずれか1つの記号の表示によって示されるようになっている。パソコン80には現在のピント状態がレンズ装置1のCPU10から送信され、そのピント状態が合焦状態の場合には“○”、前ピン状態の場合には“+”(又は“−”)、後ピン状態の場合には“−”(又は“+”)の記号が表示されるようになっている。但し、ピント状態の表示方法はこれに限らない。
AFエリア操作部102の下のAFオン/オフボタン110は、AF制御を有効(オン)と無効(オフ)とで切り替えるボタンである。AFオン/オフボタン110をマウス等で押下操作(クリック操作)すると、押下操作するごとにAFのオン/オフを切り替える指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信される。CPU10は、その指令信号に従ってAFのオン/オフを切り替える処理を実行する。AFオン/オフボタン110の上の表示部112には、AFオン/オフボタン110による選択状態(「ON」と「OFF」)が表示されるようになっている。
上記AFオン/オフボタン110の下側に表示されたAFスピード調整用スクロールバー114は、AF制御時におけるフォーカス(フォーカスレンズFL)の移動速度(AFスピード)を調整するための操作部である。スクロールバー114のスライダ114Aをマウス等でスライド操作(ドラッグ操作)し、スライダ114Aをスクロールバー114の作業領域の所望の位置に移動させると、その位置に対応した速度をAFスピードとして指示する指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信される。CPU10は、その指令信号に従ってAF制御時のフォーカス移動速度を設定する。AFスピード調整用スクロールバー114の上の表示部116には、レンズ装置1において実際に設定され、レンズ装置1から取得したAFスピードの値が表示されるようなっている。
上記AFエリア操作部102の左側下に表示されたAFコントロールボタン118は、上記AFオン/オフボタン110によるAFのオン/オフ操作及びAFスピード調整スクルールバー114によるAFスピード調整操作に関してパソコン80での操作を有効にするか、ローカルのコントローラでの操作を有効にするかを選択するボタンである。
ローカルのコントローラは、AFに関する操作を行なうパソコン80以外のコントローラ(主にカメラマンが直接操作するコントローラ)を示し、例えば、フォーカスデマンド18にAFの操作を行なう操作部が設けられている場合にはフォーカスデマンド18がローカルのコントローラに該当し、また、AFの操作専用のコントローラがレンズ装置1に接続されている場合にはそのコントローラがローカルのコントローラに該当する。
AFコントロールボタン118をマウス等で押下操作(クリック操作)すると、押下操作するごとにAFのオン/オフ操作及びAFスピード調整操作に関して操作が有効となる装置がパソコン80とローカルのコントローラとで切り替えられるようになっている。AFコントロールボタン118の下の表示部120にはAFコントロールボタン118の選択状態が表示され、「PC」と表示されているときには、パソコン80での操作が有効となる選択状態を示し、「Local」と表示されているときには、ローカルのコントローラでの操作が有効となる選択状態を示している。そのAFコントロールボタン118の選択状態を示す指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信され、CPU10は、その指令信号に従ってAFをオン/オフする処理及びAFスピードを調整する処理をパソコン80からの指示に従って行なうか、ローカルのコントローラに従って行なうかを判断する。
AFコントロールボタン118の下に表示されているAFエリアコントロールボタン122は、上記AFエリア操作部102でのAFエリアの操作に関してパソコン80での操作を有効にするか、ローカルのコントローラでの操作を有効にするかを選択するボタンである。AFエリアコントロールボタン122をマウス等で押下操作(クリック操作)すると、押下操作するごとにAFエリアの操作に関して有効となる装置がパソコン80とローカルのコントローラとで切り替えられるようになっている。AFエリアコントロールボタン122の下の表示部124にはAFエリアコントロールボタン122の選択状態が表示され、「PC」と表示されているときには、パソコン80での操作が有効となる選択状態を示し、「Local」と表示されているときには、ローカルのコントローラでの操作が有効となる選択状態を示している。そのAFエリアコントロールボタン122の選択状態を示す指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信され、CPU10は、その指令信号に従ってAFエリアの範囲を設定する処理をパソコン80からの指示に従って行なうか、ローカルのコントローラに従って行なうかを判断する。AFエリアコントロールボタン122によってパソコン80でのAFエリアの操作を有効にした場合、上記のようにAFエリア操作部102におけるAFエリアの位置等の操作が有効となる。
ここでAFに関する操作に関して、パソコン80での操作と、ローカルのコントローラでの操作のいずれを有効にするかを切り替える処理手順を図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、パソコン80においてAFエリアコントロールボタン122がオンか否かを判定する(ステップS10)。YESと判定した場合、レンズ装置1のCPU10において、AFエリアの範囲を設定、変更する処理がパソコン80での操作に基づいてパソコン80から送信される指令信号に従って行われる(ステップS12)。一方、NOと判定した場合には、AFエリアの範囲を設定、変更する処理がローカルのコントローラでの操作に基づいてローカルのコントローラから送信される指令信号に従って行われる(ステップS14)。
続いてパソコン80においてAFコントロールボタン118がオンか否かを判定する(ステップS16)。YESと判定した場合、レンズ装置1のCPU10において、AFをオン/オフする処理、及び、AFスピードを調整する処理がパソコン80での操作に基づいてパソコン80から送信される指令信号に従って行われる(ステップS18)。一方、NOと判定した場合には、AFをオン/オフする処理、及び、AFスピードを調整する処理がローカルのコントローラでの操作に基づいてローカルのコントローラから送信される指令信号に従って行われる(ステップS20)。
図5において、レンズ操作画面100の画面右側には、絞り、ズーム、フォーカス、エクステンダーの各々に関する操作部(絞り操作部140、ズーム操作部142、フォーカス操作部144、エクステンダー操作部146)が上から順に表示されている。絞り操作部140、ズーム操作部142、フォーカス操作部144の各々に表示されているリモート/ローカル切替ボタン150、152、154は、絞り、ズーム、フォーカスの各々の操作(位置操作等)に関して、パソコン80での操作を有効にするか、ローカルのコントローラでの操作を有効にするかを選択するボタンである。各ボタン150、152、154をマウス等で押下操作(クリック操作)すると、押下操作するとごとに絞り、ズーム、フォーカスの各々の操作に関して操作が有効となる装置がパソコン80(リモート)とローカルのコントローラとで切り替えられるようになっている。各ボタン150、152、154の右横には各ボタン150、152、154の選択状態が表示され、「remote」と表示されているときには、パソコン80での操作が有効となる選択状態を示し、「local」と表示されているときには、ローカルのコントローラでの操作が有効となる選択状態を示している。各ボタン150、152、154の選択状態を示す指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信され、CPU10はその指令信号に従って絞り、ズーム、フォーカスの制御に関する処理をパソコン80からの指示に従って行なうか、ローカルのコントローラに従って行なうかを判断する。
また、絞り操作部140、ズーム操作部142、フォーカス操作部144の各々に表示されたスクロールバー160、162、164が絞り、ズーム、フォーカスの位置を調整する操作部である。上記ボタン150、152、154によって絞り、ズーム、フォーカスの各々の操作に関してパソコン80での操作が有効となっている操作部140、142、144において、各スクロールバー160、162、164のスライダ160A、162A、164Aをマウス等でスライド操作(ドラッグ操作)し、スライダ160A、162A、164Aをスクロールバー160、162、164の作業領域の所望の位置に移動させると、各スライダ160A、162A、164Aの位置に対応した位置へ絞り、ズーム、フォーカスの移動を指示する指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信される。CPU10では、パソコン80からの指令信号に従って絞り、ズーム、フォーカスの各々の位置を制御する。
また、各スクロールバー160、162、164の下の表示部166、168、170には、レンズ装置1において実際に設定されている位置であってレンズ装置1から取得した絞り、ズーム、フォーカスの位置が指標棒の位置によって表示されている。また、各操作部140、142、144におり指示されている絞り、ズーム、フォーカスの各位置を示す値が表示部172、174、176に表示され、レンズ装置1において実際に設定されている絞り、ズーム、フォーカスの各位置を示す値が表示部178、180、182に表示されている。
絞り操作部140において、オート/リモート切替ボタン190は、絞りの制御を自動で行なうかリモートのコントローラ(パソコン80)での操作に従って行なうかを選択するボタンであり、その選択状態を示す指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信され、CPU10において絞りの制御を自動で行なうかパソコン80からの指令信号に従って行うかが判断される。また、オート/リモート切替ボタン190の右の表示部にはオート/リモート切替ボタン190の選択状態が表示されるようになっている。
エクステンダー操作部146において、4:3モード選択ボタン194は、撮影映像の画面のアスペクト比を標準の16:9にする撮影モードに対して4:3にする撮影モードとした場合に適切な撮影倍率とするための変換レンズを光路上に挿入するか否かを選択するボタンであり、その右の表示部にはその選択状態が表示されるようになっている。オート/リモート切替ボタン190をマウス等で押下操作(クリック操作)すると、押下操作するごとに撮影モードが切り替える指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信される。CPU10は、その指令信号に従って撮影光学系の光路上に挿脱する変換レンズ(レシオコンバータ用の変換レンズ)を制御する。
また、エクスタンダー操作部146に表示されている変換レンズ選択用トルグボタン198は、撮影光学系の光路上に挿入する変換レンズの種類を選択するボタンである。その右側の表示部にはトルグボタン198によって選択されている変換レンズの種類が表示されている。操作者が、マウス等によってトルグボタン198の所望の変換レンズを種類を選択すると、その選択された変換レンズの光路上への挿入を指示する指令信号がパソコン80からレンズ装置1のCPU10に送信される。CPU10は、その選択された変換レンズを光路上に挿入する。
以上、上記実施の形態では、光路長差方式のAFを実行するAF機能がレンズ装置1に搭載される場合について説明したが、本願発明は、レンズ装置1において他の方式のAFを実行するAF機能が搭載されている場合であっても適用できる。例えば、カメラ本体で撮影されている映像の映像信号をカメラ本体からレンズ装置に取り込み、レンズ装置1においてその映像信号に基づいて一般的なコントラスト方式のAFを実行するような態様であっても本願発明を適用できる。
10…CPU、18…フォーカスデマンド、20…ズームデマンド、30…AF回路、32A、32B…AF用CCD、50…カメラ本体、60…撮影レンズ、70…映像用CCD、80…パソコン、100…レンズ操作画面、102…AFエリア操作部、104、106…枠、108…リセットボタン、110…AFオン/オフボタン、114…AFスピード調整用スクロールバー、118…AFエリアコントロールボタン、122…AFエリアコントロールボタン、FL…フォーカスレンズ、ZL…ズームレンズ、I…絞り