JP2008064037A - 車両用スリップ検知装置、車両用トラクションコントロール装置及び車両用スリップ検知方法 - Google Patents

車両用スリップ検知装置、車両用トラクションコントロール装置及び車両用スリップ検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動輪のスリップを的確に検出してトラクションコントロールの精度を向上させる。
【解決手段】エンジン2の回転数を検出する回転数検出部13と、回転数検出部13で検出されたエンジン2の回転数の所定時間における上昇率を検出する回転数上昇率検出部14と、回転数上昇率検出部14で検出された上昇率が第1閾値を超えてから第1閾値を下回るまで所定時間毎の上昇率の各値を累積的に積算し、その積算値が第2閾値を超えた際にスリップであると判定するスリップ判定部19とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、路面に対する駆動輪のグリップ状況を検出する車両用スリップ検知装置、それを用いて駆動輪のグリップ状況に応じたエンジン出力制御を行う車両用トラクションコントロール装置、及び車両用スリップ検知方法に関するものである。
従来、車両の駆動輪にスリップが生じたときに、エンジンの駆動力を減少させて駆動輪のグリップ力を回復させるトラクションコントロール装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置によれば、エンジン回転数の上昇率が所定の閾値を超えた場合に、エンジンの点火時期が最適な時期よりも遅くなるよう遅角制御されることで駆動力が低下し、スリップ防止が図られる構成となっている。
特開平7−103009号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたトラクションコントロール装置によれば、路面の割れ目を越えて走行した時のように駆動輪が急に空転して生じる急激なエンジン回転数の上昇は検出することができるが、低速でコーナーを走行中に駆動輪がスライドする時などのような持続的で緩やかな滑りは、エンジン回転数の上昇率が急激に増加しないため、正常状態におけるノイズとの区別が困難となる。即ち、回転数の上昇率の変化でトラクション制御のON/OFFを行う際には閾値を設定する必要があるが、上昇率の変化が大きい場合は閾値をラフに設定してもよいが、上昇率の変化が緩やかな場合はノイズと区別しうる閾値の設定が難しく、スリップの誤検出によりトラクション制御の精度も低下してしまう。
そこで、本発明は、駆動輪のスリップを的確に検出してトラクションコントロールの精度を向上させることを目的としている。
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る車両用スリップ検知装置は、エンジンの回転数を検出する回転数検出部と、前記回転数検出部で検出された前記エンジンの回転数の所定時間における上昇率を検出する回転数上昇率検出部と、前記回転数上昇率検出部で検出された前記上昇率が、第1閾値を超えてから前記第1閾値を下回るまで、前記所定時間毎の前記上昇率の各値を累積的に積算し、その積算値が第2閾値を超えた際にスリップ状態であると判定するスリップ判定部とを備えていることを特徴とする。
このようにすると、ノイズが混入した場合のように回転数上昇率が瞬間的に第1閾値を超えたものはスリップと判定され難くなり、回転数上昇率が連続的に第1閾値を超えることで回転数上昇率が累積的に積算された値が第2閾値を超えた際に初めてスリップ状態と判定されることとなる。つまり、回転数上昇率が緩やかな滑りも確実に検知するためには第1閾値を低く設定する必要が生じるが、回転数上昇率が連続して第1閾値を超えないと積算値が大きくならず第2閾値を超えないので、回転数上昇率がノイズ等により第1閾値を不連続的に超えた場合にスリップ状態であると誤検知することが防止される。したがって、駆動輪の路面に対するスリップの検出精度が向上する。
前記第1閾値は、前記上昇率の積算を開始させる値よりも、前記上昇率の積算を終了させる値を小さい設定とするヒステリシスを有していてもよい。
このようにすると、回転数上昇率が積算開始条件の第1閾値を超えた後で、回転数上昇率がノイズ等で低下しても積算終了条件の第1閾値を下回りにくくなる。よって、多少の検出誤差により回転数上昇率が変動しても、誤って積算処理を終了させることが防がれ、第1閾値を基準とした回転数上昇率の積算開始および積算終了を的確に行うことができる。
車両の走行速度を検出する車速センサと、車両の変速装置のギア位置を検出するギアポジションセンサと、車両のクラッチ接続時におけるエンジンの回転数と車速との関係をギア位置毎に予め記憶したギア比記憶部と、をさらに備え、前記スリップ判定部は、前記ギアポジションセンサで検出されたギア位置と前記回転数検出部で検出された回転数とに対応する前記ギア比記憶部に記憶された車速値に対して、前記車速センサで検出された車速値が所定の許容誤差以上に異なる場合に、クラッチ遮断状態でありスリップ状態でないと判定する構成であってもよい。
このようにすると、実際のギア位置とエンジン回転数と車速値を、ギア比記憶部に記憶されたクラッチ接続時のデータと比較し、互いが一致すればクラッチ接続状態で、不一致であればクラッチ遮断状態であると分かる。つまり、クラッチを遮断することによりエンジン回転数が急上昇しても、スリップに起因するものであるのかクラッチ遮断に起因するものであるのかを判別することができる。したがって、クラッチ遮断による回転数上昇率の増加をスリップと誤検知することが防止され、スリップ検知精度を向上することができる。
また、本発明の車両用トラクションコントロール装置は、前記車両用スリップ検知装置を用いて車両のスリップを防止するトラクションコントロール装置であって、前記スリップ判定部でスリップ状態であると判定された際に、前記エンジンの出力を低下させる制御を行うトラクション制御部を備えていることを特徴とする。
このようにすると、スリップ状態と判定された際に該判定の直前よりもエンジン出力が低下させられ、自動的に駆動輪の路面に対するグリップの回復を図ることができる。
前記トラクション制御部は、前記スリップ判定部でスリップ状態であると判定された際に、前記エンジンの点火時期を遅角させる遅角制御を行うことで、前記エンジンの出力を低下させ、かつ、前記積算値が増加するにつれて遅角量を増加させる構成となっていてもよい。
このようにすると、回転数上昇率の積算値が大きくなりスリップが大きくなるにつれて、遅角量が増加してエンジン出力がより低下させられることとなる。したがって、スリップ初期段階で急激にエンジン出力が低下させられることなく、運転者の運転フィーリングを損なうことなく的確に駆動輪のグリップ力を回復することができる。
スロットル開度を検出するスロットル開度センサをさらに備え、前記トラクション制御部は、前記スロットル開度センサで検出されたスロットル開度の変化率に応じて前記遅角量を補正する構成となっていてもよい。
このようにすると、運転者が意図的にスロットルを急開して駆動輪を路面に対して滑らせた場合を判別して、遅角量を適宜補正することができる。例えば、レーシング仕様の車両であれば、スロットルが急開された際には運転者の意図を極力尊重して、遅角量を減少させるように補正するとよい。
また本発明の車両用スリップ検知方法は、エンジン回転数の所定時間における上昇率が第1閾値を超えてから前記第1閾値を下回るまで、前記所定時間毎の前記上昇率の各値を累積的に積算し、その積算値が第2閾値を超えた際にスリップ状態であると判定することを特徴とする。
このようにすると、ノイズが混入した場合のように回転数上昇率が瞬間的に第1閾値を超えたものはスリップと判定され難くなり、回転数上昇率が連続的に第1閾値を超えることで回転数上昇率が累積的に積算された値が第2閾値を超えた際に初めてスリップ状態と判定されることとなる。つまり、回転数上昇率が緩やかである滑りも確実に検知するためには第1閾値を低く設定する必要が生じるが、回転数上昇率が連続して第1閾値を超えないと積算値が大きくならず第2閾値を超えないので、回転数上昇率がノイズ等により第1閾値を不連続的に超えた場合にスリップ状態であると誤検知することが防止される。したがって、駆動輪の路面に対するスリップの検出精度が向上する。
車両のクラッチ接続時におけるエンジン回転数と車速とギア位置との関係を示すデータに対して、実際のギア位置及びエンジン回転数における実際の車速値が所定の許容誤差以上に異なる場合に、クラッチ遮断状態でありスリップ状態でないと判定してもよい。
このようにすると、実際のギア位置とエンジン回転数と車速値を、予め分かっているクラッチ接続時のデータと比較し、互いが一致すればクラッチ接続状態で、不一致であればクラッチ遮断状態であると判断することができる。つまり、クラッチを遮断することによりエンジン回転数が急上昇しても、スリップに起因するものであるのかクラッチ遮断に起因するものであるのかを判別することができる。したがって、クラッチ遮断による回転数上昇率の増加をスリップと誤検知することが防止され、スリップ検知精度を向上することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ノイズ等の回転数上昇率の不連続な増加をスリップ状態であると誤検知することが防止され、スリップの検出精度が向上する。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る自動二輪車に搭載されたトラクションコントロール装置を示す全体ブロック図である。図1に示すように、トラクションコントロール装置1は、エンジン2と、エンジン2からの出力を変速して駆動輪に伝達する変速装置3と、エンジン2のシリンダ内の混合気に点火を行う点火装置4とを備えている。エンジン2のクランク軸には、エンジン2の回転数を検知可能なクランク角センサ5が設けられている。変速装置3の出力軸には該出力軸の回転数から自動二輪車の走行速度を検知可能な車速センサ6が設けられている。変速装置3には、変速装置3のギア位置を検出するギアポジションセンサ7が設けられている。また、前記自動二輪車には、ECU(電子制御ユニット)9が搭載されている。
図2は図1に示すトラクションコントロール装置1の主にECU9を説明する要部ブロック図である。図2に示すように、ECU9は、トラクション演算部10と点火制御部11とを備えている。トラクション演算部10は、回転数検出部13と、回転数上昇率検出部14と、車速検出部15と、ギア位置検出部16と、ギア比記憶部17と、比較部18と、スリップ判定部19と、トラクション制御部20とを有している。
回転数検出部13は、クランク角センサ5からの出力に基づいてエンジンの回転数を検出する構成となっている。回転数上昇率検出部14は、回転数検出部13で検出されたエンジンの回転数の所定時間(微小時間)における上昇率(以下、回転数上昇率αという)を検出する構成となっている。なお、「所定時間における上昇率」は、回転数をN(rpm)、時間をt(秒)とすると、ΔN/Δtで求められるものである。車速検出部15は、車速センサ6からの出力に基づいて自動二輪車の走行速度を検出する構成となっている。ギア位置検出部16は、ギアポジションセンサ7からの出力に基づいてギア位置を検出する構成となっている。
ギア比記憶部17は、自動二輪車のクラッチ接続時におけるエンジン2の回転数と車速との関係をギア位置毎に予め記憶したもので、具体的には、図5に示すようなグラフで表されたクラッチ接続時におけるギア位置毎のエンジン回転数と車速との関係が記憶されている。比較部18は、回転数検出部13と車速検出部15とギア位置検出部16とから得られる出力をギア比記憶部17に記憶されたデータと比較し、ギア比記憶部17に記憶された車速値に対して、車速センサ6で検出された車速値が所定の許容誤差以上に相違するか否かを検出する構成となっている。
スリップ判定部19は、回転数上昇率検出部14で検出された回転数上昇率αが第1閾値T1を超えてから第1閾値T1を下回るまでの間に、その間における回転数上昇率αのサンプリング毎(所定時間毎)の各値αを累積的に積算し、その積算値βが第2閾値T2を超えた際にスリップ状態であると判定する構成となっている。第1閾値T1は、回転数上昇率αの積算を開始する値T1−1よりも、回転数上昇率αの積算を終了する値T1−2の方が若干小さい設定となるヒステリシスを有している。また、第1閾値T1(T1−1,T1−2)は、非スリップ状態における回転数上昇率の最大値をΔNEとすると、1.1×ΔNE〜4.0×ΔNEの範囲内で設定されている。なお、第1閾値は、回転数上昇率αの積算を開始する値と、回転数上昇率αの積算を終了する値とを同一としてヒステリシスを有してなくてもよい。
さらに、スリップ判定部19は、比較部18からの出力が、ギア比記憶部17に記憶された車速値に対して車速センサ6で検出された車速値が所定の許容誤差以上に異なる場合には、クラッチ遮断状態であり非スリップ状態であると判定する構成となっている。以上のように、クランク角センサ5と、車速センサ6と、ギアポジションセンサ7と、回転数検出部13と、回転数上昇率検出部14と、車速検出部15と、ギア位置検出部16と、ギア比記憶部17と、比較部18と、スリップ判定部19とでスリップ検知装置30が構成され、ECU9の中に組み込まれている。
トラクション制御部20は、スリップ判定部19でスリップ状態であると判定された際に、該判定直前よりもエンジン2の出力を低下させるように、点火制御部11に指令する。点火制御部11は、点火装置4に指令して、エンジン2の点火時期を遅角させる遅角制御を行う構成となっている。
図3は図1に示すトラクションコントロール装置1の制御フローチャートである。図4(a)〜(d)は図1に示すトラクションコントロール装置1の作用を説明するタイミングチャートである。図4(a)は横軸が時間で縦軸がエンジン回転数であり、スリップによりエンジン回転数が一部不規則に上昇している状態が表されている。図4(b)は横軸が時間で縦軸が回転数上昇率αであり図4(a)に対応している。図3及び図4(b)に示すように、スリップ判定部19(図2)は、回転数上昇率αが第1閾値T1を超えているか否かを判定する(ステップS1)。詳細には、第1閾値T1は、所定の許容範囲が設定されたヒステリシスを有し、後述する回転数上昇率αの積算を開始する閾値T1−1と、回転数上昇率αの積算を終了する閾値T1−2とを相違させ、T1−2がT1−1よりも若干小さい設定となっている。
図4(c)は横軸が時間で縦軸が上昇率積算値βであり図4(b)に対応している。前記ステップS1において回転数上昇率αが閾値T1−1を超えていない場合には、上昇率積算値βには次のサンプリング前に初期値のゼロにリセットされる(ステップS2)。一方、回転数上昇率αが閾値T1−1を超えた場合には、図3及び図4(c)に示すように、上昇率積算値βに対して回転数上昇率αを累積的に積算する(ステップS3)。そして、上昇率積算値βが第2閾値T2を超えていない場合には、再びステップS1からの処理を繰り返す(ステップS4)。第2閾値T2は、第1閾値T1(T1−1,T1−2)よりも大きい値であり、3.0×(T1−1)〜10.0×(T1−1)の範囲内で設定されている。ここで、第2閾値T2が3.0×(T1−1)以上に設定されているのは、それより小さいと積算値の累積回数が少ないうちに上昇率積算値βが第2閾値T1を超えて、ノイズによる不連続的な回転数上昇率の増加をスリップと誤検知してしまうからである。一方、第2閾値T2が10.0×(T1−1)以下に設定されているのは、それより大きいと積算値の累積回数がかなり多くないと上昇率積算値βが第2閾値T2を超えず、スリップ検知の応答性が低下するからである。
一方、図3及び図4(c)に示すように、上昇率積算値βが第2閾値T2を超えた場合には、クラッチが接続状態か遮断状態であるかを判定する(ステップS5)。具体的には、図2及び図3に示すように、スリップ判定部19は、ギア比記憶部17に記憶された車速値に対して車速センサ6で検出された車速値が所定の許容誤差内であると比較部18で出力された場合には、クラッチ接続状態であると判定する一方、それ以外の場合にはクラッチは遮断状態でありスリップ状態ではないとみなす(ステップS5)。
具体的には、以下の数式1のように各ギアポジション(n)でのエンジン回転数と車速との比率をR(n)としたとき、R(n)が以下の数式2を満たす場合がクラッチ接続状態で、満たさない場合がクラッチ遮断状態であると判定する。但し、n=1〜6、R(0)=(1.1〜2.0)×R(1)、R(7)=−R(6)とする。
R(n)=エンジン回転数/車速 ・・・(式1)
{R(n)+R(n+1)}/2 < R(n) < {R(n)+R(n−1)}/2 ・・・(式2)
そして、クラッチ遮断状態であると判定された場合には、非スリップ状態であるとしてステップS1からの処理を繰り返す(ステップS5)。一方、クラッチ接続状態であると判定された場合には、トラクション制御部20が点火遅角量θを決定し、エンジン2の点火時期を遅角させてエンジン2の出力を低下させる遅角制御を行う(ステップS6)。
図4(d)は横軸が時間で縦軸が点火の遅角量θであり図4(c)と対応している。図4(d)に示すように、点火の遅角量θは上昇率積算値βが増加するにつれて増加するように設定されている。具体的には、トラクション制御部20は、図6に示すようなギア位置毎の点火遅角マップM1〜M6を有しており、その点火遅角マップを逐次参照して、現在の上昇率積算値βとエンジン回転数とに対応する遅角量を逐次設定するようにしている。
図6はギア位置毎の点火遅角マップM1〜M6を示す図面である。例えば図6の点火遅角マップM1によれば、エンジン回転数が4000〜10000rpmの範囲内で、上昇率積算値βが増加するにつれて遅角量θが−10°〜−80°の範囲で増加するように設定されている。そして、図4(d)に示すように、上昇率積算値βに対応する遅角量θで次のサンプリングタイミングに遅角制御するようになっている。
以上の構成とすると、ノイズが混入した場合のように回転数上昇率αが瞬間的に第1閾値T1を超えたものはスリップと判定され難くなり、回転数上昇率αが連続的に第1閾値T1を超えることで回転数上昇率αが累積的に積算された値βが第2閾値T2を超えた際に初めてスリップ状態と判定されることとなる。つまり、回転数上昇率αが緩やかである滑りも確実に検知するためには第1閾値T1を低く設定する必要が生じるが、回転数上昇率αが連続して第1閾値T1を超えないと積算値βが大きくならず第2閾値T2を超えないので、回転数上昇率αがノイズ等により第1閾値T1を不連続的に超えた場合にスリップ状態であると誤検知することが防止される。したがって、駆動輪の路面に対するスリップの検出精度が向上する。そして、スリップ状態と判定された際には、トラクション制御部20(図2)により、該判定の直前よりもエンジン2(図2)の出力が低下させられ、自動的に駆動輪の路面に対するグリップの回復を図ることができる。
また、第1閾値T1は、回転数上昇率αの積算を開始する値T1−1よりも回転数上昇率αの積算を終了する値T1−2の方が若干小さくなるようなヒステリシスを有しているので、回転数上昇率αが積算開始条件の第1閾値T1−1を超えた後で、回転数上昇率αがノイズ等で低下しても積算終了条件の第1閾値T1−2を下回りにくくなる。よって、多少の検出誤差により回転数上昇率αが変動しても、誤って積算処理を終了させることが防がれ、第1閾値T1を基準とした回転数上昇率の積算開始および積算終了を的確に行うことができる。
さらに、クラッチ接続時のデータであるギア比記憶部17(図2)に予め記憶された車速値に対して、車速センサ6で検出された車速値が所定の許容誤差以上に異なる場合には、スリップ判定部19(図2)は、クラッチを遮断することにより回転数が急上昇したものであり、スリップによる回転数上昇でないと判断している。したがって、クラッチ遮断による回転数上昇率の増加をスリップと誤検知するのを防止することができる。また、トラクション制御部20は、上昇率積算値βが増加してスリップが大きくなるにつれて遅角量θを増加させてエンジン出力を低下させているので、運転者の運転フィーリングを損なうことなく駆動輪のグリップ力を回復することができる。
(第2実施形態)
図7は第2実施形態に係るトラクションコントロール装置40の主にECU42を説明する要部ブロック図である。なお、第1実施形態と同様の部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図7に示すように、ECU42は、トラクション演算部43と点火制御部11とを備えている。トラクション演算部43は、回転数検出部13と、回転数上昇率検出部14と、車速検出部15と、ギア位置検出部16と、ギア比記憶部17と、比較部18と、スリップ判定部19と、スロットル開度検出部45と、スロットル開度変化量検出部46と、トラクション制御部47とを有している。また、エンジンへの吸気量を調節する公知のスロットル装置(図示せず)には、スロットル開度を検知可能なスロットル開度センサ44が設けられている。
スロットル開度検出部45は、スロットル開度センサ44からの出力に基づいてスロットル開度量を検出する構成となっている。スロットル開度変化量検出部46は、スロットル開度検出部45からの出力に基づいて所定時間におけるスロットル開度の変化量(変化率)を検出する構成となっている。トラクション制御部47は、スリップ判定部19でスリップ状態であると判定された際に、スロットル開度に応じて遅角量を補正しながらエンジンの点火時期の遅角制御を行う構成となっている。
図8はスロットル開度及びスロットル開度変化量による遅角補正マップを示す図面である。具体的には、トラクション制御部47(図7)は、図8に示すようなスロットル開度及びスロットル開度変化量に対応してスロットル補正量が決められたスロットル補正マップを有している。そして、トラクション制御部47(図7)は、図6の点火遅角マップで得られる値に、図8のスロットル補正マップで得られる値を乗じたものを遅角量として設定している。
以上の構成とすると、運転者が意図的にスロットルを急開して駆動輪を路面に対して滑らせた場合等を判別して、遅角量を適宜補正することができる。例えば、レーシング仕様の車両であれば、スロットルが急開された際には運転者の意図を極力尊重して、遅角量を減少させるように補正するとよい。
なお、前述した各実施形態ではスリップ時にエンジン出力を低下させるために、遅角制御を行っているが、エンジンのシリンダへ繋がる吸気管への噴射燃料を低減させたり、エンジンのシリンダへの吸気量を低減させたり、点火間引きなどしてもよい。
以上のように、本発明に係る車両用スリップ検知装置及び車両用トラクションコントロール装置は、スリップの検出精度が向上し、駆動輪の路面に対するグリップ力を回復させることができる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できる自動二輪車等の車両に広く適用するができる。
本発明の第1実施形態に係る自動二輪車に搭載されたトラクションコントロール装置を示す全体ブロック図である。 図1に示すトラクションコントロール装置の主にECUを説明する要部ブロック図である。 図1に示すトラクションコントロール装置の制御フローチャートである。 (a)〜(d)は図1に示すトラクションコントロール装置の作用を説明するタイミングチャートである。 クラッチ接続時におけるギア位置毎のエンジン回転数と車速との関係を表すグラフである。 ギア位置毎の点火遅角マップを示す図面である。 第2実施形態に係るトラクションコントロール装置の主にECUを説明する要部ブロック図である。 スロットル開度及びスロットル開度変化量による遅角補正マップを示す図面である。
符号の説明
1,40 トラクションコントロール装置
2 エンジン
3 変速装置
6 車速センサ
7 ギアポジションセンサ
13 回転数検出部
14 回転数上昇率検出部
17 ギア比記憶部
19 スリップ判定部
20,47 トラクション制御部
30,41 スリップ検知装置
44 スロットル開度センサ

Claims (8)

  1. エンジンの回転数を検出する回転数検出部と、
    前記回転数検出部で検出された前記エンジンの回転数の所定時間における上昇率を検出する回転数上昇率検出部と、
    前記回転数上昇率検出部で検出された前記上昇率が、第1閾値を超えてから前記第1閾値を下回るまで、前記所定時間毎の前記上昇率の各値を累積的に積算し、その積算値が第2閾値を超えた際にスリップ状態であると判定するスリップ判定部と
    を備えていることを特徴とする車両用スリップ検知装置。
  2. 前記第1閾値は、前記上昇率の積算を開始させる値よりも、前記上昇率の積算を終了させる値を小さい設定とするヒステリシスを有している請求項1に記載の車両用スリップ検知装置。
  3. 車両の走行速度を検出する車速センサと、
    車両の変速装置のギア位置を検出するギアポジションセンサと、
    車両のクラッチ接続時におけるエンジンの回転数と車速との関係をギア位置毎に予め記憶したギア比記憶部と、をさらに備え、
    前記スリップ判定部は、前記ギアポジションセンサで検出されたギア位置と前記回転数検出部で検出された回転数とに対応する前記ギア比記憶部に記憶された車速値に対して、前記車速センサで検出された車速値が所定の許容誤差以上に異なる場合に、クラッチ遮断状態でありスリップ状態でないと判定する構成である請求項1又は2に記載の車両用スリップ検知装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用スリップ検知装置を用いて車両のスリップを防止するトラクションコントロール装置であって、
    前記スリップ判定部でスリップ状態であると判定された際に、前記エンジンの出力を低下させる制御を行うトラクション制御部を備えていることを特徴とする車両用トラクションコントロール装置。
  5. 前記トラクション制御部は、前記スリップ判定部でスリップ状態であると判定された際に、前記エンジンの点火時期を遅角させる遅角制御を行うことで、前記エンジンの出力を低下させ、かつ、前記積算値が増加するにつれて遅角量を増加させる構成となっている請求項4に記載の車両用トラクションコントロール装置。
  6. スロットル開度を検出するスロットル開度センサをさらに備え、
    前記トラクション制御部は、前記スロットル開度センサで検出されたスロットル開度の変化率に応じて前記遅角量を補正する構成となっている請求項5に記載の車両用トラクションコントロール装置。
  7. エンジン回転数の所定時間における上昇率が第1閾値を超えてから前記第1閾値を下回るまで、前記所定時間毎の前記上昇率の各値を累積的に積算し、その積算値が第2閾値を超えた際にスリップ状態であると判定することを特徴とする車両用スリップ検知方法。
  8. 車両のクラッチ接続時におけるエンジン回転数と車速とギア位置との関係を示すデータに対して、実際のギア位置及びエンジン回転数における実際の車速値が所定の許容誤差以上に異なる場合に、クラッチ遮断状態でありスリップ状態でないと判定する請求項7に記載の車両用スリップ検知方法。
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