JP2008058818A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】表面に配向膜が形成された長尺のプラスチックフィルムFの前記配向膜表面を起毛布を巻回したラビングロール4によって擦るラビング処理工程と、ラビング処理工程を経たフィルムの配向膜表面に液晶性分子を塗布する塗布工程と、塗布した液晶性分子を固定する固定工程とを含む光学フィルムの製造方法であって、ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルト3によってフィルムを支持して搬送すると共に、搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構5を配設する。バックアップロール機構は、搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロール51を備え、各バックアップロールは、ラビングロールの直下であって、ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置等の光学補償や反射防止などに用いられる光学フィルムの製造方法に関し、特に低コストで均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能な製造方法に関する。
従来より、基材の表面上に液晶材料を塗布して配向させることにより製造される種々の光学素子が知られている。このような光学素子の製造工程においては、液晶材料を基材表面上で配向させるため、例えば起毛布によって基材表面を一方向に擦るラビング処理を施すのが一般的である。例えば、光学素子が液晶セルである場合には、基材としてのガラス基板単位でラビング処理が施されることになる。しかしながら、基材としてプラスチックフィルムを用いる光学素子(光学フィルム)の場合には、裁断したフィルム単位でラビング処理を施すよりも、長尺のプラスチックフィルムを用いていわゆるロール・ツー・ロール方式で連続的にラビング処理を施す方が、製造効率ひいてはコスト面で圧倒的に有利である。
従って、光学フィルムを製造するに際し、上記のようなロール・ツー・ロール方式によって長尺フィルムに連続的にラビング処理を施す方法として、従来より種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、鏡面仕上げをされた金属表面を有する搬送ベルトにて長尺フィルムを搬送しながら、搬送ベルト上に配置されたラビングロールで前記フィルム表面にラビング処理を施すことを特徴とするラビング方法が提案されている。
また、特許文献2には、長尺フィルムをラビングロールと該ラビングロールに対向して配置されたバックアップロールとの間に連続的に搬送させながら、前記ラビングロールで前記フィルム表面にラビング処理を施すことを特徴とするラビング方法が提案されている。
一方、光学フィルムを製造するに際し、ラビング処理を施す基材としては、一般的に、直鎖状の構造を有する材料、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどが用いられている。また、ラビング処理を施した基材(フィルム)の表面に塗布する液晶材料としては、1つ又はそれ以上の官能基を有する液晶性分子が用いられている。そして、液晶性分子を適宜の有機溶媒などを用いて溶液化し、ラビング処理を施したフィルムの表面に塗布した後、乾燥・配向させ、適宜の紫外線などを露光して架橋させて固定することにより光学フィルムを製造している。
特開2004−170454号公報 特開平6−110059号公報
しかしながら、例えば、長尺のTACフィルムを基材として用い、ロール・ツー・ロール方式によって連続的にラビング処理を施す場合、ラビング処理を施す前のロールに巻回した状態の基材にブロッキング(基材同士が光学的に界面を有さずに密着する現象)が生じる場合がある。
上記のような基材においては、ブロッキングが生じた部分の表面状態が変化するため、当該基材にラビング処理を施しても、ブロッキングが生じた部分とそれ以外の部分とでは配向特性が変化し、液晶性分子にドメインが発生することによって均一な配向状態が得られない場合があるという問題がある。例えば、製造する光学フィルムが、液晶ディスプレイに用いる位相差フィルムである場合、画面内での均一性が重要であるため、上記のような不均一な配向状態の位相差フィルムでは殆ど商品価値が得られないことになる。
ブロッキングが生じた基材についても均一な配向特性を得るためには、例えば、特許文献1に記載の方法においてラビングロールの押し込み量を大きくすることが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、搬送ベルトの下面を支持するバックアップロールが無いため、押し込み量を大きくし過ぎると、搬送ベルトの弛み、ひいてはフィルムの弛みの影響等により安定した状態でラビング処理が施せないという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法においてラビングロールの押し込み量を大きくすることによっても、ブロッキングが生じた基材について均一な配向特性が得られる可能性があると考えられる。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、フィルムの搬送方向に沿って回転する1本のバックアップロールしか配置していないため、特にラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた際に、フィルムの弛みの影響等により安定した状態でラビング処理が施せないという問題がある。
上記のような問題を解決するには、フィルムを支持する搬送ベルトの下面を、互いに略平行に配設され、搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する複数の棒状のバックアップロールで支持することも考えられる。しかしながら、特にラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた際には、搬送ベルトの弛み、ひいてはフィルムの弛みの影響を十分に回避できないという問題が残る。
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するべくなされたものであり、たとえブロッキングが生じるような基材を用い、且つ、ラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合であっても、低コストで均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能な製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するべく、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、
(1)ラビング処理を施す際に長尺のプラスチックフィルムを支持して搬送する搬送ベルトの下面に、ラビングロールの直下であってラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って複数のバックアップロールを配設することにより、ラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させ、ラビングロールの押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルトの平坦度が向上して弛みが生じ難いこと、
(2)各バックアップロールが搬送ベルトの搬送方向に沿って回転するように構成することにより、各バックアップロールの回転が搬送ベルトの搬送方向への移動ひいてはプラスチックフィルムの搬送を阻害しないこと、
(3)上記(1)及び(2)により、安定した状態でラビング処理を施すことが可能となり、プラスチックフィルムに均一な配向特性を付与することができること、
(4)ただし、ラビング処理を施す前のプラスチックフィルム表面に配向膜を形成しなければ、フィルム搬送時にきずが生じ易くなる(特に、フィルム表面の粗さが小さい場合に顕著にきずが生じ易くなる)上、ラビング処理を施す際にフィルム表面が削れて、それが異物としてフィルム表面に付着し易くなる結果、光学フィルムの外観不良(輝点の出現やコントラストの低下)を引き起こすこと、
を見出した。
本発明の発明者らは、上記新しい知見に基づき、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、表面に配向膜が形成された長尺のプラスチックフィルムの前記配向膜表面をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、前記ラビング処理工程を経たプラスチックフィルムの前記配向膜表面に液晶性分子を塗布する塗布工程と、前記塗布した液晶性分子を固定する固定工程とを含む光学フィルムの製造方法であって、前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺のプラスチックフィルムを支持して搬送すると共に、前記プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、前記バックアップロール機構は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールを備え、前記複数の各バックアップロールは、前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設されていることを特徴とする光学フィルムの製造方法を提供するものである。
斯かる発明によれば、ロール・ツー・ロール方式によって長尺のプラスチックフィルムに連続的にラビング処理を施すことが可能であるため、低コストで光学フィルムを製造することが可能である。また、本発明によれば、プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構が、ラビングロールの直下であって、ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された複数のバックアップロールを備えるため、ラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜していても、各バックアップロールは、プラスチックフィルム及び搬送ベルトを介して、傾斜したラビングロールの直下に配設されることになる。さらに、本発明によれば、各バックアップロールが、搬送ベルトの搬送方向(プラスチックフィルムの搬送方向)に沿ってそれぞれ回転するため、各バックアップロールの回転が搬送ベルトの搬送方向への移動ひいてはプラスチックフィルムの搬送を阻害することもない。従って、たとえラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜した状態でラビングロールの押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルトの平坦度が向上して弛みが生じ難く且つ搬送ベルトの移動が阻害されることもなく、安定した状態でラビング処理を施すことが可能である。この結果、プラスチックフィルムに均一な配向特性を付与することができ、ひいては均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能である。
また、ラビング処理を施す前のプラスチックフィルム表面に配向膜が形成されているため、フィルム搬送時にきずが生じ難くなる上、ラビング処理を施す際に表面に異物が付着し難くなり、良好な光学フィルムの外観を維持することが可能である。
好ましくは、前記配向膜は、ポリビニルアルコールによって形成される。
前記配向膜の厚みは、配向膜が形成される前のプラスチックフィルムの表面粗さ等に応じて適宜設定可能であるが、好ましくは、0.1μm以上5μm以下(より好ましくは0.2μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.3μm以上1μm以下)の厚みを有するものとされる。
また、前記配向膜が形成される前のプラスチックフィルムの表面粗さRzは、小さすぎるとフィルム搬送時にきずが生じ易くなる一方、大きすぎると、粗さ突起部にラビング処理を施すことが困難となり、異物が付着し易くなる。従って、好ましくは、120nm以上600nm以下(より好ましくは200nm以上500nm以下、さらに好ましくは300nm以上450nm以下)とされる。なお、本発明における表面粗さRzは、2001年度のJIS B0601で規定されている最大高さを意味する。
好ましくは、前記バックアップロール機構は、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部と、前記搬送ベルト表面の法線周りに回転可能に前記台座部上に軸支された複数の支持部とを更に備え、前記複数の各バックアップロールは、前記複数の各支持部に前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転可能に軸支される。
斯かる好ましい構成によれば、ラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜していても、バックアップロール機構を構成する台座部を同じ様に傾斜させる(すなわち、前記傾斜したラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿うように台座部を傾斜させる)ことにより、搬送ベルトの移動に伴って(搬送ベルト下面から付与される摩擦力によって)支持部に軸支されたバックアップロールが搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する向きとなるように、台座部に軸支された支持部が自然に回転することになる。換言すれば、ラビングロールの傾斜角度が固定ではなく、傾斜角度の設定値を変更したとしても、台座部をラビングロールと同様の傾斜角度に変更するだけで、各バックアップロールがラビングロールの直下に配設され且つ搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する状態にすることが可能である。
さらに好ましくは、前記バックアップロール機構は、前記ラビングロールの回転軸を前記搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って前記台座部も傾斜するように前記ラビングロールと前記台座部とを連結する連結機構を更に備える。
斯かる好ましい構成によれば、ラビングロールの回転軸を搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って台座部も傾斜するようにラビングロールと台座部とを連結する連結機構を備えるため、ラビングロールとバックアップロール機構(台座部)とを個別に傾斜させる構成に比べて、設定が極めて容易であるという利点を有する。
なお、前記ラビングロールの回転軸は、プラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から0°を超え45°以下に傾斜させることが好ましい。
ここで、前記複数のバックアップロールについて、隣接する各バックアップロールの回転軸方向の中心間距離を200mmよりも大きく設定する場合には、搬送ベルトの平坦度が低下することにより、配向ムラが生じ外観不良が発生する虞がある。一方、前記中心間距離を60mmよりも小さく設定する場合には、バックアップロールを支持する部材の幅が小さくなり、バックアップロールを安定して保持する強度が低下するため、搬送ベルトの平坦度が低下する。従って、上記のような問題を確実に回避するには、隣接する各バックアップロールの回転軸方向の中心間距離は、60mm以上200mm以下に設定することが好ましく、70mm以上150mm以下に設定することがより好ましい。
また、前記複数の各バックアップロールの回転軸方向の幅を20mmよりも小さく設定する場合には、摩擦熱により搬送ベルトを傷つける可能性が生じる。一方、前記幅を150mmよりも大きく設定する場合には、ラビングロールの回転軸をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させたときに、バックアップロールをラビングロールの直下に配置することが困難になり、搬送ベルトの平坦度が低下する結果、配向ムラが生じ外観不良が発生する虞がある。従って、上記のような問題を確実に回避するには、複数の各バックアップロールの回転軸方向の幅は、20mm以上150mm以下に設定することが好ましく、25mm以上70mm以下に設定することがより好ましい。
本発明に係る製造方法は、前記プラスチックフィルムがトリアセチルセルロースフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムである場合に特に有効である。
前記ラビングロールには、起毛布が巻回されていることが好ましい。
前記起毛布としては、例えば、レーヨン、コットン、ナイロン、トリアセテート及びこれらの混合物の何れかを用いることが好ましい。
さらに、前記搬送ベルトの厚みとしては、容易に弛まないようにする一方で可撓性を付与するべく、好ましくは0.5mm〜2.0mm(より好ましくは0.7〜1.5mm)とされる。
本発明に係る光学フィルムの製造方法によれば、ラビングロールの回転軸をフィルムの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合であっても、低コストで均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能である。これは、ラビングロールの直下に複数のバックアップロールをその回転軸方向の中心間距離を所定の値にして配置することにより、搬送ベルトの平坦度が向上したためである。また、表面にきずや異物の付着が生じ難く、良好な光学フィルムの外観を維持することが可能である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの製造方法におけるラビング処理工程を実施するためのラビング処理装置の概略構成を示す正面図である。図2は、図1に示すバックアップロール機構の概略構成を示す図であり、図2(a)は平面図を、図2(b)はバックアップロール近傍の斜視図を、図2(c)はフィルムの搬送方向から見た図をそれぞれ示す。図1に示すように、本実施形態に係るラビング処理装置100は、駆動ロール1、2と、駆動ロール1、2間に架設され、表面に配向膜が形成された長尺のプラスチックフィルムFを支持して搬送する無限軌道の搬送ベルト3と、搬送ベルト3の上方において上下方向に昇降可能に配設されたラビングロール4と、プラスチックフィルムFを支持する搬送ベルト3の下面を支持するバックアップロール機構5とを備えている。なお、ラビング装置100の前後には、必要に応じて適切な静電気除去装置や除塵装置等を設置しても良い。
搬送ベルト3は、プラスチックフィルムFを支持する側の表面が鏡面仕上げされた金属表面(搬送ベルト3全体を金属製としてもよい)とされている。斯かる金属としては、銅や鋼等の各種金属材料を用いることができるが、強度、硬度、耐久性の点よりステンレス鋼を用いることが好ましい。プラスチックフィルムFとの密着性を確保するため、鏡面仕上げの程度としては、表面粗さ(Ra)を0.02μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.01μm以下とされる。また、プラスチックフィルムFの弛みを防止するには、これを支持する搬送ベルト3の弛みを防止する必要がある。搬送ベルト3の弛みを防止すると共に、駆動ロール1、2間に架設するためにある程度の可撓性を付与する必要があることに鑑みれば、搬送ベルト3の厚みは、0.5mm〜2.0mmとすることが好ましく、より好ましくは0.7mm〜1.5mmとされる。また、搬送ベルト3の弛みを防止すると共に、搬送ベルト3の張力強度を考慮すれば、搬送ベルト3に付与する張力は、0.5〜20kg重/mm2とすることが好ましく、より好ましくは、2〜15kg重/mm2とされる。
ラビングロール4は、その外周面に起毛布4aが巻回されている。起毛布の材質や形状等は、ラビング処理を施されるプラスチックフィルムFの材質に応じて適宜選択すればよい。一般的には、起毛4a布として、レーヨン、コットン、ナイロン、トリアセテート又はこれらの混合物等を適用することができる。本実施形態に係るラビングロール4の回転軸は、プラスチックフィルムFの搬送方向(図1の矢符Aで示す方向)に対して直角方向から傾斜(例えば、傾斜角度が0°を超え45°以下)させることができるように、すなわち、プラスチックフィルムFの長辺に対して任意の軸角度に設定できるように構成されている。また、ラビングロール4の回転方向は、ラビング処理の条件に応じて適宜選択可能である。なお、ラビングロール4(起毛布4aを含む)の外径は、好ましくは130mm以上170mm以下(より好ましくは140mm以上160mm以下)に設定される。
図2に示すように、バックアップロール機構5は、搬送ベルト3の搬送方向(図2(a)の矢符Aで示す方向)に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロール51を備えている。そして、各バックアップロール51は、ラビングロール4の直下であって、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設されている。
このように、プラスチックフィルムFを支持する搬送ベルト3の下面を支持するバックアップロール機構5が、ラビングロール4の直下であって、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設された複数のバックアップロール51を備えるため、ラビングロール4の回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜している場合(例えば、図2(a)の直線C1がラビングロール4の回転軸である場合)であっても、各バックアップロール51は、プラスチックフィルムF及び搬送ベルト3を介して、傾斜したラビングロール4の直下に配設されることになる。さらに、各バックアップロール51が、搬送ベルト3の搬送方向(プラスチックフィルムFの搬送方向)に沿ってそれぞれ回転するため、各バックアップロール51の回転が搬送ベルト3の搬送方向への移動ひいてはプラスチックフィルムFの搬送を阻害することもない。従って、たとえラビングロール4の回転軸が搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向から傾斜した状態でラビングロール4の押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルト3の平坦度が向上して弛みが生じ難く且つ搬送ベルト3の移動が阻害されることもなく、安定した状態でラビング処理を施すことが可能である。この結果、プラスチックフィルムFに均一な配向特性を付与することができ、ひいては均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能である。
本実施形態に係るバックアップロール機構5は、好ましい構成として、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部52と、搬送ベルト3表面の法線周りに回転可能に台座部52上に軸支された複数の支持部53とを更に備え、各バックアップロール51は、各支持部53に搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転可能に軸支されている。より具体的に説明すれば、本実施形態に係る支持部53は、軸部材54によって台座部53に軸支されており、軸部材54周りに回転可能とされている。また、本実施形態に係るバックアップロール51は、軸部材55によって支持部53に軸支されており、軸部材55周りに回転可能とされている。
斯かる好ましい構成によれば、ラビングロール4の回転軸が搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向(図2(a)の直線C0の方向)から傾斜していても、バックアップロール機構5を構成する台座部52を同じ様に傾斜させる(すなわち、前記傾斜したラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿うように台座部52を傾斜させる)ことにより、搬送ベルト3の移動に伴って(搬送ベルト3下面から付与される摩擦力によって)支持部53に軸支されたバックアップロール51が搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転する向きとなるように、台座部52に軸支された支持部53が自然に回転することになる。換言すれば、本実施形態のように、ラビングロール4の傾斜角度が固定ではなく、傾斜角度の設定値を変更したとしても、台座部52をラビングロール4と同様の傾斜角度に変更するだけで、各バックアップロール51がラビングロール4の直下に配設され且つ搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転する状態にすることが可能である。
さらに、図2(c)に示すように、本実施形態に係るバックアップロール機構5は、好ましい構成として、ラビングロール4の回転軸を搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って台座部52も傾斜するようにラビングロール4と台座部52とを連結する連結機構56を備えている。より具体的に説明すれば、本実施形態に係る連結機構56は、ラビングロール4を回転軸周りに回転可能に且つ上下方向に昇降可能に支持すると共に、台座部52を支持する断面略コの字状の枠体とされており、その頂部に取り付けられたモータMによって、図2(c)の矢符Bの方向に回転可能とされている。モータMによって、連結機構56が図2(c)の矢符Bの方向に回転することにより、連結機構56に支持されたラビングロール4及び台座部52は、同じ方向に同じ角度だけ回転(傾斜)することになる。従って、ラビングロール4と台座部52とを個別に傾斜させる構成に比べて、設定が極めて容易となる。なお、本実施形態では、モータMを用いて自動的に連結機構56を回転させる構成について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、連結機構56を手動で回転させる構成を採用することも可能である。
なお、本実施形態では、好ましい構成として、隣接する各バックアップロール51の回転軸方向の中心間距離L1(図2(a)参照)は、60mm以上200mm以下(より好ましくは、70mm以上150mm以下)に設定される。また、各バックアップロール51の回転軸方向の幅L2(図2(a)参照)は、20mm以上150mm以下(より好ましくは25mm以上70mm以下)に設定される。その他、隣接する各バックアップロール51の離間距離L3(図2(a)参照)は、40mm以上60mm以下(より好ましくは45mm以上55mm以下)に、各バックアップロール51の外径は70mm以上110mm以下(より好ましくは80mm以上100mm以下)に、台座部52の長さは1500mm以上2500mm以下(ただし、搬送ベルト3の幅よりも大きい値とされる)に、それぞれ設定される。
以上に説明した構成を有するラビング装置100を用いてプラスチックフィルムFにラビング処理を施すに際し、所定のロール(図示せず)に巻回した状態の長尺のプラスチックフィルムFの先端が、複数の搬送ロール(図示せず)を経て搬送ベルト3上に供給される。そして、駆動ロール1、2を回転駆動させることにより、搬送ベルト3が図1の矢符Cで示す方向に移動し、これに伴いプラスチックフィルムFも搬送ベルト3と共に搬送され、ラビングロール4によってラビング処理が施されることになる。
なお、本実施形態に係る製造方法の適用対象となるプラスチックフィルムFとしては、その表面に形成した配向膜をラビング処理することにより、後述するように表面に塗布した液晶性分子を配向させることのできる機能が付与される限りにおいて、その材質に特に制限はない。
例えば、プラスチックフィルムFとしては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等のポリオレフィン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等からなるフィルムを挙げることができる。しかしながら、本実施形態に係る製造方法は、ブロッキングが生じ易いフィルム、例えばトリアセチルセルロースフィルム等に特に有効である。
プラスチックフィルムFの表面に形成する配向膜としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド等を挙げることができる。また、配向膜の形成方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、スロット代コート法、ディップコート法などを挙げることができる。また、形成される配向膜の厚みは、配向膜が形成される前のプラスチックフィルムFの表面粗さ等に応じて適宜設定可能であるが、好ましくは、0.1μm以上5μm以下(より好ましくは0.2μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.3μm以上1μm以下)の厚みを有するものとされる。
また、前記配向膜が形成される前のプラスチックフィルムFの表面粗さRzは、小さすぎるとフィルム搬送時にきずが生じ易くなる一方、大きすぎると、粗さ突起部にラビング処理を施すことが困難となり、異物が付着し易くなる。従って、好ましくは、120nm以上600nm以下(より好ましくは200nm以上500nm以下、さらに好ましくは300nm以上450nm以下)とされる。なお、本発明における表面粗さRzは、2001年度のJIS B0601で規定されている最大高さを意味する。
なお、装置仕様等の関係上、一般的には、プラスチックフィルムFの搬送速度は1〜50m/min、好ましくは1〜10m/minの範囲で、ラビングロール4の回転数は1〜3000rpm、好ましくは500〜2000rpmの範囲で、ラビングロール4の押し込み量は100〜2000μm、好ましくは100〜1000μmの範囲とされる。なお、上記「ラビングロール4の押し込み量」とは、プラスチックフィルムF表面に対してラビングロール4の位置を変動させた場合において、ラビングロール4に巻回した起毛布の毛先が最初にプラスチックフィルムF表面に接した位置を原点(0点)とし、当該原点からプラスチックフィルムFに向けてラビングロール4を押し込んだ量(位置の変動量)を意味する。
以上のようにしてラビング処理を施されたプラスチックフィルムFの配向膜表面には、液晶性分子が塗布され、当該塗布した液晶性分子を硬化又は固化することによって光学フィルムが製造される。
液晶性分子を塗布する際には、一般的に、液晶化合物が溶解された溶液が用いられる。前記溶液に含有される液晶分子としては、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマーなどが適宜用いられる。
液晶ポリマーを用いる場合、液晶ポリマー溶液をプラスチックフィルムFの配向膜表面に塗布した後、液晶相を示す温度領域以上になるまで加熱し、乾燥させた後、液晶相を示す状態のままで室温まで急冷することにより、光学異方性を示す液晶状態を固定化することが可能である。
液晶プレポリマーや液晶モノマーを用いる場合、これらの溶液をプラスチックフィルムFの配向膜表面に塗布した後、液晶相を示す温度領域以上になるまで加熱し、乾燥させた後、液晶相を示す状態の温度まで冷却し、紫外線などを露光することにより架橋させて、光学異方性を示す液晶状態を固定化することが可能である。
前記液晶モノマーとしては、例えば、以下の化学式(2)〜(17)の何れかで表されるモノマーを選択することが可能である。
Figure 2008058818

Figure 2008058818
そして、液晶モノマー溶液には、好ましくは、重合剤や架橋剤が含まれる。これら重合剤及び架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、以下のようなものが使用できる。前記重合剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が使用でき、前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート架橋剤等が使用できる。これらはいずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
液晶モノマー溶液の塗工液は、例えば、前記の液晶モノマーを、適当な溶媒に溶解・分散することによって調製できる。前記溶媒としては、特に制限されないが、例えば、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル系溶媒、あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が使用できる。これらの中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチルセロソルブである。これらの溶剤は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
前記塗工液は、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法等の従来公知の方法によって流動展開させればよく、この中でも、塗布効率の点からスピンコート、エクストルージョンコートが好ましい。
液晶モノマー溶液の塗工液をプラスチックフィルムFの配向膜表面に塗布した後の加熱処理の温度条件は、例えば、用いる液晶モノマーの種類、具体的には液晶モノマーが液晶性を示す温度に応じて適宜決定できるが、通常、40〜120℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、より好ましくは60〜90℃の範囲である。前記温度が40℃以上であれば、通常、十分に液晶モノマーを配向することができ、前記温度が120℃以下であれば、例えば、耐熱性の面においてプラスチックフィルムFの選択肢が広がることになる。
前記溶解する液晶化合物としては、塗布可能なものである限り特に制限されないが、例えば、棒状液晶化合物、平板状液晶化合物、或いは、これらの重合物が用いられる。より具体的には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類などの液晶化合物や、これらの重合物が好ましく用いられる。
以上に説明した本実施形態に係る製造方法によって製造される光学フィルムには、公知の方法を適宜適用することにより、位相差、色補償、視野角拡大、反射防止等の機能を付与することが可能であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の各種表示装置用の光学フィルムとして使用することが可能である。
以下、実施例及び比較例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
<実施例1>
(1)ラビング処理
表面粗さRz=120nmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製超高平滑PET:U35)を基材とし、その基材表面に厚み0.3μmのポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したフィルムに対して、図1及び図2に示すラビング処理装置100を用いて、ラビング処理を施した。なお、搬送ベルト3表面の鏡面仕上げはRa=0.01μm、駆動ロール1、2の外径は550mm、フィルムの搬送速度は5m/min、各バックアップロール51の外径は全て90mm、隣接する各バックアップロール51の回転軸方向の中心間距離L1は全て80mm、各バックアップロール51の回転軸方向の幅L2は全て30mmとした。また、ラビングロール4(起毛布4aを含む)の半径は76.89mmとし、レーヨン製の起毛布を巻回したものを用いた。ラビングロール4の回転軸はフィルムの搬送方向に対して直角方向から24.3°傾斜させ、各バックアップロール51は、ラビングロール4の直下であって、上記回転軸と平行な直線に沿って配置した。ラビングロール4の回転数は1500rpm、押し込み量は0.4mmとした。なお、表面粗さRzの測定には、日本ビーコ製の3次元表形状粗さ計:Wyko−NT3000を用いた。測定面積は92μm×121μmとした。後述する実施例2〜6及び比較例1〜3についても同様である。また、配向膜の厚み測定には、大塚電子製の分光光度計:MCPD2000を用いた。後述する実施例2〜6についても同様である。
(2)液晶化合物を含有する塗布液の調整
下記の化学式で表される紫外線重合性ネマチック液晶化合物1gに光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製Irgacure907)0.03gを加え、固形分が20重量%になるようにトルエンで希釈し、10分間攪拌して塗布液を得た。
Figure 2008058818
(3)液晶性分子の塗布・固定
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムのラビング処理を施した配向膜表面に、キャップコーターを用いて前記塗布液を塗布し、90℃で2分間乾燥させた後、室温に冷却し、紫外線を積算光量で100mJ/cm照射することにより液晶性分子を硬化させて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<実施例2>
基材として、表面粗さRz=330nmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製PET:RC06)を用いたこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<実施例3>
基材として、表面粗さRz=750nmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製光学用PET:R41)を用いたこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<実施例4>
基材表面に厚み1.0μmのポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<実施例5>
基材表面に厚み1.0μmのポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したこと以外は、実施例2に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<実施例6>
基材表面に厚み1.0μmのポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したこと以外は、実施例3に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<比較例1>
基材表面に配向膜を形成しなかったこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<比較例2>
基材表面に配向膜を形成しなかったこと以外は、実施例2に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<比較例3>
基材表面に配向膜を形成しなかったこと以外は、実施例3に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<評価結果>
(1)搬送ベルトの平坦度評価
実施例及び比較例に係るラビング処理装置について、搬送ベルト3の平坦度を評価した。具体的には、ラビングロール4の回転軸方向に沿った複数の箇所で、ラビングロール4と搬送ベルト3との間の隙間の寸法を隙間ゲージを用いて順次測定した。そして、ラビングロール4の回転軸方向に沿って測定した隙間の最大値と最小値との差を、搬送ベルト3表面の平坦度として評価した。
上記評価の結果、実施例及び比較例に係るラビング処理装置100の平坦度は50μmであり、搬送ベルト3の平坦度が向上することが分かった。
(2)きず個数の評価
互いの吸収軸が直交するように配置した2枚の偏光板の間に、実施例1〜6及び比較例1〜3において作製した位相差フィルムを挟み、視認側の偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した状態で視認することにより、きず個数を評価した。なお、きず個数は、位相差フィルム面の10cm×10cmの領域で計数し、この個数を1m2当たりの個数に比例換算して評価した。
(3)輝点個数の評価
きず個数の評価と同様に、互いの吸収軸が直交するように配置した2枚の偏光板の間に、実施例1〜6及び比較例1〜3において作製した位相差フィルムを挟み、視認側の偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した状態で視認することにより、輝点個数を評価した。なお、輝点個数は、位相差フィルム面の10cm×10cmの領域で計数し、この個数を1m2当たりの個数に比例換算して評価した。
(4)コントラストの評価
図3に示すような光軸の関係で、液晶パネル(VAモードパネル)の上下面に、実施例1〜6及び比較例1〜3において作製した位相差フィルムと偏光板とを配置し、黒表示及び白表示における輝度をトプコン製輝度計:BM−5で測定した。そして、白表示の輝度と黒表示の輝度との比をコントラストとして評価した。
上記(2)〜(4)の評価結果を表1に示す。
Figure 2008058818
表1に示すように、比較例1〜3に係る位相差フィルムは、コントラストが600未満であり、実用レベルで問題があった。これに対して、実施例1〜6に係る位相差フィルムは、コントラストが600以上であり、実用レベルで問題は生じなかった。ただし、基材の表面粗さRzが大きすぎる場合(実施例3及び6、Rz=750nm)には、実用レベルで問題はないものの、輝点が生じ易いことが分かった。基材の表面粗さRzが大きい場合には、実施例3と実施例6とを比較すればその傾向が分かるように、配向膜(PVA)の厚みを大きくすれば、輝点の発生を抑制できると考えられる。しかしながら、フィルムの薄型化の要請や製造コストの上昇を考慮すれば、できるだけ配向膜の厚みは小さくする方が好ましい。従って、基材の表面粗さRzとしては、600nm程度以下にすることが好ましいといえる。また、基材の表面粗さRzが小さく且つ配向膜(PVA)の厚みが小さい場合(実施例1)には、実用レベルで問題はないものの、フィルム搬送時にきずが生じ易いことが分かった。従って、基材の表面粗さRzとしては、上述した輝点の発生を抑制するために小さくすればするほど良いというものではなく、120nm程度以上にすることが好ましいといえる。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの製造方法におけるラビング処理工程を実施するためのラビング処理装置の概略構成を示す正面図である。 図2は、図1に示すバックアップロール機構の概略構成を示す図であり、図2(a)は平面図を、図2(b)はバックアップロール近傍の斜視図を、図2(c)はフィルムの搬送方向から見た図をそれぞれ示す。 図3は、本発明の実施例及び比較例におけるコントラストの評価方法を説明するための説明図である。
符号の説明
1,2…駆動ロール
3…搬送ベルト
4…ラビングロール
4a…起毛布
5…バックアップロール機構
51…バックアップロール
52…台座部
53…支持部
56…連結機構
100…ラビング装置
F…プラスチックフィルム
M…モータ

Claims (13)

  1. 表面に配向膜が形成された長尺のプラスチックフィルムの前記配向膜表面をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、前記ラビング処理工程を経たプラスチックフィルムの前記配向膜表面に液晶性分子を塗布する塗布工程と、前記塗布した液晶性分子を固定する固定工程とを含む光学フィルムの製造方法であって、
    前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺のプラスチックフィルムを支持して搬送すると共に、前記プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、
    前記バックアップロール機構は、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールを備え、
    前記複数の各バックアップロールは、前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設されていることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記配向膜がポリビニルアルコールによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記配向膜が0.1μm以上5μm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記配向膜が形成される前のプラスチックフィルムの表面粗さRzが120nm以上600nm以下であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記バックアップロール機構は、
    前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部と、
    前記搬送ベルト表面の法線周りに回転可能に前記台座部上に軸支された複数の支持部とを更に備え、
    前記複数の各バックアップロールは、前記複数の各支持部に前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転可能に軸支されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記バックアップロール機構は、前記ラビングロールの回転軸を前記搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って前記台座部も傾斜するように前記ラビングロールと前記台座部とを連結する連結機構を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記ラビングロールの回転軸をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から0°を超え45°以下に傾斜させることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 前記複数のバックアップロールは、隣接する各バックアップロールの回転軸方向の中心間距離が60mm以上200mm以下に設定されることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
  9. 前記複数の各バックアップロールの回転軸方向の幅は、20mm以上150mm以下に設定されることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
  10. 前記プラスチックフィルムは、トリアセチルセルロースフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
  11. 前記ラビングロールに起毛布が巻回されていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
  12. 前記起毛布は、レーヨン、コットン、ナイロン、トリアセテート及びこれらの混合物の内の何れかであることを特徴とする請求項11に記載の光学フィルムの製造方法。
  13. 前記搬送ベルトの厚みは、0.5mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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