JP2008056787A - 磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法 - Google Patents

磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁気反転表示用インキ組成物を任意の被定着面に塗布し、簡易かつ広域に磁気反転表示体を得る表示体の製造方法に関し、マイクロカプセルをバインダ材を用いて被定着面に固着する際に、マイクロカプセルの壁膜や表示要素(芯物質)の反転表示性能に影響を与えることがなく、かつ適度なフレキシビリティを有し、製造時、使用時を通してひび割れ等が入るようなことがない磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 表示要素を内包したマイクロカプセルを支持体へ固着するバインダ材として特定の化学種および特定のガラス転移点(Tg)を有する樹脂材料を用いた磁気反転表示用インキ組成物とすることなどにより、表示体が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、異なる色に着色して色分けした微小磁石を分散媒に分散させた磁気反転型表示要素を内包したマイクロカプセル、溶媒、バインダ樹脂を含み、該インキ組成物を塗布、乾燥した後に塗布面の表面側からN極またはS極の磁界を選択的に働かせることにより内包した微小磁石が反転挙動を示し、表示/消去を行うことができる磁気反転表示用インキ組成物に関するものである。
また、該磁気反転表示用インキ組成物を任意の被定着面に塗布し、簡易かつ広域に磁気反転表示体を得る表示体の製造方法に関するものである。
従来、マイクロカプセルは種々の用途に応用されており、それを固着した表示媒体への応用例も多く提案されている。例えば、分散媒中に微小磁石や微小磁性材を分散させマイクロカプセル化した磁気表示媒体や、可逆性感熱記録材料をマイクロカプセル化した可逆性感熱記録表示媒体、分散媒中に電気的に移動または回転可能な微小粒子を分散させマイクロカプセル化した電気泳動/反転型表示媒体、液晶などをマイクロカプセル化した表示媒体、分散媒中に発色剤を封入したマイクロカプセルと顕色剤を封入したマイクロカプセルからなる感圧記録媒体、感光性記録材料をマイクロカプセル化した感光記録媒体などが挙げられる。そして、それらを製造する上では溶媒にマイクロカプセル化した表示要素を分散した塗布液を用いるのが一般的である。
特許文献1ないし2には、磁気反転型粒子や磁気泳動型粒子をマイクロカプセルに封入した表示媒体が開示されている。
このようなマイクロカプセルを使用した表示媒体を製造する上では、芯物質として表示要素を内包したマイクロカプセルをバインダ材と共に溶媒に分散した塗布液を用いて支持体へ固着するのが一般的である。バインダ材は、製造時、使用時を通してひび割れ発生等の問題がなく、良好に成膜されたマイクロカプセル層を得ることが要求され、完成後、表示媒体として使用する際にはある程度のフレキシビリティ(可撓性)が要求される場合があり、そのような使用に際しても所望のフレキシビリティを発揮しつつ、ひび割れ等が入ることのないものが求められる。
また、マイクロカプセルは芯物質(表示要素)の周りを壁膜で被覆した構造体であるが、その壁膜は多孔質状であることが多い。特に工業的に応用されているマイクロカプセル化法の一つとして挙げられるコンプレックス・コアセルベーション法などで製造されたマイクロカプセルはゲル状の壁膜を有していることからその傾向が強い。このような多孔質状の壁膜を有するマイクロカプセルをバインダ材を用いて支持体に固着する際に、バインダ樹脂が該壁膜に一部浸透することで芯物質界面及び内部に影響を与えることがあり、バインダ材の選定には課題を有するものであった。
特許文献3ないし5には、磁気泳動型粒子をマイクロカプセルに封入した表示媒体が開示されており、その実施例等において、特許文献3および4ではアクリルエマルジョンを使用した例が、特許文献4および5では水性ウレタンを使用した例が、それぞれ開示されているが、該特許文献には反転型特有のマイクロカプセルの芯物質に与える影響等についての課題は検討されておらず、単にマイクロカプセルを支持体に固着するためのバインダ材料としての使用に過ぎないものであった。
特開昭60−107689号公報 特開平11−249594号公報 特開平7−56197号公報 特開平10−197908号公報 特開2003−195365号公報
本発明は、異なる色に着色して色分けした微小磁石を分散媒に分散させた磁気反転型表示要素を内包したマイクロカプセル、溶媒、バインダ樹脂を含み、該インキ組成物を塗布、乾燥した後に塗布面の表面側からN極またはS極の磁界を選択的に働かせることにより内包した微小磁石が反転挙動を示し、表示/消去を行うことができる磁気反転表示用インキ組成物に関するものであり、また、該磁気反転表示用インキ組成物を任意の被定着面に塗布し、簡易かつ広域に磁気反転表示体を得る表示体の製造方法に関し、マイクロカプセルをバインダ材を用いて被定着面に固着する際に、マイクロカプセルの壁膜や表示要素(芯物質)の反転表示性能に影響を与えることがなく、かつ適度なフレキシビリティを有し、製造時、使用時を通してひび割れ等が入るようなことがない磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法を提供しようとするものである。
また、決まった表示媒体としての形状ではなく、ユーザーが希望する任意の形状の被定着面への塗布を可能とすることなどが課題である。
本発明は、上記課題を解決するために、微小磁石を分散媒に分散させた磁気反転型表示要素を内包したマイクロカプセル、溶媒、バインダ樹脂を含んでなるインキ組成物であって、該バインダ樹脂として、特定の化学種および特定のガラス転移点(Tg)を有する樹脂材料を用いることなどで本発明の磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法を完成した。
すなわち、本発明は、
「1.少なくとも、異なる色に着色して色分けした微小磁石を分散媒に分散させた磁気反転型表示要素を内包したマイクロカプセル、溶媒、バインダ樹脂を含んでなるインキ組成物であって、該バインダ樹脂として、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる、ガラス転移点(Tg)−20〜20℃の範囲にある樹脂の1または2以上を主成分として用いたことを特徴とする磁気反転表示用インキ組成物。
2.前記マイクロカプセルがコンプレックス・コアセルベーション法により製造されたことを特徴とする第1項に記載の磁気反転表示用インキ組成物。
3.前記磁気反転型表示要素が磁気により表示/消去を行うことを特徴とする第1項または第2項のいずれかに記載された磁気反転表示用インキ組成物。
4.第1項ないし第3項に記載の磁気反転表示用インキ組成物を任意の被定着面に塗布し、溶媒を揮発させることにより簡易に磁気反転表示体を得る表示体の製造方法であって、マイクロカプセル層の厚みを塗布乾燥後のマイクロカプセル以上の厚みとしたことを特徴とする表示体の製造方法。
5.前記被定着面が強磁性材料により構成されることを特徴とする第4項に記載の表示体の製造方法。」に関する。
本発明によれば、マイクロカプセルをバインダ材を用いて被定着面に固着する際に、マイクロカプセルの壁膜や表示要素(芯物質)の反転表示性能に影響を与えることがなく、かつ被定着面へ塗布した表示体が適度なフレキシビリティを有し、被定着面への塗布およびその後の表示体の使用を通してひび割れ等が入るようなことがない磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法を得ることができる。
また、決まった表示媒体としての形状ではなく、ユーザーが希望する任意の形状の被定着面への塗布が可能であり、曲面や立体面などの表面への磁気反転表示体の付設が可能となる。
本発明は、表示要素を内包したマイクロカプセルを被定着面へ固着するバインダ材として少なくとも下記、a)およびb)の2つの条件を満たす樹脂材の1または2以上を主成分として用いたことを特徴とする磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法である。
a)エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる樹脂
b)ガラス転移点(Tg)が−20〜20℃の範囲であること
そのことにより、上記のような良好な効果を得ることができる。
ここで本発明のインキ組成物を用いて製造した表示媒体がフレキシビリティ性を有すると、任意の形状の被定着面へその形状に合わせて表示体を構成することができるほか、可動面を有する被定着面への表示体の製造も可能となり、さらに、該表示体の外力に対する強度も増す傾向がある。また、シート状の被定着面を有する部材を用いた場合は、移動可能な表示媒体を構成することができ、さらに携帯し易いように変形させることができるなど、種々の用途において、利用範囲が広がるという利点がある。
本発明による磁気反転表示用インキ組成物を被定着面へ塗布した後、マイクロカプセル層を乾燥・形成させる工程において、バインダとして用いる樹脂の凝集力が一定以上であると、強い凝集力の為、層内に歪みが生じやすくなり、結果としてひび割れ等の発生により均一なマイクロカプセルが配列した層を形成できなくなる。特にマイクロカプセルの粒径が比較的大きな場合には、マイクロカプセル同士の隙間が大きいため、ひび割れ等の発生が起こりやすい。一般的に100μmを超えるマイクロカプセルにおいて特にその課題は大きくなりやすい。
これに対し、Tgおよび化学種を適正に選択した樹脂を用いた場合、凝集力が必要以上に強く働かない為、磁気反転表示用インキ組成物を被定着面に塗布し溶媒を揮発させ固着する際にマイクロカプセルが被定着面の表面にほぼ均一に並んだ層構造を得ることができ、鮮明な表示が得られる表示体を製造する磁気反転表示用インキ組成物を得ることができる。
本発明に使用できるバインダ樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる樹脂がよく、さらにそのガラス転移点(Tg)が−20〜20℃の範囲であることが必要である。
化学種がエチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれるものであると好適に用いられる。本発明で用いられる樹脂は樹脂同士の凝集力が一定以下であるものが望ましい。化学種としては、分子中に強い極性基を有する樹脂は極性が大きくなりやすいため、樹脂同士の凝集力が強いと考えられる。従って凝集力が一定以下となる樹脂が良好な性能を得られ易く上記のような化学種が好ましい。
ここで、アクリル酸エステルとはポリアクリル酸のカルボキシル基が適当なアルキル基によってエステル化されたものをいい、本発明において好適に用いることができる。
一方、アクリル酸樹脂とはアクリル酸を重合単位とするポリアクリル酸のことをいい、本発明において好適なバインダ材とはなり得ない。
アクリル酸はカルボキシル基による水素結合が形成されやすいため、樹脂同士の凝集力が強くなり、マイクロカプセル層内に歪が生じやすく、磁気反転表示用インキ組成物を塗布、乾燥した後にひび割れ等が生じやすい傾向にある。これに対してアクリル酸エステルは水素結合を形成しやすいカルボキシル基がアルキル基によってエステル化されているため、比較的凝集力が弱くなり、ひび割れ等を生じるなどの不具合がないか、低いレベルに抑えることができるためである。
同様に他の化学種と比較すればやや性能が劣る傾向があるものの、ポリエステルポリウレタン樹脂についても、他のウレタン樹脂に比べると良好であり、本発明に使用可能である。
また、バインダ樹脂としては、マイクロカプセルの壁膜や表示要素(芯物質)の反転性能に影響を与えることがあってはならない。
上述のように、マイクロカプセルは芯物質の周りを壁膜で被覆した構造体であるが、その壁膜は多孔質状であることが多く、特にコンプレックス・コアセルベーション法などで製造されたマイクロカプセルはゲル状の壁膜を有していることからその傾向が強い。バインダ材の選定によっては、このような壁膜にバインダ樹脂が一部浸透することで芯物質界面及び内部に影響を与えることがあると考えられ、十分な注意を要する。
同じ化学種の樹脂を比較した場合、Tgが高い樹脂ほど、樹脂同士の凝集力が強いと考えられ、マイクロカプセル層形成の際にひび割れ等が生じやすい傾向にある。また、Tgが低い樹脂はTg以上の温度域では柔軟で粘着性が高く、また分子運動が活発化することから自由度が増し、分子間に隙間が生じやすくなる傾向にある。
磁気反転表示用インキ組成物並びに塗布、乾燥前後の状態、いずれにおいてもこのようなバインダ材が徐々にマイクロカプセル壁膜を通り、芯物質界面まで浸透してしまう。Tgが低い樹脂をバインダ材として用いた場合、浸透した樹脂は芯物質内の表示素子の反転動作をその粘着力により界面付近で阻害し、反転性能に影響を与えてしまうことがある。
また、このような樹脂は、バインダ材の分子間の隙間が生じやすい傾向にあるため芯物質に含まれる分散媒のガスバリア性が乏しい傾向もある。
これらの理由により、表示素子の反転機能の阻害や分散媒の揮発が生じないよう、Tgが特定の範囲にある樹脂をバインダ材として選択することが必要である。特に磁気反転型における反転機能障害については、表示素子が常に表面側に存在することや、表示素子自体の大きさが比較的大きいことから、駆動しない表示素子が少量であっても表示の劣化につながりやすく、すなわち、磁気反転型表示要素が磁気により表示/消去を行う磁気反転型において本発明の課題と効果が大きくなる。
本発明に使用するバインダ材のガラス転移点(Tg)は、−20〜20℃の範囲であることが必要である。さらに−15〜10℃の範囲が特に好ましい。
本発明に使用するバインダ材の化学種はエチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれるものであり、特に、本発明においては、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂をより好適に用いることができる。
このような樹脂は水溶性または水分散型等の水系樹脂であると特に好ましい。一般的にマイクロカプセルは水中で製造されることが多く、壁膜が親水性となる傾向にある。従って、樹脂と壁膜が互いに親和性が高くなることで容易に所望のインキを調製することが可能となる。マイクロカプセルは外力に対して強度が十分でないことが想定される。インキ調製時に撹拌などによる過度の負荷が生じることを回避できるため、このような組み合わせを選択することが好ましい。また、水系のインキ組成物とすることで、インキを塗布、乾燥する際に揮発する成分のほとんどを無害な水とすることができるため、屋外や室内など排気設備を特に必要とせず、通常環境下においても簡易に使用可能なインキ組成物とすることが可能となる。
本発明に使用できるマイクロカプセルの好ましい製造方法は、製造されたマイクロカプセル壁膜が親水性となるコンプレックス・コアセルベーション法などが挙げられる。
また、バインダとマイクロカプセルの分散性については、界面活性剤等の添加剤によって向上させることもできる。さらに、バインダ材の塗布溶媒については、水以外の有機溶剤も用いることができる。すなわち、バインダ材の溶媒に有機溶剤を使用し、親水性のマイクロカプセルの壁膜とで系が異なる場合は、より効果的に界面活性剤等の添加剤によって分散性が改善される。
別のマイクロカプセルの製造法により製造されたマイクロカプセルの壁膜が疎水性であって、バインダ材の塗布溶媒が水である場合であっても、同様に界面活性剤等を添加して分散性を改善することができる。
さらに、塗布溶液には各種諸条件を改善させるために界面活性剤に限らず、各種添加剤を配合することもできる。
本発明に用いることのできるマイクロカプセルは、従来公知の各種マイクロカプセルの製造法により製造することができるが、本発明は、上述のようにコンプレックス・コアセルベーション法などで製造された、ゲル状壁膜を有するマイクロカプセルを具備するものに対し、特に効果的に作用する。
マイクロカプセルはその用途に応じて適当なサイズが選択されるが、一般に球換算の直径が0.1〜3000μm、好ましくは0.1〜2000μm、が使用できる。中でも磁気表示媒体としては50〜1000μmが好ましい。壁膜の厚さも用途に応じて適当な厚さが選択される。
本発明は、上記磁気反転表示用インキ組成物を任意の被定着面に磁気反転型表示要素を内包したマイクロカプセル以上の厚みに塗布し、溶媒を揮発させることにより定着させ、簡易に磁気反転表示体を得ることができる。
被定着面としては様々な任意の面を選択することができ、ホワイトボードなどのボード類、キャビネットや机などの家具類、各種大小の事務用品からおもちゃなどの小物類のほか、屋内/屋外の壁面や、ドア、天井、柱などの建築構造体へ直接、または強磁性材料を介して簡易かつ広域に付設することができる。また、凸凹を有する部材への適用も可能である。
また、可撓面への塗布、定着も可能である。一例としては使用時には平面シート状であるが、丸めて持ち運ぶことができるよう可撓性を有するシート素材などがあり、本発明の磁気反転表示用インキ組成物により塗布、定着された表示体は、フレキシビリティを有するので、そのような可撓面に使用してもひび割れ等の発生が無く、好適に使用することができる。
本発明の磁気反転表示用インキ組成物の塗布にあたっては、乾燥後、マイクロカプセル以上の厚みになるよう塗布する必要がある。マイクロカプセル層をマイクロカプセルの外径を超える厚みとすることで、バインダ材がマイクロカプセルを完全に包み込み確実に固着することができる。
また、塗布、乾燥後のマイクロカプセルの大きさ(D50)の2倍以上の層厚のマイクロカプセル層を設計すれば、マイクロカプセルが2段以上積層された層構造を広範囲で得ることができ、表示素子が多重に存在することでマイクロカプセルに内包される表示素子の存在しない部分が光を透過してしまうことが少なく、表示体として良好なコントラストを得ることができる。
マイクロカプセル層がマイクロカプセルのD90外径未満の厚みであった場合は、マイクロカプセルが塗布面から突出したり、層の均一な塗布面が得られにくい。また、マイクロカプセルの多重積層数が少なくなる傾向がある為、コントラストを向上させにくいなどの不具合が生じる場合がある。
マイクロカプセルの外径は、粒度分布で表すところのD90、D50の値が使用できる。粒度分布の示し方としては、種々の方法が提案されているが、本発明においては、一般的な積算粒径分布を採用する。その場合、D90とは積算粒径分布90%相当の粒子径をD90で示すことができる。D50とは粒径分布の中央値(median径)であり、積算粒径分布50%相当の粒子径を指す。本発明においては、マイクロカプセルの粒度分布測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定し、体積基準分布とした値を用いる。
本発明の表示体の製造方法においては、被定着面が強磁性材料により構成されているとより好ましい。本発明の磁気反転表示用インキ組成物を塗布、定着し、得られる表示体は、表面から磁気を作用させて表示/消去を繰り返し行うことができるが、そのマイクロカプセル層の裏面に強磁性材料が存在すると、表面から作用させる外部磁石の磁束が集中し、ヨークの効果を生ずるので、表示がより鮮明になる。
強磁性材料としては、Feを主成分とする材料、Fe、Co、Niやその合金、又はそれらを合成樹脂やゴムに混入したもの等、強磁性を有するものならばいずれも使用できる。強磁性材料へ本発明の磁気反転表示用インキ組成物を塗布する形態としては、ある一定の大きさ(例えばA4ファイルサイズ)の単体の鉄板にインキ組成物を塗布して、溶媒を揮発させ表示体を得ることなどが挙げられる。
そのほか、冷蔵庫のドアやスチールキャビネットの扉など、被定着面を構成する物自体が強磁性材料である物品への適用がより効果的であり、利用価値が高い。
また、表示体の表面側、すなわち磁気を作用させる面に対して、必要に応じマイクロカプセル層の保護を目的として保護層を設けることもできる。保護層は外部より磁気を作用させる磁石等がマイクロカプセル層に直接接触することを回避し、マイクロカプセルの破損を防止するものであれば良い。保護層はフィルム、樹脂、ガラスなど、硬質のものから軟質のものまでいずれでも良く、表示体のフレキシビリティや強度の向上など、所望する目的に応じて適宜選択される。
本発明を諸例を用いて説明すると以下の通りである。
実施例1
微粒子磁性体とイソパラフィン(アイソパーM:商品名、エッソ化学社製)を主成分とする油性塑性液を芯物質として、コンプレックス・コアセルベーション法を用い、硬化剤によりカプセル被膜を硬化させたマイクロカプセル分散液を、遠心分離により脱水した、D50=300μm、D90=400μmのマイクロカプセル30質量部にバインダ材としてエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルション(Tg:7℃、固形分55wt%)10質量部を加え、均一に撹拌し、本発明の磁気反転表示用インキ組成物を得た。
応用実施例1
実施例1のインキ組成物を、被定着面として厚さ125μmのPETフィルムにアプリケーターを用いて塗布し、この塗布フィルムを40℃で16h乾燥させ、PETフィルム上に、乾燥後のマイクロカプセルの厚み方向粒子径の2倍以上である、600μmのマイクロカプセル層を固着し、表示体を得た。得られた表示体はマイクロカプセルが均一に整列した表示機能層を有しており、表示体として表面から外部磁界を作用させることにより表示/消去を繰り返し鮮明に表示することができる磁気反転型表示媒体であった。また、該磁気反転型表示媒体は可撓性を有し、丸めて持ち運べるシート状のものであった。
応用実施例2
実施例1において、被定着面である厚さ125μmのPETフィルムと本発明の磁気反転表示用インキ組成物との間に1mm厚の鉄板を付設するとより鮮明な表示/消去を得ることができた。
応用実施例3
実施例1で作製した磁気反転表示用インキ組成物を、スチール製の冷蔵庫の扉に対し、直接、アプリケーターを用いて塗布し、この塗布面を室温で24h乾燥させ、スチール製の冷蔵庫の扉の上に、乾燥後のマイクロカプセルの厚み方向粒子径の2倍以上である、700μmのマイクロカプセル層を固着し、表示体を得た。得られた表示体はマイクロカプセルが均一に整列した表示機能層を有しており、表示体として表面から外部磁界を作用させることにより表示/消去を繰り返し鮮明に表示することができる磁気反転型表示媒体であった。
応用実施例4
実施例1で作製した磁気反転表示用インキ組成物を、学校の教室の壁面に対し、直接、アプリケーターを用いて塗布し、この塗布面を室温で24h乾燥させ、学校の教室の壁面上に、乾燥後のマイクロカプセルの厚み方向粒子径の2倍以上である、600μmのマイクロカプセル層を固着し、表示体を得た。得られた表示体により、黒板以外の壁面部分が即座に表示することができる表示体となり、簡易かつ広域に良好な表示体を得ることができた。なお、該表示体は、マイクロカプセルが均一に整列した表示機能層を有しており、表示体として表面から外部磁界を作用させることにより表示/消去を繰り返し鮮明に表示することができる磁気反転型表示媒体であった。
応用実施例5
実施例1で作製した磁気反転表示用インキ組成物を、可撓性のある事務用ノートの被浸透性の表紙に対し、ペイント用の刷毛を用いて塗布し、この塗布物を40℃で16h乾燥させ、可撓性のある事務用ノートの一面上に、乾燥後のマイクロカプセルの厚み方向粒子径の2倍以上である、600μmのマイクロカプセル層を固着し、表示体を得た。得られた表示体により、塗布面は、磁気により表示することができる形態になり、簡易に任意の形状の被定着面に対し、表示体を得ることができた。なお、該表示体は、マイクロカプセルが均一に整列した表示機能層を有しており、表示体として表面から外部磁界を作用させることにより表示/消去を繰り返し鮮明に表示することができる磁気反転型表示媒体であった。また、可撓性のある事務用ノートの表紙をめくっても、当該マイクロカプセル層はひび割れなどを生ずることなく、表示機能を維持し続けることができた。
応用実施例6
実施例1で作製した磁気反転表示用インキ組成物を、凸凹を有する箱形の筆箱の一面に対し、ペイント用の刷毛を用いて塗布し、この塗布物を40℃で16h乾燥させ、凸凹を有する筆箱の一面上に、乾燥後のマイクロカプセルの厚み方向粒子径より大きい、400μmのマイクロカプセル層を固着し、表示体を得た。得られた表示体により、凸凹を有しつつも、塗布面は、磁気により表示することができる形態になり、簡易に任意の形状の被定着面に対し、表示体を得ることができた。なお、該表示体は、マイクロカプセルが均一に整列した表示機能層を有しており、表示体として表面から外部磁界を作用させることにより表示/消去を繰り返し鮮明に表示することができる磁気反転型表示媒体であった。
実施例2〜7、比較例1〜12
上記実施例1において、バインダ材の化学種とTgを表1に記載のものに換えた他は同様にして磁気反転表示用インキ組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例8〜14
上記実施例1において、所望によりバインダ材の化学種とTgを表1に記載のものに換えた上で、マイクロカプセルの粒径をD50=300μm、D90=600μmにし、適宜固形分濃度の調整をした他は同様にして磁気反転表示用インキ組成物を作製し、同様の評価を行った。
応用実施例7
実施例8〜14で作製した磁気反転表示用インキ組成物を、凸凹を有する箱形の筆箱の一面に対し、ペイント用の刷毛を用いて塗布し、この塗布物を40℃で16h乾燥させ、凸凹を有する筆箱の一面上に、乾燥後のマイクロカプセルの厚み方向粒子径より大きい、700μmのマイクロカプセル層を固着し、表示体を得た。得られた表示体により、凸凹を有しつつも、塗布面は、磁気により表示することができる形態になり、簡易に任意の形状の被定着面に対し、表示体を得ることができた。なお、該表示体は、マイクロカプセルが整列した表示機能層を有しており、表示体として表面から外部磁界を作用させることにより表示/消去を繰り返し表示することができる磁気反転型表示媒体であった。
応用実施例8
実施例8〜14で作製した磁気反転表示用インキ組成物を、凸凹を有する箱形の筆箱の一面に対し、ペイント用の刷毛を用いて塗布し、この塗布物を40℃で16h乾燥させ、凸凹を有する筆箱の一面上に、乾燥後のマイクロカプセルの厚み方向粒子径より薄い、450μmのマイクロカプセル層を固着し、表示体を得た。得られた表示体により、凸凹を有しつつも、塗布面は、磁気により表示することができる形態になり、簡易に任意の形状の被定着面に対し、表示体を得ることができた。ただし、応用実施例8においては、マイクロカプセル層の厚みを超えるD90粒径のマイクロカプセルの存在により、他の応用実施例に比べて表面にやや凸凹を生じたり、コントラストやマイクロカプセルの強度に差を生じてしまうことがあった。
実施例1〜14および比較例1〜12の磁気反転表示用インキ組成物の評価は表1に示すとおりであり、実施例2〜7における応用実施例1〜7への適用については、実施例1における応用実施例1〜7の評価同様、良好なものであった。ただし、実施例8〜14における応用実施例8においては、やや上記のような問題を生ずるものもあった。
また、比較例1〜12における応用実施例1〜7への適用については、バインダの化学種またはTgの範囲が不適当であり、それぞれ問題のあるものであった。
Figure 2008056787
本発明において経時性、成膜性の評価は磁気反転表示用インキ組成物を用いて各種表示体を製造し、該表示体について、製造時および使用時の状態を以下のように目視にて行った。
経時性
○・・・初期、経時後、ともに表示要素の表示/消去機能が良好に維持されていた。
×・・・初期は良好であったが、経時的に表示要素の表示/消去機能が低下した。
成膜性
○・・・ひび割れ等が無く良好な成膜性を示した。
△・・・一部ひび割れ等が観察されたが、実用上問題の無い程度であった。
×・・・ひび割れ等が観察され、成膜性に問題のあるものであった。
本発明は、特定のバインダ樹脂により表示要素を内包したマイクロカプセルを固着し得る磁気反転表示用インキ組成物及びそれを用いた表示体の製造方法を提供するもので、用いられる被定着面によって各種の磁気反転型表示体として利用することができる。とりわけ表示体自体がフレキシビリティを必要とする用途に好適に利用可能である。



Claims (5)

  1. 少なくとも、異なる色に着色して色分けした微小磁石を分散媒に分散させた磁気反転型表示要素を内包したマイクロカプセル、溶媒、バインダ樹脂を含んでなるインキ組成物であって、該バインダ樹脂として、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる、ガラス転移点(Tg)−20〜20℃の範囲にある樹脂の1または2以上を主成分として用いたことを特徴とする磁気反転表示用インキ組成物。
  2. 前記マイクロカプセルがコンプレックス・コアセルベーション法により製造されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気反転表示用インキ組成物。
  3. 前記磁気反転型表示要素が磁気により表示/消去を行うことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載された磁気反転表示用インキ組成物。
  4. 請求項1ないし3に記載の磁気反転表示用インキ組成物を任意の被定着面に塗布し、溶媒を揮発させることにより簡易に磁気反転表示体を得る表示体の製造方法であって、マイクロカプセル層の厚みを塗布乾燥後のマイクロカプセル以上の厚みとしたことを特徴とする表示体の製造方法。
  5. 前記被定着面が強磁性材料により構成されることを特徴とする請求項4に記載の表示体の製造方法。

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