JP2008036870A - 液体吐出装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高密度実装に際して低コストで電気的な信頼性を高くすること。
【解決手段】 圧電素子24の活性部58の周囲の隔壁を構成している隔壁層25上に天板26を配置し、この天板26には、共通液室55から圧力室52への液体供給用の貫通孔261と、天板26の上面から圧電素子24の上部電極57への配線接続用の貫通孔262と、配線接続用の貫通孔262に導電性材料が充填されてなり圧電素子24の上部電極57に接続している充填接続部31と、充填接続部31に連結している上部接続電極32とが形成されている。圧電素子24の活性部58は、行方向及び列方向に2次元的に複数配列され、圧電素子24の下部電極56は、行方向の複数の活性部58で共通に形成され、上部接続電極32は、列方向の複数の活性部58で共通に設けられている。また、天板26の充填接続部31と上部接続電極32とが同一の導電性材料で一体に形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 圧電素子24の活性部58の周囲の隔壁を構成している隔壁層25上に天板26を配置し、この天板26には、共通液室55から圧力室52への液体供給用の貫通孔261と、天板26の上面から圧電素子24の上部電極57への配線接続用の貫通孔262と、配線接続用の貫通孔262に導電性材料が充填されてなり圧電素子24の上部電極57に接続している充填接続部31と、充填接続部31に連結している上部接続電極32とが形成されている。圧電素子24の活性部58は、行方向及び列方向に2次元的に複数配列され、圧電素子24の下部電極56は、行方向の複数の活性部58で共通に形成され、上部接続電極32は、列方向の複数の活性部58で共通に設けられている。また、天板26の充填接続部31と上部接続電極32とが同一の導電性材料で一体に形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は液体吐出装置及びその製造方法に関し、高密度実装に適し低コストで電気的な信頼性を高くすることができる液体吐出装置及びその製造方法に関する。
従来、液体を吐出する各種の液体吐出装置が提供されている。例えば、インクを吐出するノズル(液体吐出口)と、ノズルに連通する圧力室と、圧力室内の容積を変化させてノズルからインクを吐出させるアクチュエータを備えたものが知られている。
このような液体吐出装置において、近年、ノズルを高密度に配置することが求められている。
特許文献1には、アクチュエータとして圧電素子を用いた場合において、圧電素子が配置されている振動板上に、圧電素子の駆動配線を形成したものが記載されている。振動板には、その振動板の圧力室外の領域を貫いて圧力室に連通するインク供給口が形成され、圧力室の背面(圧力室に対してノズルが形成されている側とは反対側である)には、振動板、圧電素子、および、凹部を介して、インク供給タンクが設けられている。すなわち、圧力室の背面から圧力室へインクを供給する背面流路構造となっている。
特許文献2には、アクチュエータとしてヒータ素子を用いた場合において、部品の実装密度を高めることを目的として、ヒータ素子の駆動配線を、マトリクス状に形成したものが記載されている。
特開2001−179973号公報
特開平4−4152号公報
特許文献1に記載のように、振動板上に圧電素子を配置し且つ背面流路構造とした場合には、振動板上の圧電素子の動作を阻害しないように圧電素子を避けて駆動配線を設ける必要があるとともに、振動板上のインク供給口を避けて駆動配線を設ける必要がある。したがって、振動板上に駆動配線を高密度に配置しようとした場合、振動板上で圧電素子およびインク供給口を避けるようにして、圧電素子の駆動配線を極めて細く形成しなければならず、圧電素子の駆動配線の電気的な信頼性が低下してしまうという課題がある。
また、吐出する液体の温度調整が、外部環境の影響を防止したり、粘度バラツキをキャンセルする目的で、求められているが、振動板上にさらに温調素子を配置しようとすれば、温調素子の配置スペースの確保のために、圧電素子の駆動配線をさらに細く形成しなければならない。
さらに、高密度実装を図る一方で、製造コストの低減も求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高密度実装に適し低コストで電気的な信頼性の高い液体吐出装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体吐出口に連通する圧力室が形成されている圧力室板と、前記圧力室板上に配置されている振動板と、前記振動板上に配置され、下部電極、圧電材料からなる活性部、および、上部電極が順に積層されてなる圧電素子と、前記振動板上に配置され、前記圧電素子の前記活性部の周囲の隔壁を構成している隔壁層と、前記隔壁層上に配置されている天板と、前記天板上に配置され、前記圧力室へ液体を供給する共通液室と、を備え、前記天板には、前記共通液室から前記圧力室への液体供給用の貫通孔と、前記天板の上面から前記圧電素子の前記上部電極への配線接続用の貫通孔と、前記配線接続用の貫通孔に導電性材料が充填されてなり前記圧電素子の前記上部電極に接続している充填接続部と、前記充填接続部に連結し前記充填接続部を介して前記圧電素子の前記上部電極に接続している当該天板上面の上部接続電極と、が形成され、前記圧電素子の前記活性部は、行方向及び列方向に2次元的に複数配列されており、前記圧電素子の前記下部電極は、2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで行方向の複数の前記活性部で共通に形成されており、前記上部接続電極は、2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで列方向の複数の前記活性部で共通に設けられており、前記天板の前記充填接続部と該充填接続部に連結している前記上部接続電極とが、同一の導電性材料で一体に形成されていることを特徴とする液体吐出装置を提供する。
なお、「行方向」および「列方向」は、互いに異なる2方向を意味しており、それ以外には、各方向、および、両方向のなす角度は、特に限定されない。例えば、「行方向」は、液体吐出口と被吐出媒体との相対移動方向に対して、直交する方向であっても、平行な方向であってもよい。また、例えば、「行方向」と「列方向」とのなす角度は、90度より小さくてもよい。
本液体吐出装置は、振動板上に圧電素子の活性部の周囲の隔壁を構成する隔壁層を介して天板が配置され、この天板の液体供給用の貫通孔を介して圧力室の背面から圧力室へ液体が供給される背面流路構造となっているので、圧力室へ至る流路を圧力室の側方に設けた場合と比較して、圧力室および液体吐出口の高密度化を図ることができる。また、背面流路構造に因り、共通液室から圧力室までの流路を短く且つ湾曲を少なくできるので、共通液室から圧力室への液体のリフィル性がよくなり高粘度液体の吐出が可能になるといった利点や、圧力室内の気泡の排除性がよくなるといった利点も得られる。
このような背面流路構造において、振動板上には、各圧電素子の下部電極が行方向の複数の圧電素子の活性部で共通に形成されているとともに、圧電素子の上部電極には、天板の配線接続用の貫通孔に導電性材料が充填されてなる充填接続部を介して天板上面の上部接続電極が接続し、天板上には、上部接続電極が列方向の複数の圧電素子の活性部で共通に設けられている。すなわち、圧電素子の下部電極によって構成される行方向配線および上部接続電極によって構成される列方向配線が、隔壁層を挟んで振動板上と天板上とに分割されたマトリクス配線構造となっている。したがって、振動板上に圧電素子を高密度に配置し且つ圧電素子の変位を拘束しないための空間を圧電素子上に設けても、行方向配線としての圧電素子の下部電極および列方向配線としての上部接続電極は、ともに圧電素子上の空間に関わらず配線の幅を十分に確保することができるので、振動板上で圧電素子を回避するように高密度に配線せざるをえなかった従来のものと比較して、電気的な信頼性が高くなる。具体的には、圧電素子の活性部を行方向にM個配列して列方向にN個配列したM×N個配列の場合、振動板上には圧電素子の下部電極を圧電素子上の空間に関わらず行方向にM本配列するとともに、天板上には上部接続電極を圧電素子上の空間に関わらず列方向にN本配列すればよく、配線密度が極めて低くなるので、配線を太くでき、電気抵抗が小さくなって電気的な信頼性が向上するとともに、製造プロセスにおける歩留りも改善できる。また、合計の配線数をM+N本まで減らすことができるので、接続点数も低減して接続信頼性が向上するといった利点や、SWIC(スイッチ用集積回路)の個数が少なくて済みコストダウンを図れるといった利点も得られる。
また、天板の充填接続部と当該充填接続部に連結している上部接続電極とを、同一の導電性材料を用いて、単一の工程で形成できるので、工程削減に因り製造コストを低減できる。
前述のように配線密度が低いことに因り、天板に、半導体プロセスで使用するシリコンやガラスといった高価で割れやすい材料ではなく、樹脂などの安価で割れにくい材料を使用して天板を薄くすることが可能であり、配線接続用の貫通孔のアスペクト(貫通孔の幅に対する長さの比)を小さくすることができるので、天板上面の上部接続電極の形成と天板の配線接続用の貫通孔への導電性材料の充填とを同時に行う単一の工程としてスクリーン印刷やメッキなどの安価な方法を採用できるとともに、天板の材料の自由度も上がって安価で且つ大基板化が可能な材料を採用することができる。すなわち、安価な製造プロセスと安価な材料を用いた大量生産が可能となり、製造コストを低減できる。
また、本液体吐出装置では、天板上に十分なスペースができるため、天板上に電極以外の電気素子を配置することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記天板上には、前記圧力室へ供給される液体の温度を調整する温調素子が複数配置されていることを特徴とする液体吐出装置を提供する。
例えば、温調素子としてヒータ素子を天板上に並べることにより、各圧力室の直近の液体の温度を上げて、もって各圧力室内の液体の粘度調整をすることができる。また、温調素子としてペルチェ素子を天板上に並べることにより、各圧力室の直近の液体の温度を下げて、もって各圧力室内の気泡を排除することができる。ペルチェ素子により、加熱および冷却を選択的に行うようにしてもよい。ヒータ素子およびペルチェ素子の両方を天板上に配置してもよい。
天板上の全面で温調素子を駆動して、共通液室全体の温度調整および全圧力室の温度調整をするようにしてもよい。その一方で、天板上で部分的に温調素子を駆動して共通液室内の温度勾配および全圧力室間の温度勾配を軽減するようにしてもよい。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記温調素子は、前記天板の前記液体供給用の貫通孔を囲むように形成されていることを特徴とする液体吐出装置を提供する。
なお、天板上には、温調素子以外に、サーミスタなどの温度センサを配置してもよい。
請求項4に記載の発明は、液体吐出口に連通する圧力室が形成されている圧力室板と、前記圧力室板上に配置されている振動板と、前記振動板上に配置され、下部電極、圧電材料からなる活性部、および、上部電極が順に積層されてなる圧電素子と、前記振動板上に配置され、前記圧電素子の前記活性部の周囲の隔壁を構成している隔壁層と、前記圧力室へ供給される液体を貯留する共通液室とを備えた液体吐出装置の製造方法において、前記隔壁層上に配置される天板であって、当該天板上に配置される前記共通液室から前記圧力室への液体供給用の貫通孔と、当該天板の上面から前記圧電素子の前記上部電極への配線接続用の貫通孔とを有する天板を形成する工程と、前記圧電素子の前記活性部を行方向及び列方向に2次元的に複数配列するとともに、前記圧電素子の前記下部電極を2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで行方向の複数の前記活性部で共通に形成する工程と、前記天板の前記配線接続用の貫通孔に導電性材料を充填すると同時に前記天板の上面に前記配線接続用の貫通孔に充填したものと同一の導電性材料を付着させて、前記配線接続用の貫通孔に導電性材料が充填されて構成され、前記圧電素子の前記上部電極に接続している充填接続部と、2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで列方向の複数の前記活性部で共通に設けられ、前記充填接続部に連結し前記充填接続部を介して前記圧電素子の前記上部電極に接続する前記天板上面の上部接続電極とを、一体に形成する工程と、を含むことを特徴とする液体吐出装置の製造方法を提供する。
本発明によれば、高密度実装に適し低コストで電気的な信頼性を高くできる。
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
[液体吐出ヘッドの基本的な全体構造]
図1は、本発明に係る液体吐出装置としての液体吐出ヘッド50の基本的な全体構造の一例を示す平面透視図である。
図1は、本発明に係る液体吐出装置としての液体吐出ヘッド50の基本的な全体構造の一例を示す平面透視図である。
図1に一例として示す液体吐出ヘッド50は、いわゆるフルライン型のヘッドであり、被吐出媒体16の搬送方向(図中に矢印Sで示す副走査方向)と直交する方向(図中に矢印Lで示す主走査方向)において被吐出媒体16の幅Wmに対応する長さにわたり、被吐出媒体16に向けて液体を吐出する多数のノズル51(液体吐出口)を2次元的に配列させた構造を有している。
液体吐出ヘッド50は、ノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、および、液体供給口53を含んでなる複数の圧力室ユニット54が、主走査方向L、および、主走査方向Lに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向Cの2方向に沿って配列されている。なお、図1では、図示の便宜上、一部の圧力室ユニット54のみ描いている。
ノズル51は、具体的には、主走査方向Lに対して所定の鋭角θをなす斜め方向Cにおいて、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Lに沿った一直線上に「d×cosθ」の間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。
説明の便宜上、以下では、主走査方向Lを「行方向」と、主走査方向Lに対して所定の鋭角θをなす斜め方向Cを「列方向」と、それぞれ記述する。なお、本発明において、「行方向」および「列方向」は、互いに異なる2方向を意味しており、図1に示す主走査方向Lおよび斜め方向Cに特に限定されない。
以下、各実施形態に分けて、液体吐出ヘッドについて詳細に説明する。
[第1実施形態]
図2(A)および(B)は、第1実施形態に係る液体吐出ヘッド50aの垂直断面を示す断面図である。なお、図2(A)は、図1のA−A線に沿った垂直断面を示し、図2(B)は、図1のB−B線に沿った垂直断面を示す。図示の便宜上、行方向Lに、各3つのノズル51および圧力室52が描かれているが、これらの数は特に限定されない。
図2(A)および(B)は、第1実施形態に係る液体吐出ヘッド50aの垂直断面を示す断面図である。なお、図2(A)は、図1のA−A線に沿った垂直断面を示し、図2(B)は、図1のB−B線に沿った垂直断面を示す。図示の便宜上、行方向Lに、各3つのノズル51および圧力室52が描かれているが、これらの数は特に限定されない。
図2(A)および(B)において、液体吐出ヘッド50aは、複数のノズル51(液体吐出口)が形成されているノズル板21と、ノズル板21上に配置され、複数の圧力室52が形成されている圧力室板22と、圧力室板22上に配置され、各圧力室52の上壁を構成している振動板23と、振動板23上に配置されている複数の圧電素子24と、振動板23上に配置され、各圧電素子24の周囲の隔壁250を構成している隔壁層25と、隔壁層25上に配置されている天板26と、天板26上に保護層27を介して配置されている共通液室55を含んで構成されている。
ノズル51は、図1に示したように、行方向Lおよび列方向Cの2方向に沿って2次元的に配列されている。ノズル51に連通する圧力室52も、ノズル51と同様、行方向Lおよび列方向Cの2方向に沿って2次元的に配列されている。
圧電素子24は、振動板23上に、導電性材料からなる下部電極56と、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電材料からなる活性部58(圧電体)と、導電性材料からなる上部電極57とが順に積層されることにより、形成されている。
圧電素子24が配置された振動板23の上面を図3に示す。圧電素子24の活性部58は、圧力室52に1対1で対応し、圧力室52と同様に、行方向L及び列方向Cの2方向に沿って2次元的に複数配列されている。圧電素子24の下部電極56は、行方向L及び列方向Cの2方向に沿って2次元的に配列された複数の活性部58のうち行方向Lの複数の活性部58で共通に複数形成されている。圧電素子24の上部電極57は、活性部58に1対1で形成されており、行方向L及び列方向Cの2方向に沿って2次元的に複数配列されている。
図2(A)および(B)において、共通液室55は、液体を貯留し、複数の圧力室52へ液体を供給する。本例では、下向き凹形状のIC基板28が天板26上に接合されて、このIC基板28によって共通液室55が構成されている。IC基板28上には、駆動する圧電素子24の切り換えや,駆動する温調素子35の切り換えを行うSWIC(スイッチ用集積回路)など、図示省略の電子部品が載置される。
天板26の上面には、圧電素子24の上部電極57へ接続している上部接続電極32(第1の天板上面電極)と、圧電素子24の下部電極56へ接続している下部接続電極34(第2の天板上面電極)が形成されている。なお、本例では、下部接続電極34が天板26上に形成されているが、特にこのような場合に限定されず、例えば、下部接続電極34を液体吐出ヘッド50aの側面に形成してもよい。
共通液室55から圧力室52への液体供給のため、特に図2(B)に示すように、天板26、隔壁層25、振動板23には、それぞれ液体供給用の貫通孔261、251、231が貫通している。これらの液体供給用の貫通孔261、251、231を含んで、共通液室55から各圧力室52の液体供給口53へ至る個別流路530が構成されている。この個別流路530と共通液室55とによって、圧力室52に対してノズル51の配置されている側(吐出面510側)とは反対側から液体を供給する背面流路が構成されている。
また、天板26の上面から圧電素子24の上部電極57への配線接続のため、特に図2(A)に示すように、天板26には配線接続用の貫通孔262が貫通している。この配線接続用の貫通孔262に導電性材料が充填されて、天板26の上面から圧電素子24の上部電極57へ接続している充填接続部31が形成される。具体的には、天板26の配線接続用の貫通孔262とともに圧電素子24の上部電極57上の配線接続用の凹部252(この凹部252の平面図を図8(A)に示す)にも導電性材料が充填されて、充填接続部31が天板26の下面から下方に延伸しており、圧電素子24の上部電極57に達している。天板26上の上部接続電極32は、上部電極57用の充填接続部31に連結し、この充填接続部31を介して圧電素子24の上部電極57に接続している。これらの上部接続電極32と上部電極57用の充填接続部31とは、同一の導電性材料で一体に形成されている。
また、本例では、圧電素子24の下部電極56への配線接続のため、天板26の上面に下部接続電極34が配置されているので、天板26の上面から圧電素子24の下部電極56への配線接続のため、特に図2(A)に示すように、天板26および隔壁層25には、それぞれ配線接続用の貫通孔263、253が貫通している。これらの配線接続用の貫通孔263、253にも導電性材料が充填されて、圧電素子24の下部電極56へ接続している充填接続部33が形成されている。天板26上の下部接続電極34は、下部電極56用の充填接続部33に連結し、この充填接続部33を介して圧電素子24の下部電極56に接続している。これらの下部接続電極34と下部電極56用の充填接続部33とは、同一の導電性材料で一体に形成されている。
また、天板26の上面には、各圧力室52へ供給される液体の温度を調整するための個別駆動可能な温調素子35が配置されている。
温調素子35としては、例えば、ヒータ素子、ペルチェ素子などが挙げられる。温調素子35としてヒータ素子を用いた場合には、ヒータ素子に流す電流の大きさによって発熱量を変化させて、液体を加熱する。温調素子35としてペルチェ素子を用いた場合には、液体の冷却のみ行う態様と、液体の加熱および冷却を選択的に行う態様とがある。温調素子35として、ヒータ素子およびペルチェ素子の両方を設けることも可能である。
天板26の上面を図4に示す。上部接続電極32は、行方向L及び列方向Cの2方向に2次元的に配列された図3の複数の活性部58のうち列方向Cの複数の活性部58で共通に設けられている。
温調素子35は、行方向L及び列方向Cの2方向に2次元的に配列された図1の複数の圧力室52のうち列方向Cの複数の圧力室52で共通に設けられている。言い換えると、温調素子35は、上部接続電極32と平行に各列に1個、且つ、上部接続電極32と交互に、天板26上に配置されている。このように、天板26上の電極以外の面積を有効に活用し、且つ、共通液室55内の液体の温度勾配を効率的に是正できるように、温調素子35が天板26に配置されている。また、温調素子35は、天板26の液体供給用の貫通孔261の近傍に配置されているので、効率よく、圧力室52内の液体の温度を調整できる。
なお、図示を省略したが、天板26上にさらに温度センサを配置してもよい。
図2(A)および(B)において、天板26上には、上部接続電極32および温調素子35を、少なくとも共通液室55の天板26上での配置領域(図4に点線で示す550)と重なる部分において覆うように、絶縁性の保護膜27が形成されている。この保護膜27は、天板26上の上部接続電極32および温調素子35が、共通液室55内の液体に接液することを防止するとともに、環境変化による結露やゴミの付着による配線ショートなどを防止する。
第1実施形態における液体吐出ヘッド50aの製造プロセスについて、主として図5、図6、図7の製造フローを用いて、詳細に説明する。これらの図5、図6、図7では、行方向Lに沿った垂直断面(図1のA−A線に沿った垂直断面である)が描かれている。
まず、図5(A)に示すように、エッチングや機械加工で別々に製作した圧力室板22と振動板23とを、拡散接合等で接合する。
圧力室板22には、圧力室52およびその液体供給口53が形成されており、振動板23には、共通液室55から圧力室52への液体供給用の貫通孔231が形成されている。圧力室52は、図1に示したように行方向Lおよび列方向Cの2方向に沿って2次元的に配列する。振動板23の液体供給用の貫通孔231も、図3に示したように行方向Lおよび列方向Cの2方向に沿って2次元的に配列する。
次に、図5(B)に示すように、接合された圧力室板22および振動板23の露出面に、絶縁、拡散防止、耐液性確保などの目的で薄膜からなる保護膜を形成する。この保護膜については図示を省略する。
次に、図5(C)に示すように、保護膜で保護された振動板23上に、スパッタ、スクリーン印刷、メッキなどにより、導電性材料からなる下部電極56を形成する。下部電極56は、図3に示したように行方向Lに沿って配列する。
次に、図5(D)に示すように、下部電極56上に、スパッタ、AD(エアロゾル・デポジション)法、または、スクリーン印刷により、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電材料からなる活性部58を成膜する。活性部58は、図3に示したように行方向Lおよび列方向Cの2方向に沿って2次元的に配列する。
次に、図5(E)に示すように、活性部58上に、スパッタ、蒸着、スクリーン印刷、または、メッキにより、導電性材料からなる上部電極57を形成する。上部電極58は、図3に示したように行方向Lおよび列方向Cの2方向に沿って2次元的に配列する。
下部電極56、圧電体58および上部電極57によって、圧電素子24が構成される。下部電極56は、図3に示すように行方向Lの複数の活性部58に対して共通に設けられる一方で、上部電極57は、活性部58に対して1対1で設けられる。
次に、図5(F)に示すように、圧電素子24の活性部58の周囲の隔壁を構成する隔壁層25を樹脂で形成する。
隔壁層25には、共通液室55から圧力室52への液体供給のための液体供給用の貫通孔251を形成する。この貫通孔251を、振動板23の液体供給用の貫通孔231に位置合せする。また、圧電素子24の上部電極57上には、天板26の上面から圧電素子24の上部電極57への配線接続用の凹部252と、圧電素子24上に空間を確保するための圧電素子保護用の凹部254とが形成される。また、隔壁層25には、天板26の上面から圧電素子24の下部電極56への配線接続用の貫通孔253を形成する。
また、図5(G)に示すように、別途、樹脂成形や機械加工により、天板26を製作する。天板26には、共通液室55から圧力室52への液体供給用の貫通孔261と、天板26の上面から圧電素子24の上部電極57への配線接続用の貫通孔262と、天板26の上面から圧電素子24の下部電極56への配線接続用の貫通孔263が形成される。
次に、図5(H)に示すように、接着や融着により、隔壁層25上に天板26を接合する。ここで、天板26の液体供給用の貫通孔261を、隔壁層25の液体供給用の貫通孔251と位置合せする。また、天板26の配線接続用の貫通孔262および263を、それぞれ、隔壁層25の配線接続用の凹部252および貫通孔253に位置合せする。
次に、図6(A)に示すように、真空印刷により、圧電素子24の上部電極57上の配線接続用の貫通孔262および凹部252に導電性材料を充填すると同時に、同一の導電性材料を天板26の上面にも付着させる。これにより、圧電素子24の上部電極57に接続する充填接続部31と上部接続電極32とを、同一の導電性材料により一体に形成する。
ここで、真空印刷は、図5(H)に示す構造体20Hをチャンバー内に載置し、そのチャンバー内を略真空状態にしてスクリーン印刷することで、充填接続部31、33に気泡を発生させないで配線接続を行うものである。
詳細には、図8(B)に示すように、スクリーン91を天板上面電極32の形成領域以外の領域上に形成して、略真空状態にしたチャンバー内で、図8(C)に示すように、スキージ92を用いて導電性ペースト93を配線接続用の貫通孔262へ充填するとともに上部接続電極32の形成領域に付着させる。なお、配線接続用の貫通孔262へ充填された導電性ペーストは、隔壁層25の配線接続用の凹部252へも充填されて、気泡が発生すること無く、圧電素子24の上部電極57へ達する。その後、天板26上でスクリーン91が除去される。
また、圧電素子24の下部電極56に接続する充填接続部33と下部接続電極34も、同一の導電性材料により一体に形成する。
次に、図6(B)に示すように、天板26上に、温調素子35を形成する。なお、温調素子35は、半導体製造における周知の方法で形成される。別途製作した温調素子35を、接着剤で天板26上に接着してもよい。
次に、図6(C)に示すように、フォトリソグラフィー、スクリーン印刷などにより、天板26上に、絶縁性材料からなる保護膜27を形成する。
また、図6(D)に示すように、別途、エッチング、電鋳、プレス、レーザー加工などによりノズル51を有するノズル板21を製作する。
次に、図6(E)に示すように、ノズル板21を、図6(C)の構造体20Kに、接着、拡散接合などで接合する。
次に、図7(A)に示すように、別途、下向き凹形状のIC基板28を製作する。このIC基板28は、圧電素子24および温調素子33を切り換えるSWICなどの電子部品が実装されるとともに、共通液室55の上壁および側壁を構成する。
次に、図7(B)に示すように、IC基板28を、図6(E)の構造体20Mに、接着などで接合し、共通液室55を形成する。
次に、図7(C)に示すように、IC基板28上にSWIC29などの電子部品を実装し、ワイヤボンディングにより、IC基板28上のSWIC29と、天板26上の電極とを接続する。なお、図7(C)では、図示の便宜上、下部接続電極34とSWIC29との間のワイヤボンディング接続の様子が描かれているが、実際には、上部接続電極32とSWIC29の間、および、温調素子35とSWIC29との間も、同様にワイヤボンディング接続される。
本実施形態における液体吐出ヘッド50aは、振動板23上に圧電素子24の活性部58の周囲の隔壁250を構成する隔壁層25を介して天板26が配置され、この天板26の液体供給用の貫通孔261を介して圧力室52の背面から圧力室52へ液体が供給される背面流路構造となっているので、圧力室52へ至る流路を圧力室52の側方に設けた場合と比較して、圧力室52の高密度化とともにノズル51の高密度化を図ることができる。また、背面流路構造に因り、共通液室55から圧力室52までの流路を短く且つ湾曲を少なくできるので、共通液室55から圧力室52への液体のリフィル性がよくなり高粘度液体の吐出が可能になるといった利点や、圧力室52内の気泡の排除性がよくなるといった利点も得られる。
このような背面流路構造において、振動板23上には、各圧電素子24の下部電極56が行方向の複数の圧電素子24の活性部58で共通に形成されているとともに、圧電素子24の上部電極57には、天板26の配線接続用の貫通孔261に導電性材料が充填されてなる充填接続部31を介して上部接続電極32が接続し、天板26上には、上部接続電極32が列方向の複数の圧電素子24の活性部58で共通に設けられている。すなわち、行方向配線としての圧電素子24の下部電極56および列方向配線としての上部接続電極32が、隔壁層25を挟んで振動板23上と天板26上とで分割して配線されたマトリクス配線構造となっている。したがって、ノズル51の高密度化のために振動板23上に圧電素子24を高密度に配置し且つ圧電素子24の変位を拘束しないための空間を圧電素子24上に設けても、行方向配線としての圧電素子24の下部電極56および列方向配線としての上部接続電極32は、ともに圧電素子24上の空間に関わらず幅を十分に確保することができるので、圧電素子24を回避するように振動板23上に高密度に配線せざるをえなかった従来のものと比較して、電気的な信頼性が高くなる。具体的には、圧電素子24の活性部58を行方向にM個配列して列方向にN個配列したM×N個配列の場合、振動板23上には圧電素子24の下部電極56を行方向にM本配列し、天板26上には上部接続電極32を列方向にN本配列すればよく、配線密度が極めて低くなるので、配線を太くでき、電気抵抗が小さくなって電気的な信頼性が向上するとともに、製造プロセスにおける歩留りも改善できる。また、配線数が減ることに因り、接続点数も低減して接続信頼性が向上するといった利点や、SWIC29の個数が少なくて済みコストダウンを図れるといった利点も得られる。
また、天板26の充填接続部31と充填接続部31に連結している上部接続電極32とを、同一の導電性材料を用いて、単一の工程で形成できるので、工程削減に因り製造コストを低減できる。
前述のように配線密度が低いことに因り、天板26に、半導体プロセスで使用するシリコンやガラスといった高価で割れやすい材料ではなく、樹脂などの安価で割れにくい材料を使用して天板26を薄くすることが可能であり、配線接続用の貫通孔262のアスペクト(貫通孔の幅に対する長さの比)を小さくすることができるので、上部接続電極32の形成と天板26の配線接続用の貫通孔262への導電性材料の充填とを同時に行う単一の工程としてスクリーン印刷やメッキなどの安価な方法を採用できるとともに、天板26の材料の自由度も上がって安価で且つ大基板化が可能な材料を採用することができる。すなわち、安価な製造プロセスと安価な材料を用いた大量生産が可能となり、製造コストを低減できる。
また、本液体吐出ヘッド50aでは、天板26上に十分なスペースができるため、天板26上に電極以外の電気素子として温調素子35などを配置することが可能となる。
圧電素子24以外のプレート部分(ノズル板21、圧力室板22、振動板23、隔壁層25、天板26、IC基板28)は、同一材料で構成することが可能であり、圧電素子24以外のプレート部分を同一材料とした場合には、線膨張差に起因する反りの発生を軽減することができる。また、型成形などで部材点数を減らせば、コストダウンを図れる。
共通液室55の形成部材は、樹脂成形により安価で大量に製作することも可能である。
なお、圧電素子24の活性部58を保護する隔壁層25は、天板26の裏側に型成形で作り込むことも可能である。この場合には、パターニングが不要となり、接着剤転写接着など簡易なプロセスが採用可能となって、さらにコストダウンを図れる。
[第2実施形態]
図9(A)および(B)は、第2実施形態における液体吐出ヘッド50bの一例の垂直断面を示す断面図である。なお、図9(A)は、図1のA−A線に沿った垂直断面を示し、図9(B)は、図1のB−B線に沿った垂直断面を示す。図示の便宜上、行方向Lに、各3つのノズル51および圧力室52が描かれているが、これらの数は特に限定されない。また、図2(A)および(B)に示す第1実施形態の液体吐出ヘッド50aと同じ構成要素には同じ符号を付してあり、既に説明した内容については、説明を省略する。
図9(A)および(B)は、第2実施形態における液体吐出ヘッド50bの一例の垂直断面を示す断面図である。なお、図9(A)は、図1のA−A線に沿った垂直断面を示し、図9(B)は、図1のB−B線に沿った垂直断面を示す。図示の便宜上、行方向Lに、各3つのノズル51および圧力室52が描かれているが、これらの数は特に限定されない。また、図2(A)および(B)に示す第1実施形態の液体吐出ヘッド50aと同じ構成要素には同じ符号を付してあり、既に説明した内容については、説明を省略する。
天板26の上面を図10に示す。温調素子35は、天板26の液体供給用の貫通孔261を囲むようにして天板26上に形成されている。温調素子35は、各圧力室52に1対1で対応し、圧力室52と同数天板26上に配置されている。言い換えると、温調素子35は、図1に示した圧力室52と同様に、行方向Lおよび列方向Cの2方向に沿って2次元的に複数配列されている。
温調素子35は、例えばペルチェ素子によって構成される。各温調素子35は、個別に駆動が可能であり、共通液室55から特定の圧力室52へ供給される液体を冷却することにより、特定の圧力室52に混入した気泡を溶解できる。また、共通液室55から特定の圧力室52へ供給される液体を加熱することにより、特定の圧力室52内の液体の粘度を小さくして、ノズル51同士の吐出バラツキを緩和できる。また、液体供給用の各貫通孔261で液体を加熱することにより、圧力室52への液体のリフィル特性を向上でき、高粘度液体の吐出に有利である。
圧電素子24の上部電極57に接続している天板26上の上部接続電極32は、充填接続部31の形成位置から天板26の液体供給用の貫通孔261の形成位置まで突出して延在しており、温調素子35の下部電極を構成している。すなわち、上部接続電極32は、圧電素子24および温調素子35で共用される。このような共用により、温調素子35用の上部電極36を追加するだけで、温調素子35の下部電極を追加することなく、各温調素子35を個別に駆動することができる。
なお、図9(A)および(B)では、温調素子35の上部電極36を下部接続電極34とは離間して設けた場合を示したが、図11の断面図に示すように、温調素子35の上部電極36を下部接続電極34に短絡する構成としてもよい。
図11は、温調素子35の上部電極36を下部接続電極34に短絡した構成の液体吐出ヘッド50cを示す断面図であり、図1のB―B線に沿った垂直断面を示している。電極短絡以外の構成は、図9(B)に示す液体吐出ヘッド50bと同じである。このような電極短絡の場合には、吐出するノズル51に対応した液体供給用の貫通孔261を、圧電素子24の駆動と同時に温度調整することが可能である。
このように温調素子35の上部電極36と下部接続電極34とを短絡したことにより、圧電素子24の駆動信号を用いて温調素子35を同時に駆動可能となる。液体吐出と同時に温調素子35が駆動されて、液体供給用の貫通孔261を通り各圧力室52へ供給される液体が温度調整される。例えば、リフィル性の向上、気泡溶解、粘度調整など、さまざまな利用が可能である。
以下、図11に示す液体吐出ヘッド50cの製造プロセスについて、詳細に説明する。
まず、図5(A)〜(H)を用いて第1実施形態で説明したように、圧力室板22、振動板23、圧電素子24、隔壁層25および天板26からなる図5(H)の構造体20Hを作成する。ここまでの製造プロセスは第1実施形態における液体吐出ヘッド50aの製造処理と略同一である。
次に、図12(A)に示すように、真空印刷により、圧電素子24の上部電極57上の貫通孔262および凹部252に導電性材料を充填すると同時に、同一の導電性材料を天板26の上面にも付着させる。これにより、圧電素子24の上部電極57に接続する充填接続部31と上部接続電極32とを、同一の導電性材料により一体に形成する。第2実施形態では、上部接続電極32は、充填接続部31の形成位置から液体供給用の貫通孔261の形成位置まで突出して延在させる。
また、圧電素子24の下部電極56に接続する充填接続部33と下部接続電極34も、同一の導電性材料により一体に形成する。
次に、図12(B)に示すように、天板26上に、温調素子35を形成する。第2実施形態では、温調素子35は、液体供給用の貫通孔261の形成位置まで延在した上部接続電極32上に、液体供給用の貫通孔261を囲むように形成する。なお、温調素子35は、半導体製造における周知の方法で形成される。
次に、図12(C)に示すように、フォトリソグラフィー、スクリーン印刷などにより、天板26上に、保護膜27を形成する。ここで、保護膜27は、天板26上の下部電極接続部34が存在する領域と温調素子35が存在する領域とを除く領域に形成される。
次に、図12(D)に示すように、スクリーン印刷、メッキなどにより、温調素子35の上部電極36を形成する。ここで、温調素子35の上部電極36と下部接続電極34とを短絡させる。
次に、図12(E)に示すように、フォトリソグラフィー、スクリーン印刷などにより、温調素子35の上部電極36を覆うように、絶縁性の保護膜38を形成する。
以降の製造プロセスは、図6(D)、(E)および図7(A)〜(C)を用いて説明した第1実施形態における製造プロセスと同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
なお、図4(第1実施形態の液体吐出ヘッド50aの天板26の上面図である)、および、図10(第2実施形態の液体吐出ヘッド50bの天板26の上面図である)において、列方向Cの配線である上部接続電極32が列方向Cにおいて分割されていない場合を示したが、図13に示すように、上部接続電極32を列方向Cにおいて複数に分割して形成してもよい。これにより、同時に駆動できるノズル数を分割数倍にすることが可能となり、プリント速度をアップできる。
また、図14に示すように、ノズル板21などから構成される構造体を分割して製作し、その後に接合することにより、長尺の液体吐出ヘッド500を製作することもできる。これにより、最も精度が要求されるノズル板21の累積誤差を軽減できる。
[画像形成装置]
図15は、図1の液体吐出ヘッド50を備えた画像形成装置80の全体構成の概略を示すブロック図である。
図15は、図1の液体吐出ヘッド50を備えた画像形成装置80の全体構成の概略を示すブロック図である。
図15において、画像形成装置80は、主として、液体吐出ヘッド50、通信インターフェース81、システムコントローラ82、メモリ83a、83b、搬送用モータ84、搬送ドライバ840、プリント制御部85、給液部86、給液制御部860、および、ヘッドドライバ87を含んで構成されている。
本画像形成装置80は、K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)の各色毎に合計4つの液体吐出ヘッド50を備える。
通信インターフェース81は、ホストコンピュータ89から送信される画像データを受信する画像データ入力手段である。通信インターフェース81には、有線又は無線のインターフェースを適用することができる。この通信インターフェース81によって画像形成装置80に取り込まれた画像データは、この画像データ記憶用の第1のメモリ83aに一旦記憶される。
システムコントローラ82は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従って画像形成装置80の全体を制御する主制御手段である。すなわち、システムコントローラ82は、通信インターフェース81、搬送ドライバ840、プリント制御部85等の各部を制御する。
搬送用モータ84は、紙などの被吐出媒体を搬送するためのローラやベルト等に動力を与える。この搬送用モータ84によって、被吐出媒体と液体吐出ヘッド50とが相対的に移動される。
搬送ドライバ840は、システムコントローラ82からの指示に従って搬送用モータ84を駆動する回路である。
給液部86は、インクを貯蔵するインク貯蔵手段としてのインクタンク(図示を省略)から液体吐出ヘッド50までインクを流動させる管路及びポンプなどによって構成されている。
給液制御部86は、給液部86を用いて、液体吐出ヘッド50に対してインクを供給する制御を行うものである。
プリント制御部85は、画像形成装置80に入力される画像データに基づいて、液体吐出ヘッド50が被吐出媒体に向けて吐出(打滴)を行って被吐出媒体上にドットを形成するために必要なデータ(ドットデータ)を生成する。すなわち、プリント制御部85は、システムコントローラ82の制御に従い、第1のメモリ83a内の画像データから打滴用のドットデータを生成するための各種の加工、補正などの画像処理を行う画像処理手段として機能し、生成したドットデータをヘッドドライバ87に供給する。
プリント制御部85には第2のメモリ83bが付随しており、プリント制御部85における画像処理時にドットデータ等が第2のメモリ83bに一時的に格納される。
なお、図15において第2のメモリ83bはプリント制御部85に付随する態様で示されているが、第1のメモリ83bと兼用することも可能である。また、プリント制御部85とシステムコントローラ82とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ87は、プリント制御部85から与えられるドットデータ(実際には第2のメモリ83bに記憶されたドットデータである)に基づき、液体吐出ヘッド50の圧電素子24に対して吐出用駆動信号を出力する。このヘッドドライバ87から出力された吐出用駆動信号が液体吐出ヘッド50の圧電素子24に与えられることによって、液体吐出ヘッド50のノズル51から被吐出媒体に向けて液体(液滴)が吐出される。
なお、ノズル51は、図1に示すように2次元配列されている。すなわち、行方向Lに沿ってM個、列方向Cに沿ってN個配列されている。同様に、圧力室52および圧電素子24も、行方向Lに沿ってM個、列方向Cに沿ってN個配列されている。ここで、特定のノズル51の位置を(i,j)、但し1<i≦M、1<j≦N、と表すとき、(i,j)の位置にあるノズル51から液体を吐出するには、行方向Lにおいてi番目の上部接続電極32と、列方向Cにおいてj番目の圧電素子24の下部電極56との間に液体吐出のための所定の電圧を印加する。すなわち(i,j)の位置にある圧電素子24の上部電極57と下部電極56との間に液体吐出のための所定の電圧を印加すると、(i,j)の位置にある圧力室52の容積が変化して、(i,j)の位置にあるノズル51から液体が吐出される。
また、ヘッドドライバ87は、液体吐出ヘッド50の温度素子35に対して温度調整用駆動信号を出力する。このヘッドドライバ87から出力された温度調整用駆動信号が液体吐出ヘッド50の温調素子35に与えられることによって、液体吐出ヘッド50の圧力室52に与えられる液体(すなわちノズル51から吐出される液体)の温度が調整される。
図9に示す液体吐出ヘッド50bでは、図10に示したように、温調素子35が、ノズル51や圧力室52と同様に、行方向Lに沿ってM個、列方向Cに沿ってN個配列されており、(i,j)の位置にあるノズル51から吐出される液体の温度調整を行うには、行方向においてi番目の上部接続電極32(温調素子35の下部電極に相当する)と、列方向においてj番目の温調素子35の上部電極36との間に、温調のための所定の電圧を印加する。
なお、図11に示す液体吐出ヘッド50cでは、圧電素子24の駆動信号を用いて温調素子35を駆動しているので、ヘッドドライバ87は圧電素子24の駆動信号を液体吐出ヘッド50へ与えるのみでよい。
本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
21…ノズル板、22…圧力室板、23…振動板、24…圧電素子、25…隔壁層、26…天板、27…絶縁層、28…IC基板、31…充填接続部、32…上部接続電極(天板上面電極)、34…下部接続電極、35…温調素子、50(50a、50b、50c)…、51…ノズル、52…圧力室、53…圧力室の液体供給口、55…共通液室、56…圧電素子の下部電極、57…圧電素子の上部電極、58…圧電素子の活性部、250…隔壁、231、251、261…液体供給用の貫通孔、252…配線接続用の凹部、262…配線接続用の貫通孔、510…吐出面、530…個別流路
Claims (4)
- 液体吐出口に連通する圧力室が形成されている圧力室板と、
前記圧力室板上に配置されている振動板と、
前記振動板上に配置され、下部電極、圧電材料からなる活性部、および、上部電極が順に積層されてなる圧電素子と、
前記振動板上に配置され、前記圧電素子の前記活性部の周囲の隔壁を構成している隔壁層と、
前記隔壁層上に配置されている天板と、
前記天板上に配置され、前記圧力室へ液体を供給する共通液室と、
を備え、
前記天板には、前記共通液室から前記圧力室への液体供給用の貫通孔と、前記天板の上面から前記圧電素子の前記上部電極への配線接続用の貫通孔と、前記配線接続用の貫通孔に導電性材料が充填されてなり前記圧電素子の前記上部電極に接続している充填接続部と、前記充填接続部に連結し前記充填接続部を介して前記圧電素子の前記上部電極に接続している当該天板上面の上部接続電極と、が形成され、
前記圧電素子の前記活性部は、行方向及び列方向に2次元的に複数配列されており、
前記圧電素子の前記下部電極は、2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで行方向の複数の前記活性部で共通に形成されており、
前記上部接続電極は、2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで列方向の複数の前記活性部で共通に設けられており、
前記天板の前記充填接続部と該充填接続部に連結している前記上部接続電極とが、同一の導電性材料で一体に形成されていることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記天板上には、前記圧力室へ供給される液体の温度を調整する温調素子が複数配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記温調素子は、前記天板の前記液体供給用の貫通孔を囲むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
- 液体吐出口に連通する圧力室が形成されている圧力室板と、前記圧力室板上に配置されている振動板と、前記振動板上に配置され、下部電極、圧電材料からなる活性部、および、上部電極が順に積層されてなる圧電素子と、前記振動板上に配置され、前記圧電素子の前記活性部の周囲の隔壁を構成している隔壁層と、前記圧力室へ液体を供給する共通液室とを備えた液体吐出装置の製造方法において、
前記隔壁層上に配置される天板であって、当該天板上に配置される前記共通液室から前記圧力室への液体供給用の貫通孔と、当該天板の上面から前記圧電素子の前記上部電極への配線接続用の貫通孔とを有する天板を形成する工程と、
前記圧電素子の前記活性部を行方向及び列方向に2次元的に複数配列するとともに、前記圧電素子の前記下部電極を2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで行方向の複数の前記活性部で共通に形成する工程と、
前記天板の前記配線接続用の貫通孔に導電性材料を充填すると同時に前記天板の上面に前記配線接続用の貫通孔に充填したものと同一の導電性材料を付着させて、前記配線接続用の貫通孔に導電性材料が充填されて構成され、前記圧電素子の前記上部電極に接続している充填接続部と、2次元的に配列された複数の前記圧電素子の前記活性部のうちで列方向の複数の前記活性部で共通に設けられ、前記充填接続部に連結し前記充填接続部を介して前記圧電素子の前記上部電極に接続する前記天板上面の上部接続電極とを、一体に形成する工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の製造方法。
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